モジュラージャックにモジュラープラグが接続された状態で、モジュラープラグのコードを足等で引っ掛けること等により、モジュラージャックに引き抜きの力が加わることがある。ここで、特許文献2の中継モジュラージャック端子台のように、モジュラージャックがプリント基板に実装されていると、モジュラージャックは、引き抜きの力に対してプリント基板から浮き上がって取り外れやすく、回路パターンとの電気的接続が遮断されることがあった。
本発明は、外的な要因により電気的接続事故が発生することを抑制可能なモジュラージャックを有する接続器具を提供することを目的とする。
請求項1に記載の接続器具の発明は、抜け防止用の係止部を備えるモジュラープラグが挿入される開口部を上面側に有し、内部に前記モジュラープラグの係止部が係止する被係止部を有するモジュラージャックと;モジュラージャックの開口部へのモジュラープラグの挿脱が可能な開口を有するカバー体と;モジュラージャックの上面およびカバー体の裏面の間に、モジュラージャックの上面に沿って前記開口部を閉塞する位置から前記被係止部側方向に移動可能に設けられ、モジュラージャックにモジュラープラグが挿入されないときには前記開口部を閉塞する位置に移動されるとともに、モジュラープラグが挿入されているときには前記被係止部側に移動されて前記開口部を開放し、かつ、一部が前記被係止部側の上面に対向する扉体と;を具備することを特徴とする。
本発明および以下の各発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
扉体は、カバー体の開口を閉塞するに際して、手動により移動されるようにしてもよく、復帰ばね等により自動的に移動されてもよい。また、蓋体部の一部分が一部の部位となる。
モジュラープラグは、一般的に、モジュラージャックの開口部に挿入したときに、係止片などの係止部がモジュラージャックの段部などの被係止部に係止し、この係止を解除しない限り、前記開口部から取り外すことができないものである。
本発明によれば、モジュラージャックの開口部にモジュラープラグが挿入されているときに、モジュラージャックにモジュラープラグを介してカバー体の開口側への引き抜きの力が加わると、モジュラージャックの上面が扉体の一部の部位に当接して、モジュラージャックの変位(移動)が規制される。当該変位は、極めて小さいので、モジュラージャックは、浮き上がることが防止される。
請求項2に記載の接続器具の発明は、請求項1の接続器具において、前記カバー体は、前記モジュラージャックの被係止部側に対して前記モジュラージャックの開口部を挟む位置のモジュラージャックの上面に近接または接触する突片を有することを特徴とする。
カバー体の突出片がモジュラージャックの上面に近接するに際しては、突出片とモジュラージャックとの隙間は、小さいほどよく、例えば0.3mm以下であり、好ましくは、1mm以下である。
モジュラージャックの開口部に正対する開口」とは、当該開口部を包含する大きさの開口を意味する。
扉体がカバー体と近接するに際して、両者の隙間は、扉体の移動に支障がない限り小さいほどよく、例えば0.3mm以下であり、好ましくは、0.1mm以下である。また、器具本体の上面とモジュラージャックの上面は、それらの間の段差が極めて小さい実質的に同一面状であることが望ましく、あるいは、前記段差が0.3mm以下、好ましくは、0.1mm以下であるのがよい。
本発明によれば、モジュラージャックにモジュラープラグを介してカバー体の開口側への引き抜きの力が加わると、モジュラージャックの上面は、開口部を挟んで、扉体の一部の部位およびカバー体の突出片の両方に当接する。これにより、モジュラージャックは、浮き上がることがより防止される。
請求項3に記載の接続器具の発明は、請求項1または2記載の接続器具において、前記扉体は、前記モジュラープラグが前記モジュラージャックの開口部に挿入されているときに、前記被係止部側の上面に対向する前記一部の部位の近傍から上方に突出する操作部を有することを特徴とする。
操作部を例えば指で押圧操作することにより、蓋体部が移動させられる。例えば、モジュラージャックの開口部にモジュラープラグを挿入させるときに、扉体の移動方向に操作部を押圧することにより蓋体部が移動し、モジュラージャックの開口部がカバー体の開口に露出する。
操作部の形状は、直方体、円弧状体、板状体など、特に問わない。
