JP4766980B2 - スピーカー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スピーカー装置におけるフレームと端子の取付構造等に関する。
近年、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)、ノート型パソコンなどの各種の情報機器にスピーカー装置が使用されている。
そのようなスピーカー装置は、ヨーク、マグネット及びプレートなどの磁気回路と、ボイスコイル、振動板及びフレームなどの振動系とを備えて構成される。また、かかるスピーカー装置は、フレーム等の適所にボイスコイルのリード線及び外部回路と接続された端子を有している。このため、かかるスピーカー装置は、その動作時、外部回路から端子及びボイスコイルのリード線を通じてボイスコイルに音声信号や電力が供給され、振動板を通じて音波を放射する。
この種のスピーカー装置として、例えば、エアを良好に逃すことが出来、且つ、マグネットの大型化を実現して感度を向上させることが可能な外磁型のスピーカー装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載のスピーカー装置は、支持フレームの側面部の所定箇所に通気孔を設けており、この通気孔を通じて、その装置内部のエアを良好に逃がすようにして振動板の移動をスムーズにさせていると共に、外磁型のマグネットの側面部(外径)の位置を支持フレームの内壁位置に設定することで大型のマグネットの使用を可能とし、これらにより感度が向上している。
また、この種のスピーカー装置では、その動作時にボイスコイルが発熱して、その周辺が高温になってしまい、感度低下をもたらすなどの問題があるが、このような問題を解消することが可能なスピーカー装置が例えば特許文献2及び3に記載されている。
特許文献2に記載のスピーカー装置は、プレートに複数の通気孔が形成されていると共に、その各通気孔はエアギャップを介してポールピースの中央開口部に繋がっている。このため、その動作時には、各通気孔、エアギャップ及びポールピースの中央開口部のエア通路を通じて外部との間でエア(空気)の流出入が行われスピーカー装置が冷却される。
また、特許文献3に記載のスピーカー装置は、プレートに放射状の通気孔が複数形成されていると共に、各通気孔はボイスコイルギャップに繋がっており、さらにヨークの中央には開口が形成されている。これらの各通気孔及び開口を通じて外部との間でエア(空気)の流出入が行われスピーカー装置が冷却される。
なお、この種のスピーカー装置として、例えば、振動板を覆うようにしてフレームに結合されるプロテクタに複数の微小の孔部を設けることにより、音圧周波数特性を平坦化して音圧の向上を図ることが可能なスピーカー装置が知られている(例えば、特許文献4を参照)。また、フレームに複数の背面孔が設けられてなるスピーカー装置も知られている(例えば、特許文献5を参照)。
特開2002−171596号公報 米国特許第5,909,015号公報 米国特許第6,430,300号公報 特開2004−266607号公報 特開昭58−53299号公報
本発明が解決しようとする課題としては、上記のようなものが例として挙げられる。本発明は、通気孔を確保しつつ、フレームにおいて端子の設置スペースの拡大化を図ることが可能なスピーカー装置を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、スピーカー装置は、音の放射方向と逆側に位置する一つの面と、前記一つの面の終端から前記音の放射方向に屈曲する他の面と、通気用の開口とを有するフレームと、ボイスコイルに電気信号を伝える端子と、を備え、前記開口は、前記一つの面の一部と前記他の面の一部とにわたって連続しており、前記一つの面側の前記開口の全部を閉塞するように前記端子が配置されていることを特徴とする。
本発明の1つの観点では、スピーカー装置は、音の放射方向と逆側に位置する一つの面と、前記一つの面の終端から前記音の放射方向に屈曲する他の面と、通気用の開口とを有するフレームと、ボイスコイルに電気信号を伝える端子と、を備え、前記開口は、前記一つの面の一部と前記他の面の一部とにわたって連続しており、前記一つの面側の前記開口の全部を閉塞するように前記端子が配置されている。
