以下、本発明に係る光ディスク装置の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る実施の形態1の光ディスク装置を表す斜視図、図2は図1の光ディスク装置を後部側より視た斜視図、図3は上部ケースと下部ケースの係合部組立斜視図、図4は図3に示した係合部の分解斜視図、図5は上部ケースの後面曲げ部を表す拡大斜視図、図6は上部ケース引掛け部の組立斜視図、図7は図6に示した引掛け部の分解斜視図である。
光ディスク装置500は、端面に開口1を有する扁平形状(稜線は薄型箱形状)のハウジング3を有する。ハウジング3は、ノートPCの筐体等の取付体に対して収容固定が容易となるように扁平形状で形成される。ハウジング3は、互いに積層する下部ケース5および上部ケース7により形成される。ハウジング3には光ディスクを搭載可能なトレイ9が設けられ、トレイ9はハウジング3の端面に設けられた開口1から挿抜自在となっている。なお、光ディスクは、トレイ9に直接載置されているのではなく、後述するスピンドルモータ95の回転軸に取り付けられたターンテーブルに載置され、トレイ9自体には接触していない。
下部ケース5は、平面略L字状の底部5a(図13参照)と、奥壁部5b(図13参照)と、一対の側壁部5c,5d(図13参照)とからなる。上部ケース7は、平面略矩形形状の天板7aとからなり、奥壁部5bおよび側壁部5c,5dに被さる。下部ケース5は、蓋体を構成する一方で、一端面に上記の開口1が形成される。下部ケース5の底部5aが、比較的大面積の切欠部6(図13参照)によって平面略L宇状に形成されるのは、後述のピックアップモジュール57(図23参照)の平面輪郭に対応して切り欠いた結果の形状であり、トレイ9を下部ケース5側に極限まで落とし込むためのものである。
下部ケース5と上部ケース7とには、両部材を相互に係合するための係合手段11が設けられている。図3,図4に示すように、係合手段11は、下部ケース5および上部ケース7のうちの一方(本実施の形態では上部ケース7)に設けられた突出部13と、下部ケース5および上部ケース7のうちの他方(本実施の形態では下部ケース5)に設けられて突出部13が係合される係合部15とからなる。突出部13は、天板7aから立ち上がり(垂下し)、トレイ9の挿抜方向における手前向き又は奥向き(本実施の形態では手前向き)に突出される。
ハウジング3は、突出部13および係合部15が互いに係合した状態で、下部ケース5および上部ケース7のうちの一方(本実施の形態では上部ケース7)を貫通するとともに、下部ケース5および上部ケース7のうちの他方(本実施の形態では下部ケース5)に螺合される固定ビス17を備える。そして、ハウジング3にトレイ9が収納された状態における光ディスクの回転軸線19を通過し、かつトレイ9の挿抜方向に対して直交する線よりも手前側において、突出部13および係合部15の係合個所と、固定ビス17とが隣接している。つまり、下部ケース5と上部ケース7とは、突出部13と係合部15とを、仮係合状態(段差積層)とし、次いで、上部ケース7を手前側(図4の矢印21方向)へスライドし、本係合とした後、固定ビス17で本固定される。
なお、段差積層とは、下部ケース5および上部ケース7が積層しているが突出部13および係合部15が係合していない状態、すなわち下部ケース5の投影形状および上部ケース7の投影形状が面方向に沿って若干ずれた状態であり、下部ケース5および上部ケース7が互いに厚み方向に離反可能な状態を指す。
上記の構成による係合手段11では、係合部15に対して突出部13を係合動作(例えば、落とした後スライド)することで、突出部13と係合部15とが係合状態となり、これら突出部13および係合部15を介して係合状態となった上部ケース7と下部ケース5とが、この係合部15に隣接する位置で固定ビス17によって螺着されることで、係合動作(すなわち、スライド)が規制され、係合解除が阻止される。したがって、上部ケース7と下部ケース5とが二重に固定されることとなり、固定ビス17の緩みによる上部ケース7と下部ケース5との開き(上部ケース7の浮き上がり)が防止される。また、係合手段11と固定ビス17とが隣接しているので、固定ビス17には緩み抑止力が作用するとともに、係合手段11には係合解除阻止力が作用する所謂相乗効果が得られる。さらに、固定ビス17によってハウジング3の開口1側での上部ケース7と下部ケース5との間が確実に電気的に接続可能となる。
ハウジング3には固定ビス23が平面角部に配置され、固定ビス23は天板7aを貫通して下部ケース5に螺合される。したがって、ハウジング3の辺部中央部のみを固定する場合に比べ、天板7aの平面角部のめくれを防止することができる。また、係合手段11との併用構造において、係合手段11による係合構造を設け難い箇所(すなわち、平面角部)を固定ビス23のみで簡便に固定することができ、かつ、ハウジング3の反開口1側での上部ケース7と下部ケース5との間も確実に電気的に接続可能となる。
さらに、突出部13は、下部ケース5および上部ケース7の積層方向に沿って立ち上り、かつ、トレイ9の挿抜方向に沿って突出する。係合部15は、下部ケース5および上部ケース7のうちの一方と突出部13との間に相対的に挿入可能とされる。そして、突出部13の上部の延長線上に係合部15が配置されるように下部ケース5および上部ケース7が段差積層される仮係合状態から挿抜方向に沿って互いに近付く方向に相対移動させることにより、下部ケース5および上部ケース7が互いの積層方向に沿って離反しないようになっている。
このように構成したハウジング3によれば、突出部13と係合部15とを係合し、下部ケース5および上部ケース7を互いの積層方向に沿って離反しない固定状態にできる。また、係合解除時には、互いに離反する方向に相対移動させることで、突出部13と係合部15とを係合解除し、下部ケース5および上部ケース7を容易に分離することができる。
図5に示すように、上部ケース7は、引掛部25によって下部ケース5に取り付けられる。引掛部25は、下部ケース5の奥壁部5bに、ケース内側へ曲げられて起立した引掛爪25aと、この引掛部25が掛止する上部ケース7に形成された引掛穴25bとからなる。これにより、ハウジング3の奥側における辺部の開きが防止されている。
下部ケース5と上部ケース7とは、一見して4ヶ所の固定ビス17、17、固定ビス23、23のみで固定されているように見えるが、実際には係合部15、引掛部25でも固定されている。これにより、強度が弱い上部ケース7の係合部15、引掛部25は、上部ケース7と下部ケース5との間にかかる上下方向の加重を材料のせん断方向(板厚と垂直方向)で受けられ、かつ、係合部11の突出部13および係合部15が相互係合することにより矢印21(図4参照)の対して直交する方向(厚み方向)に沿ってケース7と下部ケース5とが離反する、いわゆる口開きを防止できるようになっている。
