以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は本発明の実施の形態である小荷重型の表面均し装置を示す斜視図、図2は図1のA−A線における一部省略断面図、図3は本発明の実施の形態である大荷重型の表面均し装置を示す斜視図、図4は図3に示す大荷重型の表面均し装置の一部切断斜視図である。また、図5は床面仕上げ装置を示す側面図、図6は図5に示す床面仕上げ装置の一部を示す斜視図、図7は図5に示す床面仕上げ装置の操作ハンドル部分の斜視図である。
図1,2に示すように、小荷重型の表面均し装置1は、硬化前のコンクリート表面上を滑動可能な、平面視形状が矩形状の均し板2と、均し板2に振動を与えて共振させるため均し板2の長辺方向のLの中央部に搭載された振動発生機3と、振動発生機3を挟んで均し板2の長辺方向Lの対称位置に設けられた複数の係止部4を介して均し板2に着脱可能に取り付けられたコ字形状の操作ハンドル5と、を備えている。
均し板2は四隅部分を滑らかな曲線状に丸めた矩形であり、その長辺方向Lの長さL1は約3000mm、短辺方向Sの長さS1は約450mm、厚さT1は約50mmであって、表面均し装置1の総重量は約15kgである。従って、表面均し装置1をコンクリート表面上に載置したときに、均し板2の底面2bがコンクリート表面に与える単位面積当たりの荷重(単位荷重)は約11kg/m2程度であるが、均し板2のサイズや単位荷重は前述のものに限定しない。また、均し板2はグラスファイバーで強化した合成樹脂材で形成しているが、これに限定しないので、非吸水性であって、反ったり、変形したりしない材質であれば、アルミニウムなどの軽金属、合成樹脂、防水加工した木材などで形成することもできる。
振動発生機3は、原動機8と、カバー8a内において原動機8の回転軸6先端に固定された偏心回転体7とで構成されている。原動機8はガソリンエンジンであり、その回転軸6は、均し板2の長辺方向Lと平行をなすように配置されている。偏心回転体7は、円板の一部を削除した形状であり、通常は原動機8の回転軸6先端とともにカバー8aで覆われている。なお、以下の説明中において「前方」、「後方」、「前縁部分」、「後縁部分」など、「前」、「後」を用いて表現している語句は、後述する図7などに示すように、均し板2,32などに向かって起立した作業姿勢をとった作業者Wを基準にした「前」、「後」をいう。
振動発生機3は、均し板2上面の長辺方向Lの中央部に配置された防振板11および固定板10を介して均し板2に固定され、固定板10の前方部分は断面L字状の振動伝達部材12を介して均し板2前方の長辺部分に固定されている。原動機8および偏心回転体7を含む振動発生機3全体は、ボルト・ナット(図示せず)を用いて、防振板11および固定板10上面に着脱可能に固定されている。固定板10および振動伝達部材12はいずれも木材より剛性の高い金属材料で形成され、防振板11は弾性材料(ゴム材または弾性合成樹脂材)で形成されている。なお、振動発生機3の代わりに、後述する、振動発生機33を配置することもできる。
操作ハンドル5と係止部4との境界付近には、均し板2の振動が操作ハンドル5の把持部5aに伝わるのを防止するための制振部5bが設けられ、一方の傾斜部5cには、原動機8の回転数を変化させるためのスロットルレバー13が配置されている。また、均し板2上面の左右の短辺付近にはそれぞれ逆U字状のフック14が取り付けられている。さらに、均し板2上面における振動発生機3の後方位置には円筒状の支柱9が立設され、この支柱9の上端部と、均し板2上面の左右両端付近(フック14付近)に固定された断面L字状の係止具17との間に、ターンバックル9aで長さ調整可能な補強ロッド9bが張設されている。
図2に示すように、均し板2の底面2bは平面状であり、均し板2の前縁の上方部分は垂下状の平面であり、その下方部分と底面2bとの境界部分(角部分)には、断面L字状の補強部材2aが底面2bと連続平面を形成するように取り付けられている。補強部材2aは、均し板2の長辺方向Lの長さL1より短く、振動伝達部材12より長く配置され、耐摩耗性の金属材料で形成されている。また、均し板2の後縁の下方部分には、緩やかな曲率で底面2bに連続する凸曲面部2cが設けられている。
次に、図3に示すように、大荷重型の表面均し装置30は、硬化前のコンクリート表面上を滑動可能な、平面視形状が矩形状の金属製の均し板32と、均し板32に振動を与えて共振させるため均し板32の長辺方向のLの中央部に搭載された振動発生機33と、振動発生機33を挟んで均し板32の長辺方向Lの対称位置に設けられた複数の係止部34を介して均し板32に着脱可能に取り付けられたコ字形状の操作ハンドル35と、を備えている。均し板32は四隅部分を滑らかな曲線状に丸めた矩形であり、その長辺方向Lの長さL2は約2000mm、短辺方向Sの長さS2は約200mm、厚さT2は約50mmであり、表面均し装置1の総重量は約30kgである。表面均し装置30をコンクリート表面上に載置したとき、均し板32の底面32bがコンクリート表面に与える荷重(単位荷重)は約75kg/m2程度であるが、均し板32のサイズや単位荷重は前述のものに限定しない。
