JP4784609B2 - 電子デバイス用基板 - Google Patents

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Description

本発明は、発光ダイオードやレーザーダイオード等に適用される電子デバイス用基板およびその製造方法に関し、詳しくは、含窒素III−V族化合物半導体層を備える窒化物半導体装置などに適用される基板およびその製造方法に関する。
窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)、窒化アルミニウム・ガリウム(AlGaN)、あるいはこれらの混晶などのIII−V族窒化物半導体は、電界効果型トランジスタ、LED(発光ダイオード)、レーザーダイオード等の窒化物半導体装置の構成材料として利用されている。特に最近では、たとえば、日経エレクトロニクスno.674,p.79(1996)に示されるように、このような窒化物半導体の積層構造からなり、青色、緑色等の短波長光を発光するLEDが注目されている。
GaN薄膜を用いた半導体素子では、薄膜を形成するための基板材料として、一般にサファイアが用いられている。しかし、サファイアはGaNと格子定数および熱膨張係数が大きく異なるため、基板とGaN薄膜との界面からGaN薄膜側に転位が導入されたり、GaN結晶が応力により変形を受けたりし、良質な結晶が得られないという問題がある。また、サファイア基板は劈開面を出して割ることが難しく、レーザーダイオードを作製する場合に端面の形成が難しいという問題がある。また、サファイア基板はSi等の半導体基板と比べると高価であり、表面平坦性が悪いなどの問題もある。
窒化物半導体装置に最も適する基板は、その上に形成する窒化物結晶薄膜と結晶構造および格子定数が一致し、かつ熱膨張係数が同等のものである。例えば、GaNからなるエピタキシャル薄膜を利用して半導体素子を作製する場合、GaNの単結晶基板を用いれば、高品質のGaNエピタキシャル薄膜を成長させることができるので、特性の高い半導体装置が得られる。この場合のGaN単結晶基板は、その表面が(0001)面となっている必要がある。
しかし、AlN、GaN、InNなどの窒化物バルク単結晶は、数立方ミリメートル程度のものしか得られていない。すなわち、窒化物バルク単結晶では、サファイア基板を代替するような面積10cm2以上のウエハを製造することは不可能である。
一方、サファイアに比べ安価なSiを、GaN系半導体素子用基板として用いることも検討されている。しかし、SiとGaNとは、格子定数差、熱膨張係数差、格子構造の違いが大きいため、Si単結晶基板の上に良質のGaN薄膜を形成することはやはり難しかった。
GaN等の窒化物半導体層の結晶性を向上させるための提案として、例えば特開平9−45960号公報には、Si基板上にZnOバッファ層を介してInGaAlN層を設けることが記載されている。同公報では、Si基板上にZnOバッファ層をスパッタ法等により直接形成している。しかし、本発明者らの実験では、Si基板上にZnOバッファ層を単結晶膜(本明細書におけるエピタキシャル膜)として形成することは実質的に不可能であり、結晶性および表面性に優れた膜とすることができないことがわかった。このため、このようなZnOバッファ層上には、良好な結晶性を有する窒化物半導体層を形成することはできない。
また、特開平8−264894号公報には、SiやSiC基板上に、CaxMg1-x2(0≦x≦1)層およびMgtCa3-t2(0≦t≦3)層の少なくとも一方を形成し、この上にGayInzAl1-y-zN(0≦y,z≦1)層を形成した半導体素子が記載されている。同公報では、表面の平坦性が高いSiやSiC等を用いることができ、かつ良質のGaInAlN層を形成できることを効果としている。しかし、本発明者らの実験によれば、Si基板上に形成したCaxMg1-x2層やMgtCa3-t2層は、結晶性および表面性が不十分であることがわかった。このため、これらの層の上には、良好な結晶性を有する窒化物半導体層を形成することはできない。
また、Si基板上にGaN層を形成する際に、バッファ層としてAlN層やSiC層を利用することも知られている[J.Cryst.Growth 128,391(1993)およびJ.Cryst.Growth 115,634(1991)]。しかし、本発明者らの実験によれば、Si基板上に直接形成したAlN層やSiC層は、結晶性および表面性が不十分であることがわかった。このため、これらの層の上には、良好な結晶性を有する窒化物半導体層を形成することはできない。
一方、これらに対し本発明者らは、特願平8−264894号においてSi基板上に、高品質の窒化物エピタキシャル膜を得る方法を提案している。
