JP4765685B2 - 内燃機関の排気浄化システム - Google Patents

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Description

本発明は内燃機関の排気浄化システムに関する。
内燃機関の排気にはNOxなどの有害物質が含まれている。これらの有害物質の排出を
低減するために、内燃機関の排気系に、排気中のNOxを浄化するNOx触媒を設けることが知られている。この技術において例えば吸蔵還元型NOx触媒を設けた場合には、吸蔵
されたNOxの量が増加すると浄化能力が低下するため、リッチスパイク制御を行うこと
により吸蔵還元型NOx触媒に還元剤を供給し、同触媒に吸蔵されたNOxを還元放出することが行われる(以下、「NOx還元処理」という。)。
さらに、NOx触媒に排気中のSOxが吸蔵され、浄化能力が低下するSOx被毒を解消
するために、NOx触媒の床温を上昇させるとともに還元剤を供給する場合もある(以下
、「SOx再生処理」という。)。このSOx再生処理において還元剤は、NOx触媒の床
温を上昇させるためにも用いられる。
また、内燃機関の排気にはカーボンを主成分とする微粒子物質(PM:Particulate Matter)が含まれている。これらの微粒子物質の大気への放散を防止するために内燃機関の排気系に微粒子物質を捕集するパティキュレートフィルタ(以下、「フィルタ」という。)を設ける技術が知られている。
かかるフィルタにおいては、捕集された微粒子物質の堆積量が増加すると、フィルタの目詰まりによって排気における背圧が上昇し機関性能が低下するので、フィルタの温度を上昇させて捕集された微粒子物質を酸化除去することとしている(以下、「PM再生処理」という。)。この場合にも、フィルタの温度を上昇させるために、フィルタに還元剤としての燃料を供給する場合がある。
以上の技術に関連して、NOx還元のためのリッチスパイク制御のタイミング及び、リ
ッチスパイク制御において添加される還元剤量をNOx触媒におけるNOx吸蔵量やSOx
被毒量に基づいて決定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、上記技術においては、リッチスパイク制御が実行される際に内燃機関から排出される排気の空燃比が、運転状態によって変化することが充分に考慮されていないため、NOx還
元処理などに必要な空燃比とするために必要なリッチスパイク量が最適に設定されているとは言えず、燃料消費量の観点で最適化されているとは言えなかった。
特開2002−195026号公報 特開2000−110655号公報 特開2004−360593号公報
本発明の目的とするところは、排気浄化装置に還元剤としての燃料を供給して排気浄化装置の性能の再生処理を実施する場合における、還元剤としての燃料の消費量を低減できる技術を提供することである。
上記目的を達成するための本発明は、排気浄化装置の性能の再生処理を実行する際の、排気浄化装置における空燃比が、内燃機関における燃焼による排気の空燃比と、燃料供給
手段から供給された燃料による空燃比とによって決まることに着目した。そして、内燃機関における燃焼による排気の空燃比が低い状態において優先的に前記再生処理が実行されるべく、前記再生処理を開始するトリガを内燃機関における燃焼による空燃比に応じて変更することを最大の特徴とする。
より詳しくは、内燃機関の排気通路に配置され、該排気通路を通過する排気を浄化する排気浄化装置と、
前記排気浄化装置に還元剤としての燃料を供給する燃料供給手段と、
前記排気浄化装置における浄化対象物質の量を検出または推定する浄化量検出手段と、
前記浄化量検出手段によって検出または推定された浄化対象物質の量が所定の限界量以上となった場合に、前記燃料供給手段から前記排気浄化装置に燃料を供給することによって前記排気浄化装置における浄化対象物質を除去する再生処理を実行する再生手段と、
前記内燃機関における燃焼による排気の空燃比に応じて前記限界量の設定値を変更する限界量変更手段と、
を備えることを特徴とする。
ここで前述のように、フィルタや吸蔵還元型NOx触媒などの排気浄化装置においては
、微粒子物質、NOxまたはSOxが排気浄化装置に限界量を超えて蓄積した場合に、排気浄化装置からそれらを除去すべく再生処理が行われる。具体的には、燃料供給手段によって排気浄化装置の上流側の排気に燃料が供給され、排気浄化装置に導入される排気の空燃比が所定値までリッチ化される。これにより、排気浄化装置が昇温され、または、排気浄化装置における酸化還元反応が促される。ここで所定値とは、NOx還元処理、SOx再生処理、PM再生処理など、目的とする再生処理の種類に応じて予め定められた空燃比の値である。またここで限界量とは、フィルタや吸蔵還元型NOx触媒などの排気浄化装置に
