JP4771129B2 - 生産施設の地震リスク評価システム - Google Patents

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Description

本発明は、生産施設や一般の建築物などの地震被害を定量的に評価し、複数の耐震対策の費用対効果を評価し、耐震投資の意志決定支援を可能とする生産施設の地震リスク評価システムに関する。
地震等の災害などによる事業への影響を少なくするために事業継続計画BCP(Business Continuity Plan)を策定することが注目されている。また、防災投資をする上で限られた経営資源を有効に活用するためには、費用対効果を適切に評価することが重要となるが、このような費用対効果を適切に評価するための一助として用いられる、地震による被害の評価指標である予想最大損失PML(Probable Maximum Loss)などがよく知られている。そして、このような地震による損失の評価を行うために、地震リスク診断システムが種々提案されている。
そのような診断システムの一つして、特許文献1(特開2005−310146号公報)には、地盤およびその地盤上に立てられた建物ならびにその建物に収容された収容設備から構成される施設の損傷によって発生する営業損失を得るための地震リスク診断システムであって、診断対象の施設に対し、地盤、建物および各収容設備を構成要素とし、該施設に対する複数の損傷モードを各構成要素の損傷の有無の組み合わせにより定めたイベントツリーにおいて、損傷有りに対し、該構成要素が所定の最大地動加速度で損傷を受ける確率を設定し、損傷無しに対し、該構成要素が所定の最大地動加速度で損傷を受けない確率を設定する確率設定手段と、損傷モード毎に各構成要素に設定された確率を掛け合わせ、所定の最大地動加速度で、各損傷モードに至る確率を算出する算出手段と、損傷モードに至ったときの損害額と該損傷モードに至る確率との積を、損害額の期待値として損傷モード毎ごとに算出し、算出した損傷モード毎の損害額の期待値を合計することにより、所定の最大地動加速度における診断対象の施設の営業的な地震リスクを算出する営業リスク算出手段とを備えることを特徴とする地震リスク診断システムが記載されている。
また、非特許文献1には、電子デバイス工場を対象とした地震リスク簡易評価システムが提案されている。このシステムは、資産品目種別、耐震グレード、クリーンルーム層数、建物規模の4項目を入力して、直接損失額、操業中断損失額、操業中断日数などを算出するものである。
特開2005−310146号公報 電子デバイス工場の地震リスク簡易評価 鹿島 技術パンフレット用途シリーズ 05−29
ところで、半導体工場のような生産施設においては、初期投資額のうち、生産装置が占める割合が、建築・設備が占める割合に比べて大きいため、建築・設備、生産装置、およびユーティリティのコスト比率などを考慮して、生産施設全体の地震被害を推定する必要がある。また、半導体工場においては、地震による施設の直接被害に加えて、操業停止などによる生産額の低減などの間接被害も考慮して、費用対効果を適切に評価する必要がある。
病院に対する初期投資も、このような状況とよく似ており、病院の初期投資も、医療機器が占める割合が、建築・設備が占める割合に比べて大きい。また、地震による経済的損失を推計する上では、診療閉鎖期間などの影響を考慮することが、費用対効果を適切に算定する上で重要となる。
しかしながら、特許文献1に記載のシステムは、一般建物に対する地震リスク評価システムであり、あくまで建築・設備を対象としたものであるため、生産施設に対しては、当該システムをそのまま適用することはできない。また、当該システムは間接被害の評価についても考慮されるものではない。
また、非特許文献1記載のシステムは、電子デバイス工場に対する費用対効果を簡易に評価することができるが(1)生産施設の建築・設備、生産装置、ユーティリティのコスト比を細かく設定することができない、(2)操業中断期間を評価する際に、ライフラインの復旧日数が考慮されていない、(3)建築・設備、生産装置、ユーティリティの耐震グレードを細かく設定することができない(4)生産施設の供用期間における地震のリスクの期待値を算定できない、(5)施設の一部の床を免震床とする部分免震の影響を考慮できない、等のいくつかの問題点がある。
