JP4777538B2 - 光電センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、対をなす投光素子及び受光素子間で光信号を送受することにより物体の検出を行う光電センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光電センサ例えば透過型で光同期式の多光軸光電センサは、複数の投光素子を備えた投光装置と、これらと対をなす複数の受光素子を備えた受光装置とが対向するように独立に配置されて構成されている。そして、各投光素子及び受光素子間に形成された複数の光軸の遮光状態を検出することにより、所定の検出エリア内における物体の侵入の検出が行われるようになっている。
【0003】
この多光軸光電センサにおいて、投光装置及び受光装置間での光同期式による同期の取得は、次のようにして行われる。まず、投光装置には、全投光素子の発光を一巡させる投光サイクルの開始時に発光させる投光素子(以下、識別用投光素子と称す)の発光時間(以下、識別用発光時間と称す)、及び、各投光素子を順次発光させるための投光タイミングが予め設定されている。また、受光装置には、前記識別用発光時間と略等しい値になるようにして、識別用投光素子と対をなす受光素子(以下、識別用受光素子と称す)の受光時間(以下、識別用受光時間と称す)が予め設定されている。
【0004】
次に、投光サイクルの開始時において、受光装置では、識別用受光素子の出力のみが有効化されており、投光装置では、識別用投光素子を識別用発光時間だけ発光させることにより光信号(以下、識別光と称す)が出射される。続いて、受光装置では、識別用受光素子にて識別光が受光信号として検出され、検出された受光信号を計時した検出時間が識別用受光時間と一致した場合に投光装置との同期がとられる。
【0005】
このようにして投光装置及び受光装置間の同期が取得されると、引き続き、投光装置では、投光タイミングに従って各投光素子から光信号(以下、検出光と称す)が順次出射され、受光装置では、投光タイミングに同期させて、発光する投光素子と対をなす受光素子の出力のみが順次有効化され、有効化された受光素子から出力される受光信号の検出が行われる。そして、各光軸の遮光状態を検出することにより、検出エリア内における物体の侵入の検出が行われる。
【0006】
この多光軸光電センサにおいて、このように発光する投光素子と対をなす受光素子の出力のみ有効化させているのは、複数の投光素子及び受光素子が近距離に隣接して配設されているので、例えば、所定の光軸に物体が侵入してその光軸が遮られた場合に、その遮られた光軸の受光素子に隣接する光軸の投光素子から出射された検出光が入射して入光状態と見なされるのを防止して、各光軸で物体の侵入を確実に検出できるようにするためである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この多光軸光電センサは、複数のものを並設させることによって、検出エリアを広げるような用途にも使用されている。しかしながら、複数のものを並設させた場合には、所定の投光装置の識別用投光素子から出射された識別光がそれと対をなす受光装置の識別用受光素子だけでなく、並設された受光装置の識別用受光素子にも入光してしまう虞がある。このため、各投光装置の識別用発光時間を互いに異なるように設定し、各投光装置と対をなす各受光装置の識別用受光時間もそれに合わせて互いに異なるように設定することで、各多光軸光電センサ間で、他の投光装置から出射された識別光によって自身の受光装置の同期がとられてしまうような識別光の誤検出による誤同期の発生を防止している。
【0008】
ここで、図4(a)乃至(c)は、例えば4対の投光素子及び受光素子で構成された多光軸光電センサを3組並設させた場合の各投光装置から出射される光信号の投光タイミングを示すタイミングチャート図である。この図4(a)乃至(c)に示すように、各識別光の識別用発光時間は、『3:2:1』の比率に設定されており、これにより、互いの多光軸光電センサ間での識別光の誤検出が防止されている。
【0009】
