JP4788449B2 - 圧縮着火内燃機関の燃焼制御システム - Google Patents

圧縮着火内燃機関の燃焼制御システム Download PDF

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Description

本発明は、拡散燃焼と予混合燃焼とのうちいずれかの燃焼モードを圧縮着火内燃機関の運転状態に応じて選択して行う圧縮着火内燃機関の燃焼制御システムに関する。
圧縮着火内燃機関(以下、単に内燃機関と称する)においては、排気をEGRガスとして気筒内に供給することで燃焼温度を低下させ、それによって、NOxの生成量を抑制する技術が知られている。
また、このような場合、気筒内に供給されるEGRガスの量が不足すると、過早着火が生じ、それによって燃焼騒音が大きくなる場合がある。そこで、内燃機関において燃焼騒音が一定レベル以上となった場合に、燃料噴射時期を遅角することで着火時期を遅角させ、それによって燃焼騒音を抑制する技術が開発された(例えば、特許文献1参照。)。
また、内燃機関において、拡散燃焼と予混合燃焼とのうちいずれかの燃焼モードをその運転状態に応じて選択して行うものが知られている。拡散燃焼は、圧縮行程上死点近傍の時期に燃料噴射を実行することで行われる。一方、予混合燃焼は、圧縮行程上死点近傍の時期よりも早い時期に燃料噴射を実行することで予混合気を形成させ、該予混合気が燃焼に供されることで行われる。
このとき、予混合燃焼時においては、予混合気が形成されるため過早着火が生じ易い。つまり、燃焼騒音の増加を招き易い。
特開2000−120487号公報 特公平7−78376号公報 特開2005−48747号公報 特開2003−286880号公報 特開平11−148412号公報
本発明は、拡散燃焼と予混合燃焼とのうちいずれかの燃焼モードを圧縮着火内燃機関の運転状態に応じて選択して行う圧縮着火内燃機関において、予混合燃焼時の燃焼騒音をより好適に抑制することが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明は、内燃機関において予混合燃焼が行われているときに燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定された場合、内燃機関における燃料噴射時期を遅角するものである。
より詳しくは、本発明に係る内燃機関の燃焼制御システムは、
圧縮着火内燃機関から排出される排気をEGRガスとして吸気系に導入するEGR装置と、
前記圧縮着火内燃機関の気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、を備え、
圧縮行程上死点近傍の時期に前記燃料噴射弁から燃料を噴射する拡散燃焼と、圧縮行程上死点近傍の時期よりも早い時期に燃料噴射を実行することで予混合気を形成させる予混合燃焼とのうちいずれかを前記圧縮着火内燃機関の運転状態に応じて選択して行う燃焼モード選択手段と、
前記圧縮着火内燃機関において予混合燃焼が行われているときは拡散燃焼が行われているときに比べて前記EGR装置によって吸気系に導入されるEGRガス量を多くすると共に、該EGRガス量をそれぞれの燃焼モードが行われているときの前記圧縮着火内燃機関の運転状態に基づいて制御するEGRガス量制御手段と、
前記圧縮着火内燃機関において予混合燃焼が行われているときに、前記圧縮着火内燃機関での燃焼騒音が所定上限値より大きくなったか否かを判別する判定手段と、
該判定手段によって前記圧縮着火内燃機関での燃焼騒音が前記所定上限値より大きくなったと判定されたときに、前記燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅角する遅角手段と、
を備えることを特徴とする。
ここで、所定上限値とは、燃焼騒音の許容範囲の上限値以下の値であって、実験等によって予め定められた値である。この所定上限値を内燃機関の運転状態に応じて変更してもよい。
内燃機関においては、気筒内に供給されるEGRガス量を増加させると該気筒内での燃料の燃焼を抑制することが出来、以って燃焼騒音を低減することが出来る。しかしながら、EGRガス量を増加させる制御を開始してから気筒内のEGRガス量が実際に増加するまでにはある程度時間がかかる。
本発明によれば、予混合燃焼時であっても、燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅角することで過早着火を抑制し、これによって燃焼騒音を低減させる。従って、燃焼騒音をより速やかに低減させることが出来る。つまり、予混合燃焼時の燃焼騒音をより好適に抑制することが出来る。
燃料噴射時期を遅角させることで燃焼騒音を低減させる場合、燃料噴射時期の単位遅角量当たりの燃焼騒音の低下量(以下、騒音低下率と称する)は、遅角させる時点での燃料噴射時期に応じて異なった量となる。より詳しくは、遅角させる時点での燃料噴射時期が圧縮行程上死点から比較的離れた時期となっている場合、該燃料噴射時期が圧縮上死点に比較的近い時期となっている場合に比べて騒音低下率は小さい。
そこで、本発明では、遅角手段によって燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅角するときに騒音低下率に応じて該燃料噴射時期の遅角量を決定してもよい。この場合、遅角させるときの燃料噴射時期が騒音低下率の小さい時期にある場合は、該燃料噴射時期が騒音低下率の大きい時期にある場合に比べてその遅角量を大きくする。
