JP4788259B2 - フローセル型qcmセンサ - Google Patents

フローセル型qcmセンサ Download PDF

Info

Publication number
JP4788259B2
JP4788259B2 JP2005270062A JP2005270062A JP4788259B2 JP 4788259 B2 JP4788259 B2 JP 4788259B2 JP 2005270062 A JP2005270062 A JP 2005270062A JP 2005270062 A JP2005270062 A JP 2005270062A JP 4788259 B2 JP4788259 B2 JP 4788259B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample solution
solution
liquid
drain pipe
cell type
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005270062A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007078623A (ja
Inventor
卓孝 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meidensha Corp
Original Assignee
Meidensha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meidensha Corp filed Critical Meidensha Corp
Priority to JP2005270062A priority Critical patent/JP4788259B2/ja
Publication of JP2007078623A publication Critical patent/JP2007078623A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4788259B2 publication Critical patent/JP4788259B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Description

本発明は、水晶振動子の電極表面を試料溶液に晒したときの水晶振動子の発振周波数変化やインピーダンス変化から試料の成分を検知・定量するQCM(Quartz Crystal Microbalance)センサに関し、特にフローセル型QCMセンサの共振周波数の安定化技術に関する。
化学・生化学の分野において、反応量や生成物質量を定量することは重要なことであるが、極めて微量の反応量に対して十分な検出感度を得ることは難しかった。
近年、ATカット水晶振動子を用いてマイクロバランス原理を応用したケミカル及びバイオセンサが注目を集めている。ATカット水晶振動子は、その主共振周波数が振動子の板厚と反比例する。この場合、水晶振動子の電極面に試料成分が成膜したり、あるいは物質の吸着が起きると表面に存在する物質の単位平面積当たりの重量に対応した周波数のシフトが起きる。
QCMセンサは、上記の周波数シフト現象を応用したもので、ATカット水晶振動子は広い温度範囲において周波数が安定しているため、安定した検出感度が期待でき、条件が揃えば1〜10ngの吸着物質の検出がリアルタイムで可能である。以下に吸着物質量と周波数のシフト量の関係を示す。
まず、ATカット水晶振動子の共振周波数は
Figure 0004788259
qはさらに、
Figure 0004788259
で表わされる。ここで,f0:水晶振動子の主共振周波数、vq:厚みすべり振動の音響波(横波)の伝播速度、tq:水晶振動子の厚み、μq:水晶の剛性率、ρq:水晶の密度である。
この主共振を持つ水晶振動子の厚み変化Δtによる共振周波数変化率Δfは(1)、(2)式より
Figure 0004788259
で表わされる。さらに、水晶の厚み変化Δtは、Δt=Δm/ρqである。ここで、Δmは単位表面積当たりの質量変化である。
