JP4781549B2 - 不飽和カルバ糖アミン誘導体及びそれを用いるグリコシダーゼ阻害剤 - Google Patents

不飽和カルバ糖アミン誘導体及びそれを用いるグリコシダーゼ阻害剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリコシダーゼを阻害する活性を有する擬似糖である、不飽和カルバ糖の誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ピラノース環の酸素原子をメチレン基、窒素、イオウなどで置換した擬似糖は、真糖との類似性から糖質分解酵素(グリコシダーゼ)の活性を阻害することが知られている(Acc.Chem.Res.,1993, 26, 182-190.、Bioorg. Med. Chem. Lett., 1996,6, 1989-1992)。例えば1-デオキシフコノジリマイシンは、イオウにより置換をしたチオ糖に分類される擬似糖であるが、強力なα-L-フコシダーゼ阻害活性を示すことが知られている(G.W.Fleet, A.N.Shaw, S.V.Evans, L.E.Fellows, J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1985, 841-842、H.Paulson, M.Matzke, B.Ortheb, R.Nuck, W.Reutter, Justus Liebigs Ann. Chem. 1990, 953-963)。
【0003】
グリコシダーゼの活性は、様々な疾病との関わりがあることが知られている。例えば、ガン細胞においてグリコシダーゼの一種であるフコシダーゼは細胞外マトリックスを形成する複合糖質を分解し、それによりガン細胞は組織への浸潤を開始することが分知られている。従って、ガン細胞のフコシダーゼを阻害することは、ガン細胞の組織浸潤を防ぐことにもなる(R.J. Bernacki, M.J.Niedbala, W.Korytnyk, Cancer and Metastasis Rev. 1985, 4, 81-102)。そのため、グリコシダーゼの阻害剤は、ガンやHIVの他、様々な疾患の治療薬として利用することができる可能性を有している。
【0004】
一方、バリダミンは農業用の抗生物質であるバリダマイシン類の構成成分の一つであり、α−グルコシダーゼ活性を阻害することが知られている(Horii, S., J, Antibiot. (1971)24, 59-63, Kameda, N., ibid. 1984, 37,1301-1307)。そして、不飽和型のバリダミンであるバリエナミンは、バリダミンと比して高いグルコシダーゼ阻害活性が知られている。また、バリダミンをモデルとして調製されたフコ型バリダミンである5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミンが、α-L-フコシダーゼに対し、従来知られていたフコシダーゼ阻害剤と比してより強力な阻害活性を有することが知られている(Ogawa, S., Sekura, R., Maruyama, A., Yuasa, H., and Hashimoto, H., Eur. J. Org. Chem.(2000), 2089-2093)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
グリコシダーゼ阻害剤は、疾病の治療薬としての可能性が高く、これまでに種々のグリコシダーゼ阻害剤が知られているが、更に強力なグリコシダーゼ阻害剤が期待されている。特に、ガンやHIVに対する有用な治療薬として利用可能な強い阻害活性を有するフコシダーゼ阻害物質が期待されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来得られていたグリコシダーゼ阻害剤よりも更に強力な阻害剤を得るべく、鋭意探索した結果、驚くべきことに特定の不飽和脂環式炭化水素型のカルバ糖アミン、特にバリエナミン型カルバフコピラノシルアミン誘導体がα-L-フコシダーゼに対する強力な阻害活性を有することを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明の要旨は以下の通りである。
【0008】
1: 下記一般式(1)で示される不飽和カルバ糖アミン誘導体。
【0009】
【化6】
