JP6112019B2 - 多気筒エンジンのクランク軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、多気筒エンジンのクランク軸受装置、より詳しくは、クランク軸の主軸部を軸受する軸受メタルが軸受部に備えられた多気筒エンジンのクランク軸受装置に関する。
一般に、多気筒エンジンのクランク軸は、その両端部分と、相互に隣接する気筒間の部分とに、それぞれ円柱状の主軸部を有する。各主軸部は、クランク軸の軸心上に相互に同心に配列される。これらの複数の主軸部を軸受する軸受部がシリンダブロックに設けられる。各軸受部は、主軸部の外周面と対向する内周面を有する円筒状の軸受メタルを備え、この軸受メタルで主軸部を面軸受する。主軸部を回転自在に支持するために、主軸部の外周面と軸受メタルの内周面との間に微小な隙間が設定され、この隙間にオイルが供給されて油膜が形成される。これにより、主軸部の外周面と軸受メタルの内周面、すなわち摺動面間の摩擦が減少し、摺動抵抗が低減する。
このような軸受メタルに関し、特許文献1には、上下一対の軸受メタルの上半部の軸受メタルを嵌合支持するシリンダブロックの下部に、上下一対の軸受メタルの下半部の軸受メタルを嵌合支持する軸受キャップをボルト締結した場合に、組み込まれた状態の軸受メタルの内面は、あたかもレモンの外形のような楕円形に近い形となっており、主軸部の表面との間に、左右の厚い部分で約40μm、上部の薄い部分で約20μmというように、位置によって異なる厚さの隙間及び油膜が形成されると記載されている。
特開平10−30419号公報(特に段落0004)
ところで、エンジンの分野では、燃費向上のため、あらゆる摺動部分で摺動抵抗を低減しようと試みられている。そのため、上記のような多気筒エンジンのクランク軸の軸受部においても、摺動抵抗の低減が要望されている。また、多気筒エンジンのクランク軸の軸受部においては、エンジン運転時のクランク軸の回転ブレによる振動発生を抑制することも考慮する必要がある。
そこで、本発明は、クランク軸の主軸部を軸受する軸受メタルが軸受部に備えられ、上記軸受部の摺動抵抗が低減され、クランク軸の回転ブレによる振動発生が抑制された多気筒エンジンのクランク軸受装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、クランク軸の軸心上に相互に同心に配列された複数の主軸部と、上記主軸部を軸受する軸受メタルが備えられた複数の軸受部と、上記軸受部にオイルを供給するオイル供給油路と、を有する多気筒エンジンのクランク軸受装置であって、上記複数の軸受部に、相互に形状の異なる第1軸受メタルと第2軸受メタルとが混在して備えられ、上記第1軸受メタルは、軸方向の端から2つ目の上記軸受部に備えられ、その内周面と上記主軸部の外周面との隙間が、ピストン往復動方向側で所定の基準値に設定され、ピストン往復動方向と直交する直交方向側で上記基準値より僅かに大きい第1設定値となるように、軸端から軸方向に見た内周面の形状が略円形に調製されたものであり、上記第2軸受メタルは、その内周面と上記主軸部の外周面との隙間が、ピストン往復動方向側で上記基準値に設定され、ピストン往復動方向と直交する直交方向側で上記第1設定値より所定量大きい第2設定値となるように、軸端から軸方向に見た内周面の形状が楕円形に調製されたものであり、上記オイル供給油路から上記第1軸受メタルが備えられた上記軸受部に供給されたオイルを、コンロッドの大端部を軸受するクランク軸のクランクピンに供給する分岐油路を更に備え、上記分岐油路は、上記第1軸受メタルが備えられた上記軸受部の軸方向の前後に隣接するクランクピンに供給するように設けられていることを特徴とするものである。
本発明によれば、クランク軸の主軸部を軸受する軸受メタルが軸受部に備えられた多気筒エンジンのクランク軸受装置において、内周面の形状が略円形に調製された第1軸受メタルの他に、内周面の形状があえて楕円形に調製された第2軸受メタルが用いられる。第2軸受メタルは、その内周面と主軸部の外周面との隙間が、ピストン往復動方向側では第1軸受メタルと同じ(基準値)であるが、ピストン往復動方向と直交する直交方向側では第1軸受メタルよりも増大している(第1設定値<第2設定値)。そのため、第2軸受メタルは、主軸部の外周面との摩擦が第1軸受メタルよりも減少し、主軸部の外周面との摺動抵抗が第1軸受メタルよりも低減する。このような第2軸受メタルを第1軸受メタルと混在させて用いることにより、軸受部全体の摺動抵抗が低減する。すなわち、クランク軸の回転摺動抵抗が低減する。
また、第2軸受メタルは、上記直交方向側で上記隙間が相対的に大きい第2設定値に設定されているため、クランク軸の回転時に主軸部が第2軸受メタル内で揺れ動き、その結果、クランク軸の回転ブレが起きて、振動が発生する可能性があるが、上記直交方向側で上記隙間が相対的に小さい第1設定値に設定された第1軸受メタルが混在して配置されているため、そのようなクランク軸の回転ブレによる振動発生も抑制できる。