この発明は、上記課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、入力地震動の最大速度値(V)と、最大加速度値(A)と最大速度値(V)の比と、階数の情報のみを使用して、地震時応答を評価する応答評価式によって、所定の地点に建設される生産施設での地震によって発生する損失を評価するための生産施設の地震リスク評価システムにおいて、該建物の階数情報を含む対象生産施設の諸元情報の入力をユーザに促す対象生産施設の諸元情報設定欄と、生産施設全体のコスト比率情報の入力をユーザに促す生産施設全体のコスト比率情報設定欄と、建築・設備のコスト比率情報の入力をユーザに促す建築・設備のコスト比率情報設定欄と、生産装置のコスト比率情報の入力をユーザに促す生産装置のコスト比率情報設定欄と、ユーティリティのコスト比率情報の入力をユーザに促すユーティリティのコスト比率情報設定欄と、耐震対策グレード情報の入力をユーザに促す耐震対策グレード情報設定欄と、前記耐震対策グレード情報設定欄によって設置した耐震対策グレードに応じて、生産施設、建築・設備、ユーティリティに対するフラジリティカーブを選定するフラジリティカーブ設定手段と、各階のコスト比率情報の入力をユーザに促す各階のコスト比率情報設定欄と、前記応答評価式によって各階の地震応答を算定して、この算定結果を前記フラジリティカーブ設定手段で設定されたフラジリティカーブに対応させて、生産施設、建築・設備、ユーティリティに対する被害額を算定する被害額算定手段と、ライフラインの復旧日数の修正値に係る情報の入力をユーザに促すライフライン情報設定欄と、上記各設定欄に入力された情報、及び、前記被害額算定手段に基づくリスク評価の結果を表示するリスク評価表示欄と、を備え、該対象生産施設の諸元情報設定欄においては、建物が耐震構造であるか、制震構造であるか、免震構造であるかを入力する欄を有し、該リスク評価表示欄は、予想最大リスク評価の表示、又は、ライフサイクルリスク評価の表示を行うことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、建築物はもちろんのこと、生産装置まで含めた生産施設全体の地震損害、さらに操業停止等による損害、等の全ての損害に加え、耐震グレード等の耐震対策の費用対効果をも算出するように構成されているので、耐震投資の意志決定支援を可能とすることができる。
また、請求項1に係る発明によれば、建物が耐震構造であるか、制震構造であるか、免震構造であるかに応じて、それぞれの損失額が算定されるよう構成されており、耐震対策の費用対効果が明示的に参照できるので、耐震投資の意志決定を行う際のよい判断材料となる。
また、請求項1に係る発明によれば、「予想最大リスク評価」と「ライフサイクルリスク評価」の2種類の観点から、生産施設や一般の建築物などの地震被害を定量的に評価し、複数の耐震対策の費用対効果を評価し、耐震投資の意志決定支援を可能とすることができる。
以下、半導体の生産施設を例にとり、本発明の実施の形態に係るシステムのハードウエアの構成とシステムの処理の概略について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムの全体構成図である。図1において、CPU1は、システムバスに接続される各デバイスを統括的に制御する。また、ROM2内あるいは外部メモリ7には、CPU1の制御プログラムであるオペレーティングシステムプログラム(以下OS)等が記憶されており、RAM3は、CPU1の主メモリ、ワークエリア等として機能する。また、外部メモリ7には、本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムに関する種々の機能をコンピュータにより実現させる地震リスク評価システム用のプログラム(ソフトウェア)が、インストールされ保存されている。また、外部メモリ7には、本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムで用いられる種々のデータファイルが併せて記憶されている。
インターフェイス回路4は、不図示のキーボードやポインティングデバイス等の入力装置からの入力を制御するコントローラ、また、不図示のCRTディスプレイ(CRT)等の出力装置への表示等を制御するコントローラからなる。
CPU1は、ROM2内のプログラム、或いは、大容量の外部メモリ7に記憶されたプログラム等に応じて、インターフェイス回路4を介して、入力装置5と通信することで入力データを取得し、取得した数値、文字、図形、イメージ表等が混在した入力データの処理を実行し、更に、外部メモリ7に格納されているデータベースの管理を実行し、さらにこれらの処理結果、実行結果等の出力データを、インターフェイス回路4を介して出力装置6に出力する。