Figure 0004781549
【0010】
但し、R1はH、アルキル基、アシル基、アリール基又はアラルキル基であり、R2、R3及びR4はそれぞれ独立してH又はヒドロキシル基の保護基であり、R5はアルキル基である。
【0011】
2: 下記一般式(2)で示される不飽和カルバ糖アミン誘導体。
【0012】
【化7】
Figure 0004781549
【0013】
但し、Y及びZはいずれか一方がNHR1、他方がHを示し、R1はH、アルキル基、アシル基、アリール基又はアラルキル基であり、R2、R3及びR4はそれぞれ独立してH又はヒドロキシル基の保護基であり、R5はアルキル基である。
【0014】
3: R1、R2、R3及びR4がそれぞれHであり、R5が炭素数が1〜10の低級アルキル基である1又は2に記載の不飽和カルバ糖アミン誘導体。
【0015】
4: 1〜3いずれかに記載の不飽和カルバ糖アミン誘導体を含むグリコシダーゼ阻害剤。
【0016】
5: 1〜3いずれかに記載の不飽和カルバ糖アミン誘導体を含むフコシダーゼ阻害剤。
【0017】
6: 下記一般式(3)で表されるハロゲン化不飽和カルバ糖誘導体。
【0018】
【化8】
Figure 0004781549
【0019】
但し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はヒドロキシル基の保護基を示し、R5は炭素数1〜10の低級アルキル基を示し、Xはハロゲンを示す。
【0020】
7: 下記一般式(3)で表されるハロゲン化不飽和カルバ糖誘導体のXをアジドに置換した後、該アジドを還元し、アミノ基とすることを特徴とする、下記一般式(4)で表される不飽和カルバ糖アミン誘導体の製造法。
【0021】
【化9】
Figure 0004781549
【0022】
【化10】
Figure 0004781549
【0023】
但し、R2、R3及びR4はそれぞれ独立にH又はヒドロキシル基の保護基を示し、R5は炭素数1〜10の低級アルキル基を示し、Xはハロゲンを示し、Y'及びZ'はいずれか一方がアミノ基であり、他方がHを示す。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより具体的に詳述する。
(1)本発明物質
本発明物質は、下記一般式(1)で示される化合物である。
【0025】
【化11】
Figure 0004781549
【0026】
上記一般式で表される化合物の立体構造は特に限定はされないが、特にL-フコピラノシルアミンの擬似糖である下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
【0027】
【化12】
Figure 0004781549
【0028】
尚、Y及びZは、いずれか一方がNHR1であり、他方がHを示す。また、R1はH又は置換基を示し、Hであることが好ましいが、これに限定はされない。
【0029】
R1が置換基であるときは、該置換基としてはアルキル基、アシル基、アリール基、又はアラルキル基であることが好ましく、特にアルキル基又はアシル基が好ましい。上記アルキル基としては例えば炭素数1〜18の直鎖又は分枝を有するアルキル基が挙げられ、炭素数1〜10の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などが特に好ましい。また、上記アシル基としては例えば炭素数2〜18のアルカノイル基又は炭素数6〜19のアロイル基が例示され、前者としては例えばアセチル基、パルミトイル基、後者としては例えばベンゾイル基などが例示される。
【0030】
また、上記一般式でR2、R3及びR4はそれぞれ独立してH又はヒドロキシル基の保護基であり、特にヒドロキシル基の保護基としては例えばアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基等)、シリル基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基等)、アルカノイル基(アセチル基、ブチリル基等)、アロイル基(ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基等)オキシメチル基(メトキシメチル(MOM)基、ベンジルオキシメチル(BOM)基等)等、一般にヒドロキシル基の保護に使用される保護基が挙げられ、その中でも特にMOM基であることが好ましいが、これに限定はされない。