また、本発明によれば、主軸部の軸受部に供給されたオイルが分岐油路を介してクランクピンのコンロッド軸受部に供給される。その場合に、第1軸受メタルが備えられた軸受部(これを「第1メタル軸受部」と称する)からコンロッド軸受部にオイルが供給されるので、コンロッド軸受部の潤滑油圧が確保でき、コンロッド大端部とクランクピンとの摺動抵抗が良好に低減される。すなわち、第2軸受メタルは、上述のように、その内周面と主軸部の外周面との隙間が第1軸受メタルよりも増大している(第2設定値)部分を持つので、第1軸受メタルよりもオイル漏れが多くなる。そのため、仮に、第2軸受メタルが備えられた軸受部(これを「第2メタル軸受部」と称する)からコンロッド軸受部にオイルが供給されると、コンロッド軸受部の潤滑油圧が不足し、コンロッド大端部とクランクピンとの摺動抵抗が良好に低減されなくなる。しかし、この構成によれば、オイル漏れが少ない第1軸受メタルが備えられた軸受部からオイルが供給されるので、上記のような油圧不足の問題が解消され、コンロッド軸受部の摺動抵抗が良好に低減される。
また、本発明によれば、第1軸受メタルが備えられた1つの軸受部から前後2つのコンロッド軸受部にオイルが供給される。そのため、分岐油路が過度に長くなることが防がれる。また、第1メタル軸受部は軸方向の端から2つ目の軸受部なので、ここから確実に軸方向の端のコンロッド軸受部にオイルを供給することができる。
以上により、本発明によれば、軸受部の摺動抵抗が低減され、クランク軸の回転ブレによる振動発生が抑制された多気筒エンジンのクランク軸受装置が提供される。
本発明においては、上記第1軸受メタルと上記第2軸受メタルとが交互に複数の軸受部に備えられていることが好ましい。
上述のように、第2軸受メタルは、その内周面と主軸部の外周面との隙間が第1軸受メタルよりも増大している(第2設定値)部分を持つので、クランク軸の回転時に主軸部が第2軸受メタル内で揺れ動き、その結果、クランク軸の回転ブレが起きて、振動が発生する可能性がある。しかし、この構成によれば、第1軸受メタルと第2軸受メタルとが交互に配置されるので、上記のような回転ブレや振動発生の問題が隣接する第1軸受メタルよって確実に抑えられる。
本発明においては、上記軸受メタルは、シリンダブロックに支持される上半部と、上記シリンダブロックに結合される軸受キャップに支持される下半部とでなり、上記上半部の内周面にのみ上記オイル供給油路から供給されたオイルが溜められる油溝が周方向に設けられ、上記分岐油路は、クランク軸の内部に形成され、上記油溝と対向する軸方向の位置で、主軸部の外周面に相互に180°反対側で開口する一対のオイル導入口を有することが好ましい。
この構成によれば、軸受メタルを構成する上半部にのみ油溝が設けられ、下半部には油溝が設けられていないので、次のような問題、すなわち、エンジン運転中の燃焼時に燃焼室側からクランク軸に作用する荷重がかかる下半部に油溝を設けると受圧面積が小さくなり、単位面積当たりの荷重が大きくなって下半部が損傷するというような問題が解消される。
また、上記油溝と対向する位置で主軸部の外周面に2つのオイル導入口が相互に180°反対側で開口しているので、クランク軸の回転時には常にいずれか一方のオイル導入口が上記油溝と接し、そのオイル導入口に上記油溝に溜められたオイルが導入される。そのため、軸受メタルの半分しか油溝が形成されていなくても、コンロッド軸受部には常にオイルが供給される。
本発明においては、上記オイル供給油路から上記第2軸受メタルが備えられた軸受部へのオイル供給孔は、上記オイル供給油路から上記第1軸受メタルが備えられた軸受部へのオイル供給孔よりも径が小さく形成されていることが好ましい。
上述のように、第2軸受メタルは第1軸受メタルよりもオイル漏れが多くなる。したがって、この構成によれば、第2軸受メタルのオイル漏れが抑制される。その結果、オイルポンプの稼働量を増大させずに済み、燃費の向上が図られる。なお、第2メタル軸受部へのオイルの供給量は減少するけれども、第2メタル軸受部からコンロッド軸受部にはオイルを供給する必要がなく、第2メタル軸受部の潤滑だけでよいから、第2メタル軸受部へのオイル供給量が不足することはない。
本発明においては、上記軸受メタルは、シリンダブロックに支持される上半部と、上記シリンダブロックに結合される軸受キャップに支持される下半部とでなり、上記第2軸受メタルは、上記楕円形の長軸(ピストン往復動方向と直交する直交方向)が上記シリンダブロックと上記軸受キャップとの合わせ面と一致するように軸受部に備えられていることが好ましい。
この構成によれば、シリンダブロックに軸受キャップを結合した場合に、上半部と下半部とでなる第2軸受メタルは、たとえ合わせ面と直交する結合方向に結合の力が加わっても、内周面の楕円形状の短軸(ピストン往復動方向)が短くなるだけであり、内周面の形状は楕円形に維持される。つまり、内周面の形状が楕円形に調製された第2軸受メタルは、軸受部に組み付けられた状態にあっても、内周面の形状は楕円形に維持される。その結果、上述した第2軸受メタルの作用が実際の使用状態において確実に得られる。
また、クランク軸の回転時には、エンジン運転中の燃焼時に燃焼室側からクランク軸に作用する荷重がかかる下半部において、短軸を過ぎ次の長軸までの範囲内で、最も軸受メタルに荷重が作用し、摩擦が増大し、摺動抵抗が上昇するが、この構成によれば、上記範囲内では第2軸受メタルの内周面と主軸部の外周面との隙間が増大中なので、上記範囲内においても、効果的に摩擦が減少し、摺動抵抗が低減する。
