JP3924709B2 - 測定試薬 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患の検出と治療薬に用いられる。
【０００２】
【従来の技術】
従来、自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患の早期把握に、タイプ４コラーゲン又はそのペプタイドを抗原として、抗タイプ４コラーゲン又はそのペプタイド抗体を検出する方法はなく、タイプ４コラーゲン又はそのペプタイドを治療薬に用いることもなかった。
【０００３】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明者は、長い間自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患の治療薬開発と早期検出方法に努めてきた。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
その結果、本発明者は、自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患において、タイプ４コラーゲン又はそのペプタイドを抗原として抗タイプ４コラーゲン又はそのペプタイド抗体を検出する方法及び検出試薬と、タイプ４コラーゲン又はそのペプタイドを治療薬に用いることに至った。その結果、下記１、２、３、４を確立した。
【０００５】
１自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患において、血液中の抗タイプ４コラーゲン抗体（以下抗タイプ４抗体）を免疫反応を用いて測定する方法とその試薬。
ヒト血清中の抗タイプ４抗体を、酵素免疫反応（ＥＬＩＳＡ）で測定する時、試薬として、１）タイプ４コラーゲンをコートしたプレート２）酵素標識抗ヒトＩｇＧ抗体３）発色基質（ＴＭＢ，過酸化水素）４）反応停止液（硫酸）を用いて測定する。
【０００６】
もちろん、免疫反応として、酵素免疫反応に限定されず、ＡＢ法、ＲＩＡ，免疫発光法、沈降反応、凝集反応他を含み、酵素標識の抗体としては、ポリクローナル又はモノクローナル抗体を問わず、又それを放射性物質、発光物質で標識した物、無標識物でも良い。
反応形式は、サンドイッチ法に囚われず、競合他でも良い。
プレートに替え、ガラス、磁性物質にしても良く、無しにして固相法を用いないことでも良い。
プレートにタイプ４コラーゲンをコートする時、コート物質をアビジン、ビオチン、又はこれらの結合した成分でも良い。
用いるタイプ４コラーゲンの動物種としては、ヒトが望ましく、ウシ、ブタ、ニワトリ、羊他の動物でも良くこれに限定されない。
タイプ４コラーゲンの由来臓器は、腎臓が望ましいが、これに限定されない。プレートにコートするタイプ４コラーゲンは、複数種を混合したものでも良い。又、タイプ４コラーゲンは、生体抽出物やリコンビナントのみでなく、構成ペプタイド（リコンビナント、特定分画、合成品を含む）でも良い。
更に第二抗体は、抗ヒトＩｇＧ抗体に限定されず、抗ヒトＩｇＭ抗体、抗ヒトＩｇＡ抗体、抗ヒトイムノグロブリン抗体でも良いが、抗ヒトＩｇＧ抗体の方が望ましい。
測定対象がラットやマウスなどヒト以外の時は、前述のヒト用試薬成分を対象動物に合わせる。
【０００７】
２血液中の抗特定分画タイプ４コラーゲン抗体を免疫反応を用いて測定する方法と試薬。
タイプ４コラーゲンを電気泳動で分画した後、このα３、α４の各分画を採取し、前述「１」と同様に、プレートにコートする。他は前述「１」と同様の試薬と測定法である。
同様にさらに限定を進めたα鎖（３、４の）ＮＣ１（そのリコンビナント）でも良く、その活性部位をペプタイド合成したものでも良いが高製造費となる。
【０００８】
３尿を検体として、上記「１」「２」を用いる試薬と測定法。
尿の場合は、他の腎臓疾患と自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患において識別が容易である。尿の沈殿物を防ぐのには、トリス緩衝液で良いがそれ自身が反応に影響を与えないものであれば、代用できる。
