JP4776391B2 - 排熱利用システム - Google Patents
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Description
この種の排熱利用システムでは、燃料電池から発生する電力を需要者側で利用可能となるとともに、排熱をも有効に利用することで、所謂、電熱並供給を良好に実現できる。
受熱に従って気体を発生する化学反応と前記気体の吸着により放熱する逆反応とを繰り返す反応器と、前記気体が放熱して凝縮液として凝縮する凝縮反応と、受熱に従って前記凝縮液が蒸発する蒸発反応とを繰り返す凝縮・蒸発器とを、仕切り弁を備えた連通管で連通接続して構成され、前記反応器において、外部から熱を受けて前記気体を発生するとともに、発生した前記気体を前記凝縮・蒸発器に送り、前記気体が放熱して凝縮する蓄熱動作と、前記凝縮・蒸発器において、外部から熱を受けて前記凝縮液が蒸発するとともに、発生した気体を前記反応器に送り、前記逆反応を発生して外部に放熱する放熱動作との間で、動作切換え可能なケミカルヒートポンプを備え、
前記貯湯タンク内に貯湯された高温水を前記反応器に送り、前記高温水の熱により前記蓄熱動作を行う蓄熱工程において、前記凝縮・蒸発器において発生する凝縮熱を前記低温水で回収する凝縮熱回収動作を実行し、前記凝縮熱の回収により得られた湯水を前記貯湯タンクに貯湯可能に構成されていることにある。
一方、システムはケミカルヒートポンプを備え、ケミカルヒートポンプが蓄熱動作を行う蓄熱工程において、排熱回収により得られた高温水が利用される。さらに、この蓄熱工程においては、低温水供給機構から供給される低温水がケミカルヒートポンプを成す、凝縮・蒸発器に送られ、この機器における気体の凝縮により発生する熱を回収する。
従って、これまで通常のケミカルヒートポンプに係る技術では、蓄熱時に外部に棄てられていた熱を貯湯タンク側へ回収することができる。
さらに、このシステムでは、ケミカルヒートポンプは単一でシステムを構成することが可能であるため、設備が大型化したり、設備コストが嵩む等の問題を回避することができる。
即ち、前記放熱動作を行う放熱工程において、前記低温水を前記反応器に導き、前記反応器で発生する熱を前記低温水で回収し、得られる湯水を前記貯湯タンクに供給する。
このようにすることで、ケミカルヒートポンプの放熱動作で、蓄熱された熱を利用することができる。
この冷水循環回路に、冷熱蓄熱槽、外部環境から熱を奪って外部環境を冷房する冷房ユニット、若しくは、外部環境から与えられる熱を集熱する集熱ユニットのいずれか一つ以上が備えられていることが、好ましい。
一方、冷房ユニットを備えておくと、例えば、夏季に発生される冷熱を外部環境の冷房用に冷房ユニットで利用できる。集熱ユニットを備えておくと、例えば、冬季に発生される冷熱を外部環境からの熱回収に利用でき、このようにして回収された熱を排熱利用システム側で使用することが可能となる。
当該熱交換器が、前記蓄熱工程における前記高温水からの受熱と、前記放熱動作を行う放熱工程における前記低温水への放熱とで共用されることが好ましい。
この構成を採用することで、蓄熱工程と放熱工程とを、反応器内に設けられた同一の熱交換器を使用して実行することができることとなり、設備構成が簡単になるとともに、設備コストも低減できる。
当該熱交換器が、前記蓄熱工程における前記低温水への授熱と、前記放熱動作を行う放熱工程における冷水循環回路内を流れる冷水からの受熱とで共用されることが好ましい。
この構成の場合も、蓄熱工程と放熱工程とを、凝縮・蒸発器内に設けられた同一の熱交換器を使用して実行することができることとなり、設備構成が簡単になるとともに、設備コストも低減できる。
図1に示す排熱利用システム100は、排熱源としての固体酸化物形燃料電池SOFCと、この固体酸化物形燃料電池SOFCからの排熱を回収する高温水回収熱交換器1と、この高温水回収熱交換器1により得られた高温水を貯湯する貯湯タンク2とを備えて構成されている。この貯湯タンク2は、貯湯水を払出すことで給湯の用に供されるとともに、暖房等の熱負荷循環回路4内を流れる循環水との熱交換により、暖房等の用に供される。
一方、この排熱利用システム100には、水道水等の低温水を供給する低温水供給機構5が備えられている。
この化学反応及び逆反応を可能とすべく、前記反応器6内には、反応器外部からの媒体が内部を流れる熱交換器6hcが設けられている。この媒体とは、本例では、高温水或は低温水である。