なお、このような光ディスク装置500においては、ハウジング3の開口1側に可動部が多く配置されるため、ハウジング3の開口1側において上部ケース7と下部ケース5とを固定するための固定ビスは可能な限り小径の固定ビスを採用したいという要望がある。
このような要望に対して、本実施の形態における光ディスク装置500は、ハウジング3の開口1側における上部ケース7と下部ケース5とが係合部11および固定ビス17、17の協働により固定されているため、トレイ9のベゼル27側から見て後端側2ヶ所に単独で採用された固定ビス23,23に比較して小径の固定ビス17,17を採用できる。
また、固定ビス17、17の頭高及び径は、上部ケース7の補強リブ7bの高さR及び幅Sの範囲内に納めている。
ベゼル側に近い方の固定は、係合部11,11によっても行われるが、これだけでは上部ケース7の突出部13と下部ケース5との間の接触が弱く、ベゼル側部分の上部ケース7と下部ケース5との電気的導通状態が完全に保たれない。このような場合、電気的に導通していない部分がアンテナとなり、不要輻射が発生する原因となる。本実施の形態の構造では、ベゼル側に近い方の2ヶ所を、係合部11,11と固定ビス17、17とで固定することにより、上部ケース7と下部ケース5との電気的な接触も確実なものとしている。
このことにより、上部ケース7と下部ケース5とは、固定ビス17、23により四隅を確実に電気的に接触させ、不要輻射防止を行っている。
また、下部ケース5の奥壁部5bにおける引掛部25では、ハウジング3の後面部において、上部ケース7と下部ケース5との間にかかる上下加重を、上部ケース7の引掛穴25bにより、板厚と垂直方向に受けるように構成されている。ハウジング3の側面部および後面部が以上のような構成となることで、組立時にはまず上部ケース7のベゼル側部両側面に設けられた突出部13を、下部ケース5の係合部15に挿入し、上部ケース7全体をベゼル側へスライドさせる。後面部の少なくとも一箇所に、図5のような引掛部25を設ければ、上部ケース7の奥壁部5bにおける中央部が下部ケース5から離反する、いわゆる口開きを防止できる。
本実施の形態による光ディスク装置500によれば、ハウジング3にトレイ9が収納された状態における光ディスクの回転軸線19を通過し、かつトレイ9の挿抜方向に対して直交する線よりも方向手前側において、突出部13および係合部15の係合個所と、固定ビス17とが隣接しているので、突出部13および係合部15を介して係合状態となった上部ケース7と下部ケース5とが、係合部15に隣接する位置で固定ビス17によって螺着されることで、係合手段11の係合解除が阻止される。したがって、上部ケース7と下部ケース5とが二重に固定されることとなり、固定ビス17の緩みによる上部ケース7と下部ケース5との開きを防止することができる。また、係合手段11と固定ビス17とが隣接しているので、固定ビス17には緩み抑止力が作用するとともに、係合手段11には係合解除阻止力が作用する所謂相乗効果を得ることができる。この結果、上部ケース7と下部ケース11とを高剛性で組付けでき、ハウジング3を薄型化できる。さらに、固定ビス17によって上部ケース7と下部ケース5との間に信頼性の高いアース作用も得ることができる。
図8は上部ケースの凹み範囲を表す平面図、図9は上部ケースの凹み範囲を表す断面図、図10はトレイ平面視を(a)、そのA−A断面視を(b)に表したトレイ構成図、図11は光ディスクの搭載されたトレイ平面視を(a)、そのB−B断面視を(b)に表したトレイ構成図、図12は図10のC−C矢視を(a)、D−D矢視を(b)、E−E矢視を(c)に表したハウジング側面図である。
下部ケース5に上部ケース7を固定したハウジング3は、開口1を有する袋状に構成され、トレイ9を収納した状態では開口1がベゼル27にて塞がる。
上部ケース7は、軽量な金属材料を含む板材或いは薄板材で構成されており、軽量な金属材料として、アルミ,アルミ合金, マグネシウム合金,チタン,チタン合金などが好適に用いられ、それら材料の少なくとも一つで構成された板材を加工して構成される。また、上記軽量な金属材料で構成された板材を互いに接合して多層構造としても良い。例えば、アルミの薄板とアルミ合金の薄板を接合して構成しても良いし、アルミの薄板と他の金属材料を主成分とする薄板を複数枚積層して構成しても良い。さらに、樹脂シート或いは樹脂板の両主面上にニッケルやニッケル合金で構成された薄板を貼り付けた(メッキ処理を含む)複合軽量板を用いても良い。
光ディスク29(図9参照)と上部ケース7の間隔は薄型化を行う場合、例えば0.5mmから2mm程度に構成される。光ディスク29は、高速時には5000RPM以上で回転する。このときに光ディスク29と上部ケース7にはさまれた空隙における空気のレイノルズ数を求めると、
Re=V・L/νとなる。
Reはレイノルズ数、Vは流速、Lは代表長さ、νは動粘性係数である。
光ディスク29の直径は12cmであり、回転数を5400RPM、代表長さを光ディスク29と上部ケース7の1 /2、νは空気として0.15[cm2/秒]で光ディスク外周でのレイノルズ数を求めると、
Re=(12×π×5400/60)・(0.025〜0.1)/0.15
=565〜2262
となる。
レイノルズ数が3000以下の場合は、層流になることが一般に知られている。よってこの場合は層流状態で空気が高速で移動していることになり、光ディスクと上カバーの間には強い吸引力が発生することになる。
上部ケース7は、光ディスク29の回転により負圧がかかり、装置内部へ凹む力が働く。一方、軽量化のために、上部ケース7は、薄厚となって、比較的機械的強度が低下する。そこで、この負圧に対抗するためには、上部ケース7の剛性を高めるために光ディスク中心に対向する部分を、周辺部分よりも予め凹ませる構造を取るのが良い。しかし、光ディスク29は、必ずと言ってよいほど反りを有しており、上部ケース7の底面部があまりにも光ディスク29に近いと接触する可能性がある。
例えば、「光ディスク29の中心に対してディスク外縁部の反りが±0.55mmまで対応すること」という要求仕様があるとする。この場合、本来光ディスク29が平面であると仮定した場合を基準面とすると、ディスク外縁部において基準面より0.55mmだけ上にずれた点と光ディスク中心とを結ぶ線よりも上部ケース7の底面部が上にあれば良いことになる。また、上部ケース7に上からの加重がかかることを想定すれば、上部ケース7にはできるだけ多くの凹凸があるほうがより強度が増す。
