JP4789009B2 - ダイヤモンド基板およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、ダイヤモンド単結晶を含むダイヤモンド基板およびその製造方法に関し、特に半導体リソグラフィープロセスや大型光学部品、半導体材料、放熱基板等に好適な大型ダイヤモンド基板およびその製造方法に関する。
ダイヤモンドは高熱伝導率、高い電子・正孔移動度、高い絶縁破壊電界強度、低誘電損失、そして広いバンドギャップといった、半導体材料として他に類を見ない、優れた特性を数多く備えている。特に近年では、優れた高周波特性を持つ電界効果トランジスタなどが開発され、パワーデバイス用半導体としても期待されている。また、ダイヤモンドは負の電子親和力を持つとされ、電子放出素子として応用研究が進められている。光学特性に関しては、ダイヤモンドは紫外領域(225〜400nm)においても高透過率・高屈折率を有している。このため、ダイヤモンドは光ディスク等の高密度化に伴う光源の短波長化に対応可能なピックアップレンズ用材料としても期待されている。
ダイヤモンドを半導体や光学材料として利用するためには、他の半導体材料と同様に大型の単結晶基板が必要である。なぜならデバイスの作製に必須である半導体ウェハプロセスおよびその装置は、数インチ径のウェハを前提として設計開発されているからである。
現在、工業的に大型のダイヤモンド単結晶を得る方法として、高温高圧合成法や気相合成法が開発されており、これらによって(100)面では10mm径程の大型基板が得られるようになっている。しかし、直径1インチ以上の大径化の目処は現時点では立っていない。特にリンのドーピングが可能で、n型の導電性が得やすいとされている(111)面の面方位を持つダイヤモンド基板は、高温高圧合成法で製造された量産市販品では高々数mm角程度のサイズであり、気相合成法では良質な結晶性を保ったままの大型化が困難である。これに対して、比較的大型の異種基板上にダイヤモンド単結晶を成長させるヘテロエピタキシャル成長は、現状では結晶性が十分でなく、半導体や光学用途としての利用は限られている。
これを解決するため、例えば特許文献1には、面積が1mm2以上の単結晶ダイヤモンドを多結晶ダイヤモンドが取り囲むことにより、結晶性の良い単結晶ダイヤモンドと、大面積の得られる多結晶ダイヤモンドの両者の長所を併せ持つダイヤモンド部品の例が示されている。
特開平8-208387号公報
特許文献1のダイヤモンド部品は主としてセンサー、光学窓等を意図としており、単結晶基板上には良質な単結晶を成長させる必要がある。良質な結晶を成長させるために(100)単結晶を種基板と利用しているため、この基板上へのリンドープによるn型層形成は困難である。また、平坦なシリコン基板上に単結晶基板を配置した例では、十分な結合性を得るために220時間もの成膜時間を要しており、生産性の点で難点がある。さらにシリコン基板に凹加工を施し、凹加工部に単結晶ダイヤモンド基板を埋め込んでいる例では、シリコン基板主面部と単結晶ダイヤモンド基板主面部の高さが一致している。両面の高さが一致しているため、研磨等によって単結晶ダイヤモンド基板上の気相合成単結晶ダイヤモンド層を完全に取り除くことはできず、結晶性の良好な単結晶ダイヤモンド基板部分を露出利用することはできない。
また、仮に種基板として(111)単結晶を用いた場合、周囲に(111)配向の多結晶が存在すると、その後のリンドープ成長時に周囲の多結晶からの干渉を受けて、リソグラフィープロセス等が困難になる場合がある。
本発明は、前記問題点を解決し、半導体リソグラフィープロセスや光学部品、半導体材料、放熱基板等に好適な大型ダイヤモンド基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は次の(1)〜(22)の態様を有する。
(1)シリコン基板上に単結晶ダイヤモンド種基板が配置されたダイヤモンド基板であって、シリコン基板に凹部が存在し、この凹部上に主面の面方位が(111)である単結晶ダイヤモンド種基板が配置されており、シリコン基板の凹部以外の表面上に(100)配向もしくは(110)配向の気相合成ダイヤモンド層が設けられており、単結晶ダイヤモンド種基板とシリコン基板が(100)配向もしくは(110)配向の気相合成ダイヤモンド層を介して接合され、該ダイヤモンド層と単結晶ダイヤモンド種基板とが表面近傍で密着し、両者の表面が実質的に平坦化且つ一体化されていることを特徴とするダイヤモンド基板。
(2)前記シリコン基板における凹部の形状が、シリコン基板の主面部上方から見たときに円形、楕円形、又は全ての角半径が50μm以上である、角が丸くなった多角形であることを特徴とする前記(1)に記載のダイヤモンド基板。
(3)前記単結晶ダイヤモンド種基板の形状が、主面部上方から見たときに円形、楕円形、又は全ての角半径が50μm以上である、角が丸くなった多角形であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のダイヤモンド基板。
(4)前記単結晶ダイヤモンド種基板とシリコン基板凹部との隙間量が、200μm以下であることを特徴とする前記(1)から(3)のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
(5)前記シリコン基板が、主面の面方位が(100)の単結晶であることを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
(6)前記ダイヤモンド基板の表面は、その反りが±10μm以内であることを特徴とする前記(1)から(5)のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
(7)前記ダイヤモンド基板の裏面は、その反りが±10μm以内であることを特徴とする前記(1)から(6)のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
(8)前記シリコン基板上のダイヤモンド層の厚さが10μm以上であることを特徴とする前記(1)から(7)のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
(9)前記単結晶ダイヤモンド種基板表面の周囲全周又は一部に溝が存在することを特徴とする前記(1)から(8)のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
(10)前記溝が、深さ3μm以下、幅20μm以下であることを特徴とする前記(9)に記載のダイヤモンド基板。
(11)ダイヤモンド単結晶を含むダイヤモンド基板の製造方法であって、
凹部となる第1の領域と、該第1の領域を取り囲む第2の領域とを含む主面を有するシリコン基板の第1の領域に、第1の領域の凹部深さよりも板厚が厚く、かつ主面の面方位が(111)である単結晶ダイヤモンド種基板を載置する載置工程と、
気相合成法を用いて前記単結晶ダイヤモンド種基板と前記第2の領域上に、第2の領域上のダイヤモンド層が(100)配向もしくは(110)配向となるように気相合成ダイヤモンド層を形成して互いを接続する接続工程と、
単結晶ダイヤモンド種基板上に形成された気相合成ダイヤモンド層全部と、第2の領域上に形成された気相合成ダイヤモンド層の一部を機械的に研磨して双方を実質的に平坦化する研磨工程と、
を有することを特徴とするダイヤモンド基板の製造方法。
(12)前記第1の領域の形状が、シリコン基板の主面部上方から見たときに円形、楕円形、又は全ての角半径が50μm以上である、角が丸くなった多角形であることを特徴とする前記(11)に記載のダイヤモンド基板の製造方法。