蓄熱動作では、反応器6において、高温水が熱交換器6hc内を流れることにより、外部から熱を受けて水蒸気を発生するとともに、発生した水蒸気が凝縮・蒸発器7に移流し、凝縮・蒸発器7において、移流してきた水蒸気が凝縮し、熱交換器7hcを介して低温水に放熱する。この蓄熱動作では、図2に示されるように、反応器6内は70℃程度となり、蓄熱・蒸発器7内は30℃程度となる。
この高温水回収熱交換器1により発生される高温水は、前記貯湯タンク2の最上部(天面部位)に設けられた高温水入口2aより、貯湯タンク2内に供給されるように構成されている。
貯湯タンク2のタンク中間部位に、ケミカルヒートポンプから切替弁Dを介して送られてくる湯水を受入れる中間温水受入口2cが設けられている。
貯湯タンク2には、低温水供給機構5から直接低温水を供給するための低温水直接供給路11が備えられている。この機構5から供給される低温水の温度は5〜25℃である。
一方、この貯湯タンク2の底部から、低温水供給機構5にタンク内の貯湯水を戻す戻り路12が設けられており、この戻り路12に、路12内を流れる湯水の温度を低下させる冷却装置13が備えられている。温度は、先に説明した低温水の温度域まで低下させる。
一方、放熱工程においては、前記冷水循環回路10の一部が熱交換器7hc内の流路からなるものとし、凝縮・蒸発器7で冷却された冷水を利用して、冷熱蓄熱槽14で冷熱を蓄熱する他、夏季には冷房ユニット15内に冷水を循環させ、外部環境の冷房の用に供することができる。一方、冬季には、集熱パネル16内に冷水を循環させ、集熱パネル16で外部環境から熱回収を行うとともに、熱を凝縮・蒸発器7における蒸発の用に供し、ケミカルヒートポンプにおいて、蓄熱動作時に蓄熱された熱に加えて、外部環境から回収される熱をも反応器6での湯水の生成に利用することができる。
蓄熱工程
図2は、排熱利用システム100においてケミカルヒートポンプが蓄熱動作をする蓄熱工程を示す図面であり、湯水が流れている流路を実線で、流れていない流路を破線で示しており、切替弁において白抜きは「連通状態」を、黒塗りつぶしは「非連通状態」を示している(以下、図3、4で同じ)。
この蓄熱工程は、夏季、冬季共通して、例えば、夜間に実行される。本願に係る排熱利用システム100では、この蓄熱工程でも、凝縮・蒸発器で回収できる凝縮熱を低温水で回収する。
反応に必要な熱を授けた湯水は、切替弁C,切替弁Jを介して高温水回収熱交換器1に送られて排熱回収を行った後、高温水循環回路17の復路17bを介して貯湯タンク2に戻される。
図3は、夏季に、排熱利用システム100においてケミカルヒートポンプが放熱動作をする放熱工程を示す図面であり、図4は、冬季に、排熱利用システム100においてケミカルヒートポンプが放熱動作をする放熱工程を示す図面である。
この放熱工程は、例えば、夏季には、冷房ユニット15を備えた部屋に冷房需要がある時間帯に行われる他、冷熱蓄熱槽14での冷熱の蓄熱が必要とされる夏季の朝方等に行われる。冬季には、昼間にあって、太陽光からのエネルギーを集熱パネル16を使用して回収することができる等の状況で行われる。
本願に係る排熱利用システム100では、この放熱工程で、外部環境から凝縮・蒸発器7を介して熱を回収し、その回収熱をも反応器6側の熱交換器6hcに送られてくる低温水で回収することができる。
結果、夏季の冷房需要に対応できるとともに、冬季の熱不足に対しても、外部環境から汲み上げた熱を利用することが可能となる。
(1) 上記の実施の形態にあっては、ケミカルヒートポンプに使用する反応材の基材としては、塩化カルシウムの外、塩化マンガン、塩化マグネシウム、塩化ニッケル、炭酸ナトリウム、硫酸カルシウムから選択される一種以上を挙げることができる。
塩化マンガンに対しては、水、アンモニアが本願にいう化学反応を起こす気体となる。塩化マグネシウムに対しては、水、メタノール、アンモニアが本願にいう化学反応を起こす気体となる。塩化ニッケルに対しては、アンモニアが本願にいう化学反応を起こす気体となる。炭酸ナトリウムに対しては、水が本願にいう化学反応を起こす気体となる。硫酸カルシウムに対しては、水が本願にいう化学反応を起こす気体となる。
(2) 上記の実施の形態においては、排熱源として固体酸化物形燃料電池(SOFC)の例を示したが、排熱が発生するものであれば如何なるものでもよい。例えば、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の外、固体高分子形燃料電池等の燃料電池、ガスエンジン、ガスタービン等も使用できる。
