JP4784019B2 - 高比重複合糸 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高比重と高強度を兼ね備えた産業資材用途に適した複合糸に関し、海洋環境汚染の問題もなく、製編性、耐久性に優れた漁網用に好適な複合糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、漁網、漁業用ロープ等に代表される水産用資材として耐水性、耐腐食性、強力、耐摩耗性、耐久性等の点で天然繊維製品に比して優れた性質を示す合成樹脂繊維製品が利用されてきた。しかしながら、天然繊維製品に比して含水率が低く、比重が比較的小さいために海水中での沈降性および潮流に対する保形性が不満足であり、その利用に多くの制約を受ける問題を有していた。
【0003】
このような問題点を克服する種々の提案がなされてきたが、最も注目される技術は、繊維やロープ類それ自体の比重を増大させて水中への沈降性を増すことである。繊維やロ一プ類自体の比重を増大させるための手段として、金属鉛やその化合物を繊維に練り込む技術があるが、金属鉛化合物等を使用した場合、繊維製造工程や加工工程においてガイドとの摩擦で繊維から脱落したり、漁網として使用中に海水に溶出して鉛公害の問題が発生する可能性があった。さらに使用済の漁網を廃棄する場合においても、廃棄後に鉛を含む有害成分が残るなど同様の公害問題が発生する可能性があり、安易には廃棄処分できないという問題があった。一方鉛化合物を使用しない手段として、たとえば比較的比重の大きい塩化ビニリデン系繊維が使用されてきたが、製網技術の発達に伴って高速製網に安定して供し得るような高強度の繊維が要求されるようになり、塩化ビニリデン系繊維では強度不足という問題が生じてきた。また、塩化ビニリデン系繊維からなる漁網も焼却時には塩化水素ガスが発生するため、焼却処理が困難であるという問題を抱えている。このように、高比重のみならず、高強度、無公害性、耐摩耗性なども要求されるようになってきている。
【0004】
このような要求に対しても種々の提案がなされている。具体的な例としては、(1) 合成フィラメント中に亜鉛、鉛等の高比重粉末を均一分散させてなる繊維(たとえば、特公昭51−37378号公報、特開昭56−61936号公報、特開昭61−613号公報)、(2) 低軟化点樹脂中に高比重粉末を混合分散し、この混合物をさらに強度付与のための樹脂と混合してなる繊維(たとえば、特公昭57−20407号公報)、(3) 低軟化点樹脂と高比重粉末の混合物を芯層とし、強度付与の樹脂を鞘層とする有芯型繊維(たとえば、特開昭58−4819号公報)等が挙げられる。
しかしながら、上記提案に於いても、十分ではなく、高比重と耐摩耗性といった相反する性能を両立させる方法が見いだせていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高沈降性と製網加工上問題のない十分な繊維強度を兼ね備え、かつ製編性もよく、網、ロープとして使用しても優れた耐久性、耐候性を有する高比重複合糸を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、以下の1〜6のとおりである。
1.無機繊維と有機合成繊維とが複合されてなり、比重が1.5以上であることを特徴とする高比重複合糸。
2.前記有機合成繊維が、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系から選ばれる少なくとも一種以上の有機合成繊維であることを特徴とする前記1に記載の高比重複合糸。
3.前記無機繊維と有機合成繊維とが合撚によって複合されていることを特徴とする前記1または2に記載の高比重糸。
4.前記無機繊維を芯糸とし、前記有機合成繊維が鞘糸としてカバリングされていることを特徴とする前記1または2に記載の高比重複合糸。
5.強度が3.8g/dtex以上であることを特徴とする1〜4のいずれかに記載の高比重複合糸。
6.前記無機繊維が鉱物繊維であることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の高比重複合糸。
本発明は、上記のように、比較的比重の高い無機繊維を用い、その周囲に比較的柔軟である有機合成繊維を配することにより、耐摩耗性に優れる特徴を有する高比重複合糸を提供できるのである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高比重複合糸は、比較的高比重な無機繊維を使用することを特徴とする。比較的高比重な無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、鉱物から得られる繊維、石綿、より高比重な繊維としてステンレス・スチール繊維等があげられる。この中で特にフィラメントとして得られる無機繊維の方が強力が高く、好ましい。
【0008】
これらの無機繊維は、単独で使用すると高比重性は満たされるが、無機繊維であるために表面硬度が硬く、製編時にガイド等を傷付け、製編性を低下させ欠点がある。このような欠点を防ぐために、本発明では、比較的柔軟である有機合成繊維と複合するのである。
【0009】
本発明で複合される有機合成繊維としては、特に制限されないが、伸度を有し、高強力であることが好ましい。この点から、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系などの繊維が選ばれる。これらの中で、比重を考慮に入れると、ポリエステル系繊維を用いることが好ましい。
【0010】
無機繊維と有機合成繊維との複合法は、引き揃え法でも構わないが、合撚法、あるいはカバリング法を用いると、繊維としての一体性が高まるため、より好ましい。
