JP4233262B2 - カルバ糖アミン誘導体及びそれを用いるグリコシダーゼ阻害剤 - Google Patents
カルバ糖アミン誘導体及びそれを用いるグリコシダーゼ阻害剤 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フコシダーゼ等のグリコシダーゼを阻害する活性を有する擬似糖である、カルバ糖アミンの誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ピラノース環の酸素原子をメチレン基、窒素、イオウなどで置換した擬似糖は、真糖との類似性から糖質分解酵素(グリコシダーゼ)の活性を阻害することが知られている(Acc.Chem.Res.,1993, 26, 182-190.、Bioorg. Med. Chem. Lett., 1996,6, 1989-1992.)。例えば1-デオキシフコノジリマイシンは、イオウにより置換をしたチオ糖に分類される擬似糖であるが、強力なα-L-フコシダーゼ阻害活性を示すことが知られている(G.W.Fleet, A.N.Shaw, S.V.Evans, L.E.Fellows, J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1985, 841-842、H.Paulson, M.Matzke, B.Ortheb, R.Nuck, W.Reutter, Justus Liebigs Ann. Chem. 1990, 953-963)。
【0003】
グリコシダーゼの活性は、様々な疾病と関わりがあることが知られている。例えば、ガン細胞においてグリコシダーゼの一種であるフコシダーゼは細胞外マトリックスを形成する複合糖質を分解し、それによりガン細胞は組織への浸潤を開始することが知られている。従って、ガン細胞のフコシダーゼを阻害することは、ガン細胞の組織浸潤を防ぐことにもなる(R.J. Bernacki, M.J.Niedbala, W.Korytnyk, Cancer and Metastasis Rev. 1985, 4, 81-102)。そのため、グリコシダーゼの阻害剤は、ガンやHIVの他、様々な疾患の治療薬として利用できる可能性を有している。
【0004】
一方、バリダミンは農業用の抗生物質であるバリダマイシン類の構成成分の一つであり、α−グルコシダーゼ活性を阻害することが知られている(Horii, S., J, Antibiot. (1971)24, 59-63, Kameda, N., ibid. 1984, 37,1301-1307)。このバリダミンをモデルとして調製されたフコ型バリダミンである5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミンが、α-L-フコシダーゼに対し、従来知られていたフコシダーゼ阻害剤と比してより強力な阻害活性を有することが知られている(Ogawa, S., Sekura, R., Maruyama, A., Yuasa, H., and Hashimoto, H., Eur. J. Org. Chem.(2000), 2089-2093)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
グリコシダーゼ阻害剤は、疾病の治療薬として利用できる可能性が高く、これまでに種々のグリコシダーゼ阻害剤が知られているが更に強力なグリコシダーゼ阻害剤が期待されている。特に、ガンやHIVに対して有用な治療薬として利用可能な強い阻害活性を有するフコシダーゼ阻害物質が期待されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来得られていたグリコシダーゼ阻害剤よりも更に強力な阻害剤を得るべく、鋭意探索した結果、驚くべきことに特定のカルバ糖アミン、特に5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミンのアミノ基の置換体がα-L-フコシダーゼに対する強力な阻害活性を有することを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明の要旨は以下の通りである。
【0008】
1: 下記一般式(1)で示されるカルバ糖アミン誘導体。
【0009】
【化8】
【0010】
但し、R1及びR2は一体となって下記一般式(2)で示す構造を形成している(R 7 は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基又は炭素数6〜15のアラルキル基を示す)か、あるいは、R1はNHR6(R 6 は、炭素数1〜18の直鎖又は分岐を有するアルキル基を示す)、R2は保護基を有することもあるヒドロキシル基であり、R3及びR4はそれぞれ独立してH(水素原子)又はヒドロキシル基の保護基であり、R5はアルキル基である。
【0011】
【化9】
【0012】
2: 下記一般式(3)で示されるカルバ糖アミン誘導体。
【0013】
【化10】
【0014】
但し、R1及びR2は一体となって下記一般式(2)で示す構造を形成している(R 7 は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基又は炭素数6〜15のアラルキル基を示す)か、又はR1はNHR6(R 6 は、炭素数1〜18の直鎖又は分岐を有するアルキル基を示す)、R2は保護基を有することもあるヒドロキシル基であり、R3及びR4はそれぞれ独立してH又はヒドロキシル基の保護基であり、R5はアルキル基である。
【0015】
【化11】
【0016】
3: R 5 が炭素数1〜10のアルキル基である、1又は2に記載のカルバ糖アミン誘導体。
【0018】
4: 下記一般式(4)で示されるカルバ糖アミン誘導体。
【0019】
【化13】
【0020】
但し、R3、R4及びR8はそれぞれ独立にH又はヒドロキシル基の保護基、R5は炭素数1〜10のアルキル基、R 6 は炭素数1〜10のアルキル基を示す。
5:R 6 がオクチル基である、4に記載のカルバ糖アミン誘導体。
【0021】
6: 下記一般式(5)で示されるカルバ糖アミン誘導体。
【0022】
【化14】
【0023】
但し、R3、R4はそれぞれ独立にH又はヒドロキシル基の保護基、R5は炭素数1〜10のアルキル基であり、R7はn−ブチル基、フェニル基、又は、ベンジル基を示す。
【0024】
7: 1乃至6いずれか記載のカルバ糖アミン誘導体を含むグリコシダーゼ阻害剤。
【0025】
8: 1乃至6いずれか記載のカルバ糖アミン誘導体を含むフコシダーゼ阻害剤。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳説する。
(1)本発明物質
本発明物質は、下記一般式(1)で示されるカルバ糖アミン誘導体である。
【0027】
【化15】
【0028】
上記一般式で表される化合物の立体構造は特に限定はされないが、特にL-フコピラノシルアミンの擬似糖である下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
【0029】
【化16】
【0030】
本発明物質においては、R1は単独で置換アミノ基を示すか、或いはR2と一体となって環状のイソ尿素構造を形成している。
【0031】
R1が置換基(R6)を有する置換アミノ基(NHR6)であるときは、前記置換基(R6)としては、炭素数1〜18の直鎖又は分岐を有するアルキル基であり、特に、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、このようなアルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基、プロピル基、イソプロピル基、オクチル基などが例示され、オクチル基が最も好ましい。
【0036】
R1が上記置換アミノ基(NHR6)である場合、R2は保護基を有することもあるヒドロキシル基であり、このような保護基としては例えばアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基等)、シリル基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基等)、アルカノイル基(アセチル基、ブチリル基等)、アロイル基(ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基等)、アルコキシアルキル基(メトキシメチル(MOM)基、ベンジルオキシメチル(BOM)基等)が例示されるが、特にベンジル基及びMOM基が、塩基性条件下での安定性、取り扱い及び脱離の容易性の観点から好ましい。
【0037】
また、R1とR2が一体となって環状のイソ尿素を形成している場合においては、イソ尿素を形成するアミノ基の水素原子(H)が、置換基(R7)、すなわち、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、又は、炭素数6〜15のアラルキル基、により置換されている。当該炭素数1〜20のアルキル基は、上述したものと同様に直鎖又は分枝を有し、炭素数1〜5であることが好ましく、特にn-ブチル基であることが好ましい。また、当該炭素数5〜10のアリール基は、フェニル基、ナフチル基等の非置換芳香族炭化水素残基又は更にアルキル基からなる置換基を有している芳香族炭化水素残基(例えばトリル基)が例示され、特にフェニル基であることが好ましい。また、当該炭素数6〜15のアラルキル基は、具体的にはベンジル基又はフェネチル基等が例示され、特にベンジル基であることが好ましい。
【0038】
