JP4780395B2 - 貯湯式給湯装置 - Google Patents
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Description
この種の貯湯式給湯装置には、貯留された高温の湯水を用いて給湯や風呂の落とし込みを行う一方、熱源機で加熱した熱媒体を暖房端末へ循環させて加熱する構成の装置も実用化されている。
特許文献1,2には、貯湯運転に際して生じる膨張水やその熱エネルギーを利用してエネルギー効率やメンテナンス性の向上を図る技術が開示されている。
また、前記特許文献2に開示された給湯装置は、膨張水そのものを暖房回路の熱媒体として再利用はするものの、膨張水の有する熱エネルギーが有効に利用されるものではなく、また、湯水以外の熱媒体を暖房回路に用いる構成には適用できない不具合があった。
則ち、請求項1に記載の発明は、湯水を加熱する熱源機と貯湯タンクを備え、加熱された湯水を貯湯タンクへ貯留する貯湯運転を行いつつ貯留された湯水またはその熱エネルギーを熱負荷へ供給して熱負荷の運転を行う貯湯式給湯装置において、前記貯湯運転に際して貯湯タンクで生じる膨張水を外部へ排出する膨張水排出回路と、当該膨張水排出回路によって排出される膨張水を一時的に貯留する膨張水貯留タンクを備え、熱負荷の運転に際して、前記貯湯タンクに貯留された湯水またはその熱エネルギーの熱負荷への供給に対して、前記膨張水貯留タンクに貯留された湯水またはその熱エネルギーの熱負荷への供給を優先させる貯湯式給湯装置である。
本発明において、暖房補助熱交換器は、膨張水貯留タンクの内部に設ける構成や膨張水貯留タンクの外部に設ける構成を採ることが可能である。
これにより、暖房端末へ熱エネルギーを供給した後に膨張水貯留タンクに残留する湯水を浴槽への落とし込みなどにそのまま再利用することができ、熱エネルギー及び水資源を有効に利用可能となる。
しかし、落とし込み運転に際して、膨張水貯留タンクに貯留した湯水を落とし込んだ後に追い焚きしたり、あるいは、膨張水貯留タンクに貯留した湯水を加熱しつつ落とし込むことにより、膨張水の有する熱エネルギーは失われるものの少なくとも水資源を無駄にすることは回避される。
本発明によれば、ヒートポンプ式熱源機を採用することにより、エネルギー効率を著しく向上させた貯湯式給湯装置を提供可能である。また、大気や二酸化炭素を冷媒に用いるので大気汚染の問題を生じることもない。
しかし、前記請求項4〜7に記載した本発明を適用することにより、暖房補助熱交換器によって熱源機の起動時における熱供給を肩代わりすることができ、即暖性を向上させた暖房運転を行うことが可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、デッドスペースを有効に利用して膨張水貯留タンクを収納することができ、装置外形を据え置いた貯湯式給湯装置を提供できる。
請求項4に記載の発明によれば、水資源を有効に利用しエネルギー効率を向上させた落とし込み運転を行うことのできる貯湯式給湯装置を提供できる。
請求項5,6に記載の発明によれば、暖房運転における即暖性を向上させた貯湯式給湯装置を提供できる。
請求項7,8に記載の発明によれば、暖房運転における即暖性を向上しつつ落とし込み運転に際して膨張水を有効に再利用することができ、使い勝手が向上しエネルギー効率が向上すると共に水資源を有効に利用した貯湯式給湯装置を提供できる。
請求項9に記載の発明によれば、エネルギー効率を著しく向上させ、大気汚染の問題も生じることのない貯湯式給湯装置を提供できる。
図1は、本発明の実施形態に係る貯湯式給湯装置1の流路系統図である。
本実施形態の給湯装置1は、湯水を加熱する熱源機2と貯湯タンク3を備え、熱源機2で加熱された湯水を貯湯タンク3へ貯留しつつ貯留された湯水またはその熱エネルギーを熱負荷(風呂端末5)へ供給すると共に、熱源機2で加熱された熱媒体(本実施形態では湯水)の熱エネルギーを熱負荷(暖房端末6)へ供給する基本機能を有する。