水溶液中にQCMを浸漬すると、溶液の密度及び粘性率が気相中と比べて高い。したがって、厚みすべり振動の音響波が溶液側に減衰して伝わり、共振周波数が減少する。これは、水晶振動子上に有効厚さの液膜層が形成された状態と等価であるとみなすことができる。この液膜層の有効厚さd1は、水溶液がニュートン流体であるとすると、
Figure 0004788259
で近似される。ここで,v1:水溶液の動粘性率、η1:水溶液の粘性率、ρ1:水溶液の密度、f1:水溶液中の水晶振動子の共振周波数であり,v1=μ1/ρ1である。
QCMを溶液中で使用する場合、両電極間の絶縁を保つため、水晶振動子の片面のみを溶液に浸漬する。水晶振動子の片面のみを浸漬する場合、電極の単位面積当たりの見かけの質量変化Δm1は(4)式より、以下の(5)式となる。
Figure 0004788259
ここで、f1=f0として、(5)式を(3)式に代入すれば,溶液に水晶振動子を片面のみ浸漬する場合の共振周波数変化Δfは、
Figure 0004788259
で表わされる。(6)式から分かるように、全体感度を上げるには主共振周波数f0を上げることが重要となる。したがって、センサとして用いる水晶振動子の主共振周波数を高くするほど、高感度のセンサとすることができる。
ここで、水晶振動子の電極面を試料溶液に晒す手法としては、容器中の試料溶液に水晶振動子を浸漬し、電極面を試料溶液で晒すために試料溶液を攪拌する方法であった。しかし、この測定方法では、多くの試料溶液を必要とし、電極面を試料溶液で十分に晒すには時間がかかるし、短時間に測定しようとすると晒しが不十分で安定した測定ができない、さらに複数の試料溶液を切り替えた連続的な測定ができないなどの不都合があった。
これら課題を解消しようとするフローセル構造のQCMセンサは、水晶振動子を内蔵するセルの注入口から試料溶液を注入し、水晶振動子の電極面に接した試料溶液を排出口から排出する構造としている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
図4は、フローセル構造のQCMセンサの構成例を示す。容器1には試料の入口部2と出口部3を設け、内部には上下のOリング4と円孔5を有するセンサ固定治具6からなる支持体でもってセンサ振動子7を配置したフローセル構造とする。測定に供された試料は入口部2から円孔5を通り、センサ振動子7の表面を晒し、出口部3から排出する。8は振動子のリード線の引き出し孔。
特開2004−245613号公報 特開平11−183479号公報
ATカット水晶振動子は、厚みすべりモードを使用しているため、主共振周波数f0はその厚みtqと反比例する。したがって、前記のように、高周波水晶振動子は水晶基板厚の薄いものが必要となる。
一方、溶液中で適用するQCMセンサを実現するには、共振周波数を正確に測り、なおかつ振動子のどちらか一方の表面に試料溶液を晒すという条件を満たさなければならない。また、前記の(3)式から分かるとおり、水晶振動子上に吸着した物質のうち検知・定量できるのは水晶振動子の電極上のみであるため、微量な成分あるいは少量の試料溶液から迅速・高感度に検知・定量するためには、前記のフローセル型QCMセンサ方式が好適となる。
この種のフローセル型QCMセンサを採用した計測システムの構成例を図5に示す。同図において、フローセル型QCMセンサ11は、容器12下部に水晶振動子13を配置し、容器12には試料溶液の注入口14および排出口15を設けたフローセル構造とする。水晶振動子13の表面と裏面に対向して設けた一対の電極16、17は、発振回路18の振動子電極に接続しておき、発振回路18は水晶振動子13を振動子として発振動作をする。周波数カウンタ19は、発振回路18の発振周波数を計数値とするカウンタ動作をする。パソコン20はカウンタ19の計数値から水晶振動子の振動周波数の変化として計測データを得、画面等に表示する。
このシステム構成において、測定に際しては、送液ポンプ21によって試料溶液を注入口14から容器内に注入し、水晶振動子13の電極16面を流れた試料溶液を排出口15から排出させる。試料溶液の排出には排出口15から回収容器22へ滴下させる。
上記のような計測システムに使用するフローセル型QCMセンサは、セル内に試料溶液を送液、セルから試料溶液を排出することで発生するセル内圧力変化により薄い水晶基板が歪み、機械的に振動している水晶振動子の共振周波数を変動させることとなる。
