JP4774936B2 - 圧電素子の駆動回路および液体吐出装置 - Google Patents

圧電素子の駆動回路および液体吐出装置 Download PDF

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Description

本発明は、圧電素子を駆動するための駆動信号を生成する圧電素子の駆動回路および液体吐出装置に関する。
インクジェットプリンタには、ノズルからインクを吐出する動作を行う圧電素子が設けられている。この圧電素子は、インクジェットプリンタ以外にも、他の様々な機器で使用されている。このような圧電素子を備えたインクジェットプリンタをはじめとする各種機器には、圧電素子を駆動するための駆動回路が設けられている。
この圧電素子の駆動回路は、一般に、圧電素子を駆動するための駆動信号を生成して圧電素子に出力する。この駆動回路では、圧電素子を駆動するための駆動信号を生成するためにトランジスタを備え、当該トランジスタにより電流増幅を行って駆動信号を生成している(特許文献1、2、3参照)。
特開昭63−25049号公報 特開平11−320872号公報 特開2000−238264号公報
しかしながら、このように駆動信号を生成するためにトランジスタにより電流増幅を行った場合に、次のような問題が発生していた。つまり、それは、駆動回路、更に特定すればトランジスタの消費電力が非常に大きいという問題である。要するに、駆動回路の消費電力が大きいと、機器の使用電力増加になってしまい、電源を強力にしなければならないという機器自体の問題や、環境に影響を及ぼす虞があるといった問題になる。また、トランジスタの消費電力が大きいと、トランジスタから多大な熱が発生し、周囲が高温状態になり悪影響を及ぼすといった不具合が生じる虞があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、圧電素子の駆動回路の消費電力の低減を図ることにある。
前記目的を達成するための主たる発明は、
制御端子に入力される基準信号を増幅して、圧電素子を動作させるための主駆動信号を生成して出力端子から出力するトランジスタと、
前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第1補助駆動信号を供給する第1補助駆動信号生成回路と、
前記電流供給端子に入力される前記第1補助駆動信号の電位と、前記制御端子に入力される前記基準信号の電位との電位差が所定値を下回ったときに、前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第2補助駆動信号を供給する第2補助駆動信号生成回路と、
を備え
前記第1補助駆動信号生成回路は、インダクタンスとコンデンサとが直列に接続された
LC共振回路を有し、このLC共振回路の共振によって前記第1補助駆動信号を生成し、
前記コンデンサの端子間電圧が、前記第1補助駆動信号として前記トランジスタの電流供給端子に供給されることを特徴とする圧電素子の駆動回路である。
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
制御端子に入力される基準信号を増幅して、圧電素子を動作させるための主駆動信号を生成して出力端子から出力するトランジスタと、
前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第1補助駆動信号を供給する第1補助駆動信号生成回路と、
前記電流供給端子に入力される前記第1補助駆動信号の電位と、前記制御端子に入力される前記基準信号の電位との電位差が所定値を下回ったときに、前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第2補助駆動信号を供給する第2補助駆動信号生成回路と、
を備えたことを特徴とする圧電素子の駆動回路。
この圧電素子の駆動回路にあっては、第1補助駆動信号生成回路により生成された第1補助駆動信号をトランジスタの電流供給端子に供給することで、トランジスタの消費電力の低減を図ることができる。さらに、電流供給端子に入力される第1補助駆動信号の電位と、制御端子に入力される基準信号の電位との電位差が所定値を下回ったときに、電流供給端子に第2補助駆動信号を供給することで、トランジスタの電流供給端子に確実に電流を供給することができる。
かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記第1補助駆動信号生成回路は、前記第1補助駆動信号として、前記トランジスタの消費電力を低減するために電位波形が定められた信号を生成しても良い。このような信号を第1補助駆動信号生成回路が生成することにより、トランジスタの消費電力のより大きな低減を図ることができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記第1補助駆動信号生成回路は、前記第1補助駆動信号として、前記基準信号の電位上昇に先行して電位が上昇し、かつ前記基準信号の電位降下に先行して電位が降下する信号を生成しても良い。このような信号を第1補助駆動信号生成回路が生成することにより、トランジスタの消費電力の低減を十分に図ることができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記第1補助駆動信号が、前記基準信号の電位波形と近似した電位波形を有しても良い。このような電位波形を第1補助駆動信号が有していれば、トランジスタの消費電力のより大きな低減を図ることができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記第1補助駆動信号生成回路は、インダクタンスとコンデンサとが直列に接続されたLC共振回路を有し、このLC共振回路の共振によって前記第1補助駆動信号を生成しても良い。このようなLC共振回路を有することで、トランジスタの消費電力の低減を簡単に図ることができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記コンデンサの端子間電圧が、前記補助駆動信号として前記トランジスタの電流供給端子に供給されても良い。このようにコンデンサの端子間電圧が、前記第1補助駆動信号としてトランジスタの電流供給端子に供給されれば、LC回路の共振により生成した第1補助駆動信号を簡単にトランジスタの電流供給端子に供給することができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記トランジスタとして、相補的に接続されたトランジスタ対を備えていても良い。このようなトランジスタ対を備えれば、基準信号の増幅を十分に行うことができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記トランジスタ対が、エミッタ端子が相互に接続されたNPN型トランジスタとPNP型トランジスタとにより構成されても良い。このような構成により、基準信号の増幅を効率よく行うことができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記トランジスタがバイポーラトランジスタであっても良い。このようにトランジスタがバイポーラトランジスタであることで、基準信号の増幅を簡単に行うことができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記第2補助駆動信号生成回路は、前記基準信号に基づき、前記第2補助駆動信号を生成しても良い。このように第2補助駆動信号が生成されれば、電流供給端子に入力される第1補助駆動信号の電位と、制御端子に入力される基準信号の電位との電位差が所定値を下回ったときに、トランジスタの電流供給端子に確実に電流を供給することができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記第2補助駆動信号生成回路は、前記第2補助駆動信号として、前記基準信号の電位上昇時に電位が上昇し、前記基準信号の電位降下時に電位が降下する信号を生成しても良い。このような第2補助駆動信号が生成されれば、電流供給端子に入力される第1補助駆動信号の電位と、制御端子に入力される基準信号の電位との電位差が所定値を下回ったときに、トランジスタの電流供給端子に確実に電流を供給することができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記第2補助駆動信号が前記基準信号の電位と所定の電位差を持つ信号であっても良い。このように第2補助駆動信号が基準信号の電位と所定の電位差を持つ信号であることで、電流供給端子に入力される第1補助駆動信号の電位と、制御端子に入力される基準信号の電位との電位差が所定値を下回ったときに、トランジスタの電流供給端子に確実に電流を供給することができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記第2補助駆動信号生成回路は、前記第2補助駆動信号を生成するためのトランジスタを備えていても良い。このようなトランジスタを第2補助駆動信号生成回路が備えれば、第2補助駆動信号を簡単に生成することができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記第2補助駆動信号生成回路は、前記トランジスタとして、ダーリントン接続された2以上のトランジスタを備えていても良い。このようにダーリントン接続された2以上のトランジスタを備えれば、第2補助駆動信号を簡単に生成することができる。
また、かかる圧電素子の駆動回路にあっては、前記圧電素子が、ノズルから液体を吐出する動作を行う素子であっても良い。このように圧電素子がノズルから液体を吐出する動作を行う素子である場合に、圧電素子の駆動回路のトランジスタの消費電力の低減を図ることができる。さらに、そのトランジスタの電流供給端子に入力される第1補助駆動信号の電位と、制御端子に入力される基準信号の電位との電位差が所定値を下回ったときに、電流供給端子に第2補助駆動信号を供給することで、トランジスタの電流供給端子に確実に電流を供給することができる。
(A)制御端子に入力される基準信号を増幅して、圧電素子を動作させるための主駆動信号を生成して出力端子から出力するトランジスタと、
(B)前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第1補助駆動信号を供給する第1補助駆動信号生成回路と、
(C)前記電流供給端子に入力される前記第1補助駆動信号の電位と、前記制御端子に入力される前記基準信号の電位との電位差が所定値を下回ったときに、前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第2補助駆動信号を供給する第2補助駆動信号生成回路と、
(D)を備え、
(E)前記第1補助駆動信号生成回路は、前記第1補助駆動信号として、前記トランジスタの消費電力を低減するために電位波形が定められた信号を生成し、
(F)前記第1補助駆動信号生成回路は、前記第1補助駆動信号として、前記基準信号の電位上昇に先行して電位が上昇し、かつ前記基準信号の電位降下に先行して電位が降下する信号を生成し、
(G)前記第1補助駆動信号が、前記基準信号の電位波形と近似した電位波形を有し、
(H)前記第1補助駆動信号生成回路は、インダクタンスとコンデンサとが直列に接続されたLC共振回路を有し、このLC共振回路の共振によって前記第1補助駆動信号を生成し、
(I)前記コンデンサの端子間電圧が、前記補助駆動信号として前記トランジスタの電流供給端子に供給され、
(J)前記トランジスタとして、相補的に接続されたトランジスタ対を備え、
(K)前記トランジスタ対が、エミッタ端子が相互に接続されたNPN型トランジスタとPNP型トランジスタとにより構成され、
(L)前記トランジスタがバイポーラトランジスタであり、
(M)前記第2補助駆動信号生成回路は、前記基準信号に基づき、前記第2補助駆動信号を生成し、
(N)前記第2補助駆動信号生成回路は、前記第2補助駆動信号として、前記基準信号の電位上昇時に電位が上昇し、前記基準信号の電位降下時に電位が降下する信号を生成し、
(O)前記第2補助駆動信号が前記基準信号の電位と所定の電位差を持つ信号であり、
(P)前記第2補助駆動信号生成回路は、前記第2補助駆動信号を生成するためのトランジスタを備え、
(Q)前記第2補助駆動信号生成回路は、前記トランジスタとして、ダーリントン接続された2以上のトランジスタを備え、
(R)前記圧電素子が、ノズルから液体を吐出する動作を行う素子であることを特徴とする圧電素子の駆動回路。
ノズルから液体を吐出する動作を行う圧電素子と、
制御端子に入力される基準信号を増幅して、前記圧電素子に前記動作をさせるための主駆動信号を生成して出力端子から出力するトランジスタと、
前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第1補助駆動信号を供給する第1補助駆動信号生成回路と、
前記電流供給端子に入力される前記第1補助駆動信号の電位と、前記制御端子に入力される前記基準信号の電位との電位差が所定値を下回ったときに、前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第2補助駆動信号を供給する第2補助駆動信号生成回路と、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
===印刷システム100の構成===
<全体構成>
まず、印刷装置を印刷システムとともに説明する。ここで、図1は、印刷システム100の構成を説明する図である。例示した印刷システム100は、印刷装置としてのプリンタ1と、印刷制御装置としてのコンピュータ110とを含んでいる。具体的には、この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを有している。プリンタ1は、用紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する。なお、この媒体は、液体が吐出される対象となる対象物に相当する。また、以下の説明では、代表的な媒体である用紙を例に挙げて説明する。コンピュータ110は、プリンタ1と通信可能に接続されている。そして、プリンタ1に画像を印刷させるため、コンピュータ110は、その画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。このコンピュータ110には、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のコンピュータプログラムがインストールされている。表示装置120は、ディスプレイを有している。この表示装置120は、例えば、コンピュータプログラムのユーザーインタフェースを表示するためのものである。入力装置130は、例えば、キーボード131やマウス132である。記録再生装置140は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置141やCD−ROMドライブ装置142である。
