近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの平面ディスプレイ(平面型表示素子)の開発が盛んに行われている。このような平面ディスプレイの中に電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)があり、原理的にCRTと同じ特性をもつために液晶ディスプレイやプラズマディスプレイよりも表示特性が良く、より薄くすることができるなどの特徴を備えている。FEDは、2次元マトリクス状に配置した電子源から放出された電子を、対向電極に形成された蛍光体からなる発光部に衝突させて発光させるディスプレイである。
FEDは、サブミクロン〜ミクロンサイズの微小な電界放出型冷陰極電子源を用いた真空マイクロデバイスの一種であり、基本構成は、従来の真空管と同じ3極管であるが、熱陰極を用いず、先鋭な構造を持つエミッタに高電界を集中して量子力学的なトンネル効果により電子を引き出すようにしている。この引き出した電子を、アノード(陽極)/カソード(陰極)間の電圧で加速し、アノード側に形成した蛍光体膜に衝突・励起させて発光させる。陰極線による蛍光体の励起発光という点で、CRTと同じ原理である。
このような特徴を備えたFEDのエミッタ(電子放出源)にカーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube)やカーボンナノファイバー(Carbon NanoFiber)などのナノチューブ状繊維を用いたものが各種提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。図5は、カーボンナノチューブを電子放出源に用いた従来のFEDの一部を示す斜視図である。
図5に構成を示すFEDは、先ず、ガラスなどからなる基板511上に、複数のカソード電極513を有するカソード基板510を備える。また、少なくとも一部が透過性を有するフロントガラス521上に、蛍光体膜523R,523G,523B及びアノード電極として作用するメタルバック膜524を有するアノード基板520を備える。また、基板511及びフロントガラス521の各々対して略平行に配設され、平面電極(電界制御電極)532及び帯状の複数のゲート電極533を有するゲート基板530を備える。基板511とフロントガラス521とは、これらの周端部に設けられた枠状のスペーサガラス(図示せず)を介して対向配置され、低融点のフリットガラスで各々スペーサガラスに接着されて外囲器を構成している。この外囲器の内部は、10-5Pa台の真空度に保持されている。
ここで、カソード基板510は、基板511のゲート基板530と対向する面(外囲器の内側)に、互いに平行に所定間隔で垂設された複数の基板リブ512を有する。また、基板511の上の基板リブ512に挟まれた領域にカソード電極513が配置されている。また、カソード電極513は、42−6合金などの金属部材の表面にカーボンナノチューブからなる電子放出源が固着され、平面視略格子状に形成されている。
一方、アノード基板520は、フロントガラス521のゲート基板530と対向する面に、基板リブ512と平行な方向に延在して所定間隔で形成された矩形断面を有する黒色の複数のブラックマトリクス522を備える。ブラックマトリクス522に挟まれた領域に、赤色発光用の蛍光体膜523R、緑色発光用の蛍光体膜523G,及び青色発光用の蛍光体膜523Bが配置される。また、蛍光体膜523R,523G,523Bの上に、メタルバック膜524が設けられ、また、ブラックマトリクス522の上には、矩形断面を有する複数のフロントリブ525が設けられている。
また、外囲器内部に配設されるゲート基板530において、平面電極532とゲート電共533とが、これらの間に設けられたガラス板531に絶縁分離されている。先ず、ガラス基板531のアノード基板520側の面に、平面電極532が形成されている。一方、ガラス板531上のカソード基板510側の面に、カソード電極513の延在方向と直交し、かつ蛍光体膜523R,523G,523Bに対応してゲート電極533が形成されている。また、複数のゲート電極533のカソード基板510側には、絶縁層534が形成されている。絶縁層534のゲート電極533側には、隣り合うゲート電極533の間を絶縁分離するための凸部が設けられている。
また、帯状のゲート電極533と格子状のカソード電極513とが重なる領域のゲート基板530には、平面電極532,ガラス板531,ゲート電極533,及び絶縁層534を貫通する平面視略円形の電子通過孔535が形成されている。電子通過孔535の単位で平面ディスプレイの画素が構成される。ゲート基板530は、カソード基板510の基板リブ512又はカソード電極513とアノード基板520のフロントリブ525とに挟持される。
