JP4774947B2 - 可変舵角操舵装置、自動車、操舵系の収縮方法及び遊星ローラ機構 - Google Patents

可変舵角操舵装置、自動車、操舵系の収縮方法及び遊星ローラ機構 Download PDF

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本発明は、操舵入力に対する操舵出力の比を可変とすることができる可変舵角操舵装置、それを備えた自動車、操舵系の収縮方法及び遊星ローラ機構に関するものである。
従来の可変舵角操舵装置としては、車速及び操舵角に基づいて目標舵角を算出し、この目標舵角に基づいて、遊星歯車機構から成る減速機を操舵軸に直列配置されたモータで駆動し、それによって得られる入力軸−出力軸間における相対回転を利用して操舵角の伝達比を可変とし、その結果、操舵輪に対して目標舵角に対応した操舵角を与えるというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−324263号公報
ところで、車両前面衝突などにより操舵軸に非日常的な大きな荷重が加わったときの乗員保護を目的として、一般に操舵装置には収縮機能が必要とされる。
しかしながら、上記従来の可変舵角操舵装置にあっては、モータが操舵軸に直列配置されていたり、各構成部品が外部入力によって軸方向に変位することを妨げる構成となっていたりするため、減速機部分においては、荷重に対する収縮ストロークを確保することが困難であった。なお、これにより、他の部位で収縮ストロークを確保することが必要となり、デザインの自由度が低下する等の事態を招くこととなる。
一方、可変舵角操舵装置は、操舵軸上に減速機が介在すること等により、操舵系が長くなりがちであり、装置レイアウト上、収縮機能を確保する部位が限られているのが現状である。
特に、可変舵角操舵装置にトルクセンサを備える場合、外乱を避けるために運転者の近く(例えばアッパーコラム等)にトルクセンサが備えられる。すると、トルクセンサが備えられている部分では、従来用いられているような中空構造による収縮を行うことができなくなり、上述のように装置レイアウトが制限された状況の下、他の部位で収縮ストロークを確保することとなる。なお、これにより、デザインの自由度はより低下することとなる。
このように、従来の可変舵角操舵装置においては、乗員保護のための収縮ストロークを確保することが困難であった。
そこで、本発明は、操舵装置内に収縮ストロークを有する可変舵角操舵装置、それを備えた自動車、操舵系の収縮方法及びその操舵装置に用いることが可能な遊星ローラ機構を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る可変舵角操舵装置は、
サンローラを一体的に構成された第1段の遊星ローラ機構および第2段の遊星ローラ機構と、
前記第1段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵入力軸と、
前記第2段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵出力軸と、
前記第1段あるいは第2段の遊星ローラ機構におけるリングローラのいずれかを回転させる回転手段と、
前記操舵入力軸あるいは操舵出力軸側に形成された、前記サンローラを収容可能な収容部と、
前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、前記サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動し、前記収容部に収容された状態となる収縮機構と、を備えることを特徴としている。
また、前記サンローラおよび遊星ローラは、同軸上にローラとギアとを一体的に形成したギア付きローラであって、前記サンローラには、前記第1の遊星ローラ機構および第2の遊星ローラ機構それぞれに対応するギア部分が形成され、前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、該サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動する過程で互いに干渉する可能性のある前記サンローラおよび前記遊星ローラのギアの端面を、該ローラ面において相対移動方向に凸形状としたことを特徴としている。
また、本発明に係る自動車は、
変舵角操舵装置を備えた自動車であって、
前記可変舵角操舵装置は、
サンローラを一体的に構成された第1段の遊星ローラ機構および第2段の遊星ローラ機構と、
前記第1段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵入力軸と、
前記第2段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵出力軸と、
前記第1段あるいは第2段の遊星ローラ機構におけるリングローラのいずれかを回転させる回転手段と、
前記操舵入力軸あるいは操舵出力軸側に形成された、前記サンローラを収容可能な収容部と、
前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、前記サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動し、前記収容部に収容された状態となる収縮機構と、を備えることを特徴としている。
また、前記サンローラおよび遊星ローラは、同軸上にローラとギアとを一体的に形成したギア付きローラであって、前記サンローラには、前記第1の遊星ローラ機構および第2の遊星ローラ機構それぞれに対応するギア部分が形成され、前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、該サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動する過程で互いに干渉する可能性のある前記サンローラおよび前記遊星ローラのギアの端面を、該ローラ面において相対移動方向に凸形状としていることを特徴としている。
そして、車体に衝突荷重が入力され、前記操舵入力軸あるいは操舵出力軸に対して該衝突荷重に基づく荷重が伝達された場合に、前記サンローラの前記遊星ローラに対する軸方向への移動によって、該荷重に対する収縮ストロークを生じさせることを特徴としている。