上記のスピーカー装置は、音の放射方向と逆側に位置する一つの面と、一つの面の終端から音の放射方向に屈曲する他の面と、通気用の開口とを有するフレームを備えると共に、ボイスコイルに電気信号を伝える端子を備えて構成される。好適な例では、前記フレームにおいて前記音の放射方向に位置する面を上面としたとき、前記一つの面は前記フレームの背面に対応しているのが好ましいと共に、前記他の面は前記フレームの側面に対応しているのが好ましい。また、端子はボイスコイルと外部回路とを電気的に接続する中継端子とすることができる。
特に、フレームに設けられた開口は、一つの面(例えば、背面)の一部と他の面(例えば、側面)の一部とにわたって連続しており、その一つの面側の開口の全部を閉塞するように端子が配置されている。このため、一つの面側の開口は閉塞されている一方、他の面側には開口が設定され、スピーカー装置の通気性が確保されている。また、一つの面側に開口が設定されない分、その一つの面側において端子の設置スペースの拡大化を図ることができる。
また、このような構成の適用は小型スピーカー装置に特に有利であり、アンプ側とスピーカー装置の電気的な接触エリアの拡大化によって、本構成の適用可能なスピーカー装置の種類を増やすことができ、スピーカー装置の汎用性拡大にも繋がる。よって、携帯電話、PDA、ノート型パソコンなどの各種の情報機器用のスピーカー装置として好適に用いることができる。
さらに、この構成を採用すれば、フレームの側面にのみ通気用の開口を有する構成(比較例に係る構成)と比較して、フレームを安価に成形することが可能となる。
即ち、比較例に係る構成を採用すれば、上記のスピーカー装置と同様の効果を期待できるが、その反面、次のような問題が生じる。
一般的に、フレームは、その上面成形用の金型とその下面成形用の金型の2つの金型を用いて射出成形することにより成形される。したがって、そのような射出成形方法では、フレームの側面にのみ開口を形成するのは容易ではなく、また、そのようなフレームを安価に成形するのも困難である。よって、比較例の構成を有するフレームを成形するのは成形性及びコストの点において問題がある。この点、上記のスピーカー装置のように、フレームの一つの面(例えば、背面)と、他の面(例えば、側面)とを繋げるように開口を構成すれば、上記の射出成形方法により容易且つ安価に成形することができる。
好適な例では、前記一つの面側の前記開口に対応する位置には階段状の段部が形成され、前記端子は接着要素を介して前記段部に取り付けられているのが好ましい。また、この態様に代えて、前記一つの面側の前記開口に対応する位置には階段状の溝が形成され、前記端子の一端側は外部回路に接続される部位であり、前記端子の他端側は階段状に形成され且つ前記溝に嵌合しているのが好ましい。これにより、上記の好適な例と比較して、かかる端子をフレームに取り付ける作業(工数)の削減を図ることができると共に、当該端子と外部回路との接触位置の精度向上を図ることができる。
上記のスピーカー装置の一つの態様では、磁気回路を有し、前記フレームは枠状の形状に形成され且つ前記磁気回路を保持する内壁を有し、前記磁気回路が前記内壁に保持された状態において、前記一つの面は前記磁気回路の背面と略同一面上に位置している。
この態様は、例えば、ヨーク、マグネット及びプレート等により構成される磁気回路を有している。また、フレームは、枠状の形状に形成され且つ磁気回路を保持する内壁を有し、その磁気回路がフレームの内壁に保持された状態において、フレームの一つの面は、その磁気回路の背面と略同一面上に位置している。
したがって、例えば、フレームの一つの面(例えば、背面)側において端子の設置スペースを十分に確保することが可能な場合、不必要な端子の設置スペースの分を磁気回路の寸法拡大に割り当てることができ、磁気回路の拡大化を図ることができる。その結果、感度向上を図ることができる。
上記のスピーカー装置の他の態様では、前記ボイスコイルを保持する凹部を含む振動板を有し、前記振動板の外周部は前記一つの面と逆側に位置する前記他の面の一端側に取り付けられており、前記振動板と前記磁気回路の間には空間が形成されていると共に、前記空間は前記開口に通じている。
この態様では、ボイスコイルを保持する凹部を含む振動板を有して構成される。そして、振動板の外周部は一つの面(例えば、背面)と逆側に位置する他の面(例えば、側面)の一端側に取り付けられており、振動板と磁気回路の間には空間が形成されていると共に、その空間は開口に通じている。これにより、スピーカー装置内の通気性が高まるため、その装置内が冷却されると共に、その装置内の圧力が必要以上に高くなるのを防止でき振動板の移動が円滑(スムーズ)になる。これらにより、感度が低下するのを防止できる。
