JP4771208B2 - Frp筒体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、FRP筒体およびその製造方法に関し、特に、端部に他部材が結合されるFRP筒体、例えばプロペラシャフト等に用いて好適なFRP筒体およびその製造方法に関する。
最近、各種産業分野でFRP(繊維強化プラスチック)製の筒体が使われてきつつある。例えば近年、燃費の向上や環境保全といった観点から自動車の軽量化が強く望まれているが、それを達成する一手段としてプロペラシャフトのFRP化が検討され、一部で既に採用されるに至っている。そのようなFRP製プロペラシャフトは、FRP製本体筒と、この本体筒の各端部に接合して設けた金属製継手とを有している。
FRP製本体筒と金属製継手との接合は、金属製継手接合部の外径をFRP製本体筒の内径よりもやや大きく形成し、金属製継手をFRP製本体筒に圧入することによって、接合の強度が向上されるが、このFRP製本体筒の端部接合部内側には、上記圧入に対してFRP筒体の強度を確保するために、強化繊維の周方向巻層(筒軸方向に対して強化繊維を±80〜90度の角度で配列)を含む補強部(以下、周方向巻補強層と言うこともある。)を設けている(例えば、特許文献1)。この周方向巻補強層によって圧入による接合強度等を確保している。
特開平8-108495号公報
プロペラシャフトに使用されるFRP筒体は、通常、図1に示すように、例えば樹脂含浸強化繊維をマンドレル1上に巻いていくフィラメントワインディング法によって形成され、FRP製本体筒2を形成する部分が主として強化繊維の螺旋巻層(例えば、筒軸方向に対して強化繊維を±10〜75度の角度で配列した層)を含むFRP層に、長尺のフィラメントワインディングにおいて所定長さへの切断部3(所定長さのプロペラシャフト用FRP筒体とするための切断部)におけるFRP製本体筒2の端部内周面側に、上記のような周方向巻補強層が形成されるが(図1における補強層部A、B、C)、このFRP筒体の製造方法には次のような問題があった。
まず、上記のようなフィラメントワインディング法では、周方向巻を、筒軸方向に、所 定長で複数回往復させて補強層を形成するので、例えば図4に示すように、補強層端4の折り返し部分が、フィラメントワインディングマシンの制御上、巻き太りしやすくなり、周方向巻補強層5の外周面が凹形状になってしまう。補強層5形成完了後、補強層5の上には螺旋巻層6が順次形成されていくが、補強層端4の折り返し部分の巻き太りの影響を受けて、図4に示すように、層間7と層間8に空気を巻き込みやすくなり、硬化後、切断部3で切断した所定長のFRP製本体筒2の端部には、ボイドと呼ばれる空隙9、10が発生しやすくなる。その結果、図5に示すように、金属製継手11をFRP製本体筒2の端部に圧入する際、あるいは圧入完了後、所定以下の負荷トルクで層間7、層間8を起点に層間接着の破断が発生するという問題を生じるおそれがあった。
さらに上記の方法では、フィラメントワインディングマシンでの設定上、補強層5の厚みを一定にしており、つまり、高強度が要求される開放側端部12の厚みに合わせて補強層終了側端部13まで一定の厚みとされているので、金属製継手11をFRP製本体筒2の端部に圧入する際、最もFRP製本体筒2が拡がる(負荷応力大)開放側端部12と、負荷応力の低い圧入終了側端部13で補強層厚が同じであり、FRP筒体全体の重量増、コストアップを招くという問題も生じていた。
そこで本発明の課題は、上記のような問題点に着目し、周方向巻補強層の形状を安定化させることによって周方向巻補強層と螺旋巻層の境界に発生するボイドを消滅させ、また、不必要な厚肉化を避けて重量および材料費を削減できる、FRP筒体およびその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るFRP筒体は、強化繊維の螺旋巻層を含み筒軸方向に延在する本体筒部と、該本体筒部の筒軸方向端部内周面側に設けられ、筒軸方向に対して±80〜90度の範囲内の巻角度の強化繊維の周方向巻層を含む補強部とを有するFRP筒体において、前記補強部が、径方向内側から外側に向かって積層された、筒軸方向に互いに長さの異なる2層の周方向巻層を有し、全体の形状がストレート部とテーパー部で形成されていることを特徴とするものからなる。