このセル内圧力変化の発生要因は、ドレイン(排出口)から排出される試料溶液のドレイン先端で生じる液滴およびその落下にあることを見い出し、実験で確認した。また、試料溶液と接しない振動子裏面を大気中(大気圧)で保持するため、試料溶液をセル内に送液する送液ポンプ駆動に起因して水晶振動子の表面には脈動を伴う圧力変化にあることを見い出し、実験で確認した。
図6には、30MHzQCMを用いて、送液ポンプには2.5mL容量のシリンジポンプを用い、2W1−2相励磁によりステッピングモータで駆動し、純水(18MΩ/cmオーダ)を20μL/minの速度で送液したときの発振周波数の測定例を示し、周波数の測定は0.1sec間隔で行った。
図中の約20sec間隔で現れる周波数ピークは液滴落下に起因したセル内圧力変化に対応している。また、送液ポンプにおける1パルスあたりの吐出量は3.18×10-8Lとなり、送液速度が20μL/minであることから10.7パルス/secとなる。したがって、図中のf0±2Hz程度の周波数変動はポンプ駆動に起因した脈動を伴う圧力変化が支配的である。
このような周波数変動(周波数ドリフト)は、周波数カウンタ19またはパソコン20側の感度を下げておけば無視できるが、これは計測システムの精度低下になる。また、パソコン20側の周波数信号処理機能として、周波数ドリフトを補正・解析するソフトウェアを増設することが考えられるが、計測システムの複雑化、コストアップ、データ解析の時間遅れなどの問題が残る。
なお、特表2004−523150(発明名称:チップ状水晶振動子及び液相センサ)では、水晶振動子の歪みを解消させる手段として、十分に厚みをもった固定基板の表面上に水晶振動子を並置し、液圧の変化に対しても水晶基板が歪むことを防止する提案がなされている。しかしこの手法では、固定基板表面と水晶振動子の表面が接触することは容易に推察され、機械的に振動している水晶振動子のQ値を著しく低下させることになる。さらに、液圧がある一定圧以上に達した場合、水晶振動子の振動が停止してしまうことも考えられる。
本発明の目的は、計測感度を下げることなく、また周波数ドリフトの補正・解析手段を不要にして、送液ポンプの駆動に起因したセル内の脈動を伴う圧力変化を抑制し、さらには試料溶液の排出に因るセル内圧力変化を抑制し、水晶振動子の共振周波数の安定化を図ったフローセル型QCMセンサを提供することにある。
本発明は、送液ポンプで駆動される試料溶液によって水晶振動子基板の表面に加えられる脈動を伴う圧力変化に対して、これと同等の脈動を伴う気体圧力を水晶振動子基板の裏面に同じタイミングで加える圧力調整機構を設けることで、水晶振動子基板の表裏面に加えられる圧力を平衡させてその歪み発生を無くし、これによって水晶振動子の振動を阻害することなく、試料溶液の送液ポンプ駆動に起因した水晶振動子の周波数変動を抑制し、水晶振動子の共振周波数の安定化を図る。
これに加えて、本発明は、試料溶液の排出口にドレインパイプを繋げ、このドレインパイプの先端部を、試料溶液と同等の溶液を充填した回収容器の「溶液中に沈め」または「液面に接触」させ、ドレインパイプから排出される試料溶液を回収容器の溶液と常に連通させておく溶液途切れ防止機構を設けることで、排出経路での試料溶液の途切れを無くした連続的な流れを得、従来の試料溶液の液滴形成・落下によるセル内圧力変化を抑制するもので、以下の構成を特徴とする。
(1)水晶振動子を内蔵するセルの注入口から送液ポンプによって試料溶液を注入し、水晶振動子の電極面に接した試料溶液を排出口から排出する構造のフローセル型QCMセンサにおいて、
前記送液ポンプから前記セル内に試料溶液を送液する途中経路の管を2分割し、その流路の一方は送液ポンプからセル内の前記水晶振動子の表面を通過して試料溶液を排出される送液ラインとし、他方の流路は分割した管を前記水晶振動子の試料の接しない裏面に接続する気体密封ラインとし、この気体密封ラインは前記水晶振動子の裏面側を気密構造で覆う構造の容器の底部に設けた空気導入孔と前記送液ポンプの吐出口との間を連通させる構造とし、
前記送液ポンプから吐出される試料溶液は前記送液ラインのみに送液され、この送液に伴い前記水晶振動子の基板表面に発生する脈動を伴う圧力変化と同等の空気圧を前記気体密封ラインを通して前記基板裏面に加える圧力調整機構を備えたことを特徴とする。