以上説明したように、本発明は、クランク軸の主軸部を軸受する軸受メタルが軸受部に備えられ、上記軸受部の摺動抵抗が低減され、クランク軸の回転ブレによる振動発生が抑制された多気筒エンジンのクランク軸受装置を提供するので、燃費向上のため、あらゆる摺動部分で摺動抵抗を低減しようと試みられ、また、クランク軸の回転ブレによる振動発生を抑制することを考慮する必要があるエンジンの分野において技術の向上・発展に寄与する。
本発明の実施の形態に係る多気筒エンジンのクランク軸受装置の縦断面図である。 上記クランク軸受装置の軸受メタル及びオイル供給油路の斜視図である。 図1のIII−III線による縦断面図であって、第1軸受メタルが備えられた軸受部(第1メタル軸受部)を説明するものである。 分岐通路の説明図である。 図1のV−V線による縦断面図であって、第2軸受メタルが備えられた軸受部(第2メタル軸受部)を説明するものである。 主軸部の周方向の位置とせん断応力との関係を示すグラフである。 第1軸受メタルの説明図である。 第2軸受メタルの説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
(1)全体構成
図1に示すように、本実施形態に係るクランク軸50は、第1番気筒♯1、第2番気筒♯2、第3番気筒♯3、及び第4番気筒♯4が1列に配置された直列4気筒エンジン(多気筒エンジン)1に用いられている。クランク軸50はエンジン前後方向(気筒列方向)に水平に延びる。
クランク軸50は、その両端部分と、相互に隣接する気筒間の部分とに、それぞれ円柱状の主軸部を有する。すなわち、図1の左から右に向かって、クランク軸50の前側端部50Aに隣接する第1番主軸部51A、第1番気筒♯1と第2番気筒♯2との間に位置する第2番主軸部51B、第2番気筒♯2と第3番気筒♯3との間に位置する第3番主軸部51C、第3番気筒♯3と第4番気筒♯4との間に位置する第4番主軸部51D、及びクランク軸50の後側端部50Bに隣接する第5番主軸部51Eである。各主軸部51A〜51Eは、クランク軸50の軸心上に相互に同心に配列される。
第1番主軸部51Aと第2番主軸部51Bとの間に一対の第1番クランクウェブ52A及び第1番クランクピン53Aが備えられ、第2番主軸部51Bと第3番主軸部51Cとの間に一対の第2番クランクウェブ52B及び第2番クランクピン53Bが備えられ、第3番主軸部51Cと第4番主軸部51Dとの間に一対の第3番クランクウェブ52C及び第3番クランクピン53Cが備えられ、第4番主軸部51Dと第5番主軸部51Eとの間に一対の第4番クランクウェブ52D及び第4番クランクピン53Dが備えられている。
第1番クランクピン53Aに、第1番気筒♯1のピストン(図示略)に小端部が連結された第1番コンロッド2Aの大端部が軸受され(第1番コンロッド軸受部30A)、第2番クランクピン53Bに、第2番気筒♯2のピストン(図示略)に小端部が連結された第2番コンロッド2Bの大端部が軸受され(第2番コンロッド軸受部30B)、第3番クランクピン53Cに、第3番気筒♯3のピストン(図示略)に小端部が連結された第3番コンロッド2Cの大端部が軸受され(第3番コンロッド軸受部30C)、第4番クランクピン53Dに、第4番気筒♯4のピストン(図示略)に小端部が連結された第4番コンロッド2Dの大端部が軸受されている(第4番コンロッド軸受部30D)。
5つの主軸部51A〜51Eを軸受する軸受部がシリンダブロック10に設けられている。すなわち、第1番主軸部51Aを軸受する第1番軸受部20A、第2番主軸部51Bを軸受する第2番軸受部20B、第3番主軸部51Cを軸受する第3番軸受部20C、第4番主軸部51Dを軸受する第4番軸受部20D、及び第5番主軸部51Eを軸受する第5番軸受部20Eである。各軸受部20A〜20Eは、主軸部51A〜51Eの外周面と対向する内周面を有する円筒状の軸受メタル3A〜3E(図2参照)を備え、この軸受メタル3A〜3Eで主軸部51A〜51Eを面軸受する。
第1番軸受部20Aに備えられる第1番軸受メタル3Aは、第1番ブロック側支持部10Aに支持される弧状の第1番ブロック側軸受メタル(特許請求の範囲の「上半部」に相当)12aと、第1番軸受キャップ11Aに支持される弧状の第1番キャップ側軸受メタル(特許請求の範囲の「下半部」に相当)13aとでなる。第1番ブロック側支持部10Aに第1番軸受キャップ11Aが結合されたとき、第1番ブロック側軸受メタル12aと第1番キャップ側軸受メタル13aとが組み合わされて、軸端から軸方向に見た内周面の形状が楕円形に調製された第1番軸受メタル3Aが得られる(図2及び図5参照)。第1番ブロック側支持部10Aと第1番軸受キャップ11Aとの合わせ面はエンジン幅方向に水平に延びる(以下これに準じて同様)。第1番軸受メタル3Aは、上記楕円形の長軸が第1番ブロック側支持部10Aと第1番軸受キャップ11Aとの合わせ面と一致するように、言い換えると、水平方向に延びるように、第1番軸受部20Aに備えられている(以下これに準じて同様)。なお、図3及び図5の左方をエンジン幅方向の左方とする。
