JP4776968B2 - 温度保護回路、半導体集積回路装置、電源装置、電気機器 - Google Patents

温度保護回路、半導体集積回路装置、電源装置、電気機器 Download PDF

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Description

本発明は、温度保護回路を備えた半導体集積回路装置に関するものであり、特に、その温度保護機能の精度向上に関するものである。
従来より、電源装置やモータ駆動装置など、パワートランジスタを駆動する半導体集積回路装置(以下、IC[Integrated Circuit]と呼ぶ)の多くは、その異常発熱に起因するICの破壊(特に、発熱源であるパワートランジスタの破壊)を防止する手段として、温度保護回路(いわゆるサーマルシャットダウン回路)を搭載して成る(例えば、本願出願人による特許文献1、2を参照)。
なお、従来の温度保護回路は、一般に、バイポーラトランジスタのVf(ベース・エミッタ間の順方向降下電圧)が周囲温度に依存して変動するという特性を利用して、温度保護信号を生成する構成とされていた。
また、従来の温度保護回路は、一般に、閾値温度にヒステリシスを有する自動復帰式とされていた。
特開2004−253936号公報 特公平6−16540号公報
確かに、特許文献1、2に記載のICであれば、誤動作や過負荷によるICの異常発熱を検知・遮断して、ICの破壊を未然に防止することが可能である。
しかしながら、上記従来のICでは、その過温度保護動作にさほど高速性が要求されないこともあり、ノイズ重畳に起因する温度保護回路の誤動作については、特段の対策が講じられておらず、コンデンサ等でフィルタをかけてはいたが、スイッチングノイズを落としきることはできなかった。
そのため、過熱監視対象がノイズ源でもある場合には、当該過熱監視対象の近傍に設けられる温度保護回路(特に、発熱検出部の電源電圧印加端や出力端)にノイズが重畳し、誤った温度保護信号を生成してしまう、という課題があった。
特に、近年では、スイッチング電源装置やモータ駆動装置において、ノイズ源となるパワートランジスタがICに内蔵されることも多く、このようなICでは、パワートランジスタのオン/オフに起因するパルスノイズが重畳し易いため、上記の課題が顕著であり、温度保護回路を過熱監視対象でもあるパワートランジスタの近傍に置きにくい、という課題があった。
また、温度保護回路を過熱監視対象の近傍に設ければ、異常発熱の検出感度を高めることができる反面、その自動復帰動作については、閾値温度に上記ヒステリシスを持たせてもなお、温度保護信号の論理状態(ハイレベル/ローレベル)が高い頻度で繰り返し、そこから抜け出せない状態(論理発振状態)に陥るおそれがあった。
本発明は、上記の問題点に鑑み、過熱監視対象の近傍に設けられても、高精度の温度保護動作を行うことが可能な温度保護回路、及び、これを備えた半導体集積回路装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明に係る温度保護回路は、監視対象温度が第1の閾値温度に達したときにイネーブルとされ、当該監視対象温度が第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度を下回ったときにディセーブルとされる第1発熱検出信号を生成する発熱検出部と;第1発熱検出信号が所定の確認期間に亘ってイネーブル状態に維持されたときにイネーブルとされる第2発熱検出信号を生成するイネーブル制限部と;第2発熱検出信号のイネーブルに同期してイネーブルとされ、かつ、少なくとも所定の最短期間については、そのイネーブル状態が維持される温度保護信号を生成するディセーブル制限部と;を有して成る構成(第1の構成)としている。
なお、第1の構成から成る温度保護回路において、前記イネーブル制限部は、第1発熱検出信号のイネーブルでリセット解除され、ディセーブルでリセットされるカウンタと;第1発熱検出信号のイネーブル状態が前記確認期間に亘って維持され、前記カウンタでのクロックカウントが完了されたときに、そのセット入力論理が変遷されて、その出力論理が変遷されるラッチと;を有して成り、前記ラッチの出力信号を第2発熱検出信号として送出する構成(第2の構成)にするとよい。