おいて、微粒子物質、NOxまたはSOxが排気浄化装置に限界量を超えて蓄積した場合に、排気浄化性能が著しく悪化しまたは、運転性能に悪影響を及ぼすおそれがあると判定される閾値としての蓄積量である。
一方、内燃機関における燃焼による排気の空燃比は、内燃機関の運転状態によって変化する。従って、再生処理に必要な空燃比まで排気浄化装置に導入される排気をリッチ化するために、燃料供給手段から別途供給されるべき燃料量は、内燃機関の運転状態によって変化する。具体的には、内燃機関における燃焼による排気の空燃比が高い場合には、再生処理の際に排気浄化装置の上流の排気に別途供給されるべき燃料量は多くなり、内燃機関における燃焼による排気の空燃比が低い場合には、再生処理の際に排気浄化装置の上流の排気に別途供給されるべき燃料量は少なくなる。
従って、排気浄化装置についての再生処理を行う際には、内燃機関における燃焼による排気の空燃比が低いときに優先的に行った方が、排気浄化装置の上流の排気に別途供給されるべき燃料量を抑えることができる。すなわち、再生処理に係る燃費を抑えることができる。
そこで、本発明では、浄化量検出手段によって検出または推定された、排気浄化装置におけるNOxまたは微粒子物質の量が限界量以上となった場合に再生処理を実行する内燃
機関の排気浄化システムにおいて、内燃機関における燃焼による空燃比に応じて前記限界量の設定値を変更することとした。そうすれば、内燃機関における燃焼による空燃比に応じて再生処理が行われる頻度を変化させることができる。
これにより、例えば、内燃機関における燃焼による空燃比が比較的低い場合には、限界量を小さく設定することができ、内燃機関における燃焼による排気の空燃比が比較的高い場合には、限界量を大きく設定することができる。
その結果、内燃機関における燃焼による空燃比が低く、再生処理を行う際に別途供給されるべき燃料量が少なくて済むような運転状態においては再生処理をなるべく早期に実施することができ、内燃機関における燃焼による空燃比が高く、再生処理を行う際に別途供給されるべき燃料量が多くなるような運転状態においては再生処理をなるべく先送りすることができる。すなわち、再生処理を内燃機関における燃焼による排気の空燃比が比較的低い場合に優先的に実行させることができ、再生処理において還元剤として供給すべき燃料量を低減できる。その結果、再生処理に係る燃費を向上させることができる。
具体的には、上記の制御において前記限界量変更手段は、より高い前記空燃比に対する前記限界量が、より低い前記空燃比に対する前記限界量以上となるように、前記限界量の設定値を前記空燃比に応じて変更するようにするとよい。
それにより、再生処理を内燃機関における燃焼による排気の空燃比が低い場合に優先的に実行させ、内燃機関における燃焼による空燃比が高くなるにつれて再生処理が実行されづらくすることができる。
また、上記の制御は、前記排気浄化装置は吸蔵還元型NOx触媒を含み、前記浄化対象
物質は排気中に含まれるNOxであり、前記再生手段は、前記浄化量検出手段によって検
出された、前記吸蔵還元型NOx触媒に吸蔵されたNOxの量が所定の限界量以上となった場合に、前記燃料供給手段によってリッチスパイク制御を行うようにしてもよい。
これによれば、吸蔵還元型NOx触媒のNOx還元処理に係る燃費を向上させることができる。
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することができる。
本発明にあっては、排気浄化装置に還元剤としての燃料を供給して排気浄化装置の性能の再生処理を実施する場合における、還元剤としての燃料の消費量を低減でき、再生処理に係る燃費を向上させることができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。
図1は、本実施例に係る内燃機関と、その排気系及び制御系の概略構成を示す図である。なお、図1においては、内燃機関1の内部及びその吸気系は省略されている。図1において、内燃機関1には、内燃機関1から排出される排気が流通する排気管5が接続され、この排気管5は下流にて図示しないマフラーに接続されている。また、排気管5の途中には、排気中のNOxを浄化する吸蔵還元型NOx触媒(以下、「NOx触媒」)10が配置
されている。なお、NOx触媒10は本実施例における排気浄化装置である。
排気管5におけるNOx触媒10の上流側には、NOx触媒10のNOx還元処理の際に
、NOx触媒10に還元剤としての燃料を供給する燃料添加弁12が配置されている。燃
料添加弁12から添加された燃料は、内燃機関1からの排気とともにNOx触媒10に運
ばれNOx触媒10に吸蔵されているNOxの還元放出に用いられる。
排気管5における燃料添加弁12の上流側には、NOx触媒10から排出される排気の
空燃比を検出する空燃比センサ15が配置されている。
