JP4771103B2 - 高電圧貫通型コンデンサ、高電圧貫通型コンデンサの製造方法、及び、マグネトロン - Google Patents

高電圧貫通型コンデンサ、高電圧貫通型コンデンサの製造方法、及び、マグネトロン Download PDF

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Description

本発明は、高電圧貫通型コンデンサ、高電圧貫通型コンデンサの製造方法、及び、この高電圧貫通型コンデンサでなるフィルタを有するマグネトロンに関する。
この種の高電圧貫通型コンデンサは、マグネトロンの発振動作時に発生する不要輻射波を除去するフィルタとして、例えば、電子レンジ等のマグネトロンに組み込まれるもので、その一般的な構造は次のようなものである。即ち、コンデンサ部を構成する誘電体磁器素体に、2つの貫通孔を間隔をおいて設け、この貫通孔を開口させた両面に、互いに独立した個別電極、及び、個別電極に対して共通となる共通電極を設ける。共通電極は、接地金具の一面側に載置され、半田付け等の手段によって固着される。貫通導体は、タブ端子部が電極接続体等を介して個別電極と電気的に接続されており、且、棒状導体部がコンデンサ部の貫通孔を貫通している。この棒状導体部には、絶縁チューブが装着されている。
さらに、コンデンサ部の貫通孔の内部において、絶縁チューブの周囲には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂でなる絶縁樹脂が充填され、それによって耐湿性、及び、絶縁性が確保される。
ところで、誘電体磁器素体は、チタン酸バリウムを主成分とし、圧電性結晶族に属する強誘電体であって逆圧電効果を示すから、コンデンサ部にマグネトロンを発振させるための交流高電圧が印加されると、誘電体磁器素体には、電圧印加時に伸び、無印加時に元の状態に戻ろうとして縮むという伸縮を繰り返す現象が生じる。このような現象は、電歪現象と称されている。
この電歪現象による誘電体磁器素体の伸縮が、絶縁チューブの周囲に供給された絶縁樹脂に対する機械的ストレスとなり、絶縁樹脂が、誘電体磁器素体に設けられた貫通孔の内周面から剥離し、絶縁樹脂と、貫通孔の内周面との間に隙間を生じることが確認されている。このような隙間は、高電圧貫通型コンデンサの特性劣化、及び、電極間短絡による不良の原因となるため、回避しなければならない。
上述した問題を回避するため、従来の高電圧貫通型コンデンサは、特許文献1にも開示されているように、絶縁チューブにシリコーン樹脂を用いることにより、その伸縮性(弾性)を利用して絶縁樹脂に加えられる機械的ストレスを緩和している。しかし、絶縁チューブがシリコーン樹脂でなる構成によると、伸縮性に優れる反面、例えば貫通導体への取り付け作業に手間がかかるなど取り扱いに問題がある。また、一般にシリコーン樹脂は高価であるから、コスト高を招く。
特許第2756416号公報
本発明の課題は、絶縁耐圧性、及び、ヒートサイクル性を向上することができる高電圧貫通型コンデンサ、高電圧貫通型コンデンサの製造方法、及び、マグネトロンを提供することである。
本発明のもう1つの課題は、絶縁樹脂の使用量削減による応力の緩和、及び、信頼性の向上、更には、コストダウンを図った高電圧貫通型コンデンサ、高電圧貫通型コンデンサの製造方法、及び、マグネトロンを提供することである。
1.高電圧貫通型コンデンサ
上述した課題を解決するため、本発明に係る高電圧貫通型コンデンサは、コンデンサ部と、貫通導体と、絶縁チューブと、絶縁樹脂とを含む。コンデンサ部は、一面から他面に貫通する貫通孔を有している。貫通導体は、前記貫通孔を貫通している。絶縁チューブは、少なくとも貫通導体において、貫通孔を貫通にする部分に装着されている。絶縁樹脂は、熱硬化性樹脂を主成分とし、少なくとも貫通孔の内部に供給されている。
本発明は、上述した高電圧貫通型コンデンサの一般的な構造において、絶縁樹脂の配置態様について工夫を加えた点に特徴がある。以下、本発明に係る特徴点について説明する。