そこで、本実施の形態では、図8に示すように、上部ケース7が、光ディスク29の回転軸線19に沿った線を中心として周方向に連続するとともに同心配置された複数の凹凸部31を有している。凹凸部31は、光ディスク29に接近する方向に凹んだ例えば断面方形状の凹部31a,31b,31cと、光ディスク29から離反する方向に突出した例えば断面方形状の凸部31d,31eとからなる。凹凸部31の各凹部31a,31b,31c、凸部31d,31eは、異なる段差寸法を有する。また、各凹凸部31のうち、内周側凹凸部31Aの段差寸法が外周側凹凸部31Bの段差寸法以上に設定されている。より具体的に、内周側凹凸部31Aの範囲は、図8,図9に示すように、φ120の光ディスク29の場合、光ディスク29の中央部であるおおよそφ80の円より内側で形成される。
このような構成を有するハウジング3は、上部ケース7に比較的薄厚の板材が使用される場合であっても、上部ケース7の機械的強度が高まることから、光ディスク29の回転に伴って負圧が発生しても、上部ケース7にねじれや陥没変形が起こり難くなる。これにより、上部ケース7と光ディスク29との接触や、接触による光ディスク29の破損等が防止され、薄厚、軽量、かつ変形の生じ難いハウジング3が得られる。また、内周側凹凸部31Aの段差寸法が外周側凹凸部31Bの段差寸法以上となることで、上部ケース7が機械的強度の得易いアーク形状に形成可能となる。
装置の内側に光ディスク29の回転に伴って負圧力が発生しても、アーク形状を設けていることで、装置内側方向に力を受けても容易には上部ケース7はくぼむなどの変形を起こすことはない。また、アーク形状の形成面積は、φ120の光ディスク投影面積に対して、すなわち外周側凹凸部31Bよりも内側の面積と光ディスク投影面積との比率は50%〜100%とすることが好ましい。50%より小さいと、上部ケース7に所望の剛性を持たせることが困難であり、100%より大きいと、上部ケース7において、アーク形状を形成しても十分な効果が得られない。本実施の形態では、アーク形状の輪郭を円形状としたが、四角形状でも三角形状でも、或いは楕円形状でも良く、或いは五角形以上の多角形状としても良い。さらに、凹凸部31の断面形状は、方形状以外に、半円形状などの形状にしても良い。また、これら形状の組み合わせでもよい。
そして、内周側凹凸部31Aがハウジング3の内側に向かって突設されることで、凸部31eがハウジング3の外側へ突出しなくなり、ハウジング3の厚みを増大させることがない。したがって、ハウジングの薄厚化を確保しながらハウジング3の剛性を高めることができる。
一方、外周側凹凸部31Bは、光ディスク29から離反する方向に向かって突設してもよい。外周側凹凸部31Bを外側に向かって突設させることで、内周側凹凸部31Aの外周側と光ディスク29の外周側の間隙が増大され、回転に伴って生じた負圧により変形し易い光ディスク29の外周側が上部ケース7の外周側に接触し難くなる。また、この間隙が確保されることにより、光ディスク29の反りに起因する接触や、光ディスク29の不正規保持による接触も生じ難くすることができる。なお、外周側凹凸部31Bは外側に向かって突設するが、凸部31aの先端はハウジング3より外方へ突出しない状態でハウジング3の厚み内に配置する。これにより、ハウジング3の薄厚化、上部ケース7の剛性向上、光ディスク接触の回避を同時に実現することができる。
また、図10に示すように、トレイ9は、光ディスク29に向かう対向面33が、光ディスク29における内周側に対する離間寸法よりも外周側に対する離間寸法が大きく形成されている。より具体的には、対向面33は、約φ123で形成され、図10,図11に示すように、中心側からφ93までのトレイ高さが高く形成されている。そして、トレイ高さの高い範囲(本実施の形態ではφ93mm)の円から所定の範囲(本実施の形態ではφ102mm)までが、光ディスク29から離反する方向の勾配となったなだらかな傾斜35に形成されている。
ところで、ハウジング3を薄厚化しても、光ディスク29に対するトレイ9の間隙寸法(GAP)を既存機種と同等に確保したいという要望がある。このような要望を満たすために、トレイ9の肉厚を薄くすることが考えられるが、この場合、トレイ9の剛性(強度)が充分に確保できないため、ハウジング3に対する挿抜時にトレイ9が変形し、操作性悪化、トレイ損傷を招く虞がある。
これに対して、前述したトレイ9は、中心側が高く、換言すれば肉厚に形成されているため、充分な剛性(強度)を確保できる。
また、トレイ9の、光ディスク外周側に対向する面を、内周側に対向する面より大きく離間させたので、光ディスク外周側とトレイ9との間隙が増大され、回転に伴って生じた負圧により変形し易い光ディスク29の外周側がトレイ9に接触し難くなる。また、この間隙が増大されることにより、光ディスク29の反りに起因する接触や、光ディスク29の不正規保持による接触も生じ難くすることができる。
本実施の形態による光ディスク装置500によれば、上部ケース7が、光ディスク29の回転軸線19に沿った線を中心として周方向に連続するとともに同心配置された複数の凹凸部31を有し、各凹凸部31が異なる段差寸法を有するとともに、各凹凸部31のうち、内周側凹凸部31Aの段差寸法が外周側凹凸部31Bの段差寸法以上であるので、上部ケース7に比較的薄厚の板材が使用される場合であっても、上部ケース7の機械的強度を得ることができ、光ディスク29の回転に伴って負圧が発生しても、上部ケース7にねじれや陥没変形を起こり難くできる。これにより、上部ケース7と光ディスク29との接触や、接触による光ディスク29の破損などを防止できる。この結果、軽量かつ変形の生じ難い薄型のハウジング3を得ることができる。また、内周側凹凸部31Aの段差寸法を外周側凹凸部31Bの段差寸法以上とすることで、上部ケース7を機械的強度の得易いアーク形状に形成することができ、これによっても、ハウジング3を薄型化できる。
なお、下部ケース5に上部ケース7の取り付けられたハウジング3は、ノートPCの筐体等の取付体に固定される。下部ケース5には、この取付体に挿通された不図示の固定ビスを螺合させる複数の雌ネジ37a〜37hが、図12(a)に示す側壁部5c、図12(b)に示す奥壁部5b、図12(c)に示す側壁部5dに形成されている。
図13はガイド手段を介してトレイが前進状態となったハウジングの斜視図、図14はPUM機構構成部とイジェクト機構構成部を表すトレイ前進状態の斜視図、図15はレール部を表す図10のF−F断面図、図16は図15に示したレールの拡大斜視図、図17はレール部前端面の拡大斜視を(a)、その要部断面視を(b)に示したガイド手段構成図、図18はレール・トレイ間における左側レールストッパ部の拡大斜視図、図19はレール・トレイ間における右側レールストッパ部の拡大斜視図、図20は下部ケース・レール間における左側レールストッパ部の拡大斜視図、図21は下部ケース・レール間における右側レールストッパ部の拡大斜視図である。