貯湯タンク3は、大容量のタンクであり、その壁面には貯留された湯水の温度を検知する4つの温度センサ14〜17が高さ方向に略均等に間隔をあけて設けられている。本実施形態では貯湯タンク3に略300リットルの内部容量を有する円筒形状のタンクを用いている。
熱源回路10は、熱源機2で加熱した湯水を循環させて貯湯タンク3に貯留された湯水を所定温度(本実施形態では摂氏略80度)まで加熱する貯湯運転を行う機能を有する。
追い焚き熱交換器23に近接した追い焚き往路21の途中には三方弁26が設けられ、当該三方弁26の分岐端と追い焚き復路22との間にバイパス流路25が設けられている。
三方弁26は、バイパス流路25を遮断して追い焚き往路21を連通させる状態と、追い焚き熱交換器23を遮断してバイパス流路25を追い焚き往路21へ連通させる状態とを切り換える流路切換機能を有する。
三方弁27は、分岐側を遮断して追い焚き復路22を連通させる状態と、風呂端末5側を遮断して分岐側を追い焚き復路22へ連通させる状態とを切り換える流路切換機能を有する。
混合弁33は、第1給湯流路31を経て流入する高温水と給水流路37を経て流入する冷水との混合比率を調整制御する機能を有する。
また、第1給湯流路31の途中には温度センサ38が設けられ、給水流路35の途中には温度センサ39が設けられている。
暖房タンク53は、暖房回路50を流動する熱媒体(本実施形態では湯水)の体積変動を吸収する熱媒体貯留タンクである。
暖房補助熱交換器63に接続された暖房補助復路61の他端は、暖房回路50に設けた三方弁(熱供給切換手段)55の分岐端に接続され、暖房補助往路64の他端は、暖房回路50の暖房往路51に接続されている。
暖房補助回路60は、前記三方弁(熱供給切換手段)55の切り換えに応じて熱源機2と排他的に暖房端末6へ熱供給を行う機能を有する。
また、注湯回路73は、貯湯タンク3の上端部から膨張水貯留タンク62の開口部へ延びる注湯流路74の途中に注湯弁75を備えて構成される。
本実施形態では、膨張水貯留タンク62の貯留量を略100リットルとしている。
更に、膨張水貯留タンク62の下端部と追い焚き回路20に設けた三方弁27の分岐端との間に膨張水落とし込み流路68が接続され、当該膨張水落とし込み流路68と追い焚き復路22、追い焚き往路21及びバイパス流路25によって膨張水落とし込み回路67が形成されている。
次に、貯湯式給湯装置1の動作を図2〜図8を参照しつつ運転状態に応じて区分して説明する。尚、図2〜図8では、運転状態に係る部分を明確にするために、熱媒体や湯水が流動あるいは温度変動を生じる部分に斜線を付して強調表示している。
貯湯運転は、図2の様に、ヒートポンプ式熱源機2で加熱した湯水を熱源回路10に循環させて貯湯タンク3の湯水を高温に加熱する動作である。尚、貯湯タンク3には、予め、冷水が満たされているものとして説明する。
貯湯運転が完了すると、続いて膨張水貯留タンク62への注湯が開始される。
膨張水貯留タンク62への注湯は、図3の様に、注湯回路73によって行われる。則ち注湯回路73の注湯弁75を開成することにより、給水流路35,36に印加される給水圧によって貯湯タンク3に貯留されている高温水を膨張水貯留タンク62へ注湯する。
膨張水貯留タンク62への注湯は、水位センサ66の検知信号を監視しつつ、貯留量が所定量(本実施形態では略100リットル)になるまで行われる。
そして、膨張水貯留タンク62に所定量の高温水が貯留されると注湯動作が完了する。
注湯動作が完了した後は、膨張水貯留タンク62に貯留された高温水(略80度の高温水)は保温状態で維持される。
