本発明の作業機械の油圧駆動装置の一実施形態について図を用いて説明する。
図1は、本発明の作業機械の油圧駆動装置が適用される作業機械の一例であるローディングショベルを示す側面図である。この図1に示すように、本実施形態は、例えばローディングショベル1に備えられるものである。このローディングショベル1は、走行体2と、ローディングショベル1の本体であって、走行体2上に旋回可能に設けられ、運転室4を有する旋回体3と、この旋回体3に設けられる作業機5とを備えている。
作業機5は、複数の作業部材、すなわちブーム6、アーム7、およびバケット8を回動可能に連接されてなる。ブーム6は、自身の一端部を旋回体3にピン結合されていて、上下方向、すなわち矢印A方向へ回動可能になっている。アーム7は、自身の一端部をブーム6の他端部にピン結合されていて、自身の他端部が旋回体3に対して近づいたり離れたりする矢印B方向へ回動可能になっている。バケット8は、バケット本体9と開閉部材10とから構成されている。バケット本体9は、アーム7の他端部にピン結合されていて、バケット8の爪8aが上方を向いたり下方を向いたりする矢印C方向へ回動可能になっている。開閉部材10は、バケット本体9にピン結合されていて、バケット8の下部を開閉する矢印D方向へ回動可能になっている。
以下では、ブーム6が上方向へ回動することを「ブーム上げ」、ブーム6が下方向へ回動することを「ブーム下げ」、アーム7の他端部(バケット8側の端部)が旋回体3から離れる方向へアーム7が回動することを「アーム押し」、アーム7の他端部が旋回体3に近づく方向へアーム7が回動することを「アーム引き」、バケット8の爪8aが上向きになる方向へバケット8が回動することを「バケットクラウド」、バケット8の爪8aが下向きになる方向へバケット8が回動することを「バケットダンプ」、開閉部材10がバケット8の下部を開く方向へ回動することを「バケットオープン」、開閉部材10がバケット8の下部を閉じる方向へ回動することを「バケットクローズ」という。
図2は、本実施形態の構成を示す油圧回路図である。この図2に示すように、本実施形態は、旋回体3を駆動する旋回用モータ21と、ブーム6を駆動するブーム用シリンダ22と、アーム7を駆動するアーム用シリンダ23と、バケット8を駆動するバケット用シリンダ24と、開閉部材10を駆動するバケット開閉用シリンダ25と、これらを制御する油圧回路20とを備えている。
この油圧回路20は、エンジン26により駆動される第1,第2メインポンプ27,28を備えている。第1メインポンプ27は、バケット開閉用シリンダ25、ブーム用シリンダ22、アーム用シリンダ23、バケット用シリンダ24に供給する圧油を吐出するものであり、第2メインポンプ28は、旋回用モータ21、ブーム用シリンダ22、アーム用シリンダ23、バケット用シリンダ24に供給する圧油を吐出するものである。
また、油圧回路20は、第1メインポンプ27からバケット開閉用シリンダ25に供給する圧油の流れを制御するバケット開閉用方向切換弁36と、第1メインポンプ27からバケット用シリンダ24に供給する圧油の流れを制御する第1バケット用方向切換弁33と、第1メインポンプ27からアーム用シリンダ23に供給する圧油の流れを制御する第1アーム用方向切換弁31と、第1メインポンプ27からブーム用シリンダ22に供給する圧油の流れを制御する第1ブーム用方向切換弁29とを備えている。
また、この油圧回路20は、第2メインポンプ28から旋回用モータ21に供給する圧油の流れを制御する旋回用方向切換弁35と、第2メインポンプ28からバケット用シリンダ24に供給する圧油の流れを制御する第2バケット用方向切換弁34と、第2メインポンプ28からアーム用シリンダ23に供給する圧油の流れを制御する第2アーム用方向切換弁32と、第2メインポンプ28からブーム用シリンダ22に供給する圧油の流れを制御する第2ブーム用方向切換弁30とを備えている。
また、この油圧回路20は、バケット開閉用シリンダ25の伸長時におけるボトム室25a内の圧油不足を防止するためのチェック弁37と、バケット開閉用シリンダ25の収縮時におけるロッド室25b内の圧油不足を防止するためのチェック弁38とを備えている。また、バケット用シリンダ24の収縮時におけるロッド室24b内の圧油不足を防止するためのチェック弁39,47と、バケット用シリンダ24の伸長時におけるボトム室24a内の圧油不足を防止するためのチェック弁40,48とを備えている。また、アーム用シリンダ23の収縮時におけるロッド室23b内の圧油不足を防止するためのチェック弁41,49と、アーム用シリンダ23の伸長時におけるボトム室23a内の圧油不足を防止するためのチェック弁42,50とを備えている。また、ブーム用シリンダ22の収縮時におけるロッド室22b内の圧油不足を防止するためのチェック弁43,51と、ブーム用シリンダ22の伸長時におけるボトム室22a内の圧油不足を防止するためのチェック弁44,52とを備えている。また、旋回用モータ21の一方(図2では上側)の出入口ポート21a側の圧油不足を防止するためのチェック弁45と、旋回用モータ21の他方(図2では下側)の出入口ポート21b側の圧油不足を防止するためのチェック弁46とを備えている。
また、本実施形態は、ブーム用シリンダ22の動作の指令と、バケット用シリンダ24の動作の指令とを選択的に入力可能なブーム・バケット操作装置60を備えている。また、アーム用シリンダ23の動作の指令と、旋回用方向切換弁35の動作の指令とを選択的に入力可能なアーム・旋回操作装置61を備えている。さらに、バケット開閉用シリンダ25の動作の指令を入力可能なバケット開閉操作装置62を備えている。これらの操作装置60〜62は、旋回体3の運転室4内に設けてある。
ブーム・バケット操作装置60は、中立位置から放射方向へ傾倒操作可能なジョイスティック型の操作レバー60aと、運転室4の前後方向への操作レバー60aの傾倒角度を検出し、その傾倒角度に相応する電気信号を、ブーム用シリンダ22の動作を指令するブーム操作信号Iaとして出力するポテンショメータ60bと、運転室4の左右方向への操作レバー60aの傾倒角度を検出し、その傾倒角度に相応する電気信号を、バケット用シリンダ24の動作を指令するバケット操作信号Ibとして出力するポテンショメータ60cを備えている。
ポテンショメータ60bは、操作レバー60aが中立位置(傾倒角度0°)よりも前方向へ傾倒操作されたときに、正の値の傾倒角度(傾倒角度>0°)を示すブーム操作信号Iaを出力し、逆に後方向へ傾倒操作されたときに、負の値の傾倒角度(傾倒角度<0°)を示すブーム操作信号Iaを出力するように設定してある。ブーム操作信号Iaに示される傾倒角度が正の値であることは、ブーム用シリンダ22の伸長(ブーム上げ)の指令に相当し、逆に負の値であることは、ブーム用シリンダ22の収縮(ブーム下げ)の指令に相当する。また、傾倒角度の大きさは、ブーム用シリンダ22の伸長速度や収縮速度の指令に相当する。
ポテンショメータ60cは、操作レバー60aが中立位置(傾倒角度0°)よりも左方向へ傾倒操作されたときに、正の値の傾倒角度(傾倒角度>0°)を示すバケット操作信号Ibを出力し、逆に右方向へ傾倒操作されたときに、負の値の傾倒角度(傾倒角度<0°)を示すバケット操作信号Ibを出力するように設定してある。バケット操作信号Ibに示される傾倒角度が正の値であることは、バケット用シリンダ24の伸長(バケットクラウド)の指令に相当し、逆に負の値であることは、バケット用シリンダ24の収縮(バケットダンプ)の指令に相当する。また、傾倒角度の大きさは、バケット用シリンダ24の伸長速度や収縮速度の指令に相当する。
アーム・旋回操作装置61は、中立位置から放射方向へ傾倒操作可能なジョイスティック型の操作レバー61aと、運転室4の前後方向への操作レバー61aの傾倒角度を検出し、その傾倒角度に相応する電気信号を、アーム用シリンダ23の動作を指令するアーム操作信号Icとして出力するポテンショメータ61bと、運転室4の左右方向への操作レバー61aの傾倒角度を検出し、その傾倒角度に相応する電気信号を、旋回用モータ21の動作を指令する旋回操作信号Idとして出力するポテンショメータ61cを備えている。
ポテンショメータ61bは、操作レバー61aが中立位置(傾倒角度0°)よりも前方向へ傾倒操作されたときに、正の値の傾倒角度(傾倒角度>0°)を示すアーム操作信号Icを出力し、逆に後方向へ傾倒操作されたときに、負の値の傾倒角度(傾倒角度<0°)を示すアーム操作信号Icを出力するように設定してある。アーム操作信号Icに示される傾倒角度が正の値であることは、ブーム用シリンダ22の伸長(アーム押し)の指令に相当し、逆に負の値であることは、アーム用シリンダ23の収縮(アーム引き)の指令に相当する。また、傾倒角度の大きさは、アーム用シリンダ23の伸長速度や収縮速度の指令に相当する。
ポテンショメータ61cは、操作レバー61aが中立位置(傾倒角度0°)よりも左方向へ傾倒操作されたときに、正の値の傾倒角度(傾倒角度>0°)を示す旋回操作信号Idを出力し、逆に右方向へ傾倒操作されたときに、負の値の傾倒角度(傾倒角度<0°)を示す旋回操作信号Idを出力するように設定してある。旋回操作信号Idに示される傾倒角度が正の値であることは、旋回体3が左旋回する方向への旋回用モータ21の回転の指令に相当し、逆に負の値であることは、旋回体3が右旋回する方向への旋回用モータ21の回転の指令に相当する。また、傾倒角度の大きさは、旋回用モータ21の旋回速度の指令に相当する。
バケット開閉操作装置62は、中立位置から前後方向へ傾倒操作可能な操作レバー62aと、前後方向への操作レバー62aの傾倒角度を検出し、その傾倒角度に相応する電気信号を、バケット開閉用シリンダ25の動作を指令するバケット開閉操作信号Ieとして出力するポテンショメータ62bを備えている。
ポテンショメータ62bは、操作レバー62aが中立位置(傾倒角度0°)よりも前方向へ傾倒操作されたときに、正の値の傾倒角度(傾倒角度>0°)を示すバケット開閉操作信号Ieを出力し、逆に後方向へ傾倒操作されたときに、負の値の傾倒角度(傾倒角度<0°)を示すバケット開閉操作信号Ieを出力するように設定してある。バケット開閉操作信号Ieに示される傾倒角度が正の値であることは、バケット開閉用シリンダ25の収縮(バケットオープン)の指令に相当し、逆に負の値であることは、バケット開閉用シリンダ25の伸長(バケットクローズ)の指令に相当する。また、傾倒角度の大きさは、バケット開閉用シリンダ25の収縮速度や伸長速度の指令に相当する。