以上述べたように構成された内燃機関1及びその排気系には、該内燃機関1及び排気系を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)20が併設さ
れている。このECU20は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態等を制御する他、内燃機関1のNOx触媒10に係る制御を行うユニットであ
る。
ECU20には、図示しないクランクポジションセンサや、アクセルポジションセンサ、吸入空気量を検出するエアフローメータなどの内燃機関1の運転状態の制御に係るセンサ類の他、上述の空燃比センサ15が電気配線を介して接続され、出力信号がECU20に入力されるようになっている。一方、ECU20には、内燃機関1内の図示しない燃料噴射弁等が電気配線を介して接続される他、本実施例における燃料添加弁12が電気配線を介して接続され、ECU20によって制御されるようになっている。なお、上記の燃料添加弁12は、本実施例における燃料供給手段を構成する。
また、ECU20には、CPU、ROM、RAM等が備えられており、ROMには、内燃機関1の種々の制御を行うためのプログラムや、データを格納したマップが記憶されている。NOx触媒10に吸蔵されたNOxを還元放出させるためのNOx還元処理を実行す
るNOx還元ルーチン(説明は省略)も、ECU20のROMに記憶されているプログラ
ムの一つである。従って、ECU20は本実施例における再生手段を構成する。
ここで、NOx触媒10に対するNOx還元処理を実行する際には、NOx触媒10に吸
蔵されたNOxの量を検出または推定し、この量が限界NOx吸蔵量以上となったことをトリガとしてNOx還元処理を開始する。具体的には、前回のNOx還元処理の終了時以降の内燃機関の運転時間から、NOx触媒10に吸蔵されているNOx量を推定し、このNOx
量が限界NOx吸蔵量以上となったとECU20が判定した際にNOx還元処理を開始してもよい。また、この処理においては、NOx触媒10の下流に設けられた図示しないNOxセンサの出力信号からNOx触媒10に吸蔵されたNOxの量を推定してもよい。なお、ECU20は本実施例における浄化量検出手段を構成する。
そして、NOx還元処理が開始されると、燃料添加弁12から還元剤としての燃料が、
排気管5を通過する排気に添加される。ここで、NOx触媒10に導入される排気の空燃
比はNOx触媒10に吸蔵されたNOxを還元放出可能な所定のリッチ空燃比となるように制御される。そして、内燃機関1における燃焼による排気の空燃比と、燃料添加弁12から添加された燃料による空燃比とによって所定のリッチ空燃比が実現される。すなわち、この際に燃料添加弁12から添加されるべき燃料添加量は、この時点における内燃機関1からの排気の空燃比に応じて決定される。
これに対し、内燃機関1の運転状態は時々刻々と変化しており、内燃機関1から排出される排気の空燃比は常に変化している。従って、内燃機関1からの排気の空燃比が高い運転状態において燃料が供給された場合には、内燃機関1からの排気の空燃比が低い運転状態において燃料が供給された場合と比較して、多くの燃料を添加しなければならない。
図2には、この場合の内燃機関1からの排気の空燃比とNOx還元処理の開始タイミン
グとの関係を示す。図2の下段に示すように、内燃機関1からの排気の空燃比は頻繁に変化する。そして、図2の上段に示すように、NOx触媒10に吸蔵されたNOxが不変の限界NOx吸蔵量以上となったときにNOx還元処理を実行することとした場合には、内燃機関1からの排気の空燃比が高い場合もあれば低い場合もある。その結果、特に内燃機関1からの排気の空燃比が高い状態でNOx還元処理が開始された場合には燃料添加弁12か
ら多くの燃料を添加する必要があり、燃費が悪化する。なおここで、限界NOx吸蔵量は
本実施例において限界量に相当する。
これを抑制するためには、内燃機関1からの排気の空燃比ができるだけ低いタイミングにおいてNOx還元処理を開始することが望ましい。
これに対し、本実施例においては、内燃機関1から排出された排気の空燃比を空燃比センサ15で検出する。そして、内燃機関1からの排気の空燃比が低いほど、NOx還元処
理を開始する際のトリガとなる限界NOx吸蔵量を低く設定し、内燃機関1からの排気の
空燃比が高いほど、限界NOx吸蔵量の値を高く設定することとした。この場合の内燃機
関1からの排気の空燃比と、限界NOx吸蔵量との関係を表すグラフを図3に示す。
そうすれば、内燃機関1からの排気の空燃比が高い場合には、NOx還元処理の開始を
なるべく先送りすることができ、内燃機関1からの排気の空燃比が低下するのを待つことができる。一方、内燃機関1からの排気の空燃比が低い場合には、NOx還元処理の開始
をなるべく早めることができ、内燃機関1からの排気の空燃比が低いうちにNOx還元処