しかし、サファイア基板やSi単結晶基板などを用いる方法では、いずれの方法においても基板とその上に成長する窒化物半導体薄膜との間に格子定数差や熱膨張係数差が存在するため、基板と窒化物半導体薄膜との間にバッファ層を挟んだとしても窒化物半導体薄膜中に応力が発生してしまう。この応力は、窒化物半導体薄膜のエピタキシャル成長の妨げとなり、また窒化物半導体薄膜の電気的特性を不安定にする要因となってしまう。
上述したように、基板上にGaN等の窒化物半導体薄膜を有し、LEDやレーザーダイオードに適用される窒化物半導体装置では、最も理想的な基板はAlN、GaN、InNなどの窒化物単結晶ウエハである。また、窒化物バルク単結晶ウエハは、圧電性、高熱伝導性などの各種物性が優れるという特徴があるため、その特徴を利用して、SAW(弾性表面波)素子用の基板、IC用のヒートシンク基板にも好適である。しかし、現在のところ窒化物バルク単結晶は大面積化が不可能であるため、これらの電子デバイスの基板としては実用化されていない。
本発明はこのような事情からなされたものである。本発明の目的は、AlN、GaN、InNなどの窒化物バルク単結晶ウエハと同等の特性を有し、かつ、電子デバイスの製造に適用可能な大面積の基板を提供することである。
このような目的は、下記(1)〜(12)のいずれかにより達成される。
(1)Al、GaおよびInから選択される少なくとも1種とNとを主成分とし、ウルツァイト型構造を有する窒化物結晶を有する窒化物薄膜から構成され、前記窒化物結晶の(0001)面が、前記窒化物薄膜表面に平行となるように単一配向しており、面積が10cm2以上である電子デバイス用基板。
(2)上記(1)の電子デバイス用基板の一方の面側に、希土類元素(ScおよびYを含む)の酸化物および/または酸化ジルコニウムから構成されるエピタキシャル膜であるバッファ層が存在する電子デバイス用基板。
(3)上記(1)または(2)の電子デバイス用基板の一方の面の一部に、Siからなる支持部材が存在する電子デバイス用基板。
(4)上記(1)または(2)の電子デバイス用基板の一方の面に、補強板を張り付けたものである電子デバイス用基板。
(5)上記(1)または(2)の電子デバイス用基板の一方の面に、前記窒化物薄膜の自立性を補強するための補強膜を形成したものである電子デバイス用基板。
(6)前記補強膜が、Al、GaおよびInから選択される少なくとも1種とNとを主成分とし、多結晶またはアモルファスである上記(5)の電子デバイス用基板。
(7)前記窒化物薄膜がエピタキシャル膜である上記(1)〜(6)のいずれかの電子デバイス用基板。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかの電子デバイス用基板を製造する方法であって、表面がSi単結晶から構成される支持基板の表面に、希土類元素の酸化物および/または酸化ジルコニウムから構成されるエピタキシャル膜であるバッファ層を形成し、このバッファ層表面に前記窒化物薄膜を成長させた後、支持基板の少なくとも一部または支持基板とバッファ層との少なくとも一部を除去する工程を有する電子デバイス用基板の製造方法。
(9)支持基板がSi(100)面を表面に有するものであり、バッファ層が(111)配向である上記(8)の電子デバイス用基板の製造方法。
(10)支持基板がSi(111)面を表面に有するものであり、バッファ層が(111)配向である上記(8)の電子デバイス用基板の製造方法。
(11)支持基板の少なくとも一部、または支持基板とバッファ層との少なくとも一部を除去する際に、研磨またはエッチングを利用する上記(8)〜(10)のいずれかの電子デバイス用基板の製造方法。
(12)前記窒化物薄膜をスパッタリング法により成長させる上記(8)〜(11)のいずれかの電子デバイス用基板の製造方法。
本発明では、Si基板上に、高結晶性を有し、表面平坦性に優れる薄膜(後述するR−Zr系酸化物薄膜)の形成が可能なこと、また、この薄膜の結晶構造および格子定数が窒化物薄膜に近似していることに着目し、まず、表面がSi単結晶からなる支持基板の上に前記薄膜を形成し、これをバッファ層として、その上に窒化物薄膜を形成する。このようにして得られた窒化物薄膜は、高結晶性であり、表面平坦性が良好である。
次に、支持基板を取り除くか、支持基板とバッファ層とを取り除くことにより、窒化物薄膜、またはこれとバッファ層との積層膜を得、これを電子デバイス用基板として利用する。
このようにして作製された電子デバイス用基板は、その上に窒化物半導体薄膜をエピタキシャル成長させる際に、窒化物バルク単結晶基板と同等の効果を示す。また、この電子デバイス用基板は、窒化物バルク単結晶基板と同等の電気的特性や熱伝導性を示す。しかも、窒化物単結晶バルク体では前述したように大面積のものは得られないが、本発明では、支持基板として用いるSi単結晶ウエハと同等の大面積の窒化物単結晶基板が得られる。また、支持基板として用いるSi単結晶は、単結晶のなかで最も安価であるため、本発明では高性能の電子デバイスを安価に提供できる。