暖房運転を開始すると、図4の様に、熱源機2が起動されると共に、温度センサ65で検知される膨張水貯留タンク62に貯留された湯水の温度と温度センサ56で検知される暖房復路52の熱媒体の温度が参照される。参照の結果、膨張水貯留タンク62の湯水が落とし込み回路30の設定温度を超え、且つ、暖房復路52の熱媒体の温度が所定温度以下のときは、暖房補助回路60による暖房端末への熱供給を開始する。
まず、三方弁(熱供給切換手段)55を暖房補助復路61側へ切り換えて熱源機2側を遮断し、暖房循環ポンプ54の駆動を開始する。
暖房運転が開始されて暖房補助回路60による暖房端末6への熱供給中に、膨張水貯留タンク62の湯水が落とし込み回路30の設定温度まで低下すると、図5の様に、暖房補助回路60による熱供給から熱源機2による熱供給に切り換えられる。
この切換が行われる時点では、熱源機2は既に起動時の立ち上がり期間を経て安定した熱供給が可能な状態に移行している。
落とし込み運転を開始すると、図6の様に、貯湯タンク3に貯留された湯水に先立って、膨張水落とし込み回路67による落とし込みが優先して行われる。
則ち、膨張水落とし込み回路67の三方弁(追い焚き回路20の三方弁)27を分岐側に連通させると共に三方弁(追い焚き回路20の三方弁)26を分岐側に連通させて追い焚き循環ポンプ24を駆動する。
膨張水落とし込み回路67による落とし込みが完了すると、貯湯タンク3に貯留された湯水の落とし込みに移行する。
膨張水落とし込み回路67による落とし込みが完了して、図7の様に、貯湯タンク3による落とし込みに移行すると、給湯回路30の給湯量制御弁34が所定の落とし込み流量(給湯流量)となるように開度制御が行われる。更に、温度センサ38,39,28の検知温度を参照しつつ混合弁33の制御が行われる。
そして、風呂端末5へ所定量の湯水が落とし込まれたことを流量センサ(不図示)で検知して落とし込み運転を終了する。
このような場合は、前記図6及び図7で述べた落とし込み運転を行った後に、次に述べる追い焚き運転が行われる。
追い焚き運転が開始されると、図8の様に、追い焚き回路20の三方弁26を追い焚き往路21側に連通させると共に三方弁27を追い焚き復路22側に連通させ、追い焚き循環ポンプ24を駆動する。
追い焚き運転は、追い焚き復路22に備えられた図示しない温度センサの検知温度、則ち、追い焚き復路22を流動する湯水が目標とする追い焚き設定温度となるまで行われる。
本実施形態の給湯装置7は、前記図1で示した給湯装置1から暖房回路50を取り除いた構成を有する。従って、同一構成部分には同一符号を付して重複した説明を省略する。
これにより、貯留される膨張水62aの量は僅かではあるが、その膨張水62aの有する熱エネルギーや膨張水62aそのものを落とし込み再利用することができ、水資源を有効に利用しつつエネルギー効率を向上させることが可能である。
例えば、前記した給湯装置1,7は、熱源機2として電動ヒートポンプ式熱源機2を備えた構成としたが、ガスエンジンを駆動源とするヒートポンプ式熱源機や電気ヒータを用いた熱源機を備えた構成を採ることも可能である。
また、二酸化炭素に代えて大気を冷媒として用いるヒートポンプ式熱源機を用いることも可能である。
2 熱源機
3 貯湯タンク
5 熱負荷(風呂端末)
6 熱負荷(暖房端末)
20 熱負荷回路(追い焚き回路)
30 熱負荷回路(落とし込み回路、給湯回路)
50 熱負荷回路(暖房回路)
52 循環復路(暖房復路)
55 熱供給切換手段(三方弁)
62 膨張水貯留タンク
63 暖房補助熱交換器
67 膨張水落とし込み回路
70 膨張水排出回路
73 注湯回路
Claims (9)
- 湯水を加熱する熱源機と貯湯タンクを備え、加熱された湯水を貯湯タンクへ貯留する貯湯運転を行いつつ貯留された湯水またはその熱エネルギーを熱負荷へ供給して熱負荷の運転を行う貯湯式給湯装置において、
前記貯湯運転に際して貯湯タンクで生じる膨張水を外部へ排出する膨張水排出回路と、当該膨張水排出回路によって排出される膨張水を一時的に貯留する膨張水貯留タンクを備え、
