JP4784913B2 - シトラールの合成反応法とその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シトラール組成物の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、高温高圧状態の水あるいはアルコ−ルそれらの混合溶媒を反応溶媒とし、無触媒あるいは微量の縮合剤の添加により、一段階でシトラールを製造する方法に関するものである。本発明は、温度100〜400℃、圧力0.1〜40MPaの水あるいはアルコ−ルそれらの混合溶媒を反応溶媒として、触媒無添加あるいは微量の縮合剤の添加でプレノールとプレナールからシトラールを一段階で短時間で合成する方法及びその反応組成物を提供するものである。シトラールは香料や医薬品の重要な合成原料として公知のものであり、従来法では、プレノールとプレナールからのから酸や縮合剤を用いる2〜3段階の反応プロセスでシトラールを合成していた。本発明は、プレノールとプレナールからシトラールを一段階の反応プロセスで合成する方法を提供するものであり、香料やビタミンA、Eなどの医薬品の合成中間化合物として有用なシトラールを効率良く、短時間で、大量に生産し、提供することを可能にするものである。
従来、プレノールとプレナールを原料としてシトラールを合成する方法が種々報告されている(例えば、非特許文献1参照)。先行技術文献によれば、各種触媒を用いてプレノールとプレナールから一段階で合成する試みがあり(特許文献1、2参照)、オートクレーブによりプレノール/プレナール比は2/1で、温度200℃、圧力4MPa、反応時間90分で収率が14%であり、温度250℃、圧力15MPa、反応時間7分の条件で収率17%であった。他方、プレノール/プレナール比1/1で過酸化ベンゾイルを添加した場合、温度140℃、反応時間1時間で収率58%に増加することが開示されている(図1参照)。
また、他の文献によれば、リン酸触媒下、温度72−92℃、圧力80mmHg、反応時間6時間で、プレノール/プレナール比2.5/1からジプレニルアセタールを収率76%で含む粗生成物を合成し(図2、(2−1)参照)、その粗生成物をKOAcで中和後(図2、(2−2)参照)、再びリン酸条件で温度125℃〜140℃、圧力90mHg、3.5時間反応させ、シトラールを収率63%(総括収率48%)で合成するプロセス(図2、(2−3)参照)が開示されている(特許文献3参照)。
これと関連して、他の文献では、リン酸触媒下、pHを3〜5程度に調整し、ジプレニルアセタールから温度50〜150℃、圧力50kPa(52mbar)でシトラールを連続的に最高収率97%で合成するプロセス(図2、(2−4)参照)が開示されている(特許文献4参照)。他方、他の文献には、プレノール/プレナール比2.5/1で塩化リチウムの縮合剤を用いるプロセスが開示され(特許文献5参照)、温度75−85℃、圧力10.7kPa、4.5時間でジプレニルアセタールを収率68%で含む粗生成物を合成し(図2、(2−1)参照)、その粗生成物に更に塩化リチウムを添加して温度135〜142℃、圧力2kPa−12KPaで、3.5時間反応させ、シトラールを67%(総括収率48%)で得ている(図3、(3−2)参照)。
米国特許第3,965,193号明細書(1976) 仏国特許第2,160,525号明細書(1976) 米国特許第5,177,265号明細書(1993) 米国特許第6,175,044号明細書(2001) 米国特許第4,933,500号明細書(1990) 有機工業化学−第2版−、亀岡 弘、岡田 昇著、化学同人、第279−299頁(1993)
このように、従来法では、シトラールの合成は、2〜3段階のプロセスで、主に減圧下で行われることから、ランニングコストが高コストとなり、これらが香料原料や医薬品として有用なシトラールの価格を高価にする一つの要因ともなっている。また、ビタミンA、E等の医薬品へ誘導する際にはリン酸の残存は生体に影響を与えるため問題となる。更に、反応行程での触媒の使用と分離操作がともに対をなすものであることから、もし、無触媒あるいは微量の除去容易な添加物で反応が進行するならば、分離操作もFlorentineフラスコのような静置分離型の簡単な装置で連続的に分離が可能である。以上のことから、当該技術分野においては、簡単な合成プロセスで、低コストで、シトラールを合成することを可能とする一段階合成方法が強く要請されていた。