(2)前記圧力調整機構に使用する圧力調整媒質は、体積圧縮率が高く、かつ水晶振動子のQ値を低下させない気体としたことを特徴とする。
(3)前記排出口に繋げたドレインパイプの先端部を、試料溶液と同等の溶液を充填した回収容器の「溶液中に沈め」または「液面に接触」させ、前記ドレインパイプから排出される試料溶液を前記回収容器の溶液と常に連通させておく溶液途切れ防止機構を備えたことを特徴とする。
(4)前記排出口に軟性を有するドレインパイプを繋げ、このドレインパイプの先端部にフロート(浮き)を設け、試料溶液と同等の溶液を充填した回収容器の液面に前記フロートを浮かせ、前記ドレインパイプの先端を前記回収容器の「溶液中に沈め」または「液面に接触」させ、前記ドレインパイプから排出される試料溶液を前記回収容器の溶液と常に連通させておく溶液途切れ防止機構を備えたことを特徴とする。
(5)前記ドレインパイプは、伸縮自在にしたスパイラル構造としたことを特徴とする。
(6)前記回収容器は、前記ドレインパイプからの試料溶液を回収する小口径の容器と、この容器から溢れた試料溶液を回収する大口径の容器とからなる二重構造としたことを特徴とする。
(7)前記回収容器は、前記ドレインパイプからの試料溶液の回収量の増大にも液面高さの変化を僅かにする大口径の構成としたことを特徴とする。
(8)前記回収容器は、その液面を、前記水晶振動子の電極面の高さに近い位置にした構成を特徴とする。
以上のとおり、本発明によれば、以下の効果がある。
(1)圧力調整機構を設けることで、送液ポンプ駆動に起因したセル内の脈動を伴う圧力変化を抑制することが可能となり、周波数安定性が向上する。
(2)溶液排出に因るセル内圧力変化を抑制する溶液途切れ防止機構と組み合わせることで、水晶振動子の共振周波数の極めて高い安定化を図ることができる。
(3)高い周波数分解能をもった計測が可能となり、試料成分のより高感度な検知・定量が可能となる。
(4)周波数ドリフトの補正解析が不要となり、データ解析時間の短縮が図れる。また、システムの簡素化、コストダウンを図ることができる。
図1は、本実施形態のフローセル型QCM計測システムを示し、図5と同等の部分は同一符号で示す。
本実施形態において、ドレイン(排出口)から排出される試料溶液のドレイン先端で生じる液滴およびその落下に起因するセル内圧力変化の抑制には、試料溶液の排出口にドレインパイプを繋げ、このドレインパイプの先端部を、試料溶液と同等の溶液を充填した回収容器の「溶液中に沈め」または「液面に接触」させた溶液途切れ防止機構を備え、ドレインパイプから排出される試料溶液を回収容器の溶液と常に連通させておき、排出経路での試料溶液の途切れを無くした連続的な流れを得る構成とする。
この構成は、本願出願人は別途に提案しているものであり、図1ではフローセルの試料溶液排出口15にドレインパイプ23を繋げ、試料溶液と同等の溶液を予め充填した回収容器22の溶液中に、ドレインパイプ23の先端部23Aを「溶液中に沈め」または「液面に接触」させた溶液途切れ防止機構とする。
この構成により、ドレインパイプ23から排出される試料溶液が回収容器22の溶液と常に連通しており、排出経路での試料溶液の途切れを無くした連続的な流れを得ることができる。この結果、従来の試料溶液の液滴形成・落下に因るセル内の圧力変化を抑制する。
図2は、上記の溶液途切れ防止機構を設けた30MHzQCMを用いて、図6と同様の測定条件、つまり純水(18MΩ/cmオーダ)を20μL/minの速度で送液し、周波数の測定は0.1sec間隔で行ったときの発振周波数の測定例を示す。図6に比べて、共振周波数f0±2Hz程度の高い周波数安定性を得ることができる。
なお、溶液途切れ防止機構の他の例として、軟性をもつドレインパイプの先端部にフロート(浮き)を設け、試料溶液と同等の溶液を充填した回収容器の液面にフロートを浮かせ、ドレインパイプの先端を回収容器の「溶液中に沈め」または「液面に接触」させた構成とし、回収容器の液面変化にもドレインパイプの先端部を常に同じ液面深さ位置にするものも提案している。
さらに、該提案では、回収容器の液面高さがセル内圧力におよぼす影響を取り除くための以下の構成、
・ドレインパイプを伸縮自在にしたスパイラル構造とした構成、
・回収容器は、ドレインパイプからの試料溶液を回収する小口径の容器と、この容器から溢れた試料溶液を回収する大口径の容器とからなる二重構造とした構成、