これにより、燃焼騒音をより早期に低減させることが出来る。
予混合燃焼時は、圧縮行程上死点近傍の時期よりも早い時期であって圧縮行程上死点から比較的離れた時期に燃料噴射が実行される。つまり、予混合気を形成するために行われる燃料噴射は、通常、騒音低下率が比較的小さい時期に実行されている。
そこで、上記の場合において、遅角手段が、燃焼騒音が所定目標値以下となるまで燃料噴射時期を段階的に遅角するものである場合、燃料噴射時期を遅角するときに、先ず、騒音低下率が比較的大きくなる時期まで一段階目で遅角し、その後、一段階当たりの遅角量を小さくして燃焼騒音が所定目標値以下となるまで燃料噴射時期を段階的に遅角してもよい。
ここで、所定目標値は、燃焼騒音の許容範囲内の値であり、且つ、燃焼騒音が該所定目標値であれば燃料噴射時期が失火の可能性は低い時期となっていると判断出来る値である。この所定目標値は実験等によって予め定められている。また、この所定目標値を内燃機
関の運転状態に基づいて変更してもよい。
これによれば、燃料噴射時期を段階的に遅角するときに、一段階目で騒音低下率が比較的大きい時期まで遅角することで、燃焼騒音をより早期に低減させることが出来る。また、燃料噴射時期を騒音低下率が比較的大きい時期まで遅角した後は、一段階当たりの遅角量を小さくして燃料噴射時期を段階的に遅角することで、燃焼騒音を所定目標値により精度よく制御することが出来る。
また、遅角手段が、燃焼騒音が所定目標値以下となるまで燃料噴射時期を段階的に遅角するものである場合、燃料噴射時期を遅角するときに、判定手段によって前記圧縮着火内燃機関での燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定された時点での燃料噴射時期が早いほど、一段階目の遅角量を大きくしてもよい。
これによっても、燃料噴射時期を、騒音低下率が比較的大きい時期までより早期に遅角させることが出来る。従って、燃焼騒音をより早期に低減させることが出来る。
上述したように、燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定された場合、気筒に流入するEGRガス量を増加させることによっても燃焼騒音を低減させることが出来る。そこで、本発明において、判定手段によって内燃機関での燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定されたときは、燃料噴射時期を遅角させると共に、EGR装置によって吸気系に導入されるEGRガス量を増加させてもよい。
この場合、EGRガス量の増加が開始されてから気筒内のEGRガス量が実際に増加するまでの間は燃料噴射時期が遅角されることで燃焼騒音が低下する。そして、気筒内のEGRガス量が実際に増加し始めると燃焼騒音の低下がさらに促進されることになる。このように燃焼騒音の低下がさらに促進されると燃焼騒音が所定目標値よりもさらに低下する場合がある。
そこで、燃料噴射時期を遅角すると共にEGRガス量を増加させることで燃焼騒音が所定下限値より小さくなったときに燃料噴射時期を段階的に進角させる進角手段をさらに備えてもよい。
ここで、所定下限値は、所定目標値よりも小さい値であって、燃焼騒音が過剰に低下していると判断出来る閾値となる値である。この所定下限値は実験等によって予め定められている。この所定下限値を内燃機関の運転状態に基づいて変更してもよい。
このとき、気筒内のEGRガス量が不十分なときは、進角手段によって燃料噴射時期を進角させると燃焼騒音が増加する。しかしながら、気筒内のEGRガス量が十分な量にまで増加すると、進角手段によって燃料噴射時期を進角させても過早着火が生じなくなるため燃焼騒音が変化しなくなる。
また、予混合燃焼時において、燃焼騒音を低減させるべく燃料噴射時期を遅角させた場合、予混合気の形成が不十分な状態となり排気エミッションの悪化を招く虞がある。
そこで、上記において、進角手段によって燃料噴射時期を進角させても燃焼騒音が変化しない状態となったときは、燃料噴射時期を内燃機関の運転状態に基づいて設定される時期に直ちに戻してもよい。
これによれば、気筒内のEGRガス量が十分に増加すると、燃料噴射時期が内燃機関の運転状態に基づいて設定される時期に直ちに戻される。従って、排気エミッションの悪化
を抑制することが出来る。
EGRガスにはCOやHOのような気筒内での燃料の燃焼を抑制する燃焼抑制成分が含まれている。そして、気筒内に流入する吸気における燃焼抑制成分の濃度が過剰に低くなると過早着火が生じ、それによって燃焼騒音が増加する。
そこで、本発明においては、EGRガスを含んだ吸気における燃焼抑制成分の濃度を検出する燃焼抑制成分濃度検出手段をさらに備えてもよい。そして、この場合、判定手段は、内燃機関において予混合燃焼が行われているときに、該燃焼抑制成分濃度検出手段によって検出される燃焼抑制成分の濃度を所定の目標抑制成分濃度から減算した値が所定の抑制成分濃度差より大きくなった場合、内燃機関での燃焼騒音が前記所定上限値より大きくなったと判定してもよい。
ここで、所定の目標抑制成分濃度は、吸気における燃焼抑制成分の濃度が該目標抑制成分濃度であれば、燃焼騒音が所定目標値となると判断出来る値である。また、所定の抑制成分濃度差は、燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定出来る閾値となる値である。これらの値は実験等によって予め定められた値である。また、これらの値を内燃機関の運転状態に基づいて変更してもよい。