図5に構成を示すFEDでは、ゲート基板530とカソード電極513との間にゲート基板530側が正の電位となるように所定の電位差を設けることにより、カソード電極513のゲート電極533と交差した領域から引き出された電子が電子通過孔535から放出される。
具体的には、先ず、平面電極532にカソード電極513よりも正の電位となる電圧を印加し、平面電極532からカソード電極513表面に向かう電界をあらかじめ発生させる。次に、ゲート電極533に電圧を印加して、ゲート電極533をカソード電極513に対してより大きな正の電位とすると、電子通過孔535を構成するゲート電極533の周面とカソード電極513との間に強い電界が形成され、カソード電極513の表面に配設された電子放出源から電子が引き出される。引き出された電子は、ゲート電極533に対して正の電位となるよう電圧が印加された平面電極532により加速され、電子通過孔535からフロントガラス521側に放出される。
メタルバック膜524に、平面電極532よりも正の電位(加速電圧)が印加されていると、電子通過孔535から放出された電子は、メタルバック膜524に向かって加速され、さらにメタルバック膜524を貫通して蛍光体膜523G,523B,523Rに衝突する。これらのことにより、蛍光体膜が発光する。
以上のような図5に構成を示すFEDでは、ゲート基板530を一体に構成し、これらを貫通させて電子通過孔535を形成しているため、ゲート基板530を構成する各層における電子通過孔の位置合わせをする必要がないなど、製造が容易である。しかしながら、ゲート電極533と平面電極532との間には、ガラス板531が存在する。このため、カソード電極513より放出されて電子通過孔535を通過する電子が、ガラス板531の部分の電子通過孔535の側壁に衝突する可能性が高く、この結果、上記側壁の表面より二次電子が放出され、漏れ発光が発生するという問題が生じる。この漏れ発光の発生は、ゲート基板530より同径に形成された電子通過孔535の上記側壁に対する電子の衝突により発生するため、画素がより微細化されて電子通過孔535が小さくなると、より顕著となる。
上記問題を解消するために、図6に一部構成を示すようなゲート基板630を備えたFEDが提案されている。なお、このFEDは、図5に示したアノード基板520を備えているが、図6では省略して一部を示している。図6に一部構成を示すFEDは、先ず、ガラスなどからなる基板611の上に、複数のカソード電極613を有するカソード基板610を備える。また、基板611及び図示しないフロントガラス各々に対して略平行に配設され、電界制御電極として作用する平面電極631及び帯(短冊)状の複数のゲート電極635を有するゲート基板630を備える。
また、図6に示すFEDも、基板611と図示しないフロントガラスとは、これらの周端部に設けられた枠状のスペーサガラス(図示せず)を介して対向配置され、低融点のフリットガラスで各々スペーサガラスに接着されて外囲器を構成している。この外囲器の内部も、10-5Pa台の真空度に保持されている。なお、以下にする説明において、図6を正面視した際に、上下の方向を高さ方向、奥行きの方向を縦方向、左右の方向を横方向とする。また、上記高さ方向において、カソード基板610の側を下方とする。
カソード基板610においては、基板611の上に、ゲート基板630と対向する面上に、複数の基板リブ612が互いに平行に所定間隔で垂設され、ゲート基板630を支持している。また、カソード電極613が、基板611の上の基板リブ612に挟まれた領域に配置されている。また、カソード電極613は、金属部材の表面にカーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなどのナノチューブ状繊維からなる電子放出源が固着されている。なお、カソード電極613の上面は、基板リブ612の上面よりも低く形成されている。
外囲器内部に配設されるゲート基板630は、先ず、カソード基板610の基板リブ612と直交する方向に延在し、基板リブ612によって支持された棒状のゲート電極間絶縁部材633aを備える。また、ゲート電極635が、ゲート電極間絶縁部材633aに挟まれた領域に配置され、かつ基板リブ612により支持されている。ゲート電極633は、ゲート電極間絶縁部材633aとともに、基板リブ612と直交する方向に延在している。また、ゲート電極間絶縁部材633a及びゲート電極635の上に、平面視略格子状の中間リブ633を備えている。格子状の中間リブ633の基板リブ612の延在方向に直交する部分は、ゲート電極間絶縁部材633aに一致している。