また、上記一般式でR3及びR4はそれぞれ独立してH又はヒドロキシル基の保護基であり、特にヒドロキシル基の保護基としては例えばアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基等)、シリル基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、TIPS基、TBDPS基等)、アルカノイル基(アセチル基、ブチリル基等)、アロイル基(ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基等)、アルコキシアルキル基(MOM基、BOM基等)等、一般にヒドロキシル基の保護に使用される保護基が挙げられ、その中でも特にベンジル基、又はアセチル基であることが好ましいが、これに限定はされない。
【0039】
本発明においてR5はアルキル基であれば炭素数、分枝の有無等には限定されないが、具体的には炭素数1〜15が例示され、特に低級アルキル基(炭素数1〜10)であることがより好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
【0040】
本発明物質をより具体的に例示すると、
【0041】
【化18】
【0042】
又は
【0043】
【化19】
【0044】
が挙げられる。
【0045】
上記式(4)及び(5)において、R3〜R6は前記と同義である。
尚、NHR6で示される置換アミノ基は真糖のα型、β型のいずれのアノマーに相当する立体配置であってもよいが、特に本発明物質をα-フコシダーゼ阻害剤として使用する場合は、一般式(4)又は(5)においてR5がメチル基でありそれに対して置換アミノ基(NHR6)がα型で結合していることが好ましい。
【0046】
本発明物質は、グリコシダーゼ、その中でも特にフコシダーゼに対する阻害活性が高いため、in vitro 又はin vivo(細胞、組織など)においてこれらの酵素を阻害するための試薬及びこのような阻害に基づく医薬として使用することが可能である。
【0047】
上記医薬は、グリコシダーゼ、特にフコシダーゼの活性の阻害が望まれる疾病の処置(治療、予防、症状の改善)のためにヒトを含む動物に適用される医薬に使用することができる。上記医薬は、錠剤、カプセル剤、液剤、注射剤、顆粒剤、散剤、リポ化剤、吸入散剤等の剤型として、経口投与、注射等の投与ルート、目的、対象等に応じて製剤化することができる。上記医薬中の本発明物質の濃度は特に限定はされないが、0.05〜5%(W/V)とするのが好ましい。例えば上記医薬を経口投与用の液剤とする場合には、0.5%(W/V)以上とすることが好ましく、1%(W/V)以上とすることが最も好ましい。また、筋注又は静注用の注射剤とする場合には、0.05%(W/V)以上とすることが好ましく、0.1%(W/V)以上とすることが最も好ましい。
【0048】
上記医薬の製剤化は、公知の方法を用いることができる。また製剤化に当たり、本発明物質又はその薬学的に許容される塩に悪影響を与えず、且つ本発明物質が有する阻害活性に影響を与えない限りにおいて、他の医薬活性成分や、慣用の安定化剤、乳化剤、崩壊剤等、通常医薬に用いられる成分を用いることができる。
【0049】
(2)本発明物質の調製方法本発明物質は以下の方法により調製することが可能である。本発明物質のうち一般式(4)で表される化合物は、ヒドロキシル基が適当な保護基によって保護されたカルバフコシルアミン(例えば化合物16)のアミノ基へR6で示される置換基(炭素数1〜18の直鎖又は分岐を有するアルキル基)を導入した後、必要に応じて脱保護することにより得られる。保護基としては酸性条件下、特にpH4.0未満の強酸性条件下で安定な保護基を使用するのが好ましい。このような保護基としては例えばアセチル基、ベンジル基、TES基、TIPS基、TBDPS基等が例示されるが、取り扱い及び脱離の容易さの観点から、ベンジル基及びアセチル基を用いることが最も好ましい。
【0050】
ヒドロキシル基が保護されたカルバフコシルアミンのアミノ基へR6で示される炭素数1〜18の直鎖又は分岐を有するアルキル基を導入する方法としては、R6’CHO(R6’は、R6である炭素数1〜18の直鎖又は分岐を有するアルキル基の末端のCH2を除いた残余の構造を示す、R6’−CH2−=R6)で示されるアルデヒド化合物(R6’−CHO)と反応させた後、還元する方法が挙げられる。ここで還元反応に使用する還元剤としては水素化シアノホウ素ナトリウムや水素化ホウ素ナトリウムが例示される(図1)。
【0051】
また、R6がアシル基の場合、パルミトイルクロリドのようなアシル基の反応性誘導体(ハロゲン化アシル化合物、酸無水物等)を反応させることによりアミド結合を形成させることができる(図2)(ただし、R 6 がアシル基の場合は、補正により除外されている)。このようにして調製された本発明物質は、例えばシリカゲルクロマトグラフィーなどの吸着クロマトグラフィーにより単離することができる。
【0052】
また、本発明物質のうち一般式(5)で表される化合物は、無保護のカルバフコシルアミン(例えば化合物32)とイソチオシアナートをカップリングさせた後、アミノ基とそれに隣り合うヒドロキシル基で環状イソ尿素結合を形成させることで調製することができる。具体的には、例えばカルバフコシルアミンを直接エタノール水溶液、メタノール水溶液などの水混和性有機溶媒に溶解し、その水混和性有機溶媒水溶液中にイソチオシアナート又は予めR7で示される置換基(炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜10のアリール基又は炭素数6〜15のアラルキル基)を結合したイソチオシアナート類を添加した後、酸化水銀で処理する方法が挙げられる。尚、調製された環状イソ尿素を有する本発明物質は、例えばトルエン等による共沸、シリカゲルカラムなどを用いた吸着クロマトグラフィー、或いはこれらの組み合わせなどの手法により単離することが可能である。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に詳説する。
試験法1(薄層クロマトグラフィー:TLC)
市販のシリカゲル(Silica gel 60 F254:Merck社製)を使用し、検出は紫外線(254nm)、リンモリブデン酸呈色(10%エタノール溶液を使用)、及びニンヒドリン呈色により行った。
【0054】
試験法2(融点の測定)
三田村理研工業株式会社製MEL-TEMP毛細管融点測定装置を使用し、該装置の説明書に従って融点を測定した。尚、温度補正は行わなかった。
【0055】
試験法3(核磁気共鳴スペクトル:1H-NMR)
JEOL GSX-270 (270MHz)及びJEOL GSX-300 (300MHz)を用いて行った。測定は重クロロホルムにより行い、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準として使用した。
【0056】
試験法4(赤外線吸収スペクトル:IR)
付着法(neat)の場合には、日本分光工業株式会社製FT/IR-200型フーリエ変換赤外分光光度計を使用し、臭化ナトリウム結晶板に試料を付着して測定した。
【0057】
(1)本発明物質の調製
合成の出発物質としては、フランとアクリル酸のディールズアルダー反応により得られるエンド付加体(化合物1)のラセミ体を使用した。尚、このラセミ体を公知の方法により光学分割し、光学活性のある化合物1を原料として使用してもよい。化合物1に、蟻酸中で過酸化水素水を滴下することにより、ヒドロキシラクトン化を行い化合物2を得た(図3a)。化合物2を水素化リチウムアルミニウムにより還元、続くアセチル化により化合物3とし(図3b)、20臭化水素−酢酸による封管反応にてジブロモ体(化合物4)を得た(図3c)。
【0058】
【化20】
【0059】
<一般式(4)の化合物の調製>
化合物4の6位のブロモのみを選択的に酢酸ナトリウムを用いて求核置換し、モノブロモ体(化合物5)とした後(図4a)、アジ化ナトリウムを用いて1位のブロモをアジドに置換した(化合物6)(図4b)。この時、TLC上の同一スポットに化合物6'が生成していてこれらは分離することができないので、混合物のまま脱アセチル化して化合物7及び7'とした(図4c)。ここでTLC上の点は分離するが、極性が高く単離精製が困難なため、そのままα、α-ジメトキシトルエン、p-トルエンスルホン酸を用いて4,6-ベンジリデン体(化合物8、8')とし(図5a)、続いて常法により無水酢酸を使用してアセチル化して(化合物9、9')とした(図5b)。ここでシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより化合物9を単離した。次に化合物9を脱アセチル化して再び化合物8とした(図5c)。化合物8をベンジルブロミド、水素化ナトリウムを用いてベンジル体(化合物10)とし(図6a)、脱ベンジリデン化して化合物11を得た(図6b)。最後に0℃でメタンスルフォニルクロリド、ピリジンによりメシル化し、主中間体である化合物12とした(図6c)。
【0060】
化合物12の1級メシル基をヨウ化ナトリウムを用いてヨウ素化し化合物13とした(図7a)。続いて2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、トリブチルチンハイドライドを用いたラジカル還元反応により6-デオキシ体(化合物14)を得た(図7b)。この化合物14を、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中、酢酸カリウム、クラウンエーテルを用いて55℃で反応させて4位の反転とアセチル化を行い化合物15を得た(図7c)。