また、本発明に係るFRP筒体は、強化繊維の螺旋巻層を含み筒軸方向に延在する本体筒部と、該本体筒部の筒軸方向端部内周面側に設けられ、筒軸方向に対して±80〜90度の範囲内の巻角度の強化繊維の周方向巻層を含む補強部とを有するFRP筒体において、前記補強部が、径方向内側から外側に向かって積層された、筒軸方向に互いに長さの異なる3層以上の周方向巻層を有し、全体の形状がストレート部とテーパー部で形成されていることを特徴とするものからなる。
上記構成においては、周方向巻層を含む補強部を径方向内側の第1補強部とその外側の第2補強部あるいは第2補強部以降とから構成するようにしたので、周方向巻補強層の形状を安定化させることができ、該形状安定化によって、周方向巻補強層と螺旋巻層との境界に発生するボイドを消滅させることができ、金属製継手をFRP製本体筒の端部に圧入する際、あるいは圧入完了後、負荷トルクに対する、図4に示したような層間7、層間8を起点とした層間接着の破断を防止することができる。また、補強部における圧入終了側端部付近の強化繊維投入量を削減することにより、不必要な厚肉化を避けてFRP筒体の重量および材料費を削減することもできる。
上記FRP筒体においては、前記筒軸方向に互いに長さの異なる2層の、あるいは3層以上の周方向巻層の厚みが同程度であり、第1の周方向巻層の筒軸方向長さが継ぎ手部材の接合長をカバーしている構成とすることができる。このようにすれば、周方向巻補強層端部の巻き太りによる形状の不安定化を緩和することができ、周方向巻補強層と螺旋巻層の境界に発生するボイドの原因となる空気を巻き込まずに成形することが可能となる。
また、前記補強部のストレート部の長さが継ぎ手部材の接合長に対し1.1〜2.0倍、テーパー部の長さがストレート部の長さに対し0.05〜2.0倍の範囲にあることが好ましく、従って上記の如く前記筒軸方向に互いに長さの異なる2層の周方向巻層の積層構成とする場合、外側の第2の周方向巻層の筒軸方向長さは、第1の周方向巻層の筒軸方向長さの1.05〜3倍の範囲とすることが好ましい。このようにすれば、周方向巻補強層端部の巻き太りによる形状の不安定化を緩和することができるとともに、筒軸方向に対する周方向巻補強層への強化繊維投入量を最適にすることができ、不必要な厚肉化を避けてFRP筒体の重量および材料費を削減できる。
また、上記のような本発明に係るFRP筒体は、プロペラシャフトに好適なものであり、FRP筒体の両端部に金属製継手が接合されることにより、所望のプロペラシャフトが、接合部におけるボイドを生じることなく、不必要な厚肉化を避けFRP筒体の重量および材料費を削減した状態で構成されることになる。とくに、トルク伝達性能向上等のために接合強度を高く保つためには、FRP筒体の両端部にセレーション加工が施された金属製継手が圧入により接合されていることが好ましい。
本発明に係るFRP筒体の製造方法は、FRP筒体の筒軸方向端部に相当する位置に、筒軸方向に対して±80〜90度の範囲内の巻角度の強化繊維の周方向巻層を含む補強部を形成し、該補強部の外周面側に、FRP筒体の筒軸方向全長にわたって強化繊維の螺旋巻層を含む本体筒部を形成するFRP筒体の製造方法において、前記補強部形成工程が、筒軸方向に互いに長さの異なる2層の周方向巻層を径方向内側から外側に向かって順次積層することにより補強部を形成するとともに、該補強部の形成を、FRP筒体の製品端部となるべき位置を筒軸方向の中央部として、樹脂を含浸させた強化繊維束を筒軸方向に前記中央部の左右にトラバースさせることにより行う工程とを含んでいることを特徴とする方法からなる。
また、本発明に係るFRP筒体の製造方法は、FRP筒体の筒軸方向端部に相当する位置に、筒軸方向に対して±80〜90度の範囲内の巻角度の強化繊維の周方向巻層を含む補強部を形成し、該補強部の外周面側に、FRP筒体の筒軸方向全長にわたって強化繊維の螺旋巻層を含む本体筒部を形成するFRP筒体の製造方法において、前記補強部形成工程が、筒軸方向に互いに長さの異なる3層以上の周方向巻層を径方向内側から外側に向かって順次積層することにより補強部を形成するとともに、該補強部の形成を、FRP筒体の製品端部となるべき位置を筒軸方向の中央部として、樹脂を含浸させた強化繊維束を筒軸方向に前記中央部の左右にトラバースさせることにより行う工程とを含んでいることを特徴とする方法からなる。
