JP2004278488A - 液体循環装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】湖や池などにおいて水流を発生させたい場合には、通常、動力ポンプが用いられる。しかし動力ポンプによる場合、水流の発生が顕著であるものの、前記ポンプを動かすためのエネルギーコストがかかる他、ポンプの作動音が騒音となるおそれもある。そこで、昼夜の気温変動を利用して水流発生や水の移動が行えるようにする。
【解決手段】下部に水の入口2および出口3が設けられたタンク4と、入口2に接続された吸入管5と、出口3に接続された排出管6と、入口2付近に設けられた吸入逆止弁7と、出口3付近に設けられた排出逆止弁8とを備え、前記タンク4内の水層Wの上部における空気層Aの気温変動に伴う膨張・収縮によって、タンク4に水が吸排水される。
【選択図】 図1
【解決手段】下部に水の入口2および出口3が設けられたタンク4と、入口2に接続された吸入管5と、出口3に接続された排出管6と、入口2付近に設けられた吸入逆止弁7と、出口3付近に設けられた排出逆止弁8とを備え、前記タンク4内の水層Wの上部における空気層Aの気温変動に伴う膨張・収縮によって、タンク4に水が吸排水される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、一日の気温変動を利用して湖、沼、池、プール、或いは砂漠のオアシスなどにおいて、水流を発生させたり、ある水源から他の場所へ水を流入させるのに用いられる液体循環装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、湖や池、或いは釣堀などにおいて、水流を発生させたい場合には、通常、動力ポンプが用いられるが、動力ポンプによる場合、水流の発生が顕著であるものの、前記ポンプを動かすために電力等のエネルギーが必要となるため、常時水流を発生させる場合には、エネルギーコストがかかる他、静かな山間部などにおいては、ポンプの作動音が騒音となって、近隣の住民などから苦情が寄せられるおそれもある。
【0003】
本発明の目的は、電力などのエネルギーを用いることなく、昼と夜の気温変動を利用して水流発生や水の移動を行うことができる液体循環装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の液体循環装置は、気体層を残して液体を保持し、前記気体層の気体温度の昇降により前記液体を昇圧又は、減圧可能なタンクと、前記気体の昇温による前記液体の昇圧に基づいて前記液体をタンク外に排出するために利用する排出逆止弁と、前記気体の降温による前記液体の減圧に基づいてタンク内に液体を吸入するために利用する吸入逆止弁とを有するものである。
【0005】
そして、前記タンクは、例えば昼夜の日照変化などに基づいて前記気体温度の昇降をするものであり、そのため、前記タンクは、太陽光を前記気体層に照射可能とする透明部を有するのが好ましい。
【0006】
また、前記タンクは、前記液体を保持した状態で通常、水上に浮くものであり、さらに、当該タンクは、必要に応じて、外部から液体を吸入逆止弁に導くための吸入管と、前記排出逆止弁から外部に液体を導くための排出管とを有する。また、前記吸入管と排出管の長さを変えることにより、上下方向の水流を発生させることができる。
【0007】
この他、前記タンクには、太陽光を集光して前記気体層に照射可能とする集光部を設けるのが好ましい。
【0008】
図9は、集光部の一例の概念を示す図である。この図にあるように、タンク0900は逆止弁0901、0902を有しながら、集光のための凹面鏡0903により太陽光0908を受ける構成となっている。
【0009】
同図(b)は、タンク0904は、逆止弁0906、0907を有しながら周辺に設置された鏡0905、0905である集光部から太陽光0909の反射を受ける。
【0010】
図10は、本実施形態の一実施例であり、タンク1002が、太陽光1003を集光するレンズの焦点付近に設置され太陽光の集光1004を受けている様子を示す。この構成もレンズとタンクの配置により集光部を構成した例である。
【0011】
なお、前記タンク内における気体の温度変化は、当該タンクに太陽光が直接当たらない場合でも、一日における太陽の移動に伴って起こることは勿論である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
【0013】
(実施形態1)
【0014】
図1に示すように、循環装置1は、入口2および出口3が設けられ、水面Rに配置されるタンク4と、一端が前記入口2に接続され、他端側が水中に伸びる吸入管5と、一端が前記出口3に接続され、他端側が水中に伸びる排出管6と、前記吸入管5の基端寄り部分に設けられて、タンク4内への水の吸入だけを行う吸入逆止弁7と、前記排出管6の基端寄り部分に設けられて、タンク4外への水の排出だけを行う排出逆止弁8とを備えている。
【0015】
前記タンク4は、本実施形態では合成樹脂製であって、その上部が透明となされている。このため、太陽が照っている状態においては、太陽光が当該タンク4内に入って該タンク4内の温度上昇が促進される。
【0016】
前記吸入管5と排出管6は、本実施形態では、合成樹脂製であって、互いに同じ長さであり、且つ両管5・6の先端部5a・6aがそれぞれ略T字状となされている。そのため、吸入管先端部5aではその左右方向からの吸水が行われ、排出管先端部6aではその左右方向への排水が行われることとなり、そのため、水平方向の水流が発生し得る。
【0017】
また、その他の実施例として、この両管5・6の先端部が、平面的に見てX字状になっていてもよい。
【0018】