また、第1の構成から成る温度保護回路において、前記イネーブル制限部は、第1発熱検出信号のイネーブルで充電開始され、ディセーブルで放電開始される容量と;第1発熱検出信号のイネーブル状態が前記確認期間に亘って維持され、前記容量での充電が完了されたときに、当該容量の充電電圧レベルがその閾値電圧を超えて、その出力論理が変遷されるコンパレータと;を有して成り、前記コンパレータの出力信号を第2発熱検出信号として送出する構成(第3の構成)にするとよい。
また、第1〜第3いずれかの構成から成る温度保護回路にて、前記ディセーブル制限部は、第2発熱検出信号のイネーブルに同期してイネーブルとされ、かつ、そのイネーブルから前記最短期間が経過した後にディセーブルとされる参照信号を生成する参照信号生成部と;第2発熱検出信号と前記参照信号とを比較し、よりイネーブル期間の長い方を温度保護信号として送出する信号選択部と;を有して成る構成(第4の構成)にするとよい。
或いは、本発明に係る温度保護回路は、監視対象温度が閾値温度に達したときにイネーブルとされる発熱検出信号を生成する発熱検出部と、前記発熱検出信号が所定の確認期間に亘ってイネーブル状態に維持されたときにイネーブルとされる温度保護信号を生成するイネーブル制限部と、を有して成る構成(第5の構成)にしてもよい。
また、本発明に係る温度保護回路は、監視対象温度が第1の閾値温度に達したときにイネーブルとされ、当該監視対象温度が第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度を下回ったときにディセーブルとされる発熱検出信号を生成する発熱検出部と;前記発熱検出信号のイネーブルに同期してイネーブルとされ、かつ、少なくとも所定の最短期間についてはそのイネーブル状態が維持される温度保護信号を生成するディセーブル制限部と;を有して成る構成(第6の構成)にしてもよい。
また、本発明に係る半導体集積回路装置は、スイッチング制御されるパワートランジスタと、該パワートランジスタの異常発熱を検知して保護対象回路に異常である旨を報知する温度保護回路と、を内蔵して成る半導体集積回路装置であって、前記温度保護回路として、第1〜第6のいずれかの構成から成る温度保護回路を有して成る構成(第7の構成)にするとよい。
また、本発明に係る電源装置は、第7の構成から成る半導体集積回路装置を用いて入力電圧から出力電圧を生成する構成(第8の構成)とされている。
また、本発明に係る電気機器は、第7の構成から成る半導体集積回路装置で駆動制御されるモータを有して成る構成(第9の構成)とされている。
上記の本発明に係る温度保護回路であれば、過熱監視対象の近傍に設けられても、高精度の温度保護動作を行うことが可能となり、延いてはこれを備えた半導体集積回路装置、電源装置、電気機器の信頼性向上を図ることが可能となる。
以下では、本発明に係る半導体集積回路装置として、スイッチング電源ICを例示し、詳細な説明を行う。
図1は、本発明に係るスイッチング電源ICの概略構成を示すブロック図である。本図に示すように、スイッチング電源IC1は、温度保護回路10と、スイッチング電源回路20と、を内蔵して成る。
温度保護回路10は、外部端子T1を介して供給される電源電圧Vccを駆動電圧として、スイッチング電源IC1に異常発熱が生じているか否かを示す温度保護信号Stsdを生成する手段である。より具体的に述べると、温度保護信号Stsdは、異常発熱が生じているときにイネーブル(本実施形態ではハイレベル遷移)とされ、異常発熱が生じていないときにディセーブル(本実施形態ではローレベル遷移)とされる2値信号である。
上記の温度保護信号Stsdは、不図示の内部回路やスイッチング電源回路20に送出され、異常発熱時におけるシャットダウン制御に利用される。すなわち、温度保護回路10から温度保護信号Stsdの入力を受けた保護対象回路は、そのイネーブル/ディセーブルに応じて異常発熱が生じているか否かを認識し、内部動作の禁止/許可を制御することが可能となる。