第2番軸受部20Bに備えられる第2番軸受メタル3Bは、第2番ブロック側支持部10Bに支持される弧状の第2番ブロック側軸受メタル(特許請求の範囲の「上半部」に相当)12bと、第2番軸受キャップ11Bに支持される弧状の第2番キャップ側軸受メタル(特許請求の範囲の「下半部」に相当)13bとでなる。第2番ブロック側支持部10Bに第2番軸受キャップ11Bが結合されたとき、第2番ブロック側軸受メタル12bと第2番キャップ側軸受メタル13bとが組み合わされて、軸端から軸方向に見た内周面の形状が略円形に調製された第2番軸受メタル3Bが得られる(図2及び図3参照)。
なお、図3及び図5において、符号61は、ブロック側支持部に軸受キャップを結合するためのボルトである。
第3番軸受部20Cに備えられる第3番軸受メタル3C及び第5番軸受部20Eに備えられる第5番軸受メタル3Eは、第1番軸受メタル3Aと同様に、第3番ブロック側支持部10C及び第5番ブロック側支持部10Eに支持される第3番ブロック側軸受メタル(特許請求の範囲の「上半部」に相当)12c及び第5番ブロック側軸受メタル(特許請求の範囲の「上半部」に相当)12eと、第3番軸受キャップ11C及び第5番軸受キャップ11Eに支持される第3番キャップ側軸受メタル(特許請求の範囲の「下半部」に相当)13c及び第5番キャップ側軸受メタル(特許請求の範囲の「下半部」に相当)13eとでなり、第3番ブロック側支持部10C及び第5番ブロック側支持部10Eに第3番軸受キャップ11C及び第5番軸受キャップ11Eが結合されたとき、第3番ブロック側軸受メタル12c及び第5番ブロック側軸受メタル12eと第3番キャップ側軸受メタル13c及び第5番キャップ側軸受メタル13eとが組み合わされて、軸端から軸方向に見た内周面の形状が楕円形に調製された第3番軸受メタル3C及び第5番軸受メタル3Eが得られる(図2参照)。
第4番軸受部20Dに備えられる第4番軸受メタル3Dは、第2番軸受メタル3Bと同様に、第4番ブロック側支持部10Dに支持される第4番ブロック側軸受メタル(特許請求の範囲の「上半部」に相当)12dと、第4番軸受キャップ11Dに支持される第4番キャップ側軸受メタル(特許請求の範囲の「下半部」に相当)13dとでなり、第4番ブロック側支持部10Dに第4番軸受キャップ11Dが結合されたとき、第4番ブロック側軸受メタル12dと第4番キャップ側軸受メタル13dとが組み合わされて、軸端から軸方向に見た内周面の形状が略円形に調製された第4番軸受メタル3Dが得られる(図2参照)。
第1番軸受メタル3A(12a,13a)、第3番軸受メタル3C(12c,13c)、及び第5番軸受メタル3E(12e,13e)は特許請求の範囲の「第2軸受メタル」に相当する。第2番軸受メタル3B(12b,13b)、及び第4番軸受メタル3D(12d,13d)は特許請求の範囲の「第1軸受メタル」に相当する。本実施形態では、第2番軸受メタル3B及び第4番軸受メタル3Dを「標準メタル」と総称し、第1番軸受メタル3A、第3番軸受メタル3C、及び第5番軸受メタル3Eを「特別メタル」と総称する。
図2、図3及び図5に示すように、各軸受部20A〜20Eにオイルを供給する第1番オイル供給油路40A〜第5番オイル供給油路40Eがシリンダブロック10に設けられている。各オイル供給油路40A〜40Eには同じくシリンダブロック10に設けられたメイン油路39からオイルポンプ(図示略)によりオイルが供給される。
図1〜図3及び図5に示すように、各軸受メタル3A〜3Eにおいて、上側のブロック側軸受メタル12a〜12eの内周面にのみ、各オイル供給油路40A〜40Eから供給されたオイルが溜められる第1番油溝14a〜第5番油溝14eが周方向に設けられている。
図3及び図5に示すように、第1番オイル供給油路40Aから第1番軸受メタル3A(12a,13a)が備えられた第1番軸受部20Aへのオイル供給孔15a(第1番ブロック側軸受メタル12aに形成されている)は、第2番オイル供給油路40Bから第2番軸受メタル3B(12b,13b)が備えられた第2番軸受部20Bへのオイル供給孔15b(第2番ブロック側軸受メタル12bに形成されている)よりも径が小さく形成されている。
図1、図3及び図4に示すように、第1番クランクピン53A、第1番クランクウェブ52A、第2番主軸部51B、第2番クランクウェブ52B、及び第2番クランクピン53Bに亘って、クランク軸50の内部に、第1分岐油路41A、第2分岐油路41B、及び第3分岐油路41Cが一体に連通して形成されている。同様に、第4番クランクピン53D、第4番クランクウェブ52D、第4番主軸部51D、第3番クランクウェブ52C、及び第3番クランクピン53Cに亘って、クランク軸50の内部に、第1分岐油路42A、第2分岐油路42B、及び第3分岐油路42Cが一体に連通して形成されている。
これらの分岐油路41A〜41C,42A〜42Cは、第2番オイル供給油路40B及び第4番オイル供給油路40Dから第2番軸受メタル3B(12b、13b)が備えられた第2番軸受部20B及び第4番軸受メタル3D(12d、13d)が備えられた第4番軸受部20Dに供給されたオイルを、第1番コンロッド2Aの大端部を軸受する第1番クランクピン53Aと第2番コンロッド2Bの大端部を軸受する第2番クランクピン53B、及び第4番コンロッド2Dの大端部を軸受する第4番クランクピン53Dと第3番コンロッド2Cの大端部を軸受する第3番クランクピン53Cに供給するものである。