図13に示すのは、上記その他の実施例を表す図である。なお、この図は、図1とは違い、循環装置1を上方から平面的に見た俯瞰図である。この図にあるように、この循環装置1は、両管5・6の先端部5b・6bが、平面的に見てX字状になっていることを特徴とする。この場合吸水や排水時の水流は、破線矢印で示すように発生する。したがって、略T字状の場合には左右方向しか発生しない水流に加えて、水平方向の別の水流をさらに発生させることができる。
【0019】
図14に示すのは、上記X字状の先端部を有する循環装置1a・1b・1c・1d・・・を、池に並べた際の俯瞰図である。このように循環装置を四方に並べることで、循環装置によって発生させた破線矢印の水流の流れを集合させ、大きな矢印で示す大きな水流を、池の横(左右)方向と縦(水平)方向に発生させることができる。
【0020】
また別のその他の実施例として、この両管5・6の先端部が、上下方向に口が伸びる形で略X字状になっているものであってもよい。
【0021】
図15に示すのは、上記また別のその他の実施例を表す図である。この図にあるように、循環装置1は両管5・6の先端部5c・6cが略X字状になっていることを特徴とする。この場合吸水及び排水は、破線矢印で示すように、略T字状と比べて上方及び下方に角度のついた形で左右方向から行われる。したがって、左右方向だけでなく、上下方向への水流も発生し得る。このように上下方向への水流が発生することで、上下の水の循環が促進される効果がある。
【0022】
もちろん、この先端部はT字状やX字状に限定されるものではない。
【0023】
本実施形態の循環装置1によれば、日中における気温上昇に伴って、タンク4内の上部における空気層Aの温度も上昇して該空気層Aが膨張することで該空気層Aの圧力が高まる結果、空気層Aの下層にあたる水層Wが下方に押圧されて、タンク4内の水が排出逆止弁8を通って排出管6の先端部6aから排出される。
【0024】
一方、夜間における気温低下に伴って、タンク4内の上部における空気層Aの温度も下がって該空気層Aが収縮することで該空気層Aの圧力が低下する結果、その下方の水層Wの水位が上昇すると共に、吸入逆止弁7を介して吸入管5の先端部5aから水が吸い込まれる。
【0025】
そして、前述したような昼夜の気温変動によって、タンク4内の水が吸排水される結果、本実施形態では水平方向の水流が発生する。また、この水流発生は、日中、太陽が照っている日には、昼夜の気温変動が大きくなるため、更に促進され得る。
【0026】
また特に、昼夜の気温変動が激しい砂丘地帯におけるオアシスなどにおいて、その水が澱んでいる場所に本実施形態の循環装置1を配置した場合には、その水平方向への水流の発生によって、水が適当に循環されるため、水質の低下を有効に防止することができる。
【0027】
なお、本実施形態では、前記タンク4は、水面に浮かべられているが、水源近傍の地面や桟橋等に配置しても良い。
【0028】
また、前記タンク4の上部は、太陽光が入るように透明としたが、更にレンズ構造として太陽光が集光されるようにしても良いし、或いはタンク4上部の表面積を広くするために、タンク4上部を襞状に成形しても良い。
【0029】
図5は、本件発明の作動原理を概念的に説明するための図である。同図(a)は、タンク0500に比較的低温の状態で気体(気体層)0502と、液体0504とがある状態である。この気体層0502が昇温し、比較的高温になった様子を示すのが同図(b)である。この図にあるように、気体(気体層)0503は温度が上がり膨張をし昇圧し、液体0505に対して圧力を加える。即ち、液体の圧力が高くなり、もし、このタンクに液体の出口があれば、その出口を通して液体は外部に導かれる。
【0030】
図6は、本件発明のタンクの形態を示す模式図である。この図にあるように、タンクは種種の形態をしていても良い。例えば、同図(a)では、タンク0601は断面が矩形をしており、内部に液体0604がたまっている。吸入逆止弁0607は、タンク内に対してのみ液体の流入を許す弁であり、排出逆止弁0610は、タンク内から外に対してのみ液体の流出を許す弁である。同図(b)は、タンク形状が球形ないしは、円筒形であるものを示している。タンク0602の内部には液体0605がたまっているが、吸入逆止弁0608と、排出逆止弁0611とが、低部に配置されているのでタンク内の液体が少なくなってもタンク内の気体を外部に放出することとならないというメリットを有する。同図(c)は、タンク0603断面が逆三角形をしている例である。この例では、液体0606に対して、気体の体積を大きく取れるので気体の体積変化率が小さくても液体を比較的たくさん移動できるというメリットがある。
【0031】
図7は、本実施形態の他の一例を示す図である。同図(a)に示すのは、弁当箱状の筐体に液体を保持し、弁当箱の口の部分が帽子形状の布状物で密閉されている液体循環装置を示している。同図(b)のような状態にするために同図(a)で示すようにこの帽子状の部分に気体を吹き込み、同図(b)に示すように膨らませる。そうすると、このふくらみの部分にある気体が膨張、収縮することで、弁当箱状の部分に保持された液体が逆止弁0703、0704から入ったり出たりする。なお、気体を吹き込み膨らませた状態で前記逆止弁により液体の出入を実現する必要があるので、逆止弁の動作圧力はその膨らませた状態の密閉圧力に応じて最適化する必要がある。例えば、膨らませた状態で3気圧の密閉空間となっている場合には逆止弁は3気圧よりも低圧力で外部からの液体が入り、3気圧よりも高圧で外部に液体が出るようにする必要がある。例えば、水深30メートルの位置は3気圧なので、その程度の深さに逆止弁を設ければよい。
【0032】