また、ゲート基板630は、中間リブ633に支持された導体よりなる板状の平面電極631を備え、この上に、平面視略格子状のアノード側リブ632を備えている。加えて、ゲート電極間絶縁部材633aのカソード基板610側には、ゲート電極間絶縁部材633aの長手方向に所定間隔離間して配置された複数のカソード側リブ634が形成されている。カソード側リブ634は、カソード電極613の上にゲート電極間絶縁部材633aを支持している。従って、ゲート電極間絶縁部材633aは、基板リブ612とカソード側リブ634とにより支持されている。
また、ゲート電極635は、延在する長手方向に所定間隔離間して複数の貫通孔635aを備えている。また、平面電極631は、この平面上の縦方向及び横方向に所定間隔離間して複数の貫通孔631aを備えている。加えて、貫通孔631aと貫通孔635aとは、平面視、重なるように配設される。また、中間リブ633とアノード側リブ632とは、平面視重なるように配置され、これらの格子の隙間(格子間)に、貫通孔631a及び貫通孔635aが配置される。これら各格子間に対応して配置された貫通孔の単位で、平面ディスプレイの画素が構成される。なお、隣り合う基板リブ612の間のカソード電極613の上においては、カソード側リブ634によって画素の分離が行われている。
上述したように構成されたゲート基板630によれば、中間リブ633が、平面電極631とゲート電極635とを所定間隔に離間させ、かつ、ゲート電極635とともにゲート電極間絶縁部材633aを、基板611の方向に押さえている。また、貫通孔635aと貫通孔631aとの間には、中間リブ633の格子により区画されて平面方向に貫通孔635aより広くされた電子通過空間を備えるようになる。このため、図5に示すFEDの場合に比較し、貫通孔635aを通過した電子が、電子通過空間の側壁(中間リブ633の側面)に衝突する確率が低下し、漏れ発光の発生が抑制できるようになる。
特開2002−343281号公報
特開2004−193038号公報
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における平面ディスプレイ(FED)の構成例の一部を示す斜視図(a)と断面図(b)である。なお、図1(b)は、図1(a)のbb線における断面である。図1に構成を示す本実施の形態の平面ディスプレイは、ガラスなどからなる基板11上に、短冊状の複数のカソード電極13を有するカソード基板10を備える。また、少なくとも一部が透光性を有するフロントガラス101の上に、蛍光体膜103R,103G,103B及びアノード電極として作用するメタルバック膜104を有するアノード基板100を備える。また、基板11及びフロントガラス101各々に対して略平行に配設され、電界制御電極31及び短冊状の複数のゲート電極35を有するゲート基板30を備えている。
カソード基板10の基板11とアノード基板100のフロントガラス101とは、枠状のスペーサガラス(図示せず)を介して対向配置され、低融点のフリットガラスで各々スペーサガラスに接着されて真空外囲器を構成している。この真空外囲器の内部は10-5Pa台の圧力(真空度)に保持されている。なお、以下にする説明において、図1を正面視した際に、上下の方向を高さ方向、奥行きの方向を縦方向、左右の方向を横方向とする。また、上記高さ方向において、アノード基板100側を上方、カソード基板10側を下方とする。
先ず、カソード基板10について説明する。カソード基板10においては、基板11の上(真空外囲器内部側)に、ゲート基板30と対向する面に、所定の方向(第1方向)に沿って延在する複数の基板リブ(支持部材)12が、所定の間隔で互いに平行に垂設されている。また、基板リブ12に挟まれた領域には、基板リブ12と同じ方向に沿って延在する短冊状のカソード電極13が配設されている。
カソード電極13は、棒状,板状,又は格子状に形成された42−6合金などの金属部材の表面にカーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなどのナノチューブ状繊維からなる電子放出源を固着したものである。また、カソード電極13の上面は、基板リブ12の上面よりも低く形成されている。
次に、アノード基板100について説明する。アノード基板100は、先ず、フロントガラス101のゲート基板30と対向する面に、赤色発光用の蛍光体膜103R,緑色発光用の蛍光体膜103G,及び青色発光用の蛍光体膜103Bを備えている。これらは、基板リブ12と並行な方向(第1方向)に延在する短冊状に形成されている。また、これら蛍光体膜103R,103G,103Bは、断面矩形の黒色のブラックマトリクス102により色分離されている。また、蛍光体膜103R,103G,103Bの上には、アノード電極となるメタルバック膜104が形成されている。