【0061】
化合物15(439mg、1.07mmol)にラネー・ニッケルをスパチュラで3杯加え、エタノール(5ml)に溶解し、常温で2時間接触水素還元を行った。TLC(メタノール/クロロホルム=1/15)上にて新たな生成物(Rf=0.33)のスポットを確認後、ラネー・ニッケルを自然ろ過し、濾液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山化学製シリカゲル60K070、酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製し、4-O- アセチル-2,3- ジ -O-ベンジル-5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミン(化合物16)を無色透明のシロップとして得た(図7d)。
【0062】
【化21】
【0063】
収量 300.7mg
収率 73.0%
1H-NMR (300MHz, CDCl3, ref. TMS)
δ=0.889(d, 3H, JMe=6.84 Hz, Me)
1.24-1.64(m, 2H, H-5aax, H-5aeq)
2.08-2.09(m, 3H, Ac)
2.19-2.27(br, H, H-5)
3.51-3.52(m, 1H, H-1)
3.65(dd, 1H, J2,1=5.01 Hz, J2,3=9.70 Hz, H-2)
3.88(dd, 1H, J3,2=9.70 Hz, J3,4=2.93 Hz, H-3)
4.51-4.77(m, 4H, 2Ph-CH 2 )
5.48(br, 1H, H-4)
7.23-7.35(m, 10H, 2Ph-CH2)
【0064】
(a)4-O- アセチル-2,3- ジ -O-ベンジル-N-エチル-5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミン(化合物17)の合成
【0065】
【化22】
【0066】
化合物16(25mg、0.065mmol)を水(0.3ml)に溶解し、1N塩酸74μl(0.67mmol)を加え、室温で1.5時間撹拌した。これを濃縮し、エタノールで共沸してTHF(1ml)に溶解してモレキュラー・シーブス4Å(MS-4Å)を加えて30分間撹拌し、更にアセトアルデヒド(4.2μl)を添加して30分間撹拌した。その後氷冷下でNaBH3CN(13mg、0.20mmol)を加えて24時間撹拌した。TLC(アセトン/ヘキサン=1/2)上でRf=0.50の生成物を確認後、残渣をセライトでろ過し、濃縮後シリカゲルクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300, 2g、アセトン/ヘキサン=1/30)で精製し、4-O- アセチル-2,3- ジ -O-ベンジル-N-エチル-5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミン(化合物17)を無色透明のシロップとして得た(図8a)。
【0067】
収量 7.3mg
収率 27.9%
1H-NMR (300MHz, CDCl3, ref. TMS)
δ=0.80-0.85(m, 3H, Me)
0.94-1.04(m, 3H, CH2-CH 3 )
1.18-1.61(m, 4H, CH 2 -CH3, H-5aax, H-5aeq)
2.03(m, 3H, Ac)
2.11-2.25(m, 1H, H-5)
3.07-3.10(m, 1H, H-1)
3.66(dd, 1H, J2,1=4.15 Hz, J2,3=9.75 Hz, H-2)
3.82(dd, 1H, J3,2=9.75 Hz, J3,4=3.17 Hz, H-3)
4.50(ABq, 2H, Jgem=11.49 Hz, Ph-CH 2 )
4.58-4.67(m, 2H, Ph-CH 2 )
5.39(m, 1H, H-4)
7.19-7.28(m, 10H, 2Ph-CH2)
【0068】
(b)4-O- アセチル-2,3- ジ -O-ベンジル-N-ブチル-5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミン(化合物18)の合成
【0069】
【化23】
【0070】
化合物17の合成法において添加するアセトアルデヒドに代えて、n-ブチルアルデヒド(7.4μl)を使用して4-O- アセチル-2,3- ジ -O-ベンジル-N-ブチル-5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミン(化合物18)を合成した。TLCにおいてRf=0.55の生成物からシリカゲルクロマトグラフィーを行って4-O- アセチル-2,3- ジ -O-ベンジル-N-ブチル-5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミン(化合物18)を無色透明のシロップとして得た(図8b)。
【0071】
収量 8.5mg
収率 26.0%
1H-NMR (300MHz, CDCl3, ref. TMS)
δ=0.80-0.86(m, 6H, Me, CH2-CH 3 )
1.19-1.42(m, 6H, (CH 2 ) 3 -CH3)
1.51-1.57(m, 1H, N-H)
1.99-2.03(m, 3H, Ac)
2.06-2.22(m, 1H, H-5)
2.24-2.32(m, 1H, H-5aeq)
2.49-2.57(m, 1H, H-5aax)
3.04-3.07(m, 1H, H-1)
3.65(dd, 1H, J2,1=4.15 Hz, J2,3=9.70 Hz, H-2)
3.82(dd, 1H, J3,2=9.70 Hz, J3,4=3.30 Hz, H-3)
4.49(ABq, 2H, Jgem=11.60 Hz, Ph-CH 2 )
4.65(ABq, 2H, Jgem=2.69 Hz, Ph-CH 2 )
5.39(br, 1H, H-4)
7.13-7.30(m, 10H, 2Ph-CH2)
【0072】
(c)4-O- アセチル-2,3- ジ -O-ベンジル-N-オクチル-5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミン(化合物19)の合成
【0073】
【化24】
【0074】
化合物17の合成法において添加するアセトアルデヒドに代えて、n-オクタナール(8.9μl)を使用して4-O- アセチル-2,3- ジ -O-ベンジル-N-オクチル-5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミン(化合物19)を合成した。TLCにおいてRf=0.65の生成物からシリカゲルクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300)を行って4-O- アセチル-2,3- ジ -O-ベンジル-N-オクチル-5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミン(化合物19)を無色透明のシロップとして得た(図8c)。
【0075】
収量 7.2mg
収率 27.8%
1H-NMR (300MHz, CDCl3, ref. TMS)
δ=0.87-0.89(m, 6H, Me, CH2-CH 3 )
1.19-1.42(m, 6H, (CH 2 ) 3 -CH3)
1.58-1.65(m, 1H, H-5)
2.10(m, 3H, Ac)
2.18-2.64(m, 2H, H-5aax, H-5aeq)
3.12-3.13(m, 1H, H-1)
3.72(dd, 1H, J2,1=4.40 Hz, J2,3=9.89 Hz, H-2)
3.89(dd, 1H, J3,2=9.89 Hz, J3,4=3.66 Hz, H-3)
4.56(ABq, 2H, Jgem=11.84 Hz, Ph-CH 2 )
4.72(ABq, 2H, Jgem=2.20 Hz, Ph-CH 2 )
5.45(br, 1H, H-4)
7.24-7.35(m, 10H, 2Ph-CH2)
【0076】
(d)4-O- アセチル-2,3- ジ -O-ベンジル-N-パルミトイル-5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミン(化合物20)の合成(本化合物20は、補正により本発明の範囲外のカルバ糖アミン誘導体として認識される)
【0077】
【化25】
【0078】
化合物16(31mg、0.081mmol)をピリジン(1ml)に溶解し、氷冷下でn-パルミトイルクロリド(29.4mg、0.107mmol)を加えて1時間撹拌した。TLC(酢酸エチル/ヘキサン=1/1)上でRf=0.80の生成物のスポットを確認後、残渣を酢酸エチルに溶解し、食塩水(10ml)で3回洗浄した。芒硝乾燥後、吸引ろ過して濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製C-300、4g、酢酸エチル/ヘキサン=1/5)で精製し、4-O- アセチル-2,3- ジ -O-ベンジル-N-パルミトイル-5a-カルバ-α-DL-フコピラノシルアミン(化合物20)を白色結晶として得た(図8d)。
【0079】
収量 49.7mg
収率 97.0%
1H-NMR (300MHz, CDCl3, ref. TMS)
δ=0.83-0.88(m, 3H, CH2-CH 3 , H-16')
0.94(d, 3H, Me, JMe,5=6.89)
1.24(m, 26H, (CH 2 ) 13 -CH3, H-3'−H-15')