このような温度保護回路10を具備することにより、異常発熱に起因するスイッチング電源IC1の破壊(特に、スイッチング電源回路20を構成するパワートランジスタの破壊)を未然に防止することが可能となる。
また、温度保護回路10は、過熱監視対象であるスイッチング電源回路20(特にそのパワートランジスタ)の近傍に設けられている。このような構成とすることにより、発熱源となるパワートランジスタの接合温度を直接的に検出し、高精度の温度保護動作を実現することが可能となる。
また、温度保護回路10は、その閾値温度にヒステリシスを有する自動復帰式とされている。このような構成とすることにより、チップ温度が下がれば、外部からの復帰信号等を待つことなく、迅速にスイッチング電源IC1の動作を自発復帰させることが可能となる。また、閾値温度にヒステリシスを有する構成であれば、温度保護信号Stsdの論理発振をある程度まで抑制することが可能となる。
なお、温度保護回路10の内部構成及び動作については、後ほど詳細な説明を行う。
スイッチング電源回路20は、外部端子T1を介して供給される入力電圧Vccを所望の出力電圧Voに変換し、外部端子T2に接続される外部負荷(不図示)や、スイッチング電源IC1の内部回路(不図示)に供給する直流変換手段であって、温度保護信号Stsdのイネーブルに応じて、その駆動を遮断されるものである。
ここで、スイッチング電源回路20を構成するパワートランジスタは、そのオン/オフに起因してスイッチングノイズ(パルスノイズ)を生じるノイズ源でもある。そのため、スイッチング電源回路20の近傍に配設された温度保護回路10(特に、発熱検出部の電源電圧印加端や出力端)には、スイッチングノイズが重畳し易い状況となっている。
また、温度保護回路10をスイッチング電源回路20の近傍に設けたことで、異常発熱の検出感度を高めることができる反面、温度保護回路10の自動復帰動作については、閾値温度にヒステリシスを持たせていてもなお、温度保護信号Stsdが論理発振状態に陥り易い状況となっている。
そこで、本実施形態の温度保護回路10は、過熱監視対象の近傍に設けられても、高精度の温度保護動作を行い得るように、発熱検出部11と、イネーブル制限部12と、ディセーブル制限部13と、を有して成る構成とされている(図2を参照)。
以下、温度保護回路10の構成及び動作について、具体的かつ詳細な説明を行う。
発熱検出部11は、バイポーラトランジスタのVf(ベース・エミッタ間の順方向降下電圧)が周囲温度に依存して変動するという特性(約−2[mV/℃]の負の温度特性)を利用して、発熱検出信号Aを生成する構成とされている。
より具体的に述べると、発熱検出部11は、周囲温度が高くなるほど低下するバイポーラトランジスタのVfと温度特性がフラットな基準電圧とを参照し、チップ温度(監視対象温度)が第1の閾値温度Tth1(例えば175℃)に達したときに発熱検出信号Aをイネーブルとする一方、当該チップ温度が第1の閾値温度Tth1よりも低い第2の閾値温度Tth2(約155〜165℃)を下回ったときに発熱検出信号Aをディセーブルとする構成とされている。
イネーブル制限部12は、発熱検出信号Aが所定の確認期間に亘ってイネーブル状態に維持されたときに初めてイネーブル(本実施形態ではハイレベル遷移)される発熱検出信号Bを生成する手段である。逆に言えば、発熱検出信号Aが一時的にイネーブルとされたとしても、そのイネーブル状態が所定の確認期間に亘って維持されない限り、発熱検出信号Bはディセーブルとされたままとなる。なお、上記の確認期間としては、例えば、電源電圧Vccに重畳するスイッチングパルスの周波数成分が100[MHz]程度(パルス幅としては10[ns]程度)であることに鑑み、数十〜数百[ns]程度に設定すればよい。