しかしながら、並設された各多光軸光電センサは夫々非同期で動作しており、また、各投光装置を動作させるための基準クロックを発生させる発振回路の個体差等によって、各投光サイクルの時間幅に若干のズレが発生するため、各投光サイクルの位相関係は常に変動している。このため、比率が『2』及び『1』に設定された光信号の位相関係が、例えば図4(d)及び(e)に示すように重複しない程度に接近した場合には、両光信号が合成され、図4(f)に示すような比率が『3』に設定された光信号と同等の合成光が形成される。
【0010】
このとき、もし、比率が『3』に設定された多光軸光電センサが投光サイクルの開始時の状態(受光待機状態)にあった場合には、この多光軸光電センサの識別用受光素子に、比率が『3』の合成光が入光することになり、識別光の誤検出による誤同期が発生してしまう。そして、一端、誤同期が発生してしまうと、以後、合成光の比率が『3』ではなくなる迄、この多光軸光電センサでは、投光装置及び受光装置間での正常な同期がとれなくなり、検出エリア内への物体の侵入が正確に検出できなくなってしまうという問題が発生していた。
【0011】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、複数のものを並設させた場合に、互いの識別光の誤検出が防止できる光電センサを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の光電センサは、物体検出用の光軸を形成するように対をなして設けられた複数の投光素子及び受光素子と、一の投光素子を投光サイクルの開始時に発光させるための識別用発光時間及び各投光素子を以後順次発光させるための検出用発光時間に基づいて各投光素子を隣接順に所定の投光タイミングで繰り返し発光させる投光回路と、前記一の投光素子と対をなし予め出力が有効化された受光素子が受光状態となった後に非受光状態となるまでの受光時間が前記識別用発光時間に対応した所定の識別用受光時間と一致する度に、前記投光タイミングに同期させて前記各投光素子の対となる受光素子の出力を有効化する有効化手段と、有効化された受光素子から出力される受光信号を検出することに基づいて前記物体検出用の光軸の遮光状態を検出する遮光状態検出手段とを備えた光電センサが複数夫々非同期で動作するように並設されるものであって、前記投光回路は、前記識別用発光時間が並設される他の複数の光電センサの識別用発光時間の和と不一致な値に設定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、物体の侵入を検出するための検出エリアを広げるために、複数の光電センサを並設させた場合において、各投光回路の一の投光素子が各自に設定された識別用発光時間に基づいて連続的に切り替わるように発光した場合に、それらの光信号の合成光によって見かけ上の発光時間が長くなっても、この合成光が各有効化手段の識別用受光時間に一致しないようにすることができ、この合成光によって各有効化手段の同期がとられてしまうような識別光の誤検出による誤同期の発生を防止することができる。
【0013】
請求項2記載の光電センサは、物体検出用の光軸を形成するようにして設けられた一対の投光素子及び受光素子と、識別用発光時間に基づいて前記投光素子を所定の投光タイミングで繰り返し発光させる投光回路と、常に出力が有効化された前記受光素子が受光状態となった後に非受光状態となるまでの受光時間が前記識別用発光時間に対応した所定の識別用受光時間と一致するかを判定することに基づいて前記物体検出用の光軸の遮光状態を検出する遮光状態検出手段とを備えた光電センサが複数夫々非同期で動作するように並設されるものであって、前記投光回路は、前記識別用発光時間が並設される他の複数の光電センサの識別用発光時間の和と不一致な値に設定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、複数の光電センサを並設させた場合において、各投光回路の投光素子が各自に設定された識別用発光時間に基づいて連続的に切り替わるように発光した場合には、それらの光信号の合成光によって見かけ上の発光時間は長くなるが、この合成光は各遮光状態検出手段の識別用受光時間には一致しないので、この合成光による識別光の誤検出を防止することができる。