振動発生機33は、均し板32に振動を与えて共振させるためカバー38a内に配置された偏心回転体(図示せず)と、均し板32上の前記偏心回転体から離れた位置に取り付けられた原動機38と、原動機38の回転軸36に固定されたプーリ36aと、偏心回転体の支軸37に固定されたプーリ37aと、の間に掛け渡されたVベルト31と、で構成されている。原動機8はガソリンエンジンであり、その回転軸36は、均し板32の長辺方向Lと平行をなすように配置されている。カバー38a内に配置された偏心回転体(図示せず)は、円柱部材の一部を削除した形状であり、支軸37を介して均し板32に回転自在に軸支されている。
振動発生機33は、均し板32上面の長辺方向Lの中央部に配置された固定板39を介して均し板32に固定され、固定板39の前後部分は断面L字状の振動伝達部材40a,40bを介して均し板32の前後の長辺部分に固定されている。振動発生機33全体も、ボルト・ナット(図示せず)を用いて固定板39上面に固定されている。固定板39および振動伝達部材40a,40bはいずれも剛性の高い金属材料で形成されている。また、均し板32前方の振動伝達部材40aの前面には、これと同様に、断面L字状をした補強部材41が取り付けられ、補強部材41の外面の一つと、均し板32の底面32bとが略連続面を形成するように配置されている。
操作ハンドル35と係止部34との境界付近には、均し板32の振動が操作ハンドル35の把持部35aに伝わるのを防止するための制振部35bが設けられ、一方の傾斜部35cには、原動機38の回転数を変化させるためのスロットルレバー42が配置されている。また、均し板32の振動が操作ハンドル35に伝わるのを防止するため、均し板32の表面と係止部34との間にも制振部材34bが配置されている。
次に、図5,図6に示すように、床面仕上げ装置50は、仕上げ対象床面であるコンクリート表面52に接触しながら、原動機53の駆動力でプロペラ状に回転する複数の回転鏝54を有する平面均し機55と、この平面均し機55に連結機構56を介して連結された状態で、回転鏝54の回転面の外周領域の一部に配置された平板状の仕上げ鏝58と、を備えている。平面均し機55の仕上げ鏝58と反対側の位置には、後述する作業者Wが床面仕上げ装置50を操作するための操作ハンドル59が設けられている。また、操作ハンドル59には、原動機53の回転数を増減させるためのスロットルレバー80、回転鏝54の接地角度を調節するためのレバー18などが設けられている。
図5,図6に示すように、平面均し機55の原動機53の前方部分には逆L字状の支柱51が立設され、この支柱51の垂直部分の上下2カ所にフック60が設けられている。また、支柱51の垂直部分は回転鏝54の回転軸心Cと略平行をなすように配置されている。各フック60は、棚状の支持板60aと、支持板60a上に立設された支軸60bとを備え、下方に位置する支軸60bは上方の支軸60bより長く形成されている。これらのフック60の支軸60bに対し、連結機構56の垂直支軸56aの上下2カ所に固定された係止具56bの係止孔60c、係止管60dをそれぞれ引っ掛けることにより、仕上げ鏝58が連結機構56を介して平面均し機55に連結されている。
本実施形態の場合、係止具56bの係止孔60cの内径、係止管60dの内径はいずれもフック60の支軸60bの外径より大きく形成されているため、支軸60bの外周と、係止具56bの係止孔60cの内周、係止管60dの内周との間には、それぞれ隙間(遊び)が形成されている。
連結機構56は、前述した垂直支軸56aと、垂直支軸56aの上端部から斜め上方に延設された上部支持部材56dと、垂直支軸56aの下端部から斜め下方に延設された下部支持部材56eと、上部支持部材56dと下部支持部材56eとの間に配置された連接部材56fと、下部支持部材56eの先端部に水平方向の係止ピン56gを介して回動自在に軸支された昇降アーム56hと、昇降アーム56h先端の管状軸受け56jに当該昇降アーム56hと直角方向に挿通された水平支軸56iと、水平支軸56iに対して左右2つの管状軸受け56rを介して回動可能に取り付けられた補強部材56kと、を備えている。水平支軸56iの両端部はそれぞれ、昇降アーム56hの基端部から斜めに延設された左右2本の保持部材56mの先端部の管状軸受け56nに挿通され、それぞれの管状軸受け56nから突出した水平支軸56iの端部には、当該水平支軸56iの離脱を防止するためのクリップ(図示せず)が着脱可能に取り付けられている。
昇降アーム56hの先端寄りに位置する補強部材56kの中央部には、後述するワイヤ57の略Uターン部分を掛けるための滑車66bが連結部材61を介して取り付けられている。図7に示すように、操作ハンドル59に配置されている旋回レバー62を支軸62a中心に正回転、逆回転させると、ワイヤ57が巻き上げたり、繰り出されたりすることによって昇降アーム56hが係止ピン56gを中心に昇降し、これによって、仕上げ鏝58全体を上昇、下降させることができる。
補強部材56kの前面には、弾性変形可能な板材で形成された左右方向に長い矩形状をした仕上げ鏝58が、断面L字状の固定部材67および複数のボルト68を介して着脱可能に取り付けられている。仕上げ鏝58のサイズ、材質などは、施工現場の作業条件に応じて定めることができるので、特に限定するものではないが、例えば、厚さが0.3mm〜0.7mm、短辺方向の長さが50mm〜250mm、長辺方向の長さが700mm〜3000mm程度の弾性変形可能な鋼板などで形成することができる。なお、仕上げ鏝58の材質も限定しないので、例えば、ステンレス鋼、スウェーデン鋼、合成樹脂材などで形成することもできる。
