JP4775936B2 - 光学活性マンデル酸類の製造方法 - Google Patents

光学活性マンデル酸類の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、医農薬原料、液晶材料及び光学分割剤として有用なマンデル酸類の製造方法に関する。
マンデル酸類の製造方法としては、アルデヒド化合物とシアニドとの付加反応によりマンデロニトリル類を合成し、次いで、酸加水分解する製造方法が知られている(特許文献1)。上記付加反応としては、化学的触媒を使用する方法(非特許文献1)又は生物学的触媒を使用する方法(非特許文献2、3)が知られている。また、マンデロニトリル類の酸加水分解後に得られるマンデル酸類を採取する方法として、有機溶媒でマンデル酸類を抽出した後、該有機溶媒を濃縮や乾固する方法、又は有機溶媒と水の混合溶媒でマンデル酸類を抽出した後、マンデル酸類を晶析する方法等が知られている(特許文献3〜5)。しかし、上記方法では加水分解反応で副生したマンデル酸類の二量体が晶析によって完全に分離されず、マンデル酸類の二量体が乾燥後のマンデル酸類結晶の化学純度を低下させる原因となっていた(特許文献5)。さらには、晶析後の分離母液には、マンデル酸類の二量体が多量に含まれることからその分離母液の廃棄による無駄を無くし、化学純度を低下させる二量体を消失させた分離母液の再使用が望まれていた。
特開平10−59895号公報 特開2001−348356号公報 特開2001−342165号公報 特開2003−206255号公報 特開2003−226666号公報 Inoue, S. et al., J. Org. Chem., 55, 181-185(1990) Effenberger, F. et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 33, 1555-1564(1994) Effenberger, F. et al., Tetrahedron Lett., 31, 1249-1252(1990)
本発明の目的は、マンデル酸類の二量体を実質的に消失させた分離母液を再使用して高純度光学活性マンデル酸類結晶を効率よく得ることにある。
本発明は、光学活性マンデロニトリル類を酸加水分解後、固液分離して光学活性マンデル酸類結晶を採取する光学活性マンデル酸類結晶の製造方法において、固液分離後の分離母液をアルカリ処理し、マンデル酸類の二量体を実質的に消失させた分離母液の少なくとも一部を再使用する光学活性マンデル酸類結晶の製造方法である。及び、本発明は、アルカリ処理された分離母液の少なくとも一部を酸加水分解工程後の濃縮又は冷却晶析工程に添加し再使用する前記の方法である。
本発明によれば、マンデル酸類の二量体が実質的に消失された分離母液が再使用され、高純度光学活性マンデル酸類を効率よく得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明において、酸加水分解される対象である光学活性マンデロニトリル類は、例えば、アルデヒド類にシアニドを付加して製造される。アルデヒド類としては、次式(I)で示される化合物が挙げられる。
(式中、Ar基は無置換または置換されたアリール基若しくは、複素アリール基を示す。)式IのAr基としては、例えばフェニル、ベンジル、ナフチル、ピリジル、フリル等が挙げられる。置換されたAr基の場合、置換基としては、例えば、(保護されていても良い)ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アルキルチオ、ハロゲン、置換されたフェニル、フェノキシ、アミノまたはニトロが挙げられる。好ましくは、Ar基はアリール基、特に好ましくはフェニル基である。それらAr基は無置換、あるいはC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、(保護されていても良い)ヒドロキシ、アセトキシ、Cl、Br、フェニル、フェノキシまたはフルオロフェノキシによって置換されていてもよい。
具体的には、ベンズアルデヒド、m−フェノキシベンズアルデヒド、p−アセトキシベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、2,3−メチレンジオキシベンズアルデヒド、フルフラール、ピリジン−2−カルバルデヒド等の芳香族アルデヒドが挙げられる。好ましくは、ベンズアルデヒド、m−フェノキシベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、2,3−メチレンジオキシベンズアルデヒドであり、特に好ましくは、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒドが挙げられる。
光学活性マンデロニトリル類の合成は、化学的触媒又は生物学的触媒の存在下で立体選択的な付加反応で合成される。化学的触媒としては、環状ジペプチド等が挙げられる。生物学的触媒としては、生物体由来の(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼ、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ等を含む粗酵素、精製酵素、固定化酵素が挙げられる。これらの酵素は、該酵素をコードする遺伝子を組み込んだ遺伝子組換え微生物によって生産されたものであっても良い。