トレイ9は、ハウジング3に対して後述のガイド手段によって挿抜自在となる。トレイ9は、例えば樹脂材材料からなり、裏側にトレイカバー41(図24参照)が取り付けられる。トレイ9の挿抜方向奥側には切欠43が形成され、切欠43はメイン基板45の電子部品47に対応した結果の形状となっている。つまり、トレイ9は、後退時、切欠43によって電子部品47との干渉が回避される。これにより、トレイ9を下部ケース5側に極限まで落とし込め、切欠43に相当するトレイ9の板厚分、トレイ9とメイン基板45とが近接配置可能となり、ハウジング3の薄厚化が達成されている。
トレイ9には、光ディスク29に対向する搭載面(対向面33)に一対のリブ49,51(図10参照)が設けられ、リブ49,51は光ディスク29の回転軸線19を通過し、かつトレイ9の挿抜方向に対して直交する両端部(図13のG部およびH部)において挿抜方向に沿って光ディスク29の外径に略近接するR形状にて形成されている。トレイ9は、リブ49,51を設けることで、トレイ強度を向上させることができる。一般的に、光ディスク29の外形に対して最小形状でトレイ9が形成される場合、トレイ9の挿抜方向に直交するトレイ幅(ベゼル27の長手方向の長さ)は、光ディスク29の直径距離と略近接することとなる。また、この近接部(図13のG部およびH部)は、従来、光ディスク取り出し用の指掛け部位としても利用されていた。したがって、従来より光ディスク装置を薄型化する場合、両端部G,Hは、応力が集中する一方で、側壁等が設けられず、光ディスク29と平行な底板のみからなることでトレイが大きく低強度化する。これに対し、本構成によれば、後述する光ディスク29の指掛穴53の構成により上記の両端部G,Hに、トレイ挿抜方向に沿うリブ49,51をそれぞれ設けることで、トレイ9が肉薄であってもトレイ強度を向上させることができる。
また、トレイ9における光ディスクに向かう対向面33には貫通孔53が形成され、貫通孔53は光ディスク29の平面輪郭に対して一部重複する位置に配置されている。トレイ9は、光ディスク29が搭載された場合、貫通孔53が光ディスク29の平面輪郭29aに一部重複して形成されているので、この貫通孔53に指を挿入することで、搭載光ディスク29の下面側に対する指掛けが可能となり、光ディスク29の取り出しが容易となる。特に、従来利用されていた近接部G,Hに、トレイ強度向上のための補強用のリブ49,51が設けられた場合には、従来通りの取り出しが行い難くなるので、貫通孔53を利用した光ディスク29の取り出しが極めて有効となる。
ベゼル27側から見てトレイ9の手前右角部の下部(図14のJ部)には、イジェクト機構55(図23参照)の構成部が配置される。ベゼル27側見てトレイ9の手前左角部(図14のI部)には、ピックアップモジュール(PUM)57(図23参照)の機構構成部(ピックアップ97を光ディスク29の径方向に移動せしめる駆動装置等)を配置している。
トレイ9は、光ディスク29の付け外し時に、装着された光ディスク29の後端部が上部ケース7へ接触しないよう、ハウジング3から引き出されていなければならない。これのみならず、光ディスク装置500は例えばノートPCの筐体等の取付体に組み込まれて使用されることを前提としているため、トレイ9に装着された光ディスク29の後端部が上部ケース7の開口端よりも少なくとも、(ベゼル27厚)+(トレイ収納時のベゼル後端と上部ケース7の開口端との間の距離)以上だけ手前に引き出されることが望ましい。これにより、トレイ9に装着された光ディスク29の後端部が、ノートPCの筐体等の取付体開口部に接触することが低減される。
ハウジング3にはガイド手段59を介してトレイ9が取り付けられ、ガイド手段59はトレイ9の案内、すなわち、開口1からの挿抜を可能としている。図15に示すように、ガイド手段59は、左右一対のレール61と、外側レールガイド63と、内側レールガイド65(図17参照)とからなる。レール61は、図16に示すように、ウェブ61aおよび一対のフランジ61b,61cにより断面略C字状に形成され、かつ、断面開口61dがトレイ9に対向するようにトレイ9の挿抜方向に沿って配置されている。外側レールガイド63は、ハウジング3の下部ケース5の一部として設けられ、レール61の長手方向に沿うとともにウェブ61aおよび各フランジ61b,61cを覆う。内側レールガイド65は、断面略T字状に形成されているとともにトレイ9に設けられ、レール61の長手方向に沿うとともに各フランジ61b,61c間に収容される。
図17(b)にも示すように、外側レールガイド63は、その内側に断面略C字状の摺動部材87が配置され、レール61のフランジ61cの端面を覆う立上部67が設けられている。これにより、下部ケース5の剛性(強度)を向上できるとともに、レール61が撓むことによりレール61が下部ケース5から外れることを防止できる。
また、レール61の各フランジ61b,61cには、ウェブ61aと協働して内側レールガイド65を挟持する折曲部69、69が設けられている。これにより、ハウジング3から引き出されたトレイ9に荷重が加わった場合、レール61が撓むことによりトレイ9の内側レールガイド65からレール61が外れることを防止できる。
なお、立上部67と折曲部69とは、何れか一方が設けられても良く、本実施の形態のように双方が設けられても良い。
このように、ハウジング3に設けられた外側レールガイド63の、内側レールガイドフランジを覆う部分に、さらにフランジ61cの端面を覆う立上部67が設けられることで、外側レールガイド63が断面略G字状となり、レール61は、外側レールガイド63の内側に収容された状態で、トレイ挿抜方向に直交する面上でのXY方向の移動が規制される。
したがって、外側レールガイド63がレール61を抱え込んで、レール61の脱落が防止されることとなる。
また、内側レールガイド65を上下から挟持する、一対のレールフランジ61b,61cにそれぞれ折曲部69、69が設けられることで、内側レールガイド65は、上下が一対のフランジ61b,61c、左右がウェブ61aと折曲部69、69によって挟持され、レール61の内側に収容された状態で、トレイ挿抜方向に直交する面上でのXY方向の移動が規制される。したがって、レール61が内側レールガイド65を抱え込んで、内側レールガイド65、すなわち、内側レールガイド65が一体に固定されたトレイ9の脱落が防止される。