【０００９】
４タイプ４コラーゲン又はそのペプチドを用いた治療薬。
各種動物由来の、例えばヒト、ウシ、ブタ、ニワトリ他由来の微量のタイプ４コラーゲン又はそのペプチドを経口投与し、経口免疫寛容を喚起し治療薬とする。
【００１０】
【実施例１】
自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患の早期患者血清中の抗タイプ４抗体を測定した。健常者血清を対照とし、次の試薬で酵素免疫反応を行った。
試薬１、ヒト由来タイプ４コラーゲン、ウシ由来タイプ４コラーゲン、ブタ由来タイプ４コラーゲンを各０．５μｇ／穴をコートしたマイクロプレート
試薬２、ＨＲＰ標識抗ヒトＩｇＧ抗体（ウサギ由来ポリクローナル）
試薬３、ＴＭＢ試薬（ＴＭＢ０．１％，過酸化水素０．０２％、０．１Ｍクエン酸緩衝液）
試薬４、反応停止液（０．５Ｍ硫酸）
検体は、リン酸緩衝液で１００倍に希釈し、１００μｌ／穴を用いた。
測定方法：試薬１に検体１００μｌ／穴→２時間インキュベーション及び洗浄→試薬２、１００μｌ／穴→１時間インキュベーションおよび洗浄→試薬３、１００μｌ→３０分インキュベーション→試薬４、５０μｌ→測定（吸光度４５０ｎｍ）
結果：患者７検体中、抗タイプ４抗体は、ヒト、ウシ由来に対し各５例が、ブタ由来に対し４例が認められた。よって、本法は、自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患の早期患者血清中の抗タイプ４抗体の存在を測定する方法となり得る。
【００１１】
実施例２
ヒト及びウシ由来タイプ４コラーゲンを電気泳動により分画した。この分画中の、α３とα４を、「実施例１」の「試薬１」を置き換え「実施例１」と同様の実験を行った。
結果：「実施例１」で陽性の検体中の抗タイプ４抗体はα３、α４分画とも反応した。よって、本法は、自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患の早期患者血清中の抗タイプ４抗体及び抗タイプ４コラーゲンペプチドの存在を測定する方法となり得る。
【００１２】
実施例３
「実施例１」の検体「血清」に代えて「随時尿（２０倍濃縮）」を用いた。
結果：「実施例１」の早期患者は、全て陰性であった。しかし、自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患で通院中の「尿」５例は４例が陽性を示した。よって、本法は、腎疾患中の自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患の識別に有用である。
【００１３】
実施例４
タイプ４コラーゲン及びそのペプタイド（α３＋α４）の治療薬としての検討をした。
ラットについて、あらかじめ餌と共にタイプ４コラーゲン、及びペプタイド（α３＋α４）を与えておいた群、含まない群の３群（各５匹）を用意した。
ついで、ラット１匹当たりタイプ４コラーゲン（アジュバントでエマルジョンにしたもの）５００μｇをフットパットに投与した。腎疾患を起こさせる為である。
投与２週後から蛋白尿を観察した。
結果；４週以内に、非タイプ４コラーゲン群は全て蛋白尿が出現したが、ペプタイド投与群は３例、タイプ４コラーゲン投与群は２例が陽性であった。よって事前投与の抑制効果が確認された。
これはタイプ４コラーゲン及びそのペプタイド（α３＋α４）が自己免疫性腎疾患や他疾患に伴う二次性腎疾患治療薬としての可能性が示すものである。
【００１４】
【発明の効果】
本発明は、自己免疫性腎疾患や二次性腎疾患の早期発見及び他の腎疾患との識別更には、治療薬として有用である。

Claims (3)

1. 腎臓由来のタイプ４コラーゲン又はそのペプタイドを抗原として、尿中の抗タイプ４コラーゲン又はそのペプタイド抗体を検出する自己免疫性腎疾患及び他疾患に伴う二次性腎疾患の検出方法。
2. 請求項１に於けるタイプ４コラーゲンがタイプ４コラーゲンＮＣ１である請求項１の検出方法
3. タイプ４コラーゲン又はそのペプタイドよりなる自己免疫性腎疾患及び他疾患に伴う二次性腎疾患の治療剤。