【0031】
本発明においてR5はアルキル基であればいずれの長さのものであってもよいが、具体的には炭素数1〜15が例示され、特に低級アルキル基(炭素数1〜10)であることが好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
【0032】
尚、本明細書においては、上記一般式(2)中、YがNHR1である構造を真糖のアノマーの命名法になぞらえて便宜上α型(α)とし、ZがNHR1である構造を便宜上β型(β)と記載する。
【0033】
NHR1で示されるアミノ基又は置換アミノ基はα型、β型のいずれであってもよいが、特にα-L-フコシダーゼ阻害剤として使用する場合は、一般式(2)においてR5がメチル基であり、β型であることが好ましい。
【0034】
本発明物質は、グリコシダーゼ、その中でも特にフコシダーゼに対する阻害活性が高いため、in vitro又はin vivo(細胞、組織など)において、これらの酵素を阻害するための試薬及びこのような阻害に基づく医薬として使用することが可能である。
【0035】
上記医薬は、グリコシダーゼ、特にフコシダーゼの活性の阻害が望まれる疾病の処置(治療、予防、症状の改善)のためにヒトを含む動物に適用される医薬に使用することができる。上記医薬は、錠剤、カプセル剤、液剤、注射剤、顆粒剤、散剤、リポ化剤、吸入散剤等、経口投与や注射等投与ルート、目的、対象等に応じて、製剤化することができる。上記医薬中の本発明物質の濃度は特に限定はされないが、0.1〜5%(W/V)とするのが好ましい。例えば上記医薬を経口投与用の液剤とする場合には、0.5%(W/V)以上とすることが好ましく、1%(W/V)以上とすることが好ましい。また、筋注又は静注用の注射剤とする場合には、0.05%(W/V)以上とすることが好ましく、0.1%(W/V)以上とすることが最も好ましい。
【0036】
上記医薬の製剤化は、公知の方法を用いることができる。また製剤化に当たり、本発明物質又はその薬学的に許容される塩に悪影響を与えず、且つ本発明物質が有する阻害活性に影響を与えない限りにおいて、他の医薬活性成分や、慣用の安定化剤、乳化剤、崩壊剤等、通常医薬に用いられる成分を用いることができる。
【0037】
(2)本発明物質の調製方法
一般式(4)で示される本発明物質は、下記一般式(3)のハロゲン化不飽和カルバ糖誘導体を合成した後、該カルバ糖誘導体のXをアジドに置換し、該アジドを還元してアミノ基とし、必要に応じてR2、R3又はR4の保護基を脱保護することで、調製することが可能である。
【0038】
【化13】
Figure 0004781549
【0039】
【化14】
Figure 0004781549
【0040】
尚、一般式(3)及び(4)中、R2、R3、R4、及びR5は上述したものと同じであり、Xはハロゲン(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、Y'及びZ'はいずれか一方はアミノ基を示し、他方は水素(H)を示す。
【0041】
例えば一般式(2)の化合物の一つである化合物14は以下の調製法により得ることができる。すなわち、既に確立されたディールズアルダー反応で得られるエンド付加体(図3、化合物1)をブロモラクトン等のハロゲン化ラクトンに導き、つづいて水素化アルミニウムリチウムで還元、アセチル化することにより化合物3とし、20%臭化水素-酢酸による封管反応にて得られるトリブロモ体(化合物4)を重要な合成中間体として調製できる。トリブロモ体から一度エポキシ環を形成させた(化合物5)後、酸性条件下で環を開裂することにより、ジブロモ体(化合物6)に導き、脱ブロム化してジエン体(化合物7)が得られる。化合物7に対し、必要に応じて保護基の変換を行った後、ブロム化を行い、1,4-付加体であるジブロム体の混合物(化合物9,10)とし、ジブロム体を水素化ホウ素ナトリウムで処理することにより、デオキシ体 (化合物11)へ導き、アジド基の導入、還元を行ってバリエナミン型カルバフコシルアミンの保護体(化合物13)が得られる。
【0042】