(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼには、例えばトウダイグサ科に属する植物であるキャッサバ(Manihot esculenta)由来のもの(EC 4.1.2.37)、パラゴムノキ(Hevea brasiliensis)由来のもの(EC 4.1.2.39)、あるいはイネ科に属する植物であるモロコシ(Sorghum bicolor)由来のもの(EC 4.1.2.11)等が挙げられる。
上記式(I)で示されるアルデヒドを原料として使用し、青酸を付加した場合、次式(II)で示される光学活性マンデロニトリル類が得られる。
(式中、Arは、式Iと同義である。)
上記式(II)で示されるマンデロニトリルとしては、例えば、マンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトニトリル)、3−フェノキシマンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−(3−フェノキシフェニル)アセトニトリル)、4−アセトキシマンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−(3−アセトキシフェニル)アセトニトリル)、4−メチルマンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−(p−トリル)アセトニトリル)、2−クロロマンデロニトリル(2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシアセトニトリル)、3−クロロマンデロニトリル(2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシアセトニトリル)、4−クロロマンデロニトリル(2−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシアセトニトリル)、3−ニトロマンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−(3−ニトロフェニル)アセトニトリル)、3,4−メチレンジオキシマンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)アセトニトリル)、2,3−メチレンジオキシマンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−(2,3−メチレンジオキシフェニル)アセトニトリル)、2−(2−フリル)−2−ヒドロキシアセトニトリル、2−(2−ピリジル)−2−ヒドロキシアセトニトリル等の2−アリール−2−ヒドロキシアセトニトリル等が挙げられる。好ましくは、マンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトニトリル)、3−フェノキシマンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−(3−フェノキシフェニル)アセトニトリル)、4−メチルマンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−(p−トリル)アセトニトリル)、2−クロロマンデロニトリル(2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシアセトニトリル)、3−クロロマンデロニトリル(2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシアセトニトリル)、4−クロロマンデロニトリル(2−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシアセトニトリル)、3−ニトロマンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−(3−ニトロフェニル)アセトニトリル)、3,4−メチレンジオキシマンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)アセトニトリル)、2,3−メチレンジオキシマンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−(2,3−メチレンジオキシフェニル)アセトニトリル)であり、特に好ましくは、マンデロニトリル(2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトニトリル)、2−クロロマンデロニトリル(2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシアセトニトリル)、3−クロロマンデロニトリル(2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシアセトニトリル)、4−クロロマンデロニトリル(2−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシアセトニトリル)が挙げられる。
次いで、上記方法で得られた光学活性マンデロニトリル類を酸加水分解することによりマンデル酸類を得る。酸加水分解により生成する光学活性マンデル酸類は、次式(III)で示される化合物である。
(式中、Arは、式Iと同義である。)
酸加水分解反応に用いる光学活性マンデロニトリル類としては、必要に応じて精製された光学活性マンデロニトリル類であっても良い。例えば、光学活性マンデロニトリル類は、抽出、蒸留、カラムクロマトグラフィー、晶析又は活性炭処理等の公知の方法によって精製することができる。光学活性マンデロニトリル類溶液は、光学活性マンデロニトリル類の含有率80質量%以上、好ましくは90質量%以上の溶液に調製して加水分解することが好ましい。