上記構成においては、周方向巻補強層の形状を安定化させることによって周方向巻補強層と螺旋巻層の境界に発生するボイドを消滅させることができるとともに、金属製継手等の圧入終了側付近の強化繊維投入量削減により、不必要な厚肉化を避けることが可能となり、FRP筒体成形において品質および生産性をともに向上させることができる。
この製造方法においては、前記筒軸方向に互いに長さの異なる2層の、あるいは3層以上の周方向巻層の各厚みが同程度となるよう、各層形成時のトラバース数を略等しくし、かつ、第1の周方向巻層を、その筒軸方向長さが継ぎ手部材の接合長をカバーするように形成することが好ましい。また、前記同様、補強部のストレート部の長さが継ぎ手部材の接合長に対し1.1〜2.0倍、テーパー部の長さがストレート部の長さに対し0.05〜2.0倍の範囲にあることが好ましく、従って上記の如く前記筒軸方向に互いに長さの異なる2層の周方向巻層の積層構成とする場合、外側の第2の周方向巻層の筒軸方向長さは、第1の周方向巻層の筒軸方向長さの1.05〜3倍の範囲とすることが好ましい。
また、この製造方法は、FRP筒体がプロペラシャフトである場合に好適なものであり、上記FRP筒体の両端部に金属製継手を接合して、生産性を向上した状態で望ましい品質のプロペラシャフトを製造することが可能になる。
本発明に係るFRP筒体およびその製造方法によれば、金属製継手等が圧入される周方向巻補強層を内側の第1補強層部とその外側の第2補強層部以降とから構成する構造としたので、周方向巻補強層端部の巻き太りによる形状の不安定化を緩和することができ、周方向巻補強層と螺旋巻層の境界に発生するボイドの原因となる空気を巻き込まない、品質を向上したFRP製筒体を提供することが可能となる。
また、周方向巻補強層境界部でのボイドを消滅できたことにより、金属製継手等の圧入工程で周方向巻補強層が接着不良等により破断することを防止することができる。さらに、周方向巻補強層の強化繊維投入量を最適化できるとともに従来よりも低減することが可能になり、FRP筒体全体の重量および材料費を削減することができる。
以下に、本発明に係るFRP筒体およびその製造方法の望ましい実施の形態を、主として車両用のプロペラシャフトに本発明を適用した場合について、図面を参照しながら説明する。
図2、図3および図6、図7は、本発明の実施態様に係るFRP筒体を示しており、図1に示したようなフィラメントワインディング法によりFRP筒体を製造するに際し、本発明を適用したもので、特にFRP製プロペラシャフトを製造する場合を示したものである。図2および図6において、図1に示したようなフィラメントワインディング法によりマンドレル1(図1)上にFRP製の筒状体を形成していくに際し、プロペラシャフトとして製造すべき所定長を有するFRP筒体21、31を切断部22、32で切断するようにしたものである。FRP筒体21、31は、強化繊維の螺旋巻層を含み筒軸方向に延在する本体筒部23、33と、該本体筒部23、33の筒軸方向端部内周面側に設けられ、筒軸方向に対して±80〜90度の範囲内の巻角度の強化繊維の周方向巻層を含む補強部24、34とを有するFRP筒体に成形される。この補強部24、34が、径方向内側に位置する強化繊維の第1周方向巻層を含む第1補強部25、35とその外側に位置し強化繊維の第2周方向巻層を含む第2補強部26、36とからなる。3分割の場合はさらに外側に強化繊維の第3周方向巻層を含む第3補強部37とからなる。この第1補強部25、35と第2補強部26、36、更に3分割の場合は第3補強部37とを積み重ねた補強部24、34を備えたFRP筒体21、31の端部に(本実施態様では両端部に)、図3に示すように、金属製継手27が圧入され、プロペラシャフトとされる。