また、補強部材56kは、仕上げ鏝58とともに水平支軸56iを中心に回転可能であり、昇降アーム56hの先端部の左右には、補強部材56kを付勢するバネ63が水平支軸56iの外周に同軸上に取り付けられている。昇降アーム56hの先端部の左右側面にはそれぞれストッパ56pが水平方向に突設され、左右のバネ63はストッパ56pをそれぞれ「反力受け」とすることにより、補強部材56kを、図11に示す水平支軸56iを中心に反時計方向(仕上げ鏝58が上昇する方向)に付勢している。また、昇降アーム56hの先端部右側のバネ63の下方に位置する補強部材56kの下縁には、昇降アーム56h後方に伸びる回転部材64が固着され、この回転部材64を引っ張ったり、緩めたりするためのワイヤ65と、ワイヤ65を巻いたり、繰り出したりするための回転ハンドル66(図7参照)と、が設けられている。
回転ハンドル66を正回転させてワイヤ65を巻くと、回転部材64が引っ張られることによって補強部材56kが、図11に示す水平支軸56iを中心に時計方向に回転し、仕上げ鏝58も同方向に回転して下降する。一方、回転ハンドル66を逆回転させてワイヤ65を繰り出すと、補強部材56kはバネ63の付勢力により、図11に示す水平支軸56iを中心に反時計方向に回転して仕上げ鏝58が上昇する。このように、回転ハンドル66を回転させてワイヤ65を巻いたり、繰り出したりすることにより、水平支軸56iを中心に補強部材56kが回転し、昇降アーム56hに対する補強部材56kの角度が変化する。従って、回転ハンドル66の回転操作より、補強部材56kに取り付けられた仕上げ鏝58のコンクリート表面C4などに対する傾斜角度である仰角θ(図11参照)を調節することができる。
なお、仕上げ鏝58の仰角調節機構はこれに限定するものではないので、例えば、操作ハンドル59に傾動式のレバーを設け、このレバーと回転部材64とをワイヤや油圧経路などの伝達手段で連結し、操作ハンドル59側のレバー操作やスイッチ操作によって仕上げ鏝58の仰角θを変更する機構を設けることもできる。また、回転部材64を電動機構により回転させる方式を採用することもできる。
一方、図6に示すように、補強部材56kの上縁の2カ所には、ダンベル状の重錘69を着脱可能に取り付けるための係止具70が立設されている。2つの係止具70は、補強部材56kの中央部分を挟んで左右対称な位置に配置されており、補強部材56kの上縁から斜め前方に起立した支持板70aと、その上端に、左右方向に挿通する姿勢で固着された円管状の係止管70bとで形成されている。重錘69は、外周に雄ねじ部69bが形成された支持棒69aの左右寄りの部分に、加圧力発生源となる円板体69c,69dが着脱可能に取り付けられ、これらの円板体69c,69dから突出した支持棒69aの両端にそれぞれ固定ナット69eを螺着させることによって形成されている。
重錘69を係止具70に取り付ける場合、左右の固定ナット69eを支持棒69aの中央寄りに移動させることによって円板体69c,69dを支持棒69aに固定し、円板体69c,69dから突出した支持棒69aの両端をそれぞれ係止具70の係止管70b内に交互に挿入すれば、取り付けが完了する。なお、係止管70bに、その内径方向に出し入れ可能な係止ボルト(図示せず)を設け、係止管70b内に位置する支持棒69aの外周を係止ボルトの先端部で押圧保持する係止機構を設ければ、係止管70b内で支持棒69aが移動したり、係止管70bから支持棒69aの端部が離脱したりするのを防止することができる。また、円板体69c,69dの取り付け個数を変えたり、サイズの異なる他の円板体(図示せず)と取り替えたりすることによって重錘69全体の重量を変更することができる。
また、図6に示すように、支柱51の下端部付近には、円形をした複数の係止孔71,72が開設された係止板73が水平棚状に固定され、垂直支軸56aの下端付近にはガイド管75が垂直方向に固定され、このガイド管75内に、丸棒材で形成された係止シャフト74が昇降可能に挿通され、係止シャフト74の下端部が、係止孔71内に挿入されている。また、ガイド管75内の係止シャフト74を軸方向に昇降させるためのワイヤ76が係止シャフト74の上端部に係止され、ワイヤ76を引いたり、出したりするための回転式のグリップ77が操作ハンドル59(図7参照)に設けられている。グリップ77を手で把持して矢線78a方向に回転させると、ワイヤ76が引いたり、出したりされ、これによって係止シャフト74がガイド管75内を昇降し、その先端部が係止孔71から離脱したり、挿入されたりする。
従って、グリップ77を回転操作してワイヤ76を引くことにより係止シャフト74の先端部を係止孔71から離脱させると、仕上げ鏝58などを含む連結機構56全体は、支柱51の上下に設けられた二つの支軸60bを中心に旋回可能となる。この場合、グリップ77を矢線78b(図7参照)方向へ引くと、先端が連接部材56fに係止されたワイヤ79が引っ張られるため、連結機構56全体が支軸60bを中心に右旋回する。従って、係止シャフト74の先端部が係止孔72の直上に来るまで、グリップ77を引いて連結機構56を右旋回させた後、グリップ77の把持を解除すると、ワイヤ76が繰り出されて係止シャフト74が下降し、その先端部が係止孔72内へ挿入される。これによって、連結機構56は仕上げ鏝58とともに平面均し機55の右側にセットされる。
このように、グリップ77を操作して連結機構56を旋回させることにより、仕上げ鏝58を、平面均し機55の前方または右側のいずれかの位置にセットすることができる。従って、施工現場の状況に応じて、仕上げ鏝58を、平面均し機55の前方または右側にセットした状態で、後述する、最終仕上げ作業を行うことができる。