【0014】
請求項3記載の光電センサでは、前記投光回路は、前記識別用発光時間が、並設された他の光電センサに設定された識別用発光時間に対して互いに異なる2の累乗比の関係になるように設定されていることを特徴とする。
このような構成によれば、2の累乗比の関係を利用して、所定の受光装置の識別用発光時間が、他の受光装置の識別用発光時間の和と不一致になるようにすることが容易にできる。
【0015】
請求項4記載の光電センサでは、前記投光回路は、複数の識別用発光時間が選択的に設定可能に構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、投光回路において、識別用発光時間を簡単に設定することができる。これにより、複数の光電センサを並設させる用途において、各投光回路の識別用発光時間が互いに異なる値になるように簡単に設定することができる。
【0016】
請求項5記載の光電センサでは、前記有効化手段は、前記複数の識別用発光時間に対応した複数の識別用受光時間が選択的に設定可能に構成されていることを特徴とする。
このような構成によれば、有効化手段において、識別用受光時間を簡単に設定することができる。これにより、複数の光電センサを並設させる用途において、各有効化手段では、自身と組をなす投光回路に設定された識別用発光時間に対応した識別用受光時間を簡単に設定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光電センサを透過型で光同期式の多光軸光電センサに適用した場合の一実施例について、図1乃至図3を参照しながら説明する。
【0018】
まず、図2は、物体の侵入を検出するための検出エリア11を広げるために、例えば3組の多光軸光電センサ1乃至3を並設させた場合の配置例を示すものである。この図2に示すように、各多光軸光電センサ1乃至3は、夫々投光回路たる投光装置1a乃至3a及び受光装置1b乃至3bを対向させるようにして独立に配置されて構成されている。また、各多光軸光電センサ1乃至3は近距離に並設されているので、詳細は後述するが、各投光装置1a乃至3aから出射される光信号は所定の広がり角で広がり、全ての受光装置1b乃至1cに照射されるようになっている。
【0019】
続いて図1は、多光軸光電センサ1の電気ブロック構成を示すものである。尚、各多光軸光電センサ1乃至3の構成は同等なので、1つの多光軸光電センサ1を例に挙げて、以下、その投光装置1a及び受光装置1bの構成について説明する。
【0020】
[投光装置1aの構成説明]
投光装置1aには、投光素子たるLED4a乃至4d(LED4aは一の投光素子に対応)を駆動制御するための投光側CPU(central processing unit)5が内蔵されており、この投光側CPU5に設けられたLED選択端子はシフトレジスタ6の入力端子に接続され、投光信号出力端子はAND回路7a乃至7dの一方の入力端子に接続されている。
【0021】
また、投光側CPU5に設けられた比率設定端子には、比率設定回路8の出力端子が接続されている。この比率設定回路8は、一端がハイレベルにプルアップされ他端が出力端子に接続された3つの抵抗8a乃至8c、及び、抵抗8a乃至8cのうちの何れか1つのものの出力端子側の一端をロウレベルにプルダウンするためのスイッチ8dで構成されており、スイッチ8dを切り替えることによって、異なる3種類の投光信号T1乃至T3(後述、図3参照)が選択可能になっている。
【0022】
シフトレジスタ6の4つの出力端子は、AND回路7a乃至7dの他方の入力端子に接続されている。AND回路7a乃至7dの出力端子は、LED駆動回路9a乃至9dの入力端子に接続され、LED駆動回路9a乃至9dの出力端子は、LED4a乃至4dの入力端子に接続されている。そして、これら投光側CPU5、比率設定回路8、シフトレジスタ6、AND回路7a乃至7d、LED駆動回路9a乃至9d及びLED4a乃至4dで投光装置1aが構成されている。
【0023】
[受光装置1bの構成説明]