また、上記の場合において燃料噴射時期を遅角するときの遅角量を、燃焼抑制成分濃度検出手段によって検出される燃焼抑制成分の濃度を所定の目標抑制成分濃度から減算した値に基づいて決定してもよい。
これにより、より早期に且つより精度良く燃焼騒音を所定目標値にまで低減することが出来る。
また、気筒内に流入する吸気における燃焼抑制成分の濃度が増加すると該吸気のO濃度は低下し、該吸気における燃焼抑制成分の濃度が低下すると該吸気のO濃度は上昇する。
そこで、本発明においては、EGRガスを含んだ吸気におけるO濃度を検出するO濃度検出手段をさらに備えてもよい。そして、この場合、判定手段は、内燃機関において予混合燃焼が行われているときに、O濃度検出手段によって検出されるO濃度から所定の目標O濃度を減算した値が所定のO濃度差より大きくなった場合に、内燃機関での燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定してもよい。
ここで、所定の目標O濃度は、吸気におけるO濃度が該目標O濃度であれば、燃焼騒音が所定目標値となると判断出来る値である。また、所定のO濃度差は、燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定出来る閾値となる値である。これらの値は実験等によって予め定められた値である。また、これらの値を内燃機関の運転状態に基づいて変更してもよい。
また、上記の場合において燃料噴射時期を遅角するときの遅角量を、O濃度検出手段によって検出されるO濃度から所定の目標O濃度を減算した値に基づいて決定してもよい。
これによっても、前記と同様、より早期に且つより精度良く燃焼騒音を所定目標値にまで低減することが出来る。
さらに、上記のように、燃焼抑制成分濃度検出手段によって検出される燃焼抑制成分の
濃度を所定の目標燃焼抑制成分濃度から減算した値、もしくは、O濃度検出手段によって検出されるO濃度から所定の目標O濃度を減算した値に基づいて燃料噴射時期の遅角量を決定する場合においては、さらに、内燃機関の負荷または回転数が高いほど該遅角量を大きくしてもよい。
これにより、燃焼騒音をより精度良く所定目標値に制御することが出来る。
本発明によれば、拡散燃焼と予混合燃焼とのうちいずれかの燃焼モードを圧縮着火内燃機関の運転状態に応じて選択して行う内燃機関において、予混合燃焼時の燃焼騒音をより好適に抑制することが出来る。
以下、本発明に係る圧縮着火内燃機関の燃焼制御システムの具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。
<実施例1>
<内燃機関およびその吸排気系の概略構成>
図1は、本実施例に係る内燃機関およびその吸排気系の概略構成を示す図である。内燃機関1は車両駆動用のディーゼルエンジンである。内燃機関1の気筒2内にはピストン3が摺動自在に設けられている。気筒2内上部の燃焼室には、吸気ポート4と排気ポート5とが接続されている。
吸気ポート4および排気ポート5の燃焼室への開口部は、それぞれ吸気弁6および排気弁7によって開閉される。吸気ポート4および排気ポート5は、それぞれ吸気通路8および排気通路9に接続されている。また、気筒2には燃焼室に燃料を直接噴射する燃料噴射弁10が設けられている。
また、内燃機関1は、排気通路9を流れる排気の一部をEGRガスとして吸気通路8に導入するEGR装置11を備えている。EGR装置11は、吸気通路8と排気通路9とを連通するEGR通路12を有している。EGR通路12には、EGRガスの流量を制御するEGR弁13が設けられている。
以上述べたように構成された内燃機関1には電子制御ユニット(ECU)20が併設されている。ECU20には、ノックセンサ14およびアクセル開度センサ15、クランクポジションセンサ16が電気的に接続されている。ノックセンサ14は気筒2内での燃焼によって生じる振動を検出する。アクセル開度センサ15は内燃機関1を搭載した車両のアクセル開度を検出する。クランクポジションセンサ16は内燃機関1のクランク角を検出する。これらの出力値がECU20に入力される。
そして、ECU20はノックセンサ14の出力値に基づいて内燃機関1での燃焼騒音を算出する。また、ECU20はアクセル開度センサ15の検出値に基づいて内燃機関1の負荷を推定する。また、ECU20はクランクポジションセンサ16の検出値に基づいて内燃機関1の回転数を算出する。
さらに、ECU20には、燃料噴射弁10およびEGR弁13が電気的に接続されている。ECU20によってこれらが制御される。
<燃焼モード>
本実施例に係る内燃機関1では、拡散燃焼と予混合燃焼とのうちいずれかの燃焼モード
が運転状態に応じて選択されて行われる。図2は、内燃機関1の運転状態と該内燃機関1における燃焼モードとの関係を示す図である。図2において、横軸は内燃機関1の回転数を表し、縦軸は内燃機関1の負荷を表している。図2において、R1で示される低負荷低回転側の領域が、予混合燃焼が行われる予混合燃焼領域である。また、図2において、R2で示される高負荷側および高回転側の領域が、拡散燃焼が行われる拡散燃焼領域である。
拡散燃焼は、圧縮行程上死点近傍の時期に燃料噴射弁10からの燃料噴射を実行することで行われる。また、予混合燃焼は、圧縮行程上死点近傍の時期よりも早い時期に燃料噴射弁10からの燃料噴射を実行することで、燃焼に供される予混合気を形成させて行われる。
また、本実施例では、排気通路9を流れる排気の一部がEGRガスとしてEGR装置11によって吸気通路8に導入される。このEGRガスが吸入空気と共に気筒2内に流入する。予混合燃焼時においては、予混合気が形成されるため拡散燃焼時に比べて過早着火が生じ易い。そのため、予混合燃焼時は拡散燃焼時よりも多くのEGRガスが気筒2内に供給される。
