本発明は、直列に接続された複数の蓄電セルのエネルギーを均等化するエネルギー均等化装置に関する。
一般に、蓄電装置内に設けられた二次電池等による複数の蓄電セルは、直列に接続され、一括して充放電が行われる場合が多い。その結果、各蓄電セルの電圧にばらつきが生じ、特定の蓄電セルが過充電状態若しくは過放電状態となり、蓄電装置の充電電力を有効に使うことができなくなるという問題が生じる。
この問題を解決するために、従来から様々な手法が採用されている。特許文献1には、バックアップ電源装置の電圧均等化装置について記載されている。この電圧均等化装置は、蓄電セルである二次電池の各々に対して並列に接続されたバイパス回路と、バイパス回路を制御するCPUと、各二次電池の電池電圧を検出する電圧計測器を備えている。CPUは、電圧計測器による電圧の測定結果に基づき、所定電圧よりも高い電圧が測定された二次電池に対応するバイパス回路を作動させて、電圧の高い二次電池の充電を停止、又は充電電流を減少させる。これにより、蓄電装置を構成する全体の蓄電セルの電圧が均等化される。
また特許文献2には、電池ブロック間の電圧ばらつきの低減が可能な車両用複数電圧出力型電源装置について記載されている。この車両用複数電圧出力型電源装置は、低電圧負荷へ低電源電圧を出力するローワー蓄電ブロックと、ローワー蓄電ブロックに直列接続されて高電圧負荷へ高電源電圧を出力するハイヤー蓄電ブロックと、ハイヤー蓄電ブロックの蓄電電力によりローワー蓄電ブロックのみを充電するローワー蓄電ブロック補充充電用のDC−DCコンバータと、各電池ブロックの平均セル電圧に関連する電気パラメータを検出して比較し、比較結果に基づいて各電池ブロックの平均セル電圧を略一致させるブロック間送電制御部とを有することを特徴としている。
ハイヤー蓄電ブロックに比較してローワー蓄電ブロックは放電しやすく、電圧が低下する傾向にある。そこで、ブロック間送電制御部は、DC−DCコンバータを制御して、ハイヤー蓄電ブロックからローワー蓄電ブロックへの送電を行う。このようにして、各蓄電ブロックの容量を均等化することができる。
特開2004−129439号公報
特開2002−345161号公報
しかしながら、特許文献1に記載された電圧均等化装置は、バイパス回路を構成するトランジスタや抵抗、及びバイパス回路を制御するCPU等を備えているので、必要なスペースやコストが増大するという問題点がある。
また、特許文献2に記載された車両用複数電圧出力型電源装置は、ハイヤー蓄電ブロックに並列に接続されたローワー蓄電ブロック補充充電用の複数のDC−DCコンバータを備えている。この複数のDC−DCコンバータの各々は、トランス、スイッチング素子、及びダイオードにより構成されているので、特許文献1に記載された電圧均等化装置と同様、必要なスペースやコストが増大するという問題点がある。
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するもので、簡易な構成で蓄電装置に構成された複数の蓄電セルのエネルギーを均等化するエネルギー均等化装置を提供することを課題とする。
本発明に係るエネルギー均等化装置は、上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、エネルギー状態が高くなるにつれてインピーダンスが増大する領域を有する蓄電セルを直列接続して形成した蓄電セル群に対して前記蓄電セルが有するエネルギーを均等化するとき、前記蓄電セル群の両端に電気的に接続されており、前記蓄電セル群に充放電を行い、且つ、調整対象の前記蓄電セルのエネルギー状態が、エネルギー状態が高くなるにつれてインピーダンスが増大する領域にあるときに高周波電流を充放電する充放電装置を備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記複数の蓄電セルの各々の開放電圧を検出する複数の電圧検出手段を備え、前記充放電装置は、前記複数の電圧検出手段により検出された開放電圧に基づいて前記複数の蓄電セルのエネルギーのばらつきを算出し、前記ばらつきが所定の値以上の場合に前記蓄電セル群に高周波電流を流すことを特徴とする請求項1記載のエネルギー均等化装置。