FRP筒体21、31の材料として、本実施態様では、強化繊維として炭素繊維を、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を使用している。なお、強化繊維としてアラミド繊維、ガラス繊維等の高強度、高弾性と言われる他の繊維を採用したり、マトリクス樹脂として不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂等のその他の熱硬化性樹脂を採用することもできる。FRP筒体21は通常、図1に示したように1本のマンドレル(芯材)に2〜10本の複数本をフィラメントワインディング法によって巻き付けていき、同時に成形する。樹脂含浸繊維をマンドレル(芯材)に巻き付けて筒体に成形した後に、繊維に含浸された樹脂を熱硬化させ、その後マンドレルを抜き取り、所定の長さに切断部22、32で切断することによって所定長さのFRP筒体21、31に作製される。
前記補強部を2つに分割する場合、上記第1補強部25と第2補強部26は、前述したように厚みが同程度になるように、2つ以上に分割する場合は、補強部周方向の各厚みが同程度になるように形成され、第1補強部長が継ぎ手部材の接合長をカバーしていることが好ましい。また、前記補強部のストレート長、テーパ長、分割数の関係は、前記補強部のストレート部の長さが継ぎ手部材の接合長に対し1.1〜2.0倍、テーパー部の長さがストレート部の長さに対し0.05〜2.0倍の範囲にあることが好ましい。更に分割数はテーパ長÷糸幅で算出される値を小数点1桁を切り上げた整数で決定することが好ましい。このようにストレート長、テーパー長、分割数を決めることにより外側に巻き付けられる螺旋巻層の巻き乱れを防止することができ、ねじり強度など性能上優れたCFRP(炭素繊維強化プラスチック)筒体を得ることができる。
次に、上記実施形態の項で説明した本発明の構成要件を満足するFRP筒体における効果を確認するために金属製継手の圧入、捩り試験評価を実施した。以下に、これらについて詳細に説明する。
試験評価に使用したプロペラシャフト用FRP筒体はフィラメントワインディング法により製造した。繊維として炭素繊維束(東レ(株)製“トレカ”T700S、24000フィラメント、破断伸度2.1%)、樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。また、製造に使用したマンドレルは、外径(すなわち、FRP筒体の内径)がφ74mm、全長が2000mmのものを用い、FRP筒体2本(製品長900mm)を1本のマンドレルから取るようにした。
まず、エポキシ樹脂を含浸させたロービング(炭素繊維を複数本を引き揃えた束)を、マンドレル上でFRP筒体の補強部に相当する端部位置(図1に示したA、B、Cの位置)に周方向巻補強層として連続で成形した。このとき、筒軸方向に対する長さ100mm幅で、巻き付け往復回数(トラバース回数)4.5回にすることにより、補強層長100mm、厚み1.5mmの第1周方向巻層を含む第1補強部25を成形した。補強部成形時、糸幅30mmに対し、送りピッチを29mmで設定するが、マンドレルに直接接触する1周目巻き付け時は糸幅が不安定なため、送りピッチを糸幅の半分の15mmとすることが好ましい。
さらに、第1補強部25の上に、筒軸方向に対する長さ140mm幅で、巻き付け往復回数5回にすることにより、補強層長180mm、厚み1.5mmの第2周方向巻層を含む第2補強部26を成形した。このとき、第1補強部25の筒軸方向の長さ100mmの中心位置と第2補強部26の筒軸方向の長さ180mmの中心位置が同じになるようにした。このときも、第2周方向巻層のマンドレルに直接接触する1周目巻き付け時は糸幅が不安定なため、送りピッチを糸幅の半分の15mmとすることが好ましい。
第1補強部25から連続して第2補強部26を成形するために、第1補強部25と第2補強部26の中間につなぎ用の周方向巻層を1層介在させた。図1におけるA部の周方向巻補強層の成形が終了した後、B部、C部も連続で成形するが、AとB、BとCの中間を所定ピッチの周方向巻きでつないでいった。A部、B部、C部の周方向巻補強層完了後、マンドレル全長にわたって、破壊強度、剛性、周波数特性を付与するための所定角度の螺旋巻層を約2.5mm厚成形した。螺旋巻き終了後、周方向巻きによる最外層を形成した。
次に、所定の温度条件にて加熱炉でエポキシ樹脂の硬化を行い、その後、マンドレルから成形品を脱芯した。脱芯後、所定のプロペラシャフト用FRP筒体2本を得るために、切断部22で切断した。