一方、気筒2内に供給されるEGRガスが過剰に増加すると失火が生じる虞がある。そのため、EGRガス量は内燃機関1の運転状態に応じて制御される。ところが、内燃機関1の運転状態の急激な変化等により、気筒2内に供給されるEGRガス量が不足し、それによって、燃焼騒音が大きくなる場合がある。
<燃焼騒音低減制御>
内燃機関1での燃焼騒音が大きくなった場合、EGRガス量を増加させることで、該燃焼騒音を低減することが出来る。しかしながら、EGRガス量を増加させるべくEGR弁13の開度を増加させてから気筒2内のEGRガス量が実際に増加するまでにはある程度の時間がかかる。
そこで、本実施例においては、内燃機関1において予混合燃焼が行われているときに、燃焼騒音が所定上限値より大きくなった場合、EGRガス量を増加させると共に燃料噴射弁10からの燃料噴射時期を遅角する。以下、この制御を燃焼騒音低減制御と称する。
ここで、所定上限値とは、燃焼騒音の許容範囲の上限値であって、実験等によって予め定められた値である。尚、この所定上限値は内燃機関1の運転状態に応じて変更される。
燃料噴射時期を遅角することで気筒2内での燃料の着火時期を遅角することが出来る。即ち、過早着火の発生を抑制出来る。また、燃料噴射時期は、燃焼騒音が所定上限値より大きくなったときに直ちに遅角することが出来る。従って、本実施例によれば、予混合燃焼時に燃焼騒音が所定上限値を超えたときに該燃焼騒音をより速やかに低減させることが出来る。
<燃料噴射時期の遅角量>
ここで、燃焼騒音低減制御における燃料噴射時期の遅角量について図3に基づいて説明する。図3は、燃料噴射時期の変化に伴う燃焼騒音の変化を示す図である。図3において、横軸は燃料噴射時期を表し、縦軸は燃焼騒音を表している。
図3において、一点鎖線は圧縮行程上死点TDCの時期を表している。また、図3において、(a)から(b)までの間の時期が、予混合燃焼時における通常の燃料噴射時期(つまり、燃焼騒音低減制御を実行していないときの予混合燃焼時における燃料噴射時期)
を表している。
図3に示すように、燃料噴射時期の単位遅角量当たりの燃焼騒音の低下量である騒音低下率は、遅角させる時点での燃料噴射時期に応じて異なった量となっている。より詳しくは、圧縮行程上死点TDCから比較的離れた時期である(c)の時期以前では騒音低下率は小さくなっている。そして、圧縮行程上死点TDCに比較的近い時期となる(c)の時期以降では騒音低下率が大きくなっている。
従って、燃料噴射時期が(a)から(b)までの間の時期となっている予混合燃焼が行われているときに燃焼騒音が所定上限値より大きくなった場合、燃料噴射時期を遅角しても、遅角後の燃料噴射時期が(c)より前の時期であれば燃焼騒音はほとんど低下しない。
そこで、本実施例に係る燃焼騒音低減制御では、先ず、燃料噴射時期を騒音低下率が上昇し始める(c)の時期まで遅角する。以下、(c)の時期を低下率上昇開始時期と称する。この低下率上昇開始時期は実験等によって予め求めることが出来る。
そして、燃料噴射時期を低下率上昇開始時期まで遅角した後は、燃焼騒音が所定目標値となるまで燃料噴射時期を徐々に遅角する。ここで、所定目標値は、燃焼騒音の許容範囲内の値であり、且つ、燃焼騒音が該所定目標値であれば燃料噴射時期が失火の可能性は低い時期となっていると判断出来る値である。この所定目標値は実験等によって予め定められている。尚、この所定目標値は内燃機関1の運転状態に基づいて変更される。
つまり、本実施例では、予混合燃焼時に燃焼騒音を低減させるべく燃料噴射時期を遅角する場合、燃焼騒音が所定目標値となるまで燃料噴射時期を段階的に遅角させる。そして、このときに、低下率上昇開始時期までは一段階目で遅角させる。これにより、燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定された時点での燃料噴射時期が早いほど、一段階目の燃料噴射時期の遅角量が大きくなる。
そして、燃料噴射時期を低下率上昇開始時期まで遅角した後は、一段階当たりの遅角量を小さくして燃焼騒音が所定目標値以下となるまで段階的に遅角する。
以上のように燃料噴射時期を騒音低下率に応じて段階的に遅角することで、燃焼騒音をより早期に低減させることが出来る。また、燃焼騒音を所定目標値により精度よく制御することが出来る。
ここで、燃焼騒音低減制御のルーチンについて図4に示すフローチャートに基づいて説明する。本ルーチンは、ECU20に予め記憶されており、所定の間隔で繰り返し実行されるルーチンである。
本ルーチンでは、ECU20は、先ずS101において、内燃機関1の燃焼モードが予混合燃焼であるか否かを判別する。S101において、肯定判定された場合、ECU20はS102に進み、否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を終了する。
S102において、ECU20は、現時点での燃焼騒音Ncが所定上限値Nc1より大きいか否かを判別する。S102において、肯定判定された場合、ECU20はS103に進み、否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を終了する。
S103において、ECU20は、燃料噴射弁10による燃料噴射時期tinjを図3における低下率上昇開始時期(c)まで遅角する。