(13)前記第1の領域に載置する単結晶ダイヤモンド種基板の形状が、主面部上方から見たときに円形、楕円形、又は全ての角半径が50μm以上である、角が丸くなった多角形であることを特徴とする前記(11)または(12)に記載のダイヤモンド基板の製造方法。
(14)第1の領域に単結晶ダイヤモンド種基板を載置した際に、単結晶ダイヤモンド種基板の主面部とシリコン基板の主面部における第2の領域との段差が30μm以上、100μm以下となることを特徴とする前記(11)から(13)のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
(15)第1の領域に単結晶ダイヤモンド種基板を載置した際に、単結晶ダイヤモンド種基板と前記第1の領域の凹部との隙間が200μm以下となることを特徴とする前記(11)から(14)のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
(16)第1の領域に単結晶ダイヤモンド種基板を載置した際に、単結晶ダイヤモンド種基板と前記第1の領域の凹部との隙間に対する単結晶ダイヤモンド種基板の主面部とシリコン基板の主面部における第2の領域との段差の比が0.3以上120以下となることを特徴とする前記(11)から(15)のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
(17)前記シリコン基板が主面の面方位が(100)の単結晶であることを特徴とする前記(11)から(16)のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
(18)前記研磨工程後のダイヤモンド基板の表面は、その反りが±10μm以内であることを特徴とする前記(11)から(17)のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
(19)前記研磨工程後のダイヤモンド基板の裏面は、その反りが±10μm以内であることを特徴とする前記(11)から(18)のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
(20)前記研磨工程後における第2の領域上に形成された気相合成ダイヤモンド層の厚さが、10μm以上であることを特徴とする前記(11)から(19)のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
(21)前記研磨工程の際、単結晶ダイヤモンド種基板表面の周囲全周又は一部に溝を発生させることを特徴とする前記(11)から(20)のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
(22)前記単結晶ダイヤモンド種基板の周囲に発生した溝が、深さ3μm以下、幅20μm以下であることを特徴とする前記(21)に記載のダイヤモンド基板の製造方法。
本発明のダイヤモンド基板およびその製造方法によれば、単結晶ダイヤモンド種基板の面方位と周囲の気相合成ダイヤモンド層の配向方位が異なることにより、リンなどのドーピング層を形成した際に、ドーピングされた単結晶ダイヤモンド種基板が周辺より突出してウェハプロセス(フォトソリグラフィープロセス)が容易となる。したがって、ウェハプロセス等において取り扱いが容易となる大面積のダイヤモンド基板を製造し提供することができる。
以下、本発明について説明する。
本発明のダイヤモンド基板は、シリコン基板上に単結晶ダイヤモンド種基板が配置されたダイヤモンド基板であって、シリコン基板に凹部が存在し、この凹部上に主面の面方位が(111)である単結晶ダイヤモンド種基板が配置されており、シリコン基板の凹部以外の表面上に(100)配向もしくは(110)配向の気相合成ダイヤモンド層が設けられており、単結晶ダイヤモンド種基板とシリコン基板が(100)配向もしくは(110)配向の気相合成ダイヤモンド層を介して接合され、該ダイヤモンド層と単結晶ダイヤモンド種基板とが表面近傍で密着し、両者の表面が実質的に平坦化且つ一体化されている。
本発明のダイヤモンド基板は、例えば、凹部となる第1の領域と、該第1の領域を取り囲む第2の領域とを含む主面を有するシリコン基板の第1の領域に、第1の領域の凹部深さよりも板厚が厚く、かつ主面の面方位が(111)である単結晶ダイヤモンド種基板を載置する載置工程と、
気相合成法を用いて前記単結晶ダイヤモンド種基板と前記第2の領域上に、第2の領域上のダイヤモンド層が(100)配向もしくは(110)配向となるように気相合成ダイヤモンド層を形成して互いを接続する接続工程と、
単結晶ダイヤモンド種基板上に形成された気相合成ダイヤモンド層全部と、第2の領域上に形成された気相合成ダイヤモンド層の一部を機械的に研磨して双方を実質的に平坦化する研磨工程、
により製造することができる。ただし、本発明に係るダイヤモンド基板は、上記の製造方法に限定されるものではない。
シリコン基板の主面凹部すなわち第1の領域に、凹部より厚く、主面の面方位が(111)である単結晶ダイヤモンド種基板をはめ込み、シリコン基板と単結晶ダイヤモンド種基板を、気相合成ダイヤモンド層を介して接続する。シリコン基板の凹部に単結晶ダイヤモンド種基板がはめ込まれた状態でこの主面上に気相合成ダイヤモンド層を形成する。すると、気相合成ダイヤモンド層は、単結晶ダイヤモンド種基板上及び凹部を取り囲むシリコン基板の主面である第2の領域上にそれぞれ成長し、このときダイヤモンド層は成長するに従って少しずつ横に広がり、シリコン基板と単結晶ダイヤモンド種基板の隙間を埋めることになる。これによって、両基板はダイヤモンドで強固に接続され、表面の機械的な研磨が可能になる。次いで、気相合成ダイヤモンド層を単結晶ダイヤモンド種基板が露出するまで研磨し取り除いてゆく。機械的に研磨された表面は、単結晶ダイヤモンド種基板部分とその周囲の気相合成ダイヤモンド部分からなり、単結晶ダイヤモンド種基板部分が良質の単結晶として半導体・光学用等に利用できる。
本発明のダイヤモンド基板およびその製造方法では、単結晶ダイヤモンド種基板の板厚が凹部の深さよりも厚いことにより、機械的な研磨によって種基板表面までダイヤモンドを研磨しても、種基板は脱落することなく維持される。種基板上に気相合成で成長させるダイヤモンド層は単結晶であっても多結晶であってもよい。気相合成ダイヤモンド形成時に、合成応力等の歪みのため、単結晶種基板や気相合成ダイヤモンド層に亀裂が生じたとしても、この亀裂・応力領域を研磨工程で除去して、歪みのない良質の単結晶種基板領域を利用できる。また、研磨後のダイヤモンド基板の表面は、実質的に平坦化且つ一体化されている。本発明において実質的に平坦化且つ一体化されているとは、後述するように、単結晶ダイヤモンド種基板の周囲に微小な溝を発生させたり、種基板の主面とシリコン基板上のダイヤモンド層の主面にわずかな段差が生じたりする場合も含んでいる。
本発明で用いるシリコン基板に形成する凹部の形状は、主面上部から見た時に円形、楕円形、又は全ての角半径が50μm以上である、角が丸くなった多角形であることが望ましい。
シリコン基板に形成された凹部に載置する単結晶ダイヤモンド種基板の形状は、主面部上方から見たときに円形、楕円形、又は全ての角半径が50μm以上である、角が丸くなった多角形であることが望ましい。
さらに、シリコン基板の凹部の形状と、単結晶ダイヤモンド基盤の形状は、相似形であることが好ましく、これにより上記凹部に単結晶ダイヤモンド種基板を埋め込んだ時の隙間が一様となり、気相合成時に気相合成ダイヤモンド層が隙間を完全に覆い、単結晶ダイヤモンド種基板との接合がより強固なものとなる。また、角半径を50μm以上とすることによって研磨時における角部分の脱落を防止することができる。