以下、図面を参照して本発明の好適な各種の実施例について説明する。
[第1実施例]
フレームにおいて、その側面とその背面とを繋ぐ開口を設け、その背面側の開口を閉塞する位置に端子を配置する。これにより、スピーカー装置内の通気性を確保しつつ、フレームにおける端子の設置スペースの拡大化等を図る。
(スピーカー装置の構成)
まず、図1乃至図3等を参照して、本発明の第1実施例に係るスピーカー装置100の構成等について説明する。
図1(a)は、スピーカー装置100の正面図を示す。図1(b)は、スピーカー装置100の背面図を示す。図1(c)は、図1(a)等におけるスピーカー装置100をY方向から観察したときの当該スピーカー装置100の短手方向に位置する側面図を示す。図2(a)は、図1(a)等におけるスピーカー装置100をX方向から観察したときの当該スピーカー装置100の長手方向に位置する側面図を示す。図2(b)は、図1(a)及び(b)におけるスピーカー装置100の切断線B−B’に沿った部分断面図を示す。図3は、図1(a)及び(b)におけるスピーカー装置100の切断線A−A’に沿った断面図であり、当該スピーカー装置100の短手方向(Y方向)の中心を通る平面で切断した断面図である。
スピーカー装置100は、ヨーク1、マグネット2及びプレート3を含む磁気回路30と、フレーム4、振動板5、ボイスコイル6及びケース7を含む振動系31と、その他の部材を備えて構成される。
まず、磁気回路30の構成について説明する。本磁気回路30は、外磁型の磁気回路として構成されている。
ヨーク1は、略円柱状の形状をなすポール部1aと、そのポール部1aの外周壁の下端部から外側に延在するフランジ部1bとを有する。音の放射方向(矢印Y1方向)と逆側に位置するヨーク1の背面1baは、略矩形状の平面形状に形成されている。マグネット2は、環状の形状を有し、ヨーク1の適切な位置に位置決めされた状態で、そのヨーク1の要素であるフランジ部1b上に配置されている。プレート3は、環状の形状をなし、マグネット2上に配置されている。そして、プレート3の内周壁と、ヨーク1の要素であるポール部1aの外周壁との間付近には磁気ギャップ11が形成されている。
次に、振動系31の構成について説明する。
フレーム4は、スピーカー装置100を構成する様々な構成部品を支持する機能を有する。フレーム4は、枠状の形状をなし、音の放射方向(矢印Y1方向)と逆側に位置する背面4xと、その背面4xの終端から音の放射方向(矢印Y1方向)に屈曲してなる側面4yと、その側面4yの一端側からスピーカー装置100の中心軸L1側に屈曲してなる上面4zとを有する。フレーム4の側面4yは、図示のように4つの側面から構成され、フレーム4の短手方向に位置する2つの側面4yaと、フレーム4の長手方向に位置する2つの側面4ybとを有する。各側面4yaのX方向の長さは、各側面4ybのY方向の長さと比べて長くなっている。フレーム4の上面4z側には、後述するエッジ5bの外周縁部を支持する階段状の段部4bが形成されている。フレーム4は、その内壁が磁気回路30の各要素の外周壁等と接触した状態で当該磁気回路30を支持している。そして、フレーム4の背面4xは、ヨーク1の背面1baと略同一面上に位置している。なお、フレーム4は、上記した要素の他にも特徴的な要素を有するが、この点については後述する。
振動板5は、入力信号に応じた音波を放射する機能を有する。振動板5は、ドーム型の振動板であり、略U字状の断面形状を有する凹部5aとエッジ5bを有する。凹部5aは、ポール部1aの外周壁の上端部近傍及びプレート3の内周壁付近の各々に対応する位置に配置され、その凹部5a内にはボイスコイル6が保持されている。エッジ5bは、凹部5aの一部と繋がった状態で当該凹部5aの外側に配置され、そのエッジ5bの外周部はフレーム4の段部4b上に取り付けられている。このため、エッジ5bは、フレーム4に対してボイスコイル6及び振動板5等を弾性的に支持する機能を有する。そして、振動板5と磁気回路30の間には空間S1が形成されている。なお、この例では、振動板5とエッジ5bとは一体的に形成されているが、これに限らず、その両者は別体若しくは独立に形成されていても構わない。