理を開始することができる。換言すれば、内燃機関1からの排気の空燃比が低い運転状態において優先的にNOx還元処理を実行することができる。
図4には、上記の制御を模式的に表したグラフを示す。図4においては、簡単のため、内燃機関1からの排気の空燃比は矩形波状に変化するものとした。図4(a)は限界NOx吸蔵量を排気の空燃比に拘らず一定とした場合、図4(b)は内燃機関1からの排気の
空燃比に応じて限界NOx吸蔵量を変化させた場合を示す。
図4に示すように、内燃機関1からの排気の空燃比に応じて限界NOx吸蔵量を変化さ
せた場合は、内燃機関1からの排気の空燃比がリッチの状態で燃料添加弁12から燃料添加できる確率が増加している。これによりNOx還元処理において燃料添加弁12から添
加されるべき燃料量を低減でき、NOx還元処理に係る燃費を向上させることができる。
なお、ここで説明した制御を実行するECU20が、本実施例における限界量変更手段を構成する。
なお、本実施例においては、図3に示したように、内燃機関1からの空燃比が低くなるほど、限界NOx吸蔵量を低く設定するようにした。しかし、内燃機関1からの空燃比に
応じた限界NOx吸蔵量の変化のさせ方はこれに限られない。例えば、内燃機関1からの
排気の空燃比が所定値以上の場合には限界NOx限界量を高く設定し、内燃機関1からの
排気の空燃比が所定値未満の場合には限界NOx限界量を低く設定する2段階の制御を行
ってもよい。さらには、限界NOx限界量を多段階に変更させる制御を行ってもよい。
また、本実施例においては、NOx還元処理の際に還元剤としての燃料を燃料添加弁1
2から添加する例について説明したが、還元剤としての燃料は、内燃機関1において副噴射を行うことによって、NOx触媒10に供給してもよい。この場合には、内燃機関1に
おける燃焼による排気の空燃比は、空燃比センサ15で検出するのではなく、アクセルポジションセンサ、クランクポジションセンサの出力から得られる運転状態によって推定してもよい。
また、本実施例においては、排気浄化装置の性能の再生処理として、吸蔵還元型NOx
触媒のNOx還元処理を例に挙げて説明した。しかし、同様の制御を、吸蔵還元型NOx触媒のSOx再生処理や、フィルタのPM再生処理に適用してもよいことはもちろんである
本発明の実施例における内燃機関と、その排気系及び制御系の概略構成を示す図である。 従来の制御における内燃機関からの排気の空燃比と、NOx還元処理での燃料添加タイミングとの関係を示すグラフである。 本発明の実施例における内燃機関からの排気の空燃比と限界NOx吸蔵量との関係を示すグラフである。 本発明の実施例における内燃機関からの排気の空燃比と、NOx還元処理での燃料添加タイミングとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1・・・内燃機関
5・・・排気管
10・・・NOx触媒
12・・・燃料添加弁
15・・・空燃比センサ
20・・・ECU

Claims (2)

  1. 内燃機関の排気通路に配置され、該排気通路を通過する排気を浄化する排気浄化装置と、
    内燃機関における燃焼に供される燃料を噴射する燃料噴射弁とは別に前記排気浄化装置の上流側の前記排気通路に設けられた燃料添加弁による燃料添加、又は該内燃機関における副噴射を介して、前記排気浄化装置に還元剤としての燃料を供給する燃料供給手段と、
    前記排気浄化装置における浄化対象物質の量を検出または推定する浄化量検出手段と、
    前記浄化量検出手段によって検出または推定された浄化対象物質の量が所定の限界量以上となった場合に、前記燃料供給手段から前記排気浄化装置に燃料を供給することによって前記排気浄化装置における浄化対象物質を除去する再生処理を実行する再生手段と、
    前記内燃機関における燃焼による排気の空燃比に応じて前記限界量の設定値を変更する限界量変更手段と、
    備え、
    前記限界量変更手段は、より高い前記空燃比に対する前記限界量が、より低い前記空燃比に対する前記限界量以上となるように、前記限界量の設定値を前記空燃比に応じて変更することを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  2. 前記排気浄化装置は吸蔵還元型NOx触媒を含み、
    前記浄化対象物質は排気中に含まれるNOxであり、
    前記再生手段は、前記浄化量検出手段によって検出された、前記吸蔵還元型NOx触媒
    に吸蔵されたNOxの量が所定の限界量以上となった場合に、前記燃料供給手段によって
    リッチスパイク制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
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