本発明物質のうち一般式(2)においてR1が置換基(アルキル基、アシル基、アリール基、又はアラルキル基)である化合物は、ヒドロキシル基が適当な保護基によって保護されたバリエナミン型カルバフコシルアミン(一般式(2)においてR1がHである化合物)のアミノ基へ置換基R1を導入した後、必要に応じて脱保護することにより得られる。上記保護基としては、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基等)、シリル基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、TIPS基、TBDPS基等)、アルカノイル基(アセチル基、ブチリル基等)、アロイル基(ベンゾイル基、トリオイル基、ナフトイル基等)、オキシメチル基(MOM基、BOM基等)等が例示されるが、取り扱い及び脱離の容易さの観点から、ベンジル基及びアセチル基、MOM基を用いることが好ましい。
【0043】
上記一般式(2)においてR1がHある化合物のアミノ基に置換基R1を導入する方法としては、R1がアルキル基又はアラルキル基である場合は、R1'CHO(R1'はR1であるアルキル基又はアラルキル基の末端のCH2を除いた残除の構造を示す、R1'-CH2-=R1)で示されるアルデヒド化合物(R1'-CHO)と反応させた後、還元する方法が挙げられる(図1)。ここで還元反応に使用する還元剤は水素化シアノホウ素ナトリウムや水素化ホウ素ナトリウムが例示される。
【0044】
一方、R1がアシル基の場合、パルミトイルクロリドのようなアシル基の反応性誘導体(ハロゲン化アシル化合物、酸無水物など)を反応させることによりアミド結合を形成させることができる(図2)。このようにして調製された本発明物質は、例えばシリカゲルクロマトグラフィーなどの吸着クロマトグラフィーにより単離することができる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に詳説する。
試験法1(薄層クロマトグラフィー:TLC)
市販のシリカゲル(Silica gel 60 F254:Merck社製)を使用し、検出は紫外線(254nm)、リンモリブデン酸呈色(10%エタノール溶液を使用)、及びニンヒドリン呈色により行った。
試験法2(核磁気共鳴スペクトル:1H-NMR)
JEOL GSX-270 (270MHz)及びJEOL GSX-300 (300MHz)を用いて行った。測定は重クロロホルムにより行い、テトラメチルシラン(TMS)又は重水を内部標準として使用した。
【0046】
実施例1
<1>原料化合物(化合物7)の合成
【0047】
【化15】
Figure 0004781549
【0048】
有機合成化学,1985,48,1, 26-39に記載された方法に従い、原料化合物となる化合物7を以下の方法に従って調製した。
【0049】
出発物質としてフランとアクリル酸のディールズアルダー反応により得られるエンド付加体(化合物1)を使用した。化合物1の水溶液に、炭酸水素ナトリウムを氷冷下で徐々に添加し、更に臭素を滴下した後、室温で3時間反応させて化合物2を得た。化合物2を水素化リチウムアルミニウムで還元し、続くピリジン中無水酢酸を用いたアセチル化により化合物3とし、20%臭化水素−酢酸による封管反応(80℃、20時間)にてトリブロモ体(化合物4)を得た(図3)。
【0050】
化合物4をメタノール中で、ナトリウムメトキシドを用いて室温で5時間反応させ、続いて常法に従って無水酢酸を用いてアセチル化してアンヒドロ体(化合物5)とした。更に化合物5をアセトン-硫酸を用いて60℃で6時間反応させ、その後ピリジン中無水酢酸と室温で一晩反応させてアセチル化して、化合物6を得、化合物6をヘキサメチルホスホルアミド中で酢酸ナトリウムにより120℃で2時間反応させ、化合物7を得た(図4)。
【0051】
<2>本発明物質の合成
(1)化合物8の合成
【0052】
【化16】
Figure 0004781549
【0053】
化合物7(0.38g/1.42mmol)をメタノール1.9mlに溶解し、0℃でナトリウムメトキシド0.38mlを添加し、その後室温で4時間撹拌した。TLC上で新たな生成物(Rf=0.37/メタノール:クロロホルム=1:5)の生成と原料の消失を確認し、アンバーライトH+(商品名)で中和して、トルエン共沸しその後エタノールで共沸した。得られた残渣をジクロロメタン5.5mlに溶解し、0℃でN,N-ジイソプロピルエチルアミン5.3ml(24当量)とクロロメトキシメタン1.2ml(12当量)を添加し、40℃で3.5時間撹拌した。TLC上で生成物(Rf=0.46/アセトン:ヘキサン=1:5(×2))の生成と原料の消失を確認し、反応系をクロロホルム90mlで希釈し、水30mlで3回洗浄して芒硝乾燥した。得られた残渣をシリカゲル(片山化学製シリカゲル60K070、28g、酢酸エチル:トルエン=1:6)による吸着クロマトグラフィーで精製し、化合物8を無色透明のシロップとして得た(図5a)。