ボイスコイル6は、1つの配線からなり、図示しないプラス及びマイナスのリード線を夫々有している。ボイスコイル6は、上記したように、振動板5の凹部5a内に保持されている。ボイスコイル6において、プラス側のリード線はL(又はR)チャンネル信号の入力配線であり、マイナス側のリード線はグランド(GND:接地)信号の入力配線である。プラス及びマイナスの各リード線は、後述する端子10に接続されている。また、端子10は、図示しないアンプ側の出力配線若しくは外部回路にも接続されている。これにより、ボイスコイル6には、端子10、プラス及びマイナスの各リード線を介してアンプ側から1チャンネル分の信号や電力が入力される。
ケース7は、蓋状の形状を有し、振動板5を覆う位置に配置され、フレーム4の側面4yの上端部付近に嵌合している。ケース7は、複数の開口7aを有している。各開口7aは、ケース7の短手方向の中心に対応する位置に且つX方向に適宜の間隔をおいて形成されている。各開口7aは、振動板5から放射される音波を外部へ通過させる機能を有する。
その他の部材としては、アンプ側から出力される信号及び電力を中継してボイスコイル6へ供給する端子10などが挙げられる。この端子10は、フレーム4の背面4x側の適当な位置に設けられているが、この点については後述する。
以上の構成を有するスピーカー装置100において、アンプ側から出力された信号及び電力は、端子10並びにボイスコイル6のプラス及びマイナスのリード線を介してボイスコイル6へ供給される。これにより、磁気ギャップ11内でボイスコイル6に駆動力が発生し、振動板5をスピーカー装置100の中心軸L1方向に振動させる。こうして、スピーカー装置100は、矢印Y1の方向に音波を放射する。
(フレームに対する端子の取付構造)
次に、図1(b)、図2乃至図4等を参照して、フレーム4に対する端子10の取付構造について説明する。図4(a)は、図1(b)における破線領域E1に対応する斜視図であり、フレーム4の背面4x側の所定位置に対する端子10の取付方法を説明する図である。図4(b)は、図4(a)に対応する図であり、フレーム4の背面4x側の所定位置に端子10が取り付けられた状態を示す。
まず、フレーム4の構成について詳述する。フレーム4の基本的な構成は既に述べた通りなので、以下では、フレーム4の特徴的な構成について説明する。
フレーム4は、その背面4xと、そのフレーム4の長手方向に位置する側面4ybとに通じる複数の開口4aと、その背面4x側に且つ各開口4aに対応する位置に階段状の段部4cを有している。この段部4cには、図示しない接着要素を介して端子10が取り付けられる。
ここで、その取付方法について簡単に述べる。まず、図4(a)に示すように、フレーム4の背面4x側から図中矢印に示す方向に端子10を移動させて、当該端子10を、図示しない接着要素を介してフレーム4の段部4bに取り付ける。かかる状態が図4(b)等に示されている。これにより、フレーム4の背面4x側の開口4aは端子10により閉塞されるが、フレーム4の側面4yb側の開口4aは当該端子10によって閉塞されず、空間S1とスピーカー装置100の外部空間とに繋がることになる。このため、このスピーカー装置100の動作時、フレーム4の側面4ybに位置する開口4aを通じて、その装置内部と外部空間との間で空気の流出入(通気)が行われる。
即ち、図3において、スピーカー装置100の動作時、振動板5等が矢印Y1方向に移動したと仮定した場合、外部空間に存在する空気(外気)は開口4aを通じて空間S1内に流入する。即ち、この場合、外気は、矢印Y2方向に示すようにフレーム4の側面4ybに存在する開口4aを通じてエッジ5bとプレート3の間の間隙に流入し、さらにその流入した外気は磁気ギャップ11を通過して振動板5とポール部1bの間の間隙へ流入する(図3の破線領域E2を拡大した図5も参照)。一方、振動板5等が矢印Y1方向と逆方向に移動したと仮定した場合、ボイスコイル6を通じて加熱された空間S1内に存在する空気は、上記の経路と逆の経路を辿って、最終的に、矢印Y2に示すようにフレーム4の側面4ybに存在する開口4aを通じて外部空間へ流出する若しくは排出される。こうした一連の作用により、スピーカー装置100内の通気性が高まるため、その装置内が冷却されると共に、その装置内の圧力が必要以上に高くなるのを防止でき振動板5の移動が円滑(スムーズ)になる。これらにより、感度が低下するのを防止できる。以上より、フレーム4の側面4ybに存在する開口4aは通気用の孔として機能することが理解される。
次に、比較例と比較した、本発明の第1実施例に係るスピーカー装置100の特有の作用効果について説明する。