本発明の電子デバイス用基板は、高品質のLED、レーザーなどの窒化物半導体素子用の基板として理想的な特性を示す。また、窒化物半導体素子用としてばかりでなく、AlN、GaN、InN等の窒化物の物性、例えば、圧電性、高熱伝導性など特徴のある特性を利用した電子デバイス、たとえばSAW素子用の基板、IC用のヒートシンク基板にも好適である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の電子デバイス用基板は、少なくとも表面がSi単結晶である支持基板表面上にバッファ層を形成し、このバッファ層上に、窒化物薄膜を形成した後、支持基板またはこれとバッファ層とを取り去ることにより、製造される。
窒化物薄膜形成のためのバッファ層には、後述するR−Zr系酸化物薄膜を用いる。
本発明におけるバッファ層と窒化物薄膜とのように、2層の薄膜を連続して形成する場合、下地となる薄膜(下地薄膜)とその上に成長する薄膜(成長薄膜)との間の格子の不整合度は、ミスマッチ度で表される。例えば、下地薄膜構成材料のバルク体の格子定数をdsubとし、成長薄膜構成材料のバルク体の格子定数をdepiとすれば、ミスマッチ度δ(単位:%)は、
δ(%)=[(depi−dsub)/dsub]×100
で表される。成長薄膜の格子定数が下地薄膜のそれより大きければ、δは正の値となる。一方、δが負の場合、下地薄膜の格子定数が成長薄膜のそれよりも大きいことを意味している。δ=0である場合には、下地薄膜と成長薄膜との格子が一致している、すなわち格子が整合していることを意味している。δの符号にかかわらず、δの値が大きいほど格子不整合度が大きく、格子不整合に起因する歪みや欠陥等が結晶に導入されやすくなるので、好ましくない。
従来、GaN薄膜等のGaInAlN系窒化物薄膜を形成するための基板としては、上述したようにサファイア基板が一般的である。しかし、サファイアc面の上に(0001)配向のGaNが成長する場合、エピタキシャル成長時の両結晶の関係は、サファイア[0001]/GaN[0001]かつサファイア[1000]/GaN[−1010]となり、また、サファイアc面内の格子定数(a軸の格子定数)は0.476nm、GaN(0001)面内の格子定数(a軸の格子定数)は0.316nmなので、ミスマッチ度δは
(31/2×0.316)/0.476−1、
すなわち、+15.0%と大きくなる。
これに対し、本発明において窒化物薄膜と接するR−Zr系酸化物薄膜の構成材料、例えばZrO2にYを添加した安定化ジルコニア(YSZ)結晶は、立方晶であってそのa軸の格子定数が0.5204nmなので、図6に示すように(111)面内の格子定数は0.3680nmとなる。この格子はGaN(0001)面内の格子と整合し、そのときのδは−14.1%であり、サファイア基板を用いた場合に対しミスマッチ度が改善される。また、YSZに替えてYb23、Lu23、Sc23を用いれば、(111)面内の格子定数はそれぞれ0.3679nm、0.3674nm、0.3481nmとなり、GaN(0001)面とのマッチングはさらに良好となる。
このように本発明では、従来用いられているサファイア基板との組み合わせに比べ格子不整合度が小さくなり、したがって、結晶性の高い窒化物薄膜が得られる。
次に、各薄膜について説明する。
R−Zr系酸化物薄膜
本発明においてバッファ層として用いられるR−Zr系酸化物薄膜は、希土類元素(ScおよびYを含む)の酸化物および/または酸化ジルコニウムを主成分とするエピタキシャル膜である。
希土類元素の酸化物は、Yb23、Tm23、Er23、Y23、Ho23、Gd23、Dy23、Tb23、Pr23、Nd23、CeO2、Eu23、Sm23、La23、Sc23およびLu23の1種からなるか、これらの2種以上を含む固溶体から構成されることが好ましく、これらのうちでは特に、Yb23、Tm23、Er23、Y23、Ho23、Tb23、Sc23およびLu23の1種からなるか、これらの2種以上を含む固溶体から構成されることが好ましい。希土類元素を2種以上含むとき、その比率は任意である。なお、これらの酸化物は、化学量論組成から偏倚していてもよい。
酸化ジルコニウムは、組成が実質的にZrO2であることが好ましいが、化学量論組成から偏倚していてもよい。
R−Zr系酸化物薄膜が希土類元素酸化物と酸化ジルコニウムとの固溶体である場合、固溶比率は任意である。ただし、表面平坦性を良好にするためには、R−Zr系酸化物薄膜を、実質的に希土類元素酸化物から構成するか、実質的に酸化ジルコニウムから構成することが好ましい。また、酸化ジルコニウムを主成分とする場合、酸化ジルコニウムの純度が高いほど絶縁抵抗も高くなり、リーク電流も小さくなることから、絶縁特性を必要とする場合には好ましい。酸化ジルコニウムを主成分とする場合には、薄膜中の酸素を除く構成元素中におけるZrの比率は、好ましくは93mol%超、より好ましくは95mol%以上、さらに好ましくは98mol%以上、最も好ましくは99.5mol%以上である。高純度の酸化ジルコニウム薄膜において、酸素およびZrを除く構成元素は、通常、希土類元素やPなどである。なお、Zrの比率の上限は、現在のところ99.99mol%程度である。また、現在の高純度化技術ではZrO2とHfO2との分離は難しいので、ZrO2の純度は、通常、Zr+Hfでの純度を指している。したがって、本明細書におけるZrO2の純度は、HfとZrとを同元素とみなして算出された値であるが、HfO2は本発明におけるR−Zr系酸化物薄膜においてZrO2と全く同様に機能するため、問題はない。