また、本実施形態は、コンピュータからなる制御装置63を備えている。この制御装置63は、第1,第2ブーム用方向切換弁29,30、第1,第2バケット用方向切換弁33,34、第1,第2アーム用方向切換弁31,32、旋回用方向切換弁35およびバケット開閉用方向切換弁36を制御するように設定してある。つまり、ブーム操作信号Ia、バケット操作信号Ib、アーム操作信号Ic、旋回操作信号Idおよびバケット開閉操作信号Ieに応じて演算処理を行い、ブーム制御信号Oa1〜Oa4、アーム制御信号Ob1〜Ob4、バケット制御信号Oc1〜Oc4、旋回制御信号Od1,Od2およびバケット開閉制御信号Oe1,Oe2を出力するようになっている。
制御装置63と第1ブーム用方向切換弁29の間には、ブーム制御信号Oa1に応じて、図示しないパイロットポンプからの圧油の圧力を1次圧として第1ブーム用方向切換弁29を操作するパイロット圧Pa1を生成する図示しない比例電磁弁と、ブーム制御信号Oa2に応じて、前記パイロットポンプからの圧油の圧力を1次圧として第1ブーム用方向切換弁29を操作するパイロット圧Pa2を生成する図示しない比例電磁弁とを設けてある。同様に、制御装置63と第2ブーム用方向切換弁30の間には、ブーム制御信号Oa3に応じて第2ブーム用方向切換弁30を操作するパイロット圧Pa3を生成する図示しない比例電磁弁と、ブーム制御信号Oa4に応じて第2ブーム用方向切換弁30を操作するパイロット圧Pa4を生成する図示しない比例電磁弁とを設けてある。
また同様に、制御装置63と第1バケット用方向切換弁33の間には、バケット制御信号Ob1に応じて第1バケット用方向切換弁33を操作するパイロット圧Pb1を生成する図示しない比例電磁弁と、バケット制御信号Ob2に応じて第1バケット用方向切換弁33を操作するパイロット圧Pb2を生成する図示しない比例電磁弁とを設けてある。同様に、制御装置63と第2バケット用方向切換弁34の間には、バケット制御信号Ob3に応じて第2バケット用方向切換弁34を操作するパイロット圧Pb3を生成する図示しない比例電磁弁と、バケット制御信号Ob4に応じて第2バケット用方向切換弁34を操作するパイロット圧Pb4を生成する図示しない比例電磁弁とを設けてある。
また同様に、制御装置63と第1アーム用方向切換弁31の間には、アーム制御信号Oc1に応じて第1アーム用方向切換弁31を操作するパイロット圧Pc1を生成する図示しない比例電磁弁と、アーム制御信号Oc2に応じて第1アーム用方向切換弁31を操作するパイロット圧Pc2を生成する図示しない比例電磁弁とを設けてある。同様に、制御装置63と第2アーム用方向切換弁32の間には、アーム制御信号Oc3に応じて第2アーム用方向切換弁32を操作するパイロット圧Pc3を生成する図示しない比例電磁弁と、アーム制御信号Oc4に応じて第2アーム用方向切換弁32を操作するパイロット圧Pc4を生成する図示しない比例電磁弁とを設けてある。
また同様に、制御装置63と旋回用方向切換弁35の間には、旋回制御信号Od1に応じて旋回用方向切換弁35を操作するパイロット圧Pd1を生成する図示しない比例電磁弁と、旋回制御信号Od2に応じて旋回用方向切換弁35を操作するパイロット圧Pd2を生成する図示しない比例電磁弁とを設けてある。
また同様に、制御装置63とバケット開閉用方向切換弁36の間には、バケット開閉制御信号Oe1に応じてバケット開閉用方向切換弁36を操作するパイロット圧Pe1を生成する図示しない比例電磁弁と、バケット開閉制御信号Oe2に応じてバケット開閉用方向切換弁36を操作するパイロット圧Pe2を生成する図示しない比例電磁弁とを設けてある。
なお、本実施形態は、走行体2を駆動する1対の走行モータと、この1対の走行モータのそれぞれを制御するための油圧回路や操作装置を含むものだが、図2ではそれらを省略してある。
特に本実施形態は、複数の油圧シリンダのうちの第1,第2油圧シリンダとを接続する管路と、この管路上に設けられる開閉弁を備えている。つまり、複数の油圧シリンダ、すなわちブーム用シリンダ22、アーム用シリンダ23、バケット用シリンダ24およびバケット開閉用シリンダ25のうちの、例えばブーム用シリンダ22(第1油圧シリンダ)とアーム用シリンダ23(第2油圧シリンダ)とを接続する管路70と、この管路70上に設けられるアーム用開閉弁71とを備えている。さらに、本実施形態は、ブーム用シリンダ22に接続される一端側が管路70との共有部72aになっていて、他端側が、例えばバケット用シリンダ24(別の第2油圧シリンダ)に接続される管路72と、この管路72上に設けられるバケット用開閉弁73とを備えている。
管路70は、例えば、ブーム用シリンダ22のボトム室22aとアーム用シリンダ23のボトム室23aとを接続するものである。管路72は、例えば、ブーム用シリンダ22のボトム室22aとバケット用シリンダ24のロッド室24bとを接続するものである。管路70と管路72との共有部72a上には、この共有部72aからブーム用シリンダ22のボトム室22aへ圧油が流れるのを阻止する手段、すなわち、逆止弁74を設けてある。
アーム用開閉弁71は、電気信号の電流値に応じて主弁を駆動する比例電磁パイロット部71aを有し、この比例電磁パイロット部71aに与えられた電流値が大きいほど主弁の開度が大きくなるよう設定された比例電磁弁からなる。バケット用開閉弁73も比例電磁パイロット部73aを有する、アーム用開閉弁71と同様の比例電磁弁からなる。
また、本実施形態では、ブーム用シリンダ22とアーム用シリンダ23やバケット用シリンダ24との関係とは別に、バケット用シリンダ24とバケット開閉用シリンダ25との関係も、第1油圧シリンダと第2油圧シリンダの関係にしてあり、例えばバケット用シリンダ24のボトム室24aと、バケット開閉用シリンダ25のロッド室25bとを、管路75により接続し、この管路75上に、バケット開閉用開閉弁76を設けてある。このバケット開閉用開閉弁76は、比例電磁パイロット部76aを有する、アーム用開閉弁71と同様の比例電磁弁からなる。また、管路75上には、この管路75からバケット用シリンダ24へ圧油が流れるのを阻止する手段、すなわち逆止弁77を設けてある。
また、本実施形態は、アーム用開閉弁71、バケット用開閉弁73およびバケット開閉用開閉弁76の開閉を、手動操作により指令する開閉指令手段、例えば、操作ボタン80aの押圧操作によりオン・オフする押ボタン装置80を備えている。また、前記制御装置63は、アーム用開閉弁71、バケット用開閉弁73およびバケット開閉用開閉弁76のそれぞれを制御する開閉弁制御手段、すなわち、アーム用開閉弁制御手段、バケット用開閉弁制御手段、およびバケット開閉用開閉弁制御手段として機能するように設定してある。
図3は、図2に示す制御装置がアーム用開閉弁制御手段として機能した状態を示すブロック図である。制御装置63は、押ボタン装置80からのオン信号Ifを入力すると、図3に示すように、アーム用開閉弁制御手段81として機能するように設定してある。制御装置63がアーム用開閉弁制御手段81として機能している状態では、制御装置63の演算装置(図示しない)が、はじめに、ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されているか否かを判定するブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aとして機能し、この機能により「ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されている」と判定したときに、アーム用開閉弁71の比例電磁パイロット部71aに与える電流値を算出する電流値演算手段81bとして機能するように設定してある。また、電流値演算手段81bにより算出された電流値のアーム用開閉弁制御信号Of1が、アーム用開閉弁71の比例電磁パイロット部71aに対応して制御装置63に備えられた出力装置(図示しない)により出力されるように設定してある。
ブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aは、ブーム・バケット操作装置60およびアーム・旋回操作装置61による指令の内容の一部に相当するブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度、および、アーム操作信号Icに示される操作レバー61aの傾倒角度が、「ブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、アーム操作信号Icに示される操作レバー61aの傾倒角度が正の値になった状態である」という予め設定された条件を満たすときに、つまり、操作レバー60aが中立位置にある状態または後方向へ傾倒操作された状態であって、操作レバー61aが前方向へ傾倒操作された状態であるときに、「ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されている」と判定するように設定してある。
電流値演算手段81bは、アーム操作信号Icに示される正の値の傾倒角度に対応するアーム用開閉弁制御信号Of1の電流値の特性を定めた関数に基づいて、アーム用開閉弁制御信号Of1の電流値を演算するように設定してある。前記関数は、アーム操作信号Icに示される正の値の傾倒角度、すなわち、操作レバー61aの前方向への傾倒角度が大きいほどアーム用開閉弁制御信号Of1の電流値が大きくなる、という特性を定めたものであり、制御装置63の記憶装置(図示しない)に予め記憶させてある。