このような状況のなかで、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、低コスト、環境に配慮した簡単な高速合成プロセスで、上記シトラールを合成することができる新しい合成方法を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、高温高圧水(亜臨界水又は超臨界水)を反応溶媒として、無触媒、あるいは縮合剤として塩化リチウムを微量に用いることでプレノールとプレナールからシトラールを合成できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、アリルアルコール化合物とアリルアルデヒド化合物からシトラールを無触媒又は微量の縮合剤を用いて、一段階で、短時間の反応条件下で合成する方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、アリルアルコール化合物とアリルアルデヒド化合物からモノテルペン類を合成する方法において、高温高圧状態の亜臨界ないし超臨界流体である亜臨界水ないし超臨界水を反応溶媒として使用し、触無添加あるいは触媒として縮合剤(酸触媒又は塩基触媒を除く)添加して、アリルアルコール化合物とアリルアルデヒド化合物から1段階の合成反応でモノテルペン類を選択的に合成することを特徴とするモノテルペン類の製造方法、である。また、本発明は、プレノールとプレナールからシトラールを合成する方法において、高温高圧状態の亜臨界ないし超臨界水を反応溶媒として使用することを特徴とするシトラールの製造方法、である。本方法は、(1)高温高圧状態の亜臨界ないし超臨界水を反応溶媒として使用し、触無添加あるいは触媒として縮合剤(酸触媒又は塩基触媒を除く)添加して、プレノールとプレナールから1段階の合成反応でシトラールを選択的に合成すること、(2)縮合剤として、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムを用いること、(3)温度100〜400℃、圧力0.1〜40MPaの亜臨界ないし超臨界水を反応溶媒として使用すること、(4)流通式高温高圧装置に、基質及び反応溶媒を導入し、反応時間を3〜60秒の範囲で変化させることで合成反応を実施すること、を好ましい態様としている。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、化1のアリルアルコール化合物と化2のアリルアルデヒド化合物から化3のモノテルペン類を、一段階の反応プロセスで、触媒無添加、短時間の反応条件下で、選択的に合成することを特徴とするものである。本発明では、上記反応溶媒として、温度100〜400℃、圧力0.1〜40MPaの亜臨界流体、超臨界流体が用いられ、反応条件として、好適には、例えば、反応時間が3〜60秒の範囲で調整される。化1の式中、R6、R7、R8は水素、R9、R10はアルキル基を表し、化2の式中、R1、R2、R4、R5は水素、R3はアルキル基を表す。本発明は、好適には、例えば、プレノール(3−メチル−2−ブテン−1−オ−ル、化1の式中、R6、R7、R8が水素、R9、R10はメチル基を表す)とプレナール(3−メチル−2−ブテン−1−アール、化2の式中、R1、R2、R4、R5が水素、R3がアルキル基を表す)からシトラール(化3の式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8が水素、R9、R10はメチル基を表す)を一段階で短時間に合成することを特徴としている。
このように、本発明では、好適には、基質としては、プレノ−ル(3−メチル−2−ブテン−1−オ−ル)、プレナール(3−メチル−2−ブテン−1−アール)、が例示される。また、本発明では、縮合剤として、例えば、プレノールとプレナールを混合した基質に溶解しやすく、縮合効果をもち、水に溶解して塩基性又は中性を示す塩、好適には、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムが用いられる(化4)。
