JP2006066335A - 電子放出素子、電子放出装置、表示装置、および電子放出素子の製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子放出装置、表示装置、および電子放出素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は、電子の放出効率が高い電子放出素子、この電子放出素子を複数整列配置した電子放出装置、この電子放出装置に画像表示部を組み合わせた表示装置、および上記電子放出素子の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】電子放出素子16は、基板上に互いに離間して形成した一対の素子電極40、40、および一対の素子電極をつなぐように形成された導電膜44を有する。導電膜44は、素子電極40よりアノード電極に向けて突出した凸面42を介して、一対の素子電極40、40をつなぐように形成され、凸面42の中央に電子放出部32を有する。凸面42の幅をある値より狭くすることで、電子放出部32を飛び越えた電子が導電膜44上でスキャッタリングする際に、電子が着地する領域を狭くし、電子の放出効率を向上させる。
【選択図】 図6

Description

この発明は、基板上に離間して形成した一対の素子電極間に電位差を与えることにより導電膜の電子放出部から電子を放出させる電子放出素子、この電子放出素子を基板上に複数個整列配置した電子放出装置、この電子放出装置から放出される電子により蛍光体を光らせて画像を表示する表示装置、および上記電子放出素子の製造方法に関する。
従来、電子放出素子として、例えば、絶縁性の基板上に形成された導電性薄膜に電流を流すことにより電子を放出させる現象を利用した表面伝導型電子放出素子が知られている。また、この表面伝導型電子放出素子を電子源とした平面パネル構造の表示装置として表面伝導型電子放出ディスプレイ(以下、SEDと称する)が知られている。
SEDの電子放出素子は、例えば、絶縁性の基板上に、一定のギャップを介して対向した一対の電極パターンを形成し、ギャップを介して一対の電極パターンをつなぐように導電性の薄膜(以下、導電膜と称する)を設け、一対の電極パターン間に電位差を与えることによりギャップの略中間位置で導電膜に亀裂(以下、電子放出部と称する)を生じさせることにより形成される(例えば、特許文献1参照。)。
そして、この電子放出素子を動作させる場合、一対の電極パターン間に電位差を与えることにより、導電膜に形成された亀裂、すなわち電子放出部から電子を放出させる。すなわち、SEDの動作時には、外部から画像データに基づく駆動信号が与えられ、複数の電子放出素子の電極対に選択的に電位差が与えられて電子が放出される。そして、各電子放出素子に一対一で対応して設けられた蛍光体スクリーンの各画素が選択的に励起発光されて画像が表示される。
しかし、上述した従来の電子放出素子では、電子放出部を飛び越えた電子が導電膜上で複数回に渡って跳ねる散乱現象(以下、この現象をスキャッタリングと称する)を繰り返し、その間に殆どの電子が導電膜を介して電極に流れ、スキャッタリング中のごく僅かな電子、すなわち素子電圧に基づく電界から逃れた電子だけがアノード電圧によって加速されて蛍光体スクリーンに到達する(例えば、非特許文献1)。このため、従来の電子放出素子では、電子の放出効率が数%程度と極めて低く、電子の放出効率の高い電子放出素子の開発が望まれている。
特開平9−237571号公報 M.Okuda et al 「Electron Trajectory Analysis of Surface Conduction Electeon Emitter Displays (SEDs)」SID 98 DIGEST p.185(1998)
この発明の目的は、電子の放出効率が高い電子放出素子、この電子放出素子を複数整列配置した電子放出装置、この電子放出装置に画像表示部を組み合わせた表示装置、および上記電子放出素子の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、この発明の電子放出素子は、導電膜と、この導電膜に亀裂を生じせしめて形成される細長い電子放出部と、この電子放出部に駆動電圧を印加する一対の素子電極と、を有し、上記導電膜は、上記駆動電圧の印加により上記電子放出部を飛び越えた電子が該導電膜上で散乱する際に、散乱した電子が該導電膜に着地可能な領域を少なくとも狭める形状に形成されていることを特徴とする。
上記発明によると、導電膜上で散乱(スキャッタリング)した電子の少なくとも一部が導電膜に着地できなくなり、導電膜を介して電極に流れなくなった電子が有効な電子として放出されて電子の放出効率が高くなる。