【0011】
合撚する場合、ターン数はできるだけ低い方が好ましい。伸度の低い無機繊維はターン数が多くなることにより強力低下を起こし好ましくない。用いる繊維の繊度が太くなるほど、低いターン数を選択すべきであるが、実用上、好ましいターン数は、100T/m以下、より好ましくは60T/m以下である。
【0012】
カバリングを行う場合は、特に大きな制限はない。芯糸である無機繊維が座屈せず、無機繊維と有機繊維の一体性が高まればよい。その意味から好ましいカバリングターン数は100T/m以下、より好ましくは60T/m以下である。
【0013】
糸の強度としては3.8g/dtex以上必要である。3.8g/dtex未満の場合、その糸単独で漁網、ロープとして使用すると、破網、切断が生じやすく好ましく無い。好ましくは4.2g/dtex以上、より好ましくは4.4g/dtex以上である。
【0014】
本発明で得られた複合糸を、数本、数十本単位でまとめて、撚糸、あるいは製紐を行い、ロープとして使用することが出来る。また、編、織組織によりシート状物を形成し、ネットとして使用しても良い。本発明の糸は特に高比重であるため、水産用途のロープネットとして好適である。
【0015】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性、評価は次のようにして求めた。
【0016】
(1)原糸強伸度;オリエンテック社製テンシロン引張試験機を使用して、試料長100mm、引張速度100mm/minで測定した。
【0017】
(2)比重;比重瓶を使用し、見かけ密度を測定した。
【0018】
(3)製編性;得られた複合糸をプラスチック製ピンに張力0.55g/dtex、巻き付け角度90゜で接触させつつ、走行速度150m/minで20000m走行させた。走行後、プラスチック製ピンにアルミ蒸着を施し、その実態顕微鏡で傷の量の目視判定を行った。ランク付けは下記のようである。
1・・・・傷が全く認められない
2・・・・かすかに傷が認められるが、きわめて微量である
3・・・・少量の傷が認められる
4・・・・多量の傷が認められる
ランク1、2であれば実用上差し支えない。
【0019】
[参考例1]スチール繊維とナイロン繊維を35:65(質量比)で引き揃え、複合糸とした。この複合糸の比重は1.6、強度は5.7g/dtexであった。この複合糸の製編性を調べた結果は、ランク2であり、製編性が良好である。比重、強度、製編性が好ましいことから、本実施例は水産用資材として好ましいことが分かる。
【0020】
[参考例2]ガラス繊維とポリエステル繊維とを40:60(質量比)で50T/mとなるよう合撚することにより、複合糸とした。この複合糸の比重は1.6、強度は、5.3g/dtexであった。この複合糸の製編性を調べた結果は、ランク2であり、製編性も良好である。比重、強度、製編性が好ましいことから、本実施例は水産用資材として好ましいことが分かる。
【0021】
[実施例1]鉱物繊維として玄武岩から得られた繊維(バサルト繊維)とポリエステル繊維とを50:50(質量比)で40T/mとなるよう合撚することにより、複合糸とした。この複合糸の比重は1.7、強度は、5.2g/dtexであった。この複合糸の製編性を調べた結果は、ランク2であり、製編性も良好である。比重、強度、製編性が好ましいことから、本実施例は水産用資材として好ましいことが分かる。
【0022】
[実施例2]鉱物繊維として玄武岩から得られた繊維(バサルト繊維)を芯糸に、ポリエステル繊維を鞘糸に用いた、カバリング糸を作成した。カバリングターン数は、75T/m繊維比率は50:50(質量比)である。この複合糸の比重は1.7、強度は、5.6g/dtexであった。この複合糸の製編性を調べた結果は、ランク1であり、製編性も良好である。比重、強度、製編性が好ましいことから、本実施例は水産用資材として好ましいことが分かる。
【0023】
[比較例1]
スチール繊維単体での適性を調べた。その結果、比重は好ましいものの、強度が不足し、製編性のランクは、3であった。これらの結果から、スチール繊維単体では、強度の割には重くなりすぎ、また、製編性も悪いので好ましくない。
【0024】
[比較例2]
鉱物繊維として玄武岩から得られた繊維(バサルト繊維)とポリエステル繊維とを10:90(質量比)で40T/mとなるよう合撚することにより、複合糸とした。この複合糸の比重は1.3、強度は、6.3g/dtexであった。この複合糸の製編性を調べた結果は、ランクは1であった。強度、製編性は良好であるものの比重が不足し、水産用用途としては好ましくなかった。
【0025】
【発明の効果】
本発明の高比重糸は、産業資材用途、特に漁網、海洋ロープ等の水産用資材に要求される沈降性と高強度を満たすことができる。また、製編性、さらには耐久性にも優れているため、長期間使用でき、海洋汚染等の心配も少ない優れた高比重糸を提供することが出来る。
Claims (5)
- 鉱物繊維からなる無機繊維と有機合成繊維とが質量比で40:60〜50:50で合糸あるいはカバリングにより複合されてなり、比重が1.5以上であることを特徴とする高比重複合糸。
- 前記有機合成繊維が、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系から選ばれる少なくとも一種以上の有機合成繊維であることを特徴とする請求項1記載の高比重複合糸。
- 強度が3.8g/dtex以上であることを特徴とする請求項1、2のいずれかに記載の高比重複合糸。
- 請求項1〜3いずれか1項に記載の高比重複合糸を用いた漁網。
- 請求項1〜3いずれか1項に記載の高比重複合糸を用いたロープ。
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