まず、比較例について説明する。なお、比較例において、第1実施例と同一の要素については同一の符号を付し、その説明は省略又は簡略化する。
図6及び図7は、比較例に係る、フレームに対する端子の取付構造を有するスピーカー装置50の構成を示す。図6(a)は、図1(b)に対応する比較例に係るスピーカー装置50の背面図を示す。図6(b)は、図6(a)における切断線D−D’に沿った断面図を示す。図7は、図6(b)における破線領域E6を拡大して示す部分断面図である。
比較例では、フレーム4の背面4x側に通気用の開口4aが形成されているが、フレーム4の側面4ybには開口4aは形成されていない。即ち、比較例では、開口4aは、上記の第1実施例と異なり、フレーム4の背面4xとその側面4ybとに繋がっていない。また、比較例では、フレーム4の背面4x側の隅の位置に且つ開口4aの近傍位置に段部4cが設けられており、その段部4cには、図示しない接着要素を介して端子10xが取り付けられている。以上の構成を有する比較例では、スピーカー装置50の動作時、矢印Y2に示すように開口4aを通じてスピーカー装置50内の空間S1と外部空間との間で通気が行われる。
このような構成を有する比較例では、図6(a)及び図7に示されるように、通気用の開口4aと端子10の両者を、フレーム4の側面4yb近傍に位置する背面4xに設けるようにしている。このため、大きな寸法を有する端子を必要とする場合、その端子の設置スペースの拡大化を図るのは困難である。また、このような構成を採用することにより、スピーカー装置の小型化に伴って、端子10x、開口4a及び磁気回路30の設置スペースを確保するのが益々困難になる。
これに対して、本発明の第1実施例では、フレーム4は、その背面4xと、そのフレーム4の長手方向に位置する側面4ybとに繋がる開口4aと、その背面4x側に且つ各開口4aに対応する位置に段部4cを有している。よって、フレーム4の背面4x側に設けられた段部4cに端子10を取り付けて、その背面4x側の開口4aを閉塞した状態でも、フレーム4の側面4ybに通気用の開口4aを確保することができる。また、このような構成を採用すれば、フレーム4の背面4x側に開口4aを設定しない分、その背面4x側において端子10の設置スペースの拡大化を図ることができる。よって、第1実施例によれば、比較例と比較して明らかなように、フレーム4において、通気用の開口4aを確保しつつ端子10の設置スペースの拡大化を図ることができる。また、フレーム4の背面4xにおいて端子10の設置スペースを十分に確保することが可能な場合、不必要な端子10の設置スペースの分を磁気回路30の寸法拡大に割り当てることができ、磁気回路30の拡大化を図ることができる。その結果、感度向上を図ることができる。
また、このような構成の適用は小型スピーカー装置に特に有利であり、アンプ側とスピーカー装置の電気的な接触エリアの拡大化によって、本構成の適用可能なスピーカー装置の種類を増やすことができ、スピーカー装置の汎用性拡大にも繋がる。よって、携帯電話、PDA、ノート型パソコンなどの各種の情報機器用のスピーカー装置として好適に用いることができる。
さらに、本構成を採用すれば、フレームの側面にのみ通気用の開口を有する構成(他の比較例に係る構成)と比較して、フレームを安価に成形することが可能となる。
即ち、他の比較例に係る構成を採用すれば、第1実施例と同様の効果を期待できるが、その反面、次のような問題が生じる。
一般的に、フレームは、その上面成形用の金型とその下面成形用の金型の2つの金型を用いて射出成形することにより成形される。したがって、そのような射出成形方法では、フレームの側面にのみ開口を形成するのは容易ではなく、また、そのようなフレームを安価に成形するのも困難である。よって、他の比較例の構成を有するフレームを成形するのは成形性及びコストの点において問題がある。この点、第1実施例のように、フレーム4の背面4xと側面4ybとを繋げるように開口4aを構成すれば、上記の射出成形方法により容易且つ安価に成形することができる。
[第2実施例]
次に、図8乃至図10を参照して、本発明の第2実施例に係るスピーカー装置の構成等について説明する。なお、以下では、第1実施例と同様の要素については同一の符号を付し、第1実施例と相違する点についてのみ説明する。
