JP4765146B2 - ポリフェニレンエーテルの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンエーテルの製造方法に関する。詳しくはポリフェニレンエーテルの重合を停止し、金属触媒の分離・回収を安定的に行うポリフェニレンエーテルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンエーテルは、フェノール化合物を銅、マンガン、あるいはコバルトを含有する酸化カップリング重合触媒を用い、芳香族系溶剤、あるいは芳香族系溶剤と非溶剤の混合溶媒中で酸素の存在下で重合し得られる。反応後のポリフェニレンエーテル溶液はキレート剤水溶液を投入して金属触媒のキレート化合物を生成させ反応停止をおこない、次いでポリフェニレン溶液と金属触媒のキレート化合物含有水溶液を分離し、金属触媒の除去されたポリフェニレンエーテル溶液をポリフェニレンエーテルの貧溶媒中に投入しポリフェニレンエーテルを固形化する。次いで、固形化後固液分離されたポリフェニレンエーテルは乾燥工程に送られ粉末状のポリフェニレンエーテルが得られる。一方、分離された金属触媒のキレート化合物含有水溶液は、アルカリ金属の硫化物を添加することにより金属触媒の硫化物が固形物となって析出し、固液分離機を用いることによって金属触媒の除去がなされる。金属触媒が除去されたキレート剤水溶液からは、キレート剤の回収が行われ、回収されたキレート剤は再度リサイクル使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アルカリ金属の硫化物を添加する量は、実プラントでは金属触媒のキレート化合物含有水溶液に含まれる金属濃度の変動あるいは添加するアルカリ金属の硫化物の品質の変動により、安定にアルカリ金属の硫化物の添加量を制御することは困難であった。即ち、添加量が少なければ金属触媒が十分固形化せず分離不十分となってしまい、一方、添加量が多すぎるとその後の該水溶液の処理工程において、硫化水素が発生するといった問題点を抱えていた。
【0004】
また、本発明方法により得られる固形化された金属触媒の硫化物は、微細粒子状であり、きわめて取り扱いにくいため、通常の固液分離機ではろ布の目詰まりやろ液側への漏洩等といった問題も抱えており、生産性の悪さを犠牲にすることを余儀なくされていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、ポリフェニレンエーテルの非水溶性重合溶媒中、触媒の存在下に重合して得られたポリフェニレンエーテル溶液を、キレート剤水溶液と接触させて金属触媒のキレート化合物を生成させ重合を停止し、金属触媒のキレート化合物含有水溶液をポリフェニレンエーテル溶液と分離し、該金属触媒のキレート化合物含有水溶液にアルカリ金属の硫化物を添加することにより、金属触媒を硫化物として該水溶液から固形物として析出させるポリフェニレンエーテルの製造方法において、ろ過面にろ過助剤層を形成させる回転式連続真空ろ過方式により金属触媒の硫化物を固液分離するポリフェニレンエーテルの製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明におけるポリフェニレンエーテルは、一般式(1)の繰り返し単位を有するホモポリマー、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーである。
Figure 0004765146
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、各々独立に水素、アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン基、フェニル基、又は置換フェニル基である。)
【0007】
代表的なポリフェニレンエーテルは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーを挙げられる。また、2,6−ジメチルフェノールに共重合体成分として2,3,6−トリメチルフェノールおよびo−クレゾールの1種あるいは両方を組み合わせたランダム共重合体又はブロック共重合体等が挙げられる。
【0008】