また、この発明の電子放出素子は、基材上に互いに離間して形成された一対の素子電極と、これら一対の素子電極をつなぐように上記基材上に形成された導電膜と、上記一対の素子電極の間で上記導電膜に亀裂を生じせしめて形成された細長い電子放出部と、を有し、上記基材は、上記一対の素子電極の間に、上記電子放出部を飛び越えた電子を加速するアノード電極に向けて上記一対の素子電極より突出した細長い凸面を有し、上記電子放出部は、上記凸面の略中央に位置することを特徴とする。
また、この発明の電子放出素子は、基材上に形成された細長い凸部と、この凸部を挟んで上記基材上に形成された一対の素子電極と、上記凸部を介して上記一対の素子電極をつなぐように形成された導電膜と、上記凸部の略中央で上記導電膜に亀裂を生じせしめて形成された電子放出部と、を有することを特徴とする。
また、この発明の電子放出素子の製造方法は、基板に湾曲した凸面を有する細長い凸部を形成する工程と、この凸部を挟んで一対の素子電極を形成する工程と、上記凸面を介して上記一対の素子電極をつなぐ導電膜を形成する工程と、上記一対の素子電極間に電位差を与えて上記凸面の頂部で上記導電膜に細長い亀裂を生じせしめて電子放出部を形成する工程と、を有し、上記凸面の曲率は、上記電子放出部に駆動電圧を印加した際に該電子放出部を飛び越えて散乱した電子のうち少なくとも一部の電子が上記導電膜に着地できない曲率に設定されていることを特徴とする。
さらに、この発明の電子放出素子の製造方法は、基板に細長い凸面を形成する工程と、この凸面の両側に一対の素子電極を形成する工程と、上記凸面を介して上記一対の素子電極をつなぐ導電膜を形成する工程と、上記一対の素子電極間に電位差を与えて上記凸面の略中央で上記導電膜に細長い亀裂を生じせしめて電子放出部を形成する工程と、を有し、上記凸面に形成された上記電子放出部から該凸面の縁までの幅は、上記電子放出部に駆動電圧を印加した際に該電子放出部を飛び越えて散乱した電子のうち少なくとも一部の電子が着地できない幅に設定されていることを特徴とする。
この発明の電子放出素子、電子放出装置、および表示装置は、上記のような構成および作用を有しているので、電子の放出効率を高くできる。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
始めに、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態に係る表示装置の一例として、SED(Surface-conduction Electron-emitter Display)1について説明する。図1は、前面基板2を部分的に切り欠いた状態のSED1の真空外囲器10を示す斜視図であり、図2は、図1の真空外囲器10を線分II-IIで切断した断面図であり、図3は、図2の断面を部分的に拡大した部分拡大断面図であり、図4は、背面基板4の配線構造を示す模式図である。
図1乃至図3に示すように、SED1は、それぞれ矩形のガラス板からなる前面基板2および背面基板4を備え、これらの基板は約1.0〜2.0mmの隙間をおいて互いに平行に対向配置されている。なお、背面基板4は、前面基板2より1回り大きいサイズを有する。また、前面基板2および背面基板4は、ガラスからなる矩形枠状の側壁6を介して周縁部同志が接合され、内部が真空の扁平な平面パネル構造の真空外囲器10を構成している。
前面基板2の内面には本発明の画像表示部として機能する蛍光体スクリーン12が形成されている。この蛍光体スクリーン12は、赤、青、緑の蛍光体層R、G、B、および遮光層11を並べて構成され、これらの蛍光体層はストライプ状あるいはドット状に形成されている。また、蛍光体スクリーン12上には、アルミニウム等からなるメタルバック14(アノード電極)が形成されている。
背面基板4の内面には、蛍光体スクリーン12の蛍光体層R、G、Bを励起発光させるための電子ビームを放出する多数の表面伝導型の電子放出素子16が設けられている。これらの電子放出素子16は、画素毎、すなわち蛍光体層R、G、B毎に対応して複数列および複数行に配列されている。各電子放出素子16は、後述する電子放出部を有する導電膜、この電子放出部に電圧を印加する一対の素子電極等で構成されている。また、背面基板4の内面上には、各電子放出素子16に駆動電圧を与えるための多数本の配線18がマトリックス状に設けられ、その端部は真空外囲器10の外部に引き出されている。