R−Zr系酸化物薄膜には、特性改善のために添加物を導入してもよい。例えば、CaやMgなどのアルカリ土類元素をドーピングすると、膜のピンホールが減少し、リークを抑制することができる。また、AlおよびSiは、膜の抵抗率を向上させる効果がある。さらに、Mn、Fe、Co、Niなどの遷移元素は、膜中において不純物による準位(トラップ準位)を形成することができ、この準位を利用することにより導電性の制御が可能になる。
R−Zr系酸化物薄膜は、その上に形成される窒化物薄膜との間で、格子定数を好ましくマッチングさせることにより、結晶性の高い窒化物薄膜を形成する役割を果たす。窒化物薄膜は六方晶系の結晶から構成されるため、R−Zr系酸化物薄膜は、(111)配向のエピタキシャル膜から構成される。
なお、希土類元素酸化物薄膜は、Si(111)基板上に形成する場合でもSi(100)基板上に形成する場合でも(111)配向となるため、この場合には支持基板が(100)配向であってもよい。これに対し酸化ジルコニウム薄膜は、Si(111)基板上では(111)配向となるが、Si(100)基板上では(001)配向となるので、この場合には(111)配向の支持基板を用いる。
なお、本明細書におけるエピタキシャル膜は、まず、単一配向膜である必要がある。本明細書における単一配向膜とは、X線回折による測定を行ったとき、目的とする面以外のものの反射のピーク強度が目的とする面の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下である膜である。例えば、(111)単一配向膜は、膜の2θ−θX線回折で(LLL)面以外の反射ピークの強度が、(LLL)面反射の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下の膜である。なお、本明細書において(LLL)は、(111)や(222)などの等価な面を総称する表示である。また、例えば六方晶系の結晶における(0001)単一配向膜、すなわちc面単一配向膜は、(000L)面以外の反射ピークの強度が、(000L)面反射の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下の膜である。なお、(000L)は、(0001)や(0002)などの等価な面を総称する表示である。
そして、本明細書におけるエピタキシャル膜とは、上記単一配向膜において、膜面内をX−Y面とし、膜厚方向をZ軸としたとき、結晶がX軸、Y軸およびZ軸方向にともに揃って配向しているものである。このような配向は、RHEED評価でスポットまたはストリークパターンを示すことで確認できる。なお、RHEEDとは、反射高速電子線回折(Reflection High Energy Electron Diffraction)であり、RHEED評価は、膜面内における結晶軸の配向の指標である。
なお、RHEED像がストリークであって、しかもシャープである場合、各層の結晶性および表面平坦性が優れていることを意味する。
結晶性の高い窒化物薄膜を形成するためには、R−Zr系酸化物薄膜は、結晶性および表面平坦性に優れるものであることが好ましい。具体的には、R−Zr系酸化物薄膜、あるいはこれを構成する各薄膜は、X線回折による(111)面の反射のロッキングカーブの半値幅が1.50°以下となる程度の結晶性を有していることが好ましい。また、R−Zr系酸化物薄膜の表面性を、AFM(原子間力顕微鏡)により測定される表面粗さRz(十点平均粗さ、基準長さ500nm)で表したとき、Rzは、好ましくは2nm以下、より好ましくは0.60nm以下である。なお、このような表面粗さは、表面の好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の領域で実現していることが望ましい。上記表面粗さは、基板全面にわたって各層を形成したときに、面積10cm2以上の領域にわたって平均に分布した任意の10箇所以上を測定しての値である。本明細書において、薄膜表面の例えば80%以上でRzが2nm以下であるとは、上記のように10箇所以上を測定したときにその80%以上の箇所でRzが2nm以下であることを意味する。なお、表面粗さRzは、JIS B 0610に規定されている。
R−Zr系酸化物薄膜におけるロッキングカーブの半値幅およびRzの下限値は特になく、小さいほど好ましいが、現在のところ、ロッキングカーブの半値幅の下限値は、一般に0.7°程度、特に0.4°程度、Rzの下限値は0.10nm程度である。