===コンピュータ110===
<コンピュータ110の構成>
図2は、コンピュータ110、及びプリンタ1の構成を説明するブロック図である。まず、コンピュータ110の構成について簡単に説明する。このコンピュータ110は、前述した記録再生装置140と、ホスト側コントローラ111とを有している。記録再生装置140は、ホスト側コントローラ111と通信可能に接続されており、例えばコンピュータ110の筐体に取り付けられている。ホスト側コントローラ111は、コンピュータ110における各種の制御を行うものであり、前述した表示装置120や入力装置130も通信可能に接続されている。このホスト側コントローラ111は、インタフェース部112と、CPU113と、メモリ114とを有する。インタフェース部112は、プリンタ1との間に介在し、データの受け渡しを行う。CPU113は、コンピュータ110の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ114は、CPU113が使用するコンピュータプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM、磁気ディスク装置等によって構成される。このメモリ114に格納されるコンピュータプログラムとしては、前述したアプリケーションプログラムやプリンタドライバがある。そして、CPU113は、メモリ114に格納されているコンピュータプログラムに従って各種の制御を行う。
印刷データは、プリンタ1が解釈できる形式のデータである。印刷データには、各種のコマンドデータや画素データが含まれている。ここで、コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータである。このコマンドデータには、例えば、給紙を指示するコマンドデータや、搬送量を示すコマンドデータ、排紙を指示するコマンドデータなどがある。また、画素データは、印刷される画像を構成する画素に関するデータである。ここでは、画素データは、印刷される画像を構成する各画素に対応して用紙上に形成されるドットに関するデータ(例えば、階調値)により構成されている。本実施形態では、画素データは2ビットのデータにより構成されている。詳しくは、この画素データには、ドット無し(インクの非吐出)に対応するデータ[00]と、小ドットの形成に対応するデータ[01]と、中ドットの形成に対応するデータ[10]と、大ドットの形成に対応するデータ[11]とがある。すなわち、このプリンタ1では、1画素について4階調で画像を形成するようになっている。
===プリンタ1===
<プリンタ1の構成>
次に、プリンタ1の構成について説明する。ここで、図3Aは、本実施形態のプリンタ1の構成を示す図である。図3Bは、本実施形態のプリンタ1の構成を説明する側面図である。なお、以下の説明では、図2も参照する。このプリンタ1は、図2に示すように、用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40、駆動信号生成回路50、検出器群60、及び、プリンタ側コントローラ70を有する。そして、駆動信号生成回路50とプリンタ側コントローラ70は共通のコントローラ基板CTRに実装されている。また、ヘッドユニット40は、ヘッド制御部HCと、ヘッド41とを有している。このプリンタ1では、プリンタ側コントローラ70によって制御対象部、すなわち用紙搬送機構20、キャリッジ移動機構30、ヘッドユニット40(ヘッド制御部HC,ヘッド41)、及び駆動信号生成回路50が制御される。すなわち、プリンタ側コントローラ70は、コンピュータ110から受け取った印刷データに基づいて制御対象部を制御し、用紙Sに画像を印刷させる。このとき、検出器群60の各検出器は、プリンタ1内の各部の状態を検出しており、検出結果をプリンタ側コントローラ70に出力する。各検出器からの検出結果を受けたプリンタ側コントローラ70は、その検出結果に基づいて制御対象部を制御する。
<用紙搬送機構>
用紙搬送機構20は、媒体を搬送させる媒体搬送部に相当する。この用紙搬送機構20は、媒体としての用紙Sを印刷可能な位置に送り込んだり、この用紙Sを搬送方向に所定の搬送量で搬送させたりするものである。この搬送方向は、次に説明するキャリッジ移動方向と交差する方向である。そして、図3A及び図3Bに示すように、用紙搬送機構20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ1内に自動的に送るためのローラであり、この例ではD形の断面形状をしている。搬送モータ22は、用紙Sを搬送方向に搬送させるためのモータであり、その動作は、プリンタ側コントローラ70によって制御される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって送られてきた用紙Sを、印刷可能な領域まで搬送するためのローラである。プラテン24は、用紙Sを裏面側から支持するための部材である。排紙ローラ25は、印刷が終了した用紙Sを搬送するためのローラである。
<キャリッジ移動機構>
キャリッジ移動機構30は、ヘッドユニット40が取り付けられたキャリッジCRをキャリッジ移動方向に移動させるためのものである。キャリッジ移動方向には、一側から他側への移動方向と、他側から一側への移動方向が含まれている。なお、ヘッドユニット40はヘッド41を有する。このため、キャリッジ移動方向は、ヘッド41が移動するヘッド移動方向(所定方向)に相当する。また、キャリッジ移動機構30は、ヘッド41を所定方向に移動させるヘッド移動部に相当する。このキャリッジ移動機構30は、キャリッジモータ31と、ガイド軸32と、タイミングベルト33と、駆動プーリー34と、従動プーリー35とを有する。キャリッジモータ31は、キャリッジCRを移動させるための駆動源に相当する。このキャリッジモータ31の動作は、プリンタ側コントローラ70によって制御される。そして、キャリッジモータ31の回転軸には、駆動プーリー34が取り付けられている。この駆動プーリー34は、キャリッジ移動方向の一端側に配置されている。駆動プーリー34とは反対側のキャリッジ移動方向の他端側には、従動プーリー35が配置されている。タイミングベルト33は、キャリッジCRに接続されているとともに、駆動プーリー34と従動プーリー35とに架け渡されている。ガイド軸32は、キャリッジCRを移動可能な状態で支持する。このガイド軸32は、キャリッジ移動方向に沿って取り付けられている。従って、キャリッジモータ31が動作すると、キャリッジCRはこのガイド軸32に沿ってキャリッジ移動方向に移動する。これに伴い、ヘッド41もヘッド移動方向に移動する。
<ヘッドユニット>
ヘッドユニット40は、インクを用紙Sに向けて吐出させるためのものである。このヘッドユニット40は、ヘッド41とヘッド制御部HCとを有している。ここで、図4A〜図4Cは、ヘッド41について説明したものである。図4Aは、ヘッド41の外面図である。図4Bは、ヘッド41の構造を説明するための断面図である。図4Cは、ヘッド41の一部を拡大して示す断面図である。なお、便宜上、ここではヘッド41について説明し、ヘッド制御部HCについては後で説明することにする。
ヘッド41には、図4Aに示すように、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯180からなるノズル列、即ちシアンノズル列211C、マゼンダノズル列211M、イエロノズル列211Y、およびブラックノズル列211Kが設けられている。
各ノズル列211C、211M、211Y、211Kの各ノズル♯1〜♯180は、所定の方向(ここでは、用紙Sの搬送方向)に沿って相互に間隔をあけて直線状に1列に配列されている。各ノズル列211C、211M、211Y、211Kは、ヘッド41の移動方向に沿って相互に所定の間隔をあけて平行に配置されている。各ノズル♯1〜♯180には、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(図示外)が設けられている。なお、このピエゾ素子は、圧電素子に相当する。
ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色のノズル列211C、211M、211Y、211Kの各ノズル♯1〜♯180から吐出される。
<ヘッド41の構造>
ヘッド41は、図4Bに示すように、ケース411と、流路ユニット412と、ピエゾ素子ユニット413とを有する。ケース411は、ピエゾ素子ユニット413を収容するための収容室411aが内部に形成されたブロック状の部材である。ピエゾ素子ユニット413は、ノズル列211C、211M、211Y、211K毎に取り付けられる。このため、ケース411には4つの収容室411aが設けられており、4つのピエゾ素子ユニット413が各収容室411aに収容されている。
流路ユニット412は、図4Cに示すように、流路形成板412aと、流路形成板412aの一方の表面に接合された弾性板412bと、流路形成板412aの他方の面に接合されたノズルプレート412cとを有する。流路形成板412aは、シリコンウエハーや金属板等によって作製されている。この流路形成板412aには、圧力室412dとなる溝部、ノズル連通口412eとなる貫通口、共通インク室412fとなる貫通口、インク供給路412gとなる溝部が形成されている。弾性板412bは、支持枠412hと、ピエゾ素子PZTの先端が接合されるアイランド部412jとを有する。そして、アイランド部412jの周囲には、弾性膜412iによる弾性領域が形成されている。
ピエゾ素子ユニット413は、ピエゾ素子群413aと、接着用基板413bとから構成されている。ピエゾ素子群413aは櫛歯状をしており、1つ1つの櫛歯状部分がピエゾ素子PZTに相当する。このピエゾ素子群413aは、ノズルNz(ノズル♯1〜♯180)に対応する数のピエゾ素子PZTを有する。つまり、ここでは、ノズルNz(ノズル♯1〜♯180)の数は、180個であるから、ピエゾ素子群413aは、180個のピエゾ素子PZTを有する。また、接着用基板413bは、矩形状の板であり、一方の表面にピエゾ素子群413aが接着され、他方の表面がケース411に接着されている。ピエゾ素子PZTは、対向する電極間に電位差を与えることにより変形する。この例では、素子の長手方向に伸縮する。この伸縮量は、ピエゾ素子PZTの電位に応じて定められる。そして、ピエゾ素子PZTの電位は、印加された主駆動信号COMによって定められる。この主駆動信号COMについては、後で詳しく説明する。従って、ピエゾ素子PZTは、印加された主駆動信号COMの電位に応じて伸縮する。
そして、ピエゾ素子PZTが伸縮すると、アイランド部412jは圧力室412d側に押されたり、反対方向に引かれたりする。このとき、アイランド部412jの周辺の弾性膜412iが変形するので、ノズルNz(ノズル♯1〜♯180)からインクを効率よく吐出させることができる。
<ヘッド制御部HC>
次に、ヘッド制御部HCについて説明する。ここで、図5は、ヘッド制御部HCの構成を説明するためのブロック図である。ヘッド制御部HCは、第1シフトレジスタ81Aと、第2シフトレジスタ81Bと、第1ラッチ回路82Aと、第2ラッチ回路82Bと、デコーダ83と、制御ロジック84と、ヘッド側スイッチ85とを有する。そして、制御ロジック84を除いた各部、すなわち、第1シフトレジスタ81A、第2シフトレジスタ81B、第1ラッチ回路82A、第2ラッチ回路82B、デコーダ83、ヘッド側スイッチ85は、それぞれピエゾ素子PZT毎、即ちノズルNz(ノズル♯1〜♯180)毎に設けられる。
ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ70からの画素データSIに基づき、インクを吐出させるべくヘッド41の動作を制御する。具体的には、プリンタ側コントローラ70は、ヘッド制御部HCに対して画素データSIを送信する。ヘッド制御部HCは、プリンタ側コントローラ70から送られてきた画素データSIを受信して、当該画素データSIを第1シフトレジスタ81Aまたは第2シフトレジスタ81Bに順次格納する。そして、ヘッド制御部HCは、第1シフトレジスタ81Aまたは第2シフトレジスタ81Bに格納した画素データSIを第1ラッチ回路82Aまたは第2ラッチ回路82Bに順次転送する。デコーダ83は、第1ラッチ回路82Aまたは第2ラッチ回路82Bに転送された画素データSIに基づき、ヘッド側スイッチ85を制御するためのスイッチ制御信号SWを生成する。ここで生成されたスイッチ制御信号SWは、ヘッド側スイッチ85へと出力される。このスイッチ制御信号SWは、主駆動信号COMの必要部分をピエゾ素子PZTへ選択的に印加させるために用いられるものであり、ヘッド側スイッチ85は、このスイッチ制御信号SWに従ってオンオフされる。これにより、ヘッド制御部HCは、主駆動信号COMのピエゾ素子PZTへの印加を制御する。
<主駆動信号COM>
図6は、主駆動信号COMを説明した図である。主駆動信号COMは、図6に示すように、繰り返し周期Tにおける期間T1で生成される第1波形部SS1と、期間T2で生成される第2波形部SS2と、期間T3で生成される第3波形部SS3とを有する。そして、第1波形部SS1は駆動パルスPS1を有している。また、第2波形部SS2は駆動パルスPS2を、第3波形部SS3は駆動パルスPS3を、それぞれ有している。ここで、駆動パルスPS1、駆動パルスPS2及び駆動パルスPS3は、ノズルNz(ノズル♯1〜♯180)からインクを吐出させる際に用いられるものであり、互いに同じ波形をしている。これらの駆動パルスPS1〜PS3はピエゾ素子PZTを動作させるための波形部に相当し、その電位波形はピエゾ素子PZTに行わせる動作に基づいて定められている。従って、含まれる駆動パルスの電位波形や繰り返し周期T内に含まれる個数等は適宜定めることができる。
<主駆動信号COMの印加制御>
次に、ヘッド制御部HCによる主駆動信号COMの印加制御について説明する。ここで、図7は、主駆動信号COMの印加制御を説明するためのタイミングチャートである。なお、以下の説明では、図5も参照する。このプリンタ1において、画素データSIは2ビットで構成されており、その内容はノズルNz毎(ピエゾ素子PZT毎)に定められる。この画素データSIは、転送用のクロックCLKに同期してヘッド制御部HCへ送られる。そして、画素データSIの上位ビット群は各第1シフトレジスタ81Aにセットされ、下位ビット群は各第2シフトレジスタ81Bにセットされる。第1シフトレジスタ81Aには第1ラッチ回路82Aが接続され、第2シフトレジスタ81Bには第2ラッチ回路82Bが接続されている。ここで、プリンタ側コントローラ70からのラッチ信号LATがHレベルになると、各第1ラッチ回路82Aは対応する画素データSIの上位ビットをラッチし、各第2ラッチ回路82Bは画素データSIの下位ビットをラッチする。第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bでラッチされた画素データSI(上位ビットと下位ビットの組)はそれぞれ、デコーダ83に入力される。