受光装置1bには、LED4a乃至4dと対をなす4つの受光素子たるPD10a乃至10dが備えられており、投光装置1aと受光装置1bとを対向させて配置することによって、対をなすLED4a乃至4d及びPD10a乃至10d間に物体検出用の光軸11a乃至11dが形成されるようになっている。そして、これらの光軸11a乃至11dによって、物体の侵入を検出するための検出エリア11が形成されている。
【0024】
各PD10a乃至10dの出力端子は、受光アンプ12a乃至12dの入力端子に接続されている。受光アンプ12a乃至12dの出力端子は、制御端子に与えられる制御信号によって入出力間がオンオフするアナログスイッチ13a乃至13dの入力端子に接続されている。アナログスイッチ13a乃至13dの出力端子は、共通に接続されて、所定の基準電圧との大小を比較するコンパレータ14の入力端子に接続されている。コンパレータ14の出力端子は、受光装置1b全体の電気的な制御を行うための受光用CPU15に設けられた受光信号検出端子に接続されると共に、オフディレイ回路16の入力端子に接続されている。オフディレイ回路16の出力端子は、受光用CPU15に設けられた同期検出端子に接続されている。
【0025】
受光用CPU15に設けられたPD選択端子は、シフトレジスタ17の入力端子に接続され、シフトレジスタ17の4つの出力端子は、アナログスイッチ13a乃至13dの制御端子に接続されている。
【0026】
受光用CPU15に設けられた比率設定端子には、比率設定回路18の出力端子が接続されている。この比率設定回路18は、投光装置1aに設けられた比率設定回路8と同等に抵抗18a乃至18c及びスイッチ18dを備えて構成されたものである。また、受光用CPU15には、各光軸11a乃至11dの遮光状態(即ち、検出エリア11内における物体の侵入)を検出するための遮光状態検出手段たる遮光状態検出機能19が備えられ、この遮光状態検出機能19にて検出された結果は、出力回路20に出力されるようになっている。
【0027】
出力回路20は、図示はしないが、例えば前記検出結果に基づいて外部表示灯の点灯・消灯を行ったり、前記検出結果を所定フォーマットに変換して外部装置に出力するような用途に用いられる。そして、これらアナログスイッチ13a乃至13d、シフトレジスタ17、受光用CPU15、及び、比率設定回路18で有効化手段たる有効化回路21が構成され、また、PD10a乃至10d、受光アンプ12a乃至12d、有効化回路21、コンパレータ14、オフディレイ回路16及び出力回路20で受光装置1bが構成されている。
【0028】
[投光装置1aの作用説明]
次に、投光装置1a乃至3aの作用について説明するに、各投光装置1a乃至3aの作用は同等なので、1つの投光装置1aを例に挙げて、以下、その作用について説明する。
投光装置1aに備えられた各LED4a乃至4dは物体の侵入を検出するための検出エリア11を横切って光信号を出射するようになっている。LED4aから出射される光信号(以下、識別光と称す)は、物体を検出するために使用されると共に、受光装置1bとの同期をとるために使用される。また、LED4b乃至4dから出射される光信号(以下、検出光と称す)は、物体を検出するためのみに使用される。
【0029】
投光側CPU5は、図示しない発振回路から出力される基準クロックに基づいて動作し、図示しないROMに書き込まれた投光制御プログラムを読み出すことによって投光装置1a全体の電気的な制御を行うようになっている。
【0030】
この投光側CPU5では、比率設定回路8のスイッチ8dを切り替えることで、図3(a)乃至(c)に示す3種類の投光信号T1乃至T3が選択的に出力可能になっている。これら投光信号T1乃至T3は、投光サイクルが同等に設定され、LED4aから識別光を出射するための識別用投光信号PS0、及び、他のLED4b乃至4dから検出光を出射するための検出用投光信号PS1乃至PS3が、1投光サイクル内に夫々異なる所定の投光タイミングで出力されるように設定されている。尚、検出用投光信号PS1乃至PS3はパルス状に生成され、識別用投光信号PS0は、検出用投光信号PS1乃至PS3に比べて出力期間が十分長くなるようにして、例えば100kHzの周波数でオンオフを繰り返すバースト状に生成される。