シリコン基板上への凹部形成方法としては、エンドミル加工やドリル加工などの機械加工、ウェットエッチング、又はドライエッチングが好ましい。機械加工やウェットエッチング加工では安価で短時間の加工が可能となり、また、ドライエッチングでは加工精度の高い凹部形成が可能となる。
用意する単結晶ダイヤモンド種基板のサイズは底面積1mm2以上、厚さ100μm以上が好ましい。単結晶ダイヤモンド種基板のサイズが上記サイズ以上でなければ取り扱いが困難となる。また、単結晶ダイヤモンド種基板を埋め込むシリコン基板主面部の凹加工も困難となる。
シリコン基板上に形成した凹部のサイズは、単結晶ダイヤモンド種基板サイズに対してその周囲の最大の隙間(以下、隙間量と称す)が200μm以下となるのが好ましい。より好ましくは20μm以上100μm以下である。これにより、最低限の気相合成ダイヤモンド層の形成によって、単結晶ダイヤモンド種基板とシリコン基板を接続することができる。また、凹部の深さは10μm以上500μm以下、好ましくは20μm以上300μm以下が望ましい。深さが浅いと単結晶ダイヤモンド載置時に位置が動く場合がある。一方、深すぎると、凹部加工の時間がかかるだけでなく、研磨時のシリコン基板割れに繋がる。凹部の深さが前記範囲にあることにより、低コストで再現性よくダイヤモンド基板を得ることができる。
第1の領域に単結晶ダイヤモンド種基板を配置した際、配置後の種基板表面と、凹部以外のシリコン基板表面である第2の領域表面との段差(以下、段差量と称す)は20μm以上300μm以下となることが好ましく、より好ましくは30μm以上100μm以下である。上記段差を適度な高さにすることで、シリコン基板主面部から成長した気相合成ダイヤモンドと単結晶ダイヤモンド種基板の接合強度が上がり、研磨工程において容易に単結晶ダイヤモンド種基板を露出することができる。
前記段差量と隙間量の関係が、隙間量に対する段差量の比が0.3以上120以下となることが好ましく、より好ましくは0.4以上5以下である。隙間量に対する段差量の比がこの範囲内であると、続く工程中で、シリコン基板から単結晶ダイヤモンド種基板が脱落することがなく、製造工程での不良率を低減できる。
本発明で用いる単結晶ダイヤモンド種基板は、主面の面方位を(111)とする。面方位が(111)の単結晶ダイヤモンドには、リン及びホウ素のいずれもドーピング可能であることから、本発明のダイヤモンド基板を用いることで大型のn型、及びp型の単結晶デバイス作製が容易になる。また、(111)面は最も研磨しにくい面のため、通常の研磨後の(111)単結晶は厳密には(111)面を向いておらず、(111)面から数度ずれた方向を向く場合が多い。本発明の単結晶ダイヤモンド種基板では、その周囲を気相合成ダイヤモンドで固定してから研磨するため、通常の(111)単結晶単体よりもずれの少ない(111)面を取ることが可能となる。研磨後に得られる単結晶ダイヤモンド種基板の表面は(111)面からのずれが5度以内であれば、その後のリンドーピングダイヤモンドの形成に有効となる。本発明の方法によれば、ずれをこの範囲にまで小さくすることは十分に可能である。
本発明で用いる単結晶ダイヤモンド種基板は、高温高圧合成法、気相合成法で得られる単結晶、及び天然産単結晶いずれもが利用できるが、好ましくは高温高圧合成法で得られるIb型単結晶、より好ましくは、IIa型単結晶を用いる。種基板としてこれら結晶性のよい単結晶を利用することにより、半導体用のダイヤモンド基板としてその後のドーピング層形成などが有利になる。
本発明で用いるシリコン基板は、任意の面方位の単結晶、及び多結晶いずれも利用できるが、好ましくは主面の面方位が(100)の単結晶を使用する。これにより、後に述べるようにシリコン基板上に成長する気相合成ダイヤモンド層の配向性を(100)または(110)に制御しやすくなる利点がある。
本発明で用いるシリコン基板は、直径2インチ以上で厚さは0.3mm以上5mm以下のウェハ状が望ましい。これにより、大面積でウェハプロセスに投入可能なダイヤモンド基板を提供できる。
シリコン基板上に形成する気相合成ダイヤモンド層は(100)配向もしくは(110)配向の多結晶ダイヤモンドとする。単結晶ダイヤモンド種基板上の気相合成ダイヤモンド層は任意の配向性を持つ多結晶または単結晶いずれでも良い。もし逆にシリコン基板上に形成する多結晶ダイヤモンドが(111)配向ダイヤモンドの場合、単結晶の周囲の多結晶は多くの場合(111)面からずれてOFF角が大きくなる。そこにリンなどのドーピング層を(111)配向条件で形成しようとしても、成長速度は単結晶よりOFF角の大きい周囲の多結晶部分の方が速くなり、良質の単結晶ドーピング層が窪んでしまう。その結果、デバイス作製のためフォトリソグラフィープロセスを通そうとしても、レジストが窪んだ単結晶部に厚く残ったり、コンタクトアライナを用いようとしても単結晶とフォトマスクに隙間が発生して露光パターンがぼけてしまうなど、デバイス作製が困難になる。そこで、本発明のように(100)配向もしくは(110)配向の多結晶ダイヤモンドで単結晶を接合した場合、リンなどのドーピング層を(111)配向条件で形成すると、成長速度は単結晶が速く周囲が遅くなり、ドーピングされた単結晶が周辺より突出して、容易にフォトリソグラフィープロセスを通す事が可能になる。より好ましくは(100)配向ダイヤモンドがよい。
ここで述べた(100)配向とは、面に垂直な方向が<100>に揃った表面のことであり、(110)配向とは、面に垂直な方向が<110>に揃った表面のことである。面内回転方向の一致は問わない。配向性を調べる代表的な評価法としてX線回折法が利用できる。銅管球のKα線を用いたθ/2θ法においてダイヤモンド基板表面を2θ=40〜130°に渡って評価した際、2θ=120°付近に現れる(400)回折ピーク比率が、参照となるダイヤモンド粉末の(400)回折ピーク比率より大きければ、(100)配向と判断される。また、2θ=76°付近に現れる(220)回折ピーク比率が、参照となるダイヤモンド粉末の(220)回折ピーク比率より大きければ、(110)配向と判断される。θ/2θ法以外の方法を用いて判断してもよい。X線回折法では基板内部の配向も見ることになるため、さらに望ましいのは反射型高速電子線回折や低速電子線回折で最表面が(100)配向もしくは(110)配向となることである。
シリコン基板主面部上に形成した気相合成ダイヤモンド層の膜厚分布(平均膜厚に対し、面内の最大膜厚と最小膜厚の差の占める割合)は30%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。これによりその後の研磨工程における研磨時間の短縮が見込まれる。
研磨工程は、単結晶ダイヤモンド種基板上に形成された気相合成ダイヤモンド層全部と、第2の領域上に形成された気相合成ダイヤモンド層の一部を機械的に研磨して双方を実質的に平坦化する。第2の領域上に形成された気相合成ダイヤモンド層は、第2の領域上に気相合成ダイヤモンド層が残るように、その一部を、全面又は面の一部において研磨除去し、ダイヤモンド種基板と第2の領域上の気相合成ダイヤモンド層を実質的に平坦化する。
さらにダイヤモンド基板裏面のシリコン基板部分と、第1の領域の凹部に含まれる単結晶ダイヤモンド種基板を研磨等の機械的に除去することにより、自立型ダイヤモンド基板として使用できる。
これにより、さらに薄いダイヤモンド基板となり、既存のウェハプロセスに適用しやすくなる。
