JP4765679B2 - フェライト系快削ステンレス鋼 - Google Patents
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Description
C :0.005wt%以上0.05wt%以下、
Si:0.10wt%以上0.50wt%以下、
Mn:0.05wt%以上0.50wt%以下、
P :0.005wt%以上0.10wt%以下、
S :0.20wt%以上0.35wt%以下、
Cu:0.01wt%以上2.0wt%以下、
Ni:0.01wt%以上2.0wt%以下、
Cr:17.0wt%以上25.0wt%以下、
Mo:0.01wt%以上1.0wt%以下、
Pb:0.03wt%以上0.30wt%以下、
Te:0.01wt%以上0.10wt%以下、
B :0.003wt%以上0.010wt%以下、
O :0.005wt%以上0.030wt%以下、および、
N :0.030wt%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるとともに、0.30≦[Mn]/[S]≦1.50、
50≦[Cr]/[Mn]≦125、
0.04≦[Te]/[S]、
10≦[S]/[O]≦50の各式を満たし、
さらに、構成金属元素としてCrを20wt%以上含み、かつ、円相当径が2.0μm以上、針状比が10以下である硫化物が、面積率で0.50%以上存在することを要旨とする。
Se:0.01wt%以上0.30wt%以下、および、
Bi:0.01wt%以上0.30wt%以下から選択される1種または2種以上の元素をさらに含有していても良い。
Ca:0.0001wt%以上0.05wt%以下、
Mg:0.0001wt%以上0.02wt%以下、および、
REM:0.0001wt%以上0.02wt%以下から選択される1種または2種以上の元素をさらに含有していても良い。
Nb:0.01wt%以上0.50wt%以下、
W :0.01wt%以上2.0wt%以下、および、
Ta:0.01wt%以上0.50wt%以下から選択される1種または2種以上の元素をさらに含有していても良い。
Cは、0.05wt%を超えると、被削性の向上に有効でない単体の炭化物を多量に生成させる。そのため、C含有量の上限を0.05wt%以下、好ましくは0.035wt%以下、より好ましくは0.025wt%以下とする。
Siは、鋼の脱酸剤として作用する。その効果を得るため、Si含有量の下限を0.10wt%以上、好ましくは0.20wt%以上とする。
Mnは、鋼の脱酸剤として作用する。加えて、Mnは、SやSeなどとの共存により、被削性の向上に有効な化合物を生成する。その効果を得るため、Mn含有量の下限を0.05wt%以上、好ましくは0.15wt%以上とする。
Pは、粒界に偏析し、粒界腐食に対する感受性を高めるほか、靭性の低下を招く。そのため、P含有量の上限を0.10wt%以下、好ましくは0.07wt%以下とする。
Sは、Mn、Crなどと結合して、被削性の向上に有効な化合物を生成する。当該化合物の生成に十分な量を確保するため、S含有量の下限を0.20wt%以上、好ましくは0.23wt%以上とする。
Cuは、耐食性、特に還元性酸環境中での耐食性を向上させるのに有効な元素である。その効果を得るため、Cu含有量の下限を0.01wt%以上、好ましくは0.05wt%以上とする。
Niは、Crにより付与される耐食性を補填するのに有効な元素である。その効果を得るため、Ni含有量の下限を0.01wt%以上、好ましくは0.10wt%以上とする。
Crは、25.0wt%を超えると、製造コストがかかるだけでなく熱間加工性が低下する。そのため、Cr含有量の上限を25.0wt%以下、好ましくは21.0wt%以下とする。
Moは、耐食性や強度を向上させる元素である。その効果を得るため、Mo含有量の下限を0.01wt%以上とする。
Pbは、被削性を向上させるのに有効な元素である。被削性を向上させるのに必要十分な量を確保するため、Pb含有量の下限を0.03wt%以上、好ましくは0.10wt%以上とする。
Teは、被削性を向上させるのに有効な元素である。その効果を得るため、Te含有量の下限を0.01wt%以上、好ましくは0.02wt%以上とする。
Bは、熱間加工性を向上させるのに有効な元素である。その効果を得るため、B含有量の下限を0.003wt%以上、好ましくは0.004wt%以上とする。
Oは、被削性を向上させる硫化物の形成に関わる元素である。そのため、その効果が十分得られるように、O含有量の下限は0.005wt%以上、好ましくは0.008wt%以上とする。
Nは、被削性の向上に有効でない窒化物を生成させるため、その含有量は、極力低く抑制するのが良い。そのため、N含有量を0.030wt%以下、好ましくは0.020wt%以下とする。
Se、Biは、被削性をさらに向上させることが可能な元素である。そのため、必要に応じて添加しても良い。その効果を得るため、Se含有量およびBi含有量を、ともに0.01wt%以上、好ましくは0.03wt%以上とする。
Ca、Mg、REMは、熱間加工性を向上させるのに有効な元素である。そのため、必要に応じて添加しても良い。その効果を得るため、Ca含有量、Mg含有量およびREM含有量を、何れも0.0001wt%以上、好ましくは0.0010wt%以上とする。
Nb、W、Taは、炭窒化物を形成して鋼の結晶粒を微細化し、靭性を高める効果がある。そのため、その効果を得るため、Nb含有量、W含有量およびTa含有量を、何れも0.01wt%以上、好ましくは0.05wt%以上とする。
[Mn]/[S]が0.30未満になると、Mn含有量が極めて低くなる、もしくは、S含有量が高くなり、製造が困難になる傾向が見られる。したがって、[Mn]/[S]の下限を0.30以上とする。
[Cr]/[Mn]が50未満になると、硫化物中のCr含有量を確保し難くなる傾向が見られる。したがって、[Cr]/[Mn]の下限を50以上とする。