・回収容器は、ドレインパイプからの試料溶液の回収量の増大にも液面高さの変化を僅かにする大口径とした構成、
・回収容器は、その液面を、水晶振動子の電極面の高さに近い位置にした構成、
を提案している。
次に、本実施形態では、試料溶液の送液ポンプ駆動に起因したセル内の脈動圧力変化の抑制には、送液ポンプで駆動される試料溶液によって水晶振動子基板の表面に加えられる脈動を伴う圧力変化に対して、これと同等の脈動を伴う圧力を水晶振動子基板の裏面に同じタイミングで加える圧力調整機構を設ける。この機構により、水晶振動子の振動を阻害することなく、水晶振動子基板の表裏面に加えられる圧力を平衡させてその歪み発生を無くし、送液ポンプで駆動に因る周波数変動を抑制する。
この圧力調整機構は、図1では、送液ポンプ21からセンサ11のセル内に試料溶液を送液する途中経路において管を2分割し、その流路の一方は送液ポンプからセル内の水晶振動子の表面を通過して試料溶液を排出される通常の送液ラインLAとし、他方の流路は分割した管を水晶振動子の試料の接しない裏面に接続する気体密封ラインLBに構成している。
気体密封ラインLBの実現には、容器12は水晶振動子13の裏面側を気密構造で覆う構造とし、その底部に空気導入孔を設け、この空気導入孔と送液ポンプ21の吐出口との間をパイプで連通させる。
この構成により、送液ポンプ21から吐出される試料溶液は、気体密封ラインLBに流れ込むことなく、送液ラインLAのみに送液される。このとき、送液に伴い水晶基板の表面に発生する脈動を伴う圧力変化と同等の空気圧を水晶基板の裏面に加えることができる。
したがって、送液ポンプ21による試料溶液の送液時に、水晶振動子13の表裏面にかかる圧力は平衡させることができ、水晶振動子基板の表裏面の圧力差に起因した歪みは発生しない。なお、この圧力を平衡させるために導入した気体密封ラインLBには、液体と比較して体積圧縮率の高い気体を導入することで、送液ポンプ21の送液動作に起因した脈動を伴う圧力変化を緩衝させるのに好適となる。
以上のように、圧力調整機構を設けることにより、送液によるセル内に液圧変化が発生しても水晶振動子の表裏面にかかる圧力を常に平衡させ、水晶振動子の共振周波数を安定化させることができる。また、水晶振動子の裏面には気体圧力のみが加わるため、特表2004−523150のように、十分に厚みをもった固定基板を水晶振動子に並置し、液圧の変化に対しても水晶基板が歪むことを防止する構成に比べて、水晶振動子のQ値低下が極めて少なくなる。
図3は、図1の構成、つまり溶液途切れ防止機構と圧力調整機構の両方を設けた構成になるフローセル型QCMシステムを用い、30MHzQCMの周波数安定性を評価した結果を示す。この評価には、従来と同じ条件、つまり30MHzQCMを用いて、純水(18MΩ/cmオーダ)を20μL/minの速度で送液し、周波数の測定は0.1sec間隔で行った。送液ポンプには、2.5mL容量のシリンジポンプを用い、2W1−2相励磁によりステッピングモータで駆動した。
この結果、f0±0.3Hz以下という極めて高い周波数安定性を確保していることが確認された。これにより、水晶振動子基板間の圧力平衡および封入気体による脈動の緩和が水晶振動子の周波数安定性を向上させる重要要因であることが確認された。
なお、圧力調整機構に使用する圧力調整媒質は、液体と比較して体積圧縮率が高く、かつ水晶振動子のQ値を低下させない気体が好ましい。例えば、乾燥N2ガスや乾燥空気、あるいは飽和塩法(飽和塩溶液の入った密閉容器中の空気は特定の相対湿度に保持される)の原理に則って相対湿度を一定とさせた空気を利用するのが好ましい。
本発明の実施形態を示すフローセル型QCM計測システム。 30MHzQCMの発振周波数の測定例(溶液途切れ防止機構付き)。 30MHzQCMの発振周波数の測定例(溶液途切れ防止機構と圧力調整機構付き)。 フローセル構造のQCMセンサの構成例。 フローセル型QCMセンサの計測システムの構成例。 30MHzQCMの発振周波数の測定例(従来)。
符号の説明
11 フローセル型QCMセンサ
12 容器
13 水晶振動子
14 注入口
15 排出口
16、17 電極
18 発振回路
19 周波数カウンタ
20 パソコン
21 送液ポンプ
22 回収容器
23 ドレインパイプ
LA 送液ライン
LB 気体密封ライン