研磨工程の後における、ダイヤモンド基板の表面(ダイヤモンド面)及び裏面(シリコン面)の反りは±10μm以内であることが望ましい。ここで言う反りとは、ダイヤモンド基板を平板上に固定配置した際の面内最高点と最低点の差で表され、+方向は中心が凸方向(上に凸)と定義する。この反りは、例えば気相合成ダイヤモンド層を形成する際の基板の温度等を調整することにより調整することができる。ダイヤモンド基板の反りを前記範囲内に収めることにより、その後の半導体ウェハプロセス等への利用が容易になる。
研磨工程の後における、第2の領域上の気相合成ダイヤモンド層の厚さは10μm以上であることが望ましい。また、気相合成ダイヤモンド層の厚さ分布は10μm以下であることが望ましい。ダイヤモンド層の厚さが10μm未満になれば、単結晶ダイヤモンド種基板との接合が弱くなり、その後のドーピングダイヤモンド層の形成(温度変化)時や、半導体ウェハプロセスで単結晶ダイヤモンド種基板が脱落する可能性が高まる。気相合成ダイヤモンド層の厚さ分布が10μmより大きくなれば、その後の半導体ウェハプロセスでの面内均一性が悪化する。
本発明のダイヤモンド基板およびその製造方法では、研磨工程の際、単結晶ダイヤモンド種基板表面の周囲全周又は一部に溝を発生させることがさらなる特徴である。通常、研磨後のダイヤモンド基板表面は、単結晶種基板と、周囲の気相合成ダイヤモンド層が一体化するため、領域の区別が困難である。この後、例えばフォトリソグラフィープロセスに投入する際、領域の区別が困難であれば、デバイスの作製領域を特定することが困難になる。これを解決するため、特定の研磨条件を用いれば、前記のように単結晶ダイヤモンド種基板表面の周囲全周又は一部に溝を発生させることができる。具体的には、後述する実施例で示すように、研磨の際の荷重を任意に選択することで、所望の大きさの溝を形成することができる。但し、溝を発生させた場合でも、その深さは3μm以下、幅は20μm以下であることが望ましい。この溝のサイズを前記範囲内に収めることによって、フォトレジストの塗布で生じる膜厚分布を防止することができる。この溝は、1本であっても、2本以上の多重であっても、また連続していても、図4(a)に示すように断続的なものであっても効果に相違はない。多重の場合でも、それぞれの深さ・幅は前記範囲内に入ることが望ましい。
研磨工程の後において表面に露出した単結晶ダイヤモンド種基板と、その周囲の気相合成ダイヤモンド層の段差は、1.2μm以下であることが望ましい。この段差範囲は、単結晶ダイヤモンド種基板が周囲より高くなっても、低くなっても同様である。これにより、フォトレジストの塗布で生じる膜厚分布を防止することができ、また、フォトリソグラフィープロセス時における露光プロセスを良好に行うことができる。
研磨によって単結晶ダイヤモンド種基板が露出したかどうかは、ラマン分光によるダイヤモンドピークのシフト量、半値幅測定によって判断できる。ラマン励起光にArレーザー(波長514.5nm)を使用した場合、研磨後の単結晶ダイヤモンド種基板表面のラマンシフトが1332±1cm-1、半値幅が2.5cm-1以下となることが好ましい。研磨工程の前後でラマンシフトと半値幅を比較することで、単結晶ダイヤモンド種基板が露出したかどうかを簡単に識別できる。ただし、上記半値幅を適用する場合の装置波数分解能は1.9cm-1とする。
研磨工程の後における単結晶ダイヤモンド種基板表面の表面粗さは、Raが10nm以下であることが望ましい。このRaは原子間力顕微鏡(AFM)で容易に測定することができる。表面粗さを前記範囲内に収めることにより、その後の半導体ダイヤモンド合成や半導体ウェハプロセスを良好に行うことができる。
以下に、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
[実施例1]
本実施例の製造工程は以下の4つからなる。
第一の工程はシリコン基板と単結晶ダイヤモンド種基板をそれぞれ準備し、シリコン基板主面には第1の領域となる凹加工を施し、シリコン基板主面部の凹部に単結晶ダイヤモンド種基板を載置する工程(以下、載置工程とする)。第二工程は気相合成法によりシリコン基板主面部及び単結晶ダイヤモンド種基板主面部に気相合成ダイヤモンド層を形成して両者を接続する工程(以下、接続工程とする)。第三工程は単結晶ダイヤモンド種基板上及びシリコン基板主面上に成長した気相合成ダイヤモンド層を機械的に研磨する工程(以下、研磨工程とする)。そして、完成した製品の評価を行う工程(以下、評価工程とする)である。
<載置工程>
載置工程を模式的に図1に示す。用意した単結晶ダイヤモンド種基板1は、高温高圧合成法で得られたIb型単結晶ダイヤモンドで、主面の面方位は(111)、サイズは縦2mm、横2mm、厚さ300μmの角が丸くなった4角型であり、主面方向から見た4角の角半径5は50μmとした(図1(b))。シリコン基板2は多結晶体であり、サイズは直径2インチで厚さは1mmとした。シリコン基板主面部にはエンドミル加工で凹部となる第1の領域3が形成され、そのサイズは縦2.1mm、横2.1mm、図1(c)に示す凹部深さ7は250μmとし、単結晶ダイヤモンド種基板とシリコン基板凹部の隙間4を50μmとして単結晶ダイヤモンド種基板1を載置した(図1(a)(c))。単結晶ダイヤモンド種基板1載置後の単結晶ダイヤモンド種基板1とシリコン基板2主面部の段差6は50μmとした(図1(c))。
<接続工程>
ここでは気相合成法を用いて、単結晶ダイヤモンド種基板1主面部及びシリコン基板2主面部にダイヤモンド層を形成して両者を接続した。気相合成ダイヤモンドの形成には、公知のマイクロ波プラズマCVD法を用いた。ダイヤモンド合成条件はメタン流量比(メタン流量/水素流量)1%、シリコン基板の温度が850℃、圧力が1.5×104Paとして、30時間合成した。
気相合成ダイヤモンド層形成後の基板の断面を模式的に図2に示す。シリコン基板2上に形成された気相合成ダイヤモンド層8及び単結晶ダイヤモンド種基板1上に形成された気相合成ダイヤモンド層9は、(110)配向ダイヤモンドであった。シリコン基板2の主面部より成長した気相合成ダイヤモンド層8の厚さは60±8μm、単結晶ダイヤモンド種基板1の主面部より成長した気相合成ダイヤモンド層9の厚さは80μmであった。
<研磨工程>
単結晶ダイヤモンド種基板1上及びシリコン基板2主面上に成長した気相合成ダイヤモンド層8,9を、自公転・乾式の研磨装置を用いて機械的に研磨した。研磨荷重は5kgとした。40時間の研磨後、単結晶ダイヤモンド種基板を露出させることができ、表面全面が鏡面に研磨された。研磨後のダイヤモンド基板の板厚は1.039〜1.049mm(すなわち気相合成ダイヤモンド層の厚さは39〜49μm)であった。この時の基板反り量は、表面(ダイヤモンド面)が凸(+)10μm、裏面(シリコン面)が凹(−)10μmであった。研磨後の基板の断面を模式的に図3に示す。図3において、単結晶ダイヤモンド種基板1がシリコン基板2上に形成された気相合成ダイヤモンド層8を介してシリコン基板2に接合され、単結晶ダイヤモンド種基板1と気相合成ダイヤモンド層8とが表面近傍で密着し、両者の表面が実質的に平坦化且つ一体化されていることが分かる。
<評価工程>
まず、単結晶ダイヤモンド種基板1表面と、その周囲の研磨済み気相合成ダイヤモンド層8の接続部を、光学顕微鏡で観察した。その結果、図3中、表面接合領域10を図4に模式的に示すように、種基板1の表面周囲の一部に、2重にわたる単結晶ダイヤモンド種基板1周辺の接合領域に生じた溝11が観察された(図4(a))。図4(b)に基板の断面の様子を示すように、この溝11のサイズを原子間力顕微鏡(AFM)で評価したところ、内側の溝深さは354nm、幅は11μmで、外側の溝深さ13は2.8μm、溝幅12は19μmであった。単結晶ダイヤモンド種基板1と気相合成ダイヤモンド層8の段差14は0.6μmであった。また、単結晶ダイヤモンド種基板1の表面粗さはRaで2nmであった。