加えて、ブラックマトリクス102の上には、これに重なるように断面矩形のフロントリブ105が各々形成されている。フロントリブ105により、メタルバック膜104で反射した反射電子が隣の蛍光体膜に入射することによる混色を防ぐことができる。例えば、フロントリブ105のメタルバック膜104の上面(外囲器の内側)からの高さが、20〜50μmに形成されていれば、上述した混色を防げる。
なお、図2の斜視図に示すように、フロントガラス101の上に、ブラックマトリクス102及びフロントリブ105と直交する方向に延在する複数のフロントガラスリブ205を備えるようにしてもよい。なお、図2では、アノード基板100を部分的に示し、他は省略している。フロントガラスリブ205は、フロントガラス101の側からみた場合、フロントリブ105と同じ高さに形成すればよい。また、上記フロントガラスリブ205とフロントリブ105とにより形成される格子により、後述する画素が分離されるように上記リブを形成する。
フロントガラスリブ205は、例えば、フロントガラス101の側より、蛍光膜及びメタルバック膜104を貫通して設けるようにすればよい。このようにフロントガラスリブ205を設けると、蛍光体膜103R,蛍光体膜103G,及び蛍光体膜103Bが、設けられたフロントガラスリブ205によりフロントリブ105の延在方向に分割されることになるが、各蛍光膜とフロントガラス101との間にITO(Indium-Tin-Oxide)などの透明電極層204を設け、各々が同電位となるようにすれば良い。
フロントガラスりブ205を設けることで、アノード基板100とゲート基板30とを組み立てるときに、フロントリブ105と以下に説明するアノード側リブ32との位置がずれても、フロントガラスリブ205の存在により、アノード側リブ32がメタルバック膜104に当接することがなくなり、メタルバック膜104(蛍光面)の損傷を抑制できるようになる。また、フロントガラスリブ205を設けて画素分離をすることで、コントラストの向上も見込める。
次に、ゲート基板30について説明する。外囲器内部に配設されるゲート基板30は、カソード電極13の上に配置された複数のカソード側リブ34と、基板リブ12に支持されて配置され、基板リブ12と直交する方向(第2方向)に延在する短冊状の複数のゲート電極35と、カソード側リブ34の上にこれを挟む2つのゲート電極35に跨って配置され、基板リブ12と直交する方向に延在する複数の中間リブ33と、中間リブ33に支持されて配置された板状の電界制御電極31と、電界制御電極31の上面に所定間隔で基板リブ12と同一方向に延在して形成された複数のアノード側リブ32とから構成されている。電界制御電極31には、この平面上の縦方向及び横方向に所定間隔離間して複数の貫通孔31aが形成されている。また、ゲート電極35にも、複数の貫通孔35aが形成されている。
ここで、カソード側リブ34は、絶縁性材料から構成され、板状又は棒状に形成され、基板リブ12と直交する方向(第2方向)に沿って、基板リブ12の間に延在している。また、図3の断面図に示すように、カソード電極13の上において、カソード側リブ34は、各々のカソード電極13の上に基板リブ12が延在する方向に所定の間隔で配置されている。この間隔は、基板リブ12と直交する方向の配置間隔と一致している。なお、図3は、図1のbb線の断面を示している。
また、各カソード側リブ34の長さは、隣り合う基板リブ12間の距離と同じ又はこの距離よりも短く形成されている。また、隣り合うカソード側リブ34の間隔は、基板リブ12の幅と同じ又はこの幅よりも長く設定される。図3では、カソード側リブ34の上記延在(長手)方向の長さは、カソード電極13の幅と同一にされている。さらに、カソード側リブ34は、平面視、アノード側リブ32と中間リブ33とが交差する上に配置されないように形成されている。このように構成されるカソード側リブ34は、隣り合うゲート電極35を絶縁分離するとともに、カソード電極13の延在方向(第1方向)において、後述する画素の分離を行っている。
ゲート電極35は、導体から構成され、短冊状に平面視略矩形の板の形状を有し、基板リブ12によって支持されて、中間リブ33の下面におけるカソード側リブ34に挟まれた領域にカソード電極13と直交する方向(第2方向)に配設される。また、ゲート電極35には、この延在方向(中間リブ33の延在方向)に所定間隔離間して複数の貫通孔35aが形成されている。貫通孔35aは、電界制御電極31の貫通孔31aと同じ間隔で、平面視同じ位置に重なって配置され、これらの貫通孔の単位で平面ディスプレイの画素が構成される。また、貫通孔35aは、基板リブ12(カソード電極13)と同じ間隔で配置されている。なお、貫通孔35aの外径は、電子の収束などを考慮すると、貫通孔31aの外径よりも大きい方が望ましい。