まず、絶縁樹脂は、少なくとも貫通孔の内周面に膜状に付着されている。この構成によると、絶縁樹脂の表面と、絶縁チューブの外周面との間には空隙が生じるから、この空隙が生じた部分において、絶縁樹脂と、絶縁チューブとが、非接触状態となる。従って、電歪現象等により絶縁樹脂に機械的ストレスが加えられたとしても、このストレスを空隙で遮断することができるので、高電圧貫通型コンデンサの絶縁耐圧性、及び、ヒートサイクル性が向上する。
また、絶縁樹脂が貫通孔の内周面に膜状に付着されている構成によると、絶縁樹脂の使用量を削減することができる。従って、絶縁樹脂の使用量削減により応力を緩和し、高電圧貫通型コンデンサの信頼性を向上させることができる。さらに、絶縁樹脂の使用量が削減されるから、製造コストを低減することができる。
上述したように絶縁樹脂に加えられるストレスは、空隙により遮断されるから、絶縁チューブにシリコーン樹脂を用いる必要がなくなり、熱硬化性樹脂、又は、熱可塑性樹脂を用いることができるようになる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、又は、エポキシ樹脂から選択された少なくとも一種を主成分とするものを用いることができる。このため、製造コストを低減することができる。
2.高電圧貫通型コンデンサの製造方法
本発明に係る高電圧貫通型コンデンサの製造方法は、コンデンサ部と、貫通導体とを組み合わせて高電圧貫通型コンデンサ組立体(以下、単に組立体と称する)を製造し、この組立体を予熱し、予熱した組立体の貫通導体に絶縁チューブを装着し、その後コンデンサ部の貫通孔に、粉体状の絶縁樹脂を供給し、貫通孔の内周面に膜状に付着させる工程を含む。
上述したように、本発明に係る高電圧貫通型コンデンサの製造方法では、コンデンサ部と、貫通導体とを組み合わせた組立体を予熱し、予熱した組立体の貫通導体に絶縁チューブを装着し、その後、コンデンサ部の貫通孔に、粉体状の絶縁樹脂を供給するプロセスを経るから、予熱を受けず低温状態にある絶縁チューブの表面よりも、予熱によって高温状態にある貫通孔の内周面に、絶縁樹脂が優先的に付着する。この後、本硬化処理を行うことにより、絶縁樹脂が溶融し、貫通孔の内周面に膜状に付着する。
しかも、絶縁樹脂は粉体状であるから、取り扱いが容易である。従って、貫通孔に対する絶縁樹脂の供給量を適切に調節し、貫通孔の内周面に膜状に付着させることができる。また、粉体状の絶縁樹脂は一般的に安価であるから、製造コストを低減することができる。
3.マグネトロン
本発明に係るマグネトロンは、上述した高電圧貫通型コンデンサを含む。従って、上述した高電圧貫通型コンデンサの利点を全て有する。
さらに、本発明に係る高電圧貫通型コンデンサは、この種の高電圧貫通型コンデンサの一般的構造を備える。従って、電子レンジのマグネトロンに使用した場合、貫通導体を給電端子とし、この貫通端子と、アース電位となる接地金具との間に高電圧貫通型コンデンサを接続し、貫通導体を通るノイズを高電圧貫通型コンデンサのフィルタ作用によって遮断することができる。
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)絶縁耐圧性、及び、ヒートサイクル性を向上することができる高電圧貫通型コンデンサ、高電圧貫通型コンデンサの製造方法、及び、マグネトロンを提供することができる。
(2)本発明のもう1つの課題は、絶縁樹脂の供給量を減少させ、供給量削減に伴う応力の緩和及び信頼性の向上、更には、コストダウンを図った高電圧貫通型コンデンサ、高電圧貫通型コンデンサの製造方法、及び、マグネトロンを提供することができる。
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
本発明の一実施形態に係る高電圧貫通型コンデンサの組み立て構造を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る高電圧貫通型コンデンサの側面断面図である。 図2に示した高電圧貫通型コンデンサの正面断面図である。 図3に示した高電圧貫通型コンデンサの一部を拡大して示す図である。 本発明の一実施形態に係る高電圧貫通型コンデンサの製造方法を示す図である。 図5に示した工程の後の工程を示す図である。 図6に示した工程の後の工程を拡大して示す図である。 図7に示した工程の後の工程を示す図である。 本発明の一実施形態に係るマグネトロンの部分破断面図である。 図9に示したマグネトロンの電気回路図である。