【0031】
また、識別用投光信号PS0の出力時間は、投光信号T1乃至T3の順に、2の累乗比の関係を有する『4:2:1』の比率に設定されており、この比率に応じて、LED4aの発光時間即ち識別用発光時間が決定される。尚、各投光装置1a乃至1cでは、識別用発光時間の比率が互いに異なるように設定されているため、夫々の識別用発光時間は、他のものの出力時間の和とは不一致になっている。
【0032】
選択された投光信号は、AND回路7a乃至7dの一方の入力端子に一斉に出力される。このとき、投光側CPU5のLED選択端子からは、1パルスのLED選択信号がシフトレジスタ6に対して出力され、このLED選択信号は、シフトレジスタ6によってシフトされながら、前記投光信号に同期してシフトレジスタ6の各出力端子から順番に出力される。これにより、識別用投光信号PS0及び検出用投光信号PS1乃至PS3は、AND回路7a乃至7dを介して、LED駆動回路9a乃至9dに順番に出力される。そして、投光タイミングに基づいて各LED4a及び4dが順番に発光し、これによって、LED4aからは識別光が出射され、LED4b乃至4dからは検出光が出射される。尚、これら各LED4a乃至4dが順次発光する一連の動作は、所定間隔で連続的に繰り返される投光サイクルに従って、繰り返し行われるようになっている。
【0033】
[受光装置1bの作用説明]
次に、受光装置1b乃至3bの作用について説明するに、各受光装置1b乃至3bの作用は同等なので、1つの受光装置1bを例に挙げて、以下、その作用について説明する。
受光装置1bでは、各投光サイクルにおいて、まず、LED4aと対をなすPD10aにて識別光を検出することにより、対をなす投光装置1aとの同期がとられ、続いて、LED4b乃至4dと対をなすPD10b乃至10dにて順次検出光を検出することにより、検出エリア11内における物体の侵入の検出が行われるようになっている。以下、1投光サイクルにおける作用について説明する。
【0034】
尚、各受光装置1b乃至3bは、比率設定回路18のスイッチ18dを切り替えることにより、識別用発光時間と略同等にして2の累乗比の関係を有する『4:2:1』の比率に設定された識別用受光時間が選択可能に構成されており、各受光装置1b乃至3bには、対をなす投光装置1a乃至3aに設定されたLED4aの識別用発光時間と同じ比率の識別用受光時間が予め設定されている。
【0035】
<投光装置1a及び受光装置1b間での同期の取得>
投光装置1a及び受光装置1b間の同期がとられていない投光サイクルの開始時において、受光側CPU15では、識別光を出射するLED4aと対をなすPD10aの入出力間のみが導通(有効化)され、他のPD10b乃至10dの入出力間が遮断(無効化)されるように、アナログスイッチ13a乃至13dに対して制御信号が与えられている。
【0036】
この状態で、LED4aから出射されたバースト状の識別光がPD10aに入光すると、PD10aでは、前記識別光が受光信号に光電変換されて出力される。図3(d)は、各LED4a乃至4dから出射された全ての光信号が例えばPD10aに入光したと仮定した場合の受光信号の出力波形を示す一例である。この図3(d)に示すように、受光信号の出力波形はエッジが鈍った状態になっている。そして、この受光信号は、受光アンプ12aにて増幅され、アナログスイッチ13aを介して、コンパレータ14に出力される。(尚、実際には、投光サイクルの途中でアナログスイッチ12aの入出力間が遮断されるため、遮断後の受光信号は、コンパレータ14へは出力されなくなる。)
コンパレータ14では、増幅された受光信号と所定の基準電圧との大小比較が行われ、受光信号が基準電圧よりも大きいときにはハイレベルが出力され、それ以外のときにはロウレベルが出力される。このようにして前記受光信号はコンパレータ14によって波形が矩形状に整形され、受光側CPU15及びオフディレイ回路16に与えられる。
【0037】
オフディレイ回路16では、コンパレータ14からの受光信号のオフタイミングが所定時間だけ遅延される。図3(e)は、(d)の受光信号がオフディレイ回路16から出力された場合の出力波形を示すものであり、この図3(e)に示すように、バースト状の受光信号は、パルス状の矩形波に整形される。