図4は、図2に示す制御装置がバケット用開閉弁制御手段として機能した状態を示すブロック図である。制御装置63は、押ボタン装置80からのオン信号Ifを入力すると、図4に示すように、バケット用開閉弁制御手段82としても機能するように設定してある。制御装置63がバケット用開閉弁制御手段82として機能している状態では、制御装置63の演算装置(図示しない)が、はじめに、ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指令されて否かを判定するブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aとして機能し、この機能により「ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指令されている」と判定したときに、バケット用開閉弁73の比例電磁パイロット部73aに与える電流値を算出する電流値演算手段82bとして機能するように設定してある。また、電流値演算手段82bにより算出された電流値のバケット用開閉弁制御信号Of2が、バケット用開閉弁73の比例電磁パイロット部73aに対応して制御装置63に備えられた出力装置(図示しない)により出力されるように設定してある。
ブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aは、ブーム・バケット操作装置60およびアーム・旋回操作装置61による指令の内容の一部に相当するブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度、および、バケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度が、「ブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、バケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度が負の値になった状態である」という予め設定された条件を満たしたときに、つまり、操作レバー60aが右方向へのみ操作された状態または右斜め後方向へ傾倒操作された状態であるときに「ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指令されている」と判定するように設定してある。
電流値演算手段82bは、バケット操作信号Ibに示される負の値の傾倒角度に対応するバケット用開閉弁制御信号Of2の電流値の特性を定めた関数に基づいて、バケット用開閉弁制御信号Of2の電流値を演算するように設定してある。前記関数は、バケット操作信号Ibに示される負の値の傾倒角度、すなわち、操作レバー60aの右方向への傾倒角度が大きいほどバケット用開閉弁制御信号Of2の電流値が大きくなる、という特性を定めたものであり、制御装置63の記憶装置(図示しない)に予め記憶させてある。
図5は、図2に示す制御装置がバケット開閉用開閉弁制御手段として機能した状態を示すブロック図である。制御装置63は、押ボタン装置80からのオン信号Ifを入力すると、バケット開閉用開閉弁制御手段83として機能するように設定してある。制御装置63がバケット開閉用開閉弁制御手段83として機能している状態では、制御装置63の演算装置(図示しない)が、はじめに、バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されて否かを判定するバケットダンプ・バケットオープン指令判定手段83aとして機能し、この機能により「バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されている」と判定したときに、バケット開閉用開閉弁76の比例電磁パイロット部76aに与える電流値を算出する電流値演算手段83bとして機能するように設定してある。また、電流値演算手段83bにより算出された電流値のバケット開閉用開閉弁制御信号Of3が、バケット開閉用開閉弁76に対応する出力装置(図示しない)から出力されるように設定してある。
バケットダンプ・バケットオープン指令判定手段83aは、ブーム・バケット操作装置60およびバケット開閉操作装置62による指令の内容の一部に相当するバケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度、および、バケット開閉操作信号Ieに示される操作レバー62aの傾倒角度が、「バケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、バケット開閉操作信号Ieに示される操作レバー62aの傾倒角度が正の値になった状態である」という予め設定された条件を満たすときに、つまり、操作レバー60aが中立位置にある状態または右方向へ傾倒操作された状態であって、操作レバー62aが前方向へ傾倒操作された状態であるときに「バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されている」と判定するように設定してある。
電流値演算手段83bは、バケット開閉操作信号Ieに示される正の値の傾倒角度に対応するバケット開閉用開閉弁制御信号Of3の電流値の特性を定めた関数に基づいて、バケット開閉用開閉弁制御信号Of3の電流値を演算するように設定してある。前記関数は、バケット開閉操作信号Ieに示される正の値の傾倒角度、すなわち、操作レバー62aの前方向への傾倒角度が大きいほどバケット開閉用開閉弁制御信号Of3の電流値が大きくなる、という特性を定めたものであり、制御装置63の記憶装置(図示しない)に予め記憶させてある。
また、本実施形態は、図2に示すように、ブーム用シリンダ22のボトム室22aの圧力Pgを検出し、その圧力Pgを示す検出信号Igを出力する第1圧力検出器90と、アーム用シリンダ23のボトム室23aの圧力Phを検出し、その圧力Phを示す検出信号Ihを出力する第2圧力検出器91と、バケット用シリンダ24のロッド室24bの圧力Piを検出し、その圧力Piを示す検出信号Iiを出力する第3圧力検出器92とを備えている。また、本実施形態は、例えば前記制御装置63とは別に設けられる制御装置であって、ブーム下げ・アーム押し・バケットダンプ複合操作中に検出信号Ig,Ih,Iiに基づいて圧力Pg,Ph,Piを比較し、圧力Pg,Ph,Piのうちの圧力Phが最も高いときに、閉弁制御信号Of4を出力する閉弁制御装置93を備えている。さらに、本実施形態は、閉弁制御信号Of4を与えられて作動し、アーム用開閉弁制御信号Of1をグランドに短絡させて、アーム用開閉弁71へのアーム用開閉弁制御信号Of1を遮断する信号遮断回路94を備えている。つまり、本実施形態では、第1〜第3圧力検出器90〜92と、閉弁制御装置93と、信号遮断回路94とによって、管路70上のアーム用開閉弁71を閉じる制御を行う閉弁制御手段を構成してある。
図6は、図2に示す閉弁制御装置の機能を示すブロック図である。この図6に示すように、閉弁制御装置93では、押ボタン装置80からのオン信号Ifを入力すると、閉弁制御装置93の演算装置(図示しない)が、アーム押し・バケットダンプ複合操作が指令されているか否かを判定するアーム押し・バケットダンプ指令判定手段93aとして機能するように設定してある。このアーム押し・バケットダンプ指令判定手段93aは、ブーム・バケット操作装置60およびアーム・旋回操作装置61による指令の内容の一部に相応するアーム操作信号Icに示される傾倒角度、および、バケット操作信号Ibに示される傾倒角度が、「アーム操作信号Icに示される傾倒角度が正の値になった状態であって、バケット操作信号Ibに示される傾倒角度が負の値になった状態である」という予め設定された条件を満たしたときに、「アーム押し・バケットダンプ複合操作が指令されている」と判定するように設定してある。
また、閉弁制御装置93の演算装置は、アーム押し・バケットダンプ指令判定手段93aとしての機能により「アーム押し・バケットダンプ複合操作が指令されている」と判定したときに、閉弁制御装置93に入力された検出信号Ig〜Iiに示される圧力Pg〜Piのうちの圧力Phが最も高いか否かを判定する圧力判定手段93bとして機能するように設定してある。また、「圧力Pg〜Piのうちの圧力Phが最も高い」と判定されたときには、信号遮断回路94に対応して閉弁制御装置93に備えられた出力装置(図示しない)により、アーム用開閉弁71を閉じるための閉弁制御信号Of4が出力されるように設定してある。
このように構成した本実施形態では、次のようにして作業機5の操作が行われる。
〔1〕押ボタン装置80がオフした状態
(1−1)ブーム上げ
オペレータがブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aを前方向へ傾倒操作すると、この傾倒操作をポテンショメータ60bが検出し、正の値の傾倒角度を示すブーム操作信号Iaが制御装置63に入力される。これに伴い、制御装置63は、ブーム操作信号Iaに示される正の値の傾倒角度に対応する電流値のブーム制御信号Oa1,Oa3を出力する。
制御装置63から出力されたブーム制御信号Oa1は、第1ブーム用方向切換弁29に対応する比例電磁弁(図示しない)を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pa1を生成して第1ブーム用方向切換弁29に与える。これにより、第1ブーム用方向切換弁29が切換わって、第1メインポンプ27から第1ブーム用方向切換弁29を介してブーム用シリンダ22のボトム室22aに供給される圧油の流量と、ブーム用シリンダ22のロッド室22bから第1ブーム用方向切換弁29を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
同様に、制御装置63から出力されたブーム制御信号Oa3は、第2ブーム用方向切換弁30に対応する比例電磁弁(図示しない)を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pa3を生成して第2ブーム用方向切換弁30に与える。これにより、第2ブーム用方向切換弁30が切換わって、第2メインポンプ28から第2ブーム用方向切換弁30を介してブーム用シリンダ22のボトム室22aに供給される圧油の流量と、ブーム用シリンダ22のロッド室22bから第2ブーム用方向切換弁30を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