研磨によって単結晶ダイヤモンド種基板1が露出したかどうかの判定は、ラマン分光測定によって行った。ラマン分光装置は、励起光にArレーザー(波長514.5nm)を使用し、あらかじめ気相合成ダイヤモンド形成前の単結晶ダイヤモンド種基板のラマンシフトが1332cm-1、半値幅が2.2cm-1であることを確認した。次に、<接続工程>における単結晶ダイヤモンド種基板上に成長した気相合成ダイヤモンド層のラマンシフトを計測したところ、シフト波数1333.1cm-1、半値幅が3.8cm-1となることから、気相合成ダイヤモンド層の多結晶化に伴う結晶完全性の悪化が認められた。さらに、<研磨工程>終了後の単結晶ダイヤモンド種基板表面のラマンシフトを同様に計測し、シフト波数1332cm-1、半値幅が2.2cm-1となることから、気相合成ダイヤモンド層は研磨除去され、種基板表面が露出されていると判断できた。
こうして得られたダイヤモンド基板に対し、リンを不純物としたn型ドーピング層を形成した。ドーピング層の形成には、公知のマイクロ波プラズマCVD法を用いた。ダイヤモンド合成条件はメタン流量比(メタン流量/水素流量)0.05%、ホスフィン流量比(ホスフィン流量/メタン流量)2%、基板の温度が950℃、圧力が1.07×104Paとして、30時間合成した。合成済みの基板は単結晶部分が周囲の多結晶より0.9〜2.8μm突出した形状になった。
4端子法によって常温の抵抗率を測定したところ、9.0×102Ω・cmとなった。また、ホール測定では単結晶ダイヤモンド層はn型半導体であると判定することができた。さらに2次イオン質量分析によって4×1019/cm3のリンがダイヤモンド中に存在することが認められたことから、単結晶ダイヤモンド種基板上に成長したダイヤモンドはリンドープの半導体であることが確認できた。
このn型ドーピング済みのダイヤモンド基板に対し、半導体ウェハプロセスの一例としてフォトリソグラフィープロセスのテストを行った。基板表面にジアゾナフトキノン系感光剤とノボラック樹脂とを混合したポジ型フォトレジストをスピンコートした。この結果、単結晶ダイヤモンド種基板上のレジストの膜厚分布は0.9%であった。このダイヤモンド基板を用いて露光試験を行い、露光位置合わせが容易にでき、且つ露光位置がプロセス中にずれないことがわかった。レジスト塗布の比較例として、本実施例で用いた単結晶ダイヤモンド種基板単体をそのままスピナー治具に貼り付け、実施例と同じ塗布条件を用いてレジストをスピンコートした。この結果、単結晶ダイヤモンド種基板上のレジストの膜厚分布は21%となり、実施例1で得られたダイヤモンド基板の優位性が示された。
[比較例1]
ここで比較例1として、シリコン基板に凹部を形成しないで作製した例について述べる。ここでは、実施例1と同じ仕様の単結晶ダイヤモンド種基板、シリコン基板を用意したが、<載置工程>において、図5に示すように、シリコン基板2には凹部を形成せず、そのまま平面の表面上に単結晶ダイヤモンド種基板1を載置した。<接続工程>は実施例1と同じとし、<研磨工程>を行ったところ、研磨中に単結晶ダイヤモンド種基板が脱落した。このことから、シリコン基板に凹部を形成することの優位性が明らかになった。
[比較例2]
さらに比較例2として、図6に示すように、シリコン基板2凹部の深さと、単結晶ダイヤモンド種基板1の板厚が一致した例について述べる。ここでは、実施例1と同じ仕様の単結晶ダイヤモンド種基板、シリコン基板を用意したが、単結晶ダイヤモンド種基板の板厚が250μmである点のみが異なる。
<接続工程>は実施例1と同じとし、<研磨工程>を行ったところ、単結晶ダイヤモンド種基板1上の気相合成ダイヤモンド層の厚さが10μmより薄くなった時点で、単結晶ダイヤモンド種基板1が脱落し、種基板表面を露出させることはできなかった。このことから、単結晶ダイヤモンド種基板の板厚はシリコン基板に形成した凹部の深さよりも厚い必要があり、また、シリコン基板上のダイヤモンド層の厚さは10μm以上ある必要があることがわかった。
[比較例3]
さらに比較例3として、<接続工程>におけるシリコン基板上に形成する気相合成多結晶ダイヤモンド層を(111)配向で成長させた以外は実施例1と同じとし、ダイヤモンド基板を作製した。
ダイヤモンド合成条件はメタン流量比(メタン流量/水素流量)0.25%、シリコン基板の温度が1150℃、圧力が1.2×104Paとして、30時間合成した。X線回折により、多結晶ダイヤモンドが(111)配向であることを確認した。その後研磨工程を通した後、実施例1と同様にリンを不純物としたn型ドーピング層を形成した。その結果、合成済みの基板は単結晶部分が周囲の多結晶より1.9〜3.3μm低く窪んでしまった。
このn型ドーピング済みのダイヤモンド基板に対し、半導体ウェハプロセスの一例としてフォトリソグラフィープロセスのテストを行った。フォトレジストをスピンコートしたところ、レジストは窪みの隅に厚く溜まり、膜厚分布は36%にもなった。またコンタクトアライナを用いて露光したが、フォトマスクと単結晶表面が密着せず、3μm以下のパターンがぼけてパターン形成できなかった。
[実施例2]
本実施例の製造工程は実施例1と同じ4つから成る。
<載置工程>
載置工程の模式図が図7である。用意した単結晶ダイヤモンド種基板1は3枚あり、いずれも高温高圧合成法で得られたIIa型単結晶ダイヤモンドで、主面の面方位は(111)、サイズは直径2mm、厚さ100μmの円板状である。シリコン基板2は主面が(111)の単結晶基板であり、サイズは直径2インチで厚さは0.3mmとした。シリコン基板主面部には、図7(a)に示すように、マスクと高周波プラズマを用いたドライエッチング法で凹部となる第1の領域3を3ヶ所形成した。その形状は直径2.05mm、深さ70μmの円筒状とし、単結晶ダイヤモンド種基板1に対して側面の隙間を25μm取った。図7(b)に示すように、単結晶ダイヤモンド種基板1載置後のシリコン基板2主面部と単結晶ダイヤモンド種基板1主面部との段差は30μmとした。
<接続工程>
ここでは気相合成法を用いて、単結晶ダイヤモンド種基板1主面部及びシリコン基板2主面部に気相合成ダイヤモンド層を形成して両者を接続した。気相合成ダイヤモンドの形成には、公知の熱フィラメントCVD法を用いた。ダイヤモンド合成条件はメタン流量比(メタン流量/水素流量)1.0%、シリコン基板の温度が1000℃、圧力が1.3×104Paとして、30時間合成した。
気相合成ダイヤモンド層形成後の模式図が図8である。シリコン基板2上に形成された気相合成ダイヤモンド層8及び単結晶ダイヤモンド種基板1上に形成された気相合成ダイヤモンド層9は、(100)配向ダイヤモンドであった。シリコン基板2の主面部より成長した気相合成ダイヤモンド層8の厚さは50±2.5μm、単結晶ダイヤモンド種基板1の主面部より成長した気相合成ダイヤモンド層9の厚さは60μmであった。
気相合成ダイヤモンド層9の配向性は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて表面形状を観察し、表面部分が四角形の(100)ファセットから形成されていることで確認した。銅管球のX線回折装置を用いて、θ/2θ法で回折角の計測を行った。回折角2θが(400)回折ピークである約120度において、ランダム方位のダイヤモンド粉末に比べて約3.6倍の回折強度比率であったことから(100)配向ダイヤモンドであることを確認した。