R−Zr系酸化物薄膜の好ましい厚さは、好ましくは5〜500nm、より好ましくは10〜50nmである。R−Zr系酸化物薄膜は、その結晶性、表面性、絶縁性を損なわない程度に薄いことが好ましい。
なお、R−Zr系酸化物薄膜は、組成の異なる2種以上の薄膜を積層したものであってもよく、厚さ方向において組成が徐々に変化する傾斜構造膜であってもよい。
窒化物薄膜
窒化物薄膜は、Al、GaおよびInから選択される少なくとも1種とNとを主成分とし、好ましくは、実質的にGaxInyAl1-x-yN(0≦x≦1、0≦x+y≦1)で表される組成を有する。具体的組成は、適用される電子デバイスに応じ、必要とされる特性に合致するように決定すればよい。例えば、窒化物薄膜の組成を制御することにより、格子定数および熱膨張係数を調整することが可能なので、適用される電子デバイス中において窒化物薄膜上に成長させる必要のあるエピタキシャル膜に応じ、窒化物薄膜の組成を決定すればよい。
窒化物薄膜は、ウルツァイト型の結晶構造を有する窒化物から構成される(0001)単一配向膜であることが好ましく、エピタキシャル膜であることがより好ましい。
窒化物薄膜は、絶縁基板として用いることもでき、n型やp型の半導体基板として用いることもできる。半導体基板として用いる場合には、例えばSiやMgなど、GaxInyAl1-x-yNの半導体化において公知のドーピング元素を添加すればよい。
窒化物薄膜を支持基板上に直接形成せずに前記バッファ層を介して形成するのは、窒化物薄膜を支持基板表面に直接形成すると、エピタキシャル成長しないからである。
窒化物薄膜は、結晶性および表面平坦性に優れるものであることが好ましい。具体的には、窒化物薄膜は、X線回折による(0001)面の反射のロッキングカーブの半値幅が2.50°以下となる程度の結晶性を有していることが好ましい。また、窒化物薄膜上に結晶性の高い窒化物半導体薄膜を形成するためには、窒化物薄膜の表面平坦性が良好であることが好ましい。窒化物薄膜の表面平坦性を、AFM(原子間力顕微鏡)により測定される表面粗さRz(十点平均粗さ、基準長さ500nm)で表したとき、Rzは、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下である。なお、このような表面粗さは、表面の好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の領域で実現していることが望ましい。上記表面粗さは、基板全面にわたって各層を形成したときに、面積10cm2以上の領域にわたって平均に分布した任意の10箇所以上を測定しての値である。
窒化物薄膜におけるロッキングカーブの半値幅およびRzの下限値は特になく、小さいほど好ましいが、現在のところ、ロッキングカーブの半値幅の下限値は、一般に0.9°程度、Rzの下限値は0.10nm程度である。
なお、表面平坦性を向上させるために、各薄膜の表面を研磨してもよい。研磨には、研磨溶液に、アルカリ溶液等を用いる化学的研磨、コロイダルシリカ等を用いる機械的研磨、化学的研磨と機械的研磨との併用などを利用すればよい。
窒化物薄膜の厚さは、好ましくは0.1〜300μm、より好ましくは1〜100μmである。窒化物薄膜が薄すぎると、支持基板を取り除いた後の取り扱いが困難となり、自立膜とできないこともある。一方、窒化物薄膜が厚すぎると、応力が発生しやすくなり、また、形成時間も長くなりすぎる。
なお、窒化物薄膜が薄い場合(例えば10μm未満である場合)、窒化物薄膜表面に補強板を張り付けることにより、ハンドリング性、電気的特性、構造的特性等の向上を図ることが可能である。補強板には、窒化物薄膜に応力を生じさせないもの、具体的には、熱膨張係数が窒化物薄膜と同等であるか近似し、かつ表面平坦性の良好なもの、例えば平滑なガラス板などを用いることが好ましい。窒化物薄膜を補強板に固定する方法は、窒化物薄膜に応力を生じさせないものであれば特に限定されない。固定には例えば接着剤を用いてもよいが、補強板の表面性が良好であれば、窒化物薄膜を載せるだけで補強板に密着して固定される。
また、ガラス板等の補強板を接着する構成のほか、窒化物薄膜上に、窒化物薄膜の自立性を補強するための膜(以下、補強膜という)を形成する構成としてもよい。補強膜は、窒化物薄膜の応力発生を抑えるために熱膨張係数のマッチング等を考慮して、窒化物薄膜と同一または類似の組成の窒化物から構成することが好ましい。ただし、補強膜には高結晶性は要求されないので、単結晶である必要はなく、多結晶膜やアモルファス膜でよい。したがって、補強膜は、室温付近で形成でき、また、膜形成速度を高くすることができる。補強膜の厚さは、十分な補強効果が得られるように適宜決定すればよく、窒化物薄膜の厚さなどによっても好ましい範囲は異なるが、例えば50〜1000μm、好ましくは100〜500μmの範囲から選択すればよい。