【0054】
化合物8
Rf=0.46(アセトン:ヘキサン=1:5(×2))
1H-NMR(300MHz, CDCl3
δ(ppm)
6.15 (1H, d, J1,2=9.8Hz, H-1)
5.79 (1H, d, J1,2=9.8Hz, H-2)
5.19 (2H, s, H-6a, H-6b)
4.80-4.67 (each 1H, m, -OCH 2 CH3×3)
4.48 (2H, m, H-3, H-5)
3.89 (1H, d, H-4)
3.43-3.41 (9H, m, -OCH2CH 3 ×3)
【0055】
(2)化合物9及び10の合成
【0056】
【化17】
Figure 0004781549
【0057】
化合物8を四塩化炭素4.45mlに溶解し、0℃で臭素の四塩化炭素溶液0.5ml(Br2 0.2ml、CCl4 1.43ml)を滴下して室温で10分間撹拌した。TLC上で生成物の精製を確認し、反応系に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を300μl滴下して臭素をクエンチした。クロロホルム60mlで希釈し、水20mlで3回洗浄した後、芒硝乾燥した。得られた残渣をシリカゲル(片山化学製シリカゲル60K070、35g、酢酸エチル:ヘキサン=1:7)で精製し、化合物9及び化合物10を得た(図5b)。
【0058】
化合物9
収量 0.25g
収率 48%
Rf=0.64(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)
1H-NMR(300MHz、CDCl3
δ(ppm)
6.01 (1H, d, =3.4Hz, H-5a)
4.91, 4.88 (each 1H, ABq, Jgem=6.6Hz, -OCH 2 CH3)
4.83, 4.81 (each 1H, ABq, Jgem=6.3Hz, -OCH 2 CH3)
4.79, 4.77 (each 1H, ABq, Jgem=6.3Hz, -OCH 2 CH3)
4.56 (1H, dd, J1,5a=3.4Hz, J1,2=6.6Hz, H-1)
4.43 (1H, d, J3,4=3.2Hz, H-4)
4.36 (1H, dd, J1,2=6.6Hz, J2,3=9.6Hz, H-2)
4.22 (1H, ABq, Jgem=10.3Hz, -CH2Br)
3.97 (1H, ABq, Jgem=10.3Hz, -CH2Br)
3.74 (1H, dd, J2,3=9.6Hz, J3,4=3.2Hz H-3)
3.50 (3H, s, -OCH2CH 3 )
3.44 (3H, s, -OCH2CH 3 )
3.42 (3H, s, -OCH2CH 3 )
【0059】
化合物10
収量 0.11g
収率 21%
Rf=0.52(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)
1H-NMR(300MHz、CDCl3
δ(ppm)
6.04 (1H, d, H-5a)
4.94, 4.92 (each 1H, ABq, Jgem=6.1Hz, -OCH 2 CH3)
4.87, 4.85 (each 1H, ABq, Jgem=6.8Hz, -OCH 2 CH3)
4.77, 4.75 (each 1H, ABq, Jgem=6.6Hz, -OCH 2 CH3)
4.55 (1H, d, H-1)
4.22 (1H, d, Jgem=10.3Hz, -CH2Br)
4.13 (1H, dd, H-4)
3.99 (2H, dd, J2,3=9.2Hz, H-2, H-3)
3.93 (1H, d, Jgem=10.3Hz, -CH2Br)
3.47-3.43 (9H, m, -OCH2CH 3 ×3)
【0060】
(3)化合物11の合成
【0061】
【化18】
Figure 0004781549
【0062】