図7(c)は、同図(a)の弁当箱状の部分をも布状物とした例である。同じく気体を吹き込むことにより同図(d)のようになる。この例では、弁当箱状の部分を省略できるので布状物の持ち運びだけで本件実施形態の液体循環装置を移動できるというメリットがある。なお、布状物には、逆止弁0707、0708が予め設けられている。布状物の材質としては、ビニール系の材料やゴム系の材料など各種のものが利用可能である。
【0033】
(実施形態2)
【0034】
図2に示すように、本実施形態の循環装置21は、前記実施形態1の循環装置1において、吸入管5および排出管6の長さを変更したものである。したがって、前記吸入管5および排出管6以外のものは前記実施形態1と同様であるので、前記実施形態1と同じ符号を用いることによって各部の説明を省略する。
【0035】
すなわち、本実施形態では、排出管26の長さが吸入管25の長さよりも短くなされ、且つこれら吸入管25および排出管26の先端部25a・26aは、前記実施形態1のような略T字状とされておらず、真直ぐな形状なされている。そして、前記排出管26の先端部26aは、開口されて下方に水が排出されるようになされている。一方、前記吸入管25の先端部25aは閉止され、該吸入管25の先端部25a寄り部分の対向位置に吸水口28が形成され、該吸水口28を介して横方向から吸水する構造となっており、これにより水源の底に溜まった泥等を吸引することがない。
【0036】
本実施形態の循環装置21においても、前記実施形態1と同様、日中の気温上昇に伴って排水が行われ、夜間の気温低下に伴って吸水が行われるが、本実施形態では、排出管26の長さが吸入管25の長さより短くされていることから、図2に示すように、上下方向の水流が発生する。したがって、例えば水深のあるダム湖などにおける水の循環に特に有効である。
【0037】
また、密度流という現象を利用することで、本実施形態の循環装置でさらに効率的に上下方向の水流を発生させることもできる。「密度流」とは、流体はその流体の持つ温度や比重などの密度と同じ層に入りこむ、という性質によって発生する流体の流れのことをいう。つまり、密度の異なる表層と低層の水を混合し、中間層に放出することで、その混合水が「密度流」によって自然に上の表層と下の低層に拡散される。それにより、効率的に上下方向の水流を発生させる、というわけである。
【0038】
図16に示すのは、上記密度流を利用して上下の水流を発生させる循環装置21を表した図である。
【0039】
例えば、夏期には水面付近の表層は温度が高い、すなわち低密度であり酸素を多く含んでいる。また、湖底や海底などその低層では温度が低い、すなわち高密度であり酸素をあまり含んでおらず、上下の水の循環が停滞していることが多い。
【0040】
そこで、この図にあるように、吸入逆止弁が7A・7Bの2つあり、そこから2つの吸入管25A・25Bが伸びている循環装置21を用意する。また、排出逆止弁8からは、図2で説明した循環装置21と同様に、排出管26が伸びている。
【0041】
また、この循環装置21は、吸入管25Aが水の低層(図16中L層)の水を吸水し、吸入管25Bが水の表層(図16中H層)の水を吸水する。また、排出管26は、その先端部26aから中間層(図16中M層)に水を排出する構成となっている。
【0042】
それにより、吸入管25AでL層より吸水された高密度の水と、吸入管25BでH層より吸水された低密度・高酸素の水とが循環装置のタンク内で混合され、中間的密度と酸素を有する混合水ができる。この中間的密度の混合水は、排出管26を通り、排出口26aからM層の360度全方位に排出される。そして排出された混合水は密度流によって拡散する。つまり密度流という水流を発生させ、さらに効率的に水を循環させることができる。また、高酸素のH層の水を含む混合水が、貧酸素のL層に拡散していくので、L層にも酸素が供給され水質改善をさらに進めることができる。
【0043】
(実施形態3)
【0044】
図3に示すように、本実施形態は前記実施形態2に係る循環装置21を用いて、該循環装置21が浮かべられているダム湖Dの下位にある貯水池Pからダム湖Dへ水を汲み上げる構成としたものである。
【0045】
すなわち、本実施形態では、吸入管35がダム湖Dから貯水池Pまで届く長さとされ、そして、その先端部35aが後述する取水装置32に接続されている。
【0046】
取水装置32は、貯水池Pの水面に浮かべられ、前記吸入管35の先端部35aが固定されるフロート部33と、吸入管35における先端部寄り部分に形成された互いに対向する筒状取水部34と、前記フロート部33の下面周縁から下方に伸び、且つ前記筒状取水部34を囲むように形成された合成樹脂製ゴミ避け用筒状スカート部36とを有し、前記筒状取水部34には大気圧程度の水圧で作動する開閉弁(図示略)が設けられ、該開閉弁を介して水面から所定の深さの水が筒状取水部34に取り入れられるようになされている。
【0047】
前記フロート部33は、独立気泡性の合成樹脂発泡体や合成樹脂中空体からなり、その下面に前記ゴミ避け用筒状スカート部36の上縁が固定されるか、或いは前記ゴミ避け用筒状スカート部36がフロート部33下面に一体に成形されている。
【0048】
前記取水装置32は、そのフロート部33下面から筒状取水部34までの長さを適宜設定することで水面下、所望の水深における吸水が行え、しかも貯水池Pの水位が変動する場合でも、常に水面から一定深さの水を汲み上げることができる。
【0049】
本実施形態では、前記筒状取水部34を水面寄り部分に位置させる構成とすることにより、該筒状取水部34が貯水池Pの水面に浮かぶゴミなどの浮遊物を吸い込むことがなく、また貯水池Pの底に溜まった泥などの沈殿物を吸い込むこともない。
【0050】
また、前記取水装置32には、前記筒状取水部34を囲むように、フロート部33からゴミ避け用筒状スカート部36が垂下しているため、例えば筒状取水部34が位置する水深にゴミが浮遊している場合でも、該ゴミは前記ゴミ避け用筒状スカート部36に当たって、筒状取水部34への接近が阻止される。