また、本発明のポリフェニレンエーテルには、本発明の主旨に反さない限り、従来ポリフェニレンエーテルに存在させてもよいことが提案されている他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいてもよい。例えば、特開平1−297428号公報及び特開昭63−301222号公報に記載の2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等や、ポリフェニレンエーテル樹脂の主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものが挙げられる。さらに、炭素−炭素二重構造を持つ化合物により変性されたポリフェニレンエーテル(例えば特開平2−276823号公報、特開昭63−108059号公報、特開昭59−59724号公報)も含むことができる。
【0009】
本発明におけるポリフェニレンエーテルの重合方法は、例えば、特公昭42−3195号公報、特公昭45−23555号公報、特公昭61−8092号公報等に例示されるように、フェノール化合物を銅、マンガン又はコバルトからなる群から選ばれる金属の塩と各種アミンとの組み合わせからなる触媒を用いて酸化重合される。この中で好ましい金属の塩として、具体的には、塩化第1銅、塩化第2銅、臭化第1銅、臭化第2銅、硫酸第1銅、硫酸第2銅、酢酸第1銅、酢酸第2銅、プロピオン第1銅、ラウリン酸第2銅、パルミチン酸第1銅、安息香酸第1銅等の銅塩が挙げられる。また、組合せ成分として上記金属塩を直接添加する代わりに、金属又は金属酸化物及び無機酸、有機酸又はこれら酸の水溶液の形で添加し、その反応系中で、上記金属塩又はその水和物を形成させ使用することも可能である。
【0010】
本発明におけるポリフェニレンエーテルの重合溶媒は、実質的に水と均一混合しない溶媒でかつポリフェニレンエーテルの良溶媒であり、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ニトロベンゼン等のニトロ化合物等が挙げられる。また、該良溶媒にポリフェニレンエーテルの貧溶媒であるメタノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類等を任意の割合および組成で混合し重合溶媒として用いることもできる。重合溶媒中の貧溶媒の割合が多くなると重合中にポリフェニレンエーテルが析出してくる沈澱重合となるが、本発明では重合後にポリフェニレンエーテルが析出しない溶液重合が溶液の移送や反応停止工程あるいは触媒分離工程等におけるハンドリングの点で好ましい。また、重合溶媒に用いられるポリフェニレンエーテルの良溶媒は、乾燥工程での残存溶媒除去のしやすさの点でトルエンが最も好ましい。
【0011】
本発明のポリフェニレンエーテル反応溶液は、目的の粘度まで反応が進行した時点で、キレート剤を含む水溶液と接触混合させ、水相側に金属触媒のキレート化合物を抽出し反応を終了させる。ここで、キレート剤は金属触媒と水溶性錯体を形成する化合物であれば特に限定はされないが、例えば、エチレンジアミン4酢酸のアルカリ金属塩やニトリロトリ酢酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0012】
キレート剤量ならびにキレート剤水溶液量は反応液中に含まれる金属触媒とキレート化合物を形成させるに十分な量であり、かつ金属触媒がキレート剤化合物を形成したときに水溶液から金属触媒のキレート化合物が析出しない量であれば特に限定される物ではないが、金属触媒に対するキレート剤は、通常1〜10倍モル量、好ましくは1.1〜5倍モル量である。また、キレート剤水溶液量は、反応液重量に対、通常0.01〜1倍量、好ましくは0.05〜0.25倍量である。
【0013】
ポリフェニレンエーテル反応溶液とキレート剤水溶液との接触時間あるいは接触温度も金属触媒を抽出するに十分な時間あるいは温度であればよく、通常1分以上30℃以上であればよいが、好ましくは30分〜180分の接触時間で、50℃〜80℃の接触温度範囲で行われる。
【0014】
キレート剤を含む水溶液には公知の水溶性還元剤を混合しておいてもかまわない。ここで水溶性還元剤とは亜二チオン酸塩、チオ硫酸塩、亜燐酸塩等が挙げられる。
【0015】
