JP4765926B2 - 端子保護部材 - Google Patents
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Description
このものは雌雄共用の端子保護部材であって、ハウジング1内に、雌端子2または雄端子を後方から挿入可能なキャビティ3が設けられて、その途中位置に、雄端子のタブを貫通可能な貫通孔5が開口された前壁4が形成されているとともに、雌端子2または雄端子に弾性的に係止するランス7を有する個別の抜け止め部材6(雌用のみを図示)が備えられ、抜け止め部材6が差し込まれる装着口8が、ハウジング1の下面からキャビティ3に達するように開口されている。
なお雄端子の場合は、タブが前壁4の貫通孔5に通されている関係上、キャビティ3内で傾く量は制限されるが、それでもある程度は傾くおそれがあり、同様に雄用の抜け止め部材に対して押圧力が作用することが懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、抜け止め部材が係止位置から不用意に外れるのを防止するところにある。
電線の端末に接続された雌端子または雄端子は、係止位置に保持された雌用抜け止め部材のランスまたは雄用抜け止め部材のランスが弾性的に係止することで、キャビティ内に抜け止めされて収容される。
搬送中等において、電線が振られる等で雌端子または雄端子がキャビティ内で傾動するような事態が生じた場合、雌端子または雄端子はそれぞれの本体部における雌用抜け止め部材または雄用抜け止め部材と対向する側の面の側縁が、キャビティの内壁に突設されたリブで受けられることにより、雌端子または雄端子が雌用抜け止め部材または雄用抜け止め部材を押す方向に移動することが規制され、雌用抜け止め部材または雄用抜け止め部材が雌端子または雄端子から押圧力を受けることが回避される。
そのため、雌用抜け止め部材並びに雄用抜け止め部材が保持手段の保持力に抗して係止位置から外れることが防止され、もって雌端子並び雄端子をキャビティ内に確実に収容して搬送中における保護を図ることができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図22によって説明する。この実施形態では、雌端子と雄端子とに共用される端子保護部材において、特に雌端子の傾動規制をするべく改良を加えたものを例示している。
端子保護部材Gは、図1に示すように、雌端子10Aと雄端子10Bとを選択的に挿入可能なハウジング20を備えており、但し雌端子10Aと雄端子10Bとを抜け止めするための抜け止め部材は、雌用抜け止め部材40Aと雄用抜け止め部材40Bとが個々に備えられている。
各キャビティ21における長さ方向の中央部から少し前側に寄った位置には、厚肉の前壁22が形成されており、この前壁22の前側がタブ収容室23とされている。そのため前壁22には、雄端子10Bのタブ18が後方から貫通される貫通孔24が開口され、同貫通孔24における後方側の略2/3の厚みの部分が、後方に向けて次第に開いたテーパ状をなすガイド部24Aとされている。
また、ハウジング20の下部側には、抜け止め部材40A,40Bを移動操作するべく治具70(図17参照)が挿入される治具挿入口26が、前後両面に貫通して形成されている。
さらに装着口28の内部、特に上部側の構造について説明する。装着口28の形成領域において、各キャビティ21間の仕切壁30は、図4に示すように、前壁22の直後の所定域(前壁22の厚さの半分弱)で全高にわたって切除され、また同切除部31の後方域(切除域の1.5倍程度)に、その下縁が、前壁22における貫通孔24のガイド部24Aの下縁位置付近まで立ち上げられた切欠部32が形成されている。残りの領域では、仕切壁30の下縁が、キャビティ21の入口21Aの底面よりもさらに下方に位置しており、同下縁には、図1及び図2に示すように、両側のキャビティ21側に所定寸法張り出すようにしてリブ33が形成されている。