図1は本発明の一実施形態に係る高電圧貫通型コンデンサの組み立て構造を示す斜視図、図2は本発明の一実施形態に係る高電圧貫通型コンデンサの側面断面図、図3は図2に示した高電圧貫通型コンデンサの正面断面図である。また、図4は、図3において一点鎖線で円状に囲んだ領域aを拡大して示す図である。
図1乃至図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る高電圧貫通型コンデンサは、例えば、電子レンジ等のマグネトロンにおいて、マグネトロンの発振動作時に発生する不要輻射波を除去するフィルタとして用いられるものであって、絶縁ケース1と、貫通導体2、3と、電極接続体4、5と、コンデンサ部6と、接地金具7と、絶縁チューブ8、9と、絶縁樹脂11、12とを含む。
接地金具7は、鉄材、銅、真鍮等の導電性金属材料からなり、浮き上り部71と、凹部72と、貫通孔73とを有する。浮き上り部71は、接地金具7の一面側に立ち上がる。凹部72は、接地金具7の他面側において、浮き上り部71に対応する位置に備えられている。貫通孔73は、浮き上り部71の面内に備えられている。
絶縁ケース1は、好ましくはPET、又は、PBTでなり、接地金具7の一面側に備えられ、一端が浮き上り部71の外周に挿着されている。
コンデンサ部6は、誘電体磁器素体60と、2つの貫通孔61、62と、2つの個別電極63、64と、共通電極65と、凹部66とを含む。
誘電体磁器素体60は、例えば、BaTiO3−BaZrO3−CaTiO3を主成分とし、一種または複数種の添加物を含む組成とすることができる。誘電体磁器素体60は、機械的応力、及び、電気的応力の集中を避けるため、全体として適度なR(丸み)を付けることが好ましい。
貫通孔61、62は、誘電体磁器素体60に併設されており、誘電体磁器素体60を一面から他面に貫通している。
個別電極63、64、及び、共通電極65は、好ましくはAgを主成分とし、磁性材料としてFe、CoもしくはNi、又は、それらの組み合わせを含有する。個別電極63、64のそれぞれは、貫通孔61、62の開口する領域を囲うようにして、誘電体磁器素体11の一面側に備えられている。個別電極63、64は、凹部66により隔てられている。図示は省略するが、凹部66の代わりに凸部としてもよい。凹部66は、個別電極63、64の間の沿面距離を増大させるためのものであるから、その幅や深さは、必要な沿面距離が確保できるように選定される。共通電極65は、誘電体磁器素体11の他面側に備えられている。
コンデンサ部6は、接地金具7の一面上において、浮き上り部71に搭載されており、且、共通電極65が浮き上り部71の面上に、例えば、はんだ付などの手段によって、電気的、機械的に接続固定されている。
貫通導体2は、鉄材、銅、真鍮等の導電性金属材料からなり、タブ接続子として用いられるタブ端子部21と、貫通孔61を貫通する棒状導体部22とを有する。棒状導体部22は、少なくとも貫通孔61を貫通する部分が、絶縁チューブ8によって被覆されている。タブ端子部21と、棒状導体部22とは、かしめ23により接続されている。
貫通導体2は、棒状導体部22が、電極接続体4、及び、貫通孔73を貫通するとともに、タブ端子部21の基部が電極接続体4に半田付け等の手段により固着され、電極接続体4を介して、個別電極63に電気的、機械的に接続されている。
貫通導体3も、鉄材、銅、真鍮等の導電性金属材料からなり、タブ接続子として用いられるタブ端子部31と、貫通孔62を貫通する棒状導体部32とを有する。棒状導体部32は、少なくとも貫通孔62を貫通する部分が、絶縁チューブ9によって被覆されている。棒状導体部32とタブ端子部31とは、かしめ33により接続されている。
貫通導体3は、棒状導体部32が、電極接続体5、及び、貫通孔73を貫通するとともに、タブ端子部31の基部が電極接続体5に半田付け等の手段により固着され、電極接続体5を介して、個別電極64に電気的、機械的に接続されている。
絶縁樹脂11は、コンデンサ部6の周りに供給され、誘電体磁器素体60の表面に密着している。具体的には、絶縁樹脂11は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とし、絶縁ケース1の内部であって、接地金具7の一面から、かしめ23、33を覆う位置まで充填されている。