デコーダ83は、画素データSIの上位ビット及び下位ビットに基づいてデコードを行い、ヘッド側スイッチ85を制御するためのスイッチ制御信号SWを出力する。すなわち、制御ロジック84は、吐出されるインクの量に対応した選択データq0〜q3を同時に出力しており、デコーダ83は、これらの選択データq0〜q3の中から1つの選択データを画素データSIに基づいて選択し、スイッチ制御信号SWとして出力する。ここで、選択データq0は、ドット無し用の選択データである。つまり、選択データq0は、用紙Sにドットを形成しない場合において、スイッチ制御信号SWとなる選択データである。選択データq1は、小ドット用の選択データである。つまり、選択データq1は、用紙Sに小ドットを形成する場合において、スイッチ制御信号SWとなる選択データである。同様に、選択データq2は中ドット用の選択データ、選択データq3は大ドット用の選択データである。従って、デコーダ83は、画素データSIがドット無しを示すデータ[00]であった場合、選択データq0をスイッチ制御信号SWとし、小ドットの形成を示すデータ[01]であった場合、選択データq1をスイッチ制御信号SWとする。そして、中ドットや大ドットの形成も同様である。
また、制御ロジック84は、選択データq0〜q3の内容を、ラッチ信号LATやチェンジ信号CHによって定められるタイミングで更新する。例えば、選択データq0については、ラッチ信号LATがHレベルになったタイミングから1番目のチェンジ信号CHがHレベルになるまでの期間(期間T1に対応する。)においてデータ[0]である。そして、1番目のチェンジ信号CHがHレベルになったタイミングから2番目のチェンジ信号CHがHレベルになるまでの期間(期間T2に対応する。)においてデータ[0]である。同様に、2番目のチェンジ信号CHがHレベルになったタイミングから次の繰り返し周期Tのラッチ信号LATがHレベルになるまでの期間(期間T3に対応する。)においてデータ[0]である。同様に、選択データq1については、データが[0],[1],[0]の順で更新され、選択データq2については、データが[1],[1],[0]の順で更新され、選択データq3については、データが[1],[1],[1]の順で更新される。
デコーダ83から出力されたスイッチ制御信号SWは、ヘッド側スイッチ85に入力される。このヘッド側スイッチ85は、オン期間において主駆動信号COMをピエゾ素子PZTへ印加させる。このため、ヘッド側スイッチ85の入力側には、駆動信号生成回路50からの主駆動信号COMが印加され、ヘッド側スイッチ85の出力側にはピエゾ素子PZTが接続されている。そして、スイッチ制御信号SWがデータ[1]の場合、ヘッド側スイッチ85がオン状態となって、主駆動信号COMがピエゾ素子PZTに印加される。また、スイッチ制御信号SWがデータ[0]の場合、ヘッド側スイッチ85がオフ状態となるので、主駆動信号COMはピエゾ素子PZTに印加されない。前述したように、ピエゾ素子PZTは主駆動信号COMの印加が停止された場合において停止直前の電位を維持する。従って、主駆動信号COMの印加が停止されている期間において、ピエゾ素子PZTは主駆動信号COMの印加が停止される直前の変形状態を維持する。
<検出器群>
検出器群60は、プリンタ1の状況を監視するためのものである。図3A、図3Bに示すように、この検出器群60には、リニア式エンコーダ61、ロータリー式エンコーダ62、紙検出器63、及び紙幅検出器64が含まれている。リニア式エンコーダ61は、キャリッジCRのキャリッジ移動方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ62は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出器63は、印刷される用紙Sを検出するためのものである。紙幅検出器64は、印刷される用紙Sの幅を検出するためのものである。
<プリンタ側コントローラ>
プリンタ側コントローラ70は、プリンタ1が有する各部を制御するものである。例えば、プリンタ側コントローラ70は、所定の搬送量で用紙Sを搬送させる動作と、キャリッジCR(ヘッド41)を移動させながら断続的にインクを吐出させる動作とを交互に行わせることで、用紙Sに画像を印刷させている。このため、プリンタ側コントローラ70は、搬送モータ22の回転量を制御することによって用紙Sの搬送を制御する。また、プリンタ側コントローラ70は、キャリッジモータ31の回転を制御することによってキャリッジCRの移動を制御する。さらに、画素データSIをヘッド制御部HCへ出力することで、インクを吐出させるための制御を行う。加えて、プリンタ側コントローラ70は、主駆動信号COM用の生成情報としてのDAC値(電位指定情報、後述する。)を駆動信号生成回路50へ出力する制御も行っている。
このプリンタ側コントローラ70は、図2に示すように、インタフェース部71と、CPU72と、メモリ73と、制御ユニット74とを有する。インタフェース部71は、外部装置であるコンピュータ110との間でデータの受け渡しを行う。CPU72は、プリンタ1の全体的な制御を行うための演算処理装置である。メモリ73は、CPU72のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶素子によって構成される。そして、CPU72は、メモリ73に記憶されているコンピュータプログラムに従って各制御対象部を制御する。例えば、CPU72は、制御ユニット74を介して用紙搬送機構20やキャリッジ移動機構30を制御する。例えば、搬送モータ22やキャリッジモータ31に対する制御信号を出力する。また、CPU72は、ヘッド41の動作を制御するためのヘッド制御信号(クロックCLK,画素データSI,ラッチ信号LAT,チェンジ信号CH,図6を参照。)をヘッド制御部HCへ出力したり、DAC値やPWM制御信号を駆動信号生成回路50へ出力したりする。
<駆動信号生成回路>
主駆動信号COMを生成する駆動信号生成回路50について説明する。図8Aは、駆動信号生成回路50の一例について説明したものである。この駆動信号生成回路50は、同図に示すように、波形生成回路91と、電流増幅回路92とを有している。図8Bは、波形生成回路91に入力されるDAC値と、波形生成回路91から出力される出力電圧との関係を説明する図である。
波形生成回路91は、D/A変換器911と、電圧増幅回路912とを有している。D/A変換器911は、DAC値に応じたアナログ信号ANGを出力する回路である。このDAC値は、電圧増幅回路912から出力させる電圧(以下、出力電圧ともいう。)を指示するための情報であり、メモリ73に記憶された波形データに基づき、CPU72から出力される。本実施形態において、DAC値は10ビットのデータによって構成されているが、便宜上、図では16進数で示している。
電圧増幅回路912は、D/A変換器911からのアナログ信号ANGを、ピエゾ素子PZTの動作に適した電圧まで増幅する。本実施形態の電圧増幅回路912では、D/A変換器911からの出力電圧を、最大40数Vまで増幅する。そして、増幅後の出力電圧は、基準信号SQとして電流増幅回路92に向けて出力される。
例えば、CPU72からD/A変換器911に入力されたDAC値が16進数で「24Eh」の場合(2進数で「1001001110」の場合)、電圧増幅回路912で増幅された後の出力電圧は25Vとなる。また、CPU72からD/A変換器911に入力されたDAC値が16進数で「0h」の場合(2進数で「0000000000」の場合)、電圧増幅回路912で増幅された後の出力電圧は1.4Vとなり、入力されたDAC値が16進数で「3FF」の場合(2進数で「1111111111」の場合)、電圧増幅回路912で増幅された後の出力電圧は42.32Vとなる。すなわち、波形生成回路91の最低出力電圧は1.4Vであり、CPU72から入力されるDAC値が1つ大きくなると、波形生成回路91の出力電圧が0.04Vだけ上昇する。
図9は、D/A変換器911によるアナログ信号ANGの生成を説明するための概念図である。図9の例において、CPU72は、タイミングt(n)で電位V1に対応するDAC値を出力する。これにより、更新周期τ(n)にて、D/A変換器911から出力されるアナログ信号ANGは電位V1となる。そして、更新周期τ(n+4)までは、電位V1に対応するDAC値が順次出力される。このため、アナログ信号ANGは電位V1を維持する。また、タイミングt(n+5)では、電位V2に対応するDAC値が出力される。これにより、更新周期τ(n+5)にて、アナログ信号ANGは電位V1から電位V2へと下降する。同様に、タイミングt(n+6)では、電位V3に対応するDAC値が出力される。これにより、更新周期τ(n+6)にて、アナログ信号ANGは電位V2から電位V3へ下降する。以下同様にしてDAC値が出力されるため、アナログ信号ANGの電位は次第に下降する。そして、更新周期τ(n+10)にてアナログ信号ANGは電位V4となる。このようなD/A変換器911を有する波形生成回路91を用いた場合、DAC値を指定によってアナログ信号ANGの電位を変更できるので、吐出させるインクに適した主駆動信号COMを容易に生成することができる。
電流増幅回路92は、図8Aに示すように、多数のピエゾ素子PZTが支障なく動作できるように、十分な電流を供給するための回路である。電流増幅回路92は、トランジスタ対921を有する。そして、このトランジスタ対921は、互いのエミッタ端子同士が接続されたNPN型のトランジスタQ1とPNP型のトランジスタQ2を有する。NPN型のトランジスタQ1は、駆動信号の電圧上昇時に動作するトランジスタである。このNPN型のトランジスタQ1は、そのコレクタ端子が電源側に接続され、またエミッタ端子が駆動信号の出力信号線側に接続されている。PNP型のトランジスタQ2は、電圧降下時に動作するトランジスタである。PNP型のトランジスタQ2は、そのコレクタ端子が接地(アース)側に接続され、またそのエミッタ端子が駆動信号の出力信号線側に接続されている。なお、NPN型のトランジスタQ1とPNP型のトランジスタQ2のエミッタ同士が接続されている部分の電圧(主駆動信号COMの電圧)は、符号FBで示すように、電圧増幅回路912へフィードバックされている。
そして、この電流増幅回路92は、波形生成回路91からの出力電圧によって動作が制御される。例えば、出力電圧が上昇状態にあると、基準信号SQによってNPN型のトランジスタQ1がオン状態となる。これに伴い、電流I1が流れて、主駆動信号COMの電圧も上昇する。一方、出力電圧が降下状態にあると、基準信号SQによってPNP型のトランジスタQ2がオン状態となる。これに伴い、電流I2が流れて、主駆動信号COMの電圧も降下する。なお、出力電圧が一定である場合、NPN型のトランジスタQ1もPNP型のトランジスタQ2もオフ状態となる。その結果、主駆動信号COMは一定電圧となる。
なお、トランジスタQ1、Q2のベース端子は、トランジスタの「制御端子」に相当する。また、トランジスタQ1、Q2のエミッタ端子は、トランジスタの「出力端子」に相当する。また、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子は、トランジスタの「電流供給端子」に相当する。
また、ここでは、トランジスタとして、NPN型のトランジスタQ1およびPNP型のトランジスタQ2の2種類のバイポーラトランジスタを備えた場合を例にして説明したが、電流増幅回路92にあっては、トランジスタとして、電界効果トランジスタ(FET:field effect transistor)を備えていても良い。この場合、電界効果トランジスタ(FET)のゲートが「制御端子」に相当する。また、電界効果トランジスタ(FET)のソースが「出力端子」に相当する。また、電界効果トランジスタ(FET)のドレインが「電流供給端子」に相当する。この他、トランジスタとして基準信号SQを増幅して主駆動信号を生成するようなトランジスタであれば、どのようなタイプのトランジスタであっても良い。
===従来の問題点===
ところで、このような駆動信号生成回路50にあっては、次のような問題があった。すなわち、トランジスタ対921のトランジスタQ1、Q2における消費電力が大きいという問題があった。これは、トランジスタQ1、Q2をそれぞれ正常に動作させるために、トランジスタQ1のコレクタ端子が主駆動信号COMの最大電位よりも高い電位に設定され、また、トランジスタQ2のコレクタ端子が主駆動信号COMの最小電位よりも低い電位に設定されていたためである。各トランジスタQ1、Q2の消費電力は、主に、コレクタ電流と、コレクタ−エミッタ間の電圧との積によって決まる。主駆動信号COMの電位変化によって、コレクタ端子とエミッタ端子との間の電位差が大きくなると、トランジスタQ1またはトランジスタQ2における消費電力が増大し、トランジスタQ1またはトランジスタQ2の発熱によって高温状態になるなどの不具合が生じることがあった。
===解決方法===
本実施形態では、このような問題を解決するために、補助駆動信号を生成する補助駆動信号生成回路を備え、この補助駆動信号生成回路により生成した補助駆動信号を、駆動信号生成回路50のトランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に供給し、これにより、トランジスタQ1、Q2の消費電力の低減を図る。ここで補助駆動信号とは、トランジスタQ1、Q2の消費電力を低減するために生成される信号である。ここでは、補助駆動信号として、トランジスタQ1、Q2のベース端子に入力される基準信号SQの信号レベルの変動に先行して電位が変動するような信号を生成する。すなわち、基準信号SQの信号波形に近似した信号波形を有する信号を補助駆動信号として生成する。補助駆動信号生成回路が、このような補助駆動信号を生成してトランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に供給することで、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子と、トランジスタQ1、Q2のエミッタ端子との間の電位差を小さくすることができる。これによって、トランジスタQ1、Q2の消費電力の低減を図ることができる。
===補助駆動信号===
ここで、補助駆動信号生成回路により生成される補助駆動信号の一例について説明する。図10は、補助駆動信号SVと基準信号SQの各信号波形の一例について示したものである。
基準信号SQは、圧電素子、ここでは各ノズル♯1〜♯180に各々設けられたピエゾ素子を動作させるための信号のことである。本実施形態の基準信号SQは、同図に示すように、最小電位VLから中間電位VMにかけて直線的に徐々に電位が上昇する第1区間P1と、中間電位VMが保持される第2区間P2と、中間電位VMから最大電位VHにかけて直線的に徐々に電位が上昇する第3区間P3と、最大電位VHが保持される第4区間P4と、最大電位VHから最小電位VLにかけて急激に電位が降下する第5区間P5と、最小電位VLが保持される第6区間P6とを有する。ここで、最小電位VL、中間電位VMおよび最大電位VHは、それぞれ所定の電位となっている。基準信号SQは、これら第1区間P1〜第6区間P6を1周期として、当該周期を繰り返して生成される。