請求項3記載の発明は、請求項2において、前記充放電装置は、前記ばらつきが所定の値未満になるまで前記蓄電セル群に対する充電と高周波電流の出力とを繰り返すことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3において、前記充放電装置は、前記複数の電圧検出手段の各々により検出された前記複数の蓄電セルの各々に対する開放電圧の全てが第1所定電圧値以上の場合にのみ、前記蓄電セル群に高周波電流を流すことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項2乃至請求項4のいずれか1項において、前記充放電装置は、前記複数の電圧検出手段の各々により検出された前記複数の蓄電セルの各々に対する開放電圧の全てが第2所定電圧値未満の場合には、前記蓄電セル群に充電を行うことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項において、前記充放電装置は、前記蓄電セル群に高周波電流を流すエネルギーを蓄えたエネルギーバッファーを備えることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項において、前記蓄電セル群の内部又は近傍に蓄電セル群の温度を測定する温度センサーを備え、前記充放電装置は、前記温度センサーにより測定された温度が所定の温度未満の場合にのみ前記蓄電セル群に高周波電流を流すこと特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項において、時間を計時するタイマーを備え、前記充放電装置は、前記タイマーにより計時された時間情報に基づき、所定時間毎に前記蓄電セル群に高周波電流を流すこと特徴とする。
本発明の請求項1記載の発明によれば、蓄電装置に充放電を行うとともに蓄電装置に高周波電流を流す充放電装置を備えているので、バイパス回路等を必要とせず、簡易な構成で蓄電セルのエネルギーを均等化することができる。
本発明の請求項2記載の発明によれば、電圧検出手段により検出された開放電圧値に基づいて、複数の蓄電セルのエネルギーのばらつきを算出するとともに、ばらつきが所定の値以上の場合に蓄電装置に高周波電流を流すので、ばらつきの値が大きい場合に自動的に充放電装置が蓄電装置に高周波電流を流して蓄電セルのエネルギーを均等化することができる。
本発明の請求項3記載の発明によれば、充放電装置は、ばらつきが所定の値未満になるまで蓄電装置に対する充電と高周波電流の出力とを繰り返すので、ばらつきの値が小さくなった場合に、自動的にエネルギー均等化装置によるエネルギーの均等化を止めることができる。
また、充電と高周波電流の出力とを繰り返すので、複数の蓄電セルの各々のSOC(State Of Charge)を低下させることなくエネルギーの均等化を図ることができる。
本発明の請求項4記載の発明によれば、充放電装置は、複数の電圧検出手段の各々により検出された複数の蓄電セルの各々に対する開放電圧の全てが第1所定電圧値以上の場合にのみ、蓄電装置に高周波電流を流すので、SOCが低い蓄電セルに対して高周波電流を流すことなく、効率良くエネルギーの均等化を行うことができる。第1所定電圧値については、後述する。
本発明の請求項5記載の発明によれば、充放電装置は、複数の電圧検出手段の各々により検出された複数の蓄電セルの各々に対する開放電圧の全てが第2所定電圧値未満の場合には、蓄電装置に充電を行うので、SOCが高い蓄電セルが存在しない場合に高周波電流を流すことなく、効率良くエネルギーの均等化を行うことができる。第2所定電圧値については、後述する。
本発明の請求項6記載の発明によれば、充放電装置は、蓄電装置に高周波電流を流すエネルギーを蓄えた電池やコンデンサといったエネルギーバッファーを備えているので、高周波電流を流す際にエネルギーバッファーがエネルギーを吸収し、外部電源等へのエネルギーの流出が無くなり、効率良く高周波電流を流すことができる。
本発明の請求項7記載の発明によれば、蓄電装置の内部又は近傍に蓄電装置の温度を測定する温度センサーを備え、充放電装置は、温度センサーにより測定された温度が所定の温度未満の場合にのみ蓄電装置に高周波電流を流すので、蓄電セルを温度上昇から保護して電池が推奨する使用温度範囲内で安全にエネルギーの均等化を行うことができる。
本発明の請求項8記載の発明によれば、時間を計時するタイマーを備え、充放電装置は、タイマーにより計時された時間情報に基づき、所定時間毎に蓄電装置に高周波電流を流すので、蓄電装置が使用されていない時間帯等、適切な時間にエネルギーの均等化を行うことができる。
以下、本発明のエネルギー均等化装置の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
最初に図1乃至図5を用いて実施例1を説明する。図1は、本発明の実施例1に係るエネルギー均等化装置の構成を示す図である。このエネルギー均等化装置は、充放電装置10aで構成されており、複数の蓄電セル(22a−1〜22a−n)を直列接続してなる蓄電装置20aにおける複数の蓄電セル(22a−1〜22a−n)のエネルギーを均等化する。