第2番主軸部51B及び第4番主軸部51Dを直径方向に貫通する第1分岐油路41A,42Aは、第2番油溝14b及び第4番油溝14dと対向する軸方向の位置で、第2番主軸部51B及び第4番主軸部51Dの外周面に相互に180°反対側で開口する一対のオイル導入口43a,43a(図4参照)を有している。
第1分岐油路41A,42Aから分岐した第2分岐油路41B,42Bは第1番クランクピン53A及び第4番クランクピン53Dの外周面に開口するオイル導出口43b(図4参照)を有している。同様に、第1分岐油路41A,42Aから分岐した第3分岐油路41C,42Cは第2番クランクピン53B及び第3番クランクピン53Cの外周面に開口するオイル導出口43c(図4参照)を有している。
なお、図3及び図4は、クランク軸50の前側の第1分岐油路41A〜第3分岐通路41Cを示したが、クランク軸50の後側の第1分岐油路42A〜第3分岐通路42Cについてもこれに準じて同様である。
標準メタル3B(12b,13b),3D(12d,13d)の仕様は次のようである。すなわち、図7に示すように、標準メタル3B,3Dは、その内周面と第2番主軸部51B及び第4番主軸部51Dの外周面との隙間が、ピストン往復動方向(図面において上下方向)側で所定の基準値C2に設定され、ピストン往復動方向と直交する直交方向(図面において水平方向)側で上記基準値C2より僅かに大きい第1設定値C1となるように、軸端から軸方向に見た内周面の形状が略円形に調製されたものである。
なお、図7では、便宜上、上記直交方向から20°上昇した位置における上記隙間に符号C1を付し、90°上昇した位置における上記隙間に符号C2を付している。この場合、上記直交方向から20°下降した位置における上記隙間も第1設定値C1に設定され、90°下降した位置における上記隙間も基準値C2に設定される。
標準メタル3B,3Dは、上記基準値C2が例えば13〜15μm程度となるように調製され、上記第1設定値C1が上記基準値C2より僅かに大きい例えば18〜20μm程度となるように調製されている。
上記直交方向側の隙間(第1設定値C1)を上記ピストン往復動方向側の隙間(基準値C2)より僅かに大きくすることにより、エンジン運転中の燃焼時に燃焼室(図示略)側からクランク軸50に作用する荷重を含めたクランク軸50への上下動荷重で標準メタル3B,3Dの合わせ部が内周側へ変形するのを考慮しつつ、油膜形成を高めるようにしている。
これに対し、特別メタル3A(12a,13a),3C(12c,13c),3E(12e,13e)の仕様は次のようである。すなわち、図8に示すように、特別メタル3A,3C,3Eは、その内周面と第1番主軸部51A、第3番主軸部51C、及び第5番主軸部51Eの外周面との隙間が、ピストン往復動方向(図面において上下方向:短軸方向)側で上記基準値C4(=C2)に設定され、ピストン往復動方向と直交する直交方向(図面において水平方向:長軸方向)側で上記第1設定値C1より所定量大きい第2設定値C3となるように、軸端から軸方向に見た内周面の形状が楕円形に調製されたものである。
なお、図8では、便宜上、上記直交方向から20°上昇した位置における上記隙間に符号C3を付し、90°上昇した位置における上記隙間に符号C4を付している。この場合、上記直交方向から20°下降した位置における上記隙間も第2設定値C3に設定され、90°下降した位置における上記隙間も基準値C4に設定される。
特別メタル3A,3C,3Eは、上記基準値C4が例えば13〜15μm程度となるように調製され、上記第2設定値C3が上記第1設定値C1より所定量大きい例えば30〜40μm程度となるように調製されている。
図6は、クランク軸50の回転時における主軸部の周方向の位置とせん断応力との関係を示すグラフである。実線は特別メタル3A,3C,3Eと摺動する第1番主軸部51A、第3番主軸部51C、及び第5番主軸部51Eにおけるもの、破線は標準メタル3B,3Dと摺動する第2番主軸部51B、及び第4番主軸部51Dにおけるものである。
図示したように、いずれも、エンジン運転中の燃焼時に燃焼室側からクランク軸50に作用する荷重がかかる270°付近において、せん断応力が上昇する。これは、キャップ側軸受メタル13a〜13eにおいて、短軸(下方、270°)を過ぎ次の長軸(エンジン幅方向の左方、360°)までの範囲内で、最も軸受メタル3A〜3Eに荷重が作用し、摩擦が増大するからである。
しかし、特別メタル3A,3C,3Eにおいては、図8から明らかなように、上記範囲内(270°〜360°)では、その内周面と主軸部51A,51C,51Eの外周面との隙間が増大中なので、上記範囲内(270°〜360°)においても、効果的に摩擦が減少し、摺動抵抗が低減する。その結果、標準メタル3B,3Dに比べて、せん断応力が低減している。
(2)作用等
本実施形態では、クランク軸50の軸心上に相互に同心に配列された複数の主軸部51A〜51Eと、上記主軸部51A〜51Eを軸受する軸受メタル3A〜3Eが備えられた複数の軸受部20A〜20Eとを有する多気筒エンジン1のクランク軸受装置において、上記複数の軸受部20A〜20Eに、相互に形状の異なる第1軸受メタル3B,3Dと第2軸受メタル3A,3C,3Eとが混在して備えられている。上記第1軸受メタル3B,3Dは、その内周面と上記主軸部51B,51Dの外周面との隙間が、ピストン往復動方向側で所定の基準値C2に設定され、ピストン往復動方向と直交する直交方向側で上記基準値C2より僅かに大きい第1設定値C1となるように、軸端から軸方向に見た内周面の形状が略円形に調製されたものである。上記第2軸受メタル3A,3C,3Eは、その内周面と上記主軸部51A,51C,51Eの外周面との隙間が、ピストン往復動方向側で上記基準値C4(=C2)に設定され、ピストン往復動方向と直交する直交方向側で上記第1設定値C1より所定量大きい第2設定値C3となるように、軸端から軸方向に見た内周面の形状が楕円形に調製されたものである。