一方、補助駆動信号SVは、トランジスタQ1、Q2の各コレクタ端子と、トランジスタQ1、Q2の各エミッタ端子との間の電位差を小さくするために、補助駆動信号生成回路52により生成される信号である。ここで生成される補助駆動信号SVは、基準信号SQの電位の変動に先行して電位が変動するような信号として生成される。つまり、補助駆動信号SVの信号波形は、基準信号SQの信号波形に応じて形成されている。
ここで、補助駆動信号SVは、基準信号SQの最小電位VLよりも若干低い第1電位V1から、基準信号SQの中間電位VMよりも若干高い第2電位V2へと徐々に電位が上昇する第1区間D1と、第2電位V2が保持される第2区間D2と、第2電位V2から、基準信号SQの最大電位VHよりも若干高い第3電位V3へと徐々に電位が上昇する第3区間D3と、第3電位V3が保持される第4区間D4と、第3電位V3から徐々に電位が降下して第1電位V1よりも低い電位V4に到達する第5間D5と、基準信号SQの最小電位VLよりも低い電位が保持される第6区間D6とを有する。
第1区間D1は、基準信号SQの第1区間P1に対応して形成されている。また、第2区間D2は、基準信号SQの第2区間P2に対応して形成されている。また、第3区間D3は、基準信号SQの第3区間P3に対応して形成されている。また、第4区間D4は、基準信号SQの第4区間P4に対応して形成されている。また、第5区間D5は、基準信号SQの第5区間P5に対応して形成されている。また、第6区間D6は、基準信号SQの第6区間P6に対応して形成されている。
第1区間D1〜第4区間D4では、補助駆動信号SVの電位が、基準信号SQの電位よりも若干高くなるように形成されている。一方、第5区間D5〜第6区間D6では、補助駆動信号SVの電位が、基準信号SQの電位よりも若干低くなるように形成されている。これは、次の理由からである。すなわち、第1区間D1〜第4区間D4の間では、トランジスタ対921のうちのNPN型のトランジスタQ1を動作させるからである。NPN型のトランジスタQ1を動作させるためには、基準信号SQの電位よりも高い電位の信号を補助駆動信号SVとしてトランジスタQ1のコレクタ端子に供給する必要がある。また、第5区間D5〜第6区間D6の間では、トランジスタ対921のうちのPNP型のトランジスタQ2を動作させるからである。PNP型のトランジスタQ2を動作させるためには、基準信号SQの電位よりも低い電位の信号を補助駆動信号SVとしてトランジスタQ2のコレクタ端子に供給する必要がある。
このような波形の補助駆動信号SVが生成されることによって、補助駆動信号SVが入力されるトランジスタQ1、Q2のコレクタ端子と、基準信号SQが入力されるトランジスタQ1、Q2のエミッタ端子との間の電位差を小さくすることができる。これによって、トランジスタQ1、Q2にて発生する消費電力の抑制を図ることができる。
===補助駆動信号生成回路===
次に、このような補助駆動信号SVを生成する補助駆動信号生成回路の一例について説明する。この補助駆動信号生成回路は、インダクタンスとコンデンサとが直列に接続されたLC共振回路を有する。そして、この補助駆動信号生成回路は、そのLC共振回路の共振によって、補助駆動信号を生成する。具体的には、この補助駆動信号生成回路では、インダクタンスを通じてコンデンサに電流を供給し、コンデンサを徐々に充電する。そして、この充電によってコンデンサに蓄積された電荷をインダクタンスを通じて放出してコンデンサを放電させる。コンデンサの端子間電圧が補助駆動信号として、駆動信号生成回路のトランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に供給される。これによって、この補助駆動信号生成回路は、トランジスタQ1、Q2のベース端子に入力される基準信号SQの信号波形の信号レベルの変動に先行して電位が変動するような信号を生成する。
<具体的な回路構成>
図11は、この補助駆動信号生成回路52の一実施形態について説明したものである。この補助駆動信号生成回路52は、コンデンサC1、C2、C3、C4と、インダクタンスL1、L2、L3と、スイッチ素子M1、M2、M3と、ダイオードD1、D2、D3、D4、D5と、抵抗R1、R2、R3、R4とを備えている。ここで、スイッチ素子M1、M2、M3は、電界効果トランジスタ(FET)により構成されている。詳しくは、スイッチ素子M1、M2は、Pチャネル型電界効果トランジスタにより構成されている。一方、スイッチ素子M3は、Nチャネル型電界効果トランジスタにより構成されている。また、スイッチ素子M1、M2は、第1のスイッチ素子に相当する。また、スイッチ素子M3は、第2のスイッチ素子に相当する。また、ダイオードD1、D2、D3、D4、D5は、ショットキバリアダイオードにより構成されている。
なお、図中のコンデンサCzは、圧電素子(ピエゾ素子)の静電容量を示す。つまり、本実施形態では、ノズル♯1〜♯180に設けられたピエゾ素子に対して1つの駆動信号生成回路50により主駆動信号COMを生成するから、コンデンサCzは、1〜180個分のピエゾ素子の静電容量を表わす。コンデンサCzの静電容量は、インクを吐出するノズルの数に応じてその都度、変動する。また、図中のIN1、IN2、IN3は、それぞれ各スイッチ素子M1、M2、M3をON/OFFするための信号である。
スイッチ素子M1、インダクタンスL1、インダクタンスL3およびスイッチ素子M3は、電源(ここでは、42V)側と、アース(接地)側との間に順に直列に接続されて介設されている。スイッチ素子M2とインダクタンスL2とは、相互に直列に接続されて、スイッチ素子M1およびインダクタンスL1に対して並列に接続されている。また、コンデンサC4は、インダクタンスL3およびスイッチ素子M3に対して並列に接続されている。
さらに、スイッチ素子M1とインダクタンスL1との間と、アース(接地)側との間には、ダイオードD1が介設されている。ここで、ダイオードD1は、そのカソード端子がスイッチ素子M1とインダクタンスL1との間に接続され、また、そのアノード端子がアース(接地)側に接続されている。また、スイッチ素子M2とインダクタンスL2との間と、アース(接地)との間には、ダイオードD2が介設されている。ここで、ダイオードD2は、そのカソード端子がスイッチ素子M2とインダクタンスL2との間に接続され、また、そのアノード端子がアース(接地)側に接続されている。また、インダクタンスL3とスイッチ素子M3との間と、電源(ここでは、42V)側との間には、ダイオードD5が介設されている。ここで、ダイオードD5は、そのカソード端子が電源(ここでは、42V)側に接続され、そのアノード端子がインダクタンスL3とスイッチ素子M3との間に接続されている。
インダクタンスL1とインダクタンスL2とは、定数が異なり、インダクタンスL1の方が大きい。したがって、後に説明するように、コンデンサC4と共振する場合は、インダクタンスL1を用いた場合の方が、共振周期が長い。なお、ここでは、インダクタンスL3はインダクタンスL2と同一のインダクタンスである。
またさらに、インダクタンスL1に対しては、抵抗R1およびコンデンサC1が直列に接続されて、インダクタンスL1に並列に接続されている。また、インダクタンスL2に対しては、抵抗R2およびコンデンサC2が直列に接続されて、インダクタンスL2に並列に接続されている。また、インダクタンスL3に対しては、抵抗R3およびコンデンサC3が直列に接続されて、インダクタンスL3に並列に接続されている。これら抵抗R1、R2、R3およびコンデンサC1、C2、C3は、各インダクタンスL1、L2、L3に流れる電流が切れたとき、電流の変化(dI/dt)による各インダクタンスL1、L2、L3の端子間電圧が突然0になろうとするが、実際には浮遊容量があるので高い周波数で各インダクタンスL1、L2、L3の端子間電圧は振動する。この振動のコンデンサC1、C2、C3で振動の周波数を下げるとともに、抵抗R1、R2、R3で振動をすばやく減衰させるために設けられている。つまり、抵抗R1およびコンデンサC1は、インダクタンスL1の端子間電圧の振動を抑制するために設けられている。また、抵抗R2およびコンデンサC2は、インダクタンスL2の端子間電圧の振動を抑制するために設けられている。また、抵抗R3およびコンデンサC3は、インダクタンスL3の端子間電圧の振動を抑制するために設けられている。
そして、コンデンサC4の電源側の端子が、ダイオードD3、D4を介して、トランジスタQ1およびトランジスタQ2のコレクタ端子にそれぞれ接続されている。つまり、コンデンサC4の端子間電圧が補助駆動信号SVとして、トランジスタQ1およびトランジスタQ2のコレクタ端子に入力されるようになっている。ダイオードD3は、コンデンサC4の電源側の端子と、トランジスタQ1のコレクタ端子との間に介設されている。詳しくは、ダイオードD3は、そのアノード端子がコンデンサC4の電源側の端子に接続され、また、そのカソード端子がトランジスタQ1のコレクタ端子に接続されている。また、ダイオードD4は、コンデンサC4の電源側の端子と、トランジスタQ2のコレクタ端子との間に介設されている。詳しくは、ダイオードD4は、そのアノード端子がトランジスタQ2のコレクタ端子に接続され、またそのカソード端子がコンデンサC4の電源側の端子に接続されている。これらダイオードD3、D4は、トランジスタQ1、Q2の各コレクタ端子と、コンデンサC4の電源側の端子との間を流れる電流の方向を規定している。
スイッチ素子M1がONになると、インダクタンスL1に電流が流れて、コンデンサC4に電荷が蓄積され、コンデンサC4が充電される。したがって、コンデンサC4の端子間電圧は、徐々に上昇する。すなわち、インダクタンスL1とコンデンサC4とは、LC共振回路を構成している。そして、スイッチ素子M2がONになると、インダクタンスL2に電流が流れて、コンデンサC4に電荷が蓄積され、コンデンサC4が充電される。これにより、コンデンサC4の端子間電圧は、徐々に上昇する。すなわち、インダクタンスL2とコンデンサC4とは、LC共振回路を構成している。一方、スイッチ素子M3がONになると、コンデンサC4からインダクタンスL3を通じて電流が流れて、コンデンサC4から電荷が放出される。つまり、コンデンサC4は放電される。これにより、コンデンサC4の端子間電圧は、徐々に降下する。すなわち、インダクタンスL3とコンデンサC4とは、LC共振回路を構成している。
<補助駆動信号の生成方法>
次に、この補助駆動信号生成回路52による補助駆動信号SVの生成方法について説明する。図12は、補助駆動信号SVの生成方法について説明したものである。ここでは、図11を参照しながら補助駆動信号SVの生成方法について説明する。
まず、第1区間D1について説明する。第1区間D1は、第1区間P1に対応しているが、第1区間P1は二つの場合に用いられる。すなわち、(1)印字をしていないときは、補助駆動信号SVはグランドレベル、基準信号SQは電位VLにしておくが、基準信号SQを図6の繰返し周期の開始時の電位である電位VMまで持ち上げてやる。(2)図6の区間T1、T2、T3の終了前に、基準信号SQは、電位VLから電位VMに上昇させる。
第1区間D1においては、ここでは、スイッチ素子M1をONにする(図12参照)。このスイッチ素子M1のONは、基準信号SQの電位が最小電位VLから中間電位VMへと上昇を開始する動作に対応して行うものである。スイッチ素子M1をONするタイミングは、基準信号SQの電位が上昇を開始するタイミングよりも若干早いタイミングに設定される。他のスイッチ素子M2およびスイッチ素子M3については、ここではOFFのままにしておく。スイッチ素子M1をONにすると、図11に示すように、電源側(ここでは、42V)からスイッチ素子M1を通じてインダクタンスL1に電流が流れて、コンデンサC4に電流が供給される。このため、コンデンサC4には、電荷が蓄積されて、コンデンサC4が充電される。これにより、コンデンサC4の端子間電圧(以降、ここでは『C電位』という)が、基準信号SQの電位の変動に先行して徐々に上昇する。
スイッチ素子M1は、ONされてから所定時間T1を経過した後、OFFされる。スイッチ素子M1がOFFにされた後であっても、インダクタンスL1には、電流が流れ続ける。これは、インダクタンスL1に蓄えられた電流を流そうとするエネルギーによるものである。インダクタンスL1に流れる電流は、ダイオードD1を通じて接地側から供給される。これにより、コンデンサC4には、スイッチ素子M1がOFFにされた後も電流が供給されて、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、さらに上昇する。
その後、インダクタンスL1に流れる電流の大きさは徐々に小さくなる。このため、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は徐々に安定した状態へと移行する。このようにして、補助駆動信号SVの信号波形の第1区間D1が形成される(図12参照)。なお、ここで、インダクタンスL1に流れる電流が切れたとき、電流の変化率(dI/dt)が急激に0になり、インダクタンスL1の電源側の端子に大きな電位変動(アース→『C電位』)が生じても、抵抗R1およびコンデンサC1により、インダクタンスL1の端子間電圧の振動を抑制することができる。
そして、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、しばらくの間、一定(電位V2)に保持される。これにより、補助駆動信号SVの信号波形の第2区間D2が形成される(図12参照)。第2区間D2は状況において長さが変わってもよい。すなわち、印字をしていないときの基準信号SQの電位VLから、繰返し周期Tの開始時の電位である電位VMまで持ち上げてやるときと、各区間T1、T2、T3の境界のそれぞれの平坦部の長さは異なってもかまわない。
その後、スイッチ素子M2がONされる。スイッチ素子M2は、基準信号SQの電位が中間電位VMから最大電位VHへと上昇を開始する前に先行してONされる(図12参照)。このようにスイッチ素子M2がONされると、電源側(ここでは、42V)からスイッチ素子M2を通じてインダクタンスL2に電流が流れて、コンデンサC4に電流が供給される。このため、コンデンサC4には、電荷が蓄積されて、コンデンサC4が充電される。コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、基準信号SQの電位の変動に先行してさらに上昇する。ここで、インダクタンスL2は、インダクタンスL1より小さいインダクタンスなので、コンデンサC4との共振周期が短い。すなわち、第3区間D3の『C電位』の立ち上がり方が第1区間D1より急峻である。このようにしているのは、基準信号SQが、第3区間P3が第1区間P1より急峻であるためである。