充放電装置10aは、蓄電装置20aに接続され、蓄電装置20aに充放電を行うとともに、蓄電装置20aに高周波電流を流す。操作人は、充放電装置10aを操作することにより、自由なタイミングで蓄電装置20aに充電又は放電を行うか、若しくは高周波電流を流すことができる。実施例1において高周波電流は、図1に示すように三角波であるが、正弦波や方形波であっても構わない。また、高周波電流は、特に周波数に対する限定は無いが、一般的には100Hzから100kHz程度の周波数の電流を指す。
図2は、充放電装置10aの詳細な構成を示す図である。充放電装置10aは、1例として、図2に示すような双方向性DC/DCコンバータにより実現できる。このDC/DCコンバータは、蓄電装置20aに接続されるとともに、蓄電装置20aよりも電圧の高い直流電源等に接続されている。この直流電源は外部電源であってもよい。このDC/DCコンバータの使い方の1例を示す。まず蓄電装置20aに充電を行う場合には、充電用スイッチ12のオン期間とオフ期間との比を変えることにより、出力電圧の調節をして蓄電装置20aに充電を行うことができる。充電用スイッチ12がオンされた場合、インダクタンスL1に電流が流れ、エネルギーが蓄えられる。また、充電用スイッチ12がオフされた場合、ダイオードD2によりインダクタンスL1のエネルギーが還流され、蓄電装置20aに過電圧が印加されるのを防止する。また、インダクタンスL1は、蓄電装置20aに流れる電流を平滑化する。
蓄電装置20aを放電させる場合には、放電用スイッチ14にスイッチング動作を行わせる。放電用スイッチ14がオンされた場合、インダクタンスL1に蓄電装置20a側から電流が流れ、エネルギーが蓄えられる。また、放電用スイッチ14がオフされた場合、ダイオードD1によりインダクタンスL1のエネルギーが直流電源側に放出される。
また、蓄電装置20aに高周波電流を流す場合には、充電用スイッチ12と放電用スイッチ14とを交互にスイッチングさせる。例えば、充電用スイッチ12がオンで放電用スイッチ14がオフである場合、電流は蓄電装置20aを充電する方向にインダクタンスL1を流れる。
この後、充電用スイッチ12がオフされ放電用スイッチ14がオンされると、上述したように、インダクタンスL1にエネルギーが蓄えられている間は、ダイオードD2を還流して充電する向きにしばらく電流は流れ続ける。しかし、インダクタンスL1にエネルギーが無くなると、逆に放電用スイッチ14を通り放電する向きに電流は流れる。
この後、充電用スイッチ12がオンされ放電用スイッチ14がオフされると、上述したように、インダクタンスL1にエネルギーが蓄えられている間は、ダイオードD1により、インダクタンスL1のエネルギーが直流電源側に放出され、放電する向きにしばらく電流は流れ続ける。しかし、インダクタンスL1にエネルギーが無くなると、逆に充電用スイッチ12を通り蓄電装置20aを充電する向きに電流は流れる。
これを繰り返すことにより、蓄電装置20aに高周波電流を流すことができる。
図3乃至図5は、蓄電セル22aのSOC(State of Charge)に対するインピーダンス特性を示す。ここでSOCは、1つの蓄電セル22aの充電状態を示す。蓄電セル22aの充電状態を示すSOCは、実測が困難であるため、実際にはOCV(Open Circuit Voltage)である開放電圧を測定してSOCを求める場合が多い。OCVとSOCとは、一定の関係がある。実施例1においては、操作人が図示されない電圧測定装置を用いて任意に各蓄電セル22aのSOCを求めるものとする。
図3に示すように、SOCが低い領域(SOC1)において、蓄電セル22aのインピーダンスはSOCが低いほど高くなる。また、SOCが中間の領域(SOC2)において、蓄電セル22aのインピーダンスは低く、一定である。さらに、SOCが高い領域(SOC3)において、蓄電セル22aのインピーダンスはSOCが高いほど高くなる。
蓄電セル22aのインピーダンスが高い場合に蓄電セル22aに高周波電流を流すと、蓄電セル22aは、高周波電流が流れることにより発熱して大きな損失を生じる。
1例として、図3に示すように、蓄電セル22a−3のインピーダンスはZ1であり、蓄電セル22a−5のインピーダンスはZ2であるとする。Z1は、Z2よりも低いものとする。また蓄電セル22a−3と蓄電セル22a−5とは、いずれもSOCが高い領域(SOC3)にある。また、蓄電セル22a−3のSOCは、蓄電セル22a−5のSOCよりも低い。