接合部材として機能する側壁6は、例えば、低融点ガラス、低融点金属等の封着材20により、前面基板2の周縁部および背面基板4の周縁部に封着され、これらの基板同士を接合している。本実施の形態では、背面基板4と側壁6をフリットガラス20aを用いて接合し、前面基板2と側壁6をインジウム20bを用いて接合した。もし、配線18のある背面基板4と側壁6を低融点金属で封着する場合は、配線18と封着材20の電気ショートを避けるため、中間層として絶縁層を設ける必要がある。
また、SED1は、前面基板2と背面基板4の間にガラスからなる複数の細長い板状のスペーサ8を備えている。本実施の形態において、スペーサ8は、複数の細長いガラス板としたが、矩形板状の金属板からなるグリッド(図示せず)と、グリッドの両面に一体的に立設された多数の柱状のスペーサ(図示せず)と、で構成しても良い。
各スペーサ8は、上述したメタルバック14、および蛍光体スクリーン12の遮光層11を介して前面基板2の内面に当接する上端8a、および背面基板4の内面上に設けられた配線18上に当接する下端8bを有する。しかして、これら複数のスペーサ8は、前面基板2および背面基板4の外側から作用する大気圧荷重を支持し、基板間の間隔を所定値に維持している。
さらに、SED1は、前面基板2のメタルバック14と背面基板4との間にアノード電圧Vaを印加する図示しない電圧供給部を備えている。電圧供給部は、例えば、背面基板4の電位を0Vに設定し、メタルバック14の電位を10kV程度にするよう、両者の間にアノード電圧Vaを印加する。
そして、上記SED1において、画像を表示する場合、配線18に接続した図示しない駆動回路を介して電子放出素子16の素子電極間に素子電圧Vfを与え、任意の電子放出素子16の電子放出部から電子ビームを放出するとともに、メタルバック14にアノード電圧Vaを印加する。電子放出部から放出された電子ビームは、アノード電圧Vaにより加速され、蛍光体スクリーン12に到達する。これにより、蛍光体スクリーン12の蛍光体層R、G、Bが励起されて発光し、カラー画像を表示する。
また、上記構造のSED1を製造する場合、予め、蛍光体スクリーン12およびメタルバック14の設けられた前面基板2を用意し、電子放出素子16および配線18が設けられているとともに側壁6およびスペーサ8が接合された背面基板4を用意しておく。そして、前面基板2、および背面基板4を図示しない真空チャンバ内に配置し、真空チャンバ内を真空排気した後、側壁6を介して前面基板2を背面基板4に接合する。これにより、複数のスペーサ8を備えたSED1が製造される。
図4に示すように、背面基板4上には、多数の電子放出素子16を接続する多数本の配線18がマトリックス状に設けられている。このように、多数の電子放出素子16をマトリックス状に配線して背面基板4上に配置した構造が、本発明の電子放出装置として機能する。電子放出素子16の配列については、種々のものを採用できるが、ここでは、図4を用いてその一例を説明する。
電子放出装置は、背面基板4の内面に、多数の電子放出素子16を整列配置して構成される。すなわち、図中X方向(図中左右方向)にn個、Y方向(図中上下方向)にm個の電子放出素子16が形成されている。
各電子放出素子16の一方の素子電極は、それぞれ同じ行にある電子放出素子16同士で共通の配線により接続されている。これをY配線と呼ぶ。Y配線は、Y1からYmまでm本ある。また、各電子放出素子16の他方の電極は、それぞれ同じ列にある電子放出素子16同士で共通の配線により接続されている。これをX配線と呼ぶ。X配線は、X1からXnまでn本ある。
X配線およびY配線は、各電子放出素子16の後述する一対の素子電極と同様な材料で、同様な成膜およびパターニング方法で形成される。また、全てのX配線とY配線との間には交差点があるが、全ての交差点は図示しない絶縁膜により、電気的に絶縁されているものとする。この絶縁膜として、例えば、真空蒸着法、印刷<BR>法、スパッタ法等を用いて形成されるSiO2等がある。
例えば、Y配線には、Y方向に配列した電子放出素子16の行を選択するための信号電圧(走査信号)が印加され、X配線にはX方向に配列した電子放出素子16の電流を変調するための信号電圧(変調信号)が印加されるようになっている。従って、各電子放出素子16に印加される駆動電圧Vfは、各電子放出素子16に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給される。
例えば、特定の電子放出素子16に着目して、Y配線にマイナスしきい値電圧Vf[V]を印加し、X配線に0[V]を印加した場合は、素子電極間にはしきい値電圧Vfが印加されることになる。
従って、例えば、配線Y1にマイナスのしきい値電圧Vf[V]を印加(走査信号を入力)し、配線X1に0[V]、X2〜Xnには0[V]以上の任意電圧(変調信号)を印加する事により、配線Y1と配線X1に配線された電子放出素子16では、素子電流は放出されず、その他の電子放出素子16では任意の素子電流が放出されることになる。