スイッチ素子M2は、ONされてから所定時間T2を経過した後、OFFされる。スイッチ素子M1がOFFにされた後であっても、インダクタンスL2には、電流が流れ続ける。これは、インダクタンスL2に蓄えられた電流を流そうとするエネルギーによるものである。インダクタンスL1に流れる電流は、ダイオードD2を通じて接地側から供給される。これにより、コンデンサC4には、スイッチ素子M2がOFFにされた後も電流が供給され、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)はさらに上昇する。
インダクタンスL2に流れる電流の大きさは徐々に小さくなり、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は徐々に安定した状態へと移行する。その後、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、一定に保持される。このようにして、補助駆動信号SVの信号波形の第3区間D3が形成される(図12参照)。なお、ここで、インダクタンスL2に流れる電流が切れたとき、電流の変化率(dI/dt)が急激に0になり、インダクタンスL2の電源側の端子に大きな電位変動(アース→『C電位』)が生じても、抵抗R2およびコンデンサC2により、インダクタンスL2の端子間電圧の振動を抑制することができる。
そして、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、しばらくの間、一定に保持される。これにより、補助駆動信号SVの信号波形の第4区間D4が形成される(図12参照)。
その後、スイッチ素子M3がONされる。スイッチ素子M3は、基準信号SQの電位が最大電位VHから最小電位VLへと降下を開始する前に先行してONされる(図12参照)。このようにスイッチ素子M3がONされると、コンデンサC4に蓄積された電荷がインダクタンスL3に電流として流れ込んで、当該インダクタンスL3を経由して接地側へと放出される。これにより、コンデンサC4は徐々に放電されて、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、基準信号SQの電位の変動に先行して急激に降下する。
スイッチ素子M3は、ONされてから所定時間T3を経過した後、OFFされる。スイッチ素子M3がOFFにされた後であっても、インダクタンスL3には、電流が流れ続ける。これは、インダクタンスL3に蓄えられた電流を流そうとするエネルギーによるものである。インダクタンスL3に流れる電流は、ダイオードD5を通じて電源側(ここでは、42V)へと放出される。
そして、インダクタンスL3に流れる電流の大きさは徐々に小さくなり、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は徐々に安定した状態へと移行する。このようにして、補助駆動信号SVの信号波形の第5区間D5が形成される(図12参照)。なお、ここで、インダクタンスL3に流れる電流が切れたとき、電流の変化率(dI/dt)が急激に0になり、インダクタンスL3のアース(接地)側の端子に大きな電位変動(電源(+42V)→『C電位』)が生じても、抵抗R3およびコンデンサC3により、インダクタンスL3の端子間電圧の振動を抑制することができる。
その後、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、再び第1区間D1が始まるまでの間、基準信号SQの最小電位VLよりも低い電位からグランドレベルに徐々に上がっており、補助駆動信号SVの信号波形の第6区間D6が形成される(図12参照)。第6区間D6は本来、補助駆動信号が常にグランドレベルであることが望ましいが、インダクタンスやキャパシタンスの定数の精度や、スイッチ素子M1、M2、M3のON時間T1、T2、T3の時間の精度、更に避けることの出来ないコンデンサCzの変化(吐出ノズル数により大きく変化する)により、常にちょうどグランドレベルにするのは難しい。したがって、ほぼ、グランドレベルにする。その際、コンデンサCzが最大の時に、ちょうどグランドレベルに出来ればよい。そうすれば、コンデンサCzが最大でない場合、第5区間D5の終了時に補助駆動信号SVはグランドより低くなる(コンデンサCzが大きい場合、コンデンサCzがコンデンサC4に対して並列についているのに近い効果を示すため、コンデンサC4から電流が流れにくくなり、第5区間D5での補助駆動信号SVの電位は上がる。逆に小さい場合は、補助駆動信号SVがマイナス側に振れる)。補助駆動信号SVがグランドレベルより下がると、ダイオードD1、インダクタンスL1を通して電流がグランドよりコンデンサC4に流れ込み、補助駆動信号SVの電位がグランドレベルに徐々に近づく。このようにして、第6区間D6の終了時、したがって、第1区間D1の開始時の補助駆動信号SVの電位を適切な範囲に収めることが出来る。
このような補助駆動信号SVが、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に入力されることで、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子と、トランジスタQ1、Q2のエミッタ端子との間の電位差を小さくする。これにより、トランジスタQ1、Q2の消費電力を大幅に抑えることができる。なお、補助駆動信号生成回路52も、理想的には、インダクタンスとキャパシタとスイッチで出来た回路であり、消費電力は0である。
なお、コンデンサC4の静電容量は、ピエゾ素子PZT(圧電素子)の合計の静電容量(ここでは、180個のピエゾ素子PZTの合計の静電容量)よりも十分に大きい方が好ましい。例えば、コンデンサC4の静電容量は、ピエゾ素子PZT(圧電素子)の合計の静電容量の10倍以上に設定されるのが好ましい。もし、コンデンサC4の容量が小さいと、実際に動作させるピエゾ素子PZT(圧電素子)の数の変動により、補助駆動信号SVに大きな影響が及ぼされるからである。なお、コンデンサC4の静電容量があまり大きく設定されると、回路素子や経路で電力ロスを招き、好ましくない。
また、スイッチ素子M1、M2,M3がそれぞれONされる時間T1、T2、T3を調節することで、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)の変動量を調節することができる。つまり、スイッチ素子M1、M2,M3がONされている時間T1、T2、T3を長くすれば、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)の変動量も大きく、補助駆動信号SVの電位をダイナミックに変動させることができる。また、スイッチ素子M1、M2,M3がONされている時間T1、T2、T3を短くすれば、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)の変動量も小さく、補助駆動信号SVの電位変動を抑制することができる。
また、スイッチ素子M1、M2,M3がそれぞれONされるタイミングを変更することで、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)が変動するタイミングを変更することができる。これにより、補助駆動信号SVの電位が変動するタイミングを変更することができる。
また、インダクタンスL1、L2、L3の誘導係数の大きさを適宜変更することで、補助駆動信号SVの電位変化の傾きを調整することができる。すなわち、インダクタンスL1、L2、L3の誘導係数を大きくすれば、補助駆動信号SVの電位変化の傾きを緩くすることができる。一方、インダクタンスL1、L2、L3の誘導係数を小さくすれば、補助駆動信号SVの電位変化の傾きを急峻にすることができる。
以上、スイッチ素子M1、M2,M3がONされる時間T1、T2、T3やスイッチ素子M1、M2,M3がONされるタイミング、インダクタンスL1、L2、L3の誘導係数の大きさを適宜変更することで、所望の信号波形を有する補助駆動信号SVを生成することができる。
なお、ここでは、補助駆動信号生成回路52が、LC共振回路のインダクタンスとして、3つのインダクタンスL1、L2、L3を備えていたが、インダクタンスの数については、1つであっても2つであっても良く、さらには4つ以上であっても良い。
また、コンデンサについても同様、ここでは、補助駆動信号生成回路52が、LC共振回路のコンデンサとして、1つのコンデンサC4を備えていたが、コンデンサの数については、2以上であっても良い。
===第2の補助駆動信号生成回路===
<問題点>
ところで、前述した補助駆動信号SVを生成する補助駆動信号生成回路52にあっては、温度等の周辺環境による外的要因や、ヘッド41の構成のバラツキなどによって、所望の波形とは異なる波形を有する基準信号SQがトランジスタQ1、Q2のベース端子に入力されることがある。また、基準信号SQが設定変更されて、波形の異なる基準信号SQがトランジスタQ1、Q2のベース端子に入力されることがある。このようにトランジスタQ1、Q2のベース端子に波形の異なる基準信号SQが入力されると、補助駆動信号生成回路52により生成した補助助駆動信号SVによりトランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に十分な電流を供給することができない場合が生じた。
図13は、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に波形の異なる基準信号SQが入力された場合の一例について説明したものである。補助駆動信号SVは、図12にて説明したものと同じ信号である。ここでは、基準信号SQの最大電位VHが『約25V』に設定され、図12にて説明した信号の最大電位VH(『38(V)』)に比べて低くなっている。このように基準信号SQの最大電位VHが低くなった場合、補助駆動信号SVの第5区間D5において、補助駆動信号SVの電位が基準信号SQの電位降下に先行して基準信号SQの電位よりも低くなるはずが、補助駆動信号SVの電位の方が基準信号SQの電位よりも高くなってしまった。このため、トランジスタQ2(PNP型のトランジスタ)のコレクタ端子には電流が流れず、したがって、この第5区間D5においてトランジスタQ2が所望の動作をしない期間Tqが生じる。
このようにトランジスタQ1、Q2のコレクタ端子にそれぞれこれらトランジスタQ1、Q2を動作させるための所定の電位を有する補助駆動信号SVが入力されなかった場合、主駆動信号COMをきちんと生成することができず、これにより、圧電素子をスムーズに駆動させることができない。
<解決方法>
そこで、本実施形態の圧電素子の駆動回路にあっては、補助駆動信号生成回路52が生成する補助駆動信号SVの電位が、基準信号SQに先行してスムーズに変動していない場合にトランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に十分な電流を供給するために、前述した補助駆動信号生成回路の他に、第2の補助駆動信号生成回路を備えている。この第2の補助駆動信号生成回路は、補助駆動信号生成回路52が生成する補助駆動信号SVとは異なる別の補助駆動信号を生成する。以下、ここでは、前述した補助駆動信号生成回路52については、「第1補助駆動信号生成回路」という。また、第2の補助駆動信号生成回路については、「第2補助駆動信号生成回路」という。また、第1補助駆動信号生成回路52により生成される補助駆動信号SVは、「第1補助駆動信号」(SV)という。また、第2補助駆動信号生成回路により生成される補助駆動信号は、「第2補助駆動信号」(ST1、ST2)という。
<回路構成>
第2補助駆動信号生成回路の回路構成について説明する。図14は、第2補助駆動信号生成回路56の一実施形態を示したものである。この第2補助駆動信号生成回路56は、ここでは、電源側第2補助駆動信号生成回路561と、接地側第2補助駆動信号生成回路562との2つの回路ブロックにより構成されている。電源側第2補助駆動信号生成回路561は、トランジスタQ3、Q4と、抵抗R6と、コンデンサC6と、ダイオードD9、D10とを備えている。一方、接地側第2補助駆動信号生成回路562は、トランジスタQ5、Q6と、抵抗R7と、コンデンサC7と、ダイオードD11、D12とを備えている。このうち、ダイオードD10、D12は、ツェナーダイオード(定電圧ダイオード)により構成されている。また、ダイオードD9、D11は、整流ダイオードにより構成されている。また、トランジスタQ3、Q4は、NPN型のトランジスタにより構成されている。また、トランジスタQ5、Q6は、PNP型のトランジスタにより構成されている。さらに、これらトランジスタQ3、Q4、Q5、Q6は、それぞれバイポーラトランジスタにより構成されている。
電源側第2補助駆動信号生成回路561は、トランジスタQ3が、トランジスタQ1のコレクタ端子と、電源(ここでは、42V)側との間に介設されている。ここで、トランジスタQ3は、そのコレクタ端子が電源(ここでは、42V)側に接続され、またそのエミッタ端子がトランジスタQ1のコレクタ端子に接続されている。また、トランジスタQ3のベース端子には、ダイオードD9(整流ダイオード)を介して、トランジスタQ4のエミッタ端子が接続されている。ダイオードD9は、そのカソード端子がトランジスタQ3のベース端子に接続され、またそのアノード端子がトランジスタQ4のエミッタ端子に接続されている。トランジスタQ4のコレクタ端子は、トランジスタQ3のコレクタ端子に接続されている。つまり、トランジスタQ4のコレクタ端子は、電源(ここでは、42V)側に接続されている。これにより、これらトランジスタQ3およびトランジスタQ4は、相互にダーリントン接続されて構成されている。一方、トランジスタQ4のベース端子は、ツェナーダイオードD10を介して、基準信号SQの信号ラインに接続されている。ここで、ツェナーダイオードD10は、そのカソード端子が、トランジスタQ4のベース端子に接続され、またそのアノード端子が基準信号SQの信号ラインLqに接続されている。これにより、トランジスタQ4のベース端子には、基準信号SQを基準とする信号が入力される。なお、ここで、ツェナーダイオードD10は、3.6Vの電圧を保持するようになっている。ツェナーダイオードD10には、これと並列にコンデンサC6が接続されている。また、トランジスタQ4のベース端子とコレクタ端子との間には、抵抗R6がバイアス抵抗として接続されている。