これらの結果、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの前方向への傾倒角度に対応する速度で、ブーム用シリンダ22が伸長し、ブーム上げが行われる。
(1−2)ブーム下げ
オペレータがブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aを後方向へ傾倒操作すると、この傾倒操作をポテンショメータ60bが検出し、負の値の傾倒角度を示すブーム操作信号Iaが制御装置63に入力される。これに伴い、制御装置63は、ブーム操作信号Iaに示される負の値の傾倒角度に対応する電流値のブーム制御信号Oa2,Oa4を出力する。
制御装置63から出力されたブーム制御信号Oa2は、第1ブーム用方向切換弁29に対応する前記比例電磁弁とは別の比例電磁弁(図示しない)を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pa2を生成して第1ブーム用方向切換弁29に与える。これにより、第1ブーム用方向切換弁29が切換わって、第1メインポンプ27から第1ブーム用方向切換弁29を介してブーム用シリンダ22のロッド室22bに供給される圧油の流量と、ブーム用シリンダ22のボトム室22aから第1ブーム用方向切換弁29を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
同様に、制御装置63から出力されたブーム制御信号Oa4は、第2ブーム用方向切換弁30に対応する前記比例電磁弁とは別の比例電磁弁を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pa4を生成して第2ブーム用方向切換弁30に与える。これにより、第2ブーム用方向切換弁30が切換わって、第2メインポンプ28から第2ブーム用方向切換弁30を介してブーム用シリンダ22のロッド室22bに供給される圧油の流量と、ブーム用シリンダ22のボトム室22aから第2ブーム用方向切換弁30を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
これらの結果、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの後方向への傾倒角度に対応する速度で、ブーム用シリンダ22が収縮し、ブーム下げが行われる。
(1−3)バケットクラウド
オペレータがブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aを左方向へ傾倒操作すると、この傾倒操作をポテンショメータ60cが検出し、正の値の傾倒角度を示すバケット操作信号Ibが制御装置63に入力される。これに伴い、制御装置63は、バケット操作信号Ibに示される正の値の傾倒角度に対応する電流値のバケット制御信号Ob1,Ob3を出力する。
制御装置63から出力されたバケット制御信号Ob1は、第1バケット用方向切換弁33に対応する比例電磁弁(図示しない)を作動させる。この比例電磁弁が、パイロット圧Pb1を生成して第1バケット用方向切換弁33に与える。これにより、第1バケット用方向切換弁33が切換わって、第1メインポンプ27から第1バケット用方向切換弁33を介してバケット用シリンダ24のボトム室24aに供給される圧油の流量と、バケット用シリンダ24のロッド室24bから第1バケット用方向切換弁33を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
同様に、制御装置63から出力されたバケット制御信号Ob3は、第2バケット用方向切換弁34に対応する比例電磁弁(図示しない)を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pa3を生成して第2バケット用方向切換弁34に与える。これにより、第2バケット用方向切換弁34が切換わって、第2メインポンプ28から第2バケット用方向切換弁34を介してバケット用シリンダ24のボトム室24aに供給される圧油の流量と、バケット用シリンダ24のロッド室24bから第2バケット用方向切換弁34を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
これらの結果、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの左方向への傾倒角度に対応する速度で、バケット用シリンダ24が伸長し、バケットクラウドが行われる。
(1−4)バケットダンプ
オペレータがブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aを右方向へ傾倒操作すると、この傾倒操作をポテンショメータ60cが検出し、負の値の傾倒角度を示すバケット操作信号Ibが制御装置63に入力される。これに伴い、制御装置63は、バケット操作信号Ibに示される負の値の傾倒角度に対応する電流値のバケット制御信号Ob2,Ob4を出力する。
制御装置63から出力されたバケット制御信号Ob2は、第1バケット用方向切換弁33に対応する前記比例電磁弁とは別の比例電磁弁(図示しない)を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pb2を生成して第1バケット用方向切換弁33に与える。これにより、第1バケット用方向切換弁33が切換わって、第1メインポンプ27から第1バケット用方向切換弁33を介してバケット用シリンダ24のロッド室24bに供給される圧油の流量と、バケット用シリンダ24のボトム室24aから第1バケット用方向切換弁33を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
同様に、制御装置63から出力されたバケット制御信号Ob4は、第2バケット用方向切換弁34に対応する前記比例電磁弁とは別の比例電磁弁(図示しない)を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pa4を生成して第2バケット用方向切換弁34に与える。これにより、第2バケット用方向切換弁34が切換わって、第2メインポンプ28から第2バケット用方向切換弁34を介してバケット用シリンダ24のボトム室24aに供給される圧油の流量と、バケット用シリンダ24のロッド室24bから第2バケット用方向切換弁34を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
これらの結果、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの右方向への傾倒角度に対応する速度で、バケット用シリンダ24が収縮し、バケットダンプが行われる。
(1−5)アーム押し
オペレータがアーム・旋回操作装置61の操作レバー61aを前方向へ傾倒操作すると、この傾倒操作をポテンショメータ61bが検出し、正の値の傾倒角度を示すアーム操作信号Icが制御装置63に入力される。これに伴い、制御装置63は、アーム操作信号Icに示される正の値の傾倒角度に対応する電流値のアーム制御信号Oc1,Oc3を出力する。
制御装置63から出力されたアーム制御信号Oc1は、第1アーム用方向切換弁31に対応する比例電磁弁(図示しない)を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pc1を生成して第1アーム用方向切換弁31に与える。これにより、第1アーム用方向切換弁31が切換わって、第1メインポンプ27から第1アーム用方向切換弁31を介してアーム用シリンダ23のボトム室23aに供給される圧油の流量と、アーム用シリンダ23のロッド室23bから第1アーム用方向切換弁31を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
同様に、制御装置63から出力されたアーム制御信号Oc3は、第2アーム用方向切換弁32に対応する比例電磁弁を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pc3を生成して第2アーム用方向切換弁32に与える。これにより、第2アーム用方向切換弁32が切換わって、第2メインポンプ28から第2アーム用方向切換弁32を介してアーム用シリンダ23のボトム室23aに供給される圧油の流量と、アーム用シリンダ23のロッド室23bから第2アーム用方向切換弁32を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
これらの結果、アーム・旋回操作装置61の操作レバー61aの前方向への傾倒角度に対応する速度で、アーム用シリンダ23が伸長し、アーム押しが行われる。
(1−6)アーム引き
オペレータがアーム・旋回操作装置61の操作レバー61aを後方向へ傾倒操作すると、この傾倒操作をポテンショメータ61cが検出し、負の値の傾倒角度を示すアーム操作信号Icが制御装置63に入力される。これに伴い、制御装置63は、アーム操作信号Icに示される負の値の傾倒角度に対応する電流値のアーム制御信号Oc2,Oc4を出力する。
制御装置63から出力されたアーム制御信号Oc2は、第1アーム用方向切換弁31に対応する前記比例電磁弁とは別の比例電磁弁(図示しない)を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pc2を生成して第1アーム用方向切換弁31に与える。これにより、第1アーム用方向切換弁31が切換わって、第1メインポンプ27から第1アーム用方向切換弁31を介してアーム用シリンダ23のロッド室23bに供給される圧油の流量と、アーム用シリンダ23のボトム室23aから第1アーム用方向切換弁31を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
同様に、制御装置63から出力されたアーム制御信号Oc4は、第2アーム用方向切換弁32に対応する前記比例電磁弁とは別の比例電磁弁(図示しない)を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pc4を生成して第2アーム用方向切換弁32に与える。これにより、第2アーム用方向切換弁32が切換わって、第2メインポンプ28から第2アーム用方向切換弁32を介してアーム用シリンダ23のロッド室23bに供給される圧油の流量と、アーム用シリンダ23のボトム室23aから第2アーム用方向切換弁32を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