本発明においては、上記基質及び反応溶媒を反応容器に導入して所定の反応時間で合成反応を実施する。この場合、上記反応器としては、例えば、バッチ式の高温高圧反応容器、及び連続式の流通式高温高圧反応装置を使用することができるが、本発明は、これらに特に制限されるものでない。
本発明の方法では、反応溶媒として、上記高温高圧状態にある亜臨界流体、超臨界流体が用いられるが、具体的には、亜臨界水(100℃以上、0.1MPa以上)、亜臨界メタノール(100℃以上、0.1MPa以上)、亜臨界エタノール(100℃以上、0.1MPa以上)、超臨界水(375℃以上、22MPa以上)、超臨界メタノール(239℃以上、8.1MPa以上)、超臨界エタノール(241℃以上、6.1MPa以上)、同じ状態の混合溶媒が例示され、好適には、臨界点以上の水(375℃以上、22MPa以上)、超臨界メタノール(239℃以上、8.1MPa以上)の混合溶媒が用いられる。反応溶媒としては、上記以外の有機溶媒や無機溶媒を任意の割合で含むことができ、具体的には、有機溶媒として、アセトン等、無機溶媒としてアンモニア等を含む反応溶液に代替することもできる。
本発明では、上記亜臨界流体、超臨界流体の反応溶媒の組成、温度及び圧力条件、基質の種類及びその使用量、反応時間を調整することにより、短時間で、効率良く、反応生成物を合成することができる。また、本発明では、例えば、基質及び反応溶媒を流通式高温高圧装置に導入し、それらの反応時間を3〜60秒の範囲で変えることにより、所定の反応生成物を合成することができる。上記反応条件は、使用する出発原料、目的とする反応生成物の種類等により適宜設定することができる。
本発明の方法では、従来、リン酸存在下で行われていた、プレノールとプレナールからのシトラールの合成を、一段階のプロセスで、高速に、しかも、無触媒又は微量の縮合剤の添加で実施できるため、長時間を要するプロセスを効率化することができる。また、本発明の方法では、従来用いられたリン酸を全く使用しないので、反応後の溶液の中和処理、無害化処理等の後処理の必要がなく、環境負荷低減を達成可能である。本発明によれば、触媒無添加又は微量の縮合剤の添加のみで、10秒程度の短時間で収率72%以上でシトラールを合成することができる。本発明の合成方法は、香料原料や医薬品の合成中間化合物であるシトラールを効率良く、大量に高速で生産することを可能にするものとして有用である。
従来、亜臨界流体、超臨界流体を利用して、有機合成反応を実施した例はあるが、プレノールとプレナールから、一段階の反応プロセスでシトラールを高収率で合成できることを実証した例はなく、本発明の対象とするシトラールの合成反応法は、本発明者らによって初めてその有効性が実証されたものである。しかも、従来法でプレノールとプレナールから合成されるシトラールは、触媒及びリン酸の残存が問題とされていたが、本発明でプレノールとプレナールから合成される反応組成物は、触媒及び/又はリン酸の残存がなく、本発明のシトラール組成物は、合成中間体として、従来製品にない利点を有している。
本発明では、無触媒条件又は微量の縮合剤を用いて、プレノールとプレナールからシトラールの合成反応を実現するために、例えば、亜臨界流体、超臨界流体を媒質とした、反応途中を赤外分光装置と高温高圧赤外フロ−セル(図4)で観察可能な、流通型高温高圧赤外分光その場測定装置(図5)を用いることも可能である。ところが、高温高圧赤外フローセルを窓なし高温高圧フローセル(図6)に交換し、超臨界流体に直接反応物を接触させるように配管配置を変更した超臨界接触型装置の方が、セル窓付近におけるリーク等の問題がなく、高流量で短時間に合成を実施することが可能であることから、この窓なし高温高圧フローセルを装着した装置を後述する実施例3〜6で用いた。
窓なし高温高圧フローセル本体(図6)は、例えば、市販のSUS316製のクロス1にネジを切り、次に説明する温度センサ−シ−ス(図7の12)に固定できるようにする。炉体雰囲気の温度を測定せずに、ほぼセル温度を示すように温度センサ−シ−ス固定部分と反対側でオネジ3でネジ止めする。SUS316の配管4はクロス1にワンリングフェラル付きのテ−パ−ネジ2でクロス1に接続される。