溶媒の留去によって光学活性マンデロニトリル類溶液を濃縮する場合は、安定化のために光学活性マンデロニトリル類溶液に鉱酸等を添加することが好ましい。
酸加水分解反応は、鉱酸を用いて実施することが好ましい。鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、過塩素酸が挙げられる。塩酸が好ましく用いられる。
鉱酸の使用量は、光学活性マンデロニトリル類に対して、0.5〜20当量とすることが好ましい。使用量は、0.9〜10当量とすることがより好ましく、1.0〜5.0当量とすることが特に好ましい。
酸加水分解反応に用いる溶媒は、水とすることが好ましい。酸加水分解反応における、光学活性マンデロニトリル類、鉱酸及び水の添加方法は、酸加水分解反応効率を向上させる点から鉱酸中へ光学活性マンデロニトリル類を添加し、次いで、水を添加する方法が好ましい。
酸加水分解反応後、必要に応じて濃縮や冷却晶析等の操作が実施され、光学活性マンデル酸類結晶が析出される。例えば、冷却晶析の場合には、冷却速度は0.3〜30℃/時間とすることが好ましい。この範囲内とすることにより光学活性マンデル酸類結晶の微粉の析出が抑えられ、光学活性マンデル酸類の結晶粒径を大きくすることができる。また、固液分離時の分離性が良好となるので好ましい。冷却速度は、0.4〜20℃/時間とすることが好ましく、0.5〜10℃/時間とすることが特に好ましい。濃縮の場合、加水分解反応液を濃縮する量としては、マンデル酸類が析出する量であれば特に限定されず、減圧下または常圧下で濃縮しても良い。
結晶は固液分離により採取される。固液分離方法は、例えば、加圧ろ過、自然ろ過、加熱ろ過又は遠心分離等が挙げられる。分離温度は、5℃〜50℃とすることが好ましい。この範囲内とすることにより光学活性マンデル酸類結晶を高収率で採取することができる。分離温度は、5〜45℃とすることがより好ましく、10〜40℃とすることが特に好ましい。なお、「分離温度」とは結晶が析出している光学活性マンデル酸類加水分解反応溶液の温度を意味する。固液分離後の光学活性マンデル酸類結晶は、必要に応じて水で洗浄される。
本発明においては、固液分離を行った後の分離母液をアルカリ処理し、マンデル酸類の二量体を実質的に消失させる。アルカリ処理に供される固液分離後の分離母液とは、上述の加水分解反応溶液から、光学活性マンデル酸類結晶が固液分離された後の残存液のことである。
本発明において、アルカリ処理とは、分離母液に、アルカリを添加して分離母液のpHを上げることを意味する。使用されるアルカリは、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア水等が挙げられ、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
本発明において、分離母液に添加するアルカリの形状は、取り扱いの容易さから水溶液が好ましい。
本発明において、アルカリ処理の対象となる光学活性マンデル酸類の二量体とは、マンデル酸類二分子からなり、各ヒドロキシル基とカルボキシル基の少なくとも一組が分子間でエステル結合を形成したものである。
本発明において、アルカリ処理の時間は、マンデル酸類の二量体が実質的に消失するまで処理する。ここで、実質的に消失するとは、高速液体クロマトグラフィーの測定において、分析ピークの光学活性マンデル酸類とその二量体の面積合計を100面積%とした場合にその二量体の含有割合が検出限界以下(0.015%以下)であることを意味する。
本発明において、アルカリの使用量としては、分離母液のpHを7.0〜14.0とする量が好ましい。この範囲内とすることにより分離母液中の二量体が実質的に消失するまでの時間を短くでき、効率的にマンデル酸類の二量体を消失させることができる。また、分離母液が再使用された時に反応系内のアルカリ濃度が上昇しすぎず、中和による無機塩の増加が防止される。使用量は、分離母液のpHを8.0〜10.0とする量が特に好ましい。
本発明において、アルカリ処理の温度は、40〜70℃とすることが好ましい。この範囲内とすることによりアルカリ処理速度を速くすることができる。温度は50〜60℃とすることが特に好ましい。
本発明において、アルカリ処理は、処理を均一化するために撹拌しながら行うことが好ましい。
また、固液分離後の結晶を、水によって再溶解、再結晶、固液分離及び洗浄等の操作を施し複数回繰り返しても良い。また、得られた分離母液をアルカリ処理して再使用しても良い。
アルカリ処理された分離母液の少なくとも一部を酸加水分解工程後の濃縮や冷却晶析工程に添加し再使用することで、分離母液に溶解した光学活性マンデル酸類を効率良く採取できる。
以下、実施例及び比較例により本発明を詳しく説明する。
光学活性マンデル酸類の純度及びマンデル酸類の二量体の含有割合は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、下記の分析条件で決定した。
<光学活性マンデル酸類の化学純度及びマンデル酸類結晶中の二量体含有割合>
試料調製方法: 試料200mgをキャリヤー25mLに溶解
装置: カラムオーブン 日本分光社製 865−CO
UV 日本分光社製 870−UV
ポンプ 日本分光社製 880−PU
インテグレーター 島津製作所社製 C−R3A
カラム: ODS−2(GLサイエンス社製)
キャリヤー: アセトニトリル:水=3/7(リン酸にてpH3.0に調整)
カラム温度: 40℃
流速: 1mL/min
波長: 220nm
検出限界値: マンデル酸結晶中の二量体含有割合0.015%(面積百分率)((S)−マンデル酸とその二量体のHPLC分析結果の吸収ピーク面積合計を100面積%とした場合)