そして、本実施の形態のように、立上部67と折曲部69、69の双方が設けられれば、外側レールガイド63がレール61を脱落不能に保持するとともに、レール61が内側レールガイド65を脱落不能に保持し、結局、ハウジング3に対し、トレイ9が挿抜方向に移動自在かつ脱落不能に保持されることとなる。
図18,図19に示すように、レール61とトレイ9との間には、レール61およびトレイ9に形成した内側レールガイド65が挿抜方向に沿って相対的に離反する方向に移動したときに、相対位置を規制するための内側規制手段71が同図のM部、N部に備えられている。内側規制手段71は、レール61に設けられて挿抜方向に沿った奥行側を向く第1当接面73と、内側レールガイド65に設けられて挿抜方向に沿った手前側を向く第2当接面75とを有する。第2当接面75は、光ディスク29の回転軸線19に沿い、かつトレイ9の挿抜方向に対して直交する面77よりも挿抜方向に沿った手前側に形成されている。
この内側規制手段71によれば、レール61に設けられた第1当接面73が、光ディスク29の回転軸線19に沿い、かつトレイ9の挿抜方向に対して直交する面77よりも挿抜方向に沿った手前側に配置されるので、トレイ9の進退動作に伴い内側レールガイド65とレール61とが相対移動しても、規制手段を構成する第1当接面73に光ディスク29の直径方向両端である縁部29b,29b(図14参照)が接触する虞れがない。これにより、ガイド手段59の進退規制手段である第1当接面73に光ディスク29が接触する損傷を防止できる。
また、図20,図21に示すように、レール61と外側レールガイド63との間には、レール61および外側レールガイド63が挿抜方向に沿って相対的に離反する方向に移動したときに、相対位置を規制するための外側規制手段79が同図のP部、Q部に備えられている。外側規制手段79は、レール61に設けられて挿抜方向に沿った手前側を向く第1当接面81と、下部ケース5の一部である外側レールガイド63に設けられて挿抜方向に沿った奥行側を向く第2当接面83とを有する。この第2当接面83および第2当接面83は交差当接する。
なお、本実施の形態では、第1当接面81および第2当接面83が互いに交差当接するように配置されているが、第1当接面81および第2当接面83が互いに水平に当接するように配置してもよい。
この外側規制手段79によれば、ハウジング3側に固定される外側レールガイド63に対し、レール61が前進することで、外側レールガイド63に設けられた第2当接面83に、レール61に設けられた第1当接面81が当接し、レール61のそれ以上の前進が規制される。この際、第2当接面83と第1当接面81とが交差当接するようになっている。例えば、第2当接面83が外側レールガイド63に形成された水平当接端面からなり、第1当接面81がレール61に形成された垂直当接端面からなる。これにより、第1、第2当接面81,83同士は、十字方向で交差当接することとなり、外側レールガイド63とレール61とが変形等により、上下方向に相対変位したり、左右方向に相対変位(例えば切欠部6を設けることでコ字状となった下部ケース底部5aの剛性低下による左右一対の外側レールガイドに開きが発生)しても、当接状態を維持し続けることができ、レール61が外側レールガイド63から脱落することを防止できる。
また、ガイド手段59には、トレイ9に形成した内側レールガイド65における挿抜方向先端部にレール61のフランジ61bに対して弾性的に圧接する弾性圧接部85が設けられているとともに、内側レールガイド65の長手方向に沿うスリット85aが設けられている(図15も参照)。この弾性圧接部85が設けられることで、トレイ9が後退すると、トレイ9と一体となった内側レールガイド65がレール61内へと後退し、最終的に、内側レールガイド65の先端部に設けられた弾性圧接部85が、スリット85aを狭めながらレールフランジ61bとの間に圧入されることとなる。これにより、トレイ収納時には、内側レールガイド65とレール61とがスリット85aが狭められることにより発生した弾性により弾性圧接部85を介して圧接状態となり、レール61と内側レールガイド65との間にガタが生じなくなる。
さらに、ガイド手段59は、外側レールガイド63における挿抜方向に沿った先端部に形成されてレール61が摺動する摺動部材87(図15、17参照)を有する。レール61には、挿抜方向先端部から摺動部材87に向かって隆起する隆起部89が設けられている。この隆起部89を設けることで、トレイ9が後退して収納状態となると、レール61が外側レールガイド63内へと後退し、最終的に、レール61の隆起部89が、外側レールガイド63の摺動部材87に圧接し(図17参照)、外側レールガイド63内へ圧入されることとなる。なお、外側レールガイド63の摺動部材87と、下部ケース5との間は摺動部材87の撓み代として間隙寸法(GAP)Xが形成されおり、圧接抵抗(トレイ9の挿入抵抗)を軽減している。すなわち、トレイ9と外側レールガイド63とがこの摺動部材87と隆起部89にて圧接状態となり、レール61と外側レールガイド63との間にガタが生じなくなる。これにより、上記の構成と相まって、トレイ収納時には、レール61の先端部が、内側レールガイド65と外側レールガイド63との間に圧入され、トレイ9のガタツキを抑止することができる。
本実施の形態による光ディスク装置500によれば、ハウジング3に対してトレイ9を案内するためのガイド手段59が、レール61と、外側レールガイド63と、内側レールガイド65とを有し、外側レールガイド63に設けられて各フランジ61b,61cのうち一方の端面を覆う立上部67と、各フランジ61b,61cのうち一方に設けられてウェブ61aと協働して内側レールガイド65を挟持する折曲部69とのうちの一方が設けられているので、ハウジング3に設けられた外側レールガイド63の、内側レールガイドフランジを覆う部分に、さらにフランジ61bの端面を覆う立上部67が設けられると、外側レールガイド63を抱え込んで、レール61は、外側レールガイド63の内側に収容された状態で、トレイ挿抜方向に直交する面上でのXY方向の移動が規制され、脱落が防止される。
また、内側レールガイド65を上下から挟持する、一対のレールフランジ61b,61cに折曲部69、69が設けられると、レール61が内側レールガイド65を抱え込んで、内側レールガイド65は、上下が一対のフランジ61b,61c、左右がウェブ61aと折曲部69、69によって挟持され、レール61の内側に収容された状態で、トレイ挿抜方向に直交する面上でのXY方向の移動が規制され、脱落が防止される。この結果、ハウジング3の変形等の影響を受けることなく、トレイ9を挿抜方向に移動自在かつ脱落不能に保持でき、ハウジング3のさらなる薄厚化を可能にすることができる。