次いで、該ポリフェニレンエーテル反応溶液は、該水溶液と静置分離や遠心分離等の工業的に用いられる方法によって液液分離される。分離された該水溶液は、金属触媒のキレート化合物、キレート化合物の他に重合溶媒、重合時に添加されたアミン類や助触媒、水溶性還元剤、及び水溶性還元剤の酸化物等が含まれた水溶液である。液液分離の温度は30℃〜100℃の温度であれば特に限定はされない。また、該水溶液にキレート剤が金属触媒のキレート化合物に対し過剰量含まれている場合は、分離後のキレート剤水溶液の一部を再度反応停止工程にリサイクル使用することもできる。
【0016】
液液分離されたポリフェニレンエーテル反応溶液は、ポリフェニレンエーテル回収工程に送ることもできるが、再度、水を加えて接触混合させた後、液液分離により反応溶液と水相を分離することにより反応溶液中に残る金属触媒のキレート化合物残渣を取り除くことが好ましい。該反応溶液と水は混合後、静置分離や遠心分離等の工業的に用いられる方法によって液液分離される。ポリフェニレンエーテル反応溶液と水との接触時間は、通常1〜60分、好ましくは2〜10分でおこなわれる。混合温度は、通常30〜100℃、好ましくは50℃〜80℃でおこなわれる。添加水量に特に規定はないが、反応液重量に対して、通常0.01〜1倍量、好ましくは0.05〜0.25倍量である。本操作で分離された水はキレート剤水溶液と混合し反応停止工程に用いることができ、また反応停止工程で分離されたキレート剤水溶液と混合して回収処理することもできる。
【0017】
また、水の代わりにキレート剤水溶液で再度反応溶液と接触混合し反応溶液中に残る金属触媒のキレート化合物残渣を取り除くこともできるが、この場合は分離されたキレート剤水溶液は反応停止工程で再度使用することが好ましい。
【0018】
液液分離後のポリフェニレンエーテル反応溶液は、貧溶媒と接触させてポリフェニレンエーテルを固形物として析出させる。本発明におけるポリフェニレンエーテル貧溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等の脂肪族ケトン類が挙げられる。これらのうちでは、貧溶媒性の最も良好な、メタノールとするのが最も好ましい。また、場合によっては、貧溶媒中にポリフェニレンエーテルの前述の重合溶媒あるいは水が、ポリフェニレンエーテルの析出を妨げない範囲で存在していてもかまわない。
【0019】
析出されたポリフェニレンエーテルは、連続又はバッチで遠心分離機や真空ろ過等により、重合溶媒及び貧溶媒を含む混合物から固液分離される。回収されたポリフェニレンエーテルは製品化のための乾燥工程に送られる。
【0020】
反応溶液と分離された上記キレート剤水溶液は濃縮することによって好結果をもたらす場合があり、金属触媒回収工程の前にキレート剤水溶液の濃縮をおこなうこともできる。キレート剤水溶液中に含まれる触媒であるアミン類は水との共沸により留去し、留去液から上記アミンを液液分離あるいは重合溶媒等の有機溶媒で抽出する事により回収でき、留去された水はポリフェニレンエーテル製造工程で水が使用される任意の工程にリサイクル使用が可能である。
【0021】
ここで、アミン分離を効率的におこなう方法として、塩基性化合物をキレート剤水溶液や留去水に添加する方法を採用することができる。該塩基性化合物は、触媒として使用されたアミン類より塩基性が高い物であればよいが、ナトリウム、カリウム、及びカルシウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、又は炭酸水素塩が好ましく用いられる。また、金属濃度およびキレート剤濃度を高くすることに伴い、その後の金属触媒の回収工程やキレート剤の回収工程での回収率向上をもたらし、更には、最終的に系外に抜きだされる排水量を削減する効果もある。
【0022】
反応溶液から分離されたキレート剤水溶液に溶解している金属触媒のキレート化合物は、アルカリ金属の硫化物と混合することにより、金属硫化物として析出させる。該アルカリ金属の硫化物とは、硫化ナトリウム、硫化カリウム、多硫化ナトリウムが例示され、好ましくは硫化ナトリウムが用いられる。硫化物の添加形態は固体あるいは水溶液のいずれでもかまわないが、好ましくはポンプ流量で添加量制御が容易な水溶液状態が好ましい。この場合、水溶液濃度は硫化物溶解度以下ならば特に規定はない。
【0023】
アルカリ金属の硫化物の添加量は、金属触媒に対し1倍モル等量より多く2倍モル等量より少ない量、好ましくは1.1〜1.5倍モル等量の範囲である。記載範囲より添加量が少ないと金属触媒回収率が低下し、添加量を過剰にすると経済的に好ましくない。析出温度は水溶液が凍結あるいは沸騰しない温度であればかまわないが、通常20〜70℃、好ましくは30〜50℃でおこなわれる。また析出時間は両溶液が均一に混合する条件であれば1〜120分、好ましくは5〜60分でおこなわれる。