化合物9(30.4mg/0.0700mmol)をヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)1.0mlに溶解し、0℃で水素化ホウ素ナトリウム1.32mg(0.5当量)を加え、室温で1.5時間撹拌した。TLC上で生成物の生成を確認し、原料の消失を待たずに反応系を30mlの酢酸エチルで希釈し、水10mlで3回洗浄して、芒硝乾燥した。得られた残渣をシリカゲル(片山化学製シリカゲル60K070、35g、酢酸エチル:トルエン=1:6(×2))で、化合物10(Rf=0.24:酢酸エチル:トルエン=1:6(×2))と化合物11をそれぞれ無色透明のシロップとして得た(図6a)。
【0063】
化合物11
Rf=0.41(酢酸エチル:トルエン=1:6(×2))
収量14.2mg
収率57.0%
α型:β型=1:1
α型(化合物11α)
1H-NMR(300MHz, CDCl3)
δ(ppm)
5.72-5.70 (1H, m, H-5a)
5.00-4.69 (6H, m, -OCH 2 CH3×3)
4.94-4.91 (1H, m, H-1)
4.18 (1H, d, H-4)
4.02-3.94 (2H, m, H-2, H-3)
3.47-3.42 (9H, m, -OCH2CH 3 ×3)
1.87 (3H, s, CH 3 )
【0064】
β型(化合物11β)
1H-NMR(300MHz, CDCl3)
δ(ppm)
5.63 (1H, dd, H-5a)
5.00-4.69 (6H, m, -OCH 2 CH3×3)
4.54 (1H, d, H-1)
4.34 (1H, dd, J2,3=10.0Hz, H-2)
4.05 (1H, d, J3,4=3.1Hz, H-4)
3.69 (1H, dd, J2,3=10.0Hz, J3,4=3.1Hz, H-3)
3.47-3.42 (9H, m, -CH2CH 3 ×3)
1.61 (3H, s, CH 3 )
【0065】
(4)化合物12の合成
【0066】
【化19】
Figure 0004781549
【0067】
化合物11(30.0mg/84.5μl)をN、N-ジメチルホルムアミド1.0mlに溶解し、0℃でアジ化ナトリウム8.24mg(1.5当量)を加えて室温で2時間撹拌した。TLC上で生成物を確認し、反応物を酢酸エチル30mlで希釈し、水10mlで3回洗浄した後、芒硝乾燥した。得られた残渣をシリカゲル(和光純薬工業株式会社ワコーゲルC-300、2g、酢酸エチル:トルエン=1:12)を用いた吸着クロマトグラフィーで精製して化合物12を得た(図6b)。
【0068】
化合物12
Rf=0.46(酢酸エチル:トルエン=1:4)
α型:β型=1:2
α型(化合物12α)
1H-NMR(300MHz, CDCl3)
δ(ppm)
5.37 (1H, m, H-5a)
4.83, 4.85 (each 1H, ABq Jgem=7.1Hz, -OCH 2 CH3)
4.69, 4.71 (each 1H, ABq, Jgem=6.3Hz, -OCH 2 CH3)
4.60, 4.63 (each 1H, ABq, Jgem=7.1Hz, -OCH 2 CH3)
4.13 (1H, d, H-4)
3.97-4.03 (2H, m, H-2)
3.78 (1H, m, H-3)
3.65-3.70 (1H, m, H-1)
3.33-3,41 (9H, m, -CH2CH 3 ×3)
1.80 (3H, bs, -CH 3 )
【0069】
β型(化合物12β)
1H-NMR(300MHz, CDCl3)
δ(ppm)
5.45 (1H, m, H-5a)
4.83, 4.85 (each 1H, ABq Jgem=7.1Hz, -OCH 2 CH3)
4.69, 4.71 (each 1H, ABq, Jgem=6.3Hz, -OCH 2 CH3)
4.60, 4.63 (each 1H, ABq, Jgem=7.1Hz, -OCH 2 CH3)
4.13 (1H, d, H-1)
3.97-4.03 (2H, m, H-3)
3.78 (1H, m, H-4)
3.65-3.70 (1H, m, H-2)
3.33-3,41 (9H, m, -CH2CH 3 ×3)
1.80 (3H, bs, -CH 3 )
【0070】
(5)化合物13の合成
【0071】
【化20】
Figure 0004781549
【0072】