また、本発明に係る操舵系の収縮方法は、
変舵角操舵装置を含む操舵系の収縮方法であって、
前記可変舵角操舵装置は、
サンローラを一体的に構成された第1段の遊星ローラ機構および第2段の遊星ローラ機構と、
前記第1段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵入力軸と、
前記第2段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵出力軸と、
前記第1段あるいは第2段の遊星ローラ機構におけるリングローラのいずれかを回転させる回転手段と、
前記操舵入力軸あるいは操舵出力軸側に形成された、前記サンローラを収容可能な収容部と、
前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、前記サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動し、前記収容部に収容された状態となる収縮機構と、を備えることを特徴としている。
また、前記サンローラおよび遊星ローラは、同軸上にローラとギアとを一体的に形成したギア付きローラであって、前記サンローラには、前記第1の遊星ローラ機構および第2の遊星ローラ機構それぞれに対応するギア部分が形成され、前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、該サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動する過程で互いに干渉する可能性のある前記サンローラおよび前記遊星ローラのギアの端面を、該ローラ面において相対移動方向に凸形状としていることを特徴としている。
そして、前記操舵入力軸あるいは操舵出力軸に対して衝突荷重が入力された場合に、前記サンローラの前記遊星ローラに対する軸方向への移動によって、該衝突荷重に対する収縮ストロークを生じさせることを特徴としている。
また、本発明に係る遊星ローラ機構は、
サンローラの周囲にローラ面を接して遊星ローラが配置された遊星ローラ機構であって、
前記サンローラを一体的に構成された第1段の遊星ローラ機構および第2段の遊星ローラ機構と、
前記サンローラを前記遊星ローラに囲まれた軸方向位置に支持する支持手段と、を備え、
前記支持手段は、前記サンローラに軸方向への所定荷重が入力した場合に、前記サンローラを前記遊星ローラに支持された状態から軸方向へ移動させるように構成されており、
前記サンローラおよび遊星ローラは、同軸上にローラとギアとを一体的に形成したギア付きローラであって、前記サンローラには、前記第1の遊星ローラ機構および第2の遊星ローラ機構それぞれに対応するギア部分が形成され、前記サンローラに軸方向への所定荷重が入力した場合に、該サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動する過程で互いに干渉する可能性のある前記サンローラおよび前記遊星ローラのギアの端面を、該ローラ面において相対移動方向に凸形状としたことを特徴としている。
本発明に係る可変舵角操舵装置によれば、操舵軸に衝突荷重が入力された場合に、サンローラと遊星ローラとが軸方向に相対移動することにより、衝突荷重に対する収縮ストロークが確保される。即ち、可変舵角操舵装置内において、収縮ストロークを確保することができる。
また、本発明に係る自動車によれば、車体に入力された衝突荷重に起因して、操舵入力軸あるいは操舵出力軸に荷重が入力されると、サンローラと遊星ローラとが軸方向に相対移動することにより、衝突荷重に対する収縮ストロークが確保される。そのため、可変舵角操舵装置内において、収縮ストロークを確保することができる。その結果、一次衝突において車体を柔軟に変形させたり、二次衝突において乗員への衝撃を低減させたりすることが可能となる。
さらに、本発明に係る操舵系の収縮方法によれば、操舵軸に衝突荷重が入力された場合に、サンローラと遊星ローラとを軸方向に相対移動させることとしたため、減速機部分において衝突荷重に対する収縮ストロークが確保される。即ち、可変舵角操舵装置内において、収縮ストロークを確保することができる。
また、本発明に係る遊星ローラ機構によれば、支持手段が、遊星ローラに囲まれた位置にあるサンローラに軸方向の所定荷重が入力したことに対応して、サンローラを支持位置から解放し、軸方向に移動させる。したがって、軸方向に入力された荷重に対して、ストロークを生ずる遊星ローラ機構を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
(構成)
図1は本発明の実施形態における可変舵角操舵装置を適用した車両の概略構成図であり、図中符号20は可変舵角機構である。この可変舵角機構20は、ステアリングホイール21の操舵角に対する操向輪22の転舵角の比である操舵比を可変するもので、ステアリングホイール21に連結されたステアリング入力軸15と、操向輪22に連結されたステアリング出力軸16との間の経路(トルク伝達経路)に設けられている。このステアリング入力軸15とステアリング出力軸16とで操舵軸を構成している。
このトルク伝達経路において、可変舵角機構20よりもステアリングホイール21側には、操舵トルクを検出するためのトルクセンサ23が設けられ、可変舵角機構20よりも操向輪22側には、電動パワーステアリングからなる操舵力倍力装置24が設けられている。また、図中符号26は車両のダッシュパネル、27はR&P式ステアリングギヤであり、ステアリング出力軸16は、中間シャフト(インタミシャフト)28と連結され、ステアリングギヤ27を駆動して操向輪22の転舵を行う。
図2は、第1の実施形態における可変舵角機構20の全体構成を示す概略図であり、図3は、可変舵角機構20の断面図である。ここで、図3(b)は、図3(a)におけるC−C’矢視図である。
この可変舵角機構20は、モータ1を備え、このモータ1の回転数及び回転方向を制御することにより、ステアリングホイール21からステアリング入力軸15への入力を変速してステアリング出力軸16に出力する。モータ1に供給される電流は、後述する電子制御装置30により制御される。
電子制御装置30は、ステアリングホイール21の操舵角θを検出する操舵角センサや、車両速度Vを検出する車速センサの検出信号から目標転舵角を演算し、実転舵角が目標転舵角となるようにモータ1をフィードバック制御するようになっている。