このようなイネーブル制限を行うことにより、発熱検出部11の電源電圧印加端や出力端にノイズ成分(スイッチング電源回路20からのスイッチングノイズなど)が重畳し、発熱検出信号Aが意図せずにイネーブルとされた場合でも、発熱検出信号B(延いては温度保護信号Stsd)をディセーブル状態に維持することができる。言い換えれば、上記の確認期間よりも短いノイズでは誤動作を生じなくなる。従って、本実施形態の温度保護回路10であれば、過熱監視対象であり、かつ、ノイズの発生源でもあるスイッチング電源回路20の近傍に設けられても、高精度の温度保護動作を行うことが可能となり、延いては、スイッチング電源IC1の信頼性向上を図ることが可能となる。
ディセーブル制限部13は、発熱検出信号Bのイネーブルに同期してイネーブル(本実施形態ではハイレベル遷移)とされ、かつ、少なくとも所定の最短イネーブル期間については、そのイネーブル状態が維持される温度保護信号Stsdを生成する手段である。すなわち、発熱検出信号Bがイネーブル直後にディセーブルとされたとしても、温度保護信号Stsdはディセーブルとされることなく、上記の最短イネーブル期間だけイネーブル状態を維持する。
このようなディセーブル制限を行うことにより、温度保護信号Stsdの論理発振を効果的に防止することができる。また、温度保護信号Stsdのディセーブルの確実性を高め、シャットダウン解除時(スイッチング電源IC1の動作復帰時)に生じるノイズに起因して温度保護信号Stsdが再度イネーブルとされるのを防止することもできる。さらに、シャットダウン動作の継続期間が伸びるので、チップ温度を十分に下げることにも繋がる。従って、本実施形態の温度保護回路10であれば、過熱監視対象であり、かつ、ノイズの発生源でもあるスイッチング電源回路20の近傍に設けられても、高精度の温度保護動作を行うことが可能となり、延いては、スイッチング電源IC1の信頼性向上を図ることが可能となる。
図3は、イネーブル制限部12の第1の構成例を示すブロック図である。本図に示すように、本構成例のイネーブル制限部12は、NAND121と、インバータ122と、カウンタ123と、インバータ124と、RSラッチ125と、を有して成る。
NANDの一入力端は、発熱検出部11の出力端に接続されており、他入力端は、復帰信号ENの印加端に接続されている。NAND121の出力端は、インバータ122を介して、カウンタ123を構成するDフリップフロップFF1〜FFmの各リセット端に接続されている。なお、DフリップフロップFF1〜FFmは、いずれも、リセット端の入力論理がローレベルのときにリセット状態とされ、ハイレベルのときにそのリセット状態が解除される構成とされている。
カウンタ123において、最前段のDフリップフロップFF1のクロック入力端には、所定周波数のクロック信号CLKが入力されている。DフリップフロップFF1の反転出力端(Qバー)は、その次段のDフリップフロップFF2のクロック入力端に接続される一方、自身のデータ入力端(D)にも接続されている。DフリップフロップFF2以降についても、上記と同様、その反転出力端(Qバー)がさらに次段のDフリップフロップのクロック入力端に接続される一方、自身のデータ入力端(D)にも接続されている。そして、最後段のDフリップフロップFFmの出力端(Q)は、インバータ124を介して、RSラッチ125のセット端(S)に接続されている。すなわち、カウンタ123は、クロック信号CLKを所定回数だけカウントし終えたときに、RSラッチ125のセット入力論理をハイレベルからローレベルに変遷する構成とされている。
RSラッチ125は、NAND125a、125bから成る。RSラッチ125のセット端(S)に相当するNAND125aの一入力端は、先述の通り、インバータ124の出力端に接続されている。NAND125aの他入力端は、NAND125bの出力端に接続されている。RSラッチ125の出力端に相当するNAND125aの出力端は、後段のディセーブル制限部13の信号入力端に接続される一方、NAND125bの一入力端にも接続されている。RSラッチ125のリセット端(R)に相当するNAND125bの他入力端は、復帰信号ENの印加端に接続されている。