【0024】
けれども、アルカリ金属の硫化物を添加量を、金属触媒のキレート化合物含有のキレート剤水溶液の酸化還元電位の測定から算出することも可能である。即ち、金属触媒のキレート化合物を溶解したキレート剤水溶液に、アルカリ金属の硫化物を添加していくと酸化還元電位が当量点を超えたところで、該キレート剤水溶液中の金属触媒のキレート化合物は消失する。酸化還元電位値に対してアルカリ金属の硫化物の添加量にを制御する方法により、アルカリ金属の硫化物濃度変動および/またはキレート剤水溶液に溶解している金属触媒濃度の変動に関わらず安定的にアルカリ金属の硫化物を添加することができる。
【0025】
金属触媒の析出をおこなう槽の気体排出先はアルカリ水溶液によるスクラバーにするのが好ましい。該キレート剤水溶液にアルカリ金属の硫化物を混合すると硫化水素が発生が避けられないので、発生する硫化水素を捕獲する目的で気体排出先をアルカリ水溶液によるスクラバーとするのが好ましい。アルカリ水溶液とはアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩が挙げられる。またブロアー等により発生硫化水素を強制的にスクラバー内に導入する方式が好ましく用いられる。
【0026】
析出した金属触媒の硫化物は固液分離機によりろ液と分離する必要があるが、本発明方法で得られる金属触媒の硫化物は微細粒子でありきわめて取り扱いにくい性状で析出するため、プリコートろ過方式、好ましくはプリコート回転式連続真空ろ過方式を用いる。プリコートろ過はろ過面に助剤層を形成させ、捕獲された金属触媒硫化物を助剤層の表面層と共に取り除くことにより常に新しいろ過面が現れるため、本発明方法で得られる金属触媒の硫化物の固液分離に最適である。助剤は珪藻土、パーライト、カーボン、セルローズ、活性炭素、酸性白土などがあり適宜選択使用されればよいが、好ましくは珪藻土が用いられる。
【0027】
金属触媒の硫化物スラリー液を直接プリコートフィルタ−により固液分離することもできるが、金属触媒の硫化物スラリー液に予めろ過助剤を混合するボディフィードもおこなうことができる。
【0028】
該スラリー液中の金属触媒の硫化物濃度は、通常0.1〜10wt%、好ましくは0.5〜2wt%にする。上記範囲より濃度が低下すると必要ろ過面積が大きくなるため過大な装置が必要となり、上記範囲より濃度が増加すると金属触媒の硫化物がプリコート面に均一に付着しなくなる問題、あるいは新規ろ過面形成(助剤層の表面層を捕獲金属触媒と共に削り取る)時に助剤層の表面削除量が多くなる問題が生ずる。金属触媒の硫化物の固液分離前に上記濃度以上に金属触媒の硫化物スラリー液濃度が高くなった場合は、水あるいは固液分離後の金属触媒の硫化物スラリー液のろ液による希釈を行うことにより上記濃度範囲にスラリー液濃度をコントロールすることができる。また固液分離の温度は金属触媒析出温度と同じ範囲であれば特に限定はされない。
【0029】
上記の固液分離後のろ液はキレート剤の他、種々雑多な化合物が溶解した水溶液であるため、そのままではリサイクル使用が難しい。そのためろ液に無機酸を加えて一旦キレート剤を析出させ、キレート剤を固液分離し、次いで、無機水酸化物により再度キレート剤の水溶液としてリサイクル使用する。具体的には、金属触媒の硫化物を除いたろ液は、塩酸、臭化水素酸、燐酸、亜燐酸、硫酸あるいは亜硫酸等に例示される無機酸あるいは無機酸水溶液と混合させ、pH値を4.0以下、好ましくは3.0以下にし、キレート剤をプロトン化された固形物とする。このとき水溶液中のキレート剤濃度は高いほど固体として析出するので、キレート剤収率は高くなるため、キレート剤濃度は、通常5wt%以上、好ましくは7wt%以上がよい。キレート剤の析出はバッチ式、連続式いずれの方法によってもおこなえる。また、pH値の調節は、pH計で測定しながら無機酸添加量を制御する方法が好ましく用いられる。キレート剤の析出温度は、通常20〜70℃、好ましくは30〜50℃で行われ、析出時間は両溶液が均一に混合する条件であればよく、通常1〜120分、好ましくは5〜60分で行われる。
【0030】