図22はトレイ前進状態の下部ケースの斜視図、図23はトレイカバーの取り外されたトレイを下面側から視た斜視図、図24はトレイカバーを下面側から視た斜視図、図25はフレキシブルケーブルの折り曲げ前における平面図、図26は組付け状態のトレイ閉時におけるフレキシブルケーブルの斜視図、図27は組付け状態のトレイ開時におけるフレキシブルケーブルの斜視図、図28はフレキシブルケーブルのトレイ閉時における組付け状態を表す斜視図、図29はフレキシブルケーブルのトレイ開時における組付け状態を表す斜視図、図30はロックシャフト回避部を表したトレイの斜視図、図31はトレイ収納状態におけるフレキシブルケーブルの平面視を(a)、そのK−K断面視を(b)に表した構成図、図32はフレキシブルケーブルの両面テープ貼着領域を表す平面図である。
図22に示すように、下部ケース5の底部5aには電子部品47等を実装したメイン基板45が取り付けられ、メイン基板45はフレキシブルケーブル91を介してトレイ9に設けられた中継基板45a(図23参照)に接続され、この中継基板45aに対してピックアップモジュール57、イジェクト機構55、スピンドルモータ等が電気的に接続される。
図23に示すように、中継基板45a、ピックアップモジュール57、イジェクト機構55は、トレイ9の下面側に設けられ、図24に示すトレイカバー41によって覆われる。トレイカバー41は、トレイ9内部の中継基板45a、ピックアップモジュール57、イジェクト機構55およびその他の部品を保護する役割を持つ。このトレイカバー41は、後述するように、フレキシブルケーブル91に対向する部位が、薄型化のスペース確保のために、3段階構造となっている。
ピックアップモジュール57には、光ディスク29を回転させるキャリッジ97が移動自在に保持されている。99はキャリッジ97を移動させる駆動力を発生させる駆動手段で、送りモータによって移動される。キャリッジ97には、光源や各種光学部品、レンズなどが搭載され、光ディスク29に対して情報の記録か再生の少なくとも一方を行う光学装置が搭載されている。101はピックアップモジュール57の光ディスク29との対向部を覆うように設けられたピックアップカバーである。
図25に示すように、フレキシブルケーブル91は、一対の直線部103,105と、各直線部103,105を連結する線対称な略2分の1円弧状の連結部107とを有する略U字状に形成されている。フレキシブルケーブル91は、ハウジング3への組み込みに際し、対称線109を境界として連結部107が折り曲げ部107aを有する略4分の1円弧状に折り返されることにより図26、図27に示すように、各直線部103,105が積層される。
各直線部103,105のうちのいずれか、あるいは双方に粘着層が設けられていてもよい。これによれば各直線部103,105の積層状態を確実に維持できる。
そして、フレキシブルケーブル91は、対称線109を境界として直線部103,105同士が積層することにより同じ信号線が重なるように折り重ねられ、下層の直線部103の接続部103aがメイン基板45に接続され、連結部107に向かって折り曲げ部107bを介して折り返された上層の直線部105の接続部105aが中継基板45aに接続され、次いでピックアップモジュール57に接続される。
なお、このフレキシブルケーブル91は、下層の直線部103が両面テープ等により下部ケース5に接着されている。
フレキシブルケーブル91は、各直線部103,105のうちのトレイ9に摺接する上側直線部105に対応して対称線109から連結部107の片側に設けられた鍔部111が図28に示すように、下部ケース5に接着されている。鍔部111は、接着手段である図32に示す両面テープ113aによって下部ケース5に接着される。また、連結部107も同様の両面テープ113bによって接合することができる。
このケーブル接続構造において、トレイ9の前進によって上層の直線部105の接続部105aが、図28から図29に示す状態のように、連結部107上を移動しても、連結部107の折り曲げ部107aが、上層の直線部105の下層に重ならず(すなわち、図29に示すように、連結部107の折曲線109が上層の直線部105と重ならずに外れて配置され)、フレキシブルケーブル91が薄厚の積層構造のままで展開伸縮可能となっている。
このようなフレキシブルケーブル91の固定構造によれば、対称線109を境界として折り返された連結部107のうち、上側の直線部105における連結部107に設けられた鍔部111が下部ケース5に接着されていることで、折り返されることで生じる弾性復元力により膨らもうとする折曲線部分が、鍔部111を介して下部ケース5に固定された上側直線部105の連結部107によって拘束され、折曲線部分の膨らみが防止される。これにより、フレキシブルケーブル91の取付け強度を向上させ、かつハウジング3を薄型化している。
また、鍔部111は銅箔(回路パターン)が設けられていないため、直線部103,105に比較して薄く、連結部107の端面より薄い個所で下部ケース5に貼り付けられている。これにより、ハウジング3に対するトレイ9の挿抜に伴って、トレイカバー41とフレキシブルケーブル91とが接触しても、下部ケース5からフレキシブルケーブル91が剥離する危険性を低くできる。
ところで、トレイカバー41には、下部ケース5に対向する下面のフレキシブルケーブル91に対応する範囲に、図31(b)に示す段階的に離反する段差部115が設けられている。このように、トレイ裏側のトレイカバー41が階段形状に形成されるので、トレイ9の進退に追従するフレキシブルケーブル91の追従性を阻害することなくハウジング3を薄型化できる。すなわち、下部ケース5の底部5aには薄厚化を極限まで可能にするための切欠部6が設けられる。この切欠部6近傍の下部ケース底部5aにはフレキシブルケーブル91が貼着されることで、トレイカバー41の下方における構造は、図31(b)に示した直線部103,105と底部5aとの三層構造部位、鍔部111と底部5aとの二層構造部位、切欠部6となった開放部位の3種となる。
これら各部位毎に応じた段差部115a,115b,115cをトレイカバー41に段階的に形成することで、トレイ9の進退に追従可能なフレキシブルケーブル91の収容構造を、トレイ9下部のスペースを最大化しつつ、ハウジング3を薄型化している。
なお、図28に示すように、フレキシブルケーブル91は、折り曲げ部107aを係合ピン117の直後(挿抜方向奥側)に配置することで、最大長が確保されている。また、図30に示すように、トレイ9にはノッチ部123が形成され、このノッチ部123によって、トレイ9の進退時、係合ピン117との干渉が回避されているのと同時に折り曲げ部107aとの干渉も回避されている。