この場合に、充放電装置10aが蓄電装置20aに高周波電流を流すと、蓄電セル22a−5は、蓄電セル22a−3よりも高いインピーダンスを有しているため、発熱してより大きなエネルギーを消費する。一方、蓄電セル22a−3は、蓄電セル22a−5よりも低いインピーダンスを有しているため、エネルギー消費はわずかである。したがって、両者のエネルギー差は縮まり、両蓄電セルのエネルギーを均等化することができる。
また、図示はされていないが、仮に蓄電セル22a−3のSOCがSOC2の領域にあったとしても、結果は同様に、両者のエネルギー差が縮まり、両蓄電セルのエネルギーが均等化される。SOC2の領域にあった場合も、蓄電セル22a−3のインピーダンスは低いため、エネルギーの消費量がほとんど無いからである。
次に、図4に示すように、蓄電セル22a−3のインピーダンスはZ3であり、蓄電セル22a−5のインピーダンスはZ4であると仮定した場合について述べる。蓄電セル22a−3のSOCは、SOC1の領域にある。また、蓄電セル22a−5のSOCは、SOC3の領域にある。
この場合に、充放電装置10aが蓄電装置20aに高周波電流を流すと、蓄電セル22a−3及び蓄電セル22a−5は、いずれも発熱して大きなエネルギーを消費する。特に蓄電セル22a−3は、エネルギーを消費してSOCが低くなるほどインピーダンスが高くなるため、加速度的にエネルギーが消費される。したがって、両者のエネルギー差は拡がる。よって、この場合には、高周波電流を流さないほうがよい。
そこで、図5に示すように、高周波電流を流す前に、蓄電装置20aを充電した場合を考える。ここで、蓄電セル22a−3のインピーダンスはZ5であり、蓄電セル22a−5のインピーダンスはZ6であると仮定する。充放電装置10aは、操作人の操作に基づいて、蓄電装置20aを充電する。すると、蓄電セル22a−3及び蓄電セル22a−5は、それぞれ充電され、インピーダンスの値が変化する。蓄電セル22a−3のインピーダンスは、Z5からZ5´に変化し、蓄電セル22a−5のインピーダンスは、Z6からZ6´に変化する。また、蓄電セル22a−3のSOCは、SOC1の領域からSOC2の領域へと移る。
この場合に、充放電装置10aが蓄電装置20aに高周波電流を流すと、蓄電セル22a−5は、高いインピーダンスZ6´を有しているため、発熱してより大きなエネルギーを消費する。一方、蓄電セル22a−3は、低いインピーダンスZ5´を有しているため、エネルギー消費はわずかである。したがって、両者のエネルギー差は縮まり、両蓄電セルのエネルギーを均等化することができる。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。図6は、本実施例のエネルギー均等化装置を用いたエネルギー均等化の1例を示すフローチャート図である。まず、使用者は、電圧検出器等を用いて複数の蓄電セル(22a−1〜22a−n)の各々のSOCを調べる(ステップS101)。
次に、使用者は、所定値E1以下のSOCを有する蓄電セル22aが存在するか否かを調べる(ステップS103)。ここで所定値E1とは、SOC1とSOC2との境界値を指す。すなわち、所定値E1以下のSOCを有する蓄電セル22aは、SOC1の領域にあることを意味する。
所定値E1以下のSOCを有する蓄電セル22aが存在する場合、充放電装置10aは、使用者の操作に基づき、蓄電装置20aを充電する(ステップS105)。上述したように、SOC1の領域にある蓄電セル22aを有する蓄電装置20aに高周波電流を流すと、SOC1の領域にある蓄電セル22aは、エネルギーを消費してSOCが低くなるほどインピーダンスが高くなるため、加速度的にエネルギーが消費され、他の蓄電セルとのエネルギー差が拡がるからである。充電を行った後は、再びステップS101に戻る。
所定値E1以下のSOCを有する蓄電セル22aが存在しない場合、使用者は、所定値E2以上のSOCを有する蓄電セル22aが存在するか否かを調べる(ステップS107)。ここで所定値E2とは、SOC2とSOC3との境界値を指す。すなわち、所定値E2以上のSOCを有する蓄電セル22aは、SOC3の領域にあることを意味する。
所定値E2以上のSOCを有する蓄電セル22aが存在しない場合、ステップS105に戻り、充放電装置10aは、使用者の操作に基づき、蓄電装置20aを充電する。この場合には、全ての蓄電セル(22a−1〜22a−n)のSOCは、SOC2の領域に存在する。したがって、充放電装置10aが蓄電装置20aに高周波電流を流したとしても、いずれの蓄電セル22aもインピーダンスが低く、エネルギー消費はわずかである。したがって、蓄電セル間のエネルギー差は縮まらないので、ステップS105に戻り充電を行う必要がある。