Claims (8)

  1. 水晶振動子を内蔵するセルの注入口から送液ポンプによって試料溶液を注入し、水晶振動子の電極面に接した試料溶液を排出口から排出する構造のフローセル型QCMセンサにおいて、
    前記送液ポンプから前記セル内に試料溶液を送液する途中経路の管を2分割し、その流路の一方は送液ポンプからセル内の前記水晶振動子の表面を通過して試料溶液を排出される送液ラインとし、他方の流路は分割した管を前記水晶振動子の試料の接しない裏面に接続する気体密封ラインとし、この気体密封ラインは前記水晶振動子の裏面側を気密構造で覆う構造の容器の底部に設けた空気導入孔と前記送液ポンプの吐出口との間を連通させる構造とし、
    前記送液ポンプから吐出される試料溶液は前記送液ラインのみに送液され、この送液に伴い前記水晶振動子の基板表面に発生する脈動を伴う圧力変化と同等の空気圧を前記気体密封ラインを通して前記基板裏面に加える圧力調整機構を備えたことを特徴とするフローセル型QCMセンサ。
  2. 前記圧力調整機構に使用する圧力調整媒質は、体積圧縮率が高く、かつ水晶振動子のQ値を低下させない気体としたことを特徴とする請求項1に記載のフローセル型QCMセンサ。
  3. 前記排出口に繋げたドレインパイプの先端部を、試料溶液と同等の溶液を充填した回収容器の「溶液中に沈め」または「液面に接触」させ、前記ドレインパイプから排出される試料溶液を前記回収容器の溶液と常に連通させておく溶液途切れ防止機構を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のフローセル型QCMセンサ。
  4. 前記排出口に軟性を有するドレインパイプを繋げ、このドレインパイプの先端部にフロート(浮き)を設け、試料溶液と同等の溶液を充填した回収容器の液面に前記フロートを浮かせ、前記ドレインパイプの先端を前記回収容器の「溶液中に沈め」または「液面に接触」させ、前記ドレインパイプから排出される試料溶液を前記回収容器の溶液と常に連通させておく溶液途切れ防止機構を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のフローセル型QCMセンサ。
  5. 前記ドレインパイプは、伸縮自在にしたスパイラル構造としたことを特徴とする請求項4に記載のフローセル型QCMセンサ。
  6. 前記回収容器は、前記ドレインパイプからの試料溶液を回収する小口径の容器と、この容器から溢れた試料溶液を回収する大口径の容器とからなる二重構造としたことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフローセル型QCMセンサ。
  7. 前記回収容器は、前記ドレインパイプからの試料溶液の回収量の増大にも液面高さの変化を僅かにする大口径の構成としたことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフローセル型QCMセンサ。
  8. 前記回収容器は、その液面を、前記水晶振動子の電極面の高さに近い位置にした構成を特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のフローセル型QCMセンサ。
JP2005270062A 2005-09-16 2005-09-16 フローセル型qcmセンサ Active JP4788259B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005270062A JP4788259B2 (ja) 2005-09-16 2005-09-16 フローセル型qcmセンサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005270062A JP4788259B2 (ja) 2005-09-16 2005-09-16 フローセル型qcmセンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007078623A JP2007078623A (ja) 2007-03-29
JP4788259B2 true JP4788259B2 (ja) 2011-10-05