このように得られたFRP筒体の端部補強層部を軸方向に切断して断面観察を実施したが、第1周方向巻層も第2周方向巻層もフィラメントワインディング時の往復回数が少ないため、図2に示すとおり、フィラメントワインディング時の折り返し部分に相当する端部での巻き太りは確認されず、図4に示したような層間7、8にボイドと呼ばれる空隙は発生していなかった。
図3に示したように、上記製造で得られたプロペラシャフト用FRP筒体の端部にヨークと呼ばれるプロペラシャフト用の金属製継手を圧入した。ヨーク接合部の外周面にはセレーション加工が施されており、所望の回転伝達トルクを確保するための歯形状、長さ、歯数が設定されている。本実施例でのセレーション歯長は40mm、セレーション外径74.3mmであった。
従来の製造方法で得られたプロペラシャフト用FRP筒体の端部には図4に示したように層間7、8にボイドが確認され、ヨークを圧入しても圧入完了する以前に、圧入荷重が約25kNで層間破壊するサンプルがあり、品質が不安定であった。また、圧入完了できたサンプルでもトルク負荷試験を実施したところ、約1000Nmというかなり低い値で層間7から破壊するサンプルもあった。
ところが上記本発明に係る製造方法で得られたプロペラシャフト用FRP筒体の端部にヨークを圧入しても、補強部と螺旋巻層部の境界および補強部内で破壊するサンプルはなく、セレーション外径を74.3mmと大きくして圧入荷重を約65kNまで負荷させても、破壊するサンプルは発生しなかった。
また、圧入完了後、トルク負荷試験を実施したが、設計値通り約5000Nmでヨークセレーションがスリップ破壊するが、層間で破壊するサンプルは発生しなかった。
補強部が3分割で構成されている実施例を以下に示す。試験評価に使用したプロペラシャフト用FRP筒体はフィラメントワインディング法により製造した。繊維として炭素繊維束(東レ(株)製“トレカ”T700S、24000フィラメント、破断伸度2.1%)、樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。また、製造に使用したマンドレルは、外径(すなわち、FRP筒体の内径)がφ74mm、全長が2000mmのものを用い、FRP筒体2本(製品長900mm)を1本のマンドレルから取るようにした。
まず、エポキシ樹脂を含浸させたロービング(炭素繊維を複数本を引き揃えた束)を、マンドレル上でFRP筒体の補強部に相当する端部位置(図1に示したA、B、Cの位置)に周方向巻補強層として連続で成形した。このとき、筒軸方向に対する長さ100mm幅で、巻き付け往復回数3回にすることにより、補強層長100mm、厚み1.0mmの第1周方向巻層を含む第1補強部35を成形した。補強部成形時、糸幅30mmに対し、送りピッチを29mmで設定するが、マンドレルに直接接触する1周目巻き付け時は糸幅が不安定なため、送りピッチを糸幅の半分の15mmとすることが好ましい。
さらに、第1補強部35の上に、筒軸方向に対する長さ180mm幅で、巻き付け往復回数3.5回にすることにより、補強層長180mm、厚み1.0mmの第2周方向巻層を含む第2補強部36を成形した。このとき、第1補強部35の筒軸方向の長さ100mmの中心位置と第2補強部36の筒軸方向の長さ140mmの中心位置が同じになるようにした。このときも、第2周方向巻層のマンドレルに直接接触する1周目巻き付け時は糸幅が不安定なため、送りピッチを糸幅の半分の15mmとすることが好ましい。
さらに、第2補強部36の上に、筒軸方向に対する長さ260mm幅で、巻き付け往復回数3回にすることにより、補強層長260mm、厚み1.0mmの第3周方向巻層を含む第3補強部37を成形した。このとき、第1補強部35の筒軸方向の長さ100mmの中心位置と第2補強部36の筒軸方向の長さ140mmの中心位置と第3補強部37の筒軸方向の長さ260mmの中心位置とが同じになるようにした。このときも、第3周方向巻層のマンドレルに直接接触する1周目巻き付け時は糸幅が不安定なため、送りピッチを糸幅の半分の15mmとすることが好ましい。