[Te]/[S]が0.04未満になると、硫化物が展伸し、被削性に有効な形状である紡錘形状になり難くなる傾向が見られる。したがって、[Te]/[S]の下限を0.04以上とする。
[S]/[O]が10未満の場合、割合として[S]が低いと、十分な被削性が得られ難く、また、割合として[O]が高いと、硬質な酸化物が多くなり、被削性が低下する傾向が見られる。したがって、[S]/[O]の下限を10以上とする。
上述した成分組成、各式を満たすステンレス鋼となるように、例えば、高周波誘導炉などを用いて、各原料を溶解し、鋼塊を溶製した後、冷却してインゴットを製造する。次いで、得られたインゴットを熱間鍛造または熱間圧延し、焼きなましなどの熱処理を行う。これにより本ステンレス鋼を製造することができる。
1.実施例および比較例に係るステンレス鋼の作製
初めに、表1、2に示す成分組成、成分比を満たすステンレス鋼となるように、高周波誘導炉を用いて50kgの鋼塊を溶製した後、これを冷却してインゴットを作製した。次いで、各インゴットを1000〜1200℃に加熱し、熱間鍛造により直径60mmと直径20mmの丸棒に加工した。次いで、それら丸棒をさらに800℃で1時間加熱した後、空冷した(焼きなまし処理)。これにより、実施例および比較例に係るステンレス鋼を得た。
次に、実施例および比較例に係るステンレス鋼中に存在する硫化物につき、その円相当径、針状比および面積率を測定した。
次に、得られた各丸棒を用いて、被削性、耐食性、熱間加工性、冷間加工性および靱性について相対評価を行った。
被削性評価は、切削加工後の工具磨耗量、切削形状を相対評価することにより行った。すなわち、超硬バイトを用い、周速200mm/min、一回転あたりの切込み量1.0mm、一回転あたりの送り量0.2mm/revの条件にて、乾式で切削加工を実施した。
耐食性評価は、JIS Z 2371に準拠して行った。すなわち、各ステンレス鋼につき、直径10mm、高さ50mmの円柱形状の試験片を準備した。次いで、試験片の表面をエメリー紙により番手#400まで研磨加工し、脱脂洗浄した。次いで、これら各試験片を温度35℃、5%NaClの塩水噴霧雰囲気中に96時間保存した。次いで、保存後の各試験片につき、目視にて発錆の有無を確認した。後述の表3では、発錆が生じていなかった場合を「○」とし、発錆が生じていたものを「×」と表記している。
熱間加工性評価は、各ステンレス鋼の鍛造時に、疵がどの程度発生するかを確認することに行った。後述の表3では、疵が発生しなかったものを「○」とし、グラインダーで削れる程度のわずかな疵が発生したもの「△」、大きな疵が発生したものを「×」と表記している。
冷間加工性評価は、次のようにして行った。すなわち、各ステンレス鋼につき、直径12mm、高さ18mmの円柱形状の試験片を準備した。次いで、各試験片につき、600tプレスにより一気圧縮試験を行い、限界圧縮率を測定した。
靭性評価は、JIS Z2202に準拠し、室温にて行った。すなわち、L、T方向のシャルピー衝撃試験により衝撃値を測定した。
Claims (4)
- C :0.005wt%以上0.05wt%以下、
Si:0.10wt%以上0.50wt%以下、
Mn:0.05wt%以上0.50wt%以下、
P :0.005wt%以上0.10wt%以下、
S :0.20wt%以上0.35wt%以下、
Cu:0.01wt%以上2.0wt%以下、
Ni:0.01wt%以上2.0wt%以下、
Cr:17.0wt%以上25.0wt%以下、
Mo:0.01wt%以上1.0wt%以下、
Pb:0.03wt%以上0.30wt%以下、
Te:0.01wt%以上0.10wt%以下、
B :0.003wt%以上0.010wt%以下、
O :0.005wt%以上0.030wt%以下、および、
N :0.030wt%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるとともに、
0.30≦[Mn]/[S]≦1.50、
50≦[Cr]/[Mn]≦125、
0.04≦[Te]/[S]、
10≦[S]/[O]≦50の各式を満たし、
さらに、構成金属元素としてCrを20wt%以上含み、かつ、円相当径が2.0μm以上、針状比が10以下である硫化物が、面積率で0.50%以上存在することを特徴とするフェライト系快削ステンレス鋼。 - Se:0.01wt%以上0.30wt%以下、および、
Bi:0.01wt%以上0.30wt%以下、
から選択される1種または2種以上の元素をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載のフェライト系快削ステンレス鋼。 - Ca:0.0001wt%以上0.05wt%以下、
Mg:0.0001wt%以上0.02wt%以下、および、
REM:0.0001wt%以上0.02wt%以下、
から選択される1種または2種以上の元素をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載のフェライト系快削ステンレス鋼。 - Nb:0.01wt%以上0.50wt%以下、
W :0.01wt%以上2.0wt%以下、および、
Ta:0.01wt%以上0.50wt%以下、
から選択される1種または2種以上の元素をさらに含有することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のフェライト系快削ステンレス鋼。
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JP2006060497A JP4765679B2 (ja) | 2006-03-07 | 2006-03-07 | フェライト系快削ステンレス鋼 |
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