熱負荷の運転に際して、前記貯湯タンクに貯留された湯水またはその熱エネルギーの熱負荷への供給に対して、前記膨張水貯留タンクに貯留された湯水またはその熱エネルギーの熱負荷への供給を優先させることを特徴とする貯湯式給湯装置。 - 湯水を加熱する熱源機と貯湯タンクを備え、加熱された湯水を貯湯タンクへ貯留する貯湯運転を行いつつ貯留された湯水またはその熱エネルギーを熱負荷へ供給して熱負荷の運転を行う貯湯式給湯装置において、
前記貯湯運転に際して貯湯タンクで生じる膨張水を外部へ排出する膨張水排出回路と、
当該膨張水排出回路によって排出される膨張水を貯留可能な膨張水貯留タンクと、
熱媒体を循環させて暖房端末に熱供給可能な暖房回路と、
前記膨張水貯留タンクに貯留された膨張水の熱エネルギーを回収して前記暖房回路を介して暖房端末へ供給可能な暖房補助熱交換器とを備えていることを特徴とする貯湯式給湯装置。 - 前記膨張水貯留タンクは、大気開放型であることを特徴とする請求項1又は2に記載の貯湯式給湯装置。
- 浴槽への落とし込みを行う落とし込み回路を備えると共に、前記膨張水貯留タンクに貯留された湯水を前記浴槽へ落とし込む膨張水落とし込み回路を備え、
落とし込み運転に際して、前記貯湯タンクに貯留された湯水の浴槽への落とし込みに対して、前記膨張水貯留タンクに貯留された膨張水の浴槽への落とし込みを優先させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。 - 前記熱源機は熱媒体を加熱可能であり、
加熱された熱媒体を循環させて暖房端末へ熱供給を行う暖房回路を備えると共に、前記膨張水貯留タンクに貯留された膨張水の熱エネルギーを回収して前記暖房回路を介して暖房端末へ供給する暖房補助熱交換器を備え、
当該暖房補助熱交換器による暖房端末への熱供給と、前記熱源機による暖房端末への熱供給とを切り換える熱供給切換手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。 - 前記膨張水貯留タンクは貯湯運転に際して生じる膨張水の想定最大量を超える所定量の湯水を貯留可能な容量を備えると共に、前記貯湯タンクに貯留された湯水を膨張水貯留タンクへ注湯する注湯回路を備え、
暖房運転の開始に先立って、貯湯タンクに貯留された湯水を膨張水貯留タンクへ注湯して膨張水を含む膨張水貯留タンクの湯水の貯留量を前記所定量とし、
暖房運転に際して、膨張水貯留タンクに貯留された膨張水を含む湯水の熱エネルギーを暖房補助熱交換器を介して暖房端末へ供給することを特徴とする請求項5に記載の貯湯式給湯装置。 - 前記暖房補助熱交換器による暖房端末への熱エネルギーの供給は、前記膨張水貯留タンクに貯留された膨張水を含む湯水が前記落とし込み回路を介して浴槽に落とし込む湯水の設定温度を超える範囲であり、且つ、熱負荷側から熱源機へ戻る前記暖房回路の循環復路を循環する熱媒体が予め定められた所定温度を下回る範囲において行われることを特徴とする請求項5または6に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記暖房補助熱交換器による暖房端末への熱エネルギーの供給が終了した後は、落とし込み運転に際して、前記貯湯タンクに貯留された湯水の浴槽への落とし込みに対して、前記膨張水貯留タンクに貯留された膨張水を含む湯水の浴槽への落とし込みを優先させることを特徴とする請求項7に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記熱源機は、大気または二酸化炭素を冷媒とするヒートポンプ式熱源機であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
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