【0038】
受光側CPU15では、オフディレイ回路16から与えられた受光信号のパルス幅に基づいてPD10aでの識別光の受光時間(即ち、LED4aが受光状態となった後に非受光状態となるまでの受光時間)の計測が行われ、設定された識別用受光時間と一致するかの判定が行われる。これにより、対をなす投光装置1aから出射された識別光と、他の投光装置2a或いは3aから出射されたものとの判別が行われる。そして、計測された受光時間と識別用受光時間との一致が検出された時点にて、LED4aから出射された識別光との同期(即ち、投光装置1a及び受光装置1b間での同期)がとられる。
【0039】
続いて、受光側CPU15では、シフトレジスタ17を制御することによって、LED4b乃至4dが検出光を発光するのに同期させながらLED4b乃至4dと対をなすPD10b乃至10dの出力を有効化させるための制御信号が生成される。図3(f)乃至(h)は、(a)乃至(c)の投光信号T1乃至T3に対して同期がとられた場合にシフトレジスタ17の各出力端子から順次出力される制御信号C1乃至C3の出力タイミングを示すものである。この図3(f)乃至(h)に示すように、各LED4b乃至4dの発光に同期させて、各アナログスイッチ13b乃至13dを導通させることにより、LED4b乃至4dと対をなすPD10b乃至10dの出力のみが有効化され、PD10b乃至10dから出力された受光信号がコンパレータ14に与えられる。
【0040】
コンパレータ14では、識別光による受光信号の時と同様の処理が行われ、矩形状に整形された各受光信号は、受光側CPU15及びオフディレイ回路16に出力される。続いて、受光側CPU15では、遮光状態検出機能19によって、検出された受光信号の計数が行われ、この計数値と検出光を受光するためのPD10b乃至10dの個数(3個)との比較が行われる。そして、前記計数値と前記個数とが一致した場合には、全ての光軸11a乃至11dが遮光されていないとの判定に基づいて、検出エリア11内への物体の侵入無しとの判定がなされる。また、前記比較が一致しない場合には、所定の光軸が遮光されたとの判定に基づいて、検出エリア11内への物体の侵入有りとの判定がなされる。そして、この判定結果が、出力回路20に出力される。
尚、受光側CPU15では、検出エリア11内への物体の侵入有りとの判定が連続して所定回数だけなされた場合に、前記物体の侵入有りとの判定結果が出力回路20へ出力されるようになっている。
【0041】
また、受光装置1bでは、識別光による受光信号によっても、検出エリア11内への物体の侵入の有無の判定が行われるようになっている。これは、投光装置1aでは、投光サイクルが所定間隔で連続的に繰り返されているため、受光側CPU15にて、所定期間だけ識別光による受光信号が検出されない場合に、検出エリア11内への物体の侵入有りとの判定をなすことにより行われる。
【0042】
[各多光軸光電センサ1乃至3の非同期動作時における作用説明]
さて、上記構成において、並設された各多光軸光電センサ1乃至3は夫々非同期で動作しており、また、各投光装置1a乃至3aを動作させるための基準クロックを発生させる発振回路の個体差等によって、各投光サイクルの時間幅に若干のズレが発生するため、各投光サイクルの位相関係は常に変動している。このため、比率が『2』及び『1』に設定された投光信号T2及びT3の位相関係が、例えば図3(i)及び(j)に示すように重複しない程度に接近した場合には、両投光信号T2及びT3に基づく識別光は合成され、図3(k)に示すように比率が『3』に設定された投光信号T4に基づく識別光と同等の合成光が形成される。しかしながら、各受光装置1b乃至3bの各PD10a乃至10aに、比率が『3』に合成された合成光が入光しても、各受光装置1b乃至3bの識別用受光時間に比率が『3』に設定されたものは存在しないので、この合成光によって各多光軸光電センサ1乃至3間での識別光の誤検出による誤同期は発生しない。
【0043】