「略直角」とは、操作部の突出形成が厳密な直角にとらわれなくしたものである。すなわち、操作部が蓋体部から直角に突出形成されることも包含する。
本発明によれば、モジュラージャックの上面に対向している蓋体部の一部の部位にモジュラージャックが当接したときに、操作部はリブの役目を果たし、蓋体部の変形を抑制する。
本発明の一実施形態において、モジュラージャックの開口部は、モジュラープラグの係止部を挿入する側が凸部となる凸状に形成されており、扉体の前記一部の部位は、前記凸部側であって、かつ、前記凸部を除く前記モジュラージャック上面に対向するように設けられている。
蓋体部がモジュラージャックの被係止部側からカバー体の開口を閉塞するように配置されることにより、モジュラージャックの開口部にモジュラープラグが挿入されているときに、操作部は、モジュラープラグの近くに位置し、係止片などの係止の解除部材が対向する。そして、それら操作部と解除部材との隙間は小さいので、モジュラージャックの被係止部に対するモジュラープラグの係止を解除するときに、前記隙間に指等を挿入しづらくなり、指等で前記解除部材を掴みにくくなる。ここで、操作部は、扉体の移動方向におけるモジュラープラグに対向する部位が蓋体部の上面よりも突出しないように形成されることにより、前記隙間に指等を挿入し易くなり、指等で前記解除部材を掴み易くなる。
本実施形態によれば、扉体の操作部において、扉体の移動方向におけるモジュラープラグに対向する部位に指を挿入することにより、モジュラープラグの係止部とモジュラージャックの被係止部との係止を解除する手動操作がモジュラープラグに対して容易に行える。
請求項1の発明によれば、モジュラープラグのコードが引っ掛けられてモジュラージャックに引き抜きの力が加わっても、モジュラージャックは、扉体の一部の部位に当接することにより浮き上がることが防止されるので、電気的接続を維持することができる。これにより、接続装置に接続されている電気機器は、支障なく通信を行うことができる。
請求項2の発明によれば、カバー体は、モジュラージャックの開口部を介して扉体の一部の部位に対向しモジュラージャックの上面に近接または接触する突出片を有するので、モジュラージャックに引き抜きの力が加わったときに、モジュラージャックは、扉体の一部の部位およびカバー体の突出片の両方に当接することになり、浮き上がることをより防止することができて、信頼性を向上できる。
請求項3の発明によれば、扉体の操作部は、リブの役目を果たして蓋体部の変形を抑制するので、モジュラージャックに引き抜きの力が加わって蓋体部にモジュラージャックが当接したときに、蓋体部は、モジュラージャックを浮き上がらせないよう押えることができる。
本発明の一実施形態によれば、モジュラープラグに対向する部位に指を挿入することにより、操作部による干渉を抑制することができ、モジュラープラグをモジュラージャックから容易に取り外すことができる。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1ないし図6は、本発明の一実施の形態を示し、図1は接続器具の左方向から見た概略斜視図、図2は接続器具の右方向から見た概略斜視図、図3は接続器具の概略正面図、図4は接続器具の図3のA−A方向の概略断面図、図5は接続器具の図3のB−B方向の概略断面図、図6はモジュラープラグが挿入された状態の接続器具の概略断面図である。
図1において、接続器具1は、電話機などの電子機器等が接続される通信用の接続器具であり、例えば壁面に埋設されている。接続器具1は、器具本体2、カバー体3および扉体4,5を有して構成されている。なお、器具本体2の上面2aは、モジュラープラグが挿入されてくる側の面であり、図4ないし図6において上側の面である。その他の構成物においても同様である。
器具本体2は、それぞれ合成樹脂(例えばABS樹脂)からなり、略箱状に形成された箱体6および縦長状に形成された枠体7を有している。枠体7は、4個のねじ8により箱体6にねじ留めされて一体化されている。
箱体6は、図4に示すように、内部に長方形状の基板9を配設している。基板9は、箱体6の底面6aから内部にそれぞれ突出形成された略円柱状の柱状体10および柱状体11,…,11に載置され、ねじ12,12により柱状体10および柱状体11に固定されている。