これらの結果、アーム・旋回操作装置61の操作レバー61aの後方向への傾倒角度に対応する速度で、アーム用シリンダ23が収縮し、アーム引きが行われる。
(1−7)バケットオープン
オペレータがバケット開閉操作装置62の操作レバー62aを前方向へ傾倒操作すると、この傾倒操作をポテンショメータ62bが検出し、正の値の傾倒角度を示すバケット開閉操作信号Ieが制御装置63に入力される。これに伴い、制御装置63は、バケット開閉操作信号Ieに示される正の値の傾倒角度に対応する電流値のバケット開閉制御信号Oe1を出力する。
制御装置63から出力されたバケット開閉制御信号Oe1は、バケット開閉用方向切換弁36に対応する比例電磁弁(図示しない)を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pe1を生成してバケット開閉用方向切換弁36に与える。これにより、バケット開閉用方向切換弁36が切換わって、第1メインポンプ27からバケット開閉用方向切換弁36を介してバケット開閉用シリンダ25のロッド室25bに供給される圧油の流量と、バケット開閉用シリンダ25のボトム室25aからバケット開閉用方向切換弁36を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
この結果、バケット開閉操作装置62の操作レバー62aの前方向への傾倒角度に対応する速度で、バケット開閉用シリンダ25が収縮し、バケットオープンが行われる。
(1−8)バケットクローズ
オペレータがバケット開閉操作装置62の操作レバー62aを後方向へ傾倒操作すると、この傾倒操作をポテンショメータ62bが検出し、負の値の傾倒角度を示すバケット開閉操作信号Ieが制御装置63に入力される。これに伴い、制御装置63は、バケット開閉操作信号Ieに示される負の値の傾倒角度に対応する電流値のバケット開閉制御信号Oe2を出力する。
制御装置63から出力されたバケット開閉制御信号Oe2は、バケット開閉用方向切換弁36に対応する前記比例電磁弁とは別の比例電磁弁を作動させ、この比例電磁弁が、パイロット圧Pe2を生成してバケット開閉用方向切換弁36に与える。これにより、バケット開閉用方向切換弁36が切換わって、第1メインポンプ27からバケット開閉用方向切換弁36を介してバケット開閉用シリンダ25のボトム室25aに供給される圧油の流量と、バケット開閉用シリンダ25のロッド室25bからバケット開閉用方向切換弁36を介して作動油タンク53に排出される圧油の流量が設定される。
この結果、バケット開閉操作装置62の操作レバー62aの後方向への傾倒角度に対応する速度で、バケット開閉用シリンダ25が伸長し、バケットクローズが行われる。
(1−9)複合操作
複合操作は、前述の「(1−1)〜(1−8)」で述べた動作のうちの異なる2種類以上の油圧シリンダの動作が並行されることにより行われる。例えば、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aを前方向へ傾倒操作し、同時にアーム・旋回操作装置61の操作レバー61aを前方向へ傾倒操作すると、「(1−1),(1−5)」で述べた動作が並行し、ブーム上げ・アーム押し複合操作が行われる。また、例えば、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aを斜め方向、例えば左斜め後方向へ傾倒操作すると、「(1−2),(1−3)」で述べた動作が並行し、ブーム下げ・バケットクラウド複合操作が行われ、さらに、例えばアーム・旋回操作装置61の操作レバー61aを前方向へ傾倒操作すると、「(1−5)」で述べた動作も並行し、ブーム下げ・アーム押し・バケットクラウド複合操作が行われる。
〔2〕押ボタン装置80がオンした状態
(2−1)ブーム下げ・アーム押し複合操作
オペレータが操作ボタン80aを押圧操作して押ボタン装置80をオンすると、この押ボタン装置80から制御装置63にオン信号Ifが入力される。これに伴い、制御装置63は、「〔1〕」で述べたように第1,第2ブーム用方向切換弁29,30、第1,第2アーム用方向切換弁31,32、第1,第2バケット用方向切換弁33,34、バケット開閉用方向切換弁36を制御するための手段として機能することに加えて、アーム用開閉弁制御手段81、バケット用開閉弁制御手段82およびバケット開閉用制御手段83としての機能を起動する。
その後、ブーム・バケット操作装置60、アーム・旋回操作装置61およびバケット開閉操作装置62のうちの、アーム・旋回操作装置61のみの操作レバー61aが、前方向へ傾倒操作された状態になったとする。
この状態では、ブーム・バケット操作装置60の一方のポテンショメータ60bから制御装置63に、傾倒角度0°を示すブーム操作信号Iaが入力され、他方のポテンショメータ60cから制御装置63に、傾倒角度0°を示すバケット操作信号Ibが入力される。また、アーム・旋回操作装置61のポテンショメータ61bから制御装置63に、正の値の傾倒角度を示すアーム操作信号Icが入力される。また、バケット開閉操作装置62のポテンショメータ62bから制御装置63に、傾倒角度0°を示すバケット開閉操作信号Ieが入力される。
このようにブーム操作信号Ia、バケット操作信号Ib、アーム操作信号Ic、バケット開閉操作信号Ieが制御装置63に入力されると、アーム用開閉弁制御手段81は、ブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aにより、ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されているか否かを判定する。また、バケット用開閉弁制御手段82は、ブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aにより、ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指令されているか否かを判定する。また、バケット開閉用開閉弁制御手段83は、バケットダンプ・バケットオープン指令判定手段83aにより、バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されている否かを判定する。
今は、前述したようにブーム操作信号Iaに示される傾倒角度が0°の状態であって、アーム操作信号Icに示される傾倒角度が正の値の状態であり、「ブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、アーム操作信号Icに示される操作レバー61aの傾倒角度が正の値になった状態である」という予め設定された条件を満たすから、ブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aは「ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されている」と判定する。
また、今は、前述したようにブーム操作信号Iaに示される傾倒角度もバケット操作信号Ibに示される傾倒角度も0°の状態であり、「ブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、バケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度が負の値になった状態である」という予め設定された条件を満たさないから、ブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aは「ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指定されていない」と判定する。
また、今は、前述したようにバケット操作信号Ibに示される傾倒角度もバケット開閉操作信号Ieに示される傾倒角度も0°の状態であり、「バケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、バケット開閉操作信号Ieに示される操作レバー62aの傾倒角度が正の値になった状態である」という予め設定された条件を満たさないから、バケットダンプ・バケットオープン指令判定手段83aは、「バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されていない」と判定する。
前述のように、ブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aにより「ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されている」と判定すると、アーム用開閉弁制御手段81は、アーム用開閉弁71の比例電磁パイロット部71aに与える電流値を電流値演算手段81bにより算出し、その電流値のアーム用開閉弁制御信号Of1を、アーム用開閉弁71の比例電磁パイロット部71aに対応する出力装置(図示しない)により出力する。これによって、アーム用開閉弁71は、アーム用開閉弁制御信号Of1の電流値、すなわち、操作レバー61aの前方向への傾倒角度に対応する開度まで開く。これに伴い、ブーム用シリンダ22は、作業機5の自重により、自身のボトム室22a内の圧油を管路70を介してアーム用シリンダ23のボトム室23aに供給しつつ収縮し、この結果、ブーム下げが行われる。
また、正の値の傾倒角度を示すアーム操作信号Icが制御装置63に入力された状態では、「(1−5)」で述べた動作も行われている。したがって、アーム用シリンダ23は、ブーム用シリンダ22のボトム室22aから排出される圧油と、第1,第2メインポンプ27,28から第1,第2アーム用方向切換弁31,32を介して供給される圧油とによって伸長し、この結果、アーム押しが行われる。