なお、電子デバイス用基板としての窒化物薄膜は、組成の異なる2種以上の薄膜を積層したものであってもよく、厚さ方向において組成が徐々に変化する傾斜構造膜であってもよい。例えば、支持基板に対する格子整合性が相対的に良好な窒化物からなる薄膜と、窒化物半導体薄膜に対する格子整合性が相対的に良好な窒化物からなる薄膜とを積層し、2層構造の窒化物薄膜としてもよい。
支持基板
支持基板には、Si単結晶を表面に有するものを用いる。支持基板の少なくとも表面は、Si単結晶の(111)面または(100)面から構成されていることが好ましく、(111)面から構成されていることがより好ましい。
薄膜形成方法
バッファ層の形成方法は特に限定されないが、好ましくは、本出願人による特開平8−109099号公報に記載された方法に準じて蒸着法を用いる。
窒化物薄膜の形成方法は特に限定されないが、スパッタリング法やMOVPE(有機金属気相成長)法を用いることが好ましく、特に、スパッタリング法を用いることが好ましい。MOVPE法では基板温度を1000℃程度と高くする必要があるが、本発明者らの実験によれば、スパッタリング法では基板温度600℃程度で高結晶性の窒化物薄膜の形成が可能である。また、支持基板を取り去って窒化物薄膜を自立膜とするためには、窒化物薄膜の内部応力を小さくする必要があるが、スパッタリング法はMOVPE法と異なり、薄膜の内部応力を多種類の条件、例えばガス圧、基板−ターゲット間距離、入力パワーなどによって自在に制御できるので、内部応力を小さくすることが容易である。
本発明では、支持基板と同等の面積をもつ電子デバイス用基板が得られるので、支持基板として大面積のSi単結晶ウエハ、例えば面積10cm2以上のSi単結晶ウエハを用いることにより、10cm2以上の大面積の電子デバイス用基板を作製することができる。Si単結晶はサファイアに比べて著しく安価であるため、サファイア基板を用いる場合に比べ製造コストを著しく低くできる。現状の半導体製造プロセスは、2〜8インチのSi単結晶ウエハ、特に6インチタイプを用いたものが主流であるが、本発明はこれに対応が可能である。なお、マスク等を用いて、ウエハの一部だけに窒化物薄膜を形成する構成としてもよい。
支持基板の除去方法
支持基板を除去する方法としては、例えば、支持基板を研磨する方法、化学的にウエットエッチングする方法、真空中でドライエッチングする方法、これらの方法を組み合わせて用いる方法などが好ましい。研磨には、研磨溶液としてアルカリ溶液等を用いる化学的研磨、コロイダルシリカ等を用いる機械的研磨、化学的研磨と機械的研磨とを併用する方法などを用いればよい。
なお、エッチングの際に、フォトレジスト層やSiO2層などからなる保護パターンを形成しておくことにより、支持基板の一部を選択的に取り去る選択エッチングが可能である。したがって、窒化物薄膜が比較的薄い場合に、支持基板の一部を残して構造的な補強部材として利用することができる。例えば、支持基板を選択エッチングしたり、いわゆるマイクロマシーニング加工したりすることにより、目的とするデバイスに適した任意の基板構造を得ることができる。なお、支持基板の除去は、どの段階で行ってもよい。例えば、デバイスの種類によっては、窒化物薄膜上に素子を作り込んだ後で支持基板を取り去る構成としてもよい。
支持基板の除去により得られた電子デバイス用基板では、通常、支持基板と反対側の面を、窒化物半導体薄膜等をエピタキシャル成長させる面として用いる。
窒化物半導体装置
本発明の電子デバイス用基板を利用した窒化物半導体装置の具体的用途は特に限定されず、窒化物半導体薄膜の高結晶性および平坦性を利用した各種用途に好ましく適用できる。具体的には、例えば、1層の窒化物半導体薄膜上にショットキー電極を形成してショットキーダイオードを構成したり、複数の窒化物半導体薄膜を設けてpn接合を形成し、ダイオードやトランジスタを構成したり、さらに活性層を設けて発光ダイオードを構成したり、共振構造としてレーザーダイオードを構成したりすることができる。
以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1
まず、支持基板上に、バッファ層としてZrO2薄膜を形成した。ZrO2薄膜の形成は、本出願人による特開平8−109099号公報に記載された方法に準じて、以下の手順で行った。
支持基板には、その表面が(111)面となるように切断して鏡面研磨したSi単結晶ウエハ(直径2インチの円形、厚さ300μm)を用いた。研磨表面は、40%フッ化アンモニウム水溶液によりエッチング洗浄した。次に、図1に示す蒸着装置1を用い、その真空槽1a内に設置された回転軸4およびモータ5を有する回転手段と、ヒータ6を有する加熱手段とを備えた基板ホルダ3に、支持基板2を固定し、真空槽内を10-6Torrまで油拡散ポンプにより排気した。次に、支持基板2の洗浄面をSi酸化物により保護するために、まず、基板を20rpmで回転させ、酸化性ガス供給装置7の酸化性ガス供給ノズル8から、酸素を支持基板2表面付近に25cc/分の割合で導入しながら、600℃に加熱した。これにより熱酸化が生じて、支持基板2表面に厚さ約1nmのSi酸化物層が形成された。