第1補強部35から連続して第2補強部36を成形するために、第1補強部35と第2補強部36の中間につなぎ用の周方向巻層を1層介在させ、第2補強部36から連続して第7補強部37を成形するために、第2補強部36と第2補強部37の中間につなぎ用の周方向巻層を1層介在させた。図1におけるA部の周方向巻補強層の成形が終了した後、B部、C部も連続で成形するが、AとB、BとCの中間を所定ピッチの周方向巻きでつないでいった。A部、B部、C部の周方向巻補強層完了後、マンドレル全長にわたって、破壊強度、剛性、周波数特性を付与するための所定角度の螺旋巻層を約2.5mm厚成形した。螺旋巻き終了後、周方向巻きによる最外層を形成した。
次に、所定の温度条件にて加熱炉でエポキシ樹脂の硬化を行い、その後、マンドレルから成形品を脱芯した。脱芯後、所定のプロペラシャフト用FRP筒体2本を得るために、切断部32で切断した。
このように得られたFRP筒体の端部補強層部を軸方向に切断して断面観察を実施したが、第1周方向巻層も第2周方向巻層も第3周方向巻層フィラメントワインディング時の往復回数が少ないため、図6に示すとおり、フィラメントワインディング時の折り返し部分に相当する端部での巻き太りは確認されず、前述の2分割構成よりも更に滑らかにな形状となっており、図4に示したような層間7、8にボイドと呼ばれる空隙率は更に低くなった。
図7に示したように、上記製造で得られたプロペラシャフト用FRP筒体の端部にヨークと呼ばれるプロペラシャフト用の金属製継手を圧入した。ヨーク接合部の外周面にはセレーション加工が施されており、所望の回転伝達トルクを確保するための歯形状、長さ、歯数が設定されている。本実施例でのセレーション歯長は40mm、セレーション外径74.3mmであった。
従来の製造方法で得られたプロペラシャフト用FRP筒体と比較しても、また、2分割構成のものと比較しても、補強層端部層間に発生するボイド率は更に向上され、上記本発明に係る製造方法で得られたプロペラシャフト用FRP筒体の端部にヨークを圧入しても、補強部と螺旋巻層部の境界および補強部内で破壊するサンプルはなく、セレーション外径を74.3mmと大きくして圧入荷重を約65kNまで負荷させても、破壊するサンプルは発生しなかった。
また、圧入完了後、トルク負荷試験を実施したが、設計値通り約5000Nmでヨークセレーションがスリップ破壊するが、層間で破壊するサンプルは発生しなかった。
以上の結果から、端部補強層を本発明のように第1、第2補強部、更に好ましくは第3補強部の層に分割して成形したほうが、層間に発生するボイドもなく、ヨーク圧入時および捩りトルク負荷時に層間が破壊するという品質不良が発生しないことが確認できた。また、前述したように、第1、第2補強部、更に好ましくは第3補強部の層に分割することにより、十分な端部補強を効率よく達成できることから、強化繊維投入量も削減でき、コスト、材料費ともに低減することが可能になった。
本発明に係るFRP筒体およびその製造方法は、とくにFRP製プロペラシャフトに好適なものであるが、プロペラシャフトに限らず、あらゆるFRP筒体に適用可能なものである。
マンドレル上でのFRP筒体の成形の様子を示す概略断面図である。 本発明の一実施態様に係るFRP筒体の成形時におけるFRP筒体端部形成部の断面図である。 図2の方法により成形したFRP筒体の端部に金属製継手を圧入したプロペラシャフトの端部断面図である。 従来の成形方法におけるFRP筒体端部形成部の断面図である。 図4の方法により成形したFRP筒体の端部に金属製継手を圧入したプロペラシャフトの端部断面図である。 本発明の別の実施態様に係るFRP筒体の成形時におけるFRP筒体端部形成部の断面図である。 図6の方法により成形したFRP筒体の端部に金属製継手を圧入したプロペラシャフトの端部断面図である。
符号の説明
1 マンドレル
21、31 FRP筒体
22、32 切断部
23、33 本体筒部
24、34 補強部
25、35 第1補強部
26、36 第2補強部
27 金属製継手
37 第3補強部

Claims (13)

  1. 強化繊維の螺旋巻層を含み筒軸方向に延在する本体筒部と、該本体筒部の筒軸方向端部内周面側に設けられ、筒軸方向に対して±80〜90度の範囲内の巻角度の強化繊維の周方向巻層を含む補強部とを有するFRP筒体において、前記補強部が、径方向内側から外側に向かって積層された、筒軸方向に互いに長さの異なる2層の周方向巻層を有し、全体の形状がストレート部とテーパー部で形成されていることを特徴とするFRP筒体。