次に、ECU20は、S104に進み、燃料噴射時期tinjを所定遅角量Δtde分さらに遅角する。ここで、所定遅角量Δtdeは、図3における(b)から(c)までの間よりも小さい量であって、燃料噴射時期tinjを遅角する際に最小の単位遅角量となる値である。
次に、ECU20は、S105に進み、現時点での燃焼騒音Ncが所定目標値Nct以下まで低減されたか否かを判別する。S105において、肯定判定された場合、ECU20はS106に進む。一方、S105において、否定判定された場合、ECU20はS104に戻り、燃料噴射時期tinjをさらに所定遅角量Δtde分遅角する。
S106において、ECU20は、燃料噴射時期tinjのそれ以上の遅角を停止し、本ルーチンの実行を終了する。
以上説明したルーチンによれば、予混合燃焼時において燃焼騒音Ncが所定上限値Nc1より大きくなったときは、燃料噴射時期tinjが先ず低下率上昇開始時期(c)まで遅角され、その後、燃焼騒音Ncが所定目標値Nctとなるまで徐々に遅角される。
尚、本実施例に係る燃焼騒音低減制御において、燃料噴射弁10からの燃料噴射時期を遅角させた場合、内燃機関1のトルクが低下する場合がある。この場合、該トルクの低下を抑制するために燃料噴射量を増加させてもよい。
この場合、燃料噴射時期を遅角させた後の気筒2内での燃料の着火時期を、ノックセンサ14や内燃機関1の回転数の変化等に基づいて検出する。そして、燃料噴射時期を遅角させる前の時点と後の時点との着火時期の変化分に基づいて内燃機関1のトルク低下量を算出する。そして、算出されたトルク低下量に基づいて燃料噴射量の増加量を決定する。
<燃料噴射時期復帰制御>
上述したように、本実施例に係る燃焼騒音低減制御では、燃焼騒音が所定上限値より大きくなると、燃料噴射弁10からの燃料噴射時期が遅角されると共にEGRガス量が増加される。この場合、EGRガス量を増加させるべくEGR弁13の開度が増加されてから気筒2内のEGRガス量が実際に増加するまでの間は燃料噴射時期が遅角されることで燃焼騒音が低下する。そして、実際に気筒2内のEGRガス量が増加し始めると燃焼騒音の低下がさらに促進されることになる。このように燃焼騒音の低下がさらに促進されると燃焼騒音が所定目標値よりもさらに低下する場合がある。
そこで、本実施例では、燃料噴射時期を遅角すると共にEGRガス量を増加させることで燃焼騒音が所定下限値より小さくなったときは、燃料噴射弁10からの燃料噴射時期の遅角を終了し、逆に該燃料噴射時期を段階的に進角する。以下、この制御を燃料噴射時期復帰制御と称する。
ここで、所定下限値は、所定目標値よりも小さい値であって、燃焼騒音が過剰に低下していると判断出来る閾値となる値である。この所定下限値は実験等によって予め定められている。この所定下限値を内燃機関1の運転状態に基づいて変更してもよい。
燃料噴射時期復帰制御の実行時において、気筒2内のEGRガス量が不十分なときは、燃料噴射時期を進角させると燃焼騒音が増加する。しかしながら、気筒2内のEGRガス量が十分な量にまで増加すると、燃料噴射時期を進角させても過早着火が生じなくなるため燃焼騒音が変化しなくなる。
また、予混合燃焼時において、燃焼騒音を低減させるべく燃料噴射時期を遅角させた場合、予混合気の形成が不十分な状態となり排気エミッションの悪化を招く虞がある。
そこで、本実施例に係る燃料噴射時期復帰制御では、燃料噴射時期を進角するときに、先ず、一段階当たりの進角量を所定進角量として徐々に進角する。ここで、所定進角量は、燃料噴射時期を進角する際に最小の単位進角量となる値である。
その後、燃料噴射時期を進角させても燃焼騒音が変化しない、即ち、燃焼騒音が増加しない状態となったときは、燃料噴射時期を内燃機関1の運転状態に基づいて設定される時期に直ちに進角する。
これによれば、気筒2内のEGRガス量が十分に増加すると、燃料噴射時期が内燃機関1の運転状態に基づいて設定される時期に直ちに戻される。つまり、燃料噴射時期が、排気エミッションが悪化する虞がある時期に留まることが抑制される。従って、排気エミッションの悪化を抑制することが出来る。
ここで、燃料噴射時期復帰制御のルーチンについて図5に示すフローチャートに基づいて説明する。本ルーチンは、ECU20に予め記憶されており、所定の間隔で繰り返し実行されるルーチンである。
本ルーチンでは、ECU20は、先ずS201において、内燃機関1の燃焼モードが予混合燃焼であるか否かを判別する。S201において、肯定判定された場合、ECU20はS202に進み、否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を終了する。
S202において、ECU20は、燃焼騒音低減制御が実行されているか否かを判別する。即ち、燃料噴射弁10からの燃料噴射時期が通常の時期よりも遅角されており、且つ、EGRガス量が増加されているか否かを判別する。S202において、肯定判定された場合、ECU20はS203に進み、否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を終了する。
S203において、ECU20は、燃焼騒音Ncが所定下限値Nc2よりも小さいか否かを判別する。S203において、肯定判定された場合、ECU20はS204に進み、否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を終了する。
S204において、ECU20は、燃料噴射時期tinjを現時点の時期から所定進角量Δtad分進角する。