前記可変舵角機構20は、太陽ギア付きサンローラ2と、遊星ギア付き遊星ローラ3を支持するキャリア4と、リングギア付きリングローラ5とを有する遊星減速機構から構成され、遊星ローラ3は、サンローラ2とリングローラ5とに噛み合いながら接している。遊星ギア付き遊星ローラ3にはキャリア4に支持された支持ピン3aが挿入されており、これによりキャリア4が遊星ギア付き遊星ローラ3を支持している。ここで、上記太陽ギア付きサンローラ2、遊星ギア付き遊星ローラ3及びリングギア付きリングローラ5は、同軸上にローラとギアを一体的に形成したギア付きローラである。
なお、以下の説明では、太陽ギア付きサンローラ2、遊星ギア付き遊星ローラ3及びリングギア付きリングローラ5を一体的に説明する場合には、単にサンローラ2、遊星ローラ3及びリングローラ5と略記する。
リングローラ5の外周には、モータ1の出力軸に設けられたウォームギア6と噛み合うウォームホイール7が設けられている。ここで、ウォームホイール7からはウォームギア6を回転させない構成となっており、モータ1の停止時には、リングローラ5も停止するように構成されている。
本実施形態では、可変舵角機構20は同一形状の遊星減速機構を操舵軸方向で対向配置しており、ステアリング入力軸15側を第一遊星減速機構20a、ステアリング出力軸16側を第二遊星減速機構20bと称す。
これら第一遊星減速機構20a及び第二遊星減速機構20bを搭載するケース(ハウジング)20cは、入力側がコラムアウターチューブ25に対して回転しない状態に固定され、出力側が操舵倍力装置24のケース24aに対して回転しない状態に固定されている。
そして、ステアリング入力軸15は第一遊星減速機構20aのキャリア4と相対回転しない状態で同一軸に連結され、ステアリング出力軸16は第二遊星減速機構20bのキャリア4と一体且つ中空で構成されている。また、第一遊星減速機構20a及び第二遊星減速機構20bのサンローラ2同士が連結(一体的に形成)されている。
さらに、前記ステアリング入力軸15は、ブッシュ14により、第一遊星減速機構20aのサンローラ2の一端(ステアリング入力軸15側)を変位拘束且つ回転可能に支持している。また、ステアリング出力軸16の中空内部には離脱用コマ10が挿入されており、この離脱用コマ10は、ブッシュ14により、第二遊星減速機構20bのサンローラ2の他端(ステアリング出力軸16側)を変位拘束且つ回転可能に支持している。
ステアリング入力軸15と第一遊星減速機構20aのキャリア4との連結部、及び離脱用コマ10とステアリング出力軸16(第二遊星減速機構20bのキャリア4)との連結部には、軸方向に所定の荷重(衝突時の荷重)が入力された場合に、そのせん断力により破断するように設計された移動規制部材としての離脱用樹脂カプセル11が設けられている。
つまり、通常状態では、離脱用樹脂カプセル11により上記各連結部が固定されていることによりサンローラ2の軸方向の移動が規制されているが、ステアリング入力軸15側から軸方向に所定の荷重が入力されて離脱用樹脂カプセル11が破断することで、ステアリング入力軸15、サンローラ2及び離脱用コマ10が軸方向に相対変位可能な状態となり、中空構造となっているステアリング出力軸16内部へ挿入されるようになっている。
ここで、ステアリング入力軸15と第一遊星減速機構20aのキャリア4、及び離脱用コマ10とステアリング出力軸16(第二遊星減速機構20bのキャリア4)の嵌合部は、セレーション嵌合となっている。
このような構成により、ステアリング入力軸15からの入力トルクは、第一遊星減速機構20aのキャリア4から第一遊星減速機構20aのサンローラ2へ伝達される。続いて、第一遊星減速機構20aのサンローラ2から第二遊星減速機構20bのサンローラ2へ伝達され、そのサンローラ2から第二遊星減速機構20bのキャリア4へ伝達され、最終的にステアリング出力軸16へ伝達される。
このとき、低トルク入力時(走行時の常用操舵トルク入力時)におけるトルク伝達経路は、サンローラ⇔遊星ローラとなり、ローラのみで伝達経路が形成される。一方、高トルク入力時におけるトルク伝達経路は、太陽ギア⇔遊星ギアとなり、歯車のみで伝達経路が形成される。
このように、可変舵角機構20は、各ギア付きローラの摩擦力によって力を伝達するころがり伝動装置であり、トルク伝達系の入力側と連結された駆動側ローラと、トルク伝達系の出力側と連結された従動側ローラとの間に油膜を形成し、ローラの表面速度差に伴いローラ接触部油膜に発生するせん断応力によってトルクを伝達する。
また、前記トルクセンサ23は、ステアリング入力軸15を入力側と出力側とに2分して配設されており、操舵角方向に捩れ可能に支持するトーションバー23aを有し、トルクの発生により入力側と出力側との機械的相対角度差を利用して、磁力の強さの変化をコイル23bに流れる電流値として検出する。また、前記コイル23bはトルクセンサケース23cに格納されている。なお、図中符号23dはセンサ基盤である。
このトルクセンサケース23cは、コラムアウターチューブ25に嵌合されており、車両前面衝突などステアリングコラムに異常な荷重が入力された場合に、乗員への衝撃を最小限に抑えるべく、前記トルクセンサケース23cがコラムアウターチューブ25内部に摺動していくことで収縮する構造となっている。
ここで、トルクセンサケース23cは、ステアリング入力軸15と軸方向に相対動きを生じない状態で拘束されているため、本実施形態では、トルクセンサケース23cがコラムアウターチューブ25内部に摺動していくために、トルクセンサケース23cと同期してステアリング入力軸15が変位可能な機能を搭載している。この機能について図4をもとに詳述する。
図4は、車両衝突時におけるステアリング入力軸の収縮機能を説明する図であり、可変舵角機構20の主要部を軸方向の断面図として示している。
この図4に示すように、前述した離脱用樹脂カプセル11は、ステアリング入力軸15と第一遊星減速機構20aのキャリア4との連結部と、ステアリング出力軸16と離脱用コマ10との連結部とに設けられており(図4(a)参照)、所定のせん断力(衝突荷重に相当するせん断力)により破断するようになっている(図4(b)参照)。
各ローラは必要伝達トルクTに応じて圧接力Fを発生するよう取り付けられており、このときの転がり伝達係数μは次式で表される。