このように、押ボタン装置80がオンした状態では、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aが後方向へ傾倒操作されなくても、アーム・旋回操作装置61の操作レバー61aが前方向へ傾倒操作されれば、ブーム下げ・アーム押し複合操作が行われる。
このブーム下げ・アーム押し複合操作は、地面から任意の高さ位置に配置したバケット8を、旋回体3から離れる方向へ水平に移動させるとき、例えば、地山の任意の高さ位置にバケット8を配置するときや突っ込ませるとき、また、土砂等が積まれたバケット8をダンプトラックの上方へ水平に移動させるときに行われる。
なお、バケット8が地山等に乗り上がった場合のように、作業機5の自重によりブームに作用する負荷が小さい場合には、アーム用シリンダ23のボトム室23a内の圧力が、ブーム用シリンダ22のボトム室22a内の圧力よりも高くなって、ブーム用シリンダ22のボトム室22aからアーム用シリンダ23のボトム室23aへ圧油が移動しなくなることがある。この状態では、ブーム用シリンダ22は収縮せずに、アーム用シリンダ23のみが、第1,第2メインポンプ27,28から第1,第2アーム用方向切換弁31,32を介して供給される圧油により伸長するので、アーム押しの単独操作が行われる。なお、このときのアーム用シリンダ23のボトム室23aからブーム用シリンダ22のボトム室22aへの圧油の流れは、逆止弁74により阻止されている。
(2−2)ブーム下げ・バケットダンプ複合操作
前述したように、オペレータが操作ボタン80aを押圧操作して押ボタン装置80をオンすると、制御装置63は、アーム用開閉弁制御手段81、バケット用開閉弁制御手段82およびバケット開閉用開閉弁制御手段83としての機能を起動する。
その後、ブーム・バケット操作装置60、アーム・旋回操作装置61およびバケット開閉操作装置62のうちの、ブーム・バケット操作装置60のみの操作レバー60aが、前後方向へ傾倒操作されていない状態で右方向へ傾倒操作された状態になったとする。
この状態では、ブーム・バケット操作装置60の一方のポテンショメータ60bから制御装置63に、傾倒角度0°を示すブーム操作信号Iaが入力され、他方のポテンショメータ60cから制御装置63に、負の値の傾倒角度を示すバケット操作信号Ibが入力される。また、アーム・旋回操作装置61のポテンショメータ61bから制御装置63に、傾倒角度0°を示すアーム操作信号Icが入力され、バケット開閉操作装置62のポテンショメータ62bから制御装置63に、傾倒角度0°を示すバケット開閉操作信号Ieが入力される。
このようにブーム操作信号Ia、バケット操作信号Ib、アーム操作信号Ic、バケット開閉操作信号Ieが制御装置63に入力されると、アーム用開閉弁制御手段81は、ブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aにより、ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されているか否かを判定する。また、バケット用開閉弁制御手段82は、ブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aにより、ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指令されているか否かを判定する。また、バケット開閉用開閉弁制御手段83は、バケットダンプ・バケットオープン指令判定手段83aにより、バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されている否かを判定する。
今は、前述したようにブーム操作信号Iaに示される傾倒角度もアーム操作信号Icに示される傾倒角度も0°の状態であり、「ブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、アーム操作信号Icに示される操作レバー61aの傾倒角度が正の値になった状態である」という予め設定された条件を満たさないから、ブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aは「ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されていない」と判定する。
また、今は、前述したようにブーム操作信号Iaに示される傾倒角度は0°の状態であって、バケット操作信号Ibに示される傾倒角度が負の値になった状態であり、「ブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、バケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度が負の値になった状態である」という予め設定された条件を満たすから、ブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aは「ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指定されている」と判定する。
また、今は、前述したようにバケット操作信号Ibに示される傾倒角度もバケット開閉操作信号Ieに示される傾倒角度も0°の状態であり、「バケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、バケット開閉操作信号Ieに示される操作レバー62aの傾倒角度が正の値になった状態である」という予め設定された条件を満たさないから、バケットダンプ・バケットオープン指令判定手段83aは、「バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されていない」と判定する。
前述のように、ブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aにより「ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指令されている」と判定すると、バケット用開閉弁制御手段82は、バケット用開閉弁73の比例電磁パイロット部73aに与える電流値を電流値演算手段82bにより算出し、その電流値のバケット用開閉弁制御信号Of2を、バケット用開閉弁73の比例電磁パイロット部73aに対応する出力装置(図示しない)により出力する。これによって、バケット用開閉弁73が、バケット用開閉弁制御信号Of2の電流値、すなわち、操作レバー60aの右方向への傾倒角度に対応する開度まで開く。これに伴い、ブーム用シリンダ22は、作業機5の自重により、自身のボトム室22a内の圧油を管路72を介してバケット用シリンダ24のロッド室24bへ供給しつつ収縮し、この結果、ブーム下げが行われる。
また、負の値の傾倒角度を示すバケット操作信号Ibが制御装置63に入力された状態では、「(1−4)」で述べた動作も行われている。したがって、バケット用シリンダ24は、ブーム用シリンダ22のボトム室22aから排出される圧油と、第1,第2メインポンプ27,28から第1,第2バケット用方向切換弁33,34を介して供給される圧油とによって収縮し、この結果、バケットダンプが行われる。
このように、押ボタン装置80がオンした状態では、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aが後方向へ傾倒操作されていなくても右方向へ傾倒操作されていれば、ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が行われる。
(2−3)バケットダンプ・バケットオープン複合操作
前述したように、オペレータが操作ボタン80aを押圧操作して押ボタン装置80をオンすると、制御装置63は、アーム用開閉弁制御手段81、バケット用開閉弁制御手段82およびバケット開閉用開閉弁制御手段83としての機能を起動する。
その後、ブーム・バケット操作装置60、アーム・旋回操作装置61およびバケット開閉操作装置62のうちの、バケット開閉操作装置62のみの操作レバー62aが、前方向へ傾倒操作された状態になったとする。
この状態では、ブーム・バケット操作装置60の一方のポテンショメータ60bから制御装置63に、傾倒角度0°を示すブーム操作信号Iaが入力され、他方のポテンショメータ60cから制御装置63に、傾倒角度0°を示すバケット操作信号Ibが入力される。また、アーム・旋回操作装置61のポテンショメータ61bから制御装置63に、傾倒角度0°を示すアーム操作信号Icが入力される。また、バケット開閉操作装置62のポテンショメータ62bから制御装置63に、正の値に傾倒角度を示すバケット開閉操作信号Ieが入力される。
このようにブーム操作信号Ia、バケット操作信号Ib、アーム操作信号Ic、バケット開閉操作信号Ieが制御装置63に入力されると、アーム用開閉弁制御手段81は、ブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aにより、ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されているか否かを判定する。また、バケット用開閉弁制御手段82は、ブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aにより、ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指令されているか否かを判定する。また、バケット開閉用開閉弁制御手段83は、バケットダンプ・バケットオープン指令判定手段83aにより、バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されている否かを判定する。
今は、前述したようにブーム操作信号Iaに示される傾倒角度もアーム操作信号Icに示される傾倒角度も0°の状態であり、「ブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、アーム操作信号Icに示される操作レバー61aの傾倒角度が正の値になった状態である」という予め設定された条件を満たさないから、ブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aは「ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されていない」と判定する。