この様に、上記構成の電子放出装置においては、単純なマトリクス配線を用いて、特定の電子放出素子16を選択的に独立して駆動することが可能である。
次に、上述した表面伝導型の電子放出素子16の特性について、図5を参照して考察する。図5には、一般的な電子放出素子16の要部の構造、すなわち電子放出部32周辺の構造を部分的に拡大した断面図を示してある。
電子放出素子16は、上述したX配線およびY配線にそれぞれ接続された一対の素子電極(ここでは図示省略)を有し、素子電極をつなぐ導電膜30を有する。ここでは、導電膜30の膜厚は、50[nm]程度に設定されているものとする。また、導電膜30の略中央には、素子電極間に高電圧をパルス印加することにより形成される細長い亀裂、すなわち電子放出部32が形成されている。ここでは、電子放出部32のギャップ幅は、3[nm]程度に設定されているものとする。
上記構造の一般的な電子放出素子16において、一対の素子電極間に駆動電圧Vfを印加すると、電子放出部32を電子が飛び越えて導電膜30上で複数回に渡ってスキャッタリングする。スキャッタリングの回数は、駆動電圧Vf、アノード電圧Va、前面基板2と背面基板4との間のギャップ、すなわちバキュームスペーシングH、電子放出部32の幅等によって決定される。
図5には、平均して3回スキャッタリングした後、アノード電極に向けて電子が加速される例を示してある。この例では、電子放出部32を飛び越えた電子が導電膜30に最初に着地する1次着地点P1において、飛び越えた電子の約93.7[%]が導電膜30を介して素子電極に流れ、残りの電子が導電膜30から跳躍する。そして、この跳躍した電子が着地する2次着地点P2において、約4.4[%]の電子が導電膜30を介して流れ、残りの電子が再び跳躍する。さらに、この跳躍した電子が着地する3次着地点P3において、約1.3[%]の電子が導電膜30を介して流れ、残りの僅かな電子だけが、駆動電圧Vfに基づく電界による影響下から逃れて、アノード電圧Vaによって蛍光体スクリーン12に向けて加速される。
このため、上述した一般的な電子放出素子16においては、素子電極間に流れる電子に対する放出電子の割合は、0.6[%]程度となっており、電子の放出効率が極めて低くなっている。
これに対し、本願発明者等は、電子の放出効率を高めることのできる電子放出素子を開発した。図6には、この発明の第1の実施の形態に係る電子放出素子16の要部の構造を部分的に拡大した模式図を示してある。
本実施の形態の電子放出素子16は、背面基板4からメタルバック14(アノード電極)に向けて一対の素子電極40より突出した細長い凸面42を有し、この凸面42を介して一対の素子電極40をつなぐように導電膜44を形成したことを特徴としている。電子放出素子16の電子放出部32は、上述したように、素子電極間にパルス電圧を印加することにより導電膜30に形成される細長い亀裂であるため、凸面42上に電子放出部32を形成するためには、凸面42を細長く形成する必要がある。
特に、凸面42の幅(図6で左右方向の長さ)は、以下のように設定する必要がある。つまり、電子放出部32を飛び越えた電子が導電膜44上でスキャッタリングする際に、スキャッタリングした電子が導電膜44に着地可能な領域を少なくとも狭める幅に設定されている。より具体的には、電子放出部32から凸面42の縁までの距離が、後述するスキャッタリング距離Xsより短く設定される。
これにより、例えば、図5に示した例と比較すると、3次着地点P3を無くすことができ、2次着地点P2で跳躍した全ての電子が導電膜44に着地不可能となり、本来、3次着地点P3で導電膜44に流れるはずの電子もアノード電圧によって加速されて蛍光体スクリーン12に到達することになる。つまり、スキャッタリングした電子が着地可能な領域、すなわち凸面42の幅を上述した程度に狭くすることで、放出する電子を増やすことができる。
また、電子放出部32から凸面42の縁までの距離をさらに短くすることにより、例えば図5で説明した例で、2次着地点P2をも無くすことができ、放出可能な電子の量をさらに増やすことができる。
図7には、アノード電圧Vaを1[kV]〜12[kV]まで変化させて、スキャッタリング距離Xs、および平均散乱回数を調べた結果を表にして示してある。ここでは、電子放出部32の幅を3[nm]に設定し、前面基板2と背面基板4との間の距離を2.0[mm]に設定し、駆動電圧Vfを15[V]に設定した。なお、ここで言うスキャッタリング距離Xsとは、この距離を超えた全ての電子がアノード側に加速される電子放出部32からの距離である。また、ここで言う電子放出部32平均散乱回数とは、電子放出部32から放出された電子が、導電膜44上でスキャッタリングする平均回数である。