絶縁樹脂12は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を主成分とし、貫通孔61、62の内部から、凹部72にいたる内部空間に供給され、誘電体磁器素体60の表面に密着している。また、絶縁樹脂12には、絶縁チューブ8、9の一端が埋設されている。
上述した構造は、この種の高電圧貫通型コンデンサにおいて、一般に知られているところである。電子レンジのマグネトロンに使用した場合、貫通導体2、3を給電端子とし、この貫通導体2、3と、アース電位となる接地金具7との間にコンデンサ部6を接続し、貫通導体2、3を通るノイズをコンデンサ部6のフィルタ作用によって遮断する高電圧貫通型コンデンサが得られる。
接地金具7は貫通孔73を有しており、コンデンサ部6は貫通孔61、62を有しているから、アースに対して高電位となる貫通導体2、3と、アース電位となる接地金具7、及び、共通電極65との間に、貫通孔61、62による充分な電気絶縁を確保することができる。
コンデンサ部6の周囲には、絶縁樹脂11、12が供給されているから、高温負荷試験や耐湿負荷試験等の信頼性試験、又は、高温多湿の環境で使用された場合等の信頼性が向上する。
絶縁チューブ8、9は、棒状導体部22、32の一部を覆うように装着されているから、絶縁チューブ8、9の装着の態様、及び、厚みに対応する量的限度で、接地金具7と、貫通導体2、3との間の絶縁耐圧を確保することができる。
また、絶縁チューブ8、9は、棒状導体部22、32に装着されているから、絶縁チューブ8、9を接地金具7に固定する必要がなくなる。従って、高電圧貫通型コンデンサの小型化を実現することができるとともに、絶縁樹脂12の供給量を低減し、コストダウンを図ることができる。
本発明の一実施形態に係る高電圧貫通型コンデンサは、上述した高電圧貫通型コンデンサの基本的構造において、さらに絶縁樹脂12の配置態様、及び、絶縁チューブ8、9の構成について工夫を加えた点に特徴がある。この特徴点について、さらに図4を参照して詳しく説明する。
図4を参照すると、絶縁樹脂12は、好ましくはエポキシ樹脂粉体を、貫通孔61、62の内周面610、620に膜状に付着されて構成されている。絶縁樹脂12の膜厚は、0.2mm程度である。さらに、貫通孔61、62の内部において、絶縁樹脂12の表面と、絶縁チューブ8、9の外周面との間には、空隙13がある。
また、絶縁チューブ8は、熱硬化性樹脂、又は、熱可塑性樹脂を主成分とし、好ましくはPBT、PET、又は、エポキシ樹脂から選択された少なくとも一種でなり、棒状導体部22において、貫通孔61の内部に位置する部分を覆うように密着して装着されている。
同様に、絶縁チューブ9は、熱硬化性樹脂、又は、熱可塑性樹脂を主成分とし、好ましくはPBT、PET、又は、エポキシ樹脂から選択された少なくとも一種でなり、棒状導体部32において、貫通孔62の内部に位置する部分を覆うように密着して装着されている。
図4を参照して説明した構成は、以下に説明する従来の問題点を解決するためのものである。即ち、この種の高電圧貫通型コンデンサが、電子レンジ等のマグネトロンにおいてフィルタとして用いられた場合、コンデンサ部6にマグネトロンを発振させる交流高電圧が印加されると、誘電体磁器素体60には、電圧印加時に伸び、無印加時に元の状態に戻ろうとして縮むという電歪現象が生じる。
空隙13が絶縁樹脂12で満たされていた従来技術を想定すると、既に背景技術の欄で述べたとおり、この電歪現象による誘電体磁器素体60の伸縮は、貫通孔61、62の内部において、絶縁チューブ8、9の周囲に供給された絶縁樹脂12に対する機械的ストレスとなり、絶縁樹脂12が内周面610、620から剥離するとともに、絶縁樹脂12の剥離面と、貫通孔61、62の内周面610、620との間に隙間を生じる。このような隙間は、高電圧貫通型コンデンサの特性劣化、及び、電極間短絡による不良の原因となるため、回避しなければならない。そこで、従来は、絶縁樹脂12に加えられるストレスを緩和するため、絶縁チューブ8、9に、伸縮性に優れたシリコーン樹脂を用いていた。しかし、絶縁チューブ8、9が、シリコーン樹脂でなる構成によると、伸縮性に優れる反面、例えば貫通導体2、3への取り付け作業に手間がかかるなど取り扱いに問題がある。また、一般に、シリコーン樹脂は高価であるからコスト高を招く。
