JP4774513B2 - 自己免疫疾患の診断剤及び診断方法 - Google Patents
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Description
FEBSLetters 第359巻(1995年)第189〜191頁 Proc.Nacl. Acad.Sci.USA 第91巻(1994年)2616〜2620頁 日本油化学会誌 第47巻(1998年)第29〜37頁 日本農芸化学会誌 第71巻(1997年)第311頁
本発明の診断方法を適用しうる自己免疫疾患としては、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、進行性全身性硬化症、多発性筋炎、皮膚筋炎、I型糖尿病、混合性結合組織病、強皮症、リウマチ熱、結節性多発動脈炎、Wegener肉芽腫症、ベーチェット病などが挙げられる。なかでも、本発明の自己免疫疾患の診断方法は、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、進行性全身性硬化症、多発性筋炎、皮膚筋炎及びI型糖尿病の診断に好適である。
本発明の診断剤は、脂質過酸化アルデヒド、該脂質過酸化アルデヒドによる修飾体又はこれらを認識する自己抗体の検出試薬を含んでいる。本診断剤においては、既に説明した本発明の診断方法における診断対象疾患、被験試料及び診断対象動物の各種の態様をそのまま適用される。また、本診断剤は、本発明の診断方法における検出工程において用いられる反応成分を検出試薬として用いることができる。
本発明の自己免疫疾患の予防又は治療用の薬剤の探索方法は、1種又は2種以上の化合物と脂質過酸化アルデヒド、その修飾体及びこれらのいずれかと反応する自己抗体とを接触させて、これらの活性阻害作用を測定する工程を備えている。脂質過酸化アルデヒド等及び脂質過酸化アルデヒド等と反応する自己抗体は、自己免疫疾患の指標であると同時に病因でもあると考えられる。このため、こうした脂質過酸化アルデヒド等や自己抗体の活性を阻害する作用を有する化合物は、自己免疫疾患を予防又は治療に用いることができる。なお、本明細書において、脂質過酸化アルデヒド等又はこれらと反応する自己抗体の活性を阻害するとは、脂質過酸化アルデヒドと反応してこれらを分解(解毒)したり、脂質過酸化アルデヒドとその修飾対象であるタンパク質等との反応を阻害して修飾体の生成を阻害したり、脂質過酸化アルデヒドの修飾体と反応してこれらを分解(解毒)したり、こうした内因性抗原を分解して自己抗体の産生を阻害したり、自己抗体を吸着して自己抗体の結合活性を阻害したりすることが挙げられる。本探索方法においては、必ずしも患者等から採取した自己抗体を用いる必要はなく、同様の反応性を有する人工的な抗体を用いることができる。なお、本発明の探索方法における脂質過酸化アルデヒドでヒト及びその修飾体並びに自己免疫疾患については、本発明の診断方法及び診断剤において既に説明した各種態様を適用できるとともに、その好ましい態様が本探索方法においても好ましく適用される。
本発明の自己免疫疾患の予防又は治療用の吸着剤は、脂質過酸化アルデヒド又はその修飾体若しくはその断片を含有している。こうした吸着剤によれば、脂質過酸化アルデヒド等と反応する自己抗体を吸着することができ、例えば、後段で説明する免疫吸着療法や抗体吸着装置に用いることができる。なお、本発明の吸着剤における脂質過酸化アルデヒドでヒト及びその修飾体並びに自己免疫疾患については、本発明の診断方法及び診断剤において既に説明した各種態様を適用できるとともに、その好ましい態様が本吸着剤においても好ましく適用される。
本発明の自己免疫疾患の治療方法は、血液成分から脂質過酸化アルデヒド等と反応する自己抗体を除去(好ましくは吸着除去)する工程を備えることができる。例えば、自己免疫疾患患者の血液を体外循環させるとともに、血漿を分離し、血漿について適用な免疫化学的手法等を用いた吸着剤によりあるいはメンブランにより、自己抗体を吸着し又は分離し、自己抗体が除去された血漿を再び非血漿成分と混合して患者に還流することで、自己免疫疾患の症状を改善し又は治療することができる。なお、こうした血漿ろ過(血漿交換)又は体外免疫吸着については、従来公知の各種手法を本発明における自己抗体に適用することができる。例えば、これらの自己抗体は、上記した各種の脂質過酸化アルデヒドのタンパク質修飾体などを吸着剤として用いることで吸着除去することが可能である。なお、本治療方法では、脂質過酸化アルデヒド等と反応する自己抗体の除去に加えて他の抗DNA抗体などの自己抗体を除去することもできる。
(SLE患者と健常者の血清中における抗4−HNE抗体価の測定)
SLE患者血清66例及び健常者血清14例を反応用緩衝液で100倍希釈し、その100μLを4−HNEのBSA修飾体を固相化(5μg/ウェル)したマイクロプレートの各ウェルに添加し、二次抗体としてHRP標識抗ヒトIgG二次抗体を用いて以下のELISA法により抗体価を測定した。なお、全てのSLE患者は、SLEに罹患しているという診断が確定している患者であった。また、4−HNEのBSA修飾体は、4mMHNEと2mg/mLBSAとをPBS中で37℃、24時間インキュベートした後、4℃で2日間、PBS中で透析した後、BCA protein assay reagentでタンパク質定量を行い、−80℃で保存したものを用いた。また、同様に、4−HNEのBSA修飾体と同様、二重鎖DNA(仔ウシ胸腺DNA)を固相化して抗DNA抗体価も測定した。
・ 固相抗原タンパク質をPBSで50μg/mLに希釈し、100μLずつImmunoplateにコートし、4℃で一晩もしくは37℃で1時間インキュベートした。