また、今は、前述したようにブーム操作信号Iaに示される傾倒角度もバケット操作信号Ibに示される傾倒角度も0°の状態であり、「ブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、バケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度が負の値になった状態である」という予め設定された条件を満たさないから、ブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aは「ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指定されていない」と判定する。
また、今は、前述したようにバケット操作信号Ibに示される傾倒角度が0°の状態であって、バケット開閉操作信号Ieに示される傾倒角度が正の値になった状態であり、「バケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、バケット開閉操作信号Ieに示される操作レバー62aの傾倒角度が正の値になった状態である」という予め設定された条件を満たすから、バケットダンプ・バケットオープン指令判定手段83aは、「バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されている」と判定する。
前述のように、バケットダンプ・バケットオープン指令判定手段により「バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されている」と判定すると、バケット開閉用開閉弁制御手段83は、バケット開閉用開閉弁76の比例電磁パイロット部76aに与える電流値を電流値演算手段83bにより算出し、その電流値のバケット開閉用開閉弁制御信号Of3を、バケット開閉用開閉弁76の比例電磁パイロット部76aに対応する出力装置(図示しない)により出力する。これによって、バケット開閉用開閉弁76は、バケット開閉用開閉弁制御信号Of3の電流値、すなわち、操作レバー62aの前方向への傾倒角度に対応する開度まで開く。これに伴い、バケット用シリンダ24は、積まれた土砂等を含むバケット8の自重により、自身のボトム室24a内の圧油をバケット開閉用開閉弁76を介してバケット開閉用シリンダ25のロッド室25bへ供給しつつ収縮し、この結果、バケットダンプが行われる。
また、正の値の傾倒角度を示すバケット開閉操作信号Ieが制御装置63に入力された状態では、「(1−7)」で述べた動作も行われている。したがって、バケット開閉用シリンダ25は、バケット用シリンダ24のボトム室24aから排出される圧油と、第1,第2メインポンプ27,28からバケット開閉用方向切換弁36を介して供給される圧油とによって収縮し、この結果、バケットオープンが行われる。
このように、押ボタン装置80がオンした状態では、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aが右方向へ傾倒操作されていなくても、バケット開閉操作装置62の操作レバー62aが前方向へ傾倒操作されていれば、バケットダンプ・バケットオープン複合操作が行われる。
(2−4)ブーム下げ・アーム押し・バケットダンプ複合操作
前述したように、オペレータが操作ボタン80aを押圧操作して押ボタン装置80をオンすると、制御装置63は、アーム用開閉弁制御手段81、バケット用開閉弁制御手段82およびバケット開閉用開閉弁制御手段83としての機能を起動する。
その後、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aは前後方向へは傾倒操作されていない状態で右方向へ傾倒操作された状態になり、アーム・旋回操作装置61の操作レバー61aは前方向へ傾倒操作された状態で、左右方向へは傾倒操作されていない状態になり、バケット開閉操作装置62の操作レバー62aは、傾倒操作されていない状態になったとする。
この状態では、ブーム・バケット操作装置60の一方のポテンショメータ60bから制御装置63に、傾倒角度0°を示すブーム操作信号Iaが入力され、他方のポテンショメータ60cから制御装置63に、負の値の傾倒角度を示すバケット操作信号Ibが入力される。また、アーム・旋回操作装置61のポテンショメータ61bから制御装置63に、正の値の傾倒角度を示すアーム操作信号Icが入力される。また、バケット開閉操作装置62のポテンショメータ62bから制御装置63に、傾倒角度0°を示すバケット開閉操作信号Ieが入力される。
このようにブーム操作信号Ia、バケット操作信号Ib、アーム操作信号Icおよびバケット開閉操作信号Ieが制御装置63に入力されると、アーム用開閉弁制御手段81は、ブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aにより、ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されているか否かを判定する。また、バケット用開閉弁制御手段82は、ブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aにより、ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指令されているか否かを判定する。また、バケット開閉用開閉弁制御手段83は、バケットダンプ・バケットオープン指令判定手段83aにより、バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されている否かを判定する。
今は、前述したようにブーム操作信号Iaに示される傾倒角度が0°の状態で、アーム操作信号Icに示される傾倒角度が正の値になった状態であり、「ブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、アーム操作信号Icに示される操作レバー61aの傾倒角度が正の値になった状態である」という予め設定された条件を満たすから、ブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aは「ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されている」と判定する。
また、今は、前述したようにブーム操作信号Iaに示される傾倒角度は0°の状態であって、バケット操作信号Ibに示される傾倒角度が負の値になった状態であり、「ブーム操作信号Iaに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、バケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度が負の値になった状態である」という予め設定された条件を満たすから、ブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aは「ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指定されている」と判定する。
また、今は、前述したようにバケット操作信号Ibに示される傾倒角度が負の値になった状態であって、バケット開閉操作信号Ieに示される傾倒角度が0°の状態であり、「バケット操作信号Ibに示される操作レバー60aの傾倒角度が0°以下の状態であって、バケット開閉操作信号Ieに示される操作レバー62aの傾倒角度が正の値になった状態である」という予め設定された条件を満たさないから、バケットダンプ・バケットオープン指令判定手段83aは、「バケットダンプ・バケットオープン複合操作が指令されていない」と判定する。
前述のように、ブーム下げ・アーム押し指令判定手段81aにより「ブーム下げ・アーム押し複合操作が指令されている」と判定すると、アーム用開閉弁制御手段は、「(2−1)」で述べたようにしてアーム用開閉弁制御信号Of1を出力し、これによりアーム用開閉弁71が開く。また、前述のように、ブーム下げ・バケットダンプ指令判定手段82aにより「ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が指令されている」と判定すると、バケット用開閉弁制御手段82は、「(2−2)」で述べたようにしてバケット用開閉弁制御信号Of2を出力し、これによりバケット用開閉弁73が開く。このようにアーム用開閉弁71とバケット用開閉弁73とが開くと、ブーム用シリンダ22は、作業機5の自重により、自身のボトム室22a内の圧油を、管路70,72のそれぞれを介して、アーム用シリンダ23のボトム室23a、バケット用シリンダ24のロッド室24bへ供給しつつ、収縮する。
また、バケット操作信号Ibが制御装置63に入力された状態では、「(1−4)」で述べた動作が行われている。したがって、バケット用シリンダ24は、ブーム用シリンダ22のボトム室22aから排出される圧油と、第1,第2メインポンプ27,28から第1,第2バケット用方向切換弁33,34を介して供給される圧油とによって収縮し、この結果、バケットダンプが行われる。また、アーム操作信号Icが制御装置63に入力された状態では、「(1−5)」で述べた動作が行われている。したがって、アーム用シリンダ23は、ブーム用シリンダ22のボトム室22aから排出される圧油と、第1,第2メインポンプ27,28から第1,第2アーム用方向切換弁31,32を介して供給される圧油とによって伸張し、アーム押しが行われる。
このように、押ボタン装置80がオンした状態では、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aが右方向への傾倒操作され、同時に、アーム・旋回操作装置61の操作レバー61aの前方向へ傾倒操作されれば、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aが後方向へ傾倒操作されていなくても、ブーム下げ・アーム押し・バケットダンプ複合操作が行われる。
