JP4787600B2 - アルカリ電池用アンモニア捕捉材 - Google Patents
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Description
1.平均粒子径が0.01〜10μmのカルボン酸基を有するアニオン微粒子を、第1の疎水性バインダーによって不織布に保持してなるアルカリ電池用アンモニア捕捉材であって、前記第1の疎水性バインダーが、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、およびそのマレイン酸もしくはアクリル酸変性物からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、前記アニオン微粒子が、(メタ)アクリル酸を含むモノマー混合物を、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、その水素添加物、および該水素添加物のマレイン酸変性物からなる群から選ばれた少なくとも1種の第2の疎水性バインダーの存在下で重合して調製されたものであることを特徴とするアンモニア捕捉材。
3.前記アニオン微粒子のカルボン酸基が(メタ)アクリル酸単位由来であり、カルボン酸基量が0.6〜12.0mmol/gである前記1に記載のアンモニア捕捉材。
5.前記アニオン微粒子と前記第1の疎水性バインダーとの合計の付着量が0.1〜50g/m2である前記1に記載のアンモニア捕捉材。
本発明のアンモニア捕捉材は、アニオン微粒子と第1の疎水性バインダーと不織布とからなる。アニオン微粒子が、電解液中で発生するアンモニアを高濃度のアルカリ電解質の中で捕捉するためには、アニオン微粒子のアニオン基(カルボン酸基やスルホン酸基などの酸性基)を酸型(H型)に保つ環境が必要である。本発明者は、鋭意研究の結果、微粒子形態のアニオン微粒子を疎水性のバインダーで実質的に被覆することによって、疎水環境の中にアンモニアを捕捉できる酸型官能基サイトが存在できることを見出した。言い換えると濃厚アルカリ電解質水溶液中において、この電解液では中和されない酸型サイトが存在し、アンモニアのみを捕捉できることを見出した。
アクリル酸47部、ジビニルベンゼン(純分55%)8.11部およびマレイン酸変性のスチレンエチレン/ブチレンスチレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン含有量:30%、分子量20万)5.51部を、メチルシクロヘキサン/MEK/トルエン=5/3/2(質量比)の混合溶媒550部に溶かし、この中に0.6部のt−ブチル−ペルオキシ−2−エチルヘキサネートを添加してラジカル重合させ、アニオン微粒子1を得た。このアニオン微粒子1の平均粒径は、動的光散乱法で測定したところ約200nmであった。得られたアニオン微粒子のカルボン酸基量は10.80mmol/gであった。
70部のメチルアクリレート、3部のスチレンスルホン酸ソーダ、3.66部のジビニルベンゼン(純分55%)、1.5部の過硫酸カリウムおよび550部の脱イオン水を反応容器に入れ、窒素気流下、80℃で6時間重合した。この重合液中の共重合体の粒径は動的光散乱法で測定したところ300〜500nmであった。次いで10%の水酸化カリウム水溶液を作製し、この中に上記アクリル酸エステル系樹脂を添加し、70℃で4時間反応した。その後、アクリル酸カリウム換算にして1.2倍モルの塩酸を加え室温で1時間撹拌した。さらに濾液が中性になるまで濾過・解膠・洗浄し、平均粒子径が約400nmのアニオン微粒子2を得た。得られたアニオン微粒子2は、赤外線吸収スペクトルおよびイオンクロマトグラフィーなどの分析によって、エステル基がカルボン酸基に変換されていることを確認した。アニオン微粒子2のカルボン酸基量は12.70mmol/gであった。