一方、接地側第2補助駆動信号生成回路562は、トランジスタQ5がトランジスタQ2のコレクタ端子と、接地(アース)側との間に介設されている。ここで、トランジスタQ5は、そのコレクタ端子が接地(アース)側に接続され、またそのエミッタ端子がトランジスタQ2のコレクタ端子に接続されている。また、トランジスタQ5のベース端子には、ダイオードD11(整流ダイオード)を介して、トランジスタQ6のエミッタ端子が接続されている。ダイオードD11は、そのアノード端子がトランジスタQ5のベース端子に接続され、またそのカソード端子がトランジスタQ6のエミッタ端子に接続されている。トランジスタQ6のコレクタ端子は、トランジスタQ5のコレクタ端子に接続されている。つまり、トランジスタQ6のコレクタ端子は、接地(アース)側に接続されている。これにより、これらトランジスタQ5およびトランジスタQ6は、相互にダーリントン接続されて構成されている。一方、トランジスタQ6のベース端子は、ツェナーダイオードD12を介して、基準信号SQの信号ラインに接続されている。ここで、ツェナーダイオードD12は、そのアノード端子がトランジスタQ6のベース端子に接続され、またそのカソード端子が基準信号SQの信号ラインに接続されている。なお、ここで、ツェナーダイオードD12は、3.6Vの電圧を保持するようになっている。これにより、トランジスタQ6のベース端子には、基準信号SQを基準とする信号が入力される。ツェナーダイオードD12には、これと並列にコンデンサC6が接続されている。また、トランジスタQ6のベース端子とコレクタ端子との間には、抵抗R6がバイアス抵抗として接続されている。
<回路動作>
この第2補助信号生成回路56の動作について説明する。図15Aは、電源側第2補助駆動信号生成回路561の回路動作について説明した図である。また、図15Bは、接地側第2補助駆動信号生成回路562の回路動作について説明した図である。
まず、電源側第2補助駆動信号生成回路561の回路動作について説明する。この電源側第2補助駆動信号生成回路561では、図15Aに示すように、トランジスタQ4のベース端子が、ツェナーダイオードD10を介して基準信号の信号ラインLqに接続されている。一方、ツェナーダイオードD10には、電源(ここでは、42V)から抵抗R6を介して電流が供給されて、電流が流れている。これにより、ツェナーダイオードD10の端子間電圧(アノード−カソード間電圧)は所定の電圧Vd10に保持される。このため、トランジスタQ4のベース端子には、基準信号SQの電位に対して、ツェナーダイオードD10の端子間電圧Vd10だけ高い電位が入力される。
トランジスタQ4およびトランジスタQ3は、相互にダイオードD9を介してダーリントン接続されている。トランジスタQ4およびトランジスタQ3の双方が動作するためには、トランジスタQ3のエミッタ端子の電位がトランジスタQ4のベース端子に比べて十分に低い電位である必要がある。
ここで、トランジスタQ4およびトランジスタQ3の双方が動作するために必要なトランジスタQ3のエミッタ端子の電位Veは、次の式(1)により求めることができる。なお、ここで、基準信号SQの電位を『Vsq』とする。また、ツェナーダイオードD10の端子間電圧を『Vd10』とする。また、トランジスタQ4のベース−エミッタ間の降下電圧を『Vq4』とする。また、トランジスタQ3のベース−エミッタ間の降下電圧を『Vq3』とする。また、ダイオードD9の端子間(アノード−カソード端子間)の降下電圧を『Vd9』とする。
Ve1=Vsq+Vd10−Vq4−Vd9−Vq3 …………式(1)
第1補助駆動信号生成回路52からダイオードD3を介して供給される第1補助駆動信号SV(『C電位』)によってトランジスタQ1のコレクタ端子に入力される電位が、この「Ve1」よりも高い場合には、これらトランジスタQ4およびトランジスタQ3は動作しないことになる。一方、第1補助駆動信号生成回路52からダイオードD3を介して供給される第1補助駆動信号SV(『C電位』)によってトランジスタQ1のコレクタ端子に入力される電位が、この「Ve1」よりも低い場合には、トランジスタQ4およびトランジスタQ3が共に動作することになる。
トランジスタQ3が動作した場合には、電源(ここでは42V)側からトランジスタQ3のコレクタ−エミッタ間に電流が流れて、その電流をトランジスタQ1のコレクタ端子に供給することができる。
なお、ダイオードD9は、トランジスタQ4のベース電位が、トランジスタQ3のエミッタ電位に対して、高くなった場合、トランジスタQ3、Q4のベース−エミッタ間に大きな逆バイアスがかかるのを防ぐために挿入してある。
次に、接地側第2補助駆動信号生成回路562の回路動作について説明する。この接地側第2補助駆動信号生成回路562も電源側第2補助駆動信号生成回路561と同様の回路動作を行う。すなわち、この接地側第2補助駆動信号生成回路562では、図15Bに示すように、トランジスタQ6のベース端子が、ツェナーダイオードD12を介して基準信号の信号ラインLqに接続されている。一方、ツェナーダイオードD12には、接地側から抵抗R7を介して電流が供給されて、電流が流れている。これにより、ツェナーダイオードD12の端子間電圧(アノード−カソード間電圧)は所定の電圧に保持される。このため、トランジスタQ6のベース端子には、基準信号SQの電位に対して、ツェナーダイオードD12の端子間電圧分だけ低い電位が入力される。トランジスタQ6およびトランジスタQ5は、相互にダイオードD11を介してダーリントン接続されている。トランジスタQ6およびトランジスタQ5の双方が動作するためには、トランジスタQ5のエミッタ端子の電位がトランジスタQ6のベース端子に比べて十分に高い電位である必要がある。
ここで、トランジスタQ6およびトランジスタQ5の双方が動作するために必要なトランジスタQ5のエミッタ端子の電位Veは、次の式(2)により求めることができる。なお、ここで、基準信号SQの電位を『Vsq』とする。また、ツェナーダイオードD12の端子間電圧を『Vd12』とする。また、トランジスタQ6のベース−エミッタ間の降下電圧を『Vq6』とする。また、トランジスタQ5のベース−エミッタ間の降下電圧を『Vq5』とする。また、ダイオードD11の端子間(アノード−カソード端子間)の降下電圧を『Vd11』とする。
Ve2=Vsq−Vd12+Vq6+Vd11+Vq5 …………式(2)
第1補助駆動信号生成回路52からダイオードD4を介して供給される第1補助駆動信号SV(『C電位』)によってトランジスタQ2のコレクタ端子に入力される電位が、この「Ve2」よりも低い場合には、これらトランジスタQ6およびトランジスタQ5は動作しないことになる。一方、第1補助駆動信号生成回路52からダイオードD4を介して供給される第1補助駆動信号SV(『C電位』)によってトランジスタQ2のコレクタ端子に入力される電位が、この「Ve2」よりも高い場合には、トランジスタQ6およびトランジスタQ5が共に動作することになる。
トランジスタQ5が動作した場合には、コンデンサCzに蓄積された電荷が電流としてトランジスタQ3のコレクタ−エミッタ間を経由して接地側へと流れる。すなわち、電流をトランジスタQ2のコレクタ端子に供給することができる。
なお、ダイオードD11は、トランジスタQ6のベース電位が、トランジスタQ5のエミッタ電位に対して、低くなった場合、トランジスタQ6、Q5のベース−エミッタ間に大きな逆バイアスがかかるのを防ぐために挿入してある。
<第2補助駆動信号>
ここで、電源側第2補助駆動信号生成回路561および接地側第2補助駆動信号生成回路562によって生成される第2補助駆動信号ST1、ST2について説明する。図16は、電源側第2補助駆動信号生成回路561によって生成される第2補助駆動信号ST1と、接地側第2補助駆動信号生成回路562によって生成される第2補助駆動信号ST2について説明したものである。ここでは、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子には、第1補助駆動信号生成回路52からの第1補助駆動信号SVが入力されない場合を想定して説明する。つまり、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子には、電源側第2補助駆動信号生成回路561および接地側第2補助駆動信号生成回路562によって生成された第2補助駆動信号ST1、ST2のみが入力される。
まず、電源側第2補助駆動信号生成回路561によって生成される第2補助駆動信号ST1について説明する。電源側第2補助駆動信号生成回路561のトランジスタQ4のベース端子に入力される信号は、図15Aにて説明したように、基準信号SQの電位に対して、ツェナーダイオードD10の降下電圧(『Vd10』)分だけ高い電位の信号となる。さらに、もし、トランジスタQ1が遮断されていなければ、この電源側第2補助駆動信号生成回路561のトランジスタQ3のエミッタ端子から出力される信号、即ち第2補助駆動信号ST1は、トランジスタQ4のベース端子に入力される信号の電位から、トランジスタQ4のベース−エミッタ間の電圧(『Vq4』)と、ダイオードD9の端子間電圧(『Vd9』)と、トランジスタQ3のベース−エミッタ間の電圧(『Vq3』)とを差し引いた電位となる。これらの電圧Vq4、Vd9、Vq3は、ほぼ一定である。また、ツェナーダイオードD10の端子間電圧(『Vd10』)は、これらの電圧Vq4、Vd9、Vq3を加算した電圧よりも高い電圧に設定される。これらのことから、もし、トランジスタQ1が遮断されていなければ、電源側第2補助駆動信号生成回路561により生成される第2補助駆動信号ST1は、同図に示すように、基準信号SQに対して所定の電位差ΔVt1だけ高い電位を保持する信号となる。すなわち、トランジスタQ1がOFFしていない区間、つまり基準信号SQが上昇している区間は、図16の実線の“第2補助駆動信号ST1の下限”と重なる。もし、トランジスタQ1がOFFしていると、Ve1の電位は不定であるが、短い時間ならば、浮遊容量により、トランジスタQ1がOFFになった時点の電位を維持する。
なお、ツェナーダイオードD10の端子間電圧(『Vd10』)は、この電位差ΔVt1に応じて設定される。つまり、ツェナーダイオードD10の端子間電圧(『Vd10』)を大きく設定すれば、電位差ΔVt1を大きくすることができる。また、ツェナーダイオードD10の端子間電圧(『Vd10』)を小さく設定すれば、電位差ΔVt1を小さくすることができる。また、この所定の電位差ΔVt1は、「所定値」に相当する。
次に、接地側第2補助駆動信号生成回路562によって生成される第2補助駆動信号ST2について説明する。接地側第2補助駆動信号生成回路562のトランジスタQ6のベース端子に入力される信号は、図15Bにて説明したように、基準信号SQの電位に対して、ツェナーダイオードD12の降下電圧(『Vd12』)だけ低い電位の信号となる。さらに、もし、トランジスタQ2が遮断されていなければ、この接地側第2補助駆動信号生成回路562のトランジスタQ5のエミッタ端子から出力される信号、即ち第2補助駆動信号ST2は、トランジスタQ6のベース端子に入力される信号の電位から、トランジスタQ6のベース−エミッタ間電圧(『Vq6』)と、ダイオードD11の端子間電圧(『Vd11』)と、トランジスタQ5のベース−エミッタ間の電圧(『Vq5』)とを加えた電位となる。これらの電圧Vq4、Vd9、Vq3は、ほぼ一定である。また、ツェナーダイオードD12の端子間電圧(『Vd12』)は、これらの電圧Vq4、Vd9、Vq3を加算した電圧よりも高い電圧に設定される。これらのことから、もし、トランジスタQ2が遮断されていなければ、接地側第2補助駆動信号生成回路562により生成される第2補助駆動信号ST2は、同図に示すように、基準信号SQに対して所定の電位差ΔVt2だけ低い電位を保持する信号となる。すなわち、トランジスタQ2がOFFしていない区間、つまり基準信号SQが下降している区間は、図16の点線の“第2補助駆動信号ST2の上限”と重なる。もし、トランジスタQ2がOFFしていると、Ve2の電位は不定であるが、短い時間ならば、浮遊容量により、トランジスタQ2がOFFになった時点の電位を維持する。
なお、ツェナーダイオードD12の端子間電圧(『Vd12』)は、この電位差ΔVt2に応じて設定される。つまり、ツェナーダイオードD12の端子間電圧(『Vd12』)を大きく設定すれば、電位差ΔVt2を大きくすることができる。また、ツェナーダイオードD10の端子間電圧(『Vd12』)を小さく設定すれば、電位差ΔVt2を小さくすることができる。また、この所定の電位差ΔVt2は、「所定値」に相当する。
<信号の切り替え>
第1補助駆動信号SVと第2補助駆動信号ST1、ST2とが切り替わるタイミングについて説明する。図17Aは、第1補助駆動信号SVから第2補助駆動信号ST1への切り替えタイミングについて説明したものである。図17Bは、第2補助駆動信号ST2から第1補助駆動信号SVへの切り替えタイミングについて説明したものである。
例えば、図17Aに示すように、第1補助駆動信号生成回路52により供給される第1補助駆動信号SVの電位が、第2補助駆動信号生成回路(ここでは、電源側第2補助駆動信号生成回路561)により供給される第2補助駆動信号ST1の電位よりも高い区間(図中左側の区間)では、トランジスタQ1のコレクタ端子に第1補助駆動信号SVが供給される。そして、基準信号SQの電位が上昇してこれに伴い第2補助駆動信号ST1の下限の電位が上昇して第1補助駆動信号SVの電位を上回ると、トランジスタQ1のコレクタ端子に供給される信号が、第1補助駆動信号SVから第2補助駆動信号ST1へと切り替えられる(図中、切替タイミング『△』参照)。この切り替えは、トランジスタQ3と、ダイオードD3とにより行われるものである。すなわち、第2補助駆動信号ST1の下限の電位が上昇して第1補助駆動信号SVの電位を上回ると、トランジスタQ3がONされる。これにより、トランジスタQ1のコレクタ端子には、第2補助駆動信号ST1が供給されるようになる。一方、第2補助駆動信号ST1の電位が第1補助駆動信号SVの電位を上回ったことで、ダイオードD3がOFFされ、第1補助駆動信号SVの供給が遮断される。なお、実際には、第2補助駆動信号ST1へと切り替わるときの第1補助駆動信号SVの電位は、ダイオードD3の端子間電圧、電圧降下分を考慮した電位となる。一方、トランジスタQ3はONされて、第2補助駆動信号ST1がトランジスタQ1のコレクタ端子に供給される。
再び、第1補助駆動信号SVの電位が第2補助駆動信号ST1の電位よりも高くなったときには、トランジスタQ1のコレクタ端子に供給される信号は、第2補助駆動信号ST1から第1補助駆動信号SVへと切り替わる。
次に、第2補助駆動信号ST2から第1補助駆動信号SVへの切り替えについて説明する。第2補助駆動信号ST2(接地側第2補助駆動信号生成回路562により生成される信号)は、図17Bに示すように、基準信号SQの電位が最大電位VHから降下し始めたときに、第1補助駆動信号SVから切り替えられて、トランジスタQ2のコレクタ端子に供給される。この間、第1補助駆動信号SVの電位は、第2補助駆動信号ST2の電位よりもずっと高い状態となっている。第1補助駆動信号SVの電位が徐々に降下してきて、第2補助駆動信号ST2の上限の電位よりも下回ると、トランジスタQ2のコレクタ端子に供給される信号が、第2補助駆動信号ST2から第1補助駆動信号SVへと切り替えられる(図中、切替タイミング『▲』参照)。この切り替えは、トランジスタQ5と、ダイオードD4とにより行われるものである。すなわち、第1補助駆動信号SVの電位が降下して第2補助駆動信号ST2の電位よりも下回ると、ダイオードD4がONされる。これにより、トランジスタQ2のコレクタ端子には、第1補助駆動信号SVが供給されるようになる。一方、第1補助駆動信号SVの電位が第2補助駆動信号ST2の上限の電位よりも下回ったことで、トランジスタQ5がOFFされて、第2補助駆動信号ST2の供給が遮断される。なお、実際には、第2補助駆動信号ST2から切り替わるときの第1補助駆動信号SVの電位は、ダイオードD4の端子間電圧、電圧降下分を考慮した電位となる。一方、トランジスタQ5はOFFされて、トランジスタQ1のコレクタ端子に対する第2補助駆動信号ST2の供給が停止される。