化合物12(26.4mg/83.1μl)をテトラヒドロフラン(9%H2O)1.1mlに溶解し、0℃でトリフェニルホスフィン32.7mg(1.5当量)を加え、室温に戻してその後60℃で4時間撹拌した。TLC上で生成物の生成を確認し、反応系を放冷した。エタノールで共沸し、得られた残渣をシリカゲル(和光純薬工業株式会社ワコーゲルC-300、1.5g、酢酸エチル:トルエン=1:8)を用いた吸着クロマトグラフィーで化合物13を精製した(図7a)。
【0073】
α型(化合物13α)
Rf=0.63(メタノール:クロロホルム=1:4)
β型(化合物13β)
Rf=0.44(メタノール:クロロホルム=1:4)
【0074】
(7)化合物14(本発明物質)の合成
【0075】
【化21】
Figure 0004781549
【0076】
化合物13をテトラヒドロフランに溶解し、4Nの塩酸水溶液を加え、60℃で撹拌した。TLC上で生成物の生成と原料の消失を確認し、放冷してエタノールと共沸した。得られた残渣を樹脂カラム(ダウエックス50H+:Dow chemical製)で化合物14を精製した。
【0077】
α型(化合物14α)
1H-NMR(300MHz, D2O)
δ(ppm)
5.36 (1H, d, J1,5a=1.3Hz, H-5a)
3.97 (1H, d, J3,4=4.1Hz, H-4)
3.81(1H, dd, J2,3=9.6Hz, H-2)
3.73 (1H, dd, J2,3=9.6Hz, J3,4=4.1Hz, H-3)
3.49 (1H, m, H-1)
β型(化合物14β)
1H-NMR(300MHz, D2O)
δ(ppm)
5.23 (1H, d, J1,5a=1.2Hz, H-5a)
3.90 (1H, d, J3,4=4.0Hz, H-4)
3.41(1H, dd, J2,3=10.9Hz, J3,4=4.0Hz, H-3)
3.27 (1H, t, J1,2=8.5Hz, J2,3=10.9Hz, H-2)
3.04 (1H, m, J1,2=8.5Hz, J1,5a=1.2Hz, H-1)
1.63 (3H, s, -CH3)
【0078】
実施例2
フコシダーゼ阻害活性の測定
各本発明物質の阻害活性をEur. J. Org. Chem. 2000, 2089-2093に記載された方法によって本発明物質のフコシダーゼ阻害活性を測定した。すなわちp-ニトロフェニル α-L-フコピラノシド(0.54-1.37μM)、α-フコシダーゼ(ウシ腎臓由来、1.3ng)、BSA(38μg)、および被検物質の混合物を17μMクエン酸バッファー(pH6.0, 45μl)中で25℃、20分間反応させた後、50mMグリシンバッファー(pH10.1、90μl)を加え、400nmの吸光度を測定することにより酵素活性を測定した。その結果、化合物14のβ体は、α-L-フコシダーゼに対するKi値は12μMを示し、α-L-フコシダーゼに対して阻害活性を示すことが明かとなった。
【0079】
【発明の効果】
有用なグリコシダーゼ阻害剤が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 不飽和カルバフコシルアミンのアミノ基へのアルキル基又はアラルキル基の導入を説明する図である。
【図2】 不飽和カルバフコシルアミンのアミノ基へのアシル基の導入を説明する図である。
【図3】 化合物1から化合物4を合成するスキームを示した図である。
【図4】 化合物4から化合物7を合成するスキームを示した図である。
【図5】 化合物7から化合物9及び化合物10を合成するスキームを示した図である。
【図6】 化合物9から化合物12を合成するスキームを示した図である。
【図7】 化合物12から化合物14を合成するスキームを示した図である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で示される不飽和カルバ糖アミン誘導体。
    Figure 0004781549
    但し、Y及びZはいずれか一方がNHR 1 、他方がHを示し、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 はそれぞれHであり、R 5 はメチル基である。
  2. 請求項1に記載の不飽和カルバ糖アミン誘導体を含むフコシダーゼ阻害剤。
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