【0051】
本実施形態によれば、夜間における気温低下に伴って、前記実施形態と同様の原理でタンク4内の水層Wの水位が上昇すると共に、前記吸入管35の先端部寄り部分に形成された二つの筒状取水部34から水が吸い込まれ、そして、該水は更に循環装置21の吸入逆止弁7を通ってタンク4内に流入する。この結果、貯水池Pからタンク4へ水が汲み上げられる。
【0052】
一方、日中における気温上昇に伴って、前記実施形態と同様の原理で、タンク4内の水が排出逆止弁8を通って排出管26の先端部から排出される。この結果、貯水池Pからタンク4へ水が汲み上げられた水が最終的にダム湖Dへ流入する。
【0053】
本実施形態によれば、昼夜の気温変化を利用して、貯水池Pからダム湖Dへ水を汲み上げることができる。
【0054】
本実施形態では、前記取水装置32は、前述のように、貯水池Pからダム湖Dへ水を汲み上げるのに用いられたが、図4に示すように、高所にある水源Sに当該取水装置32を浮かべて、そのフロート部33下面に、吸入管40の一端部40aを固定し、該一端部40a寄り部分には対向する二つの筒状取水部44を設け、該筒状取水部44内に吸水用逆止弁45を組み込む一方、前記吸入管40の他端部40bを、前記水源Sよりも低い位置にある貯水槽T内に入れて、高低差により水源Sから貯水槽Tへ水を誘導する場合もある。
【0055】
このような場合においても、前記取水装置32は、水源Sの水面寄り部分から取水するため、ゴミなどを吸い込むことがない。
【0056】
この他、前記各実施形態において、水の吸入や排出を行う部分にフィルターなどのろ過部を設けても良い。また、前記タンク4内の上部には、所定の空気が入る容量のゴム製またはビニール製などの透明な風船状構造物を収容するようにしても良い。
【0057】
図8は、タンク0800の水の吸入や、排出を行う部分0801、0802にフィルター0803、0804を設ける概念を示す図である。
【0058】
図11は、タンク内の気体層と液体とを隔離材で隔離する様子を示す概念図である。同図(a)では、タンク1100の内部に気体層1103と液体1102とを隔離する薄型ピストン状の隔離材1101が設けられている。この隔離材は、タンク1101をあたかもシリンダーのようにして上下する。たとえば、上に上がった場合を同図中点線でしめした1106。
【0059】
一方、同図(b)は、隔離材として、タンク1107の内壁に固定された蛇腹様のものを利用している1114。タンク内の気体層1110が膨張すると1111、隔離材としての蛇腹様のものは下方にしなだれる1115。
【0060】
このように、隔離材を利用することでタンクの気体層と液体とが直接接することがなくなり、タンク内壁にかびなどが発生することを防止できる。
【0061】
図12は、隔離材が風船状構造部である場合を示す概念図である。タンク1200の内部は液体1202で満たされているが、風船状構造部1201がタンク内に存在し、その風船状構造部内部には、気体層1203がある。この構成とすると、気体層と液体の分離が比較的容易な構造となるというメリットがある。
【0062】
同図(b)は、(a)の比較的低温の状態から比較的高温の状態に遷移した様子を示す。このように風船がタンク内部で膨らんだり縮んだりすることで内部の液体を逆止弁1204、1205により出し入れできる。なお、この構造の場合には、風船を図7のものと比較して大きくするのは困難であるものの、風船のふくらみによる圧力を全て液体に加えられるというメリットを有する。
【0063】
【発明の効果】
本発明の液体循環装置によれば、一日の気温変動を利用して水流を発生させたり、ある水源から取水して他の場所へ水を導入することができる。そのため、従来の動力ポンプのように、電力などのエネルギーを消費することがなく、またポンプの作動に伴う騒音などの問題も解消され、自然に適合した水循環が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係る液体循環装置の構成を示す図
【図2】実施形態2に係る液体循環装置の構成を示す図
【図3】実施形態3に係る液体循環装置の構成を示す図
【図4】同実施形態における取水装置の他の使用例を示す図
【図5】本件発明の動作原理を示すための概念図
【図6】本件発明のタンクの種種の実施例を示す概念図
【図7】本件発明の他の実施例を示す概念図
【図8】本件発明のフィルターの取り付けの様子を示す概念図
【図9】本件発明の集光部を示す概念図
【図10】本件発明の集光部の他の例を示す概念図
【図11】本件発明の隔離材を示す概念図
【図12】本件発明の隔離材を示す概念図
【図13】実施形態1に係る液体循環装置のその他の構成例を示す図
【図14】同実施形態に係る液体循環装置を並べて配置した様子を示す図
【図15】同実施形態に係る液体循環装置のまた別のその他の構成例を示す図
【図16】実施形態2に係る液体循環装置のその他の構成例を示す図
【符号の説明】
1・21: 水循環装置
2: 入口
3: 出口
4: タンク
5・25・35: 吸入管
6・26・36: 排出管
7: 吸入逆止弁
8: 排出逆止弁
【発明が属する技術分野】
本発明は、一日の気温変動を利用して湖、沼、池、プール、或いは砂漠のオアシスなどにおいて、水流を発生させたり、ある水源から他の場所へ水を流入させるのに用いられる液体循環装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、湖や池、或いは釣堀などにおいて、水流を発生させたい場合には、通常、動力ポンプが用いられるが、動力ポンプによる場合、水流の発生が顕著であるものの、前記ポンプを動かすために電力等のエネルギーが必要となるため、常時水流を発生させる場合には、エネルギーコストがかかる他、静かな山間部などにおいては、ポンプの作動音が騒音となって、近隣の住民などから苦情が寄せられるおそれもある。