・ TPBS(PBS1Lに対し0.5mLのTween20を加えたもの)200μLで3回、さらにH2O200μLで3回洗浄した後、40mg/mLBlock Ace溶液200μLを加え37℃で1時間インキュベートしてブロッキングした。
・ TPBS200μLで3回、さらにH2O200μLで3回洗浄した後、TPBSで希釈した血清希釈液を100μLずつ加え37℃で2時間インキュベートした。
・ TPBS200μLで3回、さらにH2O200μLで3回洗浄した後、TPBSで5000倍に希釈したHRP標識抗ヒトIgG2次抗体を100μLずつ加え、37℃で1時間インキュベートした。
・ TPBS200μLで3回、さらにH2O200μLで3回洗浄した後、発色試薬を100μLずつ加え、室温で数分〜15分間遮光放置して発色させた。
発色を確認したら、2NH2SO4を50μLずつ加え、反応を停止させ、その後プレートリーダーで492nmの吸光度を測定した。
多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)患者、慢性関節リウマチ(RA)患者、進行性全身性硬化症(PSS)患者及びシェーグレン症候群(SjS)患者の各自己免疫疾患血清(それぞれ、15例、30例、20例及び20例)及び健常者血清14例を反応用緩衝液で100倍希釈し、その100μlを4−HNEのBSA修飾体を固相化(5μg/ウェル)したマイクロプレートの各ウェルに添加する以外は、実施例1のELISA法と同様にして抗体価を測定した。なお、全ての自己免疫疾患患者は、それぞれの自己免疫疾患に罹患している診断が確定している患者であった。また、同様に、4−HNEのBSA修飾体と同様、二重鎖DNA(仔ウシ胸腺DNA)を固相化して抗DNA抗体価も測定した。結果を図3に示す。
SLE患者血清90例及び健常者血清14例を反応用緩衝液で100倍希釈し、その100μLをACR(アクロレイン)のBSA修飾体を固相化(5μg/ウェル)したマイクロプレートの各ウェルに添加する以外は、実施例1のELISA法と同様にして抗体価を測定した。なお、全てのSLE患者は、SLEに罹患していることの診断が確定している患者であった。結果を図4に示す。
本実施例では、HNE−KLHで免疫したマウス血清について抗HNE−抗体価及び抗DNA抗体価を測定した。
(1)HNE−KLHで免疫されたマウス血清の調製
免疫原は、KLH(1.0mg/ml)と5mMのHNEのラセミ体を10mlの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)中で、37℃で24時間インキュベートして調製した。マウスBALB/c(メス、)を、フロイント完全アジュバントで乳化した0.5mgをその腹腔に注射することにより免疫した。さらに、フロイント不完全アジュバントで乳化した免疫原0.5mgで同様にして2週間間隔で3回追加免疫した。抗体価の上昇が確認されたマウスに追加免疫から2週間以上の間隔をあけて、アジュバントで乳化した免疫原0.5mgを直接マウス眼孔静脈にゆっくりと100μL注射して最終免疫を行った。なお、抗体価の確認は、実施例1で説明したELISA法を準用して行った。
得られたマウス血清について、実施例1に記載のELISA法に準じて抗HNE抗体価及び抗DNA抗体価を測定した。なお、固相化抗原(4−HNEのBSA修飾体及び仔ウシ胸腺二重鎖DNA)は、それぞれポリスチレンプレートの1ウェルあたり1μgを固相化して用い、4−HNEのBSA修飾体は、BSA(1.0mg/ml)と0.01〜10mMのHNEのラセミ体を1mlの0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)中で、37℃で24時間インキュベートして調製した。結果を図5に示す。
Claims (9)
- 自己免疫疾患の診断剤であって、
アクロレイン、4−ヒドロキシ−2−ノネナール、4−ヒドロキシ−2−ヘキセナール及びクロトンアルデヒド並びにこれらの修飾体から選択されるいずれかと反応する自己抗体を検出する検出試薬を含む、診断剤。 - 前記修飾体は、以下の一般式(1)〜(4)から選択されるいずれかである、請求項1に記載の診断剤。
- 前記修飾体はタンパク質による修飾体である、請求項1又は2のいずれかに記載の診断剤。
- 前記自己免疫疾患は、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、シェーグレン症候群、進行性全身性硬化症、多発性筋炎、皮膚筋炎及びI型糖尿病から選択されるいずれかである、請求項1〜3のいずれかに記載の診断剤。
- 前記検出試薬は、アクロレイン、4−ヒドロキシ−2−ノネナール、4−ヒドロキシ−2−ヘキセナール及びクロトンアルデヒド並びにこれらの修飾体から選択されるいずれか又はその断片である、請求項1〜4のいずれかに記載の診断剤。
- 自己免疫疾患の診断キットであって、
アクロレイン、4−ヒドロキシ−2−ノネナール、4−ヒドロキシ−2−ヘキセナール及びクロトンアルデヒド並びにこれらの修飾体から選択されるいずれかと反応する自己抗体を検出する検出試薬を含む、診断キット。 - 前記検出試薬は、アクロレイン、4−ヒドロキシ−2−ノネナール、4−ヒドロキシ−2−ヘキセナール及びクロトンアルデヒド並びにこれらの修飾体から選択されるいずれか又はその断片である、請求項6に記載の診断キット。
- 自己免疫疾患の検査方法であって、
被験試料中のアクロレイン、4−ヒドロキシ−2−ノネナール、4−ヒドロキシ−2−ヘキセナール及びクロトンアルデヒド並びにこれらの修飾体から選択されるいずれかと反応する自己抗体を検出する検出工程を備える、検査方法。 - 前記検出工程は、前記被験試料中の前記抗体の含有量を測定する工程である、請求項8に記載の検査方法。
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