なお、上記の復帰信号ENは、シャットダウンされたスイッチング電源IC1の動作を強制的に復帰させるための外部信号であり、その定常時論理はハイレベルとされている。また、復帰信号ENは、発熱検出部11にも印加されている。すなわち、スイッチング電源IC1の動作は、温度保護回路10の自動復帰機能に依ることなく、復帰信号ENの再投入(ローレベル遷移)によっても、強制的に復帰させることができる。
図4は、上記の構成から成るイネーブル制限部12の一動作例を説明するための図である。なお、本図(a)は、発熱検出信号Aに意図していないノイズパルスが重畳した場合を示しており、本図(b)は、異常発熱が生じて発熱検出信号Aがイネーブルとされた場合を示している。
まず、本図(a)の場合について詳細に説明する。ノイズの重畳しない定常状態(異常発熱の非発生状態)において、発熱検出信号Aはディセーブル状態(ローレベル)とされている。また、復帰信号ENはハイレベルとされている。従って、NAND121の出力論理はハイレベルとなり、インバータ122の出力論理はローレベルとなる。すなわち、カウンタ123を構成するDフリップフロップFF1〜FFmはいずれもリセット状態とされ、カウンタ123の出力論理はローレベルに維持される。その結果、RSラッチ125のセット入力論理及びリセット入力論理は、いずれもハイレベルとなり、その出力信号(発熱検出信号B)の論理はそれ以前のディセーブル状態(ローレベル)に維持されることになる。
ここで、ノイズ重畳に起因して発熱検出信号Aが意図せずイネーブルとされ、その論理がハイレベルとなった場合、DフリップフロップFF1〜FFmのリセット状態は一時的に解除され、カウンタ123にて、クロック信号CLKのカウントが開始される。しかしながら、発熱検出信号Aのイネーブル状態が所定の確認期間(カウンタ123でのクロックカウントが完了するまでの期間)に亘って維持されることはなく、結局、DフリップフロップFF1〜FFmは、カウント未完了のまま、リセット状態に戻される。従って、SRラッチ125のセット入力論理がローレベルに変遷されることはなく、発熱検出信号Bはディセーブルとされたままの状態、すなわちノイズが除去された状態となる。
次に、本図(b)の場合について詳細に説明する。ノイズの重畳しない定常状態(異常発熱の非発生状態)における動作は、上記と同様であり、発熱検出信号Bの論理はディセーブル状態(ローレベル)に維持される。一方、異常発熱が生じて発熱検出信号Aがイネーブルとされ、その論理がハイレベルとなった場合、DフリップフロップFF1〜FFmのリセット状態は解除され、カウンタ123にてクロック信号CLKのカウントが開始される。そして、発熱検出信号Aのイネーブル状態が所定の確認期間に亘って維持され、カウンタ123でのクロックカウントが完了されると、RSラッチ125のセット入力論理はハイレベルからローレベルに変遷される。その結果、発熱検出信号Bは、発熱検出信号Aよりも所定の確認時間だけ遅れてイネーブルとされることになる。
上記構成によれば、イネーブル制限部12を簡易な回路で実現することが可能となる。なお、スイッチング電源IC1にカウンタが既設であれば、回路規模縮小の観点から、それをカウンタ123として流用しても構わない。また、上記の確認期間は、DフリップフロップFF1〜FFmの段数を適宜変更することによって任意に設定することができる。
図5は、イネーブル制限部12の第2の構成例を示すブロック図である。本図に示すように、本構成例のイネーブル制限部12は、インバータINV1、INV2と、Nチャネル電界効果トランジスタQ1と、定電流源I1と、容量C1と、反転出力コンパレータCMP1と、を有して成る。
インバータINV1の入力端は、発熱検出部11の出力端に接続されている。インバータINV1の出力端は、トランジスタQ1のゲートに接続されている。トランジスタQ1のドレインは、定電流源I1を介して、電源電圧印加端に接続されており、トランジスタQ1のソースは接地されている。容量C1の一端は、トランジスタQ1のドレイン及び反転出力コンパレータCMP1の入力端に各々接続されている。容量C1の他端は接地されている。反転出力コンパレータCMP1の出力端は、インバータINV2を介して、後段のディセーブル制限部13の信号入力端に接続されている。