次に、ECU20は、S205に進み、現時点の燃焼騒音からS204において燃料噴射時期tinjを進角する前の時点での燃焼騒音を減算した値、即ち、燃料噴射時期tinjを所定進角量Δtad分進角することによる燃焼騒音の増加量ΔNcが所定増加量ΔNc0以下であるか否かを判別する。ここで、所定増加量ΔNc0は、略零の値であって、燃焼騒音の増加量ΔNcが該所定増加量ΔNc0以下であれば燃焼騒音はほとんど増加していないと判断出来る閾値である。S205において、肯定判定された場合、ECU20はS206に進む。一方、S205において、否定判定された場合、ECU20はS204に戻り、燃料噴射時期tinjをさらに所定進角量Δtad分進角する。
S206において、ECU20は燃料噴射時期tinjを、内燃機関1の運転状態に基づいて設定される時期tinj0(図3における(a)から(b)までの間の時期)まで直ちに進角する。その後、ECU20は本ルーチンの実行を終了する。
以上説明したルーチンによれば、燃焼騒音低減制御が実行されることで、気筒2内のEGRガス量が十分に増加すると(即ち、気筒2内のEGRガス量が、燃料噴射時期を遅角させなくとも燃焼騒音を抑えることが出来る量にまで増加すると)、燃料噴射時期tinjが内燃機関1の運転状態に基づいて設定される時期tinj0(即ち、通常の予混合燃焼時の燃料噴射時期)に直ちに戻される。
<実施例2>
<内燃機関およびその吸排気系の概略構成>
図6は、本実施例に係る内燃機関およびその吸排気系の概略構成を示す図である。本実施例では、実施例1におけるノックセンサ14に代えて、吸気のCO濃度を検出するCOセンサ17が設けられている。COセンサ17は、吸気通路8におけるEGR通路12との接続部よりも下流側に設置されている。つまり、COセンサは、EGRガスを含む吸気のCO濃度を検出する。これ以外の構成は実施例1と同様であるため、同様の構成要素には同様の参照番号を付してその説明を省略する。
<燃焼騒音抑制制御>
EGRガスにはCOやHOのような気筒2内での燃料の燃焼を抑制する燃焼抑制成分が含まれている。そして、気筒2内に流入する吸気における燃焼抑制成分の濃度が過剰に低くなると過早着火が生じ、それによって燃焼騒音が増加する。
そこで、本実施例に係る燃焼騒音抑制制御では、COセンサによって検出される吸気のCO濃度に基づいて、燃焼騒音が上述した所定上限値より大きくなっているか否かを判別する。また、燃焼騒音が所定上限値より大きくなった場合は、該CO濃度に基づいて燃料噴射弁10からの燃料噴射時期を遅角する。
以下、本実施例に係る燃焼騒音低減制御のルーチンについて、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。本ルーチンは、ECU20に予め記憶されており、所定の間隔で繰り返し実行されるルーチンである。
本ルーチンでは、ECU20は、先ずS301において、内燃機関1の燃焼モードが予混合燃焼であるか否かを判別する。S301において、肯定判定された場合、ECU20はS302に進み、否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を終了する。
S302において、ECU20は、COセンサ17によって検出される現時点の吸気のCO濃度から目標CO濃度を減算したCO濃度差ΔRCOを算出する。ここで、目標CO濃度は、吸気のCO濃度が該目標CO濃度であれば、燃焼騒音が所定目標値となると判断出来る値である。この目標CO濃度は、燃焼騒音の所定目標値と同様、内燃機関1の運転状態に基づいて変更される。
次に、ECU20は、S303に進み、S302において算出されたCO濃度差ΔRCOが所定CO濃度差ΔR0よりも大きいか否かを判別する。ここで、所定CO濃度差ΔR0は、CO濃度差ΔRCOが該所定CO濃度差ΔR0より大きくなると燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定出来る閾値となる値である。この所定CO濃度差ΔR0は、内燃機関1の運転状態に基づいて変更される。S303において、肯定判定された場合、ECU20は、燃焼騒音を低減させるべく燃料噴射時期tinjを遅角する必要があると判断し、S304に進む。一方、S303において、否定判定された場合、ECU20は本ルーチンの実行を終了する。
S304において、ECU20は、燃料噴射時期tinjの遅角量Δtde_fをCO
濃度差ΔRCOに基づいて算出する。本実施例においては、図8に示すような、遅角
量Δtde_fを算出するための関数f(ΔRCO)がECU20に予め記憶されてい
る。そして、この関数f(ΔRCO)によって遅角量Δtde_fが算出される。
ここで、関数f(ΔRCO)について説明する。図8において、横軸はCO濃度差ΔRCOを表しており、縦軸は燃料噴射時期tinjの遅角量Δtde_fを表してい
る。関数f(ΔRCO)は、燃料噴射時期tinjを該関数によって算出される遅角量Δtde_fだけ遅角することで、燃焼騒音が所定目標値にまで低減されるように、実験
等によって予め求められたものである。
図8に示すように、関数f(ΔRCO)によれば、CO濃度差ΔRCOが所定CO濃度差ΔR0を超えるまでは、燃料噴射時期tinjの遅角量Δtde_fは零とな
っている。そして、CO濃度差ΔRCOが所定CO濃度差ΔR0を超えた時点での燃料噴射時期tinjの遅角量Δtde_fは初期遅角量Δtde_f1となっている。
この初期遅角量Δtde_f1は、燃料噴射時期tinjが予混合燃焼時の通常の燃料
噴射時期(図3の(a)から(b)までの間の時期)であるときに、該初期遅角量Δtde_f1だけ遅角されると、燃料噴射時期tinjが上述した低下率上昇開始時期(図3