図2は、本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムの処理の流れを示すフロー図のその1である。また、図3は、本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムの処理の流れを示すフロー図のその2である。
本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムでは「予想最大リスク評価」と「ライフサイクルリスク評価」の2種類の評価が可能となるように設計されており、どの評価を行うかに応じて、入力すべき地震ハザードに関する入力値が異なる。地震ハザードは、施設の建設等を想定している対象地点において、ある評価期間の長さを設定した場合に、予想される地震動の大きさとその地震動の生起確率を表すものであり、歴史地震や活断層データに基づいて評価される。
また「予想最大リスク」は、特定の地震または地震動に対する損失として定義される。特定の地震としては、例えば南海地震や宮城県沖地震、特定の地震動としては、例えば評価期間を50年とした場合に超過確率が10%となるような地震動がある。「ライフサイクルリスク」は、震度が5弱、5強、6弱、6強の生起確率とそれぞれに対する損失によって定義される損失の期待値である。
「予想最大リスク評価」を行う際には、ステップS1において、最大速度値(V)、最大速度値に対する最大加速度値(A)の比(A/V)の2つの値を入力する。また、「ライフサイクルリスク評価」を行う際には、ステップS1’において、指定した評価期間において、地震の最大震度が5弱、5強、6弱、6強となるそれぞれの確率を入力する。なお、以上のような、最大速度値(V)、最大速度値に対する最大加速度値(A)の比(A/V)、評価期間内で地震が最大震度5弱、5強、6弱、6強となる確率などは既存のソフトウエアにより求めることができる。
なお、当面ステップS1の「予想最大リスク評価」からスタートした処理フローにつき説明することとする。
ステップS2において対象生産施設の諸元の設定を行う。図4には、処理フロー中のステップS2に対応して、出力装置6に表示される入力画面例を示す。図4に示す画面において、対象とする生産施設の諸元として、構造の種類(耐震、制震、免震のいずれかを選択する)、生産装置の部分免震の有無、階数、初期投資額、1日あたりの生産額、標準工期に対する工期延長日数、事業機会喪失による1日あたりの損失額を設定する。
次に、ステップS3において対象生産施設の諸元の設定を行う。図5には、処理フロー中のステップS3に対応して、出力装置6に表示される入力画面例を示す。このステップでは、初期投資額を建築・設備、生産装置、ユーティリティに割り振るために、この3つに対するコスト比率を図5に示す画面において設定する。なお、コスト比率の標準値をデータベースD1としてコンピュータ内部の外部メモリ7に格納しておき、ユーザが特に値を指定せず、この標準値を採用するよう設定しておくことも可能である。
次に、ステップS4において、建築・設備のコスト比率の設定(仕上げ・躯体・設備・その他)、生産装置のコスト比率の設定(分類A、分類B、分類C、・・・)、ユーティリティのコスト比率の設定(分類A、分類B、・・・)を行う。このステップS4に関連する入力画面例は3つあり、図6乃至図8に、処理フロー中のステップS4に対応して、出力装置6に表示される入力画面例を示す。
建築・設備のコスト比率の設定として、図6に示す入力画面例において、仕上げ・躯体・設備・その他のコスト比率を設定する。ここにおいても、コスト比率の標準値をデータベースD1としてコンピュータ内部の外部メモリ7に格納しておき、ユーザが特に値を指定せず、この標準値を採用するよう設定しておくことも可能である。
次に、生産装置のコスト比率の設定として、図7に示す入力画面例のように詳細な形で入力する。このようにするのは、生産装置は地震の影響の受けやすさに大小があるので、地震による影響の受けやすさに基づいて生産装置を数種類に分類し、それぞれの分類に対するコスト比率を細かく設定することにより正確な評価を行うようにするためである。
さらにステップS4に関連して、図8の入力画面例にあるように、ユーティリティのコスト比率の設定を行う。ユーティリティのコスト比率は、2種類に分類されている。
建築・設備、生産装置、ユーティリティについても細分類する際のコスト比率の標準値はデータベースD1としてコンピュータに格納されているため、これらの標準値を採用することも可能である。
