JP4775354B2 - エンジンクランク軸の潤滑装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンクランク軸の潤滑装置に関するものである。
エンジンクランク軸は、一般に、シリンダブロック及び軸受キャップに支持されるクランクジャーナルと、コンロッド本体及びキャップを有するコンロッドの大端部を支持するクランクピンと、クランクジャーナルとクランクピンとを連結するクランクアームとを備えている。そして、シリンダブロック及び軸受キャップとクランクジャーナルとの間、並びにコンロッドとクランクピンとの間には、軸受がそれぞれ設けられている。
このような軸受としてメタルがあるが、このメタルは面でクランクジャーナルやクランクピンを支持する構造なので、回転抵抗が高い。これは、燃費向上の観点から好ましくない。そこで、特許文献1のエンジンクランク軸では、燃費改善のため、軸受としてローラ軸受を採用している。
特許文献1のものでは、シリンダブロック内部には、一端がオイルギャラリーに接続され、他端がシリンダブロックの軸受孔内周面に開口する油孔が形成されている。そして、オイルギャラリーからの油を油孔を介してクランクジャーナル側のローラ軸受に供給するようになっている。
また、クランクアームのクランクジャーナル側の端面には油受孔が形成されており、クランクアーム内部には、一端が油受孔の内周面に開口し、他端がクランクアームのクランクピン側の端面に開口する油孔が形成されている。そして、クランクジャーナル側のローラ軸受端面から漏れた油を油受孔で受け、その油を油孔を介してクランクピン側のローラ軸受にその端面から供給するようになっている。
実開平1−145910号公報
このように、特許文献1のものにおいては、クランクジャーナル側のローラ軸受端面から漏れた油を単に油受孔で受けるだけなので、油を油受孔に確かに供給することができない可能性がある。たとえ油受孔に給油できたとしても、クランクピン側のローラ軸受端面は狭いので、油をクランクピン側のローラ軸受に間違いなく供給することができない可能性がある。これらのことから、クランクピン側のローラ軸受に確実に給油することができないおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クランクピン側のローラ軸受に確実に給油することにある。
第1の発明は、シリンダブロック及び軸受キャップに支持されるクランクジャーナルと、コンロッド本体及びキャップを有するコンロッドの大端部を支持するクランクピンと、上記クランクジャーナルと上記クランクピンとを連結するクランクアームとを備えたエンジンクランク軸の潤滑装置であって、上記シリンダブロック及び上記軸受キャップと上記クランクジャーナルとの間、並びに上記コンロッドと上記クランクピンとの間には、ローラ軸受がそれぞれ設けられており、上記クランクジャーナル側のローラ軸受は、上記シリンダブロック及び上記軸受キャップの軸受孔内周面に回転不能に設けられたアウターレースを有しており、上記シリンダブロックの軸受孔内周面には、上記クランクジャーナル側のローラ軸受に給油するための第1油孔が開口しており、上記アウターレースには、上記第1油孔と対向する部分に径方向に貫通する貫通孔が形成されており、上記アウターレースの外周面には、上記貫通孔の配置部分にクランク軸方向に延びる連絡溝が形成されており、上記クランクアームにおけるクランク軸方向の上記クランクジャーナル側の端面には、周方向に延びる欠円状のリング溝が形成されており、上記エンジンクランク軸には、それぞれ上記リング溝を覆うように設けられかつその間を介して上記連絡溝からの油を上記リング溝に供給する複数のブレード部を有する円環状又は欠円環状の環状部材が取り付けられており、上記リング溝における上記エンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部には、上記クランクピン側のローラ軸受に給油するための第2油孔の一端が開口しており、上記第2油孔は、上記クランクアーム及び上記クランクピンの内部を通って他端が該クランクピンの外周面に開口していることを特徴とするものである。