図6は、上記の構成から成るイネーブル制限部12の一動作例を説明するための図である。なお、本図(a)は、発熱検出信号Aに意図していないノイズパルスが重畳した場合を示しており、本図(b)は、異常発熱が生じて発熱検出信号Aがイネーブルとされた場合を示している。
まず、本図(a)の場合について詳細に説明する。ノイズの重畳しない定常状態(異常発熱の非発生状態)において、発熱検出信号Aはディセーブル状態(ローレベル)とされているため、トランジスタQ1はオン状態となり、容量C1は放電状態となる。従って、容量C1の充電電圧レベルが反転出力コンパレータCMP1の閾値電圧を超えることはなく、比較信号の論理はハイレベルに維持され、発熱検出信号Bの論理は、ディセーブル状態(ローレベル)に維持される。
ここで、ノイズ重畳に起因して発熱検出信号Aが意図せずイネーブルとされ、その論理がハイレベルとなった場合、トランジスタQ1は一時的にオフ状態となり、容量C1の充電が開始される。しかしながら、発熱検出信号Aのイネーブル状態が所定の確認期間(容量C1の充電が完了するまでの期間)に亘って維持されることはなく、結局、トランジスタQ1は、容量C1の充電が未完了のまま、オン状態に戻される。従って、容量C1の充電電圧レベルが反転出力コンパレータCMP1の閾値電圧を超えることはないため、その比較信号の論理がローレベルに変遷されることもなく、発熱検出信号Bはディセーブルとされたままの状態、すなわち、ノイズが除去された状態となる。
次に、本図(b)の場合について詳細に説明する。ノイズの重畳しない定常状態(異常発熱の非発生状態)における動作は、上記と同様であり、発熱検出信号Bの論理は、ディセーブル状態(ローレベル)に維持される。一方、異常発熱が生じて発熱検出信号Aがイネーブルとされ、その論理がハイレベルとなった場合、トランジスタQ1はオフ状態となり、容量C1の充電が開始される。そして、発熱検出信号Aのイネーブル状態が所定の確認期間に亘って維持され、容量C1の充電が完了されると、容量C1の充電電圧レベルが反転出力コンパレータCMP1の閾値電圧を超えて、比較信号の論理がハイレベルからローレベルに変遷される。その結果、発熱検出信号Bは、発熱検出信号Aよりも所定の確認時間だけ遅れてイネーブルとされることになる。
上記構成によれば、カウンタを必要としない分、イネーブル制限部12を先述の第1の構成例よりも小規模な回路で実現することが可能となる。すなわち、上記構成は、スイッチング電源IC1にカウンタが既設でない場合などに好適である。なお、上記の確認期間は、容量C1の静電容量と定電流源I1の定電流量を適宜調整することによって、任意に設定することができる。
図7は、ディセーブル制限部13の一構成例を示すブロック図である。本図に示すように、本構成例のディセーブル制限部13は、参照信号生成部131と、信号選択回路132と、を有して成る。
参照信号生成部131は、イネーブル制限部12から入力される発熱検出信号Bのイネーブルに同期してイネーブル(本実施形態ではハイレベル遷移)とされ、かつ、そのイネーブルから所定期間t0が経過した後にディセーブル(本実施形態ではローレベル遷移)とされる参照信号b2を生成する手段である。なお、所定期間t0は、ICパッケージの放熱性等に応じて予め設定される最短イネーブル期間(固定期間)である。
信号選択部132は、イネーブル制限部12から直接入力される比較信号b1(すなわち発熱検出信号B)と、参照信号生成部131から入力される参照信号b2とを比較し、よりイネーブル期間(パルス幅)の長い方を温度保護信号Stsdとして後段回路に出力する手段である。
図8は、上記構成から成るディセーブル制限部13の一動作例を説明するための図である。なお、本図(a)は、チップ温度が急峻に変動する場合を示しており、本図(b)はチップ温度が緩慢に変動する場合を示している。