1.47-1.59(m, 2H, H-5aax, H-5aeq)
1.84-1.92(m, 1H, H-5)
1.90-2.30(m, 5H, Ac, CO-CH 2 , H-2')
3.55(dd, 1H, J3,2=9.14 Hz, J3,4=2.81 Hz, H-3)
3.78(dd, 1H, J2,1=5.03 Hz, J2,3=9.14 Hz, H-2)
4.38-4.44(m, 1H, H-1)
4.52-4.59(m, 2H, Ph-CH 2 )
4.64(ABq, 2H, Jgem=11.23 Hz, Ph-CH 2 )
5.40(br, 1H, H-4)
5.49(d, 1H, N-H, JNH,1=5.37)
7.24-7.37(m, 10H, 2Ph-CH2)
【0080】
<一般式(5)の化合物の調製>
原料化合物:α-DL-フコピラノシルアミンの合成
【0081】
【化26】
【0082】
(1) DL-4-O-ベンジル-1,2:3,6-ジアンヒドロ-(1,2,4/3,5)-5-ヒドロキシメチル-1,2,3,4-シクロヘキサンテトロール(化合物22)の合成
【0083】
【化27】
【0084】
ジブロモ体(化合物4)をメタノール中で、1Nナトリウムメトキシドを用いて80℃で2時間還流し、続いて常法に従ってアセチル化してジアンヒドロ体(化合物21)とした(図9a)。この化合物21(1.0g/5.4mmol)をメタノール5mlに溶解し、1M ナトリウムメトキシド1mlを加えて0℃にて30分間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.48/アセトン:トルエン=1:3)の消失と新たな生成物(Rf=0.37/アセトン:トルエン=1:3)の生成を確認した。1N塩酸で中和後、トルエンと共沸し、酢酸エチル120mlで希釈し、飽和食塩水40mlで数回洗浄した。有機層を芒硝乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をDMF 7.0mlに溶解し、水素化ナトリウム(3eq.0.57g)、ベンジルブロミド(1.5eq.0.85ml)を加え、15時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.37/アセトン:トルエン=1:3)の消失と新たな生成物(Rf=0.71/アセトン:トルエン=1:3)の生成を確認し、反応系をメタノールでクエンチした。トルエン共沸後、酢酸エチル60mlで希釈し、飽和食塩水40mlで3回洗浄した。有機層を芒硝乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山化学製シリカゲル60K070、80g、酢酸エチル/へキサン=1/7)にて精製し、DL-4-O-ベンジル-1,2:3,6-ジアンヒドロ-(1,2,4/3,5)-5-ヒドロキシメチル-1,2,3,4-シクロヘキサンテトロール(化合物22)(1.13g、90)を白色結晶として得た(図9b)。
【0085】
<化合物22>
Rf=0.71(アセトン:トルエン=1:3)
IR(neat)特性吸収なし
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
7.28(5H,m,Ph)
4.50(2H,ABq,CH 2 Ph)
4.26(1H,m,H-4)
4.01(1H,ddd,J1,2=2.2Hz,J1,5aax =5.9Hz,J1,5aeq =1.7Hz, H-1)
3.89(1H,m, H-3)
3.74(1H,d,Jgem=8.6Hz,H-6)
3.12(2H,m,H-5,H-6)
2.38(1H,m, H-5a)
2.22(1H,brs,H-2)
1.73(1H,m, H-5a)
【0086】
(2) DL-2-O-アセチル-3,6-アンヒドロ-4-O-ベンジル-(2,4/1,3,5)-1-アジド-5-ヒドロキシメチル-2,3,4-シクロヘキサントリオールの合成(化合物23)
【0087】
【化28】
【0088】
化合物22(200mg/0.86 mmol)を90%aq. 2-メトキシエタノール 4.0 mlに溶解し、アジ化ナトリウム(3.5eq.176mg)を加えて100℃にて3日間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.61/アセトン:トルエン=1:3)の消失と新たな生成物(Rf=0.58/アセトン:トルエン=1:3)の生成を確認した。反応系をトルエンと共沸後、酢酸エチル60mlで希釈し、飽和食塩水20mlで3回洗浄した。有機層を芒硝乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をピリジン2mlに溶解し、無水酢酸1mlを加え、12h攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.29/酢酸エチル:へキサン=1:3)の消失と新たな生成物(Rf=0.38/酢酸エチル:へキサン=1:3)の生成を確認し、反応系をメタノールでクエンチした。トルエンと共沸後、酢酸エチル60mlで希釈し、1N塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水それぞれ20mlで洗浄した。有機層を芒硝乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山化学製シリカゲル60K070、20g、酢酸エチル/へキサン=1/5)にて精製し、DL-2-O-アセチル-3,6-アンヒドロ-4-O-ベンジル-(2,4/1,3,5)-1-アジド-5-ヒドロキシメチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物23)(130mg、63t甎teps)を無色の油滴状物質として得た(図10a)。
【0089】
<化合物23>
Rf=0.38(酢酸エチル:へキサン=1:3)
IR(neat)2100cm−1(N3),1750cm−1(OAc)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
7.35(5H,m,Ph)
4.90(1H,dd,J2,3=3.2Hz,J3,4=1.2Hz,H-3)
4.60(2H,ABq,CH 2 Ph)
4.07〜4.14(3H,m,H-1,H-2,H-4)
3.88(2H,m, H-6)
2.50(2H,m, H-5,H-5a)
2.05(3H,s,Ac)
1.55(1H,m, H-5a)
【0090】
(3) DL-3,6-アンヒドロ-4-O-ベンジル-(2,4/1,3,5)-1-アジド-5-ヒドロキシメチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物24)の合成
【0091】
【化29】
【0092】
化合物23(150mg/0.47 mmol)をメタノール2mlに溶解し1M ナトリウムメトキシド 1mlを加えて室温にて10時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.38/酢酸エチル:へキサン=1:3)の消失と新たな生成物(Rf=0.29/酢酸エチル:へキサン=1:3)の生成を確認した。酸性樹脂アンバーライト(商品名)で中和後、樹脂を濾別し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山化学製シリカゲル60K070、10g、酢酸エチル/へキサン=1/6)にて精製し、化合物24(120mg、92%)を無色の油滴状物質として得た(図10b)。
【0093】
<化合物24>
Rf=0.29(酢酸エチル:へキサン=1:3)
IR(neat)2100cm−1(N3)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
7.35(5H,m,Ph)
4.90(1H,dd,J2,3=3.2Hz,J3,4=1.2Hz,H-3)
4.60(2H,ABq,CH 2 Ph)
4.07〜4.14(3H,m,H-1,H-2,H-4)
3.88(2H,m, H-6)
2.50(2H,m, H-5,H-5a)
2.05(3H,s, Ac)
1.55(1H,m, H-5a)
【0094】
(4) DL-3,6-アンヒドロ-4-O-ベンジル-2-O-p-トルエンスルフォニル-(2,4/1,3,5)-1-アジド-5-ヒドロキシメチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物25)の合成
【0095】
【化30】
【0096】
化合物24(1.0g/3.6 mmol)をピリジン10mlに溶解し、p-トシルクロリド(4eq. 3.07g)を加え、3日間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.66/アセトン:トルエン=1:4)の消失と新たな生成物(Rf=0.78/アセトン:トルエン=1:4)の生成を確認し、反応系をメタノールでクエンチした。トルエンで共沸後、酢酸エチル180mlで希釈し、1N塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水それぞれ60mlで洗浄した。有機層を芒硝乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山化学製シリカゲル60K070、150g、酢酸エチル/へキサン=1/6)にて精製し、DL-3,6-アンヒドロ-4-O-ベンジル-2-O-p-トルエンスルフォニル-(2,4/1,3,5)-1-アジド-5-ヒドロキシメチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物25)(1.30g、85%)を白色結晶として得た(図10c)。