図7は、窓なし高温高圧フロ−セルを装着した流通式高温高圧反応装置の主要部分である。これを、図5の流通型高温高圧流体その場赤外分光測定装置の斜線位置に設置すれば、赤外分光は測定できないものの、温度、圧力、流量が可変な超臨界流体接触型の合成反応装置として利用可能となる。分析はGC/MS等の他の分析手法を用いて実施する。
反応装置本体の詳細を図7に示す。これを図5の流通型高温高圧流体その場赤外分光測定装置の炉体26に設置するだけで、反応を実施可能である。以下、図7について説明すると、水送液ポンプ5から水が送液され、冷却フランジ8を通過後、炉体13へ送液される。管コイル9を通過後、高温高圧状態で温度センサー11が挿入された温度センサ−シ−ス12に固定された高温高圧フロ−セルに導入される。一方、反応物が反応物送液ポンプ6から送液され、冷却フランジ8を通過後、炉体13へ送液される。反応物導入管10を通過後、温度センサ−シ−ス12に固定された高温高圧フロ−セルに導入される。また、洗浄水がポンプ7により送液され、配管16を通過後、高温高圧フロ−セルに導入され、洗浄用に用いられる。高温高圧フロ−セルを通過した溶液は直線配管17を通過後、冷却フランジ8を通過して、炉体外を空冷されながら通過する。その後、圧力を設定している背圧弁18からの排出液を採取し、サンプルとする。ここで、急速昇温を実施し、反応物や排出サンプルの加熱による影響を排除するためには反応物導入ライン16と排出液ライン17の配管をある程度短く、水加熱用コイル9をできるだけ長くすることが望ましい。本発明は、これらに限らず、これらと同効の反応装置であれば同様に使用することができる。
本発明により、(1)プレノールとプレナールから一段階のプロセスでシトラールを合成することができる、(2)従来、プレノールとプレナールから2〜3段階のプロセスでシトラールを合成していたが、本発明により、1段階のプロセスに改善することができる、(3)合成プロセスが一段階に圧縮されることにより、合成の初期コスト及びランニングコストを圧縮できる、(4)触媒及びリン酸無添加の合成プロセスを実現できる、(5)それにより、触媒及び/又はリン酸の残存がなく、生体への影響のない高安全性のシトラール組成物を提供できる、(6)香料原料や医薬品原料として有用なシトラールの新しい大量生産プロセスとして、既存の生産プロセスに代替し得る新しい生産技術を提供できる、という効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
まず、内標準としてアニソールを添加したプレノ−ル(3−メチル−2−ブテン−1−オ−ル、化1の式中、R6、R7、R8が水素、R9、R10はメチル基を表す)及びプレナール(3−メチル−2−ブテン−1−アール、化2式中、R1、R2、R4、R5が水素、R3がアルキル基を表す)の2:1混合物を原料として調製した。
本実施例では、合成条件を、無触媒、温度375℃、圧力40MPa、滞留時間10.5秒とした。図7の流通式高温高圧反応装置の本体(主要部分)を図5の流通型高温高圧流体その場赤外分光測定装置に設置した装置に、まず、純水を流量5.0ml/minで送液し、温度375℃、圧力40MPaに設定し、超臨界水とした。その後、アニソールを内標準として添加(プレナールの0.5mol%)したプレノール/プレナール(混合比率2/1)混合溶液0.4ml/minをポンプで送液した(水溶液濃度0.78mol/kg)。基質送液後、15分後の背圧弁からの水溶液をサンプルとして1ml採取した。加熱炉から背圧弁出口までを反応体積とした場合、反応時間は10.5秒であった。サンプル水溶液に1mlのアセトンを加え、組成をガスクロマトグラフィ−・質量分析計(Hewlett Packard社製HP6890、カラム HP−5、注入口温度150℃、初期カラム温度60℃(保持時間2分)、昇温速度 10℃/分、最終カラム温度250℃(保持時間2分))で実施し、得られたマススペクトルはWilley デ−タベ−スで一致度90%以上で確認した。また、定量はアニソールを内標準として実施した。