以上説明したように本実施例によれば、物体の侵入を検出するための検出エリア11を広げるために、3つの光電センサ1乃至3を並設させた場合において、所定の投光装置の識別用発光時間が、他の投光装置の識別用発光時間の和と不一致な値になるように、各投光装置1a乃至3aの識別用発光時間を設定したので、例えば2つの投光装置2a及び3aのLED4a及び4aが各自に設定された識別用発光時間に基づいて連続的に切り替わるように発光した場合に、それらの識別光の合成光によって見かけ上の発光時間が長くなっても、この合成光が受光装置1bの識別用受光時間に一致しないようにすることができ、この合成光によって受光装置1bの同期がとられてしまうような識別光の誤検出による誤同期の発生を防止することができる。即ち、各光電センサ1乃至3では、複数の投光装置から出射された識別光の合成光によって自身の受光装置の同期がとられてしまうような識別光の誤検出を防止することができる。
【0044】
また、各投光装置1a乃至3aでは、並設された他の投光装置に設定された識別用発光時間に対して互いに異なる2の累乗比の関係を有する比率(『4:2:1』の比率)になるように自身の識別用発光時間を設定したので、この2の累乗比の関係を利用して、容易に自身の識別用発光時間が他の投光装置の識別用発光時間の和と不一致になるようにすることができる。
【0045】
また、投光装置1a乃至3aは、比率調整回路8によって、複数の識別用発光時間が選択的に設定可能に構成されているので、比率調整回路8のスイッチ8dを切り替えるだけで、識別用発光時間を簡単に設定することができる。これにより、3つの光電センサ1乃至3が並設された場合にも、各投光装置1a乃至3aの識別用発光時間が互いに異なる値になるように簡単に設定することができる。
【0046】
また、受光装置1b乃至3bは、比率調整回路18によって、対をなす投光装置1a乃至3aの識別用発光時間に対応した比率の識別用受光時間が選択的に設定可能に構成されているので、比率調整回路18のスイッチ18dを切り替えるだけで、識別用受光時間を簡単に設定することができる。これにより、各受光装置1b乃至3bでは、3つの光電センサ1乃至3が並設された場合にも、自身と組をなす投光装置1a乃至3aに設定された識別用発光時間に対応した識別用受光時間を簡単に設定することができる。
【0047】
尚、本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例にのみ限定されるものではなく、次のような変形、拡張が可能である。
本発明の一実施例では、光電センサを複数対の投光素子及び受光素子を備えた多光軸光電センサに適用したが、これに限定されるものではなく、一対の投光素子及び受光素子を備えた単光軸光電センサに適用してもよい。例えば単光軸光電センサとしては、物体検出用の光軸を形成するようにして設けられた一対の投光素子及び受光素子、投光回路、及び、遮光状態検出手段で構成してもよい。この場合、投光回路では、投光素子を識別用発光時間に基づいて所定の投光タイミングで繰り返し発光させるようにし、遮光状態検出手段では、常に出力が有効化された受光素子が受光状態となった後に非受光状態となるまでの受光時間が前記識別用発光時間に対応した所定の識別用受光時間と一致するかを判定することに基づいて前記物体検出用の光軸の遮光状態を検出するようにする。そして、複数の単光軸光電センサを並設させる用途において、所定の投光回路の識別用発光時間を、並設された他の複数の投光回路の識別用発光時間の和と不一致な値に設定する。これにより、各投光回路の投光素子が各自に設定された識別用発光時間に基づいて連続的に切り替わるように発光した場合には、それらの光信号の合成光によって見かけ上の発光時間は長くなるが、この合成光は各遮光状態検出手段の識別用受光時間には一致しないので、この合成光による識別光の誤検出を防止することができる。
【0048】