一旦、固形化されたキレート剤は固液分離をおこない、ろ液と分離する。固液分離方法は、通常の遠心分離、真空ろ過、加圧ろ過方法を適宜選択すればよく、回分式あるいは連続式いずれの方式を採用することができる。また、固液分離温度に関しても特に規定はないが、好ましくはキレート剤の析出温度範囲内で行うのがよい。
【0031】
ろ液と分離したキレート剤は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等に代表される無機水酸化物の水溶液と混合し再度水溶液とする。このとき無機水酸化物の量は、固形化されたキレート剤が溶解する以上であればよく、好ましくはキレート剤に対し2配位以上、より好ましくは3配位以上の量であれば良く、またキレート剤溶解後のキレート剤水溶液濃度に関してもキレート剤溶解度以下の濃度であれば特に限定される物ではない。その際のキレート剤水溶液のpH値は、通常7.1〜14.0、好ましくは7.5〜12.0の範囲にする。
【0032】
固液分離後のキレート剤の溶解は、固体のキレート剤を独立の槽に移送しアルカリ水溶液と接触混合させて溶解する方法、または固液分離機内で固体のキレート剤とアルカリ水溶液を混合して溶解する方法のいずれの方法を用いてもかまわない。また、固液分離機内で溶解する場合、アルカリ水溶液導入時間に対しキレート剤の溶解時間が短い場合は、ろ液を固液分離機内に複数回循環させ固体キレート剤を溶解させる方法を採用することができる。
【0033】
溶解温度および溶解時間は、キレート剤が完全に溶解する温度および時間を設定すればよく、通常10〜70℃で、1〜60分、好ましくは30〜50℃で、5〜30分の条件で行われる。また、得られたキレート剤水溶液は、濃度調節を行うか、あるいはそのままの状態で、再度反応停止工程にリサイクルされる。
【0034】
キレート剤回収工程で用いられる機器あるいは槽等の気体排出先をアルカリ水溶液によるスクラバーにすることが好ましい。キレート剤回収工程で無機酸を投入することにより過剰に加えられたアルカリ金属硫化物と無機酸の反応により硫化水素が発生する。発生する硫化水素を捕獲する目的で気体排出先をアルカリ水溶液によるスクラバーとするのが好ましい。アルカリ水溶液とはアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩が挙げられる。またブロアー等により発生硫化水素を強制的にスクラバー内に導入する方式が好ましく用いられる。また気体排出配管を前述の金属触媒回収工程のスクラバー導入管に接続し集合配管としてスクラバーへ気体を導く方式が好ましく用いられる。
【0035】
【実施例】
以下に具体例により本発明を説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1
〔ポリフェニレンエーテルの重合〕
臭化第二銅22g、ジブチルアミン400g、トルエン9800gの触媒溶液中に、空気をモノマー1kg当たり10NL/分で供給しながら、2,6−ジメチルフェノール2350gをトルエン5400gに溶かした溶液を60分かけて滴下し、40℃で重合をおこなった。モノマー滴下120分後エチレンジアミン4酢酸4ナトリウムを56g溶解した水溶液1800gを攪拌しながら反応液に加え反応を停止し、重合器から反応液を抜きだした。反応液を70℃で2時間窒素雰囲気で攪拌した後、連続式遠心分離機で反応液と水溶液を分離した。また、分離後の反応液に純水1800gを加え、70℃で5分間攪拌した後、連続式遠心分離機で反応液と水溶液を分離した。上記操作により得られた2種の水溶液を混合したのち、金属触媒回収操作をおこなった。
【0037】
〔金属触媒回収〕
水溶液を単蒸留によって銅濃度0.60重量%まで濃縮後、ORP計により酸化還元電位を測定しならがら、硫化ナトリウム水溶液10wt%水溶液を滴下していった。黒色の硫化銅が硫化ナトリウム添加と共に析出しはじめ、初期青色を呈していた水溶液は次第に黄色く変色していった。硫化ナトリウム水溶液添加量に対するORP計指示値変化の傾きが変わるところで硫化ナトリウム水溶液の添加を停止した。このとき硫化ナトリウム添加量は銅モル数に対して1.15倍モルであった。
【0038】
〔硫化銅の回収〕
上記で得られた硫化銅スラリー液(硫化銅濃度0.9wt%)を、ろ過面に珪藻土(ラジオライト#600)の助剤層を形成させた吸引ろ過器(プリコートフィルター)によって、40℃に温度調節されたスラリー液にろ過面を浸し−0.05MPaで減圧しながら40秒吸引ろ過した。スラリー液からろ過面を離し、更に120秒吸引を続けた後吸引を停止した。