その結果、プレノール及びプレナールの転化率は99%であり、収率はZ−シトラール(保持時間5.5分、m/z152)9%、E−シトラール(保持時間5.8分、m/z152)9%であり、合計でシトラールが18%で得られた。その結果を図8に示す。
実施例2〜4
本実施例では、合成条件を、触媒添加、温度375℃、圧力40MPa、滞留時間10.5秒とした。上記実施例1における、アニソールを内標準として添加(プレナールの0.5mol%)したプレノール/プレナール(混合比率2/1)混合溶液に酸触媒又は塩基触媒を0.39mmol(従来法の1/5等量)添加(比較例)又は縮合剤を添加(実施例)した以外、同じ条件で行った。酸触媒としてリン酸、塩基触媒としてピリジン、縮合剤として塩化リチウムを用いた。
その結果、リン酸の場合、プレノール及びプレナールの転化率は97%であり、収率はZ−シトラール(保持時間5.5分、m/z152)3%、E−シトラール(保持時間5.8分、m/z152)8%であり、合計でシトラールが11%で得られた。また、ピリジンの場合、プレノール及びプレナールの転化率は95%であり、収率はZ−シトラール(保持時間5.5分、m/z152)6%、E−シトラール(保持時間5.8分、m/z152)8%であり、合計でシトラールが14%で得られた。更に、塩化リチウムの場合、プレノール及びプレナールの転化率は88%であり、収率はZ−シトラール(保持時間5.5分、m/z152)32%、E−シトラール(保持時間5.8分、m/z152)40%であり、合計でシトラールが72%で得られた。これらの結果を図8に示す。
実施例5〜15
本実施例では、合成条件を、塩化リチウム、温度250〜400℃、圧力40MPa、滞留時間10.5秒とした。次に、上記実施例1における、アニソールを内標準として添加(プレナールの0.5mol%)したプレノール/プレナール(混合比率2/1)混合溶液に、塩化リチウムを0.39mmol(従来法の1/5等量)を添加し、温度変化させる以外、同じ条件で行った。
その結果、図9の結果が得られ、温度375℃の時、プレノール及びプレナールの転化率は88%であり、収率はZ−シトラール(保持時間5.5分、m/z152)32%、E−シトラール(保持時間5.8分、m/z152)40%であり、合計でシトラールが最大収率72%で得られた。また、温度を375℃に固定した場合の収率誤差は±6%であった。尚、図9において、温度250℃−360℃で、かつ圧力40MPaの値は、亜臨界水領域の値であり、温度375℃以上で、かつ圧力40MPaの値は、亜臨界水領域の値である。
実施例16〜18
本実施例では、合成条件を、温度375℃、圧力22〜40MPa、滞留時間10.5秒とした。上記実施例1における、アニソールを内標準として添加(プレナールの0.5mol%)したプレノール/プレナール(混合比率2/1)混合溶液に、塩化リチウムを0.39mmol(従来法の1/5等量)を添加し、圧力変化させる以外、同じ条件で行った。
その結果、図10の結果が得られ、圧力40MPaでプレノール及びプレナールの転化率は88%であり、収率はZ−シトラール(保持時間5.5分、m/z152)32%、E−シトラール(保持時間5.8分、m/z152)40%であり、合計でシトラールが最大収率72%で得られた。
実施例19
本実施例では、合成条件を、温度375℃、圧力40MPa、滞留時間10.5秒、プレノール/プレナール比とした。上記実施例1における、アニソールを内標準として添加(プレナールの0.5mol%)したプレノール/プレナール混合溶液に、塩化リチウムを0.39mmol(従来法の1/5等量)を添加し、プレノール/プレナールの混合比を変化させる以外、同じ条件で行った。
その結果、図11の結果が得られ、圧力40MPaでプレノール及びプレナールの転化率は88%であり、収率はZ−シトラール(保持時間5.5分、m/z152)32%、E−シトラール(保持時間5.8分、m/z152)40%であり、合計でシトラールが最大収率72%で得られた。
以上の実施例から、超臨界水と微量の縮合剤を用いた場合、シトラールが高収率で合成可能であることが明らかとなった。また、縮合剤として塩化リチウムを添加した場合、得られる水溶液は塩析により、シトラールを含む油分と原料を含む水分が明確に分離し、シトラールの分離操作もFlorentineフラスコのような静置分離型の簡単な装置で連続的に分離が可能であることが分かった。