この構成によれば、クランク軸50の主軸部51A〜51Eを軸受する軸受メタル3A〜3Eが軸受部20A〜20Eに備えられた多気筒エンジン1のクランク軸受装置において、内周面の形状が略円形に調製された第1軸受メタル3B,3Dの他に、内周面の形状があえて楕円形に調製された第2軸受メタル3A,3C,3Eが用いられる。第2軸受メタル3A,3C,3Eは、その内周面と主軸部51A,51C,51Eの外周面との隙間が、ピストン往復動方向側では第1軸受メタル3B,3Dと同じ(基準値C4=C2)であるが、ピストン往復動方向と直交する直交方向側では第1軸受メタル3B,3Dよりも増大している(第1設定値C1<第2設定値C3)。そのため、第2軸受メタル3A,3C,3Eは、主軸部51A,51C,51Eの外周面との摩擦が第1軸受メタル3B,3Dよりも減少し、主軸部51A,51C,51Eの外周面との摺動抵抗が第1軸受メタル3B,3Dよりも低減する。このような第2軸受メタル3A,3C,3Eを第1軸受メタル3B,3Dと混在させて用いることにより、軸受部20A〜20E全体の摺動抵抗が低減する。すなわち、クランク軸50の回転摺動抵抗が低減する。
また、第2軸受メタル3A,3C,3Eは、上記直交方向側で上記隙間が相対的に大きい第2設定値C3に設定されているため、クランク軸50の回転時に主軸部51A,51C,51Eが第2軸受メタル3A,3C,3E内で揺れ動き、その結果、クランク軸50の回転ブレが起きて、振動が発生する可能性があるが、上記直交方向側で上記隙間が相対的に小さい第1設定値C1に設定された第1軸受メタル3B,3Dが混在して配置されているため、そのようなクランク軸50の回転ブレによる振動発生も抑制できる。
以上により、本実施形態によれば、軸受部20A〜20Eの摺動抵抗が低減され、クランク軸50の回転ブレによる振動発生が抑制された多気筒エンジン1のクランク軸受装置が提供される。
本実施形態においては、上記第1軸受メタル3B,3Dと上記第2軸受メタル3A,3C,3Eとが交互に複数の軸受部20A〜20Eに備えられている。
上述のように、第2軸受メタル3A,3C,3Eは、その内周面と主軸部51A,51C,51Eの外周面との隙間が第1軸受メタル3B,3Dよりも増大している(第2設定値C3)部分を持つので、クランク軸50の回転時に主軸部51A,51C,51Eが第2軸受メタル3A,3C,3E内で揺れ動き、その結果、クランク軸50の回転ブレが起きて、振動が発生する可能性がある。しかし、この構成によれば、第1軸受メタル3B,3Dと第2軸受メタル3A,3C,3Eとが交互に配置されるので、上記のような回転ブレや振動発生の問題が隣接する第1軸受メタル3B,3Dよって確実に抑えられる。
本実施形態においては、軸受部20A〜20Eにオイルを供給するオイル供給油路40A〜40Eと、上記オイル供給油路40A〜40Eから上記第1軸受メタル3B,3Dが備えられた軸受部20B,20Dに供給されたオイルを、コンロッド2A〜2Dの大端部を軸受するクランク軸50のクランクピン53A〜53Dに供給する分岐油路41A〜41C,42A〜42Cとが設けられている。
この構成によれば、主軸部51A〜51Eの軸受部20A〜20Eに供給されたオイルが分岐油路41A〜41C,42A〜42Cを介してクランクピン53A〜53Dのコンロッド軸受部30A〜30Dに供給される。その場合に、第1軸受メタル3B,3Dが備えられた軸受部20B,20D(つまり第1メタル軸受部)からコンロッド軸受部30A〜30Dにオイルが供給されるので、コンロッド軸受部30A〜30Dの潤滑油圧が確保でき、コンロッド2A〜2Dの大端部とクランクピン53A〜53Dとの摺動抵抗が良好に低減される。すなわち、第2軸受メタル3A,3C,3Eは、上述のように、その内周面と主軸部51A,51C,51Eの外周面との隙間が第1軸受メタル3B,3Dよりも増大している(第2設定値C3)部分を持つので、第1軸受メタル3B,3Dよりもオイル漏れが多くなる。そのため、仮に、第2軸受メタル3A,3C,3Eが備えられた軸受部20A,20C,20E(つまり第2メタル軸受部)からコンロッド軸受部30A〜30Dにオイルが供給されると、コンロッド軸受部30A〜30Dの潤滑油圧が不足し、コンロッド2A〜2Dの大端部とクランクピン53A〜53Dとの摺動抵抗が良好に低減されなくなる。しかし、この構成によれば、オイル漏れが少ない第1軸受メタル3B,3Dが備えられた軸受部20B,20Dからオイルが供給されるので、上記のような油圧不足の問題が解消され、コンロッド軸受部30A〜30Dの摺動抵抗が良好に低減される。