μ=(T/r)/F ………(1)
また、サンローラの滑りが発生するトルクをTs、サンローラ径をDsとすると、サンローラ−遊星ローラ間で相対滑りが発生するときの接線方向の最大伝達力Fsは、次式で現される。
Fs=Ts/(Ds/2) ………(2)
よって、サンローラはこの最大伝達力Fs以上の軸方向力を有すれば、トルク伝達時と同様に軸方向にも相対滑りが発生することになる。したがって、最大伝達力Fsを、車両前面衝突時の衝撃エネルギー吸収(以下、EAと称す。)要件として設定されている操舵系の収縮時の発生荷重よりも小さく設定することで、車両衝突時に本部位が収縮機構として機能することができる。
ところで、本実施形態では、可変舵角機構20として遊星減速機構を対向配置する構成を適用しているため、車両衝突時にステアリング入力軸15がステアリング出力軸16側に摺動したとき、第一遊星減速機構20aの太陽ギアと第二遊星減速機構20bの遊星ギアとが干渉する場合がある。つまり、第一遊星減速機構20aのサン歯車の歯と、第二遊星減速機構20bの遊星歯車の歯とがラップすることにより、摺動時に干渉して収縮の妨げとなる場合がある。
そこで、本実施形態では、トランスミッションのシンクロ機構のように各歯車の歯の軸方向端部を面取りする。
図5は、サンローラ摺動時における歯車の状態を説明する図である。
図5において、サン歯車2aおよび遊星歯車3aは、車両衝突時にステアリング入力軸15がステアリング出力軸16側に摺動する過程で互いに干渉する可能性のある歯車端面を、ローラ面において摺動方向に凸形状とされている。
それにより、図5(a)に示すように、サン歯車2aと遊星歯車3aとの歯の位相がラップした状態でサンローラ2が摺動したとき、図5(b)に示す状態から図5(c)に示すように、干渉がなくなる方向に各歯車がスライドし、スムーズな摺動が実現されることになる。つまり、図4(b)のP部の歯車に干渉防止機構を設けることで、操舵系の収縮をスムーズに行うことができる。
また、車両前面衝突における二次衝突時には、乗員への衝撃を最小限に抑えるべく、衝撃エネルギー吸収(EA)が必要とされる。このEAを可能とするためには、収縮と同時に荷重(摺動抵抗)を発生する機構が必要であり、本実施形態では、図3及び図4に示すように、ステアリング出力軸16の内径部に環状弾性体12を設けることで、これを実現する。つまり、ステアリング入力軸15と一体的に収縮する可変舵角機構20のサンローラ2がステアリング出力軸16内部に摺動していくときに、この環状弾性体12が変形することによって摺動抵抗を発生するようにする。
ここで、環状弾性体12は、トレランスリングのように弾性力を利用した波形剛板圧入リング形状の締結具や、それ相当のものを適用する。
(動作)
次に、本発明における第1の実施形態の動作について説明する。
今、自車両が走行中に前方の障害物等と接触し、車両前面衝突が発生したものとする。このとき、運転者のステアリングホイールへの衝突、所謂二次衝突が発生し、ステアリングホイール側からステアリングコラムに衝突による荷重が入力される。
図6は、二次衝突が発生した場合の可変舵角機構20の動作を示す図である。
二次衝突が発生し、ステアリングコラムに最大伝達力Fs以上の軸方向力が入力されると、サンローラ2に軸方向の相対滑りを生じさせる力が作用し、この力をせん断力として離脱用樹脂カプセル11が図4(b)の11’に示すように破断する。
離脱用樹脂カプセル11が破断した結果、可変舵角機構20においては、ステアリング入力軸15にサンローラ2が押し出されることでステアリング出力軸16側に変位可能な状態となる。
そして、図6(a)に示す通常状態から、図6(b)に示すように、ステアリング入力軸15がサンローラ2を押し出してステアリング出力軸16内部に収容させながら、トルクセンサケース23cとステアリング入力軸15とが一体でコラムアウターチューブ25内に摺動することで、可変舵角機構20が収縮状態となる。
このとき、第一遊星減速機構20aの太陽ギア及び第二遊星減速機構20bの遊星ギアは、干渉防止機構として歯車端部がローラ面において摺動方向に凸形状とされているため、サン歯車2aと遊星歯車3aとの歯の位相がラップした状態でサンローラ2が摺動したとき、干渉がなくなる方向に各歯車がスライドする(図5(a),(b)参照)。
その結果、離脱用コマ10、サンローラ2及びステアリング入力軸15が、サン歯車2aと遊星歯車3aの干渉により妨げられることなく、ステアリング出力軸16内部にスムーズに摺動する。
そして、離脱用コマ10がステアリング出力軸16内部に摺動すると、当該ステアリング出力軸16の中空内部に設けられた環状弾性体12が変形することにより摺動抵抗が発生する。
これにより、可変舵角機構20内に収縮ストロークが確保されると共に、その収縮ストロークにおける収縮動作において、衝撃エネルギーが効果的に吸収されることになる。
なお、上記実施形態においては、第1遊星減速機構20aが第1段の遊星ローラ機構を構成し、第2遊星減速機構20bが第2段の遊星ローラ機構を構成し、ステアリング入力軸15が操舵入力軸を構成し、ステアリング出力軸16が操舵出力軸を構成する。また、ステアリング出力軸16の中空が収容部を構成し、サンローラ2、離脱用コマ10および離脱用樹脂カプセル11が収縮機構を構成する。さらに、離脱用コマ10および離脱用樹脂カプセル11が移動規制部材を構成し、環状弾性体12が摺動抵抗発生手段を構成する。
(第1の実施形態の効果)
(1)操舵軸に軸方向の所定荷重が入力されたとき、サンローラが遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動し、収容部に収容された状態となる。そのため、可変舵角操舵装置内において、収縮ストロークを確保することができる。つまり、操舵軸に衝突荷重が入力された場合に、サンローラと遊星ローラとが軸方向に相対移動することにより、衝突荷重に対する収縮ストロークが確保される。即ち、可変舵角操舵装置内において、収縮ストロークを確保することができる。この結果、デザイン自由度をより高めること等が可能である。
(2)操舵軸に軸方向へ所定の荷重が入力されたとき、移動規制部材による移動規制を解除することでサンローラを移動可能な状態とするので、通常時はサンローラの移動を規制して可変舵角機構として機能させ、車両前面衝突時は操舵系の収縮機構として機能させることができる。