【0097】
<化合物25>
Rf=0.78(アセトン:トルエン=1:4)
IR(neat)2100cm−1(N3)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
7.40〜7.90(9H,m,2Ph)
4.60(2H,ABq,CH 2 Ph)
4.38(1H,dd,J3,4=2.7Hz,J2,3=4.0Hz,H-3)
4.23(1H,dd,J2,3=4.0Hz,J1,2=2.0Hz,H-2)
4.05(2H,m,H-1,H-4)
3.83(1H,m,H-6)
3.74(1H,d, Jgem=8.3Hz,H-6)
2.38〜2.54(5H,m,PhCH 3 ,H-5,H-5aeq)
1.48(1H,dd,J1,5aax =4.9Hz,J5,5aax =5.1Hz,Jgem=14.0Hz,H-5aax)
【0098】
(5) DL-3,6-アンヒドロ-4-O-ベンジル-2- ジ -O-p-トルエンスルフォニル-(2,4/1,3,5)-1-アセトアミド-5-ヒドロキシメチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物26)の合成
【0099】
【化31】
【0100】
化合物25(2.0g/4.6 mmol)をエタノール6mlに溶解し、水素雰囲気下ラネー・ニッケル(2〜3spatura)、無水酢酸(2eq. 1.0ml)を加え、15時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.85/アセトン:トルエン=1:2)の消失と新たな生成物(Rf=0.39/アセトン:トルエン=1:2)の生成を確認し、反応系を自然濾過しラネー・ニッケルを濾別した。トルエン共沸後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山60、200g、アセトン/トルエン=1/3)にて精製し、DL-3,6-アンヒドロ-4-O-ベンジル-2- ジ -O-p-トルエンスルフォニル-(2,4/1,3,5)-1-アセトアミド-5-ヒドロキシメチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物26)(1.9g、92%)を白色結晶として得た(図10d)。
【0101】
<化合物26>
Rf=0.39(アセトン:トルエン=1:2)
IR(neat)1650cm−1(NHAc)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
7.19〜7.88(9H,m,2Ph)
5.86(1H,br d,NHAc)
4.58〜4.80(3H,m,CH 2 Ph,H-2)
4.41(1H,ddd,J1,2=2.6Hz,J1,5aax =5.4Hz,J1,5aeq =2.9Hz, H-1)
4.31(1H,dd,J3,4=4.8Hz,J2,3=2.7Hz,H-3)
4.15(1H,m,H-6)
3.95(1H,dd,J3,4=4.8Hz,J4,5=3.9Hz,H-4)
3.88(1H,dd,J5,6=3.6Hz,Jgem=8.3Hz,H-6)
2.49〜2.58(5H,m,PhCH 3 ,H-5,H-5aeq)
1.94(3H,s,NHAc)
1.64(1H,dd,J1,5aax =5.3Hz,J5,5aax =5.4Hz,Jgem=13.2Hz,H-5aax)
【0102】
(6) DL-3,4- ジ -O-アセチル-2-O-p-トルエンスルフォニル-(2,4/1,3,5)-1-アセトアミド-5-ブロモメチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物27)の合成
【0103】
【化32】
【0104】
化合物26(500mg/1.1 mmol)を酢酸3.0mlに溶解し、30臭化水素-酢酸 3.0mlを加えて封管中85℃にて35時間攪拌した。反応系を氷の上に開け、重曹で中和した後、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水、飽和重曹水で洗浄した。有機層を芒硝乾燥後、減圧濃縮、エタノール共沸、トルエン共沸した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山化学製シリカゲル60K070、50g、アセトン/トルエン=1/5)にて精製し、DL-3,4- ジ -O-アセチル-2-O-p-トルエンスルフォニル-(2,4/1,3,5)-1-アセトアミド-5-ブロモメチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物27)(450mg、86%)を無色の油滴状物質として得た(図10e)。
【0105】
<化合物27>
Rf=0.64(アセトン:トルエン=1:1)
IR(neat)1650cm−1(NHAc),1750cm−1(OAc)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
7.18〜7.74(4H,m,Ph)
6.17(1H,br d,NHAc)
5.13(1H,t,J2,3=J3,4=10.0Hz,H-3)
4.99(1H,t,J3,4=J4,5=10.0Hz,H-4)
4.63(1H,t,J1,2=J2,3=10.0Hz,H-2)
4.17(1H,ddd,J1,2=10.0Hz,J1,5aax =8.1Hz,J1,5aeq =4.1Hz,H-1)
3.36(2H,ddd,J5,6=3.6Hz,J5,6=5.1Hz,Jgem=10.7Hz,H-6)
2.44(3H,s,PhCH 3 )
2.15(1H,dt,J1,5aeq =4.1Hz,J5,5aeq =3.9Hz,Jgem=12.7Hz,H-5aeq)
2.06〜2.12(1H,m,H-5)
1.97,2.03(3H,s,eachAc)
1.69(3H,s,NHAc)
1.45(1H,ABq,Jgem=12.7Hz, H-5a)
【0106】
(7) DL-3,4- ジ -O-アセチル-2-O-p-トルエンスルフォニル-(2,4/1,3)-1-アセトアミド-5-メチレン-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物28)の合成
【0107】
【化33】
【0108】
化合物27(100mg/0.19 mmol)をピリジン2.0mlに溶解し遮光条件下フッ化銀(2eq. 53.6 mg)を加えて室温にて15時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.52/アセトン:トルエン=1:1)の消失はみられなかったが新たな生成物(Rf=0.47/アセトン:トルエン=1:1)の生成を確認したため、反応系をトルエンと共沸した。クロロホルムで抽出後、アルミナショートカラムで銀塩を濾別した。減圧濃縮、トルエン共沸後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300、7 g、アセトン/トルエン=1/11)にて精製し、原料の化合物24を回収(43 mg、46 )し、DL-3,4- ジ -O-アセチル-2-O-p-トルエンスルフォニル-(2,4/1,3)-1-アセトアミド-5-メチレン-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物28)(45 mg、48%)を白色結晶として得た(図11a)。
【0109】
<化合物28>
Rf=0.47(アセトン:トルエン=1:1)
IR(neat)1650cm−1(NHAc),1750cm−1(OAc)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
7.27〜7.74(4H,m,Ph)
6.12(1H,br d,NHAc)
5.33(1H,d,J3,4=10.0Hz,H-4)
5.00〜5.10(3H,m,H−3,H-6)
4.76(1H,t,J1,2=J2,3=10.0Hz,H-2)
4.05(1H,ddd,J1,2=10.0Hz,J1,5aax =8.1Hz,J1,5aeq =4.7Hz,H-1)
2.89(1H,dd,J1,5aeq =4.7Hz,Jgem=13.6Hz,H-5aeq)
2.44(3H,s,PhCH 3 )
2.03〜2.18(1H,m, H-5aax)
2.11,1.99(3H,s,eachAc)
1.69(3H,s,NHAc)
【0110】
(8) DL-3,4- ジ -O-アセチル-2-O-p-トルエンスルフォニル-(2,4,5/1,3)-1-アセトアミド-5-メチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物29)の合成
【0111】
【化34】
【0112】
化合物28(60 mg/0.14 mmol)をエタノール0.5mlに溶解し、水素雰囲気下PtO2(2〜3 spatura)を加えて室温にて10時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.76/アセトン:トルエン=1:1 二重展開)の消失と新たな生成物(Rf=0.70/アセトン:トルエン=1:1 二重展開)の生成を確認し、反応系を自然濾過によりPtを濾別した。減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300、5 g、アセトン/トルエン=1/7)にて精製し、DL-3,4- ジ -O-アセチル-2-O-p-トルエンスルフォニル-(2,4,5/1,3)-1-アセトアミド-5-メチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物29)(51.2 g、85%)を白色結晶として得た(図11b)。