これに対し、本発明の一実施形態に係る高電圧貫通型コンデンサにおいて、絶縁樹脂12は、内周面610、620に膜状に付着されている。この構成によると、貫通孔61、62の内部において、絶縁樹脂12の表面と、絶縁チューブ8、9の外周面との間には空隙13が生じ、この空隙13が生じた部分において、絶縁樹脂12と、絶縁チューブ8、9とは非接触状態となる。従って、絶縁樹脂12にストレスが生じたとしても、このストレスを空隙13により遮断することができるので、高電圧貫通型コンデンサの絶縁耐圧性、及び、ヒートサイクル性が向上する。
また、絶縁樹脂12は、内周面610、620に膜状に付着されている構成によると、絶縁樹脂12の使用量を削減することができる。従って、絶縁樹脂12の使用量削減により応力を緩和し、高電圧貫通型コンデンサの信頼性を向上させることができる。さらに、絶縁樹脂12の使用量が削減されるから、製造コストを低減することができる。
上述したように絶縁樹脂12に加えられるストレスは、空隙13により遮断されるから、絶縁チューブ8、9にシリコーン樹脂を用いる必要がなくなる。このため、製造コストを低減することができる。
図5乃至図8は、本発明の一実施形態に係る高電圧貫通型コンデンサの製造方法を示す図である。図5乃至図8において、図1乃至図4に示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
まず、図5を参照すると、絶縁ケース1と、貫通導体2、3と、電極接続体4、5と、コンデンサ部6と、接地金具7と、絶縁樹脂11とを組み合わせて組立体を製造し、この組立体を予熱する。
この予熱工程は、好ましくは予熱炉により行われる。本発明の一実施形態に係る予熱工程において、組立体は、140℃の加熱温度で30分間、予熱される。加熱温度は、通常、70〜150℃の範囲で設定され、好ましくは90〜140℃の範囲で設定することができる。
次に、図6を参照すると、図5に示した工程の後、予熱した組立体の貫通導体2、3に、絶縁チューブ8、9を装着する。絶縁チューブ8、9のそれぞれは、一端がコンデンサ部6の貫通孔61、62の内部に案内される。絶縁チューブ8、9は、従来のシリコーン樹脂に代えて、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂によって構成されているから、容易に装着することができる。この後、組立体には、接地金具7の他面側から、コンデンサ部6の貫通孔61、62の内部に、粉体状の絶縁樹脂12を供給する。
次に、図7を参照すると、図6に示した工程により供給された粉体状の絶縁樹脂12は、予熱を受けず低温状態にある絶縁チューブ8、9の表面よりも、予熱によって高温状態にある電極接続体4、5、コンデンサ部6、及び、接地金具7の表面に、優先的に付着する。
特に、コンデンサ部6の貫通孔61、62の内部において、絶縁樹脂12は、予熱を受けず低温状態にある絶縁チューブ8、9の表面よりも、予熱によって高温状態にある内周面610、620に、優先的に付着し、絶縁樹脂12の表面と、絶縁チューブ8、9の外周面との間に空隙13が現れる。
図7に示した工程の後、組立体は、本硬化工程を経ることにより、粉体状の絶縁樹脂12が溶融する。本硬化工程において、組立体は、誘導加熱炉において150℃の加熱温度で90分間、加熱される。本硬化工程により溶融した絶縁樹脂12は、接地金具7の貫通孔73付近を覆うとともに、貫通孔61、62の内周面610、620に膜状に付着し、かつ、硬化する(図8参照)。本硬化工程は、予熱工程と同様に予熱炉により行うことができる。
図5乃至図8を参照して説明した製造方法によると、図1乃至図4を参照して説明した利点を全て有する高電圧貫通型コンデンサを製造することができる。
図1乃至図8を参照して説明した本発明に係る高電圧貫通型コンデンサは、陰極ステムや、インダクタ等と組み合わされて、電子レンジ等のマグネトロンを構成する。次に、本発明の一実施形態に係る高電圧貫通型コンデンサを用いたマグネトロンについて説明する。図9は本発明の一実施形態に係る電子レンジ用マグネトロンの部分破断面図、図10は図9に示したマグネトロンの電気回路図である。図9及び図10において、図1乃至図8に示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