高位規制部33Hは、キャビティ21の入口21Aの下面と同じ高さ位置にあり、また同高位規制部33Hからキャビティ21の天井面までの高さ寸法が、雌端子10Aにおける本体部11Aの高さ寸法にほぼ匹敵している。
また、左右両端のキャビティ21における仕切壁30と対向した側壁30Aにも、仕切壁30と同様に、切除部31と切欠部32とが形成されているとともに、その後方位置に、同じく高位規制部33H、ガイド部33G、及び低位規制部33Lを連ねて設けたリブ33が張り出し形成されている。
まず雌用抜け止め部材40Aを、図6ないし図9を参照して説明すると、雌用抜け止め部材40Aは大まかには、やや横長のブロック状をなす基部41Aと、同基部41Aの左右両側面に形成された一対の側板42とを備えている。基部41Aの上面における後端寄りの位置には、雌端子10Aに対して弾性的に係止可能なランス43Aが4本、各キャビティ21と対応する位置ごとに幅方向に並んで設けられている。ランス43Aは、前方に突出した片持ち状に形成され、突出端に設けられた係止部44側が上下方向に撓み変形可能であって、同係止部44が、雌端子10Aのランス孔15Aに嵌ることで係止するようになっている。
そのため、両側板42の互いに対向する面の上部位置には、ハウジング20側に設けられた係止用保持部36と解除用保持部37に係止可能な係止鈎部46が形成されている。係止鈎部46は、その下面がほぼ水平な係止面、上面がテーパ面とされている。
図14に示すように、係止鈎部46が係止用保持部36に対して係止することで、雌用抜け止め部材40Aが上記した係止位置に保持され、また図15に示すように、係止鈎部46が解除用保持部37に対して係止することで、雌用抜け止め部材40Aが上記した解除位置に保持されるようになっている。
一方、係止用保持部36は、下面36Bに加えて係止面となる上面36Aがテーパ面とされていて、係止鈎部46は下方から乗り上げやすくなっているとともに、係止状態から所定以上の操作力で雌用抜け止め部材40Aを下方へ引張ると、係止状態が解除可能であり、すなわち係止構造がいわゆるセミロック構造となっている。
両端の2個のL字壁48については、底壁49の幅方向の外側部において、同様の突壁52が形成されている。
そして図16に示すように、底壁49の上面が、ハウジング20側のリブ33の高位規制部33Hよりも低い位置に来るようになっている。
上記した雌用抜け止め部材40Aと基本的な構造は同じであるが、雌端子10Aと雄端子10Bとでは本体部の形状やランス孔の形成位置が異なっているため、ランス43Bの形状や形成位置等、上面部分の構造が異なっている。
基部41Bの上面の前端部には、各ランス43Bの間の位置、および左右両端のランス43Bの外側の位置に対応して、底壁56の前縁から受け壁57を立ち上げたL字壁55が都合5個形成されている。
受け壁57は、ハウジング20におけるキャビティ21間の仕切壁30と、両端のキャビティ21の側壁30Aに設けられた切除部31にほぼ緊密に嵌る厚さを有し、かつ、上面が、ランス43Bの基端部からその後方延出部の上面と同一となるような高さを有している。
雄用抜け止め部材40Bが係止位置にあるときには、L字壁55の底壁56の奥面は、キャビティ21の仕切壁30並びに側壁30Aの切欠部32の奥面の内側に嵌り、受け壁57は、切除部31に嵌って、前壁22に形成された貫通孔24のガイド部24Aにおける入口の下縁よりも少し上方位置まで突出するようになっている。
以下その構造について、雌用抜け止め部材40Aを例に取って簡単に説明する。雌用抜け止め部材40Aの基部41Aには、治具70の操作部75(図17参照)が進退可能な操作孔60が前後に貫通して形成されている。操作孔60は、全体としてはハウジング20に形成された治具挿入口26よりも若干幅広に形成され、一方、高さについては、長さ方向の中央部分では、治具挿入口26よりも背の低い水平部60Aとなっているとともに、同水平部60Aの前後両側では、前面または後面に向けて治具挿入口26よりも大きい高さ寸法に拡がったテーパ部61とされている。