これにより、油がシリンダブロックの第1油孔及びアウターレースの連絡溝を介してその端から噴出して、その噴出した油が環状部材のブレード部の間を介してクランクアームのリング溝に供給される。それから、そのリング溝に供給された油が、エンジンクランク軸の回転に伴う慣性力によって、リング溝をエンジンクランク軸の回転方向とは反対側に流れて、そのエンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部に到達する。そして、その端部に到達した油がクランクアーム及びクランクピン内部の第2油孔を介してクランクピン側のローラ軸受に供給される。これらのことから、従来のように、クランクピン側のローラ軸受端面を介して給油するのと比較して、クランクピン側のローラ軸受に確実に給油することができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ブレード部は、クランク軸方向の上記クランクジャーナル側から上記クランクアーム側に行くに従って上記エンジンクランク軸の回転方向とは反対側に延びる斜面を有することを特徴とするものである。
これにより、ブレード部の斜面を、クランク軸方向のクランクジャーナル側からクランクアーム側に行くに従ってエンジンクランク軸の回転方向とは反対側に延ばしているので、ブレード部の間を介して連絡溝からの油をリング溝に供給する際、その油をその斜面によってリング溝に指向させることができるとともに、ブレード部の間を介して連絡溝からの油をリング溝に供給するのに、エンジンクランク軸の回転に伴う慣性力を有効利用できる。よって、クランクピン側のローラ軸受に一層確実に給油することができる。
第3の発明は、上記第1又は2の発明において、上記リング溝における上記エンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部、及び上記第2油孔の一端は、クランク軸方向視で上記クランクジャーナルの軸心に対して上記クランクピン側に配置されていることを特徴とするものである。
これにより、リング溝におけるエンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部、及び第2油孔の一端を、クランク軸方向視でクランクジャーナルの軸心に対してクランクピン側に配置しているので、第2油孔を介してリング溝からの油をクランクピンの外周面に供給するのに、エンジンクランク軸の回転に伴う遠心力を有効利用できる。よって、クランクピン側のローラ軸受に一層確実に給油することができる。
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、上記環状部材は、上記リング溝における上記エンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部を塞ぐ閉塞部をさらに有することを特徴とするものである。
これにより、環状部材の閉塞部がリング溝におけるエンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部を塞いでいるので、リング溝におけるエンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部における油圧を高いレベルで維持することができる。よって、クランクピン側のローラ軸受に一層確実に給油することができる。
第5の発明は、上記第2の発明において、上記リング溝における上記エンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部、及び上記第2油孔は、クランク軸方向視で上記クランクジャーナルの軸心と上記クランクピンの軸心とを結ぶ線上に配置されていることを特徴とするものである。
これにより、リング溝におけるエンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部、及び第2油孔を、クランク軸方向視でクランクジャーナルの軸心とクランクピンの軸心とを結ぶ線上に配置しているので、第2油孔を介してリング溝からの油をクランクピンの外周面に供給するのに、エンジンクランク軸の回転に伴う遠心力を有効利用できる。よって、クランクピン側のローラ軸受に一層確実に給油することができる。
本発明によれば、油が第1油孔及び連絡溝を介してその端から噴出して、その噴出した油がブレード部の間を介してリング溝に供給され、それから、そのリング溝に供給された油が、エンジンクランク軸の回転に伴う慣性力によって、リング溝をエンジンクランク軸の回転方向とは反対側に流れて、そのエンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部に到達し、そして、その端部に到達した油が第2油孔を介してクランクピン側のローラ軸受に供給される。これらのことから、従来のように、クランクピン側のローラ軸受端面を介して給油するのと比較して、クランクピン側のローラ軸受に確実に給油することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係るエンジンクランク軸(以下、クランク軸という)の潤滑装置を、4つの気筒が直列配置された直列4気筒4サイクルエンジンに適用した例を示す図である。