【0003】
本発明の目的は、電力などのエネルギーを用いることなく、昼と夜の気温変動を利用して水流発生や水の移動を行うことができる液体循環装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の液体循環装置は、気体層を残して液体を保持し、前記気体層の気体温度の昇降により前記液体を昇圧又は、減圧可能なタンクと、前記気体の昇温による前記液体の昇圧に基づいて前記液体をタンク外に排出するために利用する排出逆止弁と、前記気体の降温による前記液体の減圧に基づいてタンク内に液体を吸入するために利用する吸入逆止弁とを有するものである。
【0005】
そして、前記タンクは、例えば昼夜の日照変化などに基づいて前記気体温度の昇降をするものであり、そのため、前記タンクは、太陽光を前記気体層に照射可能とする透明部を有するのが好ましい。
【0006】
また、前記タンクは、前記液体を保持した状態で通常、水上に浮くものであり、さらに、当該タンクは、必要に応じて、外部から液体を吸入逆止弁に導くための吸入管と、前記排出逆止弁から外部に液体を導くための排出管とを有する。また、前記吸入管と排出管の長さを変えることにより、上下方向の水流を発生させることができる。
【0007】
この他、前記タンクには、太陽光を集光して前記気体層に照射可能とする集光部を設けるのが好ましい。
【0008】
図9は、集光部の一例の概念を示す図である。この図にあるように、タンク0900は逆止弁0901、0902を有しながら、集光のための凹面鏡0903により太陽光0908を受ける構成となっている。
【0009】
同図(b)は、タンク0904は、逆止弁0906、0907を有しながら周辺に設置された鏡0905、0905である集光部から太陽光0909の反射を受ける。
【0010】
図10は、本実施形態の一実施例であり、タンク1002が、太陽光1003を集光するレンズの焦点付近に設置され太陽光の集光1004を受けている様子を示す。この構成もレンズとタンクの配置により集光部を構成した例である。
【0011】
なお、前記タンク内における気体の温度変化は、当該タンクに太陽光が直接当たらない場合でも、一日における太陽の移動に伴って起こることは勿論である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
【0013】
(実施形態1)
【0014】
図1に示すように、循環装置1は、入口2および出口3が設けられ、水面Rに配置されるタンク4と、一端が前記入口2に接続され、他端側が水中に伸びる吸入管5と、一端が前記出口3に接続され、他端側が水中に伸びる排出管6と、前記吸入管5の基端寄り部分に設けられて、タンク4内への水の吸入だけを行う吸入逆止弁7と、前記排出管6の基端寄り部分に設けられて、タンク4外への水の排出だけを行う排出逆止弁8とを備えている。
【0015】
前記タンク4は、本実施形態では合成樹脂製であって、その上部が透明となされている。このため、太陽が照っている状態においては、太陽光が当該タンク4内に入って該タンク4内の温度上昇が促進される。
【0016】
前記吸入管5と排出管6は、本実施形態では、合成樹脂製であって、互いに同じ長さであり、且つ両管5・6の先端部5a・6aがそれぞれ略T字状となされている。そのため、吸入管先端部5aではその左右方向からの吸水が行われ、排出管先端部6aではその左右方向への排水が行われることとなり、そのため、水平方向の水流が発生し得る。
【0017】
また、その他の実施例として、この両管5・6の先端部が、平面的に見てX字状になっていてもよい。
【0018】
図13に示すのは、上記その他の実施例を表す図である。なお、この図は、図1とは違い、循環装置1を上方から平面的に見た俯瞰図である。この図にあるように、この循環装置1は、両管5・6の先端部5b・6bが、平面的に見てX字状になっていることを特徴とする。この場合吸水や排水時の水流は、破線矢印で示すように発生する。したがって、略T字状の場合には左右方向しか発生しない水流に加えて、水平方向の別の水流をさらに発生させることができる。
【0019】
図14に示すのは、上記X字状の先端部を有する循環装置1a・1b・1c・1d・・・を、池に並べた際の俯瞰図である。このように循環装置を四方に並べることで、循環装置によって発生させた破線矢印の水流の流れを集合させ、大きな矢印で示す大きな水流を、池の横(左右)方向と縦(水平)方向に発生させることができる。
【0020】
また別のその他の実施例として、この両管5・6の先端部が、上下方向に口が伸びる形で略X字状になっているものであってもよい。
【0021】
図15に示すのは、上記また別のその他の実施例を表す図である。この図にあるように、循環装置1は両管5・6の先端部5c・6cが略X字状になっていることを特徴とする。この場合吸水及び排水は、破線矢印で示すように、略T字状と比べて上方及び下方に角度のついた形で左右方向から行われる。したがって、左右方向だけでなく、上下方向への水流も発生し得る。このように上下方向への水流が発生することで、上下の水の循環が促進される効果がある。
【0022】
もちろん、この先端部はT字状やX字状に限定されるものではない。
【0023】
本実施形態の循環装置1によれば、日中における気温上昇に伴って、タンク4内の上部における空気層Aの温度も上昇して該空気層Aが膨張することで該空気層Aの圧力が高まる結果、空気層Aの下層にあたる水層Wが下方に押圧されて、タンク4内の水が排出逆止弁8を通って排出管6の先端部6aから排出される。