また、ハウジング3には、トレイ9を収納した状態を維持するために、ハウジング3に設けられた図30に示す係合ピン117と、トレイ9に設けられて係合ピン117に係合可能な係合フック119とを有する収納維持手段121を備えている。そして、折り曲げ部107aは、係合ピン117よりもトレイ9の挿抜方向に沿った奥行側に配置されている。折り曲げ部107aと係合ピン117とをこのような位置関係に配置することで、折り曲げ部107aと係合ピン117との積層方向での相互干渉を防止できる。これにより、ハウジング3の薄型化を可能としている。
また、図31に示すように、フレキシブルケーブル91は、ハウジング3にトレイ9が収納された状態において、連結部107に向かって一方の直線部105が折り返された折り曲げ部107bがトレイ9に搭載された光ディスク29の平面輪郭29aの外側に配置されている。折り曲げ部107bは、ハウジング3にトレイ9が引き出されるに従って、その折り曲げ位置を外側に変化させながらトレイ9に追従する。すなわち、下層の直線部105は、全域にわたって折り曲げ部107bとなってから上層の直線部105となる。
これにより、折り曲げ部107bの最大屈曲半径を大きくできるため、直線部105に断線が生じる虞が少なく、かつ、厚みが嵩む折り曲げ部107bが光ディスク29と重なることを防止できる。したがって、トレイ9と下部ケース5との間には、折り曲げ部107aを除いた、一対の直線部103,105が重ねられる二層分の間隙を確保すれば良く、ハウジング3が薄型化されている。
本実施の形態による光ディスク装置500によれば、一対の直線部103,105と、円弧状の連結部107によって略U字状に形成したフレキシブルケーブル91を、対称線109を境界として直線部103,105同士が積層するように折り重ねたので、下層の直線部103の接続部103aがメイン基板45に接続され、連結部107に向かって折り返された上層の直線部105の接続部105aが中継基板に接続される構造において、トレイ9の進退によって上層の直線部105の接続部105aが連結部107上を移動しても、連結部107の折り曲げ部107aが、上層の直線部105の下層に重ならない。この結果、フレキシブルケーブル91を薄厚の積層構造で展開伸縮させることができ、ハウジング3を薄型化できる。
図33はメイン基板の一部分を表出させたトレイの平面図、図34は図33のR−R断面図、図35はメイン基板固定ネジおよび基板ガイドの拡大斜視図、図36は基板ガイド部とその近傍の断面図である。
図33に示すように、メイン基板45は、電子部品47等が実装された表面が、上部ケース7に対面するように下部ケース5に取り付けられる。メイン基板45の表面には図13,図34に示す案内片125が取り付けられ、案内片125はトレイ9の挿抜方向に沿ったメイン基板45の手前側に配置されている。案内片125は、例えばバネ性、導電性の良好な樹脂や金属材料を成形や板金加工(バネ性が必要ない場合は樹脂材料でもよい)することで形成される。この案内片125は、トレイ9の挿抜方向に沿った手前側を向く図35,図36に示す斜面125aを有する。また、斜面125aの頂部125bの高さは、トレイ9と各電子部品とのGAPを一定以上に保つ高さとしている。
メイン基板45は、下部ケース5に固定するために、メイン基板45を貫通して下部ケース5に螺合される取付ビス127を有する。このため、案内片125は、メイン基板45および取付ビス127の頭部127a間に介装される介装部125cを有している。
図35(b)に示すように、案内片125は、頂部125bに対応する裏面に設けられた棒状の廻り止め部129(図35(c)も参照)と、介装部125cの一部を折り曲げることにより設けられた廻り止め部125dとを有している。
一方、メイン基板45には、廻り止め部129に対応する廻り止め孔45bと、廻り止め部125dに対応する廻り止め凹部45cと、案内片125における斜面125aの先端を収容する収容凹部45dとが設けられている。
このような案内片125は、図35(d)に示すように、廻り止め部129を廻り止め孔45bに挿入してメイン基板45に対する相対位置を仮決めした後、廻り止め部129を中心として平面時計回りに回動させることにより廻り止め部125dを廻り止め凹部45cに係合させて位置決めを行う。この際、案内片125における斜面125aの先端は、収容凹部45dに収容される。
このようなメイン基板45の固定構造によれば、案内片125に設けられた介装部125cに挿入した取付ビス127を、メイン基板45を貫通させて下部ケース5に螺合することで、案内片125の取付けと、メイン基板45の下部ケース5への固定とを同時に行え、別途取付作業を不要にし、部品組付作業工程数を少なくすることができる。
特に、廻り止め部129を廻り止め孔45bに挿入してから案内片125を平面時計回りに回動させるという極めて簡単でミスが生じにくい手順で位置決めができ、次いで固定作業を行えるため、組立作業性を飛躍的に向上できる。
このメイン基板45では、案内片125を設けたので、トレイ9の後退時、トレイ後端部に案内片125の斜面125aが当接され、トレイ9が上方に持ち上げられ、トレイ9とメイン基板45との間に所定の間隙GP(図34参照)が確保され、この間隙GPによって電子部品47に干渉しないようにトレイ9が案内される。これにより、トレイ9が極限まで下部ケース5に近接配置(落とし込み)可能となり、レール61にガタがある等、各部材の寸法精度・組付精度が低い場合であっても、安価な製造コストで、ハウジング3の薄型化が可能となっている。
本実施の形態による光ディスク装置500によれば、メイン基板45のトレイ9の挿抜方向に沿った手前側に、各電子部品のうちの最大高さを超える案内片125を設けたので、トレイ9の後退時、トレイ後端部に案内片125の斜面125aを当接して、トレイ9を上方に持ち上げ、電子部品47に干渉しないようにトレイ9を案内することができる。これにより、トレイ9を極限まで下部ケース5に近接配置でき、レール61にガタがある等、各部材の寸法精度・組付精度が低い場合であっても、安価な製造コストで、ハウジング3を薄型化できる。
図37は変形例による上部ケースの設けられたハウジングを右側から視た分解斜視図、図38は変形例による上部ケースの設けられたハウジングを左側から視た分解斜視図、図39は変形例による上部ケースの設けられたハウジングを下側から視た分解斜視図、図40は変形例による上部ケースの設けられたハウジングの係合部を左側から視た分解斜視図、図41は変形例による上部ケースの設けられたハウジングの係合部を右側から視た分解斜視図、図42は変形例による上部ケースの設けられたハウジングの係合部を左下方側から視た分解斜視図である。