なお、係止孔71,72の内径はいずれも係止シャフト74の外径よりも大であるため、係止孔71,72内に挿入された係止シャフト74は、それぞれの係止孔71,72の範囲内で水平方向に移動可能である。従って、仕上げ鏝58などを含む連結機構56全体は平面均し機55に連結された状態で、フック60の支軸60bを中心に一定角度内に限り水平旋回自在である。
次に、図8〜図11を参照して、コンクリート床面の施工について説明する。図8は図1に示す小荷重型の表面均し装置の使用状態を示す斜視図、図9は図8に示す小荷重型の表面均し装置の使用状態を示す模式図、図10は図3に示す大荷重型の表面均し装置の使用状態を示す斜視図、図11は図5に示す表面仕上げ装置の使用状態を示す部分斜視図である。
本実施形態においては、前述した3種類の装置、即ち、小荷重型の表面均し装置1(図1参照)、大荷重型の表面均し装置30(図3参照)および床面仕上げ装置50(図5参照)を、この順番に使用している。
まず、床面に打ち込まれた生コンクリートの表面に対し、長さ1.2m程度のかき棒で荒均しを行った後、レーザーレベル器を用いて約2m間隔で水平基準点を設ける。この後、鏝を用いて当たり出しを行い、その当たりに合わせて、長さ2.5m程度のアルミ定木を用いてコンクリート表面を水平に均す。
次に、図8に示すように、表面均し作業を行うべきコンクリート表面C1に表面均し装置1を載置し、原動機8を始動させ、作業者Wは操作ハンドル5の後方に立って均し板2に対向する姿勢をとり、スロットルレバー13を操作して原動機8の回転数を徐々に上げていき、振動発生機3の振動によって均し板2が適切な振動状態(共振状態)となるようにセットする。この場合、スロットルレバー13を操作して原動機8の回転数を徐々に上げていくと均し板2が激しく振動するポイント(共振点)があるので、作業者Wは比較的容易に共振状態を認識することができる。
均し板2が共振状態にセットされたら、操作ハンドル5の把持部5aを両手で握り、そのまま矢印R方向に後退すると、均し板2がコンクリート表面C1上をスムーズに滑動しながら、表面均し装置1全体が矢印R方向に後退する。このとき、図9に示すように、均し板2は、凸曲面部2cを含む後方部分が、補強部材2aを含む前方部分よりも浮き上がった傾斜姿勢を保ちながら、矢印R方向に後退する。
このように、振動発生機3により振動状態(共振状態)に保たれた均し板2の底面2bをコンクリート表面C1に接触させた後、均し板2に向かって構えた作業者Wが操作ハンドル5を両手で持って、そのまま矢印R方向に後退すれば、均し板2の共振振動によりコンクリート表面C1の凹凸が速やかに平準化され、不陸がなくなるため、コンクリート表面C1を比較的短時間で均一なコンクリート表面C2に均すことができる。
また、コンクリート表面C2に最後まで接触して、その仕上がり状態を左右する、均し板2の底面2bの前方部分には補強部材2aが取り付けられているため、コンクリート表面C2を均一に仕上げることができる。この補強部材2aは耐摩耗性の金属材料で形成されているため、コンクリート表面C1,C2との接触、摺動による摩耗が少なく、耐久性にも優れている。
このように、表面均し装置1を使用すれば、コンクリート表面C1を均し板2自体の大きな振動で叩打しながら均すことができるため、コンクリート表面C1の不陸をなくすことができる。また、コンクリート表面C1に均し板2で振動を与えることにより、図9に示すように、コンクリート表面C1に露出している小石15や不純物などはコンクリート層内に埋没されるとともに、セメント成分がコンクリート表面C2に浮いてくるので、コンクリート表面C2の強度を大幅に高めることができる。このため、施工後のコンクリート床面のクラック発生防止に極めて有効である。また、均し板2の作業幅P1は、その長辺方向Lの長さL1(図1参照)に等しく、約3m程度あるため、作業速度が速く、作業効率も良好である。
均し作業中の均し板2は、常にコンクリート表面C1上に浮いた状態で滑動するため、コンクリート表面C2に均し板2の痕跡が残ることがなく、作業は容易であり、作業者Wの肉体的負担も小さい。また、原動機8を作動させながら、操作ハンドル5を矢印Rの方向に軽く引っ張っていくだけで均し作業を行うことができるので、作業は極めて容易であり、熟練技能者は不要である。さらに、作業方向の転換は、操作ハンドル5を掴んだ状態で、均し板2をコンクリート表面C1上で任意の支点を中心にして水平旋回させるだけ行うことができるため、極めて簡単である。なお、表面均し装置1は、操作ハンドル5を矢印Rの方向に引いて均し作業を行うが、作業方向は限定しないので、操作ハンドル5を軽く下方に下げた状態で矢印Rと逆方向に押して滑動させても、前述と同様の均し作業を行うことができる。
一方、表面均し装置1を現場に搬入したり、搬出したりするとき、あるいは施工現場内で移動させるときは、均し板2の両端付近のフック14を握って、表面均し装置1全体を持ち上げることができるため、作業性が良好で、安全性も高い。また、原動機8および操作ハンドル5はそれぞれ均し板2に対して着脱可能であるため、必要に応じて、原動機8や操作ハンドル5を均し板2から取り外せば、搬送作業はさらに容易となり、収納スペースも小さくてすむようになる。