図1の符号10は、アルミニウム製シリンダブロック1のバルクヘッドであり、符号11は、このバルクヘッド10の下端にボルトによって締結固定されたアルミニウム製軸受キャップである。図1、図2に示すように、バルクヘッド10の下端部、及び軸受キャップ11の上端部には半円状の軸受孔12,13がそれぞれ形成されており、これらの軸受孔12,13にはクランク軸2のクランクジャーナル20が鉄製ローラ軸受3を介して回転自在に支承されている。このローラ軸受3は、軸受孔12,13の内周面に回転止め用ピン30によって回転不能に固定された半割りの環状アウターレース31と、このアウターレース31とクランクジャーナル20との間に設けられた複数のニードルローラ32,32,…と、これらのニードルローラ32,32,…を互いに平行にかつ周方向に所定間隔だけ開けた状態で周方向に転動可能に保持する半割りの環状ホルダー33とからなる。このホルダー33は、ニードルローラ32の転動に応じて軸受孔12,13内で回転するようになっている。
なお、バルクヘッド10及び軸受キャップ11とニードルローラ32との間にアウターレース31を介在させるのは、このアウターレース31がないと、硬度の高い鉄製ニードルローラ32が直接、硬度の低いアルミニウム製バルクヘッド10及び軸受キャップ11上を回転し、これらが痛んでしまうからである。
バルクヘッド10内部には、一端がバルクヘッド10の軸受孔12内周面に開口し、他端がオイルギャラリー1aに接続された直線状の第1油孔10aが形成されている。オイルギャラリー1aは、シリンダブロック1内部のシリンダ14下端近傍であってクランク軸方向と直交する方向(以下、クランク軸直交方向という)の一方側(図2では右側)の部分に、クランク軸方向に延びるように形成されている。アウターレース31における第1油孔10aの一端と対向する部分には、径方向(厚み方向)に貫通する貫通孔31aが形成されている。そして、クランク軸2の回転時には、オイルギャラリー1aからのオイルが第1油孔10a及び貫通孔31aを通ってクランクジャーナル20側のローラ軸受3に供給されるようになっている。
なお、クランク軸方向の両端のクランクジャーナル20は、それぞれ、シリンダブロック1のフロント壁(又はリア壁)及び軸受キャップ11にそれぞれ形成された軸受孔にローラ軸受3を介して回転自在に支承されている。このローラ軸受3に給油するための油孔10aは、フロント壁(又はリア壁)に形成されている。
図1、図3に示すように、上記クランクジャーナル20にクランクアーム21を介して連結されたクランクピン22は、鉄製コンロッド4の大端部4aを回転自在に支承している。このコンロッド4は、コンロッド本体40と、このコンロッド本体40の下端にボルト41によって締結固定されたキャップ42とを有していて、小端部(図示せず)がシリンダ14内を往復運動するピストン15に連結されている。コンロッド本体40の下端部、及びキャップ42の上端部には、半円状の軸受孔4b,4cがそれぞれ形成されており、これらの軸受孔4b,4cには、クランクピン22との間に鉄製ローラ軸受5が介装されている。このローラ軸受5は、コンロッド4とクランクジャーナル20との間に設けられた複数のニードルローラ50,50,…と、これらのニードルローラ50,50,…を互いに平行にかつ周方向に所定間隔だけ開けた状態で周方向に転動可能に保持する半割りの環状ホルダー51とからなる。このホルダー51は、ニードルローラ50の転動に応じて軸受孔4b,4c内で回転するようになっている。
以下の説明では、5つのクランクジャーナル20をそれぞれ図1の左側から順に第1〜第5クランクジャーナル20a〜20eと、8つのクランクアーム21をそれぞれ左側から順に第1〜第8クランクアーム21a〜21hと、4つのクランクピン22をそれぞれ左側から順に第1〜第4クランクピン22a〜22dと呼ぶ。
図1、図4、図5に示すように、第2及び第4クランクジャーナル20b,20dにおけるローラ軸受3のアウターレース31外周面には、貫通孔31aの配置部分にクランク軸方向に延びてアウターレース31のクランク軸方向の両端面に開口する直線状の連絡溝31bがそれぞれ形成されている。この連絡溝31bはその両端からオイルを常時噴き出すようになっている。