また、中間リブ33は、絶縁材料から構成され、平面視、基板リブ12と直交する方向に延在して配置されている。また、隣り合う2つの中間リブ33の間には、正方配列された貫通孔31aの所定の1行が配列されるように構成されている。ここで、隣り合う2つの中間リブ33に挟まれた領域には、複数の(本実施の形態においては1行(1列)分の)画素が対応し、これら2つの中間リブ33は、ゲート電極35及び電界制御電極31により囲まれた1つの空間を形成している。
さらに、中間リブ33は、隣り合う2つのゲート電極35の間隙より幅が広く形成され、ゲート電極35とともにこれらの間に配置されるカソード側リブ34を、カソード電極13(基板11)の方向に押さえつけるようにしている。例えば、中間リブ33は、幅0.5mm高さ1mmに形成され、カソード側リブ34は、幅0.15mm高さ0.25mmに形成され、隣り合うゲート電極35の間隔は、0.2mm程度に形成されている。
基板11の法線方向では、ゲート電極35は、中間リブ33と基板リブ12との間に挟持される。カソード側リブ34は、カソード電極13とともに中間リブ33を基板11の側に押さえつける機能を有する。なお、中間リブ33は、ゲート電極35に形成されている貫通孔35aに懸からない程度、言い換えると貫通孔35aを隠さない程度の幅とする。
電界制御電極31は、導体から構成され平面視矩形の板状に形成されている。電界制御電極31は、アノード電極(メタルバック膜104)により発生する電界の影響からカソード電極13及びゲート電極35を保護するものである。これにより、アノード電極として作用するメタルバック膜104とゲート電極35との電位差により電界が発生するのを防ぎ、カソード電極13とメタルバック膜104との間の異常な放電を防止している。
アノード側リブ32は、絶縁性材料から構成され、平面視、基板リブ12に重なるように配置されている。また、隣り合う2つのアノード側リブ32の間には、正方配列された貫通孔31aの所定の1列が配置されるように構成されている。従って、アノード側リブ32と中間リブ33とにより、格子が構成され、この格子の間に、貫通孔31a及び貫通孔35aが配置される。なお、貫通孔31a及び貫通孔35aの形状は、平面視略円形に限定されず、例えば楕円形や矩形など適宜自由に設定することができる。
以上のように、本実施の形態に係る平面ディスプレイでは、ゲート基板30とカソード電極13との間にゲート基板30側が正の電位となるように所定の電位差を設けることにより、カソード電極13のゲート電極35と交差した領域から引き出された電子が、貫通孔35a及び貫通孔31aを通過してアノード基板100の側へ放出される。
具体的には、先ず、電界制御電極31にカソード電極13よりも正の電位となる電圧を印加して、電界制御電極31からカソード電極13の表面に向かう電界を予め発生させる。次に、ゲート電極35に電圧を印加し、ゲート電極35をカソード電極13に対してより大きな正の電位とする。これらのことにより、ゲート電極35及び貫通孔35aの表面(側面)とカソード電極13との間に強い電界が形成され、カソード電極13の表面に配設された電子放出源から電子が引き出される。
引き出された電子は、ゲート電極35に対して正の電位となるよう電圧が印加された電界制御電極31により加速され、貫通孔31aからフロントガラス101側に放出される。ここで、メタルバック膜104に電界制御電極31よりも正の電位(加速電圧)が印加されていると、貫通孔31aから放出された電子は、メタルバック膜104に向かって加速され、さらにメタルバック膜104を貫通して蛍光体膜103G,103B,103Rに衝突する。これにより、蛍光体膜が発光する。
上述したように、電子放出源より引き出された電子がゲート基板30を通過する中で、電子は、貫通孔35a,中間リブ33で挟まれた電子通過空間,及び貫通孔31aを経ていく。この中で、図1に示す平面ディスプレイによれば、上記電子通過空間は、ゲート電極35が延在する方向には壁が存在していない。このため、図1に示す平面ディスプレイによれば、電子通過空間を通過する電子が衝突する可能性のある側壁が、図6に示した従来の構成に比較して、半分に減少したことになる。従って、図1に示す平面ディスプレイによれば、従来に比較して、ゲート基板30における電子通過空間の側壁に通過電子が衝突することにより発生する二次電子放出による漏れ発光が、抑制できるようになり、コントラストの向上が図れ、視認性の高い表示が得られるようになる。