表面均し装置1においては、振動発生機3を均し板2の長辺方向Lの中央部に配置しているため、均し板2全体がムラ無く均一に振動する。また、操作ハンドル5は振動発生機3を挟んで均し板2の長辺方向Lの対称位置にある複数の係止部4を介して均し板2に固定されているため、作業者Wの後退による引張力は均し板2全体に均等に伝わる。このため作業者の異同に関係なくコンクリート表面C1を均一に均すことが可能であり、熟練技能者に頼る必要がなくなる。なお、表面均し装置1においては、振動発生機3は、均し板2の長辺方向Lの中央部であって、且つ、均し板2の重心上に配置されているため、均し板2全体をムラ無く均一に振動させることができるだけでなく、作業者Wが操作ハンドル5を握って後退する場合の安定性が良好であり、方向転換時における均し板2全体の水平旋回も容易に行うことができる。
また、本実施形態では、均し板2がコンクリート表面C1に与える荷重を約11kg/m2程度に設定しているため、コンクリート表面C1上に表面均し装置1を載置したとき、均し板2がコンクリート表面C1に沈み込むことがない。従って、作業者Wが手で操作ハンドル5を持って軽く引っ張るだけで、振動状態にある均し板2はコンクリート表面C1を極めてスムーズに滑動する。このため、操作ハンドル5を強い力で引っ張ることなく、コンクリート表面C1を容易に均すことが可能であり、作業者Wの肉体的負担を軽減することができる。
また、振動発生機3として、回転軸6に偏心回転体7を有する原動機8を設けているため、スロットルレバー13を操作して原動機8の回転数をコントロールすることにより、均し板2を簡単に共振状態にセットすることができる。また、電源のない場所でも容易に均し作業を行うことができる。さらに、稼働中は、原動機8自体も振動を生じるので、均し板2に対する振動付与機能が高く、強い共振状態が得られるため、均し作業の効率化を図ることができる。
一方、固定板10は、均し板2よりも剛性の高い振動伝達部材12を介在させて均し板2に取り付けられているため、偏心回転体7による振動は、振動伝達部材を12介して広範囲に効率良く伝わり、優れた表面均し作用を発揮する。本実施形態では、振動伝達部材12を均し板2の長辺部分に取り付けているため、偏心回転体7による振動は、均し板2の長辺方向L全体に渡る広い範囲に効率良く伝わり、表面均し作用の均等化を図ることができる。なお、操作ハンドル5は、制振部5bを介して、均し板2表面の係止部4に固定されているため、均し板2の振動が操作ハンドル5に伝わるのを抑制することができる。このため、操作ハンドル5を手で握って作業する作業者Wが、振動による悪影響を受けることがない。
小荷重型の表面均し装置1による均し作業が終わると、図3,図4に示す大荷重型の表面均し装置30を使用した仕上げ作業が行われる。表面均し装置30による仕上げ作業は、前述した表面均し装置1による均し作業と共通した点もあるが、以下、図10を参照して、表面均し装置30を使用した仕上げ作業について詳しく説明する。
図8で示した表面均し装置1による均し作業が終わって所定時間が経過すると、図10に示すように、半乾き状態にあるコンクリート表面C2に表面均し装置30を載置し、原動機38を始動させ、作業者Wは操作ハンドル35の後方に立って均し板32に対向する姿勢をとる。そして、スロットルレバー42を操作して原動機38の回転数を徐々に上げていき、振動発生機33の振動によって均し板2が適切な振動状態(共振状態)となるようにセットする。この場合、スロットルレバー42を操作して原動機38の回転数を徐々に上げていくと均し板32が激しく振動するポイント(共振点)があるので、作業者Wは比較的容易に共振状態にセットすることができる。
均し板32が共振状態にセットされたら、操作ハンドル35の把持部35aを両手で握り、そのまま矢印R方向に後退すると、均し板32がコンクリート表面C2上を滑動しながら、表面均し装置30全体が矢印R方向に後退する。このとき、図9に示す表面均し装置1の場合と同様、均し板32は、振動伝達部材40bを含む後方部分が、振動伝達部材40aおよび補強部材41を含む前方部分より浮き上がった傾斜姿勢を保ちながら、矢印R方向に後退する。
図10に示すように、振動発生機33により振動状態(共振状態)に保たれた均し板32の底面32bをコンクリート表面C2に接触させ、均し板32に向かって構えた作業者Wが操作ハンドル35を両手で持って、そのまま矢印R方向に後退すれば、均し板32の共振振動によりコンクリート表面C2が叩打され、その凹凸が速やかに平準化され、不陸がなくなるため、コンクリート表面C2を比較的短時間で、均一なコンクリート表面C3とすることができる。
この場合、コンクリート表面C3に最後まで接触して、その仕上がり状態を左右する、均し板32の底面32bの前方部分には、断面L字状の補強部材41が取り付けられているため、コンクリート表面C3をムラなく均一に仕上げることができる。この補強部材41は耐摩耗性の金属材料で形成されているため、コンクリート表面C2との摩擦による摩耗が少なく、耐久性にも優れている。
このように、表面均し装置30を使用すれば、コンクリート表面C2を均し板32自体の大きな振動で叩打しながら均すことができるため、コンクリート表面C2の不陸をなくすことができる。また、コンクリート表面C2に均し板32で振動を与えることにより、コンクリート表面C2が再度、転圧されるため、コンクリート表面C3の強度も高まる。特に、均し板32でコンクリート表面C2に強い振動を与えることにより、比較的粒の粗い砂などは沈下したり、埋没したりするとともに、セメント成分がコンクリート表面C3に浮いてくるため、表面強度の向上に有効である。さらに、均し板32の作業幅P2は、その長辺方向Lの長さL2(図3参照)に等しく、約2m程度あるため、作業速度が速く、作業効率も良好である。