図8(a)は、図1(b)に対応する、第2実施例に係るスピーカー装置200の背面図である。図8(b)は、図8(a)におけるスピーカー装置200をY方向から観察したときの側面図である。図9は、図8(a)のスピーカー装置200における切断線E−E’に沿った断面図である。図10は、図8(a)のスピーカー装置200における切断線F−F’に沿った部分断面図である。
第1実施例では、フレーム4に設けられる通気用の開口4aは、そのフレーム4の背面4xと、そのフレーム4の長手方向に位置する側面4ybとを繋ぐように形成していた。これに対して、第2実施例に係るスピーカー装置200では、フレーム4に設けられる開口4aは、そのフレーム4の背面4xと、そのフレーム4の短手方向に位置する側面4yaとを繋ぐように形成している点が第1実施例と特に異なっている。
具体的には、第2実施例では、開口4aは、フレーム4の長手方向に位置する側面4ybの近傍に、且つ、背面4x側に、且つ、フレーム4の短手方向に位置する側面4yaの隅の位置に設けられている。換言すれば、第2実施例では、第1実施例のようにフレーム4の位置する長手方向に位置する側面4ybには開口4aが形成されていない。このような構成を有する第2実施例では、スピーカー装置200の動作時、その装置内の空間S1と外部空間との間で開口4aを通じて通気が行われる。
よって、このような構成を有する第2実施例では、上記の第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。
[第3実施例]
次に、図11乃至図13を参照して、本発明の第3実施例に係るスピーカー装置300の構成等について説明する。なお、以下では、第1実施例と同様の要素については同一の符号を付し、第1実施例と相違する点についてのみ簡単に説明する。
図11(a)は、図1(b)に対応する、第3実施例に係るスピーカー装置300の背面図である。図11(b)は、図11(a)のスピーカー装置300における切断線G−G’に沿った断面図である。図12(a)は、図11(a)におけるスピーカー装置300をX方向から観察したときの側面図である。図12(b)は、図11(a)のスピーカー装置300における切断線H−H’に沿った断面図である。図13は、図12(a)の破線領域E8に対応する部分拡大断面図である。
第1実施例では、フレーム4に設けられる通気用の開口4aは、そのフレーム4の背面4xと、そのフレーム4の長手方向に位置する側面4ybとを繋ぐように形成していたが、第3実施例はこの点において第1実施例と共通している。しかし、第3実施例では、端子の構成が第1実施例と異なっており、そのため、フレーム4に対する、その端子の取り付け方法が第1実施例と異なっている。
即ち、第1実施例では、端子10が平板状の形状をなし、当該端子10がフレーム4の背面4x側の開口4aに対応する位置に設けられた段部4bに接着要素を介して取り付けられていた。これに対して、第3実施例の端子10yは、フレーム4の段部4bに貼着する形式の端子ではなく、フレーム4の溝内に挿入して固定される、インサート型のバネ端子となっている。なお、このバネ端子は一般的に周知であり、その構成の詳細な説明は省く。
ここで、フレーム4に対する、第3実施例の端子10yの取り付け方法等について簡単に述べる。端子10yの一端側10yaは外部回路等に接続される部位であり、その端子10yの他端側10ybは、図12(b)及び図13に示すように、階段状の形状に形成されている。これに対応するように、フレーム4の短手方向に対応する側面4yaの近傍位置に且つ背面4x側には、階段状の形状を有する溝4sが形成されている。そのため、端子10yの他端側10ybを、フレーム4の背面4x側に設けられた溝4s内に挿入することで、その部分が溝4sに嵌合され且つ固定される。これにより、フレーム4の背面4x側の開口4aは閉塞される一方、フレーム4の長手方向に位置する側面4yb側にのみ開口4aが形成される。
よって、第1実施例と同様の作用効果を得ることができる。加えて、第3実施例のようにインサート型のバネ端子を用いることで、第1実施例と比較して、かかる端子10yをフレーム4に取り付ける作業(工数)の削減を図ることができると共に、当該端子10yと外部回路との接触位置の精度向上を図ることができる。
[変形例]
上記の第1及び第3実施例では、端子10又は10yをフレーム4の背面4x側の所定位置に取り付けた状態において、フレーム4の長手方向に位置する側面4ybに通気用の開口4aが設定され、また、上記の第2実施例では、フレーム4の長手方向に位置する側面4yb近傍に且つ背面4x側に且つ側面4yaの隅の位置に通気用の開口4aが形成されるように構成したが、そのような位置に限定されず、本発明では、端子をフレーム4の背面4x側の所定位置に取り付けた状態において、フレーム4の側面4ya及び4ybの適切な位置に通気用の開口4aが設定されるように構成しても構わない。