[調製例1]
攪拌機及び温度計を付した500mL容フラスコに(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼ酵素(EC 4.1.2.37)水溶液(1072U/mL)4.1g、50mMリン酸水素ナトリウム/50mMクエン酸緩衝液(pH6.0)29.6g及びターシャルブチルメチルエーテル(和光純薬工業社製)119.0gを秤り取った。これを16〜18℃で攪拌しながら、シアン化水素32.4g(1.20モル)及びベンズアルデヒド(和光純薬工業社製)82.7g(0.78モル)を2時間かけて連続的に滴下添加した。添加終了後、18℃で4時間撹拌した後、HPLCの分析によりベンズアルデヒドの実質的消失を確認した。このときの(S)−マンデロニトリルの転化率及び光学純度は、それぞれ99.0質量%、98.5%eeであった。その後、ターシャルブチルメチルエーテル及び50mMリン酸水素ナトリウム/50mMクエン酸緩衝液をエバポレーターで留去し、95質量%(S)−マンデロニトリル水溶液を得た。
[調製例2]
35%塩酸208.3gに上記調整例1で得られた(S)−マンデロニトリル水溶液133.1gを添加して加水分解を行なった。加水分解終了後に純水404.0gで(S)−マンデル酸濃度が20%になるまで希釈した。この希釈液を60℃で溶解した後、冷却速度5℃/時間で40℃まで冷却して結晶化を行った。結晶を分離温度40℃で固液分離した。この分離母液は、マンデル酸の二量体を1%(面積百分率)及び(S)-マンデル酸を10質量%含有していた。
[実施例1]
(1)分離母液のアルカリ処理
攪拌機及び温度計を付した500mL三口フラスコに、調製例2で得られた分離母液を100g入れ、48%水酸化ナトリウム水溶液でpH10.0に調整した。その後、50℃で1時間攪拌した。撹拌終了後、分離母液をHPLCで分析した結果、マンデル酸の二量体は、検出限界値以下であった。
(2)アルカリ処理した分離母液の再使用
35%塩酸208.3gに(S)−マンデロニトリル133.1gを添加して加水分解した。加水分解終了後に上記(1)で得られたアルカリ処理された分離母液100.0gと純水338.1gを加え、(S)−マンデル酸濃度が20質量%になるまで希釈した。この希釈液を冷却速度5℃/時間で60℃から40℃まで冷却して結晶化を行った。結晶を分離温度40℃で固液分離し採取した。次いで、採取された結晶を乾燥させた。その結果、乾燥(S)−マンデル酸100.0g(純度99.9%)結晶が得られ、この乾燥結晶中のマンデル酸の二量体は検出限界値以下であった。アルカリ処理された分離母液は問題なく再使用できた。
[実施例2]
(1)分離母液のアルカリ処理
調製例2で得られた分離母液をpH8.0に調整し、50℃で5時間撹拌した以外は実施例1(1)と同様の方法で行った。処理された分離母液中のマンデル酸の二量体は、検出限界値以下であった。
(2)アルカリ処理した分離母液の再使用
分離母液を実施例2(1)で得られたアルカリ処理された分離母液に変えた以外は実施例1(2)と同様の方法で行った。得られた乾燥結晶中のマンデル酸の二量体は検出限界値以下であった。アルカリ処理した分離母液は問題なく再使用できた。
[実施例3]
(1)分離母液のアルカリ処理
調製例2で得られた分離母液をpH7.0に調整し、50℃で5時間、60℃で3時間攪拌した以外は実施例1(1)と同様の方法で行った。処理された分離母液中のマンデル酸の二量体は、検出限界値以下であった。
(2)アルカリ処理した分離母液の再使用
分離母液を実施例3(1)で得られたアルカリ処理された分離母液に変えた以外は実施例1(2)と同様の方法で行った。得られた乾燥結晶中のマンデル酸の二量体は検出限界値以下であった。アルカリ処理した分離母液は問題なく再使用できた。
[比較例1]
(1) 分離母液の取得
調製例2で得られた分離母液をpH6.0に調整し、50℃で5時間撹拌した以外は実施例1(1)と同様の方法で行った。分離母液のマンデル酸の二量体は0.2%(面積百分率)残存していた。
(2)分離母液の再使用
分離母液を比較例1(1)で得られた分離母液に変えた以外は実施例1(2)と同様の方法で実施した。その結果、乾燥(S)−マンデル酸98.0g(純度99.8%)結晶を得た。この結晶はマンデル酸の二量体を0.1%(面積百分率)含有していた。

Claims (2)

  1. 以下の工程を含む、光学活性マンデル酸結晶の製造方法。
    (1)式(II)
    (式中、Ar基はアリール基若しくは複素アリール基を示す。)
    で示される光学活性マンデロニトリルを鉱酸により加水分解する工程、
    (2)濃縮又は冷却晶析を行うことにより、上記工程(1)で得られた式(III)
    (式中、Ar基はアリール基若しくは複素アリール基を示す。)
    で示される光学活性マンデル酸結晶を析出させる工程、
    (3)固液分離を行うことにより、上記工程(2)で得られた光学活性マンデル酸結晶と母液とを分離する工程、
    (4)上記工程(3)で得られた母液をアルカリ処理することにより、高速液体クロマトグラフィーの測定において、分析ピークの光学活性マンデル酸とその二量体の面積合計を100面積%とした場合に、その二量体の含有割合を0.015%以下とする工程、
    (5)上記工程(4)で得られた分離母液の少なくとも一部を再使用する工程。
  2. アルカリ処理された分離母液の少なくとも一部を酸加水分解工程後の濃縮又は冷却晶析工程に添加し再使用する請求項1記載の方法。
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