本発明の一実施例では、一の投光素子から出射される光信号を、投光回路及び有効化手段間の同期を取得するために使用すると共に、物体を検出するために使用したが、これに限定されるものではなく、例えば、投光回路及び有効化手段間の同期を取得するためだけに使用してもよい。また、一の投光素子から、同期光及び検出光の順に光信号を出射するようにして、同期光によって投光回路及び有効化手段間の同期を取得し、検出光によって物体を検出するようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の光電センサは、複数の光電センサを並設させた場合において、所定の投光回路の識別用発光時間が、他の投光回路の識別用発光時間の和と不一致な値になるように、各投光回路の識別用発光時間を設定したので、各投光回路の一の投光素子が各自に設定された識別用発光時間に基づいて連続的に切り替わるように発光した場合に、それらの光信号の合成光によって見かけ上の発光時間が長くなっても、この合成光が各有効化手段の識別用受光時間に一致しないようにすることができ、この合成光によって各有効化手段の同期がとられてしまうような識別光の誤検出による誤同期の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す光電センサの電気ブロック構成図
【図2】3つの光電センサを並設させた場合の配置図
【図3】光電センサの動作を示す各信号のタイミングチャート図
【図4】従来例を示す投光回路の投光タイミング図
【符号の説明】
図面中、1〜3は多光軸光電センサ(光電センサ)、1a〜3aは投光装置(投光回路)、1b〜3bは受光装置、4a〜4dはLED(投光素子)、8,18は比率調整回路、10a〜10dはPD(受光素子)、11a〜11dは光軸、11は検出エリア、19は遮光状態検出機能(遮光状態検出手段)、21は有効化回路(有効化手段)を示す。

Claims (5)

  1. 物体検出用の光軸を形成するように対をなして設けられた複数の投光素子及び受光素子と、
    一の投光素子を投光サイクルの開始時に発光させるための識別用発光時間及び各投光素子を以後順次発光させるための検出用発光時間に基づいて各投光素子を隣接順に所定の投光タイミングで繰り返し発光させる投光回路と、
    前記一の投光素子と対をなし予め出力が有効化された受光素子が受光状態となった後に非受光状態となるまでの受光時間が前記識別用発光時間に対応した所定の識別用受光時間と一致する度に、前記投光タイミングに同期させて前記各投光素子の対となる受光素子の出力を有効化する有効化手段と、
    有効化された受光素子から出力される受光信号を検出することに基づいて前記物体検出用の光軸の遮光状態を検出する遮光状態検出手段とを備えた光電センサが複数夫々非同期で動作するように並設されるものであって、
    前記投光回路は、前記識別用発光時間が並設される他の複数の光電センサの識別用発光時間の和と不一致な値に設定されていることを特徴とする光電センサ。
  2. 物体検出用の光軸を形成するようにして設けられた一対の投光素子及び受光素子と、
    識別用発光時間に基づいて前記投光素子を所定の投光タイミングで繰り返し発光させる投光回路と、
    常に出力が有効化された前記受光素子が受光状態となった後に非受光状態となるまでの受光時間が前記識別用発光時間に対応した所定の識別用受光時間と一致するかを判定することに基づいて前記物体検出用の光軸の遮光状態を検出する遮光状態検出手段とを備えた光電センサが複数夫々非同期で動作するように並設されるものであって、
    前記投光回路は、前記識別用発光時間が並設される他の複数の光電センサの識別用発光時間の和と不一致な値に設定されていることを特徴とする光電センサ。
  3. 前記投光回路は、前記識別用発光時間が、並設された他の光電センサに設定された識別用発光時間に対して互いに異なる2の累乗比の関係になるように設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光電センサ。
  4. 前記投光回路は、複数の識別用発光時間が選択的に設定可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の光電センサ。
  5. 前記有効化手段は、前記複数の識別用発光時間に対応した複数の識別用受光時間が選択的に設定可能に構成されていることを特徴とする請求項4記載の光電センサ。
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