これによると、スキャッタリング距離Xsは、アノード電圧Vaが高くなるにつれて短くなっているのが分かる。より詳細には、スキャッタリング距離Xsは、一対の素子電極40、40間に印加する駆動電圧をVfとし、前面基板2と背面基板4との間の距離をHとし、アノード電圧をVaとした場合、実験的に下の式を満たす値をとる。
Xs=Vf・H/(π・Va)
例えば、上述した条件下で、アノード電圧Vaを10[kV]に設定した場合、スキャッタリング距離Xsは1.0[μm]となる。つまり、この場合、スキャッタリングした電子が導電膜44に着地可能な領域を少なくとも狭めるためには、電子放出部32から凸面42の縁までの距離を少なくともスキャッタリング距離Xsより短くすれば良い。このため、本実施の形態では、電子放出部32から凸面42の縁までの幅を1.0[μm]未満に設定した。
次に、上記構造の電子放出素子16の製造方法について、図8乃至図14を参照して説明する。ここでは、背面基板4の内面に電子放出素子16を直接形成するのではなく、Si基板(基材)に電子放出素子16を形成する場合について説明する。
まず、図8に示すように、平らなSi基板50を用意し、その上面に均一な膜厚のSiO2膜52を形成する。そして、図9に示すように、上述した凸面42の幅に合わせてSiO2膜52をパターニングし、図10に示すように、このパターニングしたSiO2膜52’をマスク材として、Si基板50をウェットエッチングやケミカルドライエッチングによりエッチングする。
この後、図11に示すように、プラズマ酸化等によりSi基板50の上面側に熱酸化膜(SiO2)51を形成し、図12に示すように、マスク52’を介して電極膜54(素子電極40)を成膜する。そして、図13に示すように、マスク52’を除去するとともに、SiO2膜51を僅かにエッチングし、図14に示すように、凸面42を介して一対の素子電極40をつなぐように導電膜44を成膜する。
最後に、一対の素子電極40間にパルス状の高電圧を印加して細長い凸面42の略中央で導電膜44に亀裂を生じさせて電子放出部32を形成する。この後、必要に応じて、電子放出部32の幅を一定にするための活性化処理を施して電子放出部32のエッジにカーボンを付着する。
以上のように、本実施の形態の電子放出素子16によると、アノード側に突出した凸面42上に電子放出部32を形成し、スキャッタリングの際に電子が導電膜44に着地する領域を少なくとも狭くしたため、スキャッタリングによって素子電極40に流れる電子の量を減らすことができ、電子の放出効率を高めることができる。
図15には、この発明の第2の実施の形態に係る電子放出素子70の要部の概略構造の断面図を示してある。この電子放出素子70は、一対の素子電極40よりアノード側に突出した頂部を有する湾曲した凸面60を有する。凸面60が所定の曲率で湾曲している以外、上述した第1の実施の形態と同様の構造を有するため、同様に機能する構成要素には同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
凸面60の曲率半径は、上述した第1の実施の形態の電子放出素子16における電子放出部32から凸面42の縁までの幅と同じように決定される。例えば、上述したスキャッタリング距離Xsが1.0[μm]であるものと仮定した場合、凸面60の曲率半径は、1.0[μm]未満に設定される。
これにより、上述した第1の実施の形態と同様の効果を奏し得るとともに、第1の実施の形態の電子放出素子16と比較してより電界を集中させることができ強い電界を形成でき、電子の放出効率をより高めることができる。
なお、この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
この発明の実施の形態に係るSEDの真空外囲器を示す外観斜視図。 図1の真空外囲器を線分II−IIに沿って切断した断面斜視図。 図2の断面を部分的に拡大して示す部分拡大断面図。 図1のSEDの配線構造を説明するための図。 電子放出素子の特性を説明するための動作説明図。 この発明の第1の実施の形態に係る電子放出素子の要部の構造を部分的に拡大して示す部分拡大断面図。 アノード電圧を変えた場合における電子のスキャッタリング距離および平均散乱回数の関係を示す表。 図6の電子放出素子を製造する方法を説明するための図。 図6の電子放出素子を製造する方法を説明するための図。 図6の電子放出素子を製造する方法を説明するための図。 図6の電子放出素子を製造する方法を説明するための図。 図6の電子放出素子を製造する方法を説明するための図。 図6の電子放出素子を製造する方法を説明するための図。 図6の電子放出素子を製造する方法を説明するための図。 この発明の第2の実施の形態に係る電子放出素子の要部の構造を部分的に拡大して示す部分拡大断面図。