【0113】
<化合物29>
Rf=0.70(アセトン:トルエン=1:1 二重展開)
IR(neat)1650cm−1(NHAc),1750cm−1(OAc)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
7.26〜7.73(4H,m,Ph)
5.90(1H,br d,NHAc)
5.33(1H,t,J2,3=J3,4=10.0Hz,H-3)
4.89(1H,dd,J3,4=10.0Hz,J4,5=4.9Hz,H-4)
4.54(1H,t,J1,2=J2,3=10.0Hz,H-2)
4.34(1H,ddd,J1,2=10.0Hz,J1,5aax =8.1Hz,J1,5aeq =3.9Hz,H-1)
2.44(3H,s,PhCH 3 )
2.37(1H,m,H-5)
2.10(1H,m,H-5aeq)
2.03,1.97(3H,s,each Ac)
1.78(3H,s,NHAc)
1.50(1H,m, H-5aax)
1.11(3H,d,Me)
【0114】
(9) DL-3,4- ジ -O-アセチル-2-O-p-アンヒドロ-(4,5/1,2,3)-1-アセトアミド-5-メチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物30)の合成
【0115】
【化35】
【0116】
化合物29(40 mg/0.094 mmol)をメタノール0.4mlに溶解し、1M ナトリウムメトキシド 0.2mlを加えて室温にて2時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.56/アセトン:トルエン=1:1)の消失と新たな生成物(Rf=0.20/アセトン:トルエン=1:1)の生成を確認し、反応系を1N塩酸で中和した。減圧濃縮、トルエン共沸後、得られた残渣をピリジン0.6mlに溶解し、無水酢酸0.3mlを加えて室温にて10時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.20/アセトン:トルエン=1:1)の消失と新たな生成物(Rf=0.40/アセトン:トルエン=1:1)の生成を確認し、反応系をメタノールでクエンチした。トルエン共沸後、酢酸エチル30mlで希釈し、1N塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水それぞれ10mlで洗浄した。有機層を芒硝乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300、2 g、アセトン/トルエン=1/7)にて精製し、DL-3,4- ジ -O-アセチル-2-O-p-アンヒドロ-(4,5/1,2,3)-1-アセトアミド-5-メチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物30)(17 mg、80% 2steps)を無色の油滴状物質として得た(図11c)。
【0117】
<化合物30>
Rf=0.40(アセトン:トルエン=1:1)
IR(neat)1650cm−1(NHAc),1750cm−1(OAc)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
5.86(1H,br d,NHAc)
5.19(1H,m,H-4)
4.54(1H,ddd,J1,2=4.1Hz,J1,5aax =4.7Hz,J1,5aeq =2.0Hz,H-1)
3.34(1H,t,J1,2=J2,3=4.1Hz,H-2)
3.29(1H,dd,J3,4=1.7Hz,J2,3=4.1Hz,H-3)
2.17,2.13(3H,s,OAc,NHAc)
1.97(1H,ddd,J4,5=3.4Hz,J5,5aax =7.1Hz,J5,5aeq =3.6Hz,H-5)
1.63(1H,ddd,J1,5aeq =2.0Hz,J5,5aeq =3.6Hz,Jgem=10.5Hz,H-5aeq )
1.29(1H,td,J1,5aax =4.7 Hz,J5,5aax =7.1Hz,Jgem=10.5Hz,H-5aax)
0.88(3H,d,Me)
【0118】
(10) DL-2,3,4- トリ -O-アセチル-(3,4,5/1,2)-1-アセトアミド-5-メチル-2,3,4-シクロヘキサントリオール(化合物31)の合成
【0119】
【化36】
【0120】
化合物30(20 mg/0.088 mmol)をアセトン0.2mlに溶解し、10硫酸水溶液0.04 mlを加えて60℃ 還流下にて3時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.30/アセトン:トルエン=1:1)の消失と新たな生成物(Rf=0.03/アセトン:トルエン=1:1)の生成を確認し、反応系をトリエチルアミンで中和した。減圧濃縮、エタノール共沸、トルエンと共沸後、得られた残渣をピリジン0.4mlに溶解し、無水酢酸0.2mlを加えて室温にて10時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.03/アセトン:トルエン=1:1)の消失と新たな生成物(Rf=0.40/アセトン:トルエン=1:1)の生成を確認し、反応系をメタノールでクエンチした。トルエン共沸後、酢酸エチル30mlで希釈し、1N塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水それぞれ10mlで洗浄した。有機層を芒硝乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300、 2 g、アセトン/トルエン=1/7)にて精製し、化合物31(23 mg、80% 2steps)を無色の油滴状物質として得た(図11d)。
【0121】
<化合物31>
Rf=0.40(アセトン:トルエン=1:1)
IR(neat)1650cm−1(NHAc),1750cm−1(OAc)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
5.47(1H,br d,NHAc)
5.28(1H,m,H-4)
5.14(1H,dd,J1,2=4.4Hz,J2,3=11.0Hz,H-2)
4.96(1H,dd,J2,3=11.0Hz,J3,4=3.4Hz,H-3)
4.49(1H,ddd,J1,2=4.4Hz,J1,5aax =8.5Hz,J1,5aeq =3.2Hz,H-1)
1.92〜2.07(12H, m, 3OAc, NHAc)
2.00(1H, m, H-5)
1.71(2H, m, H-5a)
0.58(3H, d, Me)
【0122】
この化合物31を2Nの塩酸で処理して脱保護を行い、α-DL-フコピラノシルアミン(化合物32)とし、これをイソ尿素体の合成の材料とした(図11e)。
【0123】
<1>(1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-4-メチル-8-フェニルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン-2,3-ジオール(化合物34)及びそのアセチル体(化合物35)の合成
(1) N-フェニル-N-[(1RS)-(1,2/3,4,5)-2,3,4-トリ-ヒドロキシ-5-メチルシクロhex-1-yl]チオウレア(化合物33)の合成
【0124】
【化37】
【0125】
化合物32(5.0 mg/0.031 mmol)を60エタノール水溶液0.7mlに溶解しフェニルイソチオシアナート(3eq. 8.9 μl)を加えて室温にて3時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.45/水:アセトニトリル=1:3)の消失と新たな生成物(Rf=0.45/エタノール:トルエン=1:2)の生成を確認し、反応系を減圧濃縮しトルエン共沸した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300、1 g、エタノール/トルエン=1/3)にて精製し、N-フェニル-N-[(1RS)-(1,2/3,4,5)-2,3,4-トリ-ヒドロキシ-5-メチルシクロhex-1-イル]チオウレア(化合物33)(9.1 mg、99%)を白色結晶として得た(図12a)。
【0126】
<化合物33>
Rf=0.45(エタノール:トルエン=1:2)
IR(neat)1540cm−1(NH),3400cm−1(OH,NH)
【0127】
(2) (1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-4-メチル-8-フェニルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン-2,3-ジオール(化合物34)の合成
【0128】
【化38】