(3)操舵軸に軸方向へ所定の荷重が入力されたとき、離脱用樹脂カプセルが破断して操舵入力軸あるいは操舵出力軸及びサンローラが移動可能な状態となるようにするので、確実に操舵系の収縮機構を実現することができる。
(4)操舵軸に軸方向へ所定の荷重が入力されてサンローラが収容部内に移動するとき、この移動に伴って摺動抵抗を発生するので、車両前面衝突時の衝撃エネルギーを確実に吸収することができる。
(5)操舵軸の収容部内に環状弾性体を設け、サンローラが収容部内に移動するとき、この環状弾性体の変形によって摺動抵抗を発生するので、比較的簡易な構成で効果的に衝撃エネルギーを吸収することができる。
(6)サンローラが遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動する過程で互いに干渉する可能性のあるサンローラおよび遊星ローラのギアの端面を、ローラ面において相対移動方向に凸形状としたので、操舵系の収縮時に、すれ違うギアが互いに逸れることでスムーズな摺動を可能とすることができる。
(7)収容部が操舵出力軸に形成されており、操舵出力軸と同一軸上に配置されているサンローラが、操舵出力軸方向への所定荷重入力により収容部内に収容されるため、可変舵角機構内に収縮機構を確保することができる。
したがって、ステアリングコラムにトルクセンサを搭載しているために収縮のための中空構造を取れない場合であっても、前記所定荷重入力により操舵系の収縮機構を実現することができる。また、車両前面衝突における二次衝突に対して、効率的に操舵系を収縮させることができる。
(8)車体に入力された衝突荷重に起因して、操舵入力軸あるいは操舵出力軸に荷重が入力されると、サンローラと遊星ローラとが軸方向に相対移動することにより、衝突荷重に対する収縮ストロークが確保される。そのため、可変舵角操舵装置内において、収縮ストロークを確保することができる。その結果、一次衝突において車体を柔軟に変形させたり、二次衝突において乗員への衝撃を低減させたりすることが可能な自動車とすることができる。
(9)操舵軸に衝突荷重が入力された場合に、サンローラと遊星ローラとを軸方向に相対移動させる操舵系の収縮方法としたため、減速機部分において衝突荷重に対する収縮ストロークが確保される。即ち、可変舵角操舵装置内において、収縮ストロークを確保することができる。
(10)離脱用樹脂カプセルの最大伝達力を、車両前面衝突時の衝撃エネルギー吸収要件として設定されている操舵系の収縮時の発生荷重よりも小さく設定するので、確実にステアリング入力軸及びサンローラを移動可能な状態へ切り換えることができる。また、別途アクチュエータ等を設ける必要がないため、比較的簡易な構成でこれを実現することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
(構成)
この第2の実施形態は、操舵系の収縮時における衝撃エネルギー吸収を、前述した第1の実施形態における環状弾性体に代えて、コラムアウターチューブの嵌合部の変形力により実現するようにしたものである。
図7は、第2の実施形態の可変舵角機構20及びその周辺部位の詳細な構成を示す図である。この図7に示すように、本実施形態に係る可変舵角操舵装置は、図3に示す前述した第1の実施形態においてトルクセンサ23及び環状弾性体12を有することなく、嵌合部材としてのコラムアウターチューブ25が、チューブ25Aとチューブ25Bとを嵌合して構成されていることを除いては、図3と同様の構成を有するため、異なる部分を中心に説明する。
本実施形態における操舵倍力装置24は、前述した第1の実施形態とは異なり、トルクセンサ23を必要としないパーキングアシスト用操舵アクチュエータや、車線逸脱防止用操舵アクチュエータとして利用されるものとする。
このように、可変舵角機構20のステアリングホイール21側にトルクセンサ23を設けない場合にも、車両前面衝突における二次衝突が発生してステアリング入力軸15側から異常な荷重が入力されたときには、前述した第1の実施形態と同様に、離脱用樹脂カプセル11が破断することでステアリング入力軸15、サンローラ2及び離脱用コマ10がステアリング出力軸16内部に挿入されて、操舵系の収縮が可能となる。
コラムアウターチューブ25は、ステアリングホイール21側に配置されたチューブ25Aを、ステアリング出力軸16側に配置されたチューブ25Bに嵌合して構成される二重筒構造である。ここで、チューブ25Aとチューブ25Bとの嵌合部分は、B−B’矢視図に示すように楕円形状となっており、チューブ25B内にチューブ25Aが嵌合している。また、チューブ25Aの非嵌合部分は、A−A’矢視図に示すように円形状となっており、非嵌合部における円形状の直径は、嵌合部分における楕円形状の短径より大きい構造となっている。
このような構成により、ステアリング入力軸15が収縮し、チューブ25Aがチューブ25B内部へ移動したとき、チューブ25Aの非嵌合部が変形しながらチューブ25Bに進入する。このように、チューブ25Aがチューブ25B内部へ進入する際の変形荷重(摺動抵抗)により衝撃エネルギーを吸収する。このチューブ25A及びチューブ25Bにより変形荷重を発生する構成が摺動抵抗発生手段に対応している。
(動作)
次に、本発明における第2の実施形態の動作について説明する。
今、自車両が走行中に前方の障害物等と接触し、車両前面衝突が発生したものとする。このとき、運転者のステアリングホイールへの衝突、所謂二次衝突が発生し、ステアリングホイール側からステアリングコラムに衝突による荷重が入力される。
図8は、二次衝突が発生した場合の可変舵角機構20の動作を示す図である。
二次衝突が発生し、可変舵角操舵装置20のサンローラ2に最大伝達力Fs以上の軸方向力が入力されると、軸方向の相対滑りを生じさせる力が作用し、この力をせん断力として離脱用樹脂カプセル11が破断する。
離脱用樹脂カプセル11が破断した結果、可変舵角機構20においては、ステアリング入力軸15にサンローラ2が押し出されることでステアリング出力軸16側に変位可能な状態、即ち、ステアリング入力軸15がステアリング出力軸16内部に摺動可能な状態となる。
そして、ステアリング入力軸15がサンローラ2を押し出してステアリング出力軸16内部に収容させながら、チューブ25Aがチューブ25B内部へ進入して、可変舵角機構20は、図8(a)に示す通常状態から、図8(b)に示す収縮状態となる。