均し作業中の均し板32は、振動しながらコンクリート表面C2上を滑動するため、コンクリート表面C3に均し板32の痕跡が残ることがなく、作業は容易であり、作業者Wの肉体的負担も小さい。また、原動機38を作動させながら、操作ハンドル35を矢印Rの方向に引っ張っていくだけで仕上げ作業を行うことができるので、作業は極めて容易であり、熟練技能者は不要である。さらに、操作ハンドル35を掴んだまま、コンクリート表面C2上において均し板32を任意の支点を中心にして水平旋回させるだけで作業方向を極めて簡単に転換することができる。また、振動発生機33および操作ハンドル35はそれぞれ均し板32に対して着脱可能であるため、必要に応じて、振動発生機33や操作ハンドル35を均し板32から取り外せば、搬送作業はさらに容易となり、収納スペースも小さくてすむ。
表面均し装置30においては、振動発生機33を均し板32の長辺方向Lの中央部に配置しているため、均し板32全体がムラ無く均一に振動し、操作ハンドル35は振動発生機33を挟んで均し板32の長辺方向Lの対称位置にある複数の係止部34を介して均し板32に固定されているため、作業者Wの後退による引張力は均し板32全体に均等に伝わる。このため誰が作業を行ってもコンクリート表面C2を均一に均すことができ、熟練技能者に頼る必要がなくなる。なお、表面均し装置30においては、振動発生機33は、均し板32の長辺方向Lの中央部であって、且つ、均し板32の重心上に配置されているため、均し板32全体をムラ無く均一に振動させることができるだけでなく、作業者Wが操作ハンドル35を握って後退する場合の安定性が良好であり、方向転換時における均し板32全体の水平旋回も容易に行うことができる。
本実施形態においては、表面均し装置30の均し板32がコンクリート表面C2に与える荷重を約75kg/m2程度に設定しているため、コンクリート表面C1より硬い、半乾き状態にあるコンクリート表面C2に対して強力な表面均し作用を与え、速やかに不陸調整を行うことができる。また、振動発生機33は、図4で示すように、原動機38と、カバー38a内に配置された偏心回転体(図示せず)と、原動機38の回転軸36に固定されたプーリ36aと偏心回転体の支軸37に固定されたプーリ37aとの間に掛け渡されたVベルト31と、で構成しているため、スロットルレバー42を操作して原動機38の回転数をコントロールすることにより、均し板32を簡単に共振状態にセットすることができ、電源のない場所でも容易に作業を行うことができる。さらに、稼働中は、原動機38自体も振動を生じるので、均し板32に対する振動付与機能が高く、強い共振状態が得られるため、均し作業の効率化を図ることができる。
また、カバー38a内に配置された偏心回転体(図示せず)は、プーリ36a,37a間に掛け渡されたVベルト31を介して原動機38で回転駆動されているため、偏心回転体の振動が原動機38の回転軸36に直接伝わることがない。このため、原動機38に対する振動負荷が軽減され、耐久性も優れている。
一方、固定板39は剛性の高い振動伝達部材40a,40bを介在させて均し板32に取り付けられているため、偏心回転体による振動は、振動伝達部材を40a,40bを介して広範囲に効率良く伝わり、優れた表面均し作用を発揮する。本実施形態では、振動伝達部材40a,40bを均し板32前後の長辺部分にそれぞれ取り付けているため、偏心回転体による振動は、均し板32の長辺方向L全体に渡る広い範囲に効率良く伝わり、均し作用の均等化を図ることができる。
なお、操作ハンドル35の傾斜部35cはそれぞれ制振部35bを介して係止部34に固定され、係止部34はそれぞれ制振部材34bを介在させた状態で均し板32表面に固定されているため、均し板32の振動が操作ハンドル35に伝わるのを抑制することができる。このため、操作ハンドル35を手で握って作業する作業者Wが、振動による悪影響を受けることがない。なお、表面均し装置30は、操作ハンドル35を矢印Rの方向に引いて仕上げ作業を行うが、作業方向は限定するものではないので、操作ハンドル35を軽く下方に下げた状態で矢印Rと逆方向に押して滑動させることによっても、前述と同様の仕上げ作業を行うことができる。
表面均し装置30による仕上げ作業が終わると、図5などに示す床面仕上げ装置50を使用して最終仕上げ作業を行う。以下、図5〜図7および図11を参照して、床面仕上げ装置50を使用した最終仕上げ作業について詳しく説明する。
前述した、表面均し装置30による仕上げ作業が完了すると、図5,図11に示すように、最終仕上げ対象床面であるコンクリート表面C3上に床面仕上げ装置50を載置し、原動機53を始動して平面均し機55の回転鏝54を回転させる。そして、図7に示すように、仕上げ鏝58の方を向いた姿勢で操作ハンドル59側に立った作業者Wが操作ハンドル59を両手で握ったまま後退する。これにより、回転鏝54が仕上げ鏝58より先行する状態を保ちながら、床面仕上げ装置50全体がコンクリート表面C3に沿って矢印R方向(図5参照)へ水平移動していく。
このように、作業者Wが操作ハンドル59を両手で握ったまま後退する操作を行うと、回転しながらコンクリート表面C3上を移動していく回転鏝54により、コンクリート表面C3の加圧均しが行われ、その後に続いて、コンクリート表面C4上を摺動していく仕上げ鏝58によって最終仕上げが行われ、これによって最終仕上げ面C5が形成される。