図1、図4〜図6に示すように、第2、第3、第6及び第7クランクアーム21b,21c,21f,21gにおけるクランク軸方向のクランクジャーナル20側の端面には、アウターレース31寄りに周方向に延びる欠円状のリング溝23がそれぞれ形成されている。このリング溝23におけるクランク軸2の回転方向とは反対側の端部(以下、終端部という)23aは、クランク軸方向視でクランク軸2の回転中心としてのクランクジャーナル20の軸心Aに対してクランクピン22側に配置されている。そして、リング溝23におけるクランク軸2の回転方向側の端部、つまり始端部も、クランク軸方向視でクランクジャーナル20の軸心Aに対してクランクピン22側に配置されている。
図1、図4、図5、図7に示すように、第2、第3、第6及び第7クランクアーム21b,21c,21f,21gにおけるクランク軸方向のクランクジャーナル20側の端面には、それぞれリング溝23を覆うように互いに平行にかつ周方向に所定間隔だけ開けて設けられた複数の板状ブレード部60,60,…を有する円環状の環状部材6がそれぞれビス止め固定されている。この環状部材6は、クランクアーム21とアウターレース31との間に該アウターレース31と隙間を空けて配置されている。ブレード部60は、クランク軸方向のクランクジャーナル20(アウターレース31)側からクランクアーム21側に行くに従ってクランク軸2の回転方向とは反対側に直線状に傾斜して延びる斜面60aを有している。なお、図4では、リング溝23を図示するため、環状部材6の一部を図示省略している。
環状部材6は、複数のブレード部60,60,…に加えて、これらの複数のブレード部60,60,…におけるクランク軸直交方向内側の端部を互いに連結する円環状の底板部61と、複数のブレード部60,60,…におけるクランク軸直交方向外側の端部を互いに連結する円環状の天板部62と、リング溝23の終端部23aを塞ぐ閉塞部63とをさらに有している。底板部61は、クランク軸方向視でアウターレース31と重なっている。そして、相隣り合うブレード部60,60、底板部61、及び天板部62によって区画された油路は、それぞれ、アウターレース31側の開口がクランク軸2の回転時に連絡溝31bの開口端と対向し、クランクアーム21側の開口がリング溝23と対向するようになっている。
図4、図6〜図8に示すように、リング溝23の終端部23aには第2油孔24の一端が開口している。この一端、つまり、第2油孔24のクランクアーム21(リング溝23)側の開口は、クランク軸方向視でクランクジャーナル20の軸心Aに対してクランクピン22寄りに配置されている。
第2油孔24は、クランクアーム21及びクランクピン22の内部を通って他端がクランクピン22の外周面に開口している。具体的には、第2油孔24は、クランクアーム21のリング溝23の終端部23aからクランクピン22の軸心Aを通って直線状に延びてそのクランクアーム21と相隣り合うクランクアーム21におけるクランク軸方向のクランクジャーナル20側の面に開口する第1孔部24aと、クランクピン22の外周面のクランク軸方向中央からクランクピン22の軸心Aに向かって直線状に延びて第1孔部24aと連通する第2孔部24bとを有している。これらの第1及び第2孔部24a,24bは、それぞれ、図示しない孔あけ用ドリルで穿孔されている。第1孔部24aにおける上記相隣り合うクランクアーム21側の開口は、例えば栓7が差し込まれるなどして、塞がれている。なお、図3では、第2油孔24を図示省略している。
以下、図4、図5等を参照しながら、クランク軸2の回転時におけるクランクピン22側のローラ軸受5への給油を説明する。まず、オイルギャラリー1aからのオイルが第1油孔10a及び連絡溝31bを通ってその両端から噴き出す。その飛び出したオイルは、クランク軸2の回転に伴って回転する環状部材6の、相隣り合うブレード部60,60の間を通ってリング溝23に供給される。ここで、ブレード60の斜面60aが、アウターレース31から遠ざかるに従ってクランク軸2の回転方向とは反対側に傾斜しているので、ブレード部60,60の間を介してリング溝23に給油する際、連絡溝31bから噴出したオイルをその斜面60aによってリング溝23側に押しながら移動させることができるとともに、ブレード部60,60の間を介してリング溝23に給油するのに、クランク軸2の回転に伴う慣性力を有効利用できる。
それから、リング溝23で受けたそのオイルは、その流れの勢いとクランク軸2の回転に伴う慣性力とによって、リング溝23をクランク軸2の回転方向とは反対側に流れて、その終端部23aに達する。ここで、終端部23aを閉塞部63で覆っているので、その終端部23aに至ったオイルの油圧は高いレベルで保たれている。
そして、終端部23aに及んだそのオイルは、その流れの勢いとクランク軸2の回転に伴う遠心力とによって、第2油孔24を通ってクランクピン22側のローラ軸受5に供給される。