の(c)の時期)となる遅角量である。この初期遅角量Δtde_f1は、CO濃度差
ΔRCOが所定CO濃度差ΔR0を超えた時点での燃料噴射時期tinjに応じて変更される。
また、関数f(ΔRCO)によれば、CO濃度差ΔRCOが所定CO濃度差ΔR0を超えてさらに大きくなると、遅角量Δtde_fも初期遅角量Δtde_f1からさらに大きくなる。このとき、遅角量Δtde_fはCO濃度差ΔRCOの増加に伴っ
て徐々に大きくなっている。また、このときのCO濃度差ΔRCOの単位増加量当たりの遅角量Δtde_fの増加量は、上述した図3における低下率上昇開始時期以降の燃
焼騒音低下率に応じた量となっている。
ECU20は、S304の次にS305に進み、S304において算出された遅角量Δtde_fだけ燃料噴射時期を遅角する。その後、ECU20は本ルーチンの実行を終了
する。
本実施例によれば、燃料噴射時期tinjの遅角量Δtde_fとCO濃度差ΔRC
との関係が関数f(ΔRCO)として予めECU20に記憶されている。そして、予混合燃焼時において燃焼騒音を低減する必要があるときは、該関数f(ΔRCO)に基づいて遅角量Δtde_fが算出され、該遅角量Δtde_fに応じて燃料噴射時期tinjが遅角される。
これにより、燃焼騒音を、より早期に、また、より精度よく、所定目標値に制御することが出来る。
尚、本実施例に係る燃焼騒音低減制御においては、EGRガスを含んだ吸気のCO濃度に基づいて燃焼騒音が所定上限値をより大きいか否かを判別し、さらに、該CO濃度に基づいて燃料噴射時期の遅角量を算出したが、EGRガスを含んだ吸気のHO濃度に基づいて同様の制御を行ってもよい。
また、気筒2内に流入する吸気におけるCO濃度(または、HO濃度)が上昇すると該吸気のO濃度は低下し、該吸気におけるCO濃度(または、HO濃度)が低下すると該吸気のO濃度は上昇する。そこで、EGRガスを含んだ吸気のO濃度に基づいて燃焼騒音が所定上限値をより大きいか否かを判別してもよい。また、このときに、該
濃度に基づいて燃料噴射時期の遅角量を算出してもよい。
この場合、図6におけるCOセンサが設けられている位置にOセンサを設置する。そして、予混合燃焼時において、Oセンサによって検出されるO濃度から目標O濃度を減算したO濃度差が所定O濃度差よりも大きくなった場合、燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定する。
ここで、目標O濃度は、吸気におけるO濃度が該目標O濃度であれば、燃焼騒音が所定目標値となると判断出来る値である。また、所定O濃度差は、燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定出来る閾値となる値である。これらの値は、上記目標CO濃度および所定CO濃度差と同様、内燃機関1の運転状態に基づいて変更される。
また、上記のように燃焼騒音が所定上限値より大きくなったと判定された場合、O濃度差に基づいて燃料噴射時期の遅角量を算出する。このとき、O濃度差と燃料噴射時期の遅角量との関係は、図8に示すCO濃度差と燃料噴射時期の遅角量との関係と同様である。そして、算出された遅角量に応じて燃料噴射時期を遅角する。
これによっても、燃焼騒音を、より早期に、また、より精度よく、所定目標値に制御することが出来る。
また、内燃機関1においては、負荷が高いほど、また、回転数が高いほど、気筒2内での燃料の燃焼は促進され易い。そのため、予混合燃焼時において燃焼騒音を低減すべく燃料噴射時期を遅角する場合、内燃機関1の負荷が高いほど、また、内燃機関1の回転数が高いほど、燃料噴射時期をより遅角する必要がある。
そこで、本実施に係る関数f(ΔRCO)において、内燃機関1の負荷が高いほど、また、内燃機関1の回転数が高いほど、初期遅角量Δtde_f1を大きくしてもよい。
また、該関数f(ΔRCO)において、CO濃度差ΔRCOが所定CO濃度差ΔR0より大きい領域でのCO濃度差ΔRCOの単位増加量当たりの遅角量Δtde_
fの増加量を、内燃機関1の回転数が高いほど大きくしてもよい。
これによれば、燃焼騒音をより精度良く所定目標値に制御することが出来る。
上記実施例は、本発明の主旨を逸脱しない限り組み合わせることが出来る。
実施例1に係る内燃機関およびその吸排気系の概略構成を示す図。 内燃機関の運転状態と該内燃機関における燃焼モードとの関係を示す図。 燃料噴射時期の変化に伴う燃焼騒音の変化を示す図。 実施例1に係る燃焼騒音低減制御のルーチンを示すフローチャート。 実施例1に係る燃料噴射時期復帰制御のルーチンを示すフローチャート。 実施例2に係る内燃機関およびその吸排気系の概略構成を示す図 実施例2に係る燃焼騒音低減制御のルーチンを示すフローチャート。 実施例2に係る遅角量を算出するための関数f(ΔRCO)を示すグラフ。
符号の説明
1・・・内燃機関
2・・・気筒
8・・・吸気通路
9・・・排気通路
10・・燃料噴射弁
11・・EGR装置
12・・EGR通路
13・・EGR弁
14・・ノックセンサ
15・・アクセル開度センサ
16・・クランクポジションセンサ
17・・COセンサ
20・・ECU

Claims (7)

  1. 圧縮着火内燃機関から排出される排気をEGRガスとして吸気系に導入するEGR装置と、
    前記圧縮着火内燃機関の気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、を備え、