次に、ステップS5において耐震グレードの設定を行う。図9には、処理フロー中のステップS5に対応して、出力装置6に表示される入力画面例を示す。図9の入力画面例において建築・設備、生産装置、ユーティリティについて、耐震対策のグレードを3段階から選択する。建物・設備については、仕上げ、躯体、設備等の耐震対策グレードを総合的に判断して設定し、生産装置・ユーティリティについては、特に何も考慮せずに単純に設置されている場合はL、震度6強程度の地震に対して設置金物、取り付けピース等の検討がなされている場合はH、それ以外の場合はMとして設定する。なお、これらの設定は、建築・設備、生産装置、ユーティリティの細分類したものに対して、各階での設定が可能なものとする。
次に、ステップS6において、フラジリティカーブを設定する。フラジリティカーブは、各構成要素について、応答加速度あるいは層間変形角と各構成要素の損傷率を関係付ける曲線あるいは折れ線である。外部メモリ7に登録されているデータベースD2において、建築・設備、生産装置、ユーティリティの細分類したものに対して、それぞれ耐震対策グレードに応じて3種類設定されており、設定した耐震対策グレードに応じて、フラジリティカーブを選定する。
建物の部位は仕上げ、躯体、設備、その他に大別し、耐震グレードに応じて以下のように設定する。仕上げについては内外装の中で、地震時の層間変形の追従性について平均的なもの、それよりも追従性が良いといわれるもの、相対的に追従性が良くないといわれるものにグレード分けしてフラジリティーを設定する。躯体については構造物の粘り強さを参考にグレード分けし、フラジリティーを設定する。設備およびその他についても追従性等を勘案してグレード分けし、フラジリティーを設定する。
生産装置については、地震被害の受けやすさおよび対象施設の地震被害記録を参考にして、生産装置を数種類にグループ分けし、それらのグループ毎にフラジリティーを与える。例えば、地震に敏感な装置に対しては、比較的小さな地震による加速度に対しても損傷を生じるようなフラジリティー設定とし、地震に敏感ではない装置に対しては、ある程度大きな地震による加速度に対してもあまり損傷を生じないようなフラジリティー設定とする。それらの具体的な設定は地震被害記録を参考にして決める。
ユーティリティーについても、生産装置と同様に地震被害の受けやすさおよび対象施設の地震被害記録による生産ラインの被害程度を参考にしてユーティリティーを数種類にグループ分けし、それらのグループ毎にフラジリティーを与える。フラジリティーの具体的な設定手順は生産装置の場合と同様である。
次に、ステップS7において各階のコスト比率の設定を入力して、ステップS8において建物の各階の地震応答として、最大応答加速度と最大層間変形角を応答評価式に基づいて算定し、これをフラジリティカーブと対応させて、各構成要素の損傷率と損失額をS9において算定する。S9において算定されるのは、各階の建築・設備、生産装置、ユーティリティの各要素のそれぞれの被害額である。
地震被害の評価においては、建物の最大応答(応答加速度と層間変形角)を高い精度で算定することが重要となる。本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムにおける応答の評価の特長としては、以下の3点がある。
(i)入力地震動の最大速度値(V)とA/V比(=最大加速度値(A)と最大速度値(V)の比)を使用していること。
最大速度値(V)は入力地震動の大きさを表し、A/V比は入力地震動の卓越周期を表す。この2つの値を応答評価に使用することにより、入力地震動の大きさに加えて、建物の固有周期と地震動の卓越周期の関係を考慮した精度の高い応答評価が可能となっている。なお、従来のシステムにおいては、A/Vは考慮されていない。
(ii)建物情報としては、階数の情報のみを使用していること。
対象とする施設や建物の標準的な構造特性を反映した構造物モデルを設定することにより、建物情報としては建物階数だけを使用している。これにより、建物各階の重量や剛性等に関する情報を入力することなく、応答評価を可能にしている。
(iii)応答評価式を導出し、利用していること。
入力地震動の最大速度値(V)とA/V比を基に、建築学会の建築物荷重指針による地震動の加速度応答スペクトルを求め、与えられた階数の対象施設の標準的な構造物モデルについての各階の最大加速度応答値と最大層間変形角を、モーダルアナリシスによって評価する。こうして求められる各階の最大加速度応答値と最大層間変形角のA/V比に対する変化を、関数の形で近似評価することにより、応答評価式を導出している。この応答評価式をシステムに組み込むことにより、煩雑で手間と時間のかかる地震応答解析をすることなしに、入力地震動の最大速度値(V)とA/V比、建物階数の情報だけから、その地震時応答を妥当な精度で評価することを可能にしている。