ろ過面に硫化銅は均一に吸着されており、また珪藻土助剤層を1mm厚削ることにより新たな珪藻土助剤層の平滑な表面が現れ、良好なプリコートフィルター性が示された。
【0039】
実施例2
硫化銅スラリー液の硫化銅濃度を2.5wt%とした以外は実施例1と同様の方法により実験をおこなった。
ろ過面から硫化銅の若干の剥離が見られ、また珪藻土助剤層を2mm厚削ることにより新たな珪藻土助剤層の平滑な表面が現れ、良好なプリコートフィルター性が示された。
【0040】
比較例1
ろ過面を厚み10mmのフエルト層とした吸引ろ過器を用いた以外は実施例1と同じ方法を用いた。
多量の硫化銅がろ過面から剥離せず残ってしまった。また、フエルト層内部に硫化銅が進入しており、ろ過特性が悪いことが示された。
【0041】
比較例2
ろ過面を厚み1mmのポリプロピレン布(透気性12cm3/cm2 ・s)とした吸引ろ過器を用いた以外は実施例1と同じ方法を用いた。
ろ布に多量の硫化銅がろ過面から剥離せず残ってしまった。また、ろ液に硫化銅が多量に漏洩し、ろ過特性が悪いことが示された。
【0042】
比較例3
硫化ナトリウム水溶液10wt%水溶液を添加する際に、ORP計により酸化還元電位を測定せず、予め銅濃度に対し硫黄イオンが当モルとなる様に計算された該硫化ナトリウム水溶液を滴下していった以外は実施例1と同様な方法で実験を行った。得られた硫化銅スラリー液(硫化銅濃度0.9wt%)を、ろ過面に珪藻土(ラジオライト#600)の助剤層を形成させた吸引ろ過器(プリコートフィルター)によって、40℃に温度調節されたスラリー液にろ過面を浸し−0.05MPaで減圧しながら40秒吸引ろ過した。スラリー液からろ過面を離し、更に120秒吸引を続けた後吸引を停止した。しかし、回収されたろ液はいまだ青色を呈しており、銅イオンが該金属触媒の回収水溶液に溶解していることが示唆された。
【0043】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、金属触媒のキレート化合物含有水溶液に、アルカリ金属の硫化物を添加し、該金属触媒を硫化物として水溶液から固形物として析出させるポリフェニレンエーテルの製造方法において、ろ過面にろ過助剤層を形成させる回転式連続真空ろ過方式により金属触媒の硫化物を固液分離することによって、ろ布の目詰まりやろ液側への漏洩等といった問題を解決することができるとの効果を奏するものである。

Claims (5)

  1. ポリフェニレンエーテルの非水溶性重合溶媒中、触媒の存在下に重合して得られたポリフェニレンエーテル溶液を、キレート剤水溶液と接触させて金属触媒のキレート化合物を生成させ重合を停止し、金属触媒のキレート化合物含有水溶液をポリフェニレンエーテル溶液と分離し、該金属触媒のキレート化合物含有水溶液にアルカリ金属の硫化物を添加することにより、金属触媒を硫化物として該水溶液から固形物として析出させるポリフェニレンエーテルの製造方法において、アルカリ金属の硫化物添加量を金属触媒に対して1.1〜1.5倍モル等量とし、且つろ過面にろ過助剤層を形成させる回転式連続真空ろ過方式により金属触媒の硫化物を固液分離することを特徴とするポリフェニレンエーテルの製造方法。
  2. アルカリ金属の硫化物を該キレート化合物含有水溶液と混合する槽の気体排出先をアルカリ水溶液によるスクラバーとする請求項1に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  3. ろ過助剤を用いる連続式真空濾過方式により金属触媒硫化物を固液分離する際に、金属触媒の硫化物濃度が全体重量に対し2wt%以下にする請求項1に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  4. 金属触媒が銅化合物である請求項1に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  5. 該金属触媒の硫化物を固液分離した後に得られるろ液に無機酸を加え、pHを3以下にすることによりキレート剤を水溶液から析出させ、固形化されたキレート剤と金属水酸化物の水溶液を混合しキレート剤を溶解させる請求項1に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
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