本実施形態においては、上記第1軸受メタル3B,3Dは軸方向の端から2つ目の第2番及び第4番軸受部20B,20Dに備えられ、上記分岐油路41A〜41C,42A〜42Cは、上記第1軸受メタル3B,3Dが備えられた第2番及び第4番軸受部20B,20Dの軸方向の前後に隣接するクランクピン53A〜53Dに供給するように設けられている。
この構成によれば、第1軸受メタル3B,3Dが備えられた1つの軸受部20B,20Dから前後2つのコンロッド軸受部30A〜30Dにオイルが供給される。そのため、分岐油路41A〜41C,42A〜42Cが過度に長くなることが防がれる。また、第1メタル軸受部20B,20Dは軸方向の端から2つ目の第2番及び第4番軸受部なので、ここから確実に軸方向の端のコンロッド軸受部30A,30Dにオイルを供給することができる。
本実施形態においては、上記軸受メタル3A〜3Eは、シリンダブロック10に支持される上半部12a〜12eと、上記シリンダブロック10に結合される軸受キャップ11A〜11Eに支持される下半部13a〜13eとでなり、上記上半部12a〜12eの内周面にのみ上記オイル供給油路40A〜40Eから供給されたオイルが溜められる油溝14a〜14eが周方向に設けられ、上記分岐油路41A〜41C,42A〜42Cは、クランク軸50の内部に形成され、上記油溝14a〜14eと対向する軸方向の位置で、主軸部51A〜51Eの外周面に相互に180°反対側で開口する一対のオイル導入口43a,43aを有する。
この構成によれば、軸受メタル3A〜3Eを構成する上半部12a〜12eにのみ油溝14a〜14eが設けられ、下半部13a〜13eには油溝が設けられていないので、次のような問題、すなわち、エンジン運転中の燃焼時に燃焼室側からクランク軸50に作用する荷重がかかる下半部13a〜13eに油溝を設けると受圧面積が小さくなり、単位面積当たりの荷重が大きくなって下半部13a〜13eが損傷するというような問題が解消される。
また、上記油溝14a〜14eと対向する位置で主軸部51A〜51Eの外周面に2つのオイル導入口43a,43aが相互に180°反対側で開口しているので、クランク軸50の回転時には常にいずれか一方のオイル導入口43aが上記油溝14a〜14eと接し、そのオイル導入口43aに上記油溝14a〜14eに溜められたオイルが導入される。そのため、軸受メタル3A〜3Eの半分しか油溝14a〜14eが形成されていなくても、コンロッド軸受部30A〜30Dには常にオイルが供給される。
本実施形態においては、上記オイル供給油路40A〜40Eから上記第2軸受メタル3A,3C,3Eが備えられた軸受部20A,20C,20Eへのオイル供給孔15aは、上記オイル供給油路40A〜40Eから上記第1軸受メタル3B,3Dが備えられた軸受部20B,20Dへのオイル供給孔15bよりも径が小さく形成されている。
上述のように、第2軸受メタル3A,3C,3Eは第1軸受メタル3B,3Dよりもオイル漏れが多くなる。したがって、この構成によれば、第2軸受メタル3A,3C,3Eのオイル漏れが抑制される。その結果、オイルポンプ(図示略)の稼働量を増大させずに済み、燃費の向上が図られる。なお、第2メタル軸受部20A,20C,20Eへのオイルの供給量は減少するけれども、第2メタル軸受部20A,20C,20Eからコンロッド軸受部30A〜30Dにはオイルを供給する必要がなく、第2メタル軸受部20A,20C,20Eの潤滑だけでよいから、第2メタル軸受部20A,20C,20Eへのオイル供給量が不足することはない。
本実施形態においては、上記軸受メタル3A〜3Eは、シリンダブロック10に支持される上半部12a〜12eと、上記シリンダブロック10に結合される軸受キャップ11A〜11Eに支持される下半部13a〜13eとでなり、上記第2軸受メタル3A,3C,3Eは、上記楕円形の長軸(ピストン往復動方向と直交する直交方向)が上記シリンダブロック10と上記軸受キャップ11A〜11Eとの合わせ面と一致するように軸受部20A,20C,20Eに備えられている。
この構成によれば、シリンダブロック10に軸受キャップ11A〜11Eを結合した場合に、上半部12a〜12eと下半部13a〜13eとでなる第2軸受メタル3A,3C,3Eは、たとえ合わせ面と直交する結合方向に結合の力が加わっても、内周面の楕円形状の短軸(ピストン往復動方向)が短くなるだけであり、内周面の形状は楕円形に維持される。つまり、内周面の形状が楕円形に調製された第2軸受メタル3A,3C,3Eは、軸受部20A,20C,20Eに組み付けられた状態にあっても、内周面の形状は楕円形に維持される。その結果、上述した第2軸受メタル3A,3C,3Eの作用が実際の使用状態において確実に得られる。
また、クランク軸50の回転時には、エンジン運転中の燃焼時に燃焼室側からクランク軸50に作用する荷重がかかる下半部13a〜13eにおいて、短軸(下方、270°)を過ぎ次の長軸(エンジン幅方向の左方、360°)までの範囲内で、最も軸受メタル3A〜3Eに荷重が作用し、摩擦が増大し、摺動抵抗が上昇するが、この構成によれば、上記範囲内(270°〜360°)では第2軸受メタル3A,3C,3Eの内周面と主軸部51A,51C,51Eの外周面との隙間が増大中なので、上記範囲内(270°〜360°)においても、効果的に摩擦が減少し、摺動抵抗が低減する。
なお、上記実施形態では、標準メタル3B,3Dと特別メタル3A,3C,3Eとを交互に配置したが、アトランダムに混在させてもよい。