なお、モーダルアナリシスとは、建物の地震応答評価の一つの手法であり、建物の応答を固有モードに分解し、各モードの地震応答を算出し、複数のモードの地震応答を足し合わせて建物の地震応答を算出する手法である。
次に、ステップS10において、建築・設備、生産装置、ユーティリティのそれぞれの損傷率に基づいて、生産施設の復旧日数を算定式により評価する。また、ライフライン(電気、水道)の復旧日数を計測震度に基づいて算定し、生産施設とライフラインの復旧過程を考慮して、生産施設全体としての復旧日数を評価する。ライフライン(電気、水道)の復旧日数と計測震度との対応情報についてはあらかじめ本発明のシステムがデータベースとして備えているものとする。
図10は、処理フロー中のステップS10、S11において算定された結果を、出力装置6に表示するステップS12における表示画面例を示す。復旧日数とライフラインの復旧日数を計算過程の途中で図10のように表示し、施設のライフラインへの依存度を考慮して、ステップS13において必要に応じて「修正値(日)」の入力欄を利用し、復旧日数を修正できるものとする。
ステップS1の「予想最大リスク評価」からスタートした場合には、最終的にステップ14において、以上の条件に基づいて、「予想最大リスク評価」として、建築・設備、生産装置、ユーティリティの損失額からなる直接損失額と生産施設の復旧による損失額(1日あたりの生産額×生産施設の復旧日数)とライフラインの復旧による損失額(1日あたりの生産額×ライフラインの復旧日数)、および工期延長などによる事業機会喪失額からなる間接損失額を算定する。図11には、処理フロー中のステップS14において算定された結果を、出力装置6に表示する際の表示画面例を示す。図11に示すように、評価結果は、表形式と図で表示される。
このように本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムによれば、建築物はもちろんのこと、生産装置まで含めた生産施設全体の地震損害、さらに操業停止等による損害、等の全ての損害に加え、耐震グレード等の耐震対策の費用対効果をも算出するように構成されているので、耐震投資の意志決定支援を可能とすることができる。
さらに図11の「検討ケース」の欄に示されるように、「耐震」、「制震」、「免震」、「耐震+部分免震」、「制震+部分免震」など建物の構造の違いに応じてそれぞれの損失額が算定されるよう構成されており、耐震対策の費用対効果が明示的に参照できるので、耐震投資の意志決定を行う際のよい判断材料となる。
また、ステップS1’ の「ライフサイクルリスク評価」からスタートした場合には、ステップS10において、建築・設備、生産装置、ユーティリティのそれぞれの損傷率に基づき、ライフサイクルリスクに対する生産施設の復旧日数を算定式により評価する。また、ライフライン(電気、水道)の復旧日数を計測震度に基づいて算定し、生産施設とライフラインの復旧過程を考慮して、生産施設全体としての復旧日数を評価する。
図12は、ステップS1’ の「ライフサイクルリスク評価」からスタートした場合の処理フロー中のステップS10、S11において算定された結果を、出力装置6に表示するステップS12における表示画面例を示す。復旧日数とライフラインの復旧日数を計算過程の途中で図12のように表示し、施設のライフラインへの依存度を考慮して、ステップS13において必要に応じて「修正値(日)」の入力欄を利用し、復旧日数を修正できるものとする。
ステップS1’の「ライフサイクルリスク評価」からスタートした場合には、最終的にステップ14において、以上の条件に基づいて、「ライフサイクルリスク評価」として、建築・設備、生産装置、ユーティリティの損失額からなる直接損失額と生産施設の復旧による損失額(1日あたりの生産額×生産施設の復旧日数)とライフラインの復旧による損失額(1日あたりの生産額×ライフラインの復旧日数)、および工期延長などによる事業機会喪失額からなる間接損失額を算定する。図13には、処理フロー中のステップS14において算定された結果を、出力装置6に表示する際の表示画面例を示す。図13に示すように、評価結果は、表形式と図で表示される。
この「ライフサイクルリスク評価」における表示は、指定した評価期間における地震の最大震度が、5弱、5強、6弱、6強となる確率とそれぞれに対する損失の積を足し合わせて算出されるライフサイクルリスク(地震リスクの期待値)についての結果表示であり、このようなライフサイクルリスクの算定手法は、本システムで初めて導入されたものである。