また、このとき、チューブ25Aがチューブ25B内部へ摺動すると、チューブ25Aが変形することにより変形荷重が発生する。
これにより、可変舵角機構20内に収縮ストロークが確保されると共に、その収縮ストロークにおける収縮動作において、衝撃エネルギーが効果的に吸収されることになる。
なお、上記実施形態においては、ステアリング入力軸15のコラムアウターチューブ25が二重筒構造を有すると共に、摺動抵抗発生手段を構成している。
(第2の実施形態の効果)
(1)操舵入力軸(あるいは操舵出力軸)を、サンローラの軸方向への移動に伴って互いに嵌合する二重筒構造としている。そのため、操舵軸に衝突荷重が入力された場合、二重筒がより深く嵌合することにより変形荷重が発生する。したがって、可変舵角操舵装置内において収縮ストロークを確保できると共に、操舵系の収縮時に摺動抵抗を発生させることができ、効果的に衝撃エネルギーを吸収することができる。この結果、デザインの自由度をより高めることが可能である。
(2)コラムアウターチューブを嵌合部材として適用するので、追加部品を必要とすることなく、操舵系の収縮時における衝撃エネルギー吸収を実現することができる。
(応用例)
なお、上記第2の実施形態においては、チューブ25Aの非嵌合部分の断面形状を円形状とし、チューブ25A,25Bの嵌合部分での断面形状を楕円形状とする場合について説明したが、このような構成の他、例えば、チューブ25Aの非嵌合部分の断面形状を楕円形状とし、チューブ25Bの断面形状を、チューブ25Aの楕円形状における長径より直径の小さい円形状とできる。このように、チューブ25A,25Bについては、二次衝突の荷重により、チューブ25Aがチューブ25B方向へ移動する際に変形を伴う形状を採用することができる。
また、上記第2の実施形態においては、コラムアウターチューブ25を嵌合部材とする場合について説明したが、このような構成の他、操舵系の収縮時におけるサンローラの摺動に伴って嵌合するものを嵌合部材とすることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
(構成)
この第3の実施形態は、前述した第1及び第2の実施形態において、車両前面衝突時における二次衝突に対する操舵系の収縮機構を実現しているのに対し、車両前面衝突時における一次衝突に対する操舵系の収縮機構を実現するようにしたものである。
図9は、第3の実施形態の可変舵角機構20の全体構成を示す概略図である。
図9に示すように、本実施形態における可変舵角機構20においては、前述した第1又は第2の実施形態における可変舵角機構20のケース20cが車両のダッシュパネル26に取り付けられている。
そして、その取り付け方向は、離脱用コマ10をステアリングホイール21側に配置する方向であり、前述した第1及び第2の実施形態では、ステアリングホイール21側からの荷重入力に対して操舵系が収縮するように構成されているのに対し、本実施形態では、操向輪22側、即ちR&P式ステアリングギヤ27側からの荷重入力に対して操舵系が収縮するようになっている。
具体的には、ステアリング入力軸15が第一遊星減速機構20aのキャリア4と一体且つ中空で構成され、ステアリング出力軸16が第二遊星減速機構20bのキャリア4と相対回転しない状態で同心状に連結されている。また、第一遊星減速機構20a及び第二遊星減速機構20bのサンローラ2同士が連結(一体的に形成)されている。
さらに、ステアリング入力軸15の中空内部には離脱用コマ10が挿入されており、この離脱用コマ10は、第一遊星減速機構20aのサンローラ2の一端(ステアリング入力軸15側)を変位拘束且つ回転可能に支持している。また、前記ステアリング出力軸16は、第二遊星減速機構20bのサンローラ2の他端(ステアリング出力軸16側)を変位拘束且つ回転可能に支持している。
そして、離脱用コマ10とステアリング入力軸15(第一遊星減速機構20aのキャリア4)との連結部、及びステアリング出力軸16と第二遊星減速機構20bのキャリア4との連結部には、軸方向に所定の荷重(衝突時の荷重)が入力された場合にせん断力により破断するように設計された離脱用樹脂カプセル11が設けられている。つまり、ステアリング出力軸16側から軸方向に所定の荷重が入力されて離脱用樹脂カプセル11が破断することで、ステアリング出力軸16、サンローラ2及び離脱用コマ10が軸方向に相対変位可能な状態となり、中空構造となっているステアリング入力軸15内部へ挿入されるようになっている。
したがって、前述した第1及び第2の実施形態のようにステアリング出力軸16を中空構造とし、可変舵角機構をステアリングホイール近傍に配置した場合には、ステアリングホイール21側からの荷重入力、即ち二次衝突に対する収縮が可能となり、本実施形態のようにステアリング入力軸15を中空構造とし、可変舵角機構を操向輪近傍に配置した場合には、操向輪22側からの荷重入力、即ち一次衝突に対する収縮が可能となる。
(動作)
次に、本発明の第3の実施形態の動作について説明する。
今、自車両が走行中に前方の障害物等と接触し、車両前面衝突が発生したものとする。このとき、R&P式ステアリングギヤ27側である車両前面から衝突(所謂一次衝突)による荷重が入力される。
図10は、一次衝突が発生した場合の可変舵角機構20の動作を示す図である。
衝突が発生し、可変舵角操舵装置20のサンローラ2に最大伝達力Fs以上の軸方向力が入力されると、サンローラ2に軸方向の相対滑りを生じさせる力が作用し、この力をせん断力として離脱用樹脂カプセル11が破断する。
離脱用樹脂カプセル11が破断した結果、可変舵角機構20においては、ステアリング出力軸16にサンローラ2が押し出されることでステアリング入力軸側に変位可能な状態となる。
そして、図10(a)に示す通常状態から、図10(b)に示すように、ステアリング出力軸16がサンローラ2を押し出してステアリング入力軸15内部に収容させることで、可変舵角機構20が収縮状態となる。
これにより、可変舵角機構20内に一次衝突に対する収縮ストロークが確保されることとなる。
なお、上記実施形態においては、ステアリング入力軸15が操舵入力軸を構成し、ステアリング入力軸15の中空が収容部を構成している。
(第3の実施形態の効果)