また、フード部72の内底面には、ハウジング20の下面に突設されたロック板66の進入を許容する凹溝73が形成されているとともに、同凹溝73の奥面からはロック片74が突設されていて、ハウジング20がフード部72の奥面に当たる正規位置に嵌合されたところで、ロック片74がロック板66に弾性的に係止することにより、嵌合状態に保持されるようになっている。ここで、その保持力は、4本の雌端子10Aを引き抜く際にキャビティ21との間で生じる摩擦抵抗力よりも大きく設定されている。
また、高位部77における基端側の上面と、低位部76における先端側の下面とは、ともに先上がりの傾斜面となっており、下側の斜面が、雌用抜け止め部材40Aの操作孔60における解除用案内面62と係合する解除用駆動面78とされており、一方上側の斜面は、同操作孔60の係止用案内面63と係合する係止用駆動面79とされている。
一方、雌用抜け止め部材40Aが解除位置にあるときには、図20に示すように、操作孔60の係止用案内面63が、後側の治具挿入口26の上面よりも下方に突出しており、治具挿入口26から操作部75が引き抜かれる場合に、操作部75の係止用駆動面79が係止用案内面63に当接するようになっている。
なお、雄用抜け止め部材40Bも同様に、ハウジング20ごと治具70に対して嵌合・離脱することに伴い、係止位置と解除位置との間で移動操作されるようになっており、そのために基部41Bに対して、同様の操作孔60が形成されている。
ワイヤハーネスの製造工程では、電線Wの端末に雌端子10Aまたは雄端子10Bが接続され、そののち、コネクタを構成するコネクタハウジングに対して雌端子10Aまたは雄端子10Bを組み付けるための組付現場へ搬送するのであるが、この搬送に先立って端子保護部材G内に雌端子10Aまたは雄端子10Bを収容する作業を行う。
図18に示すように、ハウジング20の前面が、治具70のフード部72の奥面に当たったところで押し込みが停止され、そのときロック片74がハウジング20のロック板66に弾性的に係止することで、ハウジング20が嵌合状態にロック(セミロック)され、その間に、雌用抜け止め部材40Aが解除位置に押し下げられて、同解除位置に保持される(図15参照)。
なお、図19に示すように、雌端子10Aがキャビティ21から引き抜かれる際に、高位規制部33Hから外れたところで、雌端子10Aの本体部11Aがおじぎをするように落ち込むおそれがあるが、本体部11Aの底面における前端側の左右両側縁が低位規制部33Lで受けられることで、弾性接触片13の折り返し部14がランス43Aの上面に打ち付けられることが防止される。
そののち、ハウジング20の両側面を掴んでフード部72から引き抜くと、同じく操作部75と操作孔60との機能によって、雄用抜け止め部材40Bが係止位置に戻り、続いて新たな雄端子10Bの搬送工程で使用することができる。
次に、参考例1を図23及び図24によって説明する。
この参考例1では、雌端子10Aを収容する専用の端子保護部材Gfにおいて、雌端子10Aの傾動規制をするべく改良を加えたものを例示している。
まず、雌端子10A専用であることにより、上記実施形態1との相違点について説明する。ハウジング20Aのキャビティ21内に設けられた前壁80は、薄肉でかつ貫通孔を有しない形状である。また、各キャビティ21間の仕切壁30と、左右両端のキャビティ21における仕切壁30と対向した側壁30Aには、前壁80の後方の所定域に切欠部81が形成されている。
中央部の3個の受け壁87については、その上面における幅方向の中央部に、仕切壁30と同じ厚さで、かつ所定高さを持った突壁52が形成されている。両端の2個の受け壁87については、幅方向の外側部において同様の突壁52が形成されている。
抜け止め部材85が係止位置に保持された状態では、突壁52が切欠部81の上縁に当接し、また、受け壁87の上面、並びにランス43Bの基端部からその後方延出部の上面とが、キャビティ21の入口21Aの下面と面一となる。