−効果−
以上により、本実施形態によれば、オイルがバルクヘッド10内部の第1油孔10a及びアウターレース31の連絡溝31bを介してその端から噴出して、その噴出したオイルが環状部材6のブレード部60,60の間を介してクランクアーム21のリング溝23に供給される。それから、そのリング溝23に供給されたオイルが、クランク軸2の回転に伴う慣性力によって、リング溝23をクランク軸2の回転方向とは反対側に流れて、その終端部23aに到達する。そして、その終端部23aに到達したオイルがクランクアーム21及びクランクピン22内部の第2油孔24を介してクランクピン22側のローラ軸受5に供給される。これらのことから、従来のように、クランクピン側のローラ軸受端面を介して給油するのと比較して、クランクピン22側のローラ軸受5に確実に給油することができる。
また、ブレード部60の斜面60aを、クランク軸方向のクランクジャーナル20側からクランクアーム21側に行くに従ってクランク軸2の回転方向とは反対側に延ばしているので、ブレード部60,60の間を介して連絡溝31bからのオイルをリング溝23に供給する際、そのオイルをその斜面60aによってリング溝23に指向させることができるとともに、ブレード部60,60の間を介して連絡溝31bからのオイルをリング溝23に供給するのに、クランク軸2の回転に伴う慣性力を有効利用できる。よって、クランクピン22側のローラ軸受5に一層確実に給油することができる。
また、リング溝23の終端部23a、及び第2油孔24の一端を、クランク軸方向視でクランクジャーナル20の軸心Aに対してクランクピン22側に配置しているので、第2油孔24を介してリング溝23からのオイルをクランクピン22の外周面に供給するのに、クランク軸2の回転に伴う遠心力を有効利用できる。よって、クランクピン22側のローラ軸受5に一層確実に給油することができる。
また、環状部材6の閉塞部63がリング溝23の終端部23aを塞いでいるので、リング溝23の終端部23aの油圧を高いレベルで維持することができる。よって、クランクピン22側のローラ軸受5に一層確実に給油することができる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、リング溝23の終端部23a、及び第2油孔24を上述のように配置しているが、これに限らず、例えば、リング溝23の終端部23a、及び第2油孔24を、図9に示すように、クランク軸方向視でクランクジャーナル20の軸心Aとクランクピン22の軸心Aとを結ぶ線L上に配置してもよい。つまり、第1孔部24aは、クランクアーム21のリング溝23の終端部23aからクランクピン22の軸心Aを通って直線状に延びてそのクランクアーム21と相隣り合うクランクアーム21におけるクランク軸方向のクランクジャーナル20側の面に開口している。一方、第2孔部24bは、クランクピン22の外周面のクランク軸方向中央からクランクピン22の軸心Aまで直線状に延びて第1孔部24aと連通している。この場合、リング溝23の終端部23a、及び第2油孔24を、クランク軸方向視でクランクジャーナル20の軸心とクランクピン22の軸心とを結ぶ線L上に配置しているので、第2油孔24を介してリング溝23からのオイルをクランクピン22の外周面に供給するのに、クランク軸2の回転に伴う遠心力を有効利用できる。よって、クランクピン22側のローラ軸受5に一層確実に給油することができる。
上記実施形態では、環状部材6に閉塞部63を設けているが、その代わりに、図10に示すように、ブレード部60,60,…を設けてもよい。但し、クランクピン22側のローラ軸受5に確実に給油するためには、前者が望ましい。
上記実施形態では、環状部材6を円環状としているが、欠円環状としてもよい。
上記実施形態では、第2クランクジャーナル20bからのオイルを第1及び第2クランクピン22a,22bに供給し、第4クランクジャーナル20dからのオイルを第3及び第4クランクピン22c,22dに供給するようになっているが、これに限らない。例えば、連絡溝31bやリング溝23、環状部材6の配置などを変更して、第1〜第4クランクジャーナル20a〜20dからのオイルをそれぞれ第1〜第4クランクピン22a〜22dに供給するようにしてもよい。
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明にかかるエンジンクランク軸の潤滑装置は、クランクピン側のローラ軸受に確実に給油する用途等に適用できる。