上記した実施の形態による光ディスク装置500では、ハウジング3の上部ケース7と下部ケース5とを図1に示すように、左右一対の係合手段11、11で係合させたが、本発明に係る光ディスク装置のハウジングは、変形例として複数箇所の係合手段によって上部ケース7と下部ケース5とを係合するものであってもよい。
図37〜図42に示す変形例に係る光ディスク装置500Aのハウジング3Aでは、係合手段11に加え、他の一対の係合手段11A、11Bによって上部ケース7Aと下部ケース5とが係合される。図40,図42に示す係合手段11Aは、上部ケース7Aに設けられる突出部13Aと、側壁部5cに設けられる引掛部15Aとからなる。図41に示す係合手段11Bは、上部ケース7に設けられる突出部13Bと、側壁部5dに設けられる引掛スリット15Bとからなる。上記の構成による係合手段11A、11Bでは、下部ケース5に形成された引掛部15Aおよび引掛スリット15Bに対し、上部ケース7Aに形成された突出部13Aおよび突出部13Bを係合動作(例えば、落とした後、手前側へスライド)することで、係合手段11、11と同様に、突出部13Aと引掛部15A、および突出部13Bと引掛スリット15Bが係合状態となる。
この変形例による光ディスク装置500Aのハウジング3Aによれば、側壁部5c,5dの手前側に設けた係合手段11、11に加え、側壁部5c,5dの延在方向略中央部にも係合手段11A,11Bを設けたので、フレキシブルケーブル91から受ける反力や、上部ケース7の寸法ばらつきによる上部ケース7Aの辺部中央における浮き上がりを効果的に防止することができる。
また、上記の実施の形態では、上部ケース7に図8に示す同心円状の凹凸部31を形成したが、上部ケースは、本変形例に係る上部ケース7Aのように、直線状の凹凸部31Cを放射状に複数形成し、この凹凸部31Cに連結又は交差される円弧状の凹凸部31Dを同心円状に複数形成するものであってもよい。このような直線状の凹凸部31Cと円弧状の凹凸部31Dとを併設することで、上部ケース7Aの剛性をより高めて、ハウジング3Aの薄型化に寄与させることが可能となる。
なお、上記の実施の形態において、図31(a)に示すように、ピックアップモジュール57を配置するためのピックアップモジュール領域と、フレキシブルケーブル91を配置するためのフレキシブルケーブル領域とは、ハウジング3の厚み方向に沿って重ならない位置に配置されている。これにより、ハウジング3の厚み寸法を小さくでき、ハウジング3の薄型化を達成している。
また、ハウジング3に対するトレイ9の挿抜方向に対して直交する幅方向の一端側にピックアップモジュール領域が配置されているとともに、ハウジング3に対するトレイ9の挿抜方向に対して直交する幅方向の他端側にフレキシブルケーブル領域が配置されている。これにより、トレイ9の挿抜方向に沿ってフレキシブルケーブル91を配置でき、省スペースでトレイ9の挿抜動作に追従してフレキシブルケーブル91の伸縮を可能にしている。
また、図12に示すように、前述した光ディスク装置500は、ノートPCの筐体等の取付体に対してハウジング3を固定するための雌ネジ37a〜37hが側壁部5c、奥壁部5b、側壁部5dに形成されているが、これらの雌ネジ37a〜37hのうち、雌ネジ37b、37gはハウジング3にトレイ9が収容された状態において、トレイ9の挿抜方向に対して直交するとともに光ディスク29の回転軸線19に沿う面77よりも挿抜方向手前側における外側レールガイド63に形成されている。
下部ケース5の切欠部6により内側レールガイド65を補強するものがないため(内側レールガイド65だけが単体で突き出た状態であるため)、内側レールガイド65の撓み強度が低い。このため、ノートPCの筐体等の取付体に対して、撓み強度が低い個所を固定することで強度不足が補完されている。
具体的には、図13に示すように、内側レールガイド65における強度補完したい領域における長手方向中心よりも挿抜方向手前側に雌ネジ37b、37gが形成されている。
これらのような位置に雌ネジ37b、37gが形成されているため、内側レールガイド65単体では強度に上限があるものの、取付体に対して光ディスク装置500が固定された際に所望の強度を確保できる。従って、例えば取付体に対して固定された光ディスク装置500のハウジング3から引き出されたトレイ9に対して、使用者が厚み方向に負荷を加えた場合(誤操作や光ディスク脱着時)にも破損等が生じにくい耐力が得られる。
さらに、図11に示すように、雌ネジ37a〜37h(ネジ長さ部を含む)は、ハウジング3にトレイ9が収容された状態で光ディスク29の平面投影領域範囲内に設けられていない。
これにより、雌ネジ37a〜37hに螺合される固定ビスを配置できるため、光ディスク装置500の薄型化が可能となっている。
図43は下部ケースへのメイン基板の取付け状況を表す分解斜視図である。
また、光ディスク装置500では、メイン基板45は片面実装され、裏面が熱伝導性シート131を介して下部ケース5に取り付けられている。これにより、薄型化と、薄型で不利となる放熱性の向上とが同時に達成されている。
また、図52、53に示す上部ケース70a、70bも本発明に含まれるものである。
すなわち、図52に示す上部ケース70aは、光ディスクの回転軸線19に沿った線を中心として周方向に連続するとともに同心配置された凹凸部310A、310Bを有している。凹凸部310bの凸部31eは回転軸線19を中心とする放射線に沿うとともに、回転軸線19を中心とする周方向に沿って等間隔で放射状に形成されている。
このような上部ケース70aにおいても、凹凸部310の各凹部310a,310b、凸部310d,310eは、異なる段差寸法を有し、内周側凹凸部310Aの段差寸法が外周側凹凸部310Bの段差寸法以上に設定されている。
次に、図53に示す上部ケース70bは、光ディスクの回転軸線19に沿った線を中心として周方向に連続するとともに同心配置された凹凸部410A、410Bを有している。この上部ケース70bにおいて、外周側凹凸部410Bは、回転軸線19を中心とする放射部410fを介して凸部410aが部分的に凹部410cに隣接している。
また、三種類の平面形状を有する凸部410e、410gが回転軸線19を中心とする周方向に沿って所望の規則性を有する等間隔で放射状に形成されている。
このような上部ケース70bにおいても、凹凸部410の各凹部410b,410g、凸部410a,410e,410fは、異なる段差寸法を有し、内周側凹凸部410Aの段差寸法が外周側凹凸部410Bの段差寸法以上に設定されている。
以上のような上部ケース70a、70bにおいても、前述した実施の形態において例示した上部ケース7と同様な効果が得られる。