最終仕上げ作業中は、図11に示すように、仕上げ鏝58は、連結機構56により、回転鏝54の回転軸心Cに向かって、ほぼ仰角θをもった傾斜姿勢に保持され、重錘69の重量によりコンクリート表面C4を鉛直方向に押圧する状態を保ちながら、昇降アーム56hで昇降自在に保持されている。従って、回転鏝54が接触通過した直後のコンクリート表面C4に対し、仕上げ鏝58の前方の長辺寄りの領域が接するような傾斜姿勢を保ちながら、コンクリート表面C4に最終仕上げを施し、最終仕上げ面C5を形成することができる。
即ち、コンクリート表面C4に接して水平移動する仕上げ鏝58は、昇降アーム56hで昇降自在に保持されながら重錘69によって鉛直下方に押圧されているため、仕上げ鏝58の後方側(矢印R側)は仰角θを保ちながら、コンクリート表面C4に接している部分は略水平となるように弾性変形した状態に保持され、且つ重錘69の重量は仕上げ鏝58の弾性変形で支えられている。また、図11に示すように、ワイヤ57は張力が解除され、撓んだ状態にある。このため、仕上げ鏝58は、平面均し機55および連結機構56によって拘束されることなく、コンクリート表面C4の凹凸状態に迅速かつ的確に追従しながら最終仕上げ作業を施していくこととなる。
また、仕上げ鏝58はフック60の支軸60bおよび係止ピン56g部分にある隙間により、これらの部分を中心にして水平旋回自在であるとともに、昇降アーム56hの長手方向を中心に左右に傾動自在である。このため、仕上げ鏝58は、平面均し機55および連結機構56などに拘束されることなく、昇降自在、水平旋回自在および左右傾動自在である。従って、コンクリート表面C4に接して水平移動する仕上げ鏝58により、熟練技能者の手作業よりも優れた鏝作業をコンクリート表面C4に施すことができ、これによって、熟練技能者の手作業よる仕上げ面よりもさらに平面性および美観性に優れた最終仕上げ面C5を比較的短時間で形成することができる。
このように、床面仕上げ装置50は、回転鏝54を原動機53で回転させながら、回転鏝54の回転運動を利用して、床面仕上げ装置50全体をコンクリート表面C3に沿って矢印R方向へ水平移動させていくだけで、コンクリート表面C3に対する加圧均し作業および最終仕上げ作業を行うことができるため、コンクリート表面C3の平面均しから最終仕上げに至る一連の作業を短時間で完了することができ、取り扱いも簡単である。また、床面仕上げ装置50を操作する一人の作業者Wのみで、加圧均し作業および最終仕上げ作業の両方を施工することができるため、作業者の大幅な削減を図ることができ、熟練技能者も不要となる。なお、操作ハンドル59にバックミラーを配置すれば、仕上げ鏝58の方を向いた姿勢で操作ハンドル59側に立って作業を行う作業者Wが自分の後方の状況を視認できるようになるため、仕上げ作業中の安全性向上に有効である。
また、図6で示したように、係止孔71,72を有する係止板73と、係止孔71,72に挿入される係止シャフト74との間に隙間を設けたことにより、回転鏝54の回転軸心Cと平行な支軸60bを中心に、仕上げ鏝58などを含む連結機構56全体を約10度の範囲内で水平旋回自在に保持する機構を設けている。これにより、仕上げ鏝58は支軸60bを中心にして水平面に沿った方向に、約10度の範囲内に限り、旋回自在となるため、コンクリート表面C4の凹凸状態に対する追従性が良好である。従って、熟練技能者の手作業よりも優れた鏝作業をコンクリート表面C4に施すことができ、熟練技能者の手作業よる最終仕上げ面よりも平面性および外観性に優れた最終仕上げ面C5が得られる。また、仕上げ鏝58の旋回範囲は、支軸60bを中心に約10度の範囲内に限られているため、コンクリート表面C4の凹凸などに影響されて仕上げ鏝58が大きくズレることはない。なお、仕上げ鏝58の旋回可能範囲は10度に限定するものではないので、作業条件に応じて任意に設定することができる。
また、仕上げ鏝58は、回転鏝54の回転軸心Cと交差する仮想直線の一つである昇降アーム56hの長手方向を中心に、一定角度内に限り、回動自在に保持されているため、平面均し機55に拘束されることなく、コンクリート表面C4の凹凸状態に迅速に追従可能である。従って、熟練技能者の手作業よりも優れた鏝作業をコンクリート表面C4に施すことができる。
さらに、図6で示したように、仕上げ鏝58よりも剛性の高い補強部材56kおよび固定部材67を介して重錘69と仕上げ鏝58とを連接しているため、重錘69の重量による押圧力を補強部材56kによって均一に分散させた状態で仕上げ鏝58に伝達することができる。このため、コンクリート表面C4に対する仕上げ鏝58の押圧力が均一化されることとなり、熟練技能者の手作業時に残存する鏝跡や鏝ムラが生じないので、最終仕上げ面C5の平面性および美観性は、熟練技能者の手作業によるものより、大幅に向上することとなる。
本実施形態では、平面均し機55の進行方向と直交する方向における補強部材56kの長さおよび同方向における固定部材67の長さを、仕上げ鏝58の同方向の長さより短く設定しているため、平面均し機55の進行方向と直交する方向における仕上げ鏝58の両端付近には、補強部材56kおよび固定部材67の無い領域が存在する。このため、仕上げ鏝58の両端部分の弾性変形性が高まり、コンクリート表面C4の凹凸状態に対する追従性が向上するとともに、仕上げ鏝58の両端部分による押圧力が軽減される。従って、仕上げ鏝58の両端部分が通過した後のコンクリート表面に線状痕などが残るのを回避することができる。