スチレン125部、スチレンスルホン酸ソーダ13.75部、ジビニルベンゼン(純分55%)15.78部、過硫酸カリウム2.32部および水1,500部をフラスコに仕込み、窒素気流下、80℃で8時間重合してアニオン微粒子3を得た。該アニオン微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法で測定したところ約100nmであった。該アニオン微粒子のスルホン酸基量は0.41mmol/gであった。
粉末状のポリスチレン(平均粒径200nm)100部を乾燥機にて105℃で1時間予備乾燥し、これを反応容器に入れ、硫黄を燃焼させて生成させた二酸化硫黄ガスを接触酸化して得られた三酸化硫黄ガスを80〜110℃に加熱し、乾燥空気に対して8%の濃度となるように、前記反応容器に導入し、上記粉末状のポリスチレンを2時間スルホン化した。その後、冷却し、スルホン化されたポリスチレンをイオン交換水中に投入して撹拌した後、濾過し、pHが一定になるまで水洗した。その後、80℃で24時間乾燥し、スルホン化されたポリスチレン(アニオン微粒子4(平均粒子径約200nm))が得られた。アニオン微粒子4は、赤外線吸収スペクトルおよびイオンクロマトグラフィーなどの分析によって、芳香環にほぼ1個のスルホン酸基が導入されていることが確認できた。アニオン微粒子4のスルホン酸基量は3.12mmol/gであった。
製造例4で使用したと同じ粉末状のポリスチレン100部を、650部の95%濃硫酸に徐々に添加し、50℃で24時間、次いで80℃で3時間撹拌した。その後、冷却し、反応混合液を大量の氷水に投入した。その後、濾液が中性になるまで解膠・濾過・水洗し、十分水洗した。その後、80℃で24時間乾燥し、平均粒子径が約200nmのアニオン微粒子5が得られた。アニオン微粒子5は、赤外線吸収スペクトルおよびイオンクロマトグラフィーなどの分析によって、芳香環にほぼ1個のスルホン基が導入されていることが確認できた。アニオン微粒子5のスルホン酸基量は3.12mmol/gであった。
市販のポリプロピレン微粒子を製造例4に記載のガス法によりスルホン化して平均粒子径が約300nmのアニオン微粒子6を作製した。アニオン微粒子6のスルホン酸基量は2.20mmol/gであった。
市販のポリプロピレン微粒子を製造例5に記載の硫酸処理法によりスルホン化して平均粒子径が約300nmのアニオン微粒子7を作製した。アニオン微粒子7のスルホン酸基量は1.91mmol/gであった。
市販のポリエチレン微粒子を製造例5に記載の硫酸処理法によりスルホン化して平均粒子径が約400nmのアニオン微粒子8を作製した。アニオン微粒子8のスルホン酸基量は2.87mmol/gであった。
[分散液の製造]
前記アニオン微粒子1〜8、疎水性高分子材料(バインダーA〜D)を表1に記載の割合で、メチルシクロヘキサン/MEK/トルエン(5/3/2)混合溶剤中に加え、ディゾルバー(アニオン微粒子1〜2)またはペイントシェイカー(アニオン微粒子3〜8、ガラスビーズ(φ2.5mm)もしくはジルコニアビーズ(φ2.5mm〜0.5mm)を使用した)で撹拌混合することによって安定したアニオン微粒子の分散液を得た。
・バインダーA:マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン30%)
・バインダーB:マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(スチレン13%)
・バインダーC:スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加物
・バインダーD:エチレン−メタアクリル酸共重合物
上記で作製した各分散液を所定の濃度(目標塗布量により調整する)に調整し、これらの分散液を表1に記載の塗布量でポリプロピレン製の不織布に塗布および乾燥して本発明のアンモニア捕捉材を得た。各分散液の塗布方法としては、マングル方式またはグラビア印刷方式を採用した。各捕捉材における分散液の塗布量は、塗布前後の単位面積当たりの不織布の質量増加量から算出した。