Family

ID=37939097

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005270062A Active JP4788259B2 (ja) 2005-09-16 2005-09-16 フローセル型qcmセンサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4788259B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7802466B2 (en) * 2007-11-28 2010-09-28 Sierra Sensors Gmbh Oscillating sensor and fluid sample analysis using an oscillating sensor
WO2016110462A1 (en) * 2015-01-06 2016-07-14 Biolin Scientific Ab An apparatus for measuring surface interaction with a sample under pressure

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4557957A (en) * 1983-03-18 1985-12-10 W. L. Gore & Associates, Inc. Microporous metal-plated polytetrafluoroethylene articles and method of manufacture
SE510733C2 (sv) * 1995-01-03 1999-06-21 Chemel Ab Kemisk sensor baserad på utbytbar igenkänningskomponent samt användning därav
JP3717696B2 (ja) * 1999-03-04 2005-11-16 北斗電工株式会社 Qcmセンサデバイス
JP2001215183A (ja) * 2000-02-03 2001-08-10 Sapporo Breweries Ltd 酒類の味評価方法及び評価装置
SE0004547D0 (sv) * 2000-12-07 2000-12-07 Amersham Pharmacia Biotech Kk Chip quartz oscillator and sensor
JP2003315233A (ja) * 2002-04-26 2003-11-06 Mitsubishi Chemicals Corp 水晶振動子用測定セル
JP2004278488A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Tx Soiru Kogyo:Kk 液体循環装置
JP4130937B2 (ja) * 2004-03-03 2008-08-13 ヤマハ株式会社 酵素センサおよびそれを用いた分析装置、酵素センサの製造方法、ならびにアミラーゼ活性測定方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007078623A (ja) 2007-03-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Auge et al. New design for QCM sensors in liquids
US10866216B2 (en) Temperature compensation and operational configuration for bulk acoustic wave resonator devices
US7148611B1 (en) Multiple function bulk acoustic wave liquid property sensor
KR20010099776A (ko) 액체의 밀도와 점도를 산출하기 위한 센서 어레이 및 방법
JP2002528715A (ja) 自動利得手段のためのフィードバックループを有する水晶結晶板微量天秤
JP2012530923A (ja) 圧電共振器を使用した流体媒質中でのナノ重量測定のための方法及びデバイス
JP4788259B2 (ja) フローセル型qcmセンサ
JP4784222B2 (ja) フローセル型qcmセンサ
JP2006214792A (ja) マイクロリアクタ、解離定数測定装置、解離定数測定方法、及び解離定数測定プログラム
EP1519162B1 (en) Measurement method and biosensor apparatus using resonator
JP4228993B2 (ja) フローセル型qcmセンサ
JP4646813B2 (ja) バイオセンサ計測システム、粘性率測定方法、および微量質量測定方法
JP4403078B2 (ja) チップ型圧電共振器及び液相センサ
JP2006250926A (ja) 質量測定装置
JP2009031233A (ja) マルチチャンネルqcmセンサ
Joseph et al. Design and optimization of a multichannel quartz crystal microbalance sensor array for multiple target gas detection
JP2007057289A (ja) 分析用マイクロセンサ
JP4616124B2 (ja) マイクロリアクタ、マイクロリアクタシステム、および該マイクロリアクタシステムを用いた分析方法
Zhang et al. Mass effects of quartz resonant sensors with different surface microstructures in liquids
JP2006170742A (ja) フローセル型qcmセンサ
JP2007298479A (ja) Qcmセンサデバイス
JP2003315235A (ja) 分析方法
JP2004150879A (ja) バイオセンサ用セル
JP2005098866A (ja) 振動子を使用した測定方法及びバイオセンサー装置
JP2005214989A (ja) Qcmセンサデバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080904

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101130

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110329

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110526

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110621

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110704

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140729

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4788259

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150