床面仕上げ装置50による仕上げ作業中、仕上げ鏝58をコンクリート表面C4などから引き上げる必要が生じた場合、図7に示す旋回レバー62を、作業者Wがワイヤ57を巻き取る方向に回転操作すると、昇降アーム56hが係止ピン56gを中心に上方へ回動するため、昇降アーム56hに連接された仕上げ鏝58などをコンクリート表面C4から引き上げることができる。この後、旋回レバー62をさらに回転させれば、昇降アーム56hおよび仕上げ鏝58を垂直近くまで起立させることができるので、床面仕上げ装置50の方向変換や他の場所への移動を行う際に支障が生じない。
また、仕上げ鏝58などをコンクリート表面C4から引き上げた状態で、前述したように、図7に示すグリップ77を操作して、連結機構56を支軸60bを中心に水平旋回させることにより、仕上げ鏝58を、平面均し機55の前方から右側へ移動させ、その位置にセットし、床面仕上げ装置50を左側へ移動させながら、コンクリート表面C4の最終仕上げ作業を行うこともできる。即ち、施工現場の状況に応じて、仕上げ鏝58を、平面均し機55の前方にセットしたり、右側にセットしたりして、最終仕上げ作業を行うことができるため、施行現場への対応性、作業性に優れている。
なお、昇降アーム56hおよび仕上げ鏝58を垂直近くまで起立させると、昇降アーム56h上面のストッパ56sが、下部支持部材56e上面の緩衝部材56tに当接して支えられた状態となるため、昇降アーム56hおよび仕上げ鏝58などを安定保持することができる。また、旋回レバー62を逆回転させれば、昇降アーム56hが係止ピン56gを中心に下方へ回動し、仕上げ鏝58などがコンクリート表面に着地するため、昇降操作は容易である。
また、床面仕上げ装置50を使用しない場合、仕上げ鏝58などを含む連結機構56全体を平面均し機55(図5参照)の支柱51から取り外すこともできる。このため、床面仕上げ装置50を保管したり、搬送したりする際の占有スペースを削減することができ、便利である。なお、保管、搬送などの際に必要であれば、連結機構56の昇降アーム56hから重錘69や仕上げ鏝58などを取り外すこともできるため、さらなる省スペースを図ることができる。
以上のように、コンクリート床面の施工工事において、前述した3種類の装置、即ち、小荷重型の表面均し装置1(図1参照)、大荷重型の表面均し装置30(図3参照)および床面仕上げ装置50(図5参照)をこの順番に使用することにより、熟練技能者に頼ることなく、熟練技能者の手作業による最終仕上げ面よりもさらに平面性および美観性に優れたコンクリート床面(最終仕上げ面)を比較的短時間で形成することができ、作業者の肉体的負担も軽減することができる。
なお、床面施工工程は前述した形態に限定するものではないので、コンクリート表面の状況、施工条件などに応じて変更することができる。例えば、小荷重型の表面均し装置1(図1参照)および床面仕上げ装置50(図5参照)をこの順番に使用したり、大荷重型の表面均し装置30(図3参照)および床面仕上げ装置50(図5参照)をこの順番に使用したりすることが可能であり、いずれの場合においても、熟練技能者に頼ることなく、熟練技能者の手作業による最終仕上げ面よりも平面性および美観性に優れたコンクリート床面(最終仕上げ面)を比較的短時間で形成することができ、作業者の肉体的負担も軽減することができる。
次に、図12〜図14を参照して、図3で示した大荷重型の表面均し装置を構成する均し板に関するその他の実施の形態について説明する。図12,図13は大荷重型の表面均し装置を構成する均し板に関するその他の実施の形態を示す斜視図、図14は図13に示す均し板の一部切欠正面図、図15は図13に示す均し板の一部切欠側面図である。なお、図12〜図14において、図3,図4に示す符号と同符号を付した部分は、前述した表面均し装置30の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり、説明を省略する。
図12に示す均し板82は、矩形状をした金属板の前後左右の辺縁部を上方に折り曲げて前後の傾斜面部82a,82bおよび左右の傾斜面部82cを形成することによって略トレイ形状に形成され、その中央部分に、図3に示す振動発生機33などの振動発生手段を取り付けるための一対の固定板39xが設けられている。また、均し板32の振動が操作ハンドル35に伝わるのを防止するため、均し板82の表面と係止部34との間には制振部材34xが配置されている。後方の傾斜面部82aは他の3つの傾斜面部82b,82cよりも広く形成されている。
作業者(図示せず)は、通常、操作ハンドル35の把持部35aを両手で握って均し板82を後方へ引っ張ることにより、床面仕上げ作業を行うが、逆方向へ移動させながら作業を行うこともできる。また、操作ハンドル35を、図12に示す方向と前後逆方向に取り付けて床面仕上げ作業を行うこともできる。その他の部分の作用、効果などは前述した表面均し装置30の均し板32と同様である。
次に、図13〜図15に示す均し板92は、内部に空洞部92cを有する矩形状板材の底面の4つの辺縁部にそれぞれ凸曲面部92a,92bを設けるとともに、四隅部分を滑らかに丸めることによって形成され、その中央部分に、図3に示す振動発生機33などの振動発生手段を取り付けるための一対の固定板39xが設けられている。均し板92の使い方は、前述した均し板82と同様であるが、空洞部92cを設けているため、軽量化を図ることができる。また、空洞部92cを設けたことにより、均し板92の厚みが増して剛性が高まるため、反ったり、変形したりし難くなる。その他の部分の作用、効果などは前述した表面均し装置30の均し板32と同様である。