基板9には、略四角柱状のモジュラージャック13が実装されている。モジュラージャック13の下面には、一対の係止片14,14(図中、1個のみ示している。)が設けられている。係止片14は、基板9に形成された挿通孔15を挿通して基板9の下面9aに係止している。この係止により、モジュラージャック13は、基板9に固定されている。
そして、モジュラージャック13に配設されているコンタクトピン(図示しない。)が基板9に形成された回路パターン(図示しない。)に接触している。
基板9からは、回路パターンに電気接続しているリード線(図示しない。)が導出されている。リード線は、図5に示すように、中継室16に配設された略コ字状の中継金具17に接続されている。中継金具17には、壁内に配線された外部からの通信線(図示しない。)が接続されている。中継金具17は、例えば銅板からなっている。
そして、基板9は、モジュラージャック13の上面13aが枠体7の上面7a(器具本体2の上面2a)と同一面状となるように、箱体6(器具本体2)の内部に配設されている。また、基板9は、図1に示すように、長方形状の一端側に1個のモジュラージャック13を実装し、他端側に2個のモジュラージャック13,13を並設するように実装し、中間側(略中央部)に切換スイッチ18を実装している。一端側のモジュラージャック13と、他端側の図中下側のモジュラージャック13とは、基板9の回路パターンにより電気的に接続されている。
切換スイッチ18は、図中上下方向にスライドさせることにより切り換わり、中継室16に引き込まれて中継金具17に接続された外部からの通信線と、一端側のモジュラージャック13とを電気接続させ、あるいは他端側の図中上側のモジュラージャック13とを電気接続させる。そして、例えば、一端側のモジュラージャック13には、電話機が接続され、他端側の2個のモジュラージャック13,13には、スプリッタが接続される。
モジュラージャック13の上面13aには、モジュラープラグ21の係止部22を挿入する側が凸部となる凸状に形成される開口部19が形成されている。開口部19は、枠体7の上面7a(器具本体2の上面2a)に露出している。そして、開口部19の内部には、図5に示すように、奥側を後退させて被係止部としての段部20が形成されている。この段部20には、図6に示すように、モジュラープラグ21の係止部としての係止片22の突部23が係止される。
モジュラープラグ21は、開口部19に挿入されるにしたがい、係止片22がプラグ本体24の側(図6中に右側)に弾性変形する。そして、係止片22の突部23がモジュラージャック13の段部20の位置に達すると、係止片22は、図6中左側に弾性復帰する。段部20および突部23は、互いに対向して、突部23が段部20に係止される。この係止により、モジュラープラグ21のコード25を引っ張っても、モジュラープラグ21は、開口部19から抜けなくなる。
そして、モジュラープラグ21の係止片22およびプラグ本体24を指で掴んで狭圧すると、係止片22はプラグ本体24側に弾性変形してプラグ本体24に接触するようになり、突部23はモジュラージャック13の段部2に対向しなくなる。この状態でプラグ本体24を器具本体2の上面2a側に移動させると、モジュラープラグ21は、モジュラージャック13の開口部19から取り外れる。
モジュラージャック13は、開口部19の底面19aおよび側面19bにそれぞれ細幅の溝(図示しない。)が形成され、当該溝にコンタクトピン(図示しない。)が配設されている。そして、モジュラープラグ21が開口部19に挿入されたとき、モジュラープラグ21の接触子がコンタクトピンに電気的に接続される。これにより、モジュラープラグ21は、モジュラージャック13、基板9、図示しないリード線および中継室16の中継金具17を介して、外部の通信線に接続される。
そして、器具本体2を構成する枠体7は、図1に示すように、両側部7b,7bにそれぞれ一対の係止溝25を有する支持部材26,26および4個の係止爪27を有する支持部材28が形成されている。壁に埋設された配線器具用の取付枠の取付用突部を支持部材26,…,26のそれぞれの係止溝25に挿入して係止させることにより、あるいは配線器具用の取付枠の係止孔に支持部材28,28のそれぞれの係止爪27,…,27を挿入して係止することにより、枠体7を介して器具本体2が配線器具に配設される。
そして、枠体7の上面7a(器具本体2の上面2a)側にカバー体3が配設されている。カバー体3は、合成樹脂(例えばABS樹脂)からなり、細長状の平板部29と、平板部29から直角に延伸された側部30,30および側部31,31とを有する箱状に形成されている。側部30,30および側部31,31は、図5に示すように、開口縁側に段差を有し、同じく段差を有する枠体7の開口端側に嵌め込まれている。