符号の説明
1…SED、2…前面基板、4…背面基板、6…側壁、8…スペーサ、10…真空外囲器、12…蛍光体スクリーン、14…メタルバック、16、70…電子放出素子、18…配線、30…導電膜、32…電子放出部、40…素子電極、42…凸面、44…導電膜、50…Si基板、51…熱酸化膜、52…SiO2膜、52’…マスク、54…電極膜、60…凸面。

Claims (10)

  1. 導電膜と、この導電膜に亀裂を生じせしめて形成される細長い電子放出部と、この電子放出部に駆動電圧を印加する一対の素子電極と、を有する電子放出素子であって、
    上記導電膜は、上記駆動電圧の印加により上記電子放出部を飛び越えた電子が該導電膜上で散乱する際に、散乱した電子が該導電膜に着地可能な領域を少なくとも狭める形状に形成されていることを特徴とする電子放出素子。
  2. 上記導電膜は、上記電子放出部を飛び越えた電子を加速するアノード電極に向けて上記一対の素子電極より突出した細長い凸面の略中央に上記電子放出部が位置し、且つ上記凸面を介して上記一対の素子電極をつなぐように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 基材上に互いに離間して形成された一対の素子電極と、これら一対の素子電極をつなぐように上記基材上に形成された導電膜と、上記一対の素子電極の間で上記導電膜に亀裂を生じせしめて形成された細長い電子放出部と、を有する電子放出素子であって、
    上記基材は、上記一対の素子電極の間に、上記電子放出部を飛び越えた電子を加速するアノード電極に向けて上記一対の素子電極より突出した細長い凸面を有し、
    上記電子放出部は、上記凸面の略中央に位置することを特徴とする電子放出素子。
  4. 上記凸面は上記電子放出部を頂部に有する曲面であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電子放出素子。
  5. 基材上に形成された細長い凸部と、
    この凸部を挟んで上記基材上に形成された一対の素子電極と、
    上記凸部を介して上記一対の素子電極をつなぐように形成された導電膜と、
    上記凸部の略中央で上記導電膜に亀裂を生じせしめて形成された電子放出部と、
    を有することを特徴とする電子放出素子。
  6. 上記凸部は、湾曲した凸面を有し、この凸面の頂部に上記電子放出部が位置していることを特徴とする請求項5に記載の電子放出素子。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の電子放出素子を基板上に複数個並べて配置した電子放出装置であって、外部から与えられる信号に応じて各電子放出素子の素子電極に選択的に駆動電圧を与えることにより上記複数の電子放出素子から選択的に電子を放出させる電子放出装置。
  8. 請求項7に記載の電子放出装置と、
    この電子放出装置の複数の電子放出素子から選択的に放出される電子によって画像を表示する画像表示部と、
    を有することを特徴とする表示装置。
  9. 基板に湾曲した凸面を有する細長い凸部を形成する工程と、
    この凸部を挟んで一対の素子電極を形成する工程と、
    上記凸面を介して上記一対の素子電極をつなぐ導電膜を形成する工程と、
    上記一対の素子電極間に電位差を与えて上記凸面の頂部で上記導電膜に細長い亀裂を生じせしめて電子放出部を形成する工程と、を有し、
    上記凸面の曲率は、上記電子放出部に駆動電圧を印加した際に該電子放出部を飛び越えて散乱した電子のうち少なくとも一部の電子が上記導電膜に着地できない曲率に設定されていることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  10. 基板に細長い凸面を形成する工程と、
    この凸面の両側に一対の素子電極を形成する工程と、
    上記凸面を介して上記一対の素子電極をつなぐ導電膜を形成する工程と、
    上記一対の素子電極間に電位差を与えて上記凸面の略中央で上記導電膜に細長い亀裂を生じせしめて電子放出部を形成する工程と、を有し、
    上記凸面に形成された上記電子放出部から該凸面の縁までの幅は、上記電子放出部に駆動電圧を印加した際に該電子放出部を飛び越えて散乱した電子のうち少なくとも一部の電子が着地できない幅に設定されていることを特徴とする電子放出素子の製造方法。
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