また、上記実施形態では、本発明を直列4気筒エンジンに適用したが、これに限らず、気筒数が異なる多気筒エンジンに適用してもよい。
上記実施形態では、相互に形状の異なる標準メタル(第1軸受メタル)3B,3Dと特別メタル(第2軸受メタル)3A,3C,3Eとが混在しているので、上半部12a〜12eと下半部13a〜13eとを組み合わせるときの誤組み付け防止のために、上下合わせるときの嵌合爪等に標準メタル3B,3Dと特別メタル3A,3C,3Eとで違いを持たせてもよい。
1 多気筒エンジン
2A〜2D 第1番〜第4番コンロッド
10 シリンダブロック
10A〜10E 第1番〜第5番ブロック側支持部
11A〜11E 第1番〜第5番軸受キャップ
12a〜12e 第1番〜第5番ブロック側軸受メタル(上半部)
13a〜13e 第1番〜第5番キャップ側軸受メタル(下半部)
3A(12a,13a) 第1番軸受メタル(第2軸受メタル)
3B(12b,13b) 第2番軸受メタル(第1軸受メタル)
3C(12c,13c) 第3番軸受メタル(第2軸受メタル)
3D(12d,13d) 第4番軸受メタル(第1軸受メタル)
3E(12e,13e) 第5番軸受メタル(第2軸受メタル)
14a〜14e 第1番〜第5番油溝
15a,15b オイル供給孔
20A〜20E 第1番〜第5番軸受部
30A〜30D 第1番〜第4番コンロッド軸受部
39 メイン油路
40A〜40E 第1番〜第5番オイル供給油路
41A〜41C 第1〜第3分岐油路
42A〜42C 第1〜第3分岐油路
43a オイル導入口
43b,43c オイル導出口
50 クランク軸
51A〜51E 第1番〜第5番主軸部
52A〜52D 第1番〜第4番クランクウェブ
53A〜53D 第1番〜第4番クランクピン
C1 第1設定値
C2,C4 基準値
C3 第2設定値

Claims (5)

  1. クランク軸の軸心上に相互に同心に配列された複数の主軸部と、
    上記主軸部を軸受する軸受メタルが備えられた複数の軸受部と
    上記軸受部にオイルを供給するオイル供給油路と、
    を有する多気筒エンジンのクランク軸受装置であって、
    上記複数の軸受部に、相互に形状の異なる第1軸受メタルと第2軸受メタルとが混在して備えられ、
    上記第1軸受メタルは、軸方向の端から2つ目の上記軸受部に備えられ、その内周面と上記主軸部の外周面との隙間が、ピストン往復動方向側で所定の基準値に設定され、ピストン往復動方向と直交する直交方向側で上記基準値より僅かに大きい第1設定値となるように、軸端から軸方向に見た内周面の形状が略円形に調製されたものであり、
    上記第2軸受メタルは、その内周面と上記主軸部の外周面との隙間が、ピストン往復動方向側で上記基準値に設定され、ピストン往復動方向と直交する直交方向側で上記第1設定値より所定量大きい第2設定値となるように、軸端から軸方向に見た内周面の形状が楕円形に調製されたものであり
    上記オイル供給油路から上記第1軸受メタルが備えられた上記軸受部に供給されたオイルを、コンロッドの大端部を軸受するクランク軸のクランクピンに供給する分岐油路を更に備え、
    上記分岐油路は、上記第1軸受メタルが備えられた上記軸受部の軸方向の前後に隣接するクランクピンに供給するように設けられていることを特徴とする多気筒エンジンのクランク軸受装置。
  2. 請求項1に記載の多気筒エンジンのクランク軸受装置において、
    上記第1軸受メタルと上記第2軸受メタルとが交互に複数の軸受部に備えられていることを特徴とする多気筒エンジンのクランク軸受装置。
  3. 請求項1又は2に記載の多気筒エンジンのクランク軸受装置において、
    上記軸受メタルは、シリンダブロックに支持される上半部と、上記シリンダブロックに結合される軸受キャップに支持される下半部とでなり、
    上記上半部の内周面にのみ上記オイル供給油路から供給されたオイルが溜められる油溝が周方向に設けられ、
    上記分岐油路は、クランク軸の内部に形成され、上記油溝と対向する軸方向の位置で、主軸部の外周面に相互に180°反対側で開口する一対のオイル導入口を有することを特徴とする多気筒エンジンのクランク軸受装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の多気筒エンジンのクランク軸受装置において、
    上記オイル供給油路から上記第2軸受メタルが備えられた軸受部へのオイル供給孔は、上記オイル供給油路から上記第1軸受メタルが備えられた軸受部へのオイル供給孔よりも径が小さく形成されていることを特徴とする多気筒エンジンのクランク軸受装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の多気筒エンジンのクランク軸受装置において、
    上記軸受メタルは、シリンダブロックに支持される上半部と、上記シリンダブロックに結合される軸受キャップに支持される下半部とでなり、
    上記第2軸受メタルは、上記楕円形の長軸が上記シリンダブロックと上記軸受キャップとの合わせ面と一致するように軸受部に備えられていることを特徴とする多気筒エンジンのクランク軸受装置。
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