さらに、光学顕微鏡にて、単結晶ダイヤモンド種基板1上の成長表面から深さ方向に焦点を送りながら、結晶内部の様子を観察した。この結果、図8に示すように、単結晶ダイヤモンド種基板1とこの上に成長した気相合成ダイヤモンド層9の界面近傍に、単結晶ダイヤモンド種基板1及び気相合成ダイヤモンド層9に生じた亀裂領域15の存在が認められた(図8)。
<研磨工程>
実施例1の<研磨工程>と同様の条件で研磨したが、単結晶ダイヤモンド種基板1が露出するまでの研磨時間は35時間であった。研磨後のダイヤモンド基板の板厚は0.31mmであった。この時の基板反り量は、表面(ダイヤモンド面)が−10μm、裏面(シリコン面)が+10μmであった。また、<接続工程>で認められた、単結晶ダイヤモンド種基板1とこの上に成長した気相合成ダイヤモンド層9の界面近傍に存在した亀裂領域15は完全に消失し、研磨で除去されていることがわかった。これにより、単結晶ダイヤモンド種基板1の主面が(111)で、周囲を(100)配向ダイヤモンドで囲われたダイヤモンド基板が得られた。
<評価工程>
表面に露出した単結晶ダイヤモンド種基板1の、正確な面方位を特定するため、ωスキャン法とX線全反射法を組み合わせて、基板面方位を測定した。この結果、単結晶ダイヤモンド種基板1表面は(111)面から0.5度ずれた方向を向いていることがわかった。
次に全工程が終了したダイヤモンド基板に対してホスフィンを不純物として添加した気相合成ダイヤモンド膜を成膜した。使用したガスは水素、メタン及びホスフィンで、それぞれの流量比は100万対1000対5とした。成膜時のダイヤモンド基板の温度は900℃で、25時間成膜したところ、単結晶ダイヤモンド種基板1上に単結晶ダイヤモンドが成長し、その膜厚は5μmであった。合成済みの基板は単結晶部分が周囲の多結晶より1.2〜2.8μm突出した形状になった。
その後単結晶ダイヤモンド種基板主面部に成長したダイヤモンド膜について、4端子法によって常温の抵抗率を測定したところ、2.0×103Ω・cmとなった。また、ホール測定では単結晶ダイヤモンド層はn型半導体であると判定することができた。さらに2次イオン質量分析によって3×1019/cm3のリンがダイヤモンド中に存在することが認められたことから、単結晶ダイヤモンド種基板上に成長したダイヤモンドはリンドープの半導体であることが確認できた。
ここで比較のため、主面面方位が(100)の高温高圧合成IIa型単結晶ダイヤモンド基板に対して、上記と同条件でリンドープ単結晶ダイヤモンドの成長を行った。成膜後の表面について、4端子法で常温の抵抗率を測定したところ、1.0×107Ω・cmとなり絶縁性を示した。これらの結果から、本発明のダイヤモンド基板は、半導体デバイスとして好適に使用できることがわかった。
[実施例3]
本実施例では<接続工程>における気相合成ダイヤモンド層の形成条件を変更して、接続さらに研磨後のダイヤモンド基板の反り量が変化した例を述べる。
<載置工程>
実施例1の<載置工程>と同様の試料を7組用意した。
<接続工程>
気相合成ダイヤモンド層の形成条件は、シリコン基板2の温度と合成時間以外は実施例1の<接続工程>と同じとした。基板温度とダイヤモンド合成時間は次の通りである。(i)950℃22時間、(ii)980℃20時間、(iii)1050℃20時間、(iv)1100℃25時間、(v)900℃25時間、(vi)860℃28時間、(vii)800℃40時間。合成後のダイヤモンド面の反りはそれぞれ−20〜+80μm、裏面(シリコン面)の反りは−20〜+20μmであった。また、シリコン基板上のダイヤモンド層の平均厚さはいずれの試料も60μmで、その厚さ分布はそれぞれ±2.5〜45μmであった。得られた気相合成ダイヤモンド層は(vii)のみが(100)配向で、その他は(110)配向であった。
<研磨工程・評価工程>
実施例1の<研磨工程>と同様行い、研磨後の両面の反りを測定した。さらに、実施例1の<評価工程>で述べたフォトレジスト塗布を行い、ステッパー及びアライナーを用いてパターン形成テストを行った。結果を下記表1に示す。
Figure 0004789009
表1の結果から、反りが±10μm以内であれば、ステッパーとアライナーの両方に適用できるダイヤモンド基板となることがわかった。
[実施例4]
本実施例では、<研磨工程>における研磨条件を変更させて、図4に示したような、研磨後表面の単結晶ダイヤモンド種基板1周辺の接合領域に生じた溝11の溝幅12、及び単結晶ダイヤモンド種基板1及び気相合成ダイヤモンド層8の段差14を変化させた時の例について述べる。
<載置工程>
実施例1の<載置工程>と同様の試料を5組用意した。
<接続工程>
実施例1の<接続工程>と同様とした。
<研磨工程>
実施例1の<研磨工程>と同様に行い、研磨荷重を試料毎に1〜9kgの範囲で変化させた。単結晶ダイヤモンド種基板1が表面に露出した時に研磨を終了した。
<評価工程>
研磨終了時に種基板外周に生じた溝の最大幅、深さ、段差を計測し、その後実施例1と同様の方法でレジスト塗布を行い、レジストの膜厚分布を測定した。
Figure 0004789009
研磨終了時に種基板外周に生じる溝の最大の深さ、幅、段差が、それぞれ3μm以下、20μm以下、1.2μm以下となるときに、レジスト膜厚分布を1%以下に抑えられることがわかった。
[実施例5]
本実施例では<載置工程>において段差量を変化させたときの例を述べる。
<載置工程>
用意した単結晶ダイヤモンド種基板の形状は円板状で、高温高圧合成法で得られたIb型単結晶ダイヤモンドである。
主面の面方位は(111)、サイズは直径2mm、厚さは260μmから450μmまで10μm毎に厚さの異なるものを準備した。
シリコン基板は主面が(100)の単結晶基板であり、サイズは直径2インチで厚さは0.3mmとした。シリコン基板主面部の中心に1箇所凹部をマスクと高周波プラズマを用いたドライエッチング法で形成した。その形状は直径2.1mm、深さ250μmの円筒状とし、シリコン基板凹部に単結晶ダイヤモンド種基板を載置した際の隙間量を50μmにした。
単結晶ダイヤモンド種基板の段差量を10μmから400μmまで10μm毎に変化させた試料を準備した。段差量毎に試料を100組、合計4000組用意した。
<接続工程>
気相合成法を用いて単結晶ダイヤモンド種基板主面部及びシリコン基板主面部にダイヤモンド層を形成して両者を接続した。気相合成ダイヤモンドの形成には公知のマイクロ波プラズマCVD法を用いた。ダイヤモンド合成条件はメタン流量比(メタン流量/水素流量)3%、シリコン基板の温度が1000℃、圧力が1.2×104Paとして、膜厚が段差量と同じ厚さになるまで合成した。
シリコン基板上に形成された気相合成ダイヤモンド層及び単結晶ダイヤモンド種基板上に形成された気相合成ダイヤモンド層はいずれも(100)配向であった。
<研磨工程>
単結晶ダイヤモンド種基板上及びシリコン基板主面上に成長した気相合成ダイヤモンド層を、自公転・乾式の研磨装置を用いて機械的に研磨した。研磨荷重は4kgとした。
単結晶ダイヤモンド種基板が露出した時点で研磨を終了させた。単結晶ダイヤモンド種基板が露出したかどうかは、実施例1の<評価工程>と同様にラマン分光測定によって判断した。
図9は、単結晶ダイヤモンド種基板の段差量を変化させたときの、単結晶ダイヤモンド種基板の脱落率を示したグラフである。脱落率は各段差量に対して10枚の試料を研磨したときに、単結晶ダイヤモンド種基板が10枚中何枚外れたかどうかの割合で示したものとする。
単結晶ダイヤモンド種基板の段差量が30μmから100μmのときは研磨工程において単結晶ダイヤモンド種基板の脱落が全く起きなかったが、上記範囲から大きく外れていくと単結晶ダイヤモンド種基板の脱落が徐々に増加する傾向にある。