まず、本図(a)の場合について詳細に説明する。本図(a)のように、スイッチング電源IC1のシャットダウンと同時に、チップ温度が急峻に低下し、所定期間t0よりも短い期間t1を経過した時点で、第2の閾値温度Tth2を下回った場合、比較信号b1のイネーブル期間t1は、参照信号b2のイネーブル期間t0よりも短くなる。このような場合、信号選択部132は、温度保護信号Stsdの論理発振を生じる恐れが高いという認識の下、よりイネーブル期間の長い方(すなわち参照信号b2)を温度保護信号Stsdとして後段回路に出力する。
次に、本図(b)の場合について詳細に説明する。本図(b)のように、スイッチング電源IC1のシャットダウン後、チップ温度が緩慢に低下し、所定期間t0よりも長い期間t2を経過した時点で、第2の閾値温度Tth2を下回った場合、比較信号b1のイネーブル期間t2は、参照信号b2のイネーブル期間t2より長くなる。このような場合、信号選択部132は、よりイネーブル期間の長い方(すなわち比較信号b1)を温度保護信号Stsdとして後段回路に出力する。
上記の構成によれば、ディセーブル制限部13を簡易な回路で実現することが可能となる。なお、所定期間t0を計時する手段としてカウンタを用いる場合、スイッチング電源IC1にカウンタが既設であれば、回路規模縮小の観点からそれを流用しても構わない。また、イネーブル制限部12を先述の第1の構成例で実現するのであれば、そのカウンタ123を流用しても構わない。すなわち、信号Bがイネーブルとされるまでの期間は、カウンタ123をイネーブル制限手段の一部として用いる一方、発熱検出信号Bがイネーブルとされた後の期間は、カウンタ123をディセーブル制限手段の一部として用いても構わない。
なお、上記の実施形態では、スイッチング電源ICに本発明を適用した場合を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、他の半導体集積回路装置にも広く適用することが可能である。例えば、モータを有して成る電気機器全般において、モータ駆動手段として、本発明に係る半導体集積回路装置を用いれば、モータ駆動の信頼性を向上することができる。
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記の実施形態では、イネーブル制限部12とディセーブル制限部13を両方有する構成を例示して説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、いずれか一方のみを有する構成としても構わない。すなわち、イネーブル制限部12で得られる発熱検出信号Bを温度保護信号Stsdとして出力する構成としてもよいし、発熱検出部11で得られる発熱検出信号Aをディセーブル制限部13に入力する構成としても構わない。
本発明は、半導体集積回路装置の温度保護精度を高める上で有用な技術であり、例えばノイズ源となるパワートランジスタをICに内蔵して成るスイッチング電源装置やモータ駆動装置について、好適に利用することができる。
は、本発明に係るスイッチング電源ICの概略を示すブロック図である。 は、温度保護回路10の概略を示すブロック図である。 は、イネーブル制限部12の一構成例を示すブロック図である。 は、イネーブル制限動作の一例を説明するための図である。 は、イネーブル制限部12の別構成例を示す回路図である。 は、イネーブル制限動作の別の一例を説明するための図である。 は、ディセーブル制限部13の一構成例を示すブロック図である。 は、ディセーブル制限動作を説明するための図である。
符号の説明
1 スイッチング電源IC
T1、T2 電源端子
10 温度保護回路
20 スイッチング電源回路
11 発熱検出部
12 イネーブル制限部
13 ディセーブル制限部
121 NAND
122 インバータ
123 カウンタ
124 インバータ
125 SRラッチ
125a、125b NAND
131 参照信号生成部
132 信号選択部
FF1〜FFm Dフリップフロップ
INV1、INV2 インバータ
Q1 Nチャネル電界効果トランジスタ
I1 定電流源
C1 容量
CMP1 反転出力コンパレータ