【0024】
一方、夜間における気温低下に伴って、タンク4内の上部における空気層Aの温度も下がって該空気層Aが収縮することで該空気層Aの圧力が低下する結果、その下方の水層Wの水位が上昇すると共に、吸入逆止弁7を介して吸入管5の先端部5aから水が吸い込まれる。
【0025】
そして、前述したような昼夜の気温変動によって、タンク4内の水が吸排水される結果、本実施形態では水平方向の水流が発生する。また、この水流発生は、日中、太陽が照っている日には、昼夜の気温変動が大きくなるため、更に促進され得る。
【0026】
また特に、昼夜の気温変動が激しい砂丘地帯におけるオアシスなどにおいて、その水が澱んでいる場所に本実施形態の循環装置1を配置した場合には、その水平方向への水流の発生によって、水が適当に循環されるため、水質の低下を有効に防止することができる。
【0027】
なお、本実施形態では、前記タンク4は、水面に浮かべられているが、水源近傍の地面や桟橋等に配置しても良い。
【0028】
また、前記タンク4の上部は、太陽光が入るように透明としたが、更にレンズ構造として太陽光が集光されるようにしても良いし、或いはタンク4上部の表面積を広くするために、タンク4上部を襞状に成形しても良い。
【0029】
図5は、本件発明の作動原理を概念的に説明するための図である。同図(a)は、タンク0500に比較的低温の状態で気体(気体層)0502と、液体0504とがある状態である。この気体層0502が昇温し、比較的高温になった様子を示すのが同図(b)である。この図にあるように、気体(気体層)0503は温度が上がり膨張をし昇圧し、液体0505に対して圧力を加える。即ち、液体の圧力が高くなり、もし、このタンクに液体の出口があれば、その出口を通して液体は外部に導かれる。
【0030】
図6は、本件発明のタンクの形態を示す模式図である。この図にあるように、タンクは種種の形態をしていても良い。例えば、同図(a)では、タンク0601は断面が矩形をしており、内部に液体0604がたまっている。吸入逆止弁0607は、タンク内に対してのみ液体の流入を許す弁であり、排出逆止弁0610は、タンク内から外に対してのみ液体の流出を許す弁である。同図(b)は、タンク形状が球形ないしは、円筒形であるものを示している。タンク0602の内部には液体0605がたまっているが、吸入逆止弁0608と、排出逆止弁0611とが、低部に配置されているのでタンク内の液体が少なくなってもタンク内の気体を外部に放出することとならないというメリットを有する。同図(c)は、タンク0603断面が逆三角形をしている例である。この例では、液体0606に対して、気体の体積を大きく取れるので気体の体積変化率が小さくても液体を比較的たくさん移動できるというメリットがある。
【0031】
図7は、本実施形態の他の一例を示す図である。同図(a)に示すのは、弁当箱状の筐体に液体を保持し、弁当箱の口の部分が帽子形状の布状物で密閉されている液体循環装置を示している。同図(b)のような状態にするために同図(a)で示すようにこの帽子状の部分に気体を吹き込み、同図(b)に示すように膨らませる。そうすると、このふくらみの部分にある気体が膨張、収縮することで、弁当箱状の部分に保持された液体が逆止弁0703、0704から入ったり出たりする。なお、気体を吹き込み膨らませた状態で前記逆止弁により液体の出入を実現する必要があるので、逆止弁の動作圧力はその膨らませた状態の密閉圧力に応じて最適化する必要がある。例えば、膨らませた状態で3気圧の密閉空間となっている場合には逆止弁は3気圧よりも低圧力で外部からの液体が入り、3気圧よりも高圧で外部に液体が出るようにする必要がある。例えば、水深30メートルの位置は3気圧なので、その程度の深さに逆止弁を設ければよい。
【0032】
図7(c)は、同図(a)の弁当箱状の部分をも布状物とした例である。同じく気体を吹き込むことにより同図(d)のようになる。この例では、弁当箱状の部分を省略できるので布状物の持ち運びだけで本件実施形態の液体循環装置を移動できるというメリットがある。なお、布状物には、逆止弁0707、0708が予め設けられている。布状物の材質としては、ビニール系の材料やゴム系の材料など各種のものが利用可能である。
【0033】
(実施形態2)
【0034】
図2に示すように、本実施形態の循環装置21は、前記実施形態1の循環装置1において、吸入管5および排出管6の長さを変更したものである。したがって、前記吸入管5および排出管6以外のものは前記実施形態1と同様であるので、前記実施形態1と同じ符号を用いることによって各部の説明を省略する。
【0035】
すなわち、本実施形態では、排出管26の長さが吸入管25の長さよりも短くなされ、且つこれら吸入管25および排出管26の先端部25a・26aは、前記実施形態1のような略T字状とされておらず、真直ぐな形状なされている。そして、前記排出管26の先端部26aは、開口されて下方に水が排出されるようになされている。一方、前記吸入管25の先端部25aは閉止され、該吸入管25の先端部25a寄り部分の対向位置に吸水口28が形成され、該吸水口28を介して横方向から吸水する構造となっており、これにより水源の底に溜まった泥等を吸引することがない。
【0036】
本実施形態の循環装置21においても、前記実施形態1と同様、日中の気温上昇に伴って排水が行われ、夜間の気温低下に伴って吸水が行われるが、本実施形態では、排出管26の長さが吸入管25の長さより短くされていることから、図2に示すように、上下方向の水流が発生する。したがって、例えば水深のあるダム湖などにおける水の循環に特に有効である。
【0037】