前記実施例および比較例のそれぞれのアンモニア捕捉材を8M水酸化カリウム水溶液に入れ、冷却下、アンモニウムイオンを含む水溶液5ml(アンモニア換算で500μg)を素早く添加して密栓し、45℃下で3日間静置した。ケルダール法により、上記捕捉材によって捕捉されなかったアンモニアを水蒸気蒸留(JISK0102)した。留出アンモニアの吸収には5mMの硫酸(吸収液)を用いた。蒸留の終点は70ml留出した点とし、留出速度は約5ml/分とした。吸収液と留出液との合計を100mlに調整し、吸収液に捕捉されたアンモニウムイオンをイオンクロマトアナライザーで定量した。
なお、表2には、実施例で使用したアニオン微粒子の1gあたりの酸基含有量(X:実測値)と、捕捉材1m2あたりの酸基含有量(Y:計算値)を示した。又、参考のためにスルホン化ポリプロピレン不織布のアンモニア捕捉能力を上記と同様にして測定し、表2中に参考例1として示した。
実施例3と比較例13のアンモニア捕捉材(目付量65g/m2、厚み180μm)およびスルホン化ポリプロピレン不織布(目付量65g/m2、厚み180μm)をアンモニア捕捉材とし、これらのアンモニア捕捉材と発泡式ニッケル正極、発泡式水素化物(MH)負極およびアルカリ電解液とを用いてコイン型ニッケル水素電池を作製し、それぞれの電池の初期活性化後のサイクル寿命特性、高率放電特性および自己放電特性を下記試験方法で測定した。その結果を表3に示した。
それぞれの電池を、20℃、0.2Cで8.5時間充電後、10分休止し、0.2Cで終止電圧1.0Vまで放電する充放電サイクルを5回行い活性化した。その後、20℃で0.5Cで3時間充電後、10分休止し、0.5Cで終止電圧1.0Vまで放電する充放電サイクルを続けた時の電池の利用率が理論容量の90%以下になるまでのサイクル数を調べた。
20℃、0.5Cで3時間充電後、10分休止し、0.5Cで終止電圧1.0Vまで放電する充放電サイクルを15回行い、電池容量が理論容量と同等であることを確認した。満充電後に1C、2Cで放電を行い、0.5Cでの放電容量を100とした時の、相対比率(高率放電時の利用率(%))を調べた。
20℃、0.5Cで3時間充電後、10分休止し、0.5Cで終止電圧1.0Vまで放電する充放電サイクルを15回行い、電池容量が理論容量と同等であることを確認した後、20℃で0.5Cで3時間充電後、72時間休止して、0.5Cで終止電圧1.0Vまで放電した時の放電容量を測定した。自己放電試験前の放電容量を100とした場合の残存容量(%)を求めた。
Claims (5)
- 平均粒子径が0.01〜10μmのカルボン酸基を有するアニオン微粒子を、第1の疎水性バインダーによって不織布に保持してなるアルカリ電池用アンモニア捕捉材であって、
前記第1の疎水性バインダーが、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物、およびそのマレイン酸もしくはアクリル酸変性物からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
前記アニオン微粒子が、(メタ)アクリル酸を含むモノマー混合物を、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、その水素添加物、および該水素添加物のマレイン酸変性物からなる群から選ばれた少なくとも1種の第2の疎水性バインダーの存在下で重合して調製されたものであることを特徴とするアルカリ電池用アンモニア捕捉材。 - 前記アニオン微粒子(A)と前記第1の疎水性バインダー(B)との質量比が、A:B=5〜95:95〜5である請求項1に記載のアンモニア捕捉材。
- 前記アニオン微粒子のカルボン酸基が(メタ)アクリル酸単位由来であり、カルボン酸基量が0.6〜12.0mmol/gである請求項1に記載のアンモニア捕捉材。
- 前記不織布が、目付量5〜500g/m2、繊維の太さが直径1〜100μmであるポリプロピレン系および/またはポリエチレン系繊維からなる請求項1に記載のアンモニア捕捉材。
- 前記アニオン微粒子と前記第1の疎水性バインダーとの合計の付着量が0.1〜50g/m2である請求項1に記載のアンモニア捕捉材。
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