以上詳述したように、本発明は、高温高圧流体を反応溶媒として、プレノール及びプレナールから無触媒及び/又は微量の縮合剤の添加で、シトラールを合成する方法及びその反応組成物に係るものであり、従来法では、プレナールとプレノールからシトラールの合成は酸や縮合剤を用いる2〜3段階のプロセスで慎重に実施する必要があったが、本発明で示した、超臨界流体を用いることで、触媒無添加及び/又は微量の縮合剤の添加で、一段階で高速にシトラールを合成することが可能となった。このことは、香料原料や医薬品原料として有用なシトラールを短時間で、大量に生産できるというメリットをもたらす。また、合成プロセスが一段階に圧縮されることで、合成行程プロセスの初期コスト及びランニングコストを圧縮することが可能である。更に、中和処理の後処理が全くなく、シトラールの分離操作もFlorentineフラスコのような静置分離型の簡単な装置で連続的に分離が可能であり、環境調和型生産が可能となる。本発明は、香料原料や医薬品原料として有用なシトラールの新しい大量生産プロセスとして、既存の生産プロセスに代替し得るものである。
過酸化ベンゾイルを用いる合成法を示す。 リン酸触媒を用いる3段階合成法を示す。 塩化リチウムを用いる2段階合成法を示す。 高温高圧赤外フロ−セルを示す。 実施例で用いた流通型高温高圧流体その場赤外分光測定装置を示す。 窓なし高温高圧フローセルを示す。 実施例で用いた流通式高温高圧反応装置の主要部分を示す。 実施例における無触媒、触媒添加効果を示す。 実施例における温度効果を示す。 実施例における圧力効果を示す。 実施例におけるプレナールに対するプレノールの濃度効果を示す。
符号の説明
1 ティ−又はクロス(片側口φ4mmネジ切り)
2 φ4mm×5.0mm六角ネジ
3 ワンリングフェラル付オネジ
4 SUS316チュ−ブ
5 水送液ポンプ
6 反応物送液ポンプ
7 洗浄水送液ポンプ
8 冷却フランジ(冷却水が循環する)
9 水加熱コイル
10 反応物導入管(急速昇温法)
11 温度センサ
12 温度センサ−シ−ス
13 炉体
14 高温高圧フロ−セル(通常昇温ではティ−型、急速昇温ではクロス型)
15 ZnSe窓
16 溶媒導入管
17 排出配管
18 背圧弁
21 水溶液
22 洗浄水
23 水溶液ポンプ
24 洗浄用純水送液ポンプ
25 炉体加熱システム
26 炉体
27 高温高圧赤外フロ−セル
28 冷却水(入口)
29 冷却水(出口)
30 背圧弁
31 排出水溶液受器
32 可動鏡
33 可動鏡
34 干渉計
35 光源
36 赤外レ−ザ−
37 MCT受光器
38 TGS受光器
39 解析モニタ−

Claims (6)

  1. アリルアルコール化合物とアリルアルデヒド化合物からモノテルペン類を合成する方法において、高温高圧状態の亜臨界ないし超臨界流体である亜臨界水ないし超臨界水を反応溶媒として使用し、触無添加あるいは触媒として縮合剤(酸触媒又は塩基触媒を除く)添加して、アリルアルコール化合物とアリルアルデヒド化合物から1段階の合成反応でモノテルペン類を選択的に合成することを特徴とするモノテルペン類の製造方法。
  2. プレノールとプレナールからシトラールを合成する方法において、高温高圧状態の亜臨界ないし超臨界水を反応溶媒として使用する、請求項1記載の方法。
  3. 高温高圧状態の亜臨界ないし超臨界水を反応溶媒として使用し、触無添加あるいは触媒として縮合剤(酸触媒又は塩基触媒を除く)添加して、プレノールとプレナールから1段階の合成反応でシトラールを選択的に合成する請求項2記載の方法。
  4. 縮合剤として、塩化リチウム、臭化リチウム、又はヨウ化リチウムを用いる請求項1又は2記載の方法。
  5. 温度100〜400℃、圧力0.1〜40MPaの亜臨界ないし超臨界水を反応溶媒として使用する請求項2記載の方法。
  6. 流通式高温高圧装置に、基質及び反応溶媒を導入し、反応時間を3〜60秒の範囲で変化させることで合成反応を実施する請求項2記載の方法。
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