また、密度流という現象を利用することで、本実施形態の循環装置でさらに効率的に上下方向の水流を発生させることもできる。「密度流」とは、流体はその流体の持つ温度や比重などの密度と同じ層に入りこむ、という性質によって発生する流体の流れのことをいう。つまり、密度の異なる表層と低層の水を混合し、中間層に放出することで、その混合水が「密度流」によって自然に上の表層と下の低層に拡散される。それにより、効率的に上下方向の水流を発生させる、というわけである。
【0038】
図16に示すのは、上記密度流を利用して上下の水流を発生させる循環装置21を表した図である。
【0039】
例えば、夏期には水面付近の表層は温度が高い、すなわち低密度であり酸素を多く含んでいる。また、湖底や海底などその低層では温度が低い、すなわち高密度であり酸素をあまり含んでおらず、上下の水の循環が停滞していることが多い。
【0040】
そこで、この図にあるように、吸入逆止弁が7A・7Bの2つあり、そこから2つの吸入管25A・25Bが伸びている循環装置21を用意する。また、排出逆止弁8からは、図2で説明した循環装置21と同様に、排出管26が伸びている。
【0041】
また、この循環装置21は、吸入管25Aが水の低層(図16中L層)の水を吸水し、吸入管25Bが水の表層(図16中H層)の水を吸水する。また、排出管26は、その先端部26aから中間層(図16中M層)に水を排出する構成となっている。
【0042】
それにより、吸入管25AでL層より吸水された高密度の水と、吸入管25BでH層より吸水された低密度・高酸素の水とが循環装置のタンク内で混合され、中間的密度と酸素を有する混合水ができる。この中間的密度の混合水は、排出管26を通り、排出口26aからM層の360度全方位に排出される。そして排出された混合水は密度流によって拡散する。つまり密度流という水流を発生させ、さらに効率的に水を循環させることができる。また、高酸素のH層の水を含む混合水が、貧酸素のL層に拡散していくので、L層にも酸素が供給され水質改善をさらに進めることができる。
【0043】
(実施形態3)
【0044】
図3に示すように、本実施形態は前記実施形態2に係る循環装置21を用いて、該循環装置21が浮かべられているダム湖Dの下位にある貯水池Pからダム湖Dへ水を汲み上げる構成としたものである。
【0045】
すなわち、本実施形態では、吸入管35がダム湖Dから貯水池Pまで届く長さとされ、そして、その先端部35aが後述する取水装置32に接続されている。
【0046】
取水装置32は、貯水池Pの水面に浮かべられ、前記吸入管35の先端部35aが固定されるフロート部33と、吸入管35における先端部寄り部分に形成された互いに対向する筒状取水部34と、前記フロート部33の下面周縁から下方に伸び、且つ前記筒状取水部34を囲むように形成された合成樹脂製ゴミ避け用筒状スカート部36とを有し、前記筒状取水部34には大気圧程度の水圧で作動する開閉弁(図示略)が設けられ、該開閉弁を介して水面から所定の深さの水が筒状取水部34に取り入れられるようになされている。
【0047】
前記フロート部33は、独立気泡性の合成樹脂発泡体や合成樹脂中空体からなり、その下面に前記ゴミ避け用筒状スカート部36の上縁が固定されるか、或いは前記ゴミ避け用筒状スカート部36がフロート部33下面に一体に成形されている。
【0048】
前記取水装置32は、そのフロート部33下面から筒状取水部34までの長さを適宜設定することで水面下、所望の水深における吸水が行え、しかも貯水池Pの水位が変動する場合でも、常に水面から一定深さの水を汲み上げることができる。
【0049】
本実施形態では、前記筒状取水部34を水面寄り部分に位置させる構成とすることにより、該筒状取水部34が貯水池Pの水面に浮かぶゴミなどの浮遊物を吸い込むことがなく、また貯水池Pの底に溜まった泥などの沈殿物を吸い込むこともない。
【0050】
また、前記取水装置32には、前記筒状取水部34を囲むように、フロート部33からゴミ避け用筒状スカート部36が垂下しているため、例えば筒状取水部34が位置する水深にゴミが浮遊している場合でも、該ゴミは前記ゴミ避け用筒状スカート部36に当たって、筒状取水部34への接近が阻止される。
【0051】
本実施形態によれば、夜間における気温低下に伴って、前記実施形態と同様の原理でタンク4内の水層Wの水位が上昇すると共に、前記吸入管35の先端部寄り部分に形成された二つの筒状取水部34から水が吸い込まれ、そして、該水は更に循環装置21の吸入逆止弁7を通ってタンク4内に流入する。この結果、貯水池Pからタンク4へ水が汲み上げられる。
【0052】
一方、日中における気温上昇に伴って、前記実施形態と同様の原理で、タンク4内の水が排出逆止弁8を通って排出管26の先端部から排出される。この結果、貯水池Pからタンク4へ水が汲み上げられた水が最終的にダム湖Dへ流入する。
【0053】
本実施形態によれば、昼夜の気温変化を利用して、貯水池Pからダム湖Dへ水を汲み上げることができる。
【0054】
本実施形態では、前記取水装置32は、前述のように、貯水池Pからダム湖Dへ水を汲み上げるのに用いられたが、図4に示すように、高所にある水源Sに当該取水装置32を浮かべて、そのフロート部33下面に、吸入管40の一端部40aを固定し、該一端部40a寄り部分には対向する二つの筒状取水部44を設け、該筒状取水部44内に吸水用逆止弁45を組み込む一方、前記吸入管40の他端部40bを、前記水源Sよりも低い位置にある貯水槽T内に入れて、高低差により水源Sから貯水槽Tへ水を誘導する場合もある。
【0055】
このような場合においても、前記取水装置32は、水源Sの水面寄り部分から取水するため、ゴミなどを吸い込むことがない。
【0056】
この他、前記各実施形態において、水の吸入や排出を行う部分にフィルターなどのろ過部を設けても良い。また、前記タンク4内の上部には、所定の空気が入る容量のゴム製またはビニール製などの透明な風船状構造物を収容するようにしても良い。