===まとめ===
以上本実施形態にあっては、このように基準信号SQの信号波形の信号レベルの変動に先行して電位が変動するような第1補助駆動信号SVを生成して、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に供給することで、トランジスタQ1、Q2のコレクタ−エミッタ間の電位差を小さくすることができ、これにより、トランジスタQ1、Q2の消費電力を大幅に抑えることができる。一方、トランジスタQ1、Q2のベース端子に図12とは波形の異なる基準信号SQが入力されて第1補助駆動信号SVが基準信号SQに先行して電位変動しなくなった場合であっても、第2補助駆動信号生成回路56により第2補助駆動信号を生成してトランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に供給することができるから、トランジスタQ1、Q2が動作しないような期間(Tq)が生じることを回避することができる。
===第1補助駆動信号生成回路の他の構成例===
以下に第1補助駆動信号生成回路の他の実施形態について説明する。
<回路構成>
図18は、第1補助駆動信号生成回路54の他の実施形態について説明したものである。この第1補助駆動信号生成回路54は、スイッチ素子M4、M5と、インダクタンスL5と、抵抗R5と、コンデンサC4、C5と、ダイオードD6、D7とを備えている。ここで、スイッチ素子M4、M5は、電界効果トランジスタにより構成されている。詳しくは、スイッチ素子M4は、Pチャネル型電界効果トランジスタにより構成されている。一方、スイッチ素子M5は、Nチャネル型電界効果トランジスタにより構成されている。また、スイッチ素子M4は、第1のスイッチ素子に相当する。また、スイッチ素子M5は、第2のスイッチ素子に相当する。また、ダイオードD6、D7は、ショットキーバリアダイオードにより構成されている。なお、図中のコンデンサCzは、圧電素子(ピエゾ素子)の静電容量を示す。コンデンサCzの静電容量は、インクを吐出するノズルの数に応じてその都度、変動する。
図18のインダクタンスL5は、図11のインダクタンスL1、L2、L3の中の一番小さいインダクタンスのものと等しい。図11では、インダクタンスL2とL3が同じ定数であり、これらはインダクタンスL1より小さいので、インダクタンスL5は、インダクタンスL2またはインダクタンスL3と等しい。
スイッチ素子M4と、インダクタンスL5と、コンデンサC4とは、電源(ここでは、42V)側と、アース(接地)側との間に順に直列に接続されて介設されている。スイッチ素子M5は、スイッチ素子M4とインダクタンスL5との間と、アース(接地)側との間に介設されている。また、スイッチ素子M4とインダクタンスL5との間と、電源(ここでは、42V)側との間には、ダイオードD6が介設されている。ここで、ダイオードD6は、そのカソード端子が電源側に接続され、またそのアノード端子がスイッチ素子M4とインダクタンスL5との間に接続されている。また、スイッチ素子M4とインダクタンスL5との間と、アース(接地)側との間には、ダイオードD7が介設されている。ダイオードD7は、そのカソード端子がスイッチ素子M4とインダクタンスL5との間に接続され、またそのアノード端子がアース(接地)側に接続されている。
さらに、インダクタンスL5に対しては、抵抗R5およびコンデンサC5が直列に接続されて、インダクタンスL5に並列に接続されている。これら抵抗R5およびコンデンサC5は、インダクタンスL5に流れる電流が切れたとき、インダクタンスL5の端子間電圧の振動を抑制するために設けられている。
そして、コンデンサC4の電源側の端子が、ダイオードD3、D4を介して、トランジスタQ1およびトランジスタQ2のコレクタ端子にそれぞれ接続されている。つまり、コンデンサC4の端子間電圧が第1補助駆動信号SVとして、トランジスタQ1およびトランジスタQ2のコレクタ端子に入力されるようになっている。
スイッチ素子M4がONになると、インダクタンスL5に電流が流れて、コンデンサC4に電荷が蓄積され、コンデンサC4が充電される。したがって、コンデンサC4の端子間電圧は、徐々に上昇する。一方、スイッチ素子M5がONになると、コンデンサC4からインダクタンスL5を通じて電流が流れて、コンデンサC4から電荷が放出される。つまり、コンデンサC4は放電される。これにより、コンデンサC4の端子間電圧は、徐々に降下する。すなわち、インダクタンスL5とコンデンサC4とは、LC共振回路を構成している。
<第1補助駆動信号の生成>
次にこの第1補助駆動信号生成回路54による第1補助駆動信号SVの生成方法について説明する。図19は、第1補助駆動信号SVの生成方法について説明したものである。ここでは、図18を参照しながら第1補助駆動信号SVの生成方法について説明する。
まず、ここでは、スイッチ素子M4をONにする(図18参照)。スイッチ素子M4をONするタイミングは、基準信号SQの電位が上昇を開始するタイミングよりも若干早いタイミングに設定される。他のスイッチ素子M5については、ここではOFFのままにしておく。スイッチ素子M4をONにすると、図18に示すように、電源側(ここでは、42V)からスイッチ素子M4を通じてインダクタンスL5に電流が流れて、コンデンサC4に電流が供給される。このため、コンデンサC4には、電荷が蓄積されて、コンデンサC4が充電される。これにより、コンデンサC4の端子間電圧(以降、ここでは『C電位』という)が、基準信号SQの電位の変動に先行して徐々に上昇する。
そして、スイッチ素子M4は、ONされてから所定時間T4を経過した後、OFFされる。スイッチ素子M4がOFFにされた後であっても、インダクタンスL5には、電流が流れ続ける。これは、インダクタンスL5に蓄えられた、電流を流そうとするエネルギーによるものである。インダクタンスL5に流れる電流は、ダイオードD7を通じて接地側から供給される。これにより、コンデンサC4には、スイッチ素子M4がOFFにされた後も電流が供給されて、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、基準信号SQの電位の変動に先行してさらに上昇する。ここで、インダクタンスL5は、図11のインダクタンスL1と比べ、インダクタンスが小さいので、『C電位』の上昇の仕方は、図11の場合より大きい。したがって、所定時間T4は所定時間T1(図12)に比べ短い。
その後、インダクタンスL5に流れる電流の大きさは徐々に小さくなる。そこで、再度、スイッチ素子M4をONにする(図19参照)。すると、再び、電源側(ここでは、42V)からスイッチ素子M4を通じてインダクタンスL5に電流が流れて、コンデンサC4に電流が供給される(図18参照)。このため、コンデンサC4には、電荷が蓄積されて、コンデンサC4が充電される。これにより、コンデンサC4の端子間電圧(以降、ここでは『C電位』という)が、さらに上昇する。
スイッチ素子M4は、ONされてから所定時間T5を経過した後、OFFされる。スイッチ素子M4がOFFされた後、しばらくの間は、ダイオードD7を通じてインダクタンスL5に電流が流れ、コンデンサC4は充電される。これにより、コンデンサC4の端子間電圧(以降、ここでは『C電位』という)が、基準信号SQの電位の変動に先行してさらに上昇する。その後、インダクタンスL5に流れる電流の大きさは徐々に小さくなり、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は徐々に安定した状態へと移行しする。このようにして、第1補助駆動信号SVの信号波形の第1区間D1が形成される(図19参照)。なお、ここで、インダクタンスL5に流れる電流が切れたとき、電流の変化率(dI/dt)が急激に0になり、インダクタンスL5の電源側の端子に大きな電位変動(アース→『C電位』)が生じても、抵抗R5およびコンデンサC5により、インダクタンスL5の端子間電圧の振動を抑制することができる。
なお、第1区間D1において所定時間T4、T5と2回に分けて充電しているのはなるべく、基準信号SQと補助駆動信号SVの電位差を小さくしたいためである。
そして、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、しばらくの間、一定に保持される。これにより、第1補助駆動信号SVの信号波形の第2区間D2が形成される(図19参照)。
その後、スイッチ素子M4が再びONされる。スイッチ素子M4は、基準信号SQの電位が中間電位VMから最大電位VHへと上昇を開始する前に先行してONされる(図19参照)。このようにスイッチ素子M4がONされると、電源側(ここでは、42V)からスイッチ素子M4を通じて、再びインダクタンスL5に電流が流れて、コンデンサC4に電流が供給される。これにより、コンデンサC4が充電されて、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、基準信号SQの電位の変動に先行してさらに上昇する。
スイッチ素子M4は、ONされてから所定時間T6を経過した後、OFFされる(図19参照)。ここで、所定時間T6は、先の第1補助駆動信号SVの信号波形の第1区間D1を形成する場合の所定時間T4、T5に比べて非常に長い時間に設定される(図19参照)。つまり、スイッチ素子M4は、先の第1補助駆動信号SVの信号波形の第1区間D1を形成する場合に比べて、長い時間ONされ続ける。これにより、インダクタンスL5には、スイッチ素子M4を通じて電源(ここでは、42V)側から長い時間にわたり電流が供給される。このため、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、急激に上昇する(図19参照)。スイッチ素子M4がOFFされた後、しばらくの間は、ダイオードD7を通じてインダクタンスL5に電流が流れ、コンデンサC4は充電される(図18参照)。これにより、コンデンサC4の端子間電圧(以降、ここでは『C電位』という)が、さらに上昇する。その後、インダクタンスL5に流れる電流の大きさは徐々に小さくなり、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は徐々に安定した状態へと移行しする。このようにして、第1補助駆動信号SVの信号波形の第3区間D3が形成される(図19参照)。なお、ここで、インダクタンスL5に流れる電流が切れたとき、電流の変化率(dI/dt)が急激に0になり、インダクタンスL5の電源側の端子に大きな電位変動(アース→『C電位』)が生じても、抵抗R5およびコンデンサC5により、インダクタンスL5の端子間電圧の振動を抑制することができる。
そして、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、しばらくの間、一定に保持される。これにより、第1補助駆動信号SVの信号波形の第4区間D4が形成される(図19参照)。
その後、スイッチ素子M5がONされる。スイッチ素子M5は、基準信号SQの電位が最大電位VHから最小電位VLへと降下を開始する前に先行してONされる(図19参照)。このようにスイッチ素子M5がONされると、コンデンサC4に蓄積された電荷がインダクタンスL5を通じて接地側へと放出される。これにより、コンデンサC4は徐々に放電されて、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、基準信号SQの電位の変動に先行して急激に降下する。
スイッチ素子M5は、ONされてから所定時間T7を経過した後、OFFされる。スイッチ素子M5がOFFにされた後であっても、インダクタンスL5には、電流が流れ続ける。これは、インダクタンスL5に蓄えられた電流を流そうとするエネルギーによるものである。インダクタンスL5に流れる電流は、ダイオードD6を通じて電源側(ここでは、42V)へと放出される。
そして、インダクタンスL5に流れる電流の大きさは徐々に小さくなり、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は徐々に安定した状態へと移行する。このようにして、第1補助駆動信号SVの信号波形の第5区間D5が形成される(図19参照)。なお、ここで、インダクタンスL5に流れる電流が切れたとき、電流の変化率(dI/dt)が急激に0になり、インダクタンスL5の電源側の端子に大きな電位変動(電源(+42V)→『C電位』)が生じても、抵抗R5およびコンデンサC5により、インダクタンスL5の端子間電圧の振動を抑制することができる。
その後、コンデンサC4の端子間電圧(『C電位』)は、再び基準信号SQの電位が最小電位VLから上昇を開始するまでの間、基準信号SQの最小電位VLよりも低い電位に保持される。これにより、第1補助駆動信号SVの信号波形の第6区間D6が形成される(図19参照)。
このような第1補助駆動信号SVが、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に入力されることで、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子と、トランジスタQ1、Q2のエミッタ端子との間の電位差を小さくする。これにより、トランジスタQ1、Q2の消費電力を大幅に抑えることができる。
図12においては、スイッチ素子をONにする回数は3回であったが、図19では4回である。スイッチング時は、有限の抵抗が発生し所謂スイッチング損失が発生するので、スイッチングの回数は少ないほうが有利であり、図18の回路は、図11の回路と比較して不利であると言える。しかし、回路が簡単になっており、この点では有利である。
===その他の実施の形態===
以上、一実施形態に基づき、本発明に係るプリンタ等の印刷装置について説明したが、上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更または改良され得るとともに、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に係る印刷装置に含まれるものである。
<圧電素子について>
前述した実施の形態では、「圧電素子」として、インクジェットプリンタに設けられ、インクを吐出する動作を行う素子(ピエゾ素子PZT)を例にして説明したが、ここでいう「圧電素子」にあっては、このようなインクジェットプリンタに設けられ、インクを吐出する動作を行う素子に限定されない。つまり、インクジェットプリンタ以外の他の種類の各種機器等に設けられた圧電素子についても、ここでいう「圧電素子」に含まれる。
<主駆動信号について>