本発明の実施形態に係るシリンダブロックの部分断面図である。 図1のII−II線矢視断面図である。 クランクピン、コンロッド、及びローラ軸受の断面図である。 アウターレース、環状部材、及びクランクアームの斜視図である。 オイルの流れを説明する図である。 環状部材を図示しない図7相当図である。 図1のVII−VII線矢視部分断面図である。 クランク軸の断面図である。 第2油孔の配置を説明する図であり、(a)は、クランク軸をクランク軸方向から見た図であり、(b)は、クランク軸の断面図である。 変形例を示す図7相当図である。
符号の説明
1 シリンダブロック
10 バルクヘッド
10a 第1油孔
11 軸受キャップ
12,13 軸受孔
2 エンジンクランク軸
20 クランクジャーナル
21 クランクアーム
22 クランクピン
23 リング溝
23a 終端部(クランク軸の回転方向とは反対側の端部)
24 第2油孔
3 ローラ軸受
31 アウターレース
31a 貫通孔
31b 連絡溝
4 コンロッド
5 ローラ軸受
6 環状部材
60 ブレード部
63 閉塞部

Claims (5)

  1. シリンダブロック及び軸受キャップに支持されるクランクジャーナルと、コンロッド本体及びキャップを有するコンロッドの大端部を支持するクランクピンと、上記クランクジャーナルと上記クランクピンとを連結するクランクアームとを備えたエンジンクランク軸の潤滑装置であって、
    上記シリンダブロック及び上記軸受キャップと上記クランクジャーナルとの間、並びに上記コンロッドと上記クランクピンとの間には、ローラ軸受がそれぞれ設けられており、
    上記クランクジャーナル側のローラ軸受は、上記シリンダブロック及び上記軸受キャップの軸受孔内周面に回転不能に設けられたアウターレースを有しており、
    上記シリンダブロックの軸受孔内周面には、上記クランクジャーナル側のローラ軸受に給油するための第1油孔が開口しており、
    上記アウターレースには、上記第1油孔と対向する部分に径方向に貫通する貫通孔が形成されており、
    上記アウターレースの外周面には、上記貫通孔の配置部分にクランク軸方向に延びる連絡溝が形成されており、
    上記クランクアームにおけるクランク軸方向の上記クランクジャーナル側の端面には、周方向に延びる欠円状のリング溝が形成されており、
    上記エンジンクランク軸には、それぞれ上記リング溝を覆うように設けられかつその間を介して上記連絡溝からの油を上記リング溝に供給する複数のブレード部を有する円環状又は欠円環状の環状部材が取り付けられており、
    上記リング溝における上記エンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部には、上記クランクピン側のローラ軸受に給油するための第2油孔の一端が開口しており、
    上記第2油孔は、上記クランクアーム及び上記クランクピンの内部を通って他端が該クランクピンの外周面に開口していることを特徴とするエンジンクランク軸の潤滑装置。
  2. 請求項1記載のエンジンクランク軸の潤滑装置において、
    上記ブレード部は、クランク軸方向の上記クランクジャーナル側から上記クランクアーム側に行くに従って上記エンジンクランク軸の回転方向とは反対側に延びる斜面を有することを特徴とするエンジンクランク軸の潤滑装置。
  3. 請求項1又は2記載のエンジンクランク軸の潤滑装置において、
    上記リング溝における上記エンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部、及び上記第2油孔の一端は、クランク軸方向視で上記クランクジャーナルの軸心に対して上記クランクピン側に配置されていることを特徴とするエンジンクランク軸の潤滑装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジンクランク軸の潤滑装置において、
    上記環状部材は、上記リング溝における上記エンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部を塞ぐ閉塞部をさらに有することを特徴とするエンジンクランク軸の潤滑装置。
  5. 請求項3記載のエンジンクランク軸の潤滑装置において、
    上記リング溝における上記エンジンクランク軸の回転方向とは反対側の端部、及び上記第2油孔は、クランク軸方向視で上記クランクジャーナルの軸心と上記クランクピンの軸心とを結ぶ線上に配置されていることを特徴とするエンジンクランク軸の潤滑装置。
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