【0057】
図8は、タンク0800の水の吸入や、排出を行う部分0801、0802にフィルター0803、0804を設ける概念を示す図である。
【0058】
図11は、タンク内の気体層と液体とを隔離材で隔離する様子を示す概念図である。同図(a)では、タンク1100の内部に気体層1103と液体1102とを隔離する薄型ピストン状の隔離材1101が設けられている。この隔離材は、タンク1101をあたかもシリンダーのようにして上下する。たとえば、上に上がった場合を同図中点線でしめした1106。
【0059】
一方、同図(b)は、隔離材として、タンク1107の内壁に固定された蛇腹様のものを利用している1114。タンク内の気体層1110が膨張すると1111、隔離材としての蛇腹様のものは下方にしなだれる1115。
【0060】
このように、隔離材を利用することでタンクの気体層と液体とが直接接することがなくなり、タンク内壁にかびなどが発生することを防止できる。
【0061】
図12は、隔離材が風船状構造部である場合を示す概念図である。タンク1200の内部は液体1202で満たされているが、風船状構造部1201がタンク内に存在し、その風船状構造部内部には、気体層1203がある。この構成とすると、気体層と液体の分離が比較的容易な構造となるというメリットがある。
【0062】
同図(b)は、(a)の比較的低温の状態から比較的高温の状態に遷移した様子を示す。このように風船がタンク内部で膨らんだり縮んだりすることで内部の液体を逆止弁1204、1205により出し入れできる。なお、この構造の場合には、風船を図7のものと比較して大きくするのは困難であるものの、風船のふくらみによる圧力を全て液体に加えられるというメリットを有する。
【0063】
【発明の効果】
本発明の液体循環装置によれば、一日の気温変動を利用して水流を発生させたり、ある水源から取水して他の場所へ水を導入することができる。そのため、従来の動力ポンプのように、電力などのエネルギーを消費することがなく、またポンプの作動に伴う騒音などの問題も解消され、自然に適合した水循環が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係る液体循環装置の構成を示す図
【図2】実施形態2に係る液体循環装置の構成を示す図
【図3】実施形態3に係る液体循環装置の構成を示す図
【図4】同実施形態における取水装置の他の使用例を示す図
【図5】本件発明の動作原理を示すための概念図
【図6】本件発明のタンクの種種の実施例を示す概念図
【図7】本件発明の他の実施例を示す概念図
【図8】本件発明のフィルターの取り付けの様子を示す概念図
【図9】本件発明の集光部を示す概念図
【図10】本件発明の集光部の他の例を示す概念図
【図11】本件発明の隔離材を示す概念図
【図12】本件発明の隔離材を示す概念図
【図13】実施形態1に係る液体循環装置のその他の構成例を示す図
【図14】同実施形態に係る液体循環装置を並べて配置した様子を示す図
【図15】同実施形態に係る液体循環装置のまた別のその他の構成例を示す図
【図16】実施形態2に係る液体循環装置のその他の構成例を示す図
【符号の説明】
1・21: 水循環装置
2: 入口
3: 出口
4: タンク
5・25・35: 吸入管
6・26・36: 排出管
7: 吸入逆止弁
8: 排出逆止弁
Claims (14)
- 気体層を残して液体を保持し、前記気体層の気体温度の昇降により前記液体を昇圧又は、減圧可能なタンクと、
前記気体の昇温による前記液体の昇圧に基づいて前記液体をタンク外に排出するために利用する排出逆止弁と、
前記気体の降温による前記液体の減圧に基づいてタンク内に液体を吸入するために利用する吸入逆止弁と、
を有する液体循環装置。 - 前記タンクは、日夜の日照変化に基づいて前記気体温度の昇降をする請求項1に記載の液体循環装置。
- 前記タンクは、太陽光を前記気体層に照射可能とする透明部を有する請求項1又は2に記載の液体循環装置。
- 前記タンクは、前記液体を保持した状態で水上に浮く請求項1から3のいずれか一に記載の液体循環装置。
- さらに前記吸入逆止弁から吸入され、又は/および、前記排出逆止弁から排出される液体をろ過するためのろ過部を有する請求項1から4のいずれか一に記載の液体循環装置。
- 前記タンクは、太陽光を集光して前記気体層に照射可能とする集光部を有する請求項3に記載の液体循環装置。
- 請求項3に記載の液体循環装置であって、
外部から液体を吸入逆止弁に導くための吸入管をさらに有する液体循環装置。 - 請求項3に記載の液体循環装置であって、
前記排出逆止弁から外部に液体を導くための排出管をさらに有する液体循環装置。 - 請求項3に記載の液体循環装置であって、
外部から液体を吸入逆止弁に導くための吸入管と、前記排出逆止弁から外部に液体を導くための排出管とをさらに有し、前記吸入管と前記排出管とは異なる長さとすることで外部の上層液体と下層液体とを交換可能な液体循環装置 - 海、湖、沼、池、プールなどに配される請求項7記載の液体循環装置であって、
前記吸入管は、前記海、湖、沼、池、プールなどの水面から所定の深さの位置から液体を吸入する液体循環装置。 - 前記タンク内の気体層と液体とは、隔離材により隔離されている請求項1から10のいずれか一に記載の液体循環装置。
- 前記隔離材は、前記気体層を中に含む風船状構造部を有する請求項11に記載の液体循環装置。
- 前記風船状構造部は、ビニールまたは、ゴム材よりなる請求項12に記載の液体循環装置。
- 前記風船状構造部は、透明である請求項13に記載の液体循環装置。
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