また、本実施の形態に係る平面ディスプレイによれば、前述したように、ゲート電極35の延在方向(第2方向)に直交する壁面を備えることなしに、中間リブ33により、電界制御電極31とゲート電極35とを所定間隔に離間させ、かつ、ゲート電極35及びカソード側リブ34を、所定の位置に固定可能としている。このように、本実施の形態に係る平面ディスプレイによれば、中間リブとして格子状のリブを用いていないので、例えば、中間リブを格子状に形成する場合に比較して部品の数が減少し、より高精細とするために画素間をより小さくすることが容易となる。また、中間リブ33は、一方向にのみ延在するので、格子状に形成する場合に比較して製造することが容易となる。
次に、カソード基板10の製造方法について説明する。先ず、ガラスからなる基板11の上に、例えばよく知られたスクリーン印刷によりガラス質などの絶縁ペーストのパターンを印刷する。絶縁ペーストとしては、例えば、NP−7833,NP−7834E(ノリタケ機材株式会社製)を用いればよい。この印刷を、パターンが所定の高さとなるまで繰り返す。所定の高さにパターンが形成された後、このパターンを焼成することで、基板リブ12が形成された状態とする。次いで、焼成された基板リブ12の上面を、砥石もしくはサンドペーパーなどにより研磨し、全ての基板リブ12の高さが均一とされた状態にする。
次に、CVD法などにより電子放出源が表面に配設されたカソード電極13を、基板11の上の基板リブ12に挟まれた領域に配設する。なお、カソード電極の幅は、基板リブ12の間隔と同等又はこの間隔よりも短い状態とする。これらのことにより、図1に示すように、カソード基板10が形成された状態が得られる。
次に、ゲート基板30の製造方法について、簡単に説明する。先ず、電界制御電極31を用意する。電界制御電極31には、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング又は電界エッチングなどの公知のエッチング法により、予め複数の貫通孔31aが、所定の間隔に正方配列されて形成されている。
次いで、用意した電界制御電極31の一方の面上に、スクリーン印刷などの公知の印刷法により、前述同様に絶縁ペーストを所定の高さまで繰り返し印刷して焼成することで、電界制御電極31の上にアノード側リブ32が形成された状態が得られる。なお、アノード側リブ32は、上述した印刷法に限らず、サンドブラストやエッチング法により形成するようにしてもよい。
次に、電界制御電極31の他方の面に、スクリーン印刷などの公知の印刷法により、前述同様に絶縁ペーストを所定の高さまで繰り返し印刷して焼成することで、電界制御電極31の下面(他方の面)に、図4(a)に示すように、リブパターン433が形成された状態とする。なお、この場合、絶縁ペーストとしては、二次電子放出を抑制するために、若干の導電性を有するものを用いると良い。
また、スクリーン印刷法ではなく、所望とする間隔に配列された複数のノズルから絶縁ペーストを吐出させることによるノズル吐出法で、高さ1mm程度のリブパターン433を一度に形成するようにしても良い(特許第3366630号公報、特許第3425946号公報参照)。ところで、ノズル吐出法では、各ノズルより吐出されて基板上に形成されたペーストのパターンに、ノズルの直後に配置された紫外線照射部より紫外線を照射し、形成されたパターンを光硬化させ、形成されたパターンの形状を保持するようにしている。このため、用いるガラスペーストには、紫外線の照射により硬化する機能が要求される。従ってこの場合、絶縁ペーストとしては、例えば、若干の導電性を有し、かつ紫外線硬化樹脂をバインダーとしたガラスペーストを用いればよい。
次いで、焼成されたリブパターン433の上面を、砥石もしくはサンドペーパーなどにより研磨し、リブパターン433の上面を平坦化し、かつ全てのリブパターン433の高さが均一とされた状態とすることで、図4(b)に示すように、電界制御電極31の他方の面に中間リブ33が形成された状態とする。次に、例えばスクリーン印刷法により、平坦化された各中間リブ33の上面に、所定の寸法の絶縁ペーストのパターンを所定の間隔で形成し、これを焼成することで、図4(c)に示すように、各々の中間リブ33の上面にカソード側リブ34が形成された状態とする。
次いで、図4(d)に示すように、中間リブ33の上のカソード側リブ34に挟まれた領域に、予め所定の形状に形成されたゲート電極35を配設する。なお、ゲート電極35は、カソード側リブ34側の端部をフリットガラスなどにより中間リブ33の上に接着することで固定しても良いが、接着させない状態で配置することが好ましい。接着させずに配置することで、電界制御電極31の状態にゲート電極35の配置状態を対応させることができる。