化合物33(8.0 mg/0.027 mmol)をアセトン-エタノール混合液0.3mlに溶解し、酸化水銀(黄色)(5eq. 29 mg)を加えて室温にて15時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.45/エタノール:トルエン=1:2)の消失と新たな生成物(Rf=0.36/エタノール:トルエン=1:2)の生成を確認し、反応系をセライト濾過しエタノールで十分洗浄した。減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300、0.5 g、エタノール/トルエン=1/4)にて精製し、(RS1,2RS,3RS,4RS,6RS)-4-メチル-8-フェニルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン-2,3-ジオール(化合物34)(7.0 mg、98%)を白色結晶として得た(図12b)。
【0129】
<化合物34>
Rf=0.45(エタノール:トルエン=1:2)
IR(neat)1650cm−1(C=N),3400cm−1(OH,NH)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
7.00〜7.26(5H,m,Ph)
4.57(1H,t,J2,3=J3,4=7.3Hz,H-3)
4.16(1H,m,H-4)
3.75(1H,m,H-1)
3.71(1H,dd,J1,2=2.9Hz,J2,3=7.3Hz,H-2)
2.02〜2.35(3H,m,H-5,H-5a)
1.02(3H,d,Me)
【0130】
(3) (1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-2,3- ジ -O-アセチル-4-メチル-8-フェニルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン(化合物35)の合成
【0131】
【化39】
【0132】
化合物34(2.0 mg/0.007 mmol)をピリジン0.1mlに溶解し、無水酢酸 0.05mlを加えて室温にて10時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.36/エタノール:トルエン=1:2)の消失と新たな生成物(Rf=0.77/アセトン:トルエン=1:1)の生成を確認し、反応系をメタノールでクエンチした。トルエン共沸、減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300、0.5 g、アセトン/トルエン=1/8)にて精製し、(1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-2,3- ジ -O-アセチル-4-メチル-8-フェニルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン(化合物35)(2.3 mg、95%)を白色結晶として得た(図12c)。
【0133】
<化合物35>
Rf=0.77(アセトン:トルエン=1:1)
IR(neat)1650cm−1(C=N),1750cm−1(OAc)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
6.96〜7.25(5H,m,Ph)
5.31(1H,t,J3,4=J4,5=3.4Hz,H-4)
5.06(1H,dd,J2,3=7.3Hz,J3,4=3.4Hz,H-3)
4.58(1H,m,H-1,H-2)
2.47(1H,ddd, J1,5aeq =2.9Hz,J5,5aeq =6.1Hz,Jgem=11.0Hz, H-5aeq)
2.04〜2.17(7H,m,2Ac,H-5)
1.85(1H,ddd,J1,5aax =5.1Hz,J5,5aax =9.5Hz,Jgem=11.0Hz,H-5aax)0.97(3H,d,Me)
【0134】
<2>(1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-4-メチル-8-ベンジルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン-2,3−ジオール(化合物37)及びそのアセチル体(化合物38)の合成
(1) N-ベンジル-N-[(1RS)-(1,2/3,4,5)-2,3,4- トリ -ヒドロキシ-5-メチルシクロhex-1-yl]チオウレア(化合物36)の合成
【0135】
【化40】
【0136】
化合物32(8.0 mg/0.050 mmol)を60エタノール水溶液0.7mlに溶解しベンジルイソチオシアナート(3eq. 19.7μl)を加えて室温にて3時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.45/水:アセトニトリル=1:3)の消失と新たな生成物(Rf=0.53/エタノール:トルエン=1:2)の生成を確認し、反応系を減圧濃縮しトルエン共沸した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300、0.5 g、エタノール/トルエン=1/3)にて精製し、N-ベンジル-N-[(1RS)-(1,2/3,4,5)-2,3,4- トリ -ヒドロキシ-5-メチルシクロhex-1-yl]チオウレア(化合物36)(16 mg、quant)を白色結晶として得た(図13a)。
【0137】
<化合物36>
Rf=0.53(エタノール:トルエン=1:2)
IR(neat)1540cm−1(NH),3400cm−1(OH,NH)
【0138】
(2) (1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-4-メチル-8-ベンジルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン-2,3-ジオール(化合物37)の合成
【0139】
【化41】
【0140】
化合物36(12 mg/0.039 mmol)をアセトン-エタノール混合液0.5mlに溶解し、酸化水銀(黄色)(5eq. 41.8 mg)を加えて室温にて20時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.53/エタノール:トルエン=1:2)の消失と新たな生成物(Rf=0.09/エタノール:トルエン=1:2)の生成を確認し、反応系をセライト濾過しエタノールで十分洗浄した。減圧濃縮後、得られた残渣をDowex 50W-X2(H+、3ml、メタノール/14Mアンモニア水=6/1、v/v)にて精製し、(1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-4-メチル-8-ベンジルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン-2,3-ジオール(化合物37)(10 mg、99%)を白色結晶として得た(図13b)。
【0141】
<化合物37>
Rf=0.09(エタノール:トルエン=1:2)
IR(neat)1650cm−1(C=N),3400cm−1(OH,NH)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
7.26〜7.34(5H,m,Ph)
4.50(2H,ABq,CH 2 Ph)
4.40(1H,dd,J2,3=7.3Hz,J3,4=5.4Hz,H-3)
4.16(1H,t,J3,4=J4,5=5.4Hz,H-4)
3.78(1H,m,H-1)
3.53(1H,dd,J1,2=4.6Hz,J2,3=7.3Hz,H-2)
1.74〜1.98(3H,m,H-5,H-5a)
1.05(1H,d,Me)
【0142】
(3) (1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-2,3- ジ -O-アセチル-4-メチル-8-ベンジルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン(化合物38)の合成
【0143】
【化42】
【0144】
化合物37(2.0 mg/0.007 mmol)をピリジン0.1mlに溶解し、無水酢酸 0.05mlを加えて室温にて10時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.09/エタノール:トルエン=1:2)の消失と新たな生成物(Rf=0.71/アセトン:トルエン=1:1)の生成を確認し、反応系をメタノールでクエンチした。トルエン共沸、減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300、0.5 g、アセトン/トルエン=1/8)にて精製し、(1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-2,3- ジ -O-アセチル-4-メチル-8-ベンジルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン(化合物38)(2.0 mg、80%)を白色結晶として得た(図13c)。
【0145】
<化合物38>
Rf=0.71(アセトン:トルエン=1:1)
IR(neat)1650cm−1(C=N),1750cm−1(OAc)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
7.30〜7.38(5H,m,Ph)
5.26(1H,t,J3,4=J4,5=3.0Hz,H-4)
4.80〜5.02(2H,ABq,CH 2 Ph)
4.68(2H,m,H-2,H-3)
4.25(1H, m,H1
2.04〜2.16(9,m,2c,H-5, H-5a)
0.90(3,d,Me)
【0146】