(3) 上記の実施の形態にあっては、低温水の供給源としては、水道水の例を示したが、この排熱回収システムでは、蓄熱動作における凝縮・蒸発器内での凝縮熱回収、放熱動作における反応器内での逆反応の発生に支障がない温度の水であればよい。
従って、別途、排熱回収等により予熱された予熱水も使用可能である。
(4) 冷水循環回路に備えれる機器は、その一種以上が備えられ、冷熱消費が回路で発生する構成であればよい。
(5) 切替弁Dにおいて、直接貯湯タンクに戻す戻り路(第一戻り路)と、高温水回収熱交換器を介して貯湯タンクに戻す戻り路(第二戻り路)との両方を備える構成としたが、切替弁Dに送られてくる湯水の全てをいずれか一方の戻り路を介して、貯湯タンクに戻す構成を採用してもよい。
2 貯湯タンク
5 低温水供給機構
6 反応器
7 凝縮・蒸発器
10 冷水循環回路
11 低温水直接供給路
12 戻り路
13 冷却装置
14 冷熱蓄熱槽
15 冷房ユニット
16 集熱ユニット
17 高温水循環回路
100 排熱利用システム
SOHC固体酸化物形燃料電池(排熱源)
Claims (10)
- 低温水を供給する低温水供給機構と、排熱を発生する排熱源からの排熱を回収して前記低温水から高温水を得る高温水回収熱交換器と、前記高温水回収熱交換器により得られた高温水を貯湯する貯湯タンクとを備えた排熱利用システムであって、
受熱に従って気体を発生する化学反応と前記気体の吸着により放熱する逆反応とを繰り返す反応器と、前記気体が放熱して凝縮液として凝縮する凝縮反応と、受熱に従って前記凝縮液が蒸発する蒸発反応とを繰り返す凝縮・蒸発器とを、仕切り弁を備えた連通管で連通接続して構成され、前記反応器において、外部から熱を受けて前記気体を発生するとともに、発生した前記気体を前記凝縮・蒸発器に送り、前記気体が放熱して凝縮する蓄熱動作と、前記凝縮・蒸発器において、外部から熱を受けて前記凝縮液が蒸発するとともに、発生した気体を前記反応器に送り、前記逆反応を発生して外部に放熱する放熱動作との間で、動作切換え可能なケミカルヒートポンプを備え、
前記貯湯タンク内に貯湯された高温水を前記反応器に送り、前記高温水の熱により前記蓄熱動作を行う蓄熱工程において、前記凝縮・蒸発器において発生する凝縮熱を前記低温水で回収する凝縮熱回収動作を実行し、前記凝縮熱の回収により得られた湯水を前記貯湯タンクに貯湯可能に構成されている排熱利用システム。 - 前記凝縮熱の回収により得られた湯水を前記貯湯タンクに貯湯するに、前記湯水を直接前記貯湯タンクに戻す第一戻り路を備えた請求項1記載の排熱利用システム。
- 前記凝縮熱の回収により得られた湯水を前記貯湯タンクに貯湯するに、前記湯水を前記高温水回収熱交換器を介し昇温して前記貯湯タンクに戻す第二戻り路を備えた請求項1又は2記載の排熱利用システム。
- 前記放熱動作を行う放熱工程において、前記低温水を前記反応器に導き、前記反応器で発生する熱を前記低温水で回収し、得られる湯水を前記貯湯タンクに供給する請求項1〜3のいずれか一項記載の排熱利用システム。
- 前記凝縮・蒸発器における、凝縮液の蒸発に伴って発生する冷熱を熱回収可能な冷水循環回路を備え、
前記冷水循環回路に、冷熱蓄熱槽、外部環境から熱を奪って外部環境を冷房する冷房ユニット、若しくは、外部環境から与えられる熱を集熱する集熱ユニットのいずれか一つ以上が備えられている請求項1〜4のいずれか一項記載の排熱利用システム。 - 前記低温水供給機構から直接前記貯湯タンクに前記低温水を供給する低温水直接供給路が備えられている請求項1〜5のいずれか一項記載の排熱利用システム。
- 前記貯湯タンクが成層型貯湯タンクであり、前記高温水回収熱交換器で得られる前記高温水を前記貯湯タンクへ戻す高温水入口に対して、前記第一戻り路の中間温水受入口が、鉛直方向で下側に設けられている請求項2記載の排熱利用システム。
- 前記貯湯タンクの底部から、前記低温水供給機構にタンク内の湯水を戻す戻り路が設けられており、前記戻り路に、路内を流れる湯水の温度を低下させる冷却装置が備えられている請求項7記載の排熱利用システム。
- 前記反応器に熱交換器を備え、
当該熱交換器が、前記蓄熱工程における前記高温水からの受熱と、前記放熱動作を行う放熱工程における前記低温水への放熱とで共用される請求項1〜8のいずれか一項記載の排熱利用システム。 - 前記凝縮・蒸発器に熱交換器を備え、
当該熱交換器が、前記蓄熱工程における前記低温水への授熱と、前記放熱動作を行う放熱工程における冷水循環回路内を流れる冷水からの受熱とで共用される請求項5記載の排熱利用システム。
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