次いで、支持基板を900℃に加熱し、20rpmで回転させると共にノズルから酸素ガスを25cc/分の割合で導入しながら、Zr蒸発部9から金属Zrを蒸発させて基板表面に供給した。これにより、前工程で形成したSi酸化物層の還元とZrO2薄膜(バッファ層)の形成とを行った。このZrO2薄膜の厚さは、10nmとした。
このZrO2薄膜についてX線回折を行ったところ、ZrO2の(111)ピークが明瞭に観察され、単一配向性の高結晶性の膜であることがわかった。この(111)反射のロッキングカーブの半値幅は0.7°(支持基板からの反射を含む実測値)であり、配向性に優れることも確認できた。また、このZrO2薄膜を、RHEEDにより評価した結果、この薄膜表面の回折パターンは完全にストリークであった。この完全にストリークであるパターンは、このZrO2薄膜が結晶性、表面性に優れたエピタキシャル膜であることを示している。また、この薄膜表面のほぼ全体にわたる10箇所において、JIS B 0610による十点平均粗さRz(基準長さL:500nm)を測定したところ、平均で0.80nm、最大で1.00nm、最小で0.08nmであり、分子レベルで平坦であることが確認された。
なお、図1に示す希土類元素蒸発部10から希土類元素を蒸発させることにより、ZrO2薄膜に替えて希土類元素酸化物薄膜を形成し、同様に結晶性と表面性とを評価したところ、ZrO2薄膜と同等の結果が得られた。ただし、ZrO2と希土類元素酸化物との固溶体からなる薄膜を形成した場合には、表面性がやや悪くなった。また、ZrO2薄膜およびYSZ(Yにより安定化したジルコニウム)薄膜の抵抗率を測定した結果、ZrO2薄膜はYSZ薄膜に比べ5倍の高抵抗を示し、絶縁性に優れることが確認された。
次に、ZrO2薄膜上に、窒化物薄膜として厚さ20μmのAlN薄膜を形成した。AlN薄膜の形成は、N2ガス雰囲気中におけるRFマグネトロンスパッタリング法により行った。ターゲットにはAlを用い、基板温度は600℃、N2ガス圧は0.25Pa、RFパワーは300Wとした。
このAlN薄膜についてX線回折を行ったところ、AlNの(0002)ピークが明瞭に観察され、単一配向性のウルツァイト型の高結晶性の膜であることがわかった。この(0002)反射のロッキングカーブの半値幅は1.9°であり、配向性に優れることも確認できた。このAlN薄膜をRHEEDにより評価した。RHEEDにおける回折パターンは、支持基板を面内において回転させると、図2のパターンと図3のパターンとが回転角30°ごとに交互に現れるものであった。これらのパターンから、このAlN薄膜は、エピタキシャル膜であることがわかる。この薄膜表面のほぼ全体にわたる10箇所において、JIS B 0610による十点平均粗さRz(基準長さL:500nm)を測定したところ、平均で2.5nm、最大で5nm、最小で1.0nmであり、平坦であることが確認された。
次に、ウエットエッチングにより支持基板を取り去った。具体的には、AlN薄膜表面をフォトレジスト層で保護した後、KOH溶液に投入することにより支持基板を溶解して取り去った。これにより、自立性を有するAlN薄膜からなる電子デバイス用基板が得られた。
実施例2
表面が(100)面となるように切断、鏡面研磨したSi単結晶(直径2インチの円形、厚さ300μm)からなる支持基板(100)と、表面が(111)面となるように切断、鏡面研磨したSi単結晶(直径2インチ、厚さ300μm)からなる支持基板(111)とを準備し、これらの支持基板の表面を、40%フッ化アンモニウム水溶液によりエッチング洗浄した。これらの支持基板を用いて、
1.支持基板、
2.バッファ層(Lu23薄膜)、
3.窒化物(GaN)薄膜
の順で薄膜が積層された膜構造体を、以下の手順で作製した。
まず、実施例1と同様にして支持基板表面にSi酸化物層を形成し、次いで、Zrの替わりにLuを用いたほかは実施例1と同様にして、Lu23薄膜を形成した。Lu23薄膜の厚さは、10nmとした。
Lu23薄膜についてX線回折を行ったところ、支持基板(100)を用いた場合にはLu23薄膜の希土類C型構造の(222)ピークが明瞭に観察され、強く配向したLu23結晶膜が得られたことが確認された。また、支持基板(111)を用いた場合にも同様に(222)ピークが明瞭に観察され、支持基板の結晶構造、対称性を反映した方位に強く配向したLu23結晶膜が得られたことが確認された。
また、各支持基板上のLu23薄膜をRHEEDにより評価した。この結果、回折パターンはシャープなストリーク状であり、これらの薄膜がエピタキシャル膜であってその表面が原子レベルで平坦であることが確認された。また、これらのLu23薄膜表面のほぼ全体にわたる10箇所において、JIS B 0610による十点平均粗さRz(基準長さL:500nm)を測定したところ、支持基板(100)上のLu23(111)薄膜では、平均で0.70nm、最大で0.95nm、最小で0.10nmであり、支持基板(111)上のLu23(111)薄膜では、平均で0.80nm、最大で1.00nm、最小で0.08nmであり、いずれも分子レベルで平坦であった。