    圧縮行程上死点近傍の時期に前記燃料噴射弁から燃料を噴射する拡散燃焼と、圧縮行程上死点近傍の時期よりも早い時期に燃料噴射を実行することで予混合気を形成させる予混合燃焼とのうちいずれかを前記圧縮着火内燃機関の運転状態に応じて選択して行う燃焼モード選択手段と、
    前記圧縮着火内燃機関において予混合燃焼が行われているときは拡散燃焼が行われているときに比べて前記EGR装置によって吸気系に導入されるEGRガス量を多くすると共に、該EGRガス量をそれぞれの燃焼モードが行われているときの前記圧縮着火内燃機関の運転状態に基づいて制御するEGRガス量制御手段と、
    前記圧縮着火内燃機関において予混合燃焼が行われているときに、前記圧縮着火内燃機関での燃焼騒音が所定上限値より大きくなったか否かを判別する判定手段と、
    該判定手段によって前記圧縮着火内燃機関での燃焼騒音が前記所定上限値より大きくなったと判定されたときに、前記燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅角する遅角手段と、を備え
    前記遅角手段によって前記燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅角するときに、燃料噴射時期の単位遅角量当たりの燃焼騒音の低下量に応じて該燃料噴射時期の遅角量を決定することを特徴とする圧縮着火内燃機関の燃焼制御システム。
  2. 前記遅角手段は、燃焼騒音が所定目標値以下となるまで燃料噴射時期を段階的に遅角するものであって、
    燃料噴射時期を遅角するときに、先ず、燃料噴射時期の単位遅角量当たりの燃焼騒音の低下量が増加し始める時期まで一段階目で遅角し、その後、一段階当たりの遅角量を最初の遅角量よりも小さくして燃焼騒音が前記所定目標値以下となるまで燃料噴射時期を段階的に遅角することを特徴とする請求項1に記載の圧縮着火内燃機関の燃焼制御システム。
  3. 前記遅角手段は、燃焼騒音が所定目標値以下となるまで燃料噴射時期を段階的に遅角するものであって、
    燃料噴射時期を遅角するときに、前記判定手段によって前記圧縮着火内燃機関での燃焼
    騒音が所定上限値より大きくなったと判定された時点での燃料噴射時期が早いほど、一段階目の遅角量を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の圧縮着火内燃機関の燃焼制御システム。
  4. 前記EGRガス量制御手段が、前記判定手段によって前記圧縮着火内燃機関での燃焼騒音が前記所定上限値より大きくなったと判定されたときは、前記EGR装置によって吸気系に導入されるEGRガス量を増加させるものであって、
    前記遅角手段によって前記燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅角すると共に前記EGR装置によって吸気系に導入されるEGRガス量を増加させることで前記圧縮着火内燃機関での燃焼騒音が所定下限値より小さくなったときに該燃料噴射時期を段階的に進角させる進角手段をさらに備え、
    前記進角手段によって燃料噴射時期を進角させても前記圧縮着火内燃機関での燃焼騒音が変化しない状態となったときは、燃料噴射時期を前記圧縮着火内燃機関の運転状態に基づいて設定される時期に直ちに戻すことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の圧縮着火内燃機関の燃焼制御システム。
  5. EGRガスを含んだ吸気における燃焼抑制成分の濃度を検出する燃焼抑制成分濃度検出手段をさらに備え、
    前記判定手段は、前記圧縮着火内燃機関において予混合燃焼が行われているときに、前記燃焼抑制成分濃度検出手段によって検出される燃焼抑制成分の濃度を所定の目標抑制成分濃度から減算した値が所定の抑制成分濃度差より大きくなった場合、前記圧縮着火内燃機関での燃焼騒音が前記所定上限値より大きくなったと判定し、
    前記遅角手段によって前記燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅角するときの遅角量を、前記抑制成分濃度検出手段によって検出される燃焼抑制成分の濃度を前記所定の燃焼抑制成分濃度から減算した値に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載の圧縮着火内燃機関の燃焼制御システム。
  6. EGRガスを含んだ吸気におけるO濃度を検出するO濃度検出手段をさらに備え、
    前記判定手段は、前記圧縮着火内燃機関において予混合燃焼が行われているときに、前記O濃度検出手段によって検出されるO濃度から所定の目標O濃度を減算した値が所定のO濃度差より大きくなった場合に、前記圧縮着火内燃機関での燃焼騒音が前記所定上限値より大きくなったと判定し、
    前記遅角手段によって前記燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅角するときの遅角量を、前記O濃度検出手段によって検出されるO濃度から前記所定の目標O濃度を減算した値に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載の圧縮着火内燃機関の燃焼制御システム。
  7. 前記遅角手段によって前記燃料噴射弁からの燃料噴射時期を遅角するときの遅角量を、前記圧縮着火内燃機関の負荷または回転数が高いほど大きくすることを特徴とする請求項またはに記載の圧縮着火内燃機関の燃焼制御システム。
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