以上みてきたように、本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムでは、「予想最大リスク評価」と「ライフサイクルリスク評価」の2種類の観点から、生産施設や一般の建築物などの地震被害を定量的に評価し、複数の耐震対策の費用対効果を評価し、耐震投資の意志決定支援を可能とすることができる。
本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムの全体構成図である。 本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムの処理の流れを示すフロー図のその1を示す図である。 本発明の実施の形態に係る生産施設の地震リスク評価システムの処理の流れを示すフロー図のその2を示す図である。 処理フロー中のステップS2に対応して、出力装置に表示される入力画面例を示す図である。 処理フロー中のステップS3に対応して、出力装置に表示される入力画面例を示す図である。 処理フロー中のステップS4に対応して、出力装置に表示される入力画面例を示す図である。 処理フロー中のステップS4に対応して、出力装置に表示される入力画面例を示す図である。 処理フロー中のステップS4に対応して、出力装置に表示される入力画面例を示す図である。 処理フロー中のステップS5に対応して、出力装置に表示される入力画面例を示す図である。 処理フロー中のステップS10、S11において算定された結果を、出力装置6に表示するステップS12における表示画面例を示す図である。 処理フロー中のステップS14において算定された結果を、出力装置6に表示する際の表示画面例を示す。 「ライフサイクルリスク評価」からスタートした場合の処理フロー中のステップS10、S11において算定された結果を、出力装置6に表示するステップS12における表示画面例を示す。 「ライフサイクルリスク評価」からスタートした場合の処理フロー中のステップS14において算定された結果を、出力装置6に表示する際の表示画面例を示す。
符号の説明
1・・・CPU、2・・・ROM、3・・・RAM、4・・・インターフェイス回路、5・・・入力装置、6・・・出力装置、7・・・外部メモリ

Claims (1)

  1. 入力地震動の最大速度値(V)と、最大加速度値(A)と最大速度値(V)の比と、階数の情報のみを使用して、地震時応答を評価する応答評価式によって、所定の地点に建設される生産施設での地震によって発生する損失を評価するための生産施設の地震リスク評価システムにおいて、
    該建物の階数情報を含む対象生産施設の諸元情報の入力をユーザに促す対象生産施設の諸元情報設定欄と、
    生産施設全体のコスト比率情報の入力をユーザに促す生産施設全体のコスト比率情報設定欄と、
    建築・設備のコスト比率情報の入力をユーザに促す建築・設備のコスト比率情報設定欄と、
    生産装置のコスト比率情報の入力をユーザに促す生産装置のコスト比率情報設定欄と、
    ユーティリティのコスト比率情報の入力をユーザに促すユーティリティのコスト比率情報設定欄と、
    耐震対策グレード情報の入力をユーザに促す耐震対策グレード情報設定欄と、
    前記耐震対策グレード情報設定欄によって設置した耐震対策グレードに応じて、生産施設、建築・設備、ユーティリティに対するフラジリティカーブを選定するフラジリティカーブ設定手段と、
    各階のコスト比率情報の入力をユーザに促す各階のコスト比率情報設定欄と、
    前記応答評価式によって各階の地震応答を算定して、この算定結果を前記フラジリティカーブ設定手段で設定されたフラジリティカーブに対応させて、生産施設、建築・設備、ユーティリティに対する被害額を算定する被害額算定手段と、
    ライフラインの復旧日数の修正値に係る情報の入力をユーザに促すライフライン情報設定欄と、
    上記各設定欄に入力された情報、及び、前記被害額算定手段に基づくリスク評価の結果を表示するリスク評価表示欄と、を備え、
    該対象生産施設の諸元情報設定欄においては、建物が耐震構造であるか、制震構造であるか、免震構造であるかを入力する欄を有し、
    該リスク評価表示欄は、予想最大リスク評価の表示、又は、ライフサイクルリスク評価の表示を行うことを特徴とする生産施設の地震リスク評価システム。
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