このブーム下げ・アーム押し・バケットダンプ複合操作は、例えば、バケット8を地山等に突っ込ませる際に行われる。つまり、ブーム下げ・アーム押し複合操作によりバケット8を地山に向かって移動させる場合、バケット8の爪8aが上向きになる方向へバケット8の姿勢が変化して、爪8aが地山の方向を向かなくなることがあるので、爪8aを地山に向けるために、ブーム下げ・アーム押し複合操作にバケットダンプを並行させることが行われる。
このようにしてブーム下げ・アーム押し・バケットダンプ複合操作が行われている間、オン信号If、アーム操作信号Icおよびバケット操作信号Ibは、閉弁制御装置93にも入力されている。そして、オン信号Ifを入力した閉弁制御装置93は、自身の演算装置(図示しない)を、アーム押し・バケットダンプ指令判定手段93aとして機能させ、アーム押し・バケットダンプ複合操作が指令されているか否かの判定を行う。
今は、アーム操作信号Icおよびバケット操作信号Ibの状態が「アーム操作信号Icに示される傾倒角度が正の値になった状態であって、バケット操作信号Ibに示される傾倒角度が負の値になった状態である」という予め設定された条件を満たすから、アーム押し・バケットダンプ指令判定手段93aは、「アーム押し・バケットダンプ複合操作が指令されている」と判定する。
このように「アーム押し・バケットダンプ複合操作が指令されている」と判定すると、閉弁制御装置93は、自身の演算装置(図示しない)を圧力判定手段93bとして機能させ、第1〜第3圧力検出器90〜92からの検出信号Ig〜Iiに示される圧力Pg〜Piのうちの、圧力Phが最も高いか否かの判定を行う。
今は、ブーム下げ・アーム押し・バケットダンプ複合操作によってバケット8が地山に突っ込んで押し込まれている最中であるとする。この状態では、アーム7に対しアーム押しを妨げる方向に大きな負荷がかかって、アーム用シリンダ23のボトム室23aの圧力Phが、ブーム用シリンダ22のボトム室22aの圧力Pgや、バケット用シリンダ24のロッド室24bの圧力Piよりも高くなる場合がある。
この場合、圧力判定手段93bは、「圧力Pg〜Piのうちの圧力Phが最も高い」と判定する。これに伴い、閉弁制御装置93は、アーム用開閉弁71を閉じるための閉弁制御信号Of4を、信号遮断回路94に対応する出力装置(図示しない)により出力する。この閉弁制御信号Of4が信号遮断回路94に与えられると、この信号遮断回路94は、アーム用開閉弁制御信号Of1をグランドに短絡させて、アーム用開閉弁71へのアーム用開閉弁制御信号Of1を遮断する。これに伴い、アーム用開閉弁71が閉じ、管路70が遮断される。この結果、アーム用シリンダ23のボトム室23aからバケット用シリンダ24のロッド室24bへの圧油の移動が阻止されて、アーム用シリンダ23の圧力の低下、すなわち、バケット8が地山に突っ込む方向への掘削力の低下が防止される。
また、バケット8が地山に押し込まれている最中には、アーム押しを妨げる方向の負荷によって、アーム7が停止しそうになる場合がある。この場合、オペレータは、アーム押し・バケットクラウド複合操作を行って、アーム7の停止を回避する。このとき、仮にアーム用開閉弁71が開いていると、アーム用シリンダ23のボトム室23aの圧油がアーム用開閉弁71およびバケット用開閉弁73を介してバケット用シリンダ24のロッド室24bに供給されてバケットクラウドが妨げられる。しかし、前述したように閉弁制御装置93および信号遮断回路94によってアーム用開閉弁71を閉じる制御を行うので、バケットクラウドが妨げられるという好ましくない事態は回避される。
なお、地山にバケット8が乗り上がった状態でバケットダンプが行われている最中であるために、バケット用シリンダ24のロッド室24bの圧力Piが、ブーム用シリンダ22のボトム室22aの圧力Pgや、アーム用シリンダ23のボトム室23aの圧力Phよりも高くった場合には、アーム用開閉弁71を閉じる制御を行わない。これにより、バケット用シリンダ24のロッド室24b内の圧油が、アーム用開閉弁71およびバケット用開閉弁73を介してアーム用シリンダ23のボトム室23aへ移動し、アーム用シリンダ23の伸長速度、すなわち、アーム押しの速度が増速され、この結果、バケット8が地山に乗り上がった状態が素早く解消される。
本実施形態によれば次の効果を得られる。
本実施形態では、ブーム下げ・アーム押し複合操作を行う際、押ボタン装置80がオフした通常の状態においては、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの後方向への傾倒操作と、アーム・旋回操作装置61の操作レバー61aの前方向への傾倒操作とを同時に行う必要があるが、押ボタン装置80がオンした状態においては、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの後方向への傾倒操作を省くことができる。これにより、ブーム下げ・アーム押し複合操作の操作性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ブーム下げ・バケットダンプ複合操作が行う際、押ボタン装置80がオフした通常の状態においては、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの右斜め後方向への傾倒操作、すなわち、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの後方向への傾倒操作と右方向への傾倒操作とを同時に行う必要があるが、押ボタン装置80がオンした状態においては、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの後方向への傾倒操作を省くことができる。これにより、ブーム下げ・バケットダンプ複合操作の操作性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ブーム下げ・アーム押し・バケットダンプ複合操作を行う際、押ボタン装置80がオフした通常の状態においては、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの右斜め後方向への傾倒操作と、アーム・旋回操作装置61の操作レバー61aの前方向への傾倒操作とを同時に行う必要があるが、押ボタン装置80がオンした状態においては、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの後方向への傾倒操作を省くことができる。これにより、ブーム下げ・アーム押し・バケットダンプ複合操作の操作性を向上させることができる。
また、本実施形態では、押ボタン装置80がオフした通常の状態において、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの右方向への傾倒操作と、バケット開閉操作装置62の操作レバー62aの前方向への傾倒操作とを同時に行うことによって、バケットダンプ・バケットオープン複合操作を行うが、押ボタン装置80がオンした状態においては、ブーム・バケット操作装置60の操作レバー60aの右方向への傾倒操作を省いても、バケットダンプ・バケットオープン複合操作を行うことができる。これにより、バケットダンプ・バケットオープン複合操作の操作性を向上させることができる。
また、本実施形態では、ブーム下げ・アーム押し複合操作時や、ブーム下げ・バケットダンプ複合操作時に、第1,第2メインポンプ28から吐出される圧油に加えて、作業機5の自重によりブーム用シリンダ22のボトム室22aにおいて生成される圧油を、アーム用シリンダ23のボトム室23aやバケット用シリンダ24のロッド室24aに供給する。これにより、アーム用シリンダ23の伸長速度やバケット用シリンダ24の収縮速度、すなわち、アーム押しの速度やバケットダンプの速度を増速させることができる。したがって、作業能率の向上に貢献できる。
また、本実施形態では、バケットダンプ・バケットオープン複合操作時に、第1メインポンプ27から吐出される圧油に加えて、積まれた土砂等を含むバケット8の自重によりバケット用シリンダ24のボトム室24aにおいて生成される圧油を、バケット開閉用シリンダ25のロッド室25bに供給する。これにより、バケット開閉用シリンダ25の収縮速度、バケットオープンの速度を増速させることができる。したがって、作業能率の向上に貢献できる。
また、本実施形態では、作業機5の位置エネルギを、アーム用シリンダ23やバケット用シリンダ24に供給する圧油を生成するためのエネルギとして利用できるので、省エネに貢献できる。
また、本実施形態では、積まれた土砂等を含むバケット8の位置エネルギを、バケット開閉用シリンダ25に供給する圧油を生成するためのエネルギとして利用できるので、省エネに貢献できる。
また、本実施形態では、ブーム用シリンダ22ボトム室22a内の圧油をアーム用シリンダ23のボトム室23aに供給するようにしたので、バケット8を水平に移動させるブーム下げ・アーム押し複合操作が多用されるローディングショベル1の作業能率の向上に貢献できる。
なお、本実施形態は、第1油圧シリンダと第2油圧シリンダとの接続関係の一例として、ブーム用シリンダ22(第1油圧シリンダ)のボトム室22aと、アーム用シリンダ23(第2油圧シリンダ)のボトム室23aやバケット用シリンダ24(別の第2油圧シリンダ)のロッド室24bとを接続した例と、バケット用シリンダ24(第1油圧シリンダ)のボトム室24aとバケット開閉用シリンダ25のロッド室25b(第2油圧シリンダ)とを接続した例とを挙げたものである。本発明はこれに限るものではなく、ブーム用シリンダ22(第1油圧シリンダ)のボトム室22aと、アーム用シリンダ23(第2油圧シリンダ)のロッド室23bやバケット用シリンダ24(別の第2油圧シリンダ)のボトム室24aとを接続してもよい。
また、本実施形態は、アーム用開閉弁71、バケット用開閉弁73およびバケット開閉用開閉弁76を、流量制御可能な比例電磁弁とした例であるが、本発明はこれに限るものではなく、単に開閉する弁であってもよい。
また、本実施形態は、ローディングショベル1に適用した例であるが、本発明はこれに限るものではなく、複数の作業部材を回動可能に連接してなる作業機を備える作業機械であるバックホウショベルに適用してもよい。