(1)操舵出力軸から操舵入力軸方向の荷重入力(操向輪側からの荷重入力)に対してサンローラが操舵入力軸の収容部内に収容されて操舵系が収縮する構造とする。したがって、車両前面衝突での一次衝突に対する収縮機構を実現し、乗員への衝撃を抑えることができる。また、これにより、デザインの自由度を高めることが可能となる。
(応用例)
なお、上記各実施形態においては、2つの遊星減速機構を対向配置して可変舵角機構を構成する場合について説明したが、1つの遊星減速機構から構成することもできる。
例えば、サンローラを遊星ローラに囲まれた軸方向位置に支持する支持手段(例えば、上記各実施形態における離脱用コマ10および離脱用樹脂カプセル11)を備え、支持手段が、サンローラに軸方向への所定荷重が入力した場合に、サンローラを遊星ローラに支持された状態から軸方向へ移動させる構成とする。
このような構成とすることで、所定荷重の入力に応じて、支持手段がサンローラを軸方向に移動させ、遊星ローラに支持された状態から離脱させるので、遊星機構において収縮ストロークを確保することができる。
上記のような構成の具体例として、ステアリング入力軸とサンローラとを回転しない状態に連結し、ステアリング出力軸とキャリアとを一体且つ中空で構成することとすれば、ステアリング入力軸側からの荷重入力に対して操舵系が収縮可能となる。
また、上記各実施形態においては、第一遊星減速機構及び第二遊星減速機構の何れか一方のキャリアとステアリング入力軸とを連結し、他方のキャリアとステアリング出力軸とを連結し、第一遊星減速機構及び第二遊星減速機構のサンローラ同士を連結する場合について説明したが、このような構成の他、第一遊星減速機構及び第二遊星減速機構の何れか一方のサンローラとステアリング入力軸とを連結し、他方のサンローラとステアリング出力軸とを連結し、第一遊星減速機構及び第二遊星減速機構のキャリア同士を連結することもできる。この場合には、第一遊星減速機構及び第二遊星減速機構のサンローラ同士を回転可能に連結するなどにより、軸方向の荷重入力時に操舵軸と同期してサンローラが摺動可能な構成とする。
さらに、上記各実施形態においては、離脱用樹脂カプセルを設け、操舵軸方向に所定荷重が入力されたとき、この離脱用樹脂カプセルが破断することで操舵軸及びサンローラが摺動可能な状態となるようにする場合について説明したが、このような構成の他、離脱用樹脂カプセルの代わりにアクチュエータによって操舵軸およびサンローラの連結/解除を切換可能な連結部材を設け、前記所定荷重が入力されたとき、アクチュエータ等を駆動して連結部材を解除状態に切り換えることで、操舵軸及びサンローラを摺動可能な状態とすることもできる。
本発明の実施形態における車両の概略構成図である。 第1の実施形態における可変舵角機構20の全体構成を示す外略図である。 第1の実施形態における可変舵角機構20の断面図である。 車両衝突時におけるステアリング入力軸の収縮機能を説明する図である。 サンローラ摺動時における歯車の状態を説明する図である。 第1の実施形態の動作を説明する図である。 第2の実施形態における可変舵角機構の詳細図である。 第2の実施形態の動作を説明する図である。 第3の実施形態における可変舵角機構の全体図である。 第3の実施形態における動作を説明する図である。
符号の説明
1 モータ
2 サンローラ
3 遊星ローラ
4 キャリア
5 リングローラ
6 ウォームギア
7 ウォームホイール
10 離脱用コマ
11 離脱用樹脂カプセル
12 環状弾性体
15 ステアリング入力軸
16 ステアリング出力軸
20 可変舵角機構
20a 第一遊星減速機構
20b 第二遊星減速機構
21 ステアリングホイール
22 操向輪
23 トルクセンサ
23a トーションバー
23b コイル
23c トルクセンサケース
24 操舵倍力装置
25 コラムアウターチューブ
26 ダッシュパネル
27 R&P式ステアリングギヤ
28 中間シャフト(インタミシャフト)
30 電子制御装置

Claims (11)

  1. サンローラを一体的に構成された第1段の遊星ローラ機構および第2段の遊星ローラ機構と、
    前記第1段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵入力軸と、
    前記第2段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵出力軸と、
    前記第1段あるいは第2段の遊星ローラ機構におけるリングローラのいずれかを回転させる回転手段と、
    前記操舵入力軸あるいは操舵出力軸側に形成された、前記サンローラを収容可能な収容部と、
    前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、前記サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動し、前記収容部に収容された状態となる収縮機構と、を備え、
    前記サンローラおよび遊星ローラは、同軸上にローラとギアとを一体的に形成したギア付きローラであって、前記サンローラには、前記第1の遊星ローラ機構および第2の遊星ローラ機構それぞれに対応するギア部分が形成され、前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、該サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動する過程で互いに干渉する可能性のある前記サンローラおよび前記遊星ローラのギアの端面を、該ローラ面において相対移動方向に凸形状としたことを特徴とする可変舵角操舵装置。
  2. 前記収縮機構は、前記サンローラが前記遊星ローラに支持された状態に前記サンローラの移動を規制する移動規制部材を有し、前記サンローラに操舵入出力軸方向への前記所定荷重が入力した場合に、前記移動規制部材が前記サンローラの移動の規制を解除し、前記収容部に収容された状態となることを特徴とする請求項1に記載の可変舵角操舵装置。
  3. 前記移動規制部材は、前記所定荷重相当のせん断力により破断又は分離する部材から構成されていることを特徴とする請求項2に記載の可変舵角操舵装置。
  4. 前記収縮機構において前記サンローラが前記収容部に移動する際に、摺動抵抗を発生する摺動抵抗発生手段を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の可変舵角操舵装置。