前述した実施の形態では、「主駆動信号」として、図6や図7に示すような波形を有する主駆動信号を例にして説明したが、ここでいう「主駆動信号」にあっては、このような波形を有する信号に限定されない。すなわち、圧電素子を動作させるための信号であれば、どのような波形を有する信号であっても、ここでいう「主駆動信号」に含まれる。
<第1補助駆動信号生成回路について>
前述した実施の形態では、「第1補助駆動信号生成回路」として、図11や図18に示すような、インダクタンスとコンデンサとが直列に接続されたLC共振回路を備えた回路を例にして説明したが、ここでいう「第1補助駆動信号生成回路」にあっては、必ずしもこのようなLC共振回路を備えた回路である必要はない。つまり、トランジスタのコレクタ端子に、基準信号を増幅するための信号を供給するような回路であれば、どのような回路であっても、「第1補助駆動信号生成回路」に含まれる。
<第1補助駆動信号について>
前述した実施の形態では、「第1補助駆動信号」として、図10や図12、図13、図19に示すような波形を有する第1補助駆動信号SVを例にして説明したが、ここでいう「第1補助駆動信号」にあっては、このような波形を有する信号には限定されない。つまり、トランジスタのコレクタ端子に、基準信号を増幅するために供給される信号であれば、どのような波形を有する信号であっても、「第1補助駆動信号」に含まれる。
<第2補助駆動信号生成回路について>
前述した実施の形態では、「第2補助駆動信号生成回路」として、図14や図15A、図15B、図18に示すような、電源側第2補助駆動信号生成回路561と、接地側第2補助駆動信号生成回路562との2つの回路ブロックにより構成された回路を例にして説明したが、この「第2補助駆動信号生成回路」にあっては、必ずしもこのような回路構成を備える必要はない。つまり、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に入力される第1補助駆動信号SVの電位と、トランジスタQ1、Q2のベース端子に入力される基準信号SQの電位との電位差が所定値を下回ったときに、基準信号SQを増幅するためにトランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に第2補助駆動信号ST1、ST2を供給する回路であれば、どのような回路であっても良い。
また、この「第2補助駆動信号生成回路」にあっては、必ずしも、図14や図15A、図15B、図18に示すような、ダーリントン接続されたトランジスタQ3、Q4、Q5、Q6やツェナーダイオードD10、D12を備えた構成にする必要はない。
<第2補助駆動信号について>
前述した実施の形態では、「第2補助駆動信号」として、図16に示すような信号を例にして説明したが、ここでいう「第2補助駆動信号」にあっては、必ずしもこのような信号に限定されるものではない。つまり、この「第2補助駆動信号」にあっては、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に、これらトランジスタQ1、Q2のベース端子に入力される基準信号を増幅するために供給される信号であれば、どのような信号であっても、「第2補助駆動信号」に含まれる。
<所定値について>
前述した実施の形態では、「所定値」として、ツェナーダイオードD10の端子間電圧(『Vd10』)と、トランジスタQ4のベース−エミッタ間の電圧(『Vq4』)と、ダイオードD9の端子間電圧(『Vd9』)と、トランジスタQ3のベース−エミッタ間の電圧(『Vq3』)とにより規定される電位差ΔVt1、並びに、ツェナーダイオードD12の端子間電圧(『Vd12』)と、トランジスタQ6のベース−エミッタ間電圧(『Vq6』)と、ダイオードD11の端子間電圧(『Vd11』)と、トランジスタQ5のベース−エミッタ間の電圧(『Vq5』)とにより規定される電位差ΔVt2を例にして説明したが、ここでいう「所定値」にあっては必ずしもこのような手法により規定されるものとは限らない。つまり、ここでいう「所定値」は、このように固定された値ではなく、各種条件に応じて逐次変更される値であっても良い。すなわち、トランジスタQ1、Q2のコレクタ端子に入力される信号が、第1補助駆動信号SVと第2補助駆動信号ST1、ST2との間で切り替えられる条件に基づき設定される値であれば、どのような方法により規定されても構わない。
<基準信号について>
前述した実施の形態では、「基準信号」として、図10や図12、図13、図16、図19に示すような波形を有する基準信号を例にして説明したが、ここでいう「基準信号」にあっては、このような波形を有する信号に限定されない。すなわち、主駆動信号を生成するための基準となる信号であれば、どのような波形を有する信号であっても、ここでいう「基準信号」に含まれる。
<トランジスタについて>
前述した実施の形態では、トランジスタとして、NPN型トランジスタQ1と、PNP型トランジスタQ2とが相補的に接続されたトランジスタ対を備えた場合を例にして説明したが、ここでいう「トランジスタ」にあっては、必ずしもこのようにトランジスタ対として構成されている必要はなく、1個単独で構成されていても良く、また3個以上使用されて構成されていても良い。
<スイッチ素子について>
前述した実施の形態では、スイッチ素子として、電界効果トランジスタ(FET)が用いられていたが、ここでいう「スイッチ素子」にあっては、必ずしもこのような電界効果トランジスタを用いる必要はなく、普通のトランジスタなど、他のタイプの様々な周知の素子を使用することができる。
<液体について>
前述した実施の形態では、「液体」としてインクを使用した場合を例にして説明していたが、ここでいう「液体」にあっては、このようなインクに限らず、その他の液体、例えば、金属材料、有機材料(例えば高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、各種加工液、遺伝子溶液といった各種液体をインクの代わりに吐出しても良い。
印刷システムの構成を説明する図。 コンピュータ、及びプリンタの構成を説明するブロック図。 プリンタの構成を示す図。 プリンタの構成を説明する側面図。 ヘッドのノズル列の構成の説明図。 ヘッドの構造を説明するための断面図。 ヘッドの主要部の構造を説明するための一部を拡大して示す断面図。 ヘッド制御部の構成を説明するためのブロック図。 駆動信号生成回路によって生成される合成駆動信号を説明する図。 駆動信号の印加制御を説明するためのタイミングチャート。 駆動信号生成回路の一例を説明する説明図。 波形生成回路に入力されるDAC値と、波形生成回路からの出力電圧との関係の説明図。 D/A変換器によるアナログ信号の生成の説明図。 補助駆動信号生成回路(第1補助駆動信号生成回路)の一実施形態を示す回路図。 補助駆動信号(第1補助駆動信号)の一例を説明する説明図。 補助駆動信号生成回路(第1補助駆動信号生成回路)による補助駆動信号の生成方法の説明図。 基準信号の信号波形が変化した場合についての説明図。 第2補助駆動信号生成回路の一例を説明する説明図。 電源側第2補助駆動信号生成回路の説明図。 接地側第2補助駆動信号生成回路の説明図。 第2補助駆動信号の一例の説明図。 第1補助駆動信号から第2補助駆動信号への切り替えタイミングの一例の説明図。 第2補助駆動信号から第1補助駆動信号への切り替えタイミングの一例の説明図。 補助駆動信号生成回路の他の実施形態を示す回路図。 他の実施形態の助駆動信号生成回路による補助駆動信号の生成方法の説明図。
符号の説明
1 プリンタ,20 用紙搬送機構,21 給紙ローラ,
22 搬送モータ,23 搬送ローラ,24 プラテン,
25 排紙ローラ,30 キャリッジ移動機構,
31 キャリッジモータ,32 ガイド軸,
33 タイミングベルト,34 駆動プーリー,35 従動プーリー,
40 ヘッドユニット,41 ヘッド,411 ケース,
411a 収容室,412 流路ユニット,412a 流路形成板,
412b 弾性板,412c ノズルプレート,412d 圧力室,
412e ノズル連通口,412f 共通インク室,
412g インク供給路,412h 支持枠,412i 弾性膜,
412j アイランド部,413 ピエゾ素子ユニット,
413a ピエゾ素子群,413b 接着用基板,
50 駆動信号生成回路,
52 補助駆動信号生成回路(第1補助駆動信号生成回路),
54 補助駆動信号生成回路(第1補助駆動信号生成回路),
56 第2補助駆動信号生成回路,
561 電源側第2補助駆動信号生成回路,
562 接地側第2補助駆動信号生成回路,
60 検出器群,61 リニア式エンコーダ,
62 ロータリー式エンコーダ,63 紙検出器,64 紙幅検出器,
70 プリンタ側コントローラ,71 インタフェース部,
72 CPU,73 メモリ,74 制御ユニット,
81A 第1シフトレジスタ,81B 第2シフトレジスタ,
82A 第1ラッチ回路,82B 第2ラッチ回路,83 デコーダ,
84 制御ロジック,85 ヘッド側スイッチ,100 印刷システム,
91 波形生成回路,92 電流増幅回路,
911 D/A変換器、912 電圧増幅回路、
921 トランジスタ対、
110 コンピュータ,111 ホスト側コントローラ,
112 インタフェース部,113 CPU,114 メモリ,
120 表示装置,130 入力装置,131 キーボード,
132 マウス,140 記録再生装置,
141 フレキシブルディスクドライブ装置,
142 CD−ROMドライブ装置,
211C シアンノズル列,211M マゼンダノズル列,
211Y イエロノズル列,211K ブラックノズル列,
S 用紙,CLK クロック,
SI 画素データ,LAT ラッチ信号,CH チェンジ信号,
CTR コントローラ基板,HC ヘッド制御部,CR キャリッジ,
PZT ピエゾ素子,Nz ノズル,COM 主駆動信号,SQ 基準信号,
SV 第1補助駆動信号(補助駆動信号),ST1 第2補助駆動信号,
ST2 第2補助駆動信号,Q1 トランジスタ,Q2 トランジスタ,
Q3 トランジスタ,Q4 トランジスタ,Q5 トランジスタ,Q6 トランジスタ,
SS1 第1波形部,SS2 第2波形部,SS3 第3波形部,
PS1〜PS3 駆動パルス,q0〜q3 選択データ,
SW スイッチ制御信号,LAT ラッチ信号,CH チェンジ信号,
τ 更新周期

Claims (13)

  1. 制御端子に入力される基準信号を増幅して、圧電素子を動作させるための主駆動信号を生成して出力端子から出力するトランジスタと、
    前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第1補助駆動信号を供給する第1補助駆動信号生成回路と、
    前記電流供給端子に入力される前記第1補助駆動信号の電位と、前記制御端子に入力される前記基準信号の電位との電位差が所定値を下回ったときに、前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第2補助駆動信号を供給する第2補助駆動信号生成回路と、
    を備え
    前記第1補助駆動信号生成回路は、インダクタンスとコンデンサとが直列に接続された
    LC共振回路を有し、このLC共振回路の共振によって前記第1補助駆動信号を生成し、
    前記コンデンサの端子間電圧が、前記第1補助駆動信号として前記トランジスタの電流供給端子に供給されることを特徴とする圧電素子の駆動回路。
  2. 前記第1補助駆動信号生成回路は、前記第1補助駆動信号として、前記基準信号の電位上昇に先行して電位が上昇し、かつ前記基準信号の電位降下に先行して電位が降下する信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の圧電素子の駆動回路。
  3. 前記第1補助駆動信号が、前記基準信号の電位波形と近似した電位波形を有することを特徴とする請求項1または2に記載の圧電素子の駆動回路。
  4. 前記トランジスタとして、相補的に接続されたトランジスタ対を備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の圧電素子の駆動回路。
  5. 前記トランジスタ対が、エミッタ端子が相互に接続されたNPN型トランジスタとPNP型トランジスタとにより構成されることを特徴とする請求項に記載の圧電素子の駆動回路。
  6. 前記トランジスタがバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の圧電素子の駆動回路。
  7. 前記第2補助駆動信号生成回路は、前記基準信号に基づき、前記第2補助駆動信号を生成することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の圧電素子の駆動回路。
  8. 前記第2補助駆動信号生成回路は、前記第2補助駆動信号として、前記基準信号の電位上昇時に電位が上昇し、前記基準信号の電位降下時に電位が降下する信号を生成することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の圧電素子の駆動回路。
  9. 前記第2補助駆動信号が前記基準信号の電位と所定の電位差を持つ信号であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の圧電素子の駆動回路。
  10. 前記第2補助駆動信号生成回路は、前記第2補助駆動信号を生成するためのトランジスタを備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の圧電素子の駆動回路。
  11. 前記第2補助駆動信号生成回路は、前記トランジスタとして、ダーリントン接続された2以上のトランジスタを備えていることを特徴とする請求項10に記載の圧電素子の駆動回路。
  12. 前記圧電素子が、ノズルから液体を吐出する動作を行う素子であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の圧電素子の駆動回路。
  13. ノズルから液体を吐出する動作を行う圧電素子と、
    制御端子に入力される基準信号を増幅して、前記圧電素子に前記動作をさせるための主駆動信号を生成して出力端子から出力するトランジスタと、
    前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第1補助駆動信号を供給する第1補助駆動信号生成回路と、
    前記電流供給端子に入力される前記第1補助駆動信号の電位と、前記制御端子に入力される前記基準信号の電位との電位差が所定値を下回ったときに、前記基準信号を増幅するために前記トランジスタの電流供給端子に第2補助駆動信号を供給する第2補助駆動信号生成回路と、
    を備え
    前記第1補助駆動信号生成回路は、インダクタンスとコンデンサとが直列に接続された
    LC共振回路を有し、このLC共振回路の共振によって前記第1補助駆動信号を生成し、
    前記コンデンサの端子間電圧が、前記第1補助駆動信号として前記トランジスタの電流供給端子に供給されることを特徴とする液体吐出装置。
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