Claims (8)

  1. 監視対象温度が所定の閾値温度に達したときにイネーブルとされる第1発熱検出信号を生成する発熱検出部と;第1発熱検出信号が所定の確認期間に亘ってイネーブル状態に維持されたときにイネーブルとされる第2発熱検出信号を生成するイネーブル制限部と;第2発熱検出信号のイネーブルに同期してイネーブルとされ、かつ、少なくとも所定の最短期間については、そのイネーブル状態が維持される温度保護信号を生成するディセーブル制限部と;を有し
    前記ディセーブル制限部は、第2発熱検出信号のイネーブル期間が前記最短期間より短くても、少なくとも前記最短期間はイネーブル状態に維持される信号を温度保護信号として送出することを特徴とする温度保護回路。
  2. 監視対象温度が所定の閾値温度に達したときにイネーブルとされる第1発熱検出信号を生成する発熱検出部と;第1発熱検出信号が所定の確認期間に亘ってイネーブル状態に維持されたときにイネーブルとされる第2発熱検出信号を温度保護信号として生成するイネーブル制限部と;を有し、
    前記イネーブル制限部は、第1発熱検出信号のイネーブルでリセット解除され、ディセーブルでリセットされるカウンタと;第1発熱検出信号のイネーブル状態が前記確認期間に亘って維持され、前記カウンタでのクロックカウントが完了されたときに、そのセット入力論理が変遷されて、その出力論理が変遷されるラッチと;を有して成り、前記ラッチの出力信号を第2発熱検出信号として送出することを特徴とする温度保護回路。
  3. 監視対象温度が所定の閾値温度に達したときにイネーブルとされる第1発熱検出信号を生成する発熱検出部と;第1発熱検出信号が所定の確認期間に亘ってイネーブル状態に維持されたときにイネーブルとされる第2発熱検出信号を温度保護信号として生成するイネーブル制限部と;を有し、
    前記イネーブル制限部は、第1発熱検出信号のイネーブルで充電開始され、ディセーブルで放電開始される容量と;第1発熱検出信号のイネーブル状態が前記確認期間に亘って維持され、前記容量での充電が完了されたときに、当該容量の充電電圧レベルがその閾値電圧を超えて、その出力論理が変遷されるコンパレータと;を有して成り、前記コンパレータの出力信号を第2発熱検出信号として送出することを特徴とする温度保護回路。
  4. 前記発熱検出部の第1発熱検出信号は、監視対象温度が第1の閾値温度に達したときにイネーブルとされ、当該監視対象温度が第1の閾値温度よりも低い第2の閾値温度を下回ったときにディセーブルとされることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の温度保護回路。
  5. 監視対象温度に基づく発熱検出信号に同期してイネーブルとされ、かつ、少なくとも所定の最短期間については、そのイネーブル状態が維持される温度保護信号を生成するディセーブル制限部を有し、
    前記ディセーブル制限部は、前記発熱検出信号のイネーブルに同期してイネーブルとされ、かつ、そのイネーブルから前記最短期間が経過した後にディセーブルとされる参照信号を生成する参照信号生成部と;前記発熱検出信号と前記参照信号のうちイネーブル期間の長い方を前記温度保護信号として送出する信号選択部と;を有して成ることを特徴とする温度保護回路。
  6. スイッチング制御されるパワートランジスタと、該パワートランジスタの異常発熱を検知して保護対象回路に異常である旨を報知する温度保護回路と、を内蔵して成る半導体集積回路装置であって、前記温度保護回路として、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の温度保護回路を有して成ることを特徴とする半導体集積回路装置。
  7. 請求項6に記載の半導体集積回路装置を用いて入力電圧から出力電圧を生成することを特徴とする電源装置。
  8. 請求項6に記載の半導体集積回路装置で駆動制御されるモータを有して成ることを特徴とする電気機器。
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