  5. 前記摺動抵抗発生手段は、前記収容部の内周面に沿って設置された環状弾性体を備え、該環状弾性体が、移動する前記サンローラとの間で摩擦を生ずることにより、摺動抵抗を発生することを特徴とする請求項4に記載の可変舵角操舵装置。
  6. 前記操舵入力軸あるいは操舵出力軸の少なくともいずれかは、前記サンローラの軸方向への移動に伴って互いに嵌合する二重筒構造を有し、
    前記摺動抵抗発生手段は、該嵌合に伴う荷重によって摺動抵抗を発生することを特徴とする請求項4または5に記載の可変舵角操舵装置。
  7. 前記収容部は操舵入力軸に形成され、前記収縮機構は操舵出力軸から操舵入力軸方向に所定荷重が入力された場合に、前記サンローラが前記収容部に収容された状態となることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の可変舵角操舵装置。
  8. 前記収容部は操舵出力軸に形成され、前記収縮機構は操舵入力軸から操舵出力軸方向に所定荷重が入力された場合に、前記サンローラが前記収容部に収容された状態となることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の可変舵角操舵装置。
  9. 可変舵角操舵装置を備えた自動車であって、
    前記可変舵角操舵装置は、
    サンローラを一体的に構成された第1段の遊星ローラ機構および第2段の遊星ローラ機構と、
    前記第1段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵入力軸と、
    前記第2段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵出力軸と、
    前記第1段あるいは第2段の遊星ローラ機構におけるリングローラのいずれかを回転させる回転手段と、
    前記操舵入力軸あるいは操舵出力軸側に形成された、前記サンローラを収容可能な収容部と、
    前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、前記サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動し、前記収容部に収容された状態となる収縮機構と、を備え、
    前記サンローラおよび遊星ローラは、同軸上にローラとギアとを一体的に形成したギア付きローラであって、前記サンローラには、前記第1の遊星ローラ機構および第2の遊星ローラ機構それぞれに対応するギア部分が形成され、前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、該サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動する過程で互いに干渉する可能性のある前記サンローラおよび前記遊星ローラのギアの端面を、該ローラ面において相対移動方向に凸形状としており、
    車体に衝突荷重が入力され、前記操舵入力軸あるいは操舵出力軸に対して該衝突荷重に基づく荷重が伝達された場合に、前記サンローラの前記遊星ローラに対する軸方向への移動によって、該荷重に対する収縮ストロークを生じさせることを特徴とする自動車。
  10. 可変舵角操舵装置を含む操舵系の収縮方法であって、
    前記可変舵角操舵装置は、
    サンローラを一体的に構成された第1段の遊星ローラ機構および第2段の遊星ローラ機構と、
    前記第1段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵入力軸と、
    前記第2段の遊星ローラ機構における前記遊星ローラの支軸に連結され、前記サンローラと同軸上に配置された操舵出力軸と、
    前記第1段あるいは第2段の遊星ローラ機構におけるリングローラのいずれかを回転させる回転手段と、
    前記操舵入力軸あるいは操舵出力軸側に形成された、前記サンローラを収容可能な収容部と、
    前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、前記サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動し、前記収容部に収容された状態となる収縮機構と、を備え、
    前記サンローラおよび遊星ローラは、同軸上にローラとギアとを一体的に形成したギア付きローラであって、前記サンローラには、前記第1の遊星ローラ機構および第2の遊星ローラ機構それぞれに対応するギア部分が形成され、前記サンローラに操舵入出力軸方向への所定荷重が入力した場合に、該サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動する過程で互いに干渉する可能性のある前記サンローラおよび前記遊星ローラのギアの端面を、該ローラ面において相対移動方向に凸形状としており、
    前記操舵入力軸あるいは操舵出力軸に対して衝突荷重が入力された場合に、前記サンローラの前記遊星ローラに対する軸方向への移動によって、該衝突荷重に対する収縮ストロークを生じさせることを特徴とする操舵系の収縮方法。
  11. サンローラの周囲にローラ面を接して遊星ローラが配置された遊星ローラ機構であって、
    前記サンローラを一体的に構成された第1段の遊星ローラ機構および第2段の遊星ローラ機構と、
    前記サンローラを前記遊星ローラに囲まれた軸方向位置に支持する支持手段と、を備え、
    前記支持手段は、前記サンローラに軸方向への所定荷重が入力した場合に、前記サンローラを前記遊星ローラに支持された状態から軸方向へ移動させるように構成されており、
    前記サンローラおよび遊星ローラは、同軸上にローラとギアとを一体的に形成したギア付きローラであって、前記サンローラには、前記第1の遊星ローラ機構および第2の遊星ローラ機構それぞれに対応するギア部分が形成され、前記サンローラに軸方向への所定荷重が入力した場合に、該サンローラが前記遊星ローラに支持された状態から軸方向に移動する過程で互いに干渉する可能性のある前記サンローラおよび前記遊星ローラのギアの端面を、該ローラ面において相対移動方向に凸形状としたことを特徴とする遊星ローラ機構。
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