<3>(1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-4-メチル-8-n-ブチルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン-2,3-ジオール(化合物40)及びそのアセチル体(化合物41)の合成
(1) N-n-ブチル-N-[(1RS)-(1,2/3,4,5)-2,3,4-トリ-ヒドロキシ-5-メチルシクロhex-1-yl]チオウレアの合成
【0147】
【化43】
【0148】
化合物32(8.0 mg/0.050 mmol)を60%エタノール水溶液0.7mlに溶解しn-ブチルイソチオシアナート(3eq. 18.1μl)を加えて室温にて5時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.45/水:アセトニトリル=1:3)の消失と新たな生成物(Rf=0.51/エタノール:トルエン=1:2)の生成を確認し、反応系を減圧濃縮しトルエン共沸した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300、0.5 g、エタノール/トルエン=1/3)にて精製し、N-n-ブチル-N-[(1RS)-(1,2/3,4,5)-2,3,4-トリ-ヒドロキシ-5-メチルシクロhex-1-yl]チオウレア(化合物39)(14 mg)を白色結晶として得た(図14a)。
【0149】
<化合物39>
Rf=0.51(エタノール:トルエン=1:2)
IR(neat)1540cm−1(NH),3400cm−1(OH,NH)
【0150】
(2) (1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-4-メチル-8-n-ブチルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン-2,3-ジオール(化合物40)の合成
【0151】
【化44】
【0152】
化合物39(10 mg/0.036 mmol)をアセトン-エタノール混合液0.7 mlに溶解し、酸化水銀(黄色)(5eq. 39.2 mg)を加えて室温にて20時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.51/エタノール:トルエン=1:2)の消失と新たな生成物(Rf=0.10/エタノール:トルエン=1:2)の生成を確認し、反応系をセライト濾過しエタノールで十分洗浄した。減圧濃縮後、得られた残渣をDowex 50W-X2(H+、3ml、メタノール/14Mアンモニア水=6/1、v/v))にて精製し、(1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-4-メチル-8-ベンジルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン-2,3-ジオール(化合物40)(8.5 mg、98%)を白色結晶として得た(図14b)。
【0153】
<化合物40>
Rf=0.10(エタノール:トルエン=1:2)
IR(neat)1650cm−1(C=N),3400cm−1(OH,NH)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
4.45(1H,t,J2,3=J3,4=7.3Hz,H-3)
4.12(1H,t,J3,4=J4,5=5.9Hz,H-4)
3.70(1H,m,H-1)
3.55(1H,dd,J1,2=4.6Hz,J2,3=7.3Hz,H-2)
3.22(2H,m,CH 2 Pr)
1.25〜1.96(7H,m,CH2CH 2 Et ,CH2CH2CH 2 Me ,H-5,H-5a)
0.92,1.05(6H,d,each Me)
【0154】
(3) (1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-2,3- ジ -O-アセチル-4-メチル-8-n-ブチルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン(化合物41)の合成
【0155】
【化45】
【0156】
化合物40(2.0 mg/0.008mmol)をピリジン0.1mlに溶解し、無水酢酸 0.05mlを加えて室温にて10時間攪拌した。TLC上で原料(Rf=0.10/エタノール:トルエン=1:2)の消失と新たな生成物(Rf=0.75/アセトン:トルエン=1:1)の生成を確認し、反応系をメタノールでクエンチした。トルエン共沸、減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬工業株式会社製ワコーゲルC-300、0.5 g、アセトン/トルエン=1/8)にて精製し、(1RS,2RS,3RS,4RS,6RS)-2,3- ジ -O-アセチル-4-メチル-8-n-ブチルアミノ-9-oxa-7-アザビシクロノナン(化合物41)(2.2 mg、83%)を白色結晶として得た(図14c)。
【0157】
<化合物41>
Rf=0.75(アセトン:トルエン=1:1)
IR(neat)1650cm−1(C=N),1750cm−1(OAc)
1H-NMR(300MHz、CDCl3)
δ(ppm)
5.24(1H,m, H-4)
4.87(1H,dd,J2,3=7.8Hz,J3,4=3.2Hz,H-3)
4.64(1H,m,H-1)
4.26(1H,dd,J1,2=3.0Hz,J2,3=7.8Hz,H-2)
3.66(2H,m,CH 2 Pr)
2.05〜2.20(8H,m,2Ac,H-5,H-5a)
1.85(1H,m,H-5a)
1.25〜1.62(4H,m,CH2CH 2 Et ,CH2CH2CH 2 Me )
0.89,0.95(6H,d,each Me)
【0158】
(2)フコシダーゼ阻害活性の測定
各本発明物質のフコシダーゼ阻害活性をEur. J. Org. Chem. 2000, 2089-2093に記載された方法によって測定した。すなわちp-ニトロフェニル α-L-フコピラノシド(0.54-1.37μM)、α-L-フコシダーゼ(ウシ腎臓由来:シグマ社製、1.3ng)、BSA(38μg)、および被検物質の混合物を17μMクエン酸バッファー(pH6.0, 45μl)中で25℃、20分間反応させた後、50mMグリシンバッファー(pH10.1、90μl)を加え、400nmの吸光度を測定した。
【0159】
その結果、化合物17,18,19,20,34,35,37,38,40,41(いずれも本発明物質)は、α-L-フコシダーゼに対する阻害活性を示した。
【0160】
陽性対照としてシグマ社製のデオキシフコノジリマイシン(以下「DFJ」と記載する)を用いて化合物17(C=2:エチル)、化合物18(C=4:ブチル)、及び化合物19(C=8:オクチル)で比較し、50%阻害濃度(IC50)及び阻害定数(Ki)を測定した(表1)。尚、化合物17、18,及び19はD体及びL体の双方が混合した試料を用い、フコシダーゼは上記と同じα-L-フコシダーゼを使用した。
【表1】
【0161】
その結果、特に化合物19(C=8:オクチル体)がDFJに比してIC50で3倍以上、Kiで約2倍の強力なフコシダーゼ阻害活性を示すことが明らかとなった。
【0162】
【発明の効果】
従来のグリコシダーゼ阻害剤と比して、より特異的で有用なグリコシダーゼ阻害剤が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 カルバフコシルアミンのアミノ基へのアルキル基又はアラルキル基の導入を説明する図である。
【図2】 カルバフコシルアミンのアミノ基へのアシル基の導入を説明する図である。
【図3】 化合物1から化合物4を合成するスキームを示した図である。
【図4】 化合物4から化合物7及び7'を合成するスキームを示した図である。
【図5】 化合物7及び7'から化合物9及び9'を合成するスキームを示した図である。
【図6】 化合物8から化合物12をごうせいするスキームを示した図である。
【図7】 化合物12から化合物16を合成するスキームを示した図である。
【図8】 化合物16から本発明物質(非イソ尿素体)を合成するスキームを示した図である。
【図9】 化合物4から化合物22を合成するスキームを示した図である。
【図10】 化合物22から化合物27を合成するスキームを示した図である。
【図11】 化合物27から化合物32を合成するスキームを示した図である。
【図12】 化合物32からアリールが結合した本発明物質(イソ尿素体)を合成するスキームである。
【図13】 化合物32からアラルキルが結合した本発明物質(イソ尿素体)を合成するスキームである。
【図14】 化合物32からアルキルが結合した本発明物質(イソ尿素体)を合成するスキームである。
Claims (8)
- 下記式(1)で表されるカルバ糖アミン誘導体。
- 下記式(3)で示されるカルバ糖アミン誘導体。
- R 5 が炭素数1〜10のアルキル基である、請求項1又は2に記載のカルバ糖アミン誘導体。
- 下記一般式(4)で表されるカルバ糖アミン誘導体。
- R 6 がオクチル基である、請求項4に記載のカルバ糖アミン誘導体。
- 下記一般式(5)で示されるカルバ糖アミン誘導体。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカルバ糖アミン誘導体を含むグリコシダーゼ阻害剤。
- 請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカルバ糖アミン誘導体を含むフコシダーゼ阻害剤。
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