次に、上述したように製造した各部分の組み立て方法について説明する。先ず、カソード基板10の基板リブ12が形成された面と、ゲート基板30のカソード側リブ34が形成された面とを対向させる。このとき、平面視、基板リブ12の延在方向とカソード側リブ34の配列方向(中間リブの延在方向)とが直交し、カソード側リブ34が設けられていない箇所に基板リブ12を対向させる。
次に、上述した状態より、ゲート基板30を、カソード基板10の基板リブ12とフロントリブ105とで挟持し、基板11の縁部とフロントガラス101の縁部とを、枠状のスペーサガラスに低融点のフリットガラスで接着し、外囲器を形成する。この外囲器内を真空排気することにより、図1に部分を示す平面ディスプレイが完成する。
上述したように組み立てられた状態において、カソード基板10とアノード基板100とが大気圧により真空外囲器の内部方向に押圧され、カソード基板10とゲート基板30においては、少なくとも基板リブ12がゲート電極35に当接又は圧接した状態となる。また、カソード側リブ34が、中間リブ33及びカソード電極13に当接又は圧接した状態となる。これらの状態において、基板リブ12及びカソード側リブ34は、カソード基板10とゲート基板30とに挟持される状態で、各々の距離を所定の間隔に保持する。従って、カソード電極13とゲート電極35との距離は、基板リブ12及びカソード側リブ34の高さに依存することとなる。基板リブ12及びカソード側リブ34は、高さを5〜300μm程度に十分低く形成でき、本実施の形態に係る平面ディスプレイを、低電圧駆動させることが可能となる。
また、基板リブ12は、表面を研磨することより高さを均一にすることが可能であるので、カソード電極13とゲート電極35との距離が何れの場所であっても均一に保たれ、輝度の均一化を実現できるとともに、大面積化をも実現可能である。さらに、カソード側リブ34は、カソード基板10に当接又は圧接することにより、基板リブ12とともにカソード基板10とゲート基板30とを均等に押圧し、カソード電極13とゲート電極35との距離を均一に保つ。このように、カソード側リブ34を設けることにより、基板リブ12に加わる圧力が分散され、大気圧の影響に対する耐性がさらに向上するので、輝度の均一化のみならず、さらなる大面積化をも実現することができる。
また、カソード基板10とゲート基板30とは、基板リブ12を隣り合うカソード側リブ34で挟み込むような状態で組み合わされる。これにより、カソード基板10とゲート基板30との位置合わせを容易に行うことが可能となり、作業の簡便化のみならず、高精細化も実現することができる。
なお、本実施の形態では、カソード側リブ34は、棒又は板のような角柱状の形状としたが、配列方向の側面の形状を、カソード基板10の側にいくほど狭くなる台形としても良い。この場合、カソード側リブ34の基板リブ12を向く側面が斜面となっているため、カソード基板10とゲート基板30とを位置合わせする際に、基板リブ12がカソード側リブ34の側面に接触したとしても、この側面が斜面となっているので、斜面に沿って基板リブ12が正しい位置に移動する。従って、カソード基板10とゲート基板30の位置合わせをより容易に行うことが可能となる。
また、基板リブ12は、所定の方向に延在する棒又は板の形状を有するようにしたが、基板リブ12の形状はこれに限定されず、例えば、柱状の形状など高さが均一であるならば適宜自由に設定することができる。さらに、基板リブ12を柱状とした場合、基板リブ12をドットマトリクス状など所望する位置に自由に配設するようにしてもよい。これにより、平面ディスプレイの構造上補強が必要な場所などに重点的に基板リブ12を設けることが可能となるので、平面ディスプレイの大面積化が容易となる。
また、カソード側リブ34を所定間隔で設けるようにしたが、カソード側リブ34を設ける位置は適宜自由に設定することができる。これにより、平面ディスプレイの構造上補強が必要な場所などに重点的にカソード側リブ34を設けることが可能となるので、平面ディスプレイの大面積化が容易となる。
10…カソード基板、11…基板、12…基板リブ、13…カソード電極、30…ゲート基板、31…電界制御電極、31a…貫通孔、32…アノード側リブ、33…中間リブ、34…カソード側リブ、35…ゲート電極、35a…貫通孔、100…アノード基板、101…フロントガラス、102…ブラックマトリクス、103R,103G,103B…蛍光体膜、104…メタルバック膜、105…フロントリブ。