段差量を変化させたことにより、研磨中に単結晶ダイヤモンド種基板の脱落が発生し、脱落が段差量に依存していることがわかった。
これにより単結晶ダイヤモンド種基板の脱落を防止し、ダイヤモンド基板製造の歩留まりを向上させることができた。
[実施例6]
本実施例は<載置工程>において隙間量を最適化することで単結晶ダイヤモンド種基板が<研磨工程>において脱落を防止することができることを述べる。
<載置工程>
用意した単結晶ダイヤモンド種基板の形状は円板状で、高温高圧合成法で得られたIb型単結晶ダイヤモンドである。主面の面方位は(111)、サイズは直径2.0mm、厚さは340μmとした。
シリコン基板は主面が(100)の単結晶基板であり、サイズは直径2インチで厚さは0.3mmとした。シリコン基板主面部の中心に1箇所凹部をマスクと高周波プラズマを用いたドライエッチング法で形成した。その形状は直径2.0mmから2.3mmまでの10μm毎に直径の異なるシリコン基板を準備した。
シリコン基板凹部の深さは250μmの円筒状とし、シリコン基板凹部に単結晶ダイヤモンド種基板を載置した。
隙間量を0μmから300μmまで10μm毎に変化させた試料を準備し、各隙間量毎に試料を100組、合計3100組用意した。このときの単結晶ダイヤモンド種基板の段差量は80μmとした。
<接続工程>
気相合成法を用いて単結晶ダイヤモンド種基板主面部及びシリコン基板主面部にダイヤモンド層を形成して両者を接続した。気相合成ダイヤモンドの形成には公知のマイクロ波プラズマCVD法を用いた。ダイヤモンド合成条件はメタン流量比(メタン流量/水素流量)3%、シリコン基板の温度が950℃、圧力が1.2×104Paとして、膜厚が段差量80μmと同じ厚さになるまで合成した。合成時間は約27時間。
シリコン基板上に形成された気相合成ダイヤモンド層及び単結晶ダイヤモンド種基板上に形成された気相合成ダイヤモンド層はいずれも(100)配向であった。
<研磨工程>
実施例4の<研磨工程>と同様の方法で研磨を行い、単結晶ダイヤモンド種基板が露出した時点で研磨を終了させた。単結晶ダイヤモンド種基板が露出したかどうかは実施例1の<評価工程>と同様にラマン分光測定によって判断した。
図10は、グラフに隙間量を変化させたときの、単結晶ダイヤモンド種基板の脱落率を示したグラフである。脱落率の定義は実施例5の<研磨工程>と同様とした。
隙間量が20μmから100μmのときには研磨工程において単結晶ダイヤモンド種基板の脱落が全く起きなかった。また、隙間量が0以上20μm未満、100μmを超え200μm未満のときには脱落が起きているが、製造には問題がない範囲である。
隙間量が200μmより大きくなると単結晶ダイヤモンド種基板の脱落が徐々に増加する傾向にある。
隙間量を変化させたことにより研磨中に単結晶ダイヤモンド種基板の脱落が発生し、脱落が隙間量に依存していることがわかった。
これにより単結晶ダイヤモンド種基板の脱落を防止し、ダイヤモンド基板製造の歩留まりを向上させることができた。
[実施例7]
本実施例では<載置工程>において単結晶ダイヤモンド種基板の段差量と隙間量の両方を変化させ、単結晶ダイヤモンド種基板が<研磨工程>において脱落しないように、単結晶ダイヤモンド種基板の段差量と隙間量の関係比を求めた。
<載置工程>
用意した単結晶ダイヤモンド種基板の形状は円板状で、高温高圧合成法で得られたIb型単結晶ダイヤモンドである。
主面の面方位は(111)、サイズは直径2mm、厚さは260μmから450μmまで10μm毎に厚さの異なるものを準備した。
シリコン基板は主面が(100)の単結晶基板であり、サイズは直径2インチで厚さは0.3mmとした。
シリコン基板主面部の中心に1箇所凹部をマスクと高周波プラズマを用いたドライエッチング法で形成した。その形状は直径2.0mmから2.3mmまでの10μm毎に直径の異なるシリコン基板を準備した。
単結晶ダイヤモンド種基板の段差量を10μmから200μmまで10μm毎に、また隙間量も同様にして0μmから300μmまで10μm毎に変化させた試料を準備した。各段差量、各隙間量毎に試料を10枚、合計6200枚用意した。
<接続工程>
実施例4の<接続工程>と同様とした。
<研磨工程>
実施例4の<研磨工程>と同様の方法で研磨を行い、単結晶ダイヤモンド種基板が露出した時点で研磨を終了させた。単結晶ダイヤモンド種基板が露出したかどうかは実施例1の<評価工程>と同様にラマン分光測定によって判断した。
図11は、段差量と隙間量を変化させたときの、単結晶ダイヤモンド種基板の脱落率が0%となる領域を示したグラフである。脱落率の定義は実施例5と同様とする。
単結晶ダイヤモンド種基板が研磨で脱落しないためには、およそ隙間量に対する段差量の比が0.3以上120以下となるときであった。
段差量と隙間量を変化させたことにより研磨中に単結晶ダイヤモンド種基板の脱落が発生し、脱落が段差量と隙間量の双方に依存していることがわかった。
これにより単結晶ダイヤモンド種基板の脱落を防止し、ダイヤモンド基板製造の歩留まりを向上させることができた。
[実施例8]
本実施例では<載置工程>において、板厚の厚いシリコン基板を用いてダイヤモンド基板を作製し、最終工程でシリコン基板裏面部を平面研削によってシリコン基板板厚を薄くする加工を追加したことを述べる。各工程は、<載置工程>、<接続工程>、<研磨工程>そして最後に<平面研削工程>となっている。
<載置工程>
用意した単結晶ダイヤモンド種基板の形状は円板状で、高温高圧合成法で得られたIb型単結晶ダイヤモンドである。主面の面方位は(111)、サイズは直径2mm、厚さは280μmとした。
シリコン基板は主面部が(100)の単結晶基板であり、サイズは直径1インチで厚さは3mmとした。シリコン基板主面部に4箇所凹部をマスクと高周波プラズマを用いたドライエッチング法で形成した。その形状は直径2.1mm、深さ200μmとした。
単結晶ダイヤモンド種基板の段差量は上述より80μm、隙間量は50μmである。
試料は1組用意した。
<接続工程>
実施例1の<接続工程>と同様とした。
<研磨工程>
実施例1の<研磨工程>と同様の方法で研磨を行い、単結晶ダイヤモンド種基板が露出した時点で研磨を終了させた。単結晶ダイヤモンド種基板が露出したかどうかは実施例1の<評価工程>と同様にラマン分光測定によって判断した。
本研磨工程では単結晶ダイヤモンド種基板の脱落は無く、ダイヤモンド基板の全面に渡って鏡面仕上げとなった。
<平面研削工程>
平面研削機を用いてダイヤモンド基板裏面のシリコン基板部分を板厚にして2.5mm削り込んだ。研削用砥石にはGC砥石を使用し、削り込み量を5μmとして500ターンで平面研削が終了した。
気相合成ダイヤモンド層も含めてダイヤモンド基板の板厚は580μmとなり、シリコン基板を薄くしたことでウェハプロセスに適用しやすくなった。
実施例1の載置工程終了時の模式図である。(a)は単結晶ダイヤモンド種基板載置後の上面模式図である。(b)は単結晶ダイヤモンド種基板角部分の拡大模式図である。(c)は単結晶ダイヤモンド種基板載置後の断面模式図である。 実施例1の接続工程終了時の断面模式図である。 実施例1の研磨工程終了時の断面模式図である。 実施例1の研磨工程終了時の拡大模式図であり、図3における表面接合領域10を拡大したものである。(a)は上面拡大模式図である。(b)は断面拡大模式図である。 平坦なシリコン基板上に単結晶ダイヤモンド種基板を載置した比較例1の模式図である。 シリコン基板の凹部深さと単結晶ダイヤモンド種基板の板厚が一致した比較例2の模式図である。 実施例2の載置工程終了時の模式図である。 実施例2の接続工程終了時の断面模式図である。 単結晶ダイヤモンド種基板の段差量を変化させたときの、単結晶ダイヤモンド種基板の脱落率を示したグラフである。 グラフに隙間量を変化させたときの、単結晶ダイヤモンド種基板の脱落率を示したグラフである。 段差量と隙間量を変化させたときの、単結晶ダイヤモンド種基板の脱落率が0%となる領域を示したグラフである。