図9及び図10を参照すると、本発明の一実施形態に係る電子レンジ用マグネトロンは、陰極ステム21と、フィルタボックス92と、インダクタ93と、冷却フィン94と、ガスケット95と、RF出力端96と、磁石97と、発振機98を含み、これらに図1乃至図8を参照して説明した高電圧貫通型コンデンサ100が組み込まれている。GNDは接地電極である。
具体的には、フィルタボックス92は陰極ステム21を覆うように配置してある。高電圧貫通型コンデンサ100は、フィルタボックス92の側面板921に設けた貫通孔を通して、貫通導体2、3が外部に出るように貫通して設けられ、接地金具7の部分で、フィルタボックス92の側面板921に取付け固定されている。インダクタ93はフィルタボックス92の内部において、陰極ステム21の陰極端子と、高電圧貫通型コンデンサ100の貫通導体2、3との間に直列に接続されている。
図9及び図10に示したマグネトロンを発振させるためには、商用周波数または20kHz〜40kHzの周波数を持つ4kV0−P程度の電圧を、高電圧貫通型コンデンサ100の貫通導体2、3に供給する。供給された高電圧は、貫通導体2、3からインダクタ93を通してマグネトロンに供給され、マグネトロンが発振動作をする。このとき、ノイズとなる不要輻射波が発生することは前述したとおりである。貫通導体2、3を通るノイズはコンデンサ部6、及び、インダクタ93のフィルタ作用によって遮断される。
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
100 高電圧貫通型コンデンサ
2、3 貫通導体
6 コンデンサ部
61、62 貫通孔
610、620 貫通孔の内周面
8、9 絶縁チューブ
11、12 絶縁樹脂
13 空隙

Claims (6)

  1. コンデンサ部と、貫通導体と、絶縁チューブと、絶縁樹脂とを含む高電圧貫通型コンデンサであって、
    前記コンデンサ部は、一面から他面に貫通する貫通孔を有しており、
    前記貫通導体は、前記貫通孔を貫通しており、
    前記絶縁チューブは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又は、エポキシ樹脂から選択された少なくとも一種でなり、前記貫通導体において、前記貫通孔を貫通する部分に装着されており、
    前記絶縁樹脂は、熱硬化性樹脂を主成分とし、少なくとも前記貫通孔の内周面に膜状に付着されている、
    高電圧貫通型コンデンサ。
  2. 請求項1に記載された高電圧貫通型コンデンサであって、前記絶縁チューブは、前記貫通導体において、前記貫通孔を貫通する部分の全体に装着されており、
    前記絶縁樹脂は、前記貫通孔の内周面の全面に付着されている、
    高電圧貫通型コンデンサ。
  3. 請求項1又は2に記載された高電圧貫通型コンデンサであって、前記絶縁樹脂の表面と、前記絶縁チューブの外周面との間に空隙を有する、
    高電圧貫通型コンデンサ。
  4. 請求項3に記載された高電圧貫通型コンデンサであって、前記空隙の部分において、前記絶縁樹脂と、前記絶縁チューブとが非接触状態となっている、
    高電圧貫通型コンデンサ。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載された高電圧貫通型コンデンサであって、前記絶縁樹脂は、エポキシ樹脂粉体を付着させて構成されている、
    高電圧貫通型コンデンサ。
  6. 高電圧貫通型コンデンサを含むマグネトロンであって、
    前記高電圧貫通型コンデンサは、請求項1乃至5の何れかに記載されたものでなり、フィルタとして組み込まれている、
    マグネトロン。
JP2009056421A 2009-03-10 2009-03-10 高電圧貫通型コンデンサ、高電圧貫通型コンデンサの製造方法、及び、マグネトロン Expired - Fee Related JP4771103B2 (ja)

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