図25ないし図27は参考例2を示す。この参考例2では、実施形態1と同様に、雌端子10Aと雄端子10Bとに共用される端子保護部材G1において、雌端子10Aの弾性接触片13の変形を防止することと併せ、雄端子10Bの傾動規制をすることを意図している。
以下、実施形態1との相違点を中心に説明する。まず、雄端子10Bの形状について、本体部11Bの高さが、雌端子10Aの本体部11Aの高さとほぼ等しく設定されている。
ハウジング20については、各キャビティ21間の仕切壁30と、左右両端のキャビティ21における仕切壁30と対向した側壁30Aには、前壁22の後方の所定域に切欠部32が形成されている。
雄用抜け止め部材40Bでは、図27に示すように、基部41Bの前端の上面に、雄端子10Bの本体部11Bの底面における前端部を受ける短寸の受け壁96が形成されている。雄用抜け止め部材40Bが係止位置にあるときには、受け壁96の上面が、ガイド部90の水平面93とほぼ同じ高さにある。また、同受け壁96の上面、並びにランス43Bの基端部からその後方延出部の上面とが、キャビティ21の入口21Aの下面と面一となる。
そして、本体部11Aの下縁側は、ガイド部90の下面92における水平面93上に入り込み、言い換えると、弾性接触片13の折り返し部14は、水平面93の上方に確保された逃がし空間に進入することとなるから、同折り返し部14が相手に当たって塑性変形することが回避される。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(2)また抜け止め部材は、解除位置では特には保持されず、係止位置においてのみ保持と保持解除が行われるようになっていてもよい。
W…電線
10A…雌端子
10B…雄端子
11A,11B…本体部
13…弾性接触片
18…タブ
20,20A…ハウジング
21…キャビティ
22…前壁
28…抜け止め部材装着口
30…仕切壁
30A…(キャビティ21の)側壁
33…リブ
33H…高位規制部(規制部)
36…係止用保持部(保持手段)
40A…雌用抜け止め部材
40B…雄用抜け止め部材
42…側板
43A,43B…ランス
46…係止鈎部(保持手段)
80…前壁
83…嵌合突部
90…ガイド部(嵌合凹部)
93…水平面
Claims (1)
- 電線の端末に接続され略角筒形の本体部内に弾性接触片が配された雌端子と、
同じく電線の端末に接続され略角筒形の本体部の前端にタブが突設された雄端子と、
前記雌端子と前記雄端子とが選択的に挿入可能なキャビティが設けられ、かつ同キャビティの途中位置に前記雄端子のタブを貫通する貫通孔が開口された前壁が設けられたハウジングと、
前記雌端子に弾性的に係止するランスと、前記雌端子が前記ランスに係止された状態において同雌端子の前記本体部の前面が当たる保護壁とが設けられた雌用抜け止め部材と、
前記雄端子に弾性的に係止するランスが設けられた雄用抜け止め部材と、
前記雌用抜け止め部材と前記雄用抜け止め部材とが選択的に挿入可能とされ、前記ハウジングの側面から前記キャビティに達するように開口された抜け止め部材装着口と、
前記雌用抜け止め部材と前記雄用抜け止め部材とをそれぞれのランスが前記雌端子または前記雄端子と係止可能な係止位置に保持する保持手段とが具備され、
前記雌用抜け止め部材または前記雄用抜け止め部材が前記係止位置に保持された状態で前記キャビティに前記雌端子または前記雄端子が挿入されることにより、前記雌端子または前記雄端子は前記雌用抜け止め部材の前記ランスまたは前記雄用抜け止め部材の前記ランスで抜け止めされて前記キャビティ内に収容されるようになっており、
かつ、前記抜け止め部材装着口内における前記キャビティの内壁には、前記雌端子の前記本体部または前記雄端子の前記本体部における前記雌用抜け止め部材または前記雄用抜け止め部材と対向する側の面の側縁を受けて、前記雌端子または前記雄端子が前記雌用抜け止め部材または前記雄用抜け止め部材を前記係止位置から外れる方向に押圧するのを規制するリブが設けられていることを特徴とする端子保護部材。
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