カバー体3は、図1に示すように、平板部29に基板9の一端側に実装されたモジュラージャック13の開口部19および基板9の他端側に実装された2個のモジュラージャック13,13の開口部19,19にそれぞれ正対する開口32,33が形成されている。また、平板部29の略中央部には、切換スイッチ18に正対する開口34が形成されている。そして、図3に示すように、開口32は、1個のモジュラージャック13の上面13a側よりも大きく、開口33は、並設されたモジュラージャック13,13の上面13a,13a側よりも大きく形成されている。開口32は、扉体4により開閉され、開口33は、扉体5により開閉される。
また、カバー体3は、図2に示すように、平板部29の下面29bから突出し、モジュラージャック13の上面13aに接触する長方形状の突出片35が形成されている。突出片35は、扉体4,5が移動(スライド)してくる側に設けられ、モジュラージャック13の開口部19の周部にそれぞれ位置するように設けられている。
扉体4は、蓋体部36およびこの蓋体部36から突出形成された操作部37を有して形成されている。蓋体部36は、平板状に形成され、図5に示すように、カバー体3の平板部29と近接するようにして、例えばカバー体3の平板部29と0.3mm以下の隙間を有して、枠体7の上面7a(器具本体2の上面2a)に移動可能に配置されている。そして、蓋体部36は、モジュラージャック13の開口部19に形成された被係止部としての段部20側から当該段部20の反対方向に移動(スライド)してカバー体3の開口32を閉塞するように配置されている。
そして、蓋体部36は、カバー体3の開口32を開けている状態において、一部の部位としての移動方向の先端部36aがモジュラージャック13の上面13aに対向するように、その大きさが形成されている。そして、先端部36aの移動方向と直交する方向の中央部は、図1に示すように、長方形状に切り欠きされ、切り欠き部38に形成されている。蓋体部36が移動してカバー体3の開口32を閉塞するときに、切り欠き部38にカバー体3の突出片35が挿入される。
カバー体3の開口32を閉塞しているときは、モジュラージャック13の開口部19にモジュラープラグ21が挿入されないときであり、カバー体3の開口32を開けている状態は、開口部19にモジュラージプラグ21が挿入されるとき、またはモジュラープラグ21に挿入されているときである。そして、開口部19にモジュラージプラグ21が挿入されているときには、カバー体3の突出片35および蓋体部36の先端部36a(一部の部位)は、開口部19を介して互いに対向している。
そして、扉体4の操作部37は、蓋体部36の上面36aから突出し、蓋体部36の移動方向と直交する方向に略直方体に形成されている。そして、操作部37は、モジュラージャック13の開口部19にモジュラージプラグ21が嵌合されているときのモジュラープラグ21の係止片22に対向する部位が蓋体部36の上面36aよりも突出しないように切り欠きされている。また、操作部37は、蓋体部36の先端部36a(一部の部位)の近傍の位置において、蓋体部36から略直角に突出形成されている。これにより、操作部37は、リブの役目を果たす。すなわち、モジュラージャック13の上面13aが蓋体部36に当接したときに、蓋体部36の変形を抑制する。
操作部37は、蓋体部36の移動に応じてカバー体3の開口32内を移動し、縁部32aまたは縁部32bに当接する。操作部37が当該縁部32aに当接したときに、カバー体3の開口32が完全に開かれ、器具本体2のモジュラージャック13の開口部19にモジュラージプラグ21を挿入させることができる。このとき、蓋体部36の先端部36a(一部の部位)がモジュラージャック13の上面13aに対向するようになる。また、操作部37が前記縁部32bに当接したときに、蓋体部36の切り欠き部38にカバー体3の突出片35が挿入され、カバー体3の開口32が完全に閉塞される。