また、上記の各種実施例では、矩形状の平面形状を有するスピーカー装置に本発明を適用することにしたが、これに限らず、丸型、長円型、楕円型などの各種の周知の平面形状を有するスピーカー装置にも適用可能である。また、上記の各種実施例では、外磁型のスピーカー装置に本発明を適用することとしたが、これに限らず、内磁型のスピーカー装置にも本発明を適用することは可能である。このように、本発明では、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
本発明の第1実施例に係るスピーカー装置の正面図及び背面図等を示す。 図1における端子及び開口付近の側面図及び側断面図を示す。 図1における切断線A−A’に沿ったスピーカー装置の断面図を示す。 第1実施例に係るフレームに対する端子の取付方法等を示す部分斜視図である。 図3における端子及び開口付近を拡大して示す部分断面図である。 比較例に係るスピーカー装置の背面図及び断面図を示す。 図6における端子及び開口付近を拡大して示す部分斜視図及び部分断面図である。 本発明の第2実施例に係るスピーカー装置の背面図及び側面図を示す。 図8における切断線E−E’に沿ったスピーカー装置の断面図を示す。 図8における切断線F−F’に沿ったスピーカー装置の断面図を示す。 本発明の第3実施例に係るスピーカー装置の背面図及び断面図を示す。 第3実施例に係る端子及び開口付近の構成を示す側面図及び断面図である。 図12におけるフレームに対する端子の取付構造を拡大して示す部分断面図である。
符号の説明
1 ヨーク
1ba 背面
4 フレーム
4a 開口
4b、4c 段部
4x 背面
4ya、4yb 側面
10、10x、10y 端子
30 磁気回路
31 振動系
S1 空間
50、100、200、300 スピーカー装置

Claims (6)

  1. 音の放射方向と逆側に位置する一つの面と、前記一つの面の終端から前記音の放射方向に屈曲する他の面と、通気用の開口とを有するフレームと、
    ボイスコイルに電気信号を伝える端子と、を備え、
    前記開口は、前記一つの面の一部と前記他の面の一部とにわたって連続しており、
    前記一つの面側の前記開口の全部を閉塞するように前記端子が配置されていることを特徴とするスピーカー装置。
  2. 前記フレームにおいて前記音の放射方向に位置する面を上面としたとき、
    前記一つの面は前記フレームの背面に対応していると共に、前記他の面は前記フレームの側面に対応していることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー装置。
  3. 前記一つの面側の前記開口に対応する位置には階段状の段部が形成され、
    前記端子は接着要素を介して前記段部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー装置。
  4. 前記一つの面側の前記開口に対応する位置には階段状の溝が形成され、
    前記端子の一端側は外部回路に接続される部位であり、
    前記端子の他端側は階段状に形成され且つ前記溝に嵌合していることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー装置。
  5. 磁気回路を有し、
    前記フレームは枠状の形状に形成され且つ前記磁気回路を保持する内壁を有し、
    前記磁気回路が前記内壁に保持された状態において、前記一つの面は前記磁気回路の背面と略同一面上に位置していることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー装置。
  6. 前記ボイスコイルを保持する凹部を含む振動板を有し、
    前記振動板の外周部は前記一つの面と逆側に位置する前記他の面の一端側に取り付けられており、
    前記振動板と前記磁気回路の間には空間が形成されていると共に、前記空間は前記開口に通じていることを特徴とする請求項5に記載のスピーカー装置。
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