次に、各Lu23(111)薄膜上に、(0001)GaN薄膜を100μmの厚さに形成した。形成にはRFマグネトロンスパッタリング法を用い、反応性ガスとして窒素を、ターゲットとしてGaを用いた。基板温度は600℃とした。
支持基板(111)上に形成したGaN薄膜についてX線回折を行ったところ、GaNの(0002)ピークが明瞭に観察され、単一配向性のウルツァイト型の高結晶性の膜であることがわかった。この(0002)反射のロッキングカーブの半値幅は1.3°であり、配向性に優れることも確認できた。このGaN薄膜を、RHEEDにより評価した。RHEEDにおける回折パターンは、支持基板を面内において回転させると、図4のパターンと図5のパターンとが回転角30°ごとに交互に現れるものであった。これらのパターンから、このGaN薄膜は、エピタキシャル膜であることがわかる。この薄膜表面のほぼ全体にわたる10箇所において、JIS B 0610による十点平均粗さRz(基準長さL:500nm)を測定したところ、平均で0.9nm、最大で1.5nm、最小で0.5nmであり、平坦であることが確認された。
なお、支持基板(100)上に形成したGaN薄膜についても、X線回折、RHEEDおよび表面平坦性の評価において同様な結果が得られた。
次に、コロイダルシリカを用いた機械的研磨により支持基板を厚さ20μmまで研削し、続いて、ウエットエッチングにより支持基板の残部とLu23薄膜とを取り去り、自立性を有するGaN薄膜からなる電子デバイス用基板を得た。
実施例3
支持基板(111)を用い、GaN薄膜の厚さを400nmとしたほかは実施例2と同様にして、支持基板、バッファ層および窒化物薄膜からなる膜構造体を得た。
この膜構造体の窒化物薄膜上に、補強膜として厚さ200μmのGaN膜を形成した。補強膜の形成には、窒化物薄膜と同様にRFマグネトロンスパッタリング法を用いた。スパッタリングの際の条件は、補強膜に応力が生じないように選択した。具体的には、基板(膜構造体)温度を室温とし、RFパワーを1kWとし、スパッタ雰囲気をAr+N2(N2:20%)とした。得られた補強膜は、面内に垂直にc軸が配向した多結晶膜であった。
次に、実施例2と同様にして支持基板を厚さ20μmまで研削し、続いてウエットエッチングにより支持基板の残部を取り去った。さらに、ArイオンエッチングによりLu23薄膜を完全に除去し、補強膜と窒化物薄膜との積層体からなる自立膜を得た。なお、Lu23薄膜を除去する際に、窒化物薄膜も厚さ約50nmにわたって除去された。補強膜を形成しなかった場合には窒化物薄膜を自立膜とすることは不可能であった。
本発明の電子デバイス用基板の製造に用いられる蒸着装置の一例を示す図である。 結晶構造を示す図面代用写真であって、Si(111)支持基板/ZrO2(111)薄膜構造上に形成したAlN薄膜のRHEEDパターンである。 結晶構造を示す図面代用写真であって、Si(111)支持基板/ZrO2(111)薄膜構造上に形成したAlN薄膜のRHEEDパターンであり、電子線の入射方向を、支持基板面内において図2に対し30°回転させた方向とした場合のものである。 結晶構造を示す図面代用写真であって、Si(111)支持基板/Lu23(111)薄膜構造上に形成したGaN薄膜のRHEEDパターンである。 結晶構造を示す図面代用写真であって、Si(111)支持基板/Lu23(111)薄膜構造上に形成したGaN薄膜のRHEEDパターンであり、電子線の入射方向を、支持基板面内において図4に対し30°回転させた方向とした場合のものである。 YSZ立方晶の格子定数を説明するための模式図である。
符号の説明
1 蒸着装置
1a 真空槽
2 支持基板
3 ホルダ
4 回転軸
5 モータ
6 ヒータ
7 酸化性ガス供給装置
8 酸化性ガス供給ノズル
9 Zr蒸発部
10 希土類元素蒸発部

Claims (2)

  1. Al、GaおよびInから選択される少なくとも1種とNとを主成分とし、ウルツァイト型構造を有する窒化物結晶を有する窒化物薄膜から構成され、前記窒化物結晶の(0001)面が、前記窒化物薄膜表面に平行となるように単一配向している電子デバイス用基板であって、
    前記電子デバイス用基板の一方の面の一部に、表面がSi単結晶から構成される支持基板が存在し、
    前記支持基板の前記窒化物薄膜側の表面に、希土類元素(ScおよびYを含む)の酸化物または酸化ジルコニウムから構成される(111)配向のエピタキシャル膜であるバッファ層が形成されている、
    電子デバイス用基板。
  2. 前記窒化物薄膜がエピタキシャル膜である請求項1の電子デバイス用基板。
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