上述したように、扉体4は、操作部37がカバー体3の開口32の縁部32aおよび縁部32bの間を移動(スライド)することによって、蓋体部36がカバー体3の開口32を開閉する。すなわち、モジュラージャック13の開口部19にモジュラープラグ21が挿入されないときに、カバー体3の開口32を閉塞するように、操作部37をカバー体3の開口32の縁部32a側から縁部32b側に移動させることができる。また、開口部19にモジュラープラグ21を挿入させるときに、操作部37をカバー体3の開口32の縁部32b側から縁部32a側に移動させることによってカバー体3の開口32を開けることができる。
また、扉体5は、図1に示すように、蓋体部39およびこの蓋体部39から突出形成された突出部40を有してなり、扉体4と同様に形成されている。すなわち、蓋体部39は、平板状に形成され、カバー体3の開口33を開けている状態において、移動方向の先端部39aが一部の部位としてモジュラージャック13,13の上面13a,13aに対向するように、その大きさが形成されている。そして、先端部39aには、カバー体3の突出片35,35が挿入される切り欠き部41,41が形成されている。
操作部40は、蓋体部39の先端部39aの部位であって蓋体部39の移動方向と直行する方向の中央部に略直方体に形成されている。また、操作部40は、蓋体部39の先端部39a(一部の部位)の近傍の位置において、蓋体部39から略直角に突出形成されている。操作部40は、モジュラージャック13、13の開口部19、19にモジュラープラグ21、21が挿入されているときのモジュラープラグ21、21の係止片22、22に対向する部位には、当初から形成されていない。
そして、操作部40がカバー体3の開口33の縁部33aに当接したときに、カバー体3の開口33が完全に開かれ、器具本体2のモジュラージャック13,13の開口部19,19に例えばスプリッタのモジュラープラグ21,21を挿入させることができる。このとき、蓋体部39の先端部39a(一部の部位)がモジュラージャック13,13の上面13a,13aに対向するようになる。また、操作部40が開口33の縁部33bに当接したときに、蓋体部39の切り欠き部41,41にカバー体3の突出片35,35が挿入され、カバー体3の開口33が完全に閉塞される。
次に、本発明の一実施の形態の作用について述べる。
器具本体2は、枠体7の側部7b,7bに設けられた取付部材26,26または取付部材28が壁に埋設されたボックスの取付枠に固定される。すなわち、器具本体2は、前記ボックスに固定されて壁に埋設される。そして、カバー体3が壁面に露出している。
扉体4の操作部37をカバー体3の開口32の縁部32bに当接させるように扉体4を移動させると、カバー体3の開口32は完全に閉塞される。また、扉体5の操作部40をカバー体3の開口33の縁部33bに当接させるように扉体5を移動させると、カバー体3の開口33は完全に閉塞される。カバー体3の開口32,33が扉体4,5により閉塞されることにより、器具本体2に配設されたモジュラージャック13の開口部19に埃や塵あるいは異物が侵入されることが防止される。
そして、扉体4の操作部37をカバー体3の開口32の縁部32aに当接させるように扉体4を移動させると、カバー体3の開口32は開かれ、モジュラージャック13の開口部19が開口32に露出する。そして、例えば電話機のコード25に接続されているモジュラープラグ21を開口32から挿入して、開口部19に挿入させることができる。これにより、例えば電話機は、外部の通信線に接続される。
また、扉体5の操作部40をカバー体3の開口33の縁部33aに当接させるように扉体5を移動させると、カバー体3の開口33は開かれ、モジュラージャック13,13の開口部19,19が開口33に露出する。そして、例えばスプリッタの各コード25に接続されているモジュラープラグ21,21を開口33から挿入して、開口部19,19に挿入させることができる。これにより、例えばスプリッタは、外部の通信線に接続される。
そして、電話機が接続器具1に接続されているときに、電話機のコード25に足を引っ掛けるなどして当該コード25がモジュラージャック13側を引っ張ると、基板9に実装されているモジュラージャック13には、基板9から浮き上がる力が作用する。すなわち、基板9は、器具本体2(箱体6)に固定され、器具本体2(枠体7)は、壁に埋設されたボックスの取付枠に固定されている。また、電話機のコード25に接続されているモジュラープラグ21は、図6に示すように、係止部としての係止片22の突部23がモジュラージャック13の被係止部としての段部20に係止されているので、電話機のコード25が引っ張られてもモジュラージャック13から抜けない。したがって、電話機のコード25が引っ張られ、モジュラープラグ21に引き抜きの力が加わると、その引き抜きの力は、モジュラージャック13を基板9から浮き上がらせる(離脱)させるように作用する。