符号の説明
1 単結晶ダイヤモンド種基板
2 シリコン基板
3 凹部となる第1の領域
4 単結晶ダイヤモンド種基板とシリコン基板凹部の隙間
5 単結晶ダイヤモンド種基板の角半径
6 単結晶ダイヤモンド種基板とシリコン基板主面の段差
7 凹部深さ
8 シリコン基板上に形成された気相合成ダイヤモンド層
9 単結晶ダイヤモンド種基板上に形成された気相合成ダイヤモンド層
10 表面接合領域
11 単結晶ダイヤモンド種基板周辺の接合領域に生じた溝
12 溝幅
13 溝深さ
14 単結晶ダイヤモンド種基板と気相合成ダイヤモンド層の段差
15 単結晶ダイヤモンド種基板及び気相合成ダイヤモンド層に生じた亀裂領域

Claims (22)

  1. シリコン基板上に単結晶ダイヤモンド種基板が配置されたダイヤモンド基板であって、シリコン基板に凹部が存在し、この凹部上に主面の面方位が(111)である単結晶ダイヤモンド種基板が配置されており、シリコン基板の凹部以外の表面上に(100)配向もしくは(110)配向の気相合成ダイヤモンド層が設けられており、単結晶ダイヤモンド種基板とシリコン基板が(100)配向もしくは(110)配向の気相合成ダイヤモンド層を介して接合され、該ダイヤモンド層と単結晶ダイヤモンド種基板とが表面近傍で密着し、両者の表面が実質的に平坦化且つ一体化されていることを特徴とするダイヤモンド基板。
  2. 前記シリコン基板における凹部の形状が、シリコン基板の主面部上方から見たときに円形、楕円形、又は全ての角半径が50μm以上である、角が丸くなった多角形であることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド基板。
  3. 前記単結晶ダイヤモンド種基板の形状が、主面部上方から見たときに円形、楕円形、又は全ての角半径が50μm以上である、角が丸くなった多角形であることを特徴とする請求項1または2に記載のダイヤモンド基板。
  4. 前記単結晶ダイヤモンド種基板とシリコン基板凹部との隙間量が、200μm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
  5. 前記シリコン基板が、主面の面方位が(100)の単結晶であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
  6. 前記ダイヤモンド基板の表面は、その反りが±10μm以内であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
  7. 前記ダイヤモンド基板の裏面は、その反りが±10μm以内であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
  8. 前記シリコン基板上のダイヤモンド層の厚さが10μm以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
  9. 前記単結晶ダイヤモンド種基板表面の周囲全周又は一部に溝が存在することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のダイヤモンド基板。
  10. 前記溝が、深さ3μm以下、幅20μm以下であることを特徴とする請求項9に記載のダイヤモンド基板。
  11. ダイヤモンド単結晶を含むダイヤモンド基板の製造方法であって、
    凹部となる第1の領域と、該第1の領域を取り囲む第2の領域とを含む主面を有するシリコン基板の第1の領域に、第1の領域の凹部深さよりも板厚が厚く、かつ主面の面方位が(111)である単結晶ダイヤモンド種基板を載置する載置工程と、
    気相合成法を用いて前記単結晶ダイヤモンド種基板と前記第2の領域上に、第2の領域上のダイヤモンド層が(100)配向もしくは(110)配向となるように気相合成ダイヤモンド層を形成して互いを接続する接続工程と、
    単結晶ダイヤモンド種基板上に形成された気相合成ダイヤモンド層全部と、第2の領域上に形成された気相合成ダイヤモンド層の一部を機械的に研磨して双方を実質的に平坦化する研磨工程と、
    を有することを特徴とするダイヤモンド基板の製造方法。
  12. 前記第1の領域の形状が、シリコン基板の主面部上方から見たときに円形、楕円形、又は全ての角半径が50μm以上である、角が丸くなった多角形であることを特徴とする請求項11に記載のダイヤモンド基板の製造方法。
  13. 前記第1の領域に載置する単結晶ダイヤモンド種基板の形状が、主面部上方から見たときに円形、楕円形、又は全ての角半径が50μm以上である、角が丸くなった多角形であることを特徴とする請求項11または12に記載のダイヤモンド基板の製造方法。
  14. 第1の領域に単結晶ダイヤモンド種基板を載置した際に、単結晶ダイヤモンド種基板の主面部とシリコン基板の主面部における第2の領域との段差が30μm以上、100μm以下となることを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
  15. 第1の領域に単結晶ダイヤモンド種基板を載置した際に、単結晶ダイヤモンド種基板と前記第1の領域の凹部との隙間が200μm以下となることを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
  16. 第1の領域に単結晶ダイヤモンド種基板を載置した際に、単結晶ダイヤモンド種基板と前記第1の領域の凹部との隙間に対する単結晶ダイヤモンド種基板の主面部とシリコン基板の主面部における第2の領域との段差の比が0.3以上120以下となることを特徴とする請求項11から15のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
  17. 前記シリコン基板が主面の面方位が(100)の単結晶であることを特徴とする請求項11から16のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
  18. 前記研磨工程後のダイヤモンド基板の表面は、その反りが±10μm以内であることを特徴とする請求項11から17のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
  19. 前記研磨工程後のダイヤモンド基板の裏面は、その反りが±10μm以内であることを特徴とする請求項11から18のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
  20. 前記研磨工程後における第2の領域上に形成された気相合成ダイヤモンド層の厚さが、10μm以上であることを特徴とする請求項11から19のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
  21. 前記研磨工程の際、単結晶ダイヤモンド種基板表面の周囲全周又は一部に溝を発生させることを特徴とする請求項11から20のいずれかに記載のダイヤモンド基板の製造方法。
  22. 前記単結晶ダイヤモンド種基板の周囲に発生した溝が、深さ3μm以下、幅20μm以下であることを特徴とする請求項21に記載のダイヤモンド基板の製造方法。
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