  2. 強化繊維の螺旋巻層を含み筒軸方向に延在する本体筒部と、該本体筒部の筒軸方向端部内周面側に設けられ、筒軸方向に対して±80〜90度の範囲内の巻角度の強化繊維の周方向巻層を含む補強部とを有するFRP筒体において、前記補強部が、径方向内側から外側に向かって積層された、筒軸方向に互いに長さの異なる3層以上の周方向巻層を有し、全体の形状がストレート部とテーパー部で形成されていることを特徴とするFRP筒体。
  3. 前記筒軸方向に互いに長さの異なる2層の周方向巻層の厚みが同程度であり、第1の周方向巻層の筒軸方向長さが継ぎ手部材の接合長をカバーしている、請求項1に記載のFRP筒体。
  4. 前記筒軸方向に互いに長さの異なる3層以上の周方向巻層の各厚みが同程度であり、第1の周方向巻層の筒軸方向長さが継ぎ手部材の接合長をカバーしている、請求項2に記載のFRP筒体。
  5. 前記補強部のストレート部の長さが継ぎ手部材の接合長に対し1.1〜2.0倍、テーパー部の長さがストレート部の長さに対し0.05〜2.0倍の範囲にあることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のFRP筒体。
  6. FRP筒体がプロペラシャフトであり、FRP筒体の両端部に金属製継手が接合されている、請求項1〜5のいずれかに記載のFRP筒体。
  7. FRP筒体がプロペラシャフトであり、FRP筒体の両端部にセレーション加工が施された金属製継手が圧入により接合されている、請求項6に記載のFRP筒体。
  8. FRP筒体の筒軸方向端部に相当する位置に、筒軸方向に対して±80〜90度の範囲内の巻角度の強化繊維の周方向巻層を含む補強部を形成し、該補強部の外周面側に、FRP筒体の筒軸方向全長にわたって強化繊維の螺旋巻層を含む本体筒部を形成するFRP筒体の製造方法において、前記補強部形成工程が、筒軸方向に互いに長さの異なる2層の周方向巻層を径方向内側から外側に向かって順次積層することにより補強部を形成するとともに、該補強部の形成を、FRP筒体の製品端部となるべき位置を筒軸方向の中央部として、樹脂を含浸させた強化繊維束を筒軸方向に前記中央部の左右にトラバースさせることにより行う工程とを含んでいることを特徴とする、FRP筒体の製造方法。
  9. FRP筒体の筒軸方向端部に相当する位置に、筒軸方向に対して±80〜90度の範囲内の巻角度の強化繊維の周方向巻層を含む補強部を形成し、該補強部の外周面側に、FRP筒体の筒軸方向全長にわたって強化繊維の螺旋巻層を含む本体筒部を形成するFRP筒体の製造方法において、前記補強部形成工程が、筒軸方向に互いに長さの異なる3層以上の周方向巻層を径方向内側から外側に向かって順次積層することにより補強部を形成するとともに、該補強部の形成を、FRP筒体の製品端部となるべき位置を筒軸方向の中央部として、樹脂を含浸させた強化繊維束を筒軸方向に前記中央部の左右にトラバースさせることにより行う工程とを含んでいることを特徴とする、FRP筒体の製造方法。
  10. 前記筒軸方向に互いに長さの異なる2層の周方向巻層の厚みが同程度となるよう、各層形成時のトラバース数を略等しくし、かつ、第1の周方向巻層を、その筒軸方向長さが継ぎ手部材の接合長をカバーするように形成する、請求項8に記載のFRP筒体の製造方法。
  11. 前記筒軸方向に互いに長さの異なる3層以上の周方向巻層の各厚みが同程度となるよう、各層形成時のトラバース数を略等しくし、かつ、第1の周方向巻層を、その筒軸方向長さが継ぎ手部材の接合長をカバーするように形成する、請求項9に記載のFRP筒体の製造方法。
  12. 前記トラバースによる前記補強部の形成後、前記中央部で該補強部および前記本体筒部を切断して、FRP筒体の筒軸方向端部を形成する、請求項9〜11のいずれかに記載のFRP筒体の製造方法。
  13. FRP筒体がプロペラシャフトであり、FRP筒体の両端部にセレーション加工が施された金属製継手を圧入により接合する、請求項9〜12のいずれかに記載のFRP筒体の製造方法。
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