モジュラージャック13に上記引き抜きの力が作用すると、基板9が若干撓み、あるいは基板9からモジュラージャック13が若干浮き上がるなどして、モジュラージャック13がカバー体3の開口32側に変位する。すると、モジュラージャック13の上面13aに対向している扉体4の蓋体部36の先端部36aにモジュラージャック13の上面13aが当接する。
そして、蓋体部36は、カバー体3の平板部29と例えば0.3mm以下の隙間を有して近接しているので、平板部29に当接するようになる。カバー体3は、器具本体2の枠体7に固定されているので、蓋体部36が平板部29に当接することにより、扉体4からモジュラージャック13に対して上記引き抜きの力に対向する力が作用するようになる。
ここで、操作部37は、蓋体部36の先端部36a(一部の部位)の近傍の位置において、蓋体部36から略直角に突出形成されているので、リブの役目を果たして、蓋体部40の変形を抑制する。これにより、蓋体部36は、モジュラージャック13の上面13aを強固に押えることができる。
また、モジュラージャック13は、開口部19を介して扉体4の蓋体部36の先端部36aと反対側の上面13aがカバー体3の突出片35と接触しているので、モジュラージャック13に上記引き抜きの力が作用すると、突出片35からモジュラージャック13に対して上記引き抜きの力に対向する力が作用するようになる。
モジュラージャック13は、上記引き抜きの力が加わると、開口部19を挟んで扉体4の蓋体部36およびカバー体3の突出片35により押圧される。これにより、モジュラージャック13は、基板9から浮き上がりにくくなり、モジュラージャック13の係止片14が基板9から取り外れることが抑制され、開口部19に配設されているコンタクトピンと基板9の回路パターンとの電気的接触が遮断されることが抑制される。すなわち、電話機のコード25を足で引っ掛けるなど、外的な要因によりモジュラージャック13に引き抜きの力が作用した後であっても、電気的接続事故の発生が抑制されていて、電話機は支障なく通信を行うことができる。
なお、カバー体3の突出片35は、モジュラージャック13の上面13aに近接させてもよい。すなわち、突出片35は、モジュラージャック13の上面13aと例えば0.3mm以下の隙間を有していてもよい。モジュラージャック13に引き抜きの力が加わってモジュラージャック13がカバー体3の開口32側に変位すると、扉体4の蓋体部36がカバー体3の平板部29の下面29bに当接したときに、モジュラージャック13の上面13aが突出片35に当接するので、モジュラージャック13は、扉体4の蓋体部36およびカバー体3の突出片35により押圧される。
また、カバー体3に突出片35を設けずに、扉体4の蓋体部36をモジュラージャック13の上面13に対向させるようにしてもよい。ここで、蓋体部36と対向しているモジュラージャック13の上面13aとは開口部19を介して反対側である上面13aには、カバー体3の平板部29が近接するようにするとよい。すなわち、カバー体3の平板部29のうち、当該上面3aに対向する部位の肉厚を大きくして、当該部位とモジュラージャック13の上面13aとの隙間が例えば0.3mm以下となるようにしてもよい。モジュラージャック13に引き抜きの力が加わってモジュラージャック13がカバー体3の開口32側に変位すると、扉体4の蓋体部36がカバー体3の平板部29の下面29bに当接したときに、モジュラージャック13の上面13aが平板部29の肉厚を大きくした部位に当接するので、モジュラージャック13は、扉体4の蓋体部36およびカバー体3の平板部29により押圧される。
仮に、モジュラージャック13の開口部19にモジュラープラグ21が挿入されているときに、扉体4の蓋体部36の先端部36aがモジュラージャック13の上面13aに対向しないように形成されていると、モジュラージャック13に引き抜きの力が作用したときに、モジュラージャック13は、カバー体3の突出片35が接触している上面13a側が支軸となってカバー体3の開口32側に変位しやすくなる。これにより、モジュラージャック13は、係止片14が基板9から取り外れて浮き上がりやすくなり、基板9の回路パターンとの電気接続が維持されなくなるおそれがある。
また、カバー体3に一対の突出片35,35を設けて、当該突出片35,35をモジュラージャック13の開口部19を挟むようにしてモジュラージャック13の上面13に接触させると、モジュラージャック13に引き抜きの力が作用したときに、モジュラージャック13が基板9から浮き上がることを抑制することができる。この場合、カバー体3の開口32は、扉体4により開閉されるので、一対の突出片35,35は、扉体4の移動方向と直交する方向であって、扉体4に干渉しない部位に設けられる。
モジュラージャック13の上面13は、図3に示すように、扉体4の移動方向と直交する方向においてカバー体3の開口32内に露出している。したがって、一対の突出片35,35を扉体4の移動方向と直交する方向においてモジュラージャック13の上面13aに接触させるには、例えばモジュラージャック13を大形化して上面13aを扉体4の移動方向と直交する方向に拡大させる必要があり、あるいは、モジュラージャック13の側面に一対の突出片35,35と接触または近接する部材を設ける必要がある。ここで、配線器具用の取付枠に取り付けられる器具本体2は、その大きさが制限されるので、モジュラージャック13が大形化され、あるいは前記部材が設けられると、器具本体2に配設されるモジュラージャック13の数量が制限されるという欠点を有し、コストアップするという欠点を有する。すなわち、扉体4が設けられている限り、上記一対の突出片35,35によって、モジュラージャック13を基板9から浮き上がりにくくさせることは、好適でない。本発明の接続器具1は、カバー体3の一対の突出片35,35をモジュラージャック13の開口部19を介して互いに対向させて接触または近接させることができないモジュラージャック13を有するものに対して特に効果的である。
そして、図1に示すように、扉体4の操作部37は、モジュラージャック13にモジュラープラグ21が挿入されたときのモジュラープラグ21の係止片22と対向する部位が扉体4の蓋体部36の上面36aよりも突出しないように切り欠きされている。これにより、モジュラージャック13からモジュラープラグ21を取り外すときには、操作部37に干渉されずに当該切り欠きされた部位に指を容易に挿入することができて、指でモジュラープラグ21のプラグ本体24および係止片22を掴むことができる。
そして、図6に示すように、モジュラープラグ21の係止片22の突部23がモジュラージャック13の段部20に係止されている状態において、係止片22を指の狭圧によりプラグ本体24側に変位させると、係止片22の突部23がモジュラージャック13の段部20から取り外れる。こうして、例えば係止片22をプラグ本体24側に変位させるための離脱具を用いることなく、モジュラープラグ21の係止片22の突部23とモジュラージャック13の段部20との係止を解除する手動操作を容易に行うことができる。
また、図1、図3から明らかなように、モジュラープラグ21が挿入された状態において、モジュラジャック13の開口部19以外の上面13aを利用して扉体4の先端部36aを設けたので、本来モジュラープラグ21が挿入された状態ではデットスペースとなってしまう箇所を有効的に利用したものである。
そして、カバー体3の開口33に露出しているモジュラージャック13,13に対しても、上述と同様である。すなわち、スプリッタのコード25に足を引っ掛けるなどして当該コード25が引っ張られると、モジュラージャック13,13に引き抜きの力が作用する。しかし、モジュラージャック13,13の上面13a,13aが扉体5の蓋体部39およびカバー体3の突出片35,35により押圧される。これにより、モジュラージャック13,13は、基板9から浮き上がりにくくなり、モジュラージャック13,13の係止片14,14が基板9から取り外れることが抑制され、開口部19,19に配設されているコンタクトピンと基板9の回路パターンとの電気的接触が遮断されるという電気的接続事故の発生が抑制される。
また、扉体5は、図1に示すように、操作部40がモジュラージャック13,13にモジュラープラグ21,21が嵌合されたときのモジュラープラグ21,21の係止片22,22と対向する部位には形成されていない。したがって、操作部40に干渉することなく、指でモジュラープラグ21のプラグ本体24および係止片22を容易に掴むことができ、モジュラープラグ21とモジュラージャック13との係止を手動操作により容易に解除することができる。