所定値E2以上のSOCを有する蓄電セル22aが存在する場合、充放電装置10aは、使用者の操作に基づき、蓄電装置20aに高周波電流を流す(ステップS109)。所定値E2以上のSOCを有する蓄電セル22aは、SOC3の領域にあるため、高周波電流を流すことにより、発熱してより大きなエネルギーを消費する。したがって、他の蓄電セル22aとのエネルギー差を縮めることができる。この後は、ステップS101に戻る。高周波電流を流す期間は、使用者が自由に決められる。時間で決めてもよいし、1つでも蓄電セルのSOCがあるレベルまで下がったら高周波電流の出力を止めると決めてもよい。
以上の動作を繰り返すことにより、蓄電装置20aにおける複数の蓄電セル22aのエネルギーを均等化することができる。なお、ステップS101において、使用者は、充分にエネルギーの均等化を行うことができたと判断した場合に、エネルギー均等化装置の使用を中止すればよい。
上述のとおり、本発明の実施例1の形態に係るエネルギー均等化装置によれば、蓄電装置20aに充放電を行うとともに蓄電装置20aに高周波電流を流す充放電装置10aを備えているので、バイパス回路等を必要とせず、簡易な構成で蓄電セル22aのエネルギーを均等化することができる。
また使用者は、好きなタイミングで充放電装置10aにより蓄電装置20aに対する充電と高周波電流出力を行うことができるので、自らの判断でエネルギーの均等化を行うことができる。
図7は、本発明の実施例2に係るエネルギー均等化装置の構成を示す図である。実施例1の構成と異なる点は、本実施例におけるエネルギー均等化装置は、充放電装置10bと、複数の電圧検出器(60−1〜60−n)とで構成されている点である。
複数の電圧検出器(60−1〜60−n)の各々は、本発明の電圧検出手段に対応し、複数の蓄電セル(22b−1〜22b−n)の各々の開放電圧を検出する。
充放電装置10bは、複数の電圧検出器(60−1〜60−n)の各々により検出された開放電圧に基づいて、複数の蓄電セル(22b−1〜22b−n)のエネルギーのばらつきを算出する。ここで、ばらつきの算出方法は、どのようなものであってもよい。例えば、複数の蓄電セル(22b−1〜22b−n)のSOCに対する標準偏差を求めても良いし、単純に上限値と下限値との差でもよい。
充放電装置10bは、上記のように求めたばらつきが所定の値以上の場合に蓄電装置20bに高周波電流を流す。
また充放電装置10bは、ばらつきが所定の値未満になるまで蓄電装置20bに対する充電と高周波電流の出力とを繰り返す。
さらに充放電装置10bは、複数の電圧検出器(60−1〜60−n)の各々により検出された複数の蓄電セル(22b−1〜22b−n)の各々に対する開放電圧の全てが第1所定電圧値以上の場合にのみ、蓄電装置20bに高周波電流を流す。ここで第1所定電圧値とは、SOC1とSOC2との境界値のSOCに対応する開放電圧値を指す。すなわち、開放電圧の全てが第1所定電圧値以上とは、全ての蓄電セル22bのSOCがSOC2又はSOC3の領域にあることを意味する。
上述したように、SOC1の領域のSOCを有する蓄電セルが存在する場合、蓄電装置20bに高周波電流を流したとしても、エネルギーの均等化が図れないからである。
また充放電装置10bは、複数の電圧検出検出器(60−1〜60−n)の各々により検出された複数の蓄電セル(22b−1〜22b−n)の各々に対する開放電圧の全てが第2所定電圧値未満の場合には、蓄電装置20bに充電を行う。ここで第2所定電圧値とは、SOC2とSOC3との境界値のSOCに対応する開放電圧値を指す。すなわち、開放電圧の全てが第2所定電圧値未満とは、全ての蓄電セル22bのSOCがSOC1又はSOC2の領域にあることを意味する。
上述したように、SOC3の領域のSOCを有する蓄電セルが存在しない場合、蓄電装置20bに高周波電流を流したとしても、エネルギーの均等化が図れないため、充電する必要があるからである。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。図8は、本実施例のエネルギー均等化装置の動作を示すフローチャート図である。まず、複数の電圧検出検出器(60−1〜60−n)の各々は、複数の蓄電セル(22b−1〜22b−n)の各々の開放電圧を検出する(ステップS201)。
次に、充放電装置10bは、複数の電圧検出検出器(60−1〜60−n)の各々により検出された開放電圧に基づいて複数の蓄電セル(22b−1〜22b−n)のエネルギーのばらつきを算出し、ばらつきが所定の値未満であるか否かを判断する(ステップS203)。ばらつきが所定の値未満であるならば、本実施例のエネルギー均等化装置は、そこで動作を終了する。
ばらつきが所定の値以上である場合、次に充放電装置10bは、複数の電圧検出検出器(60−1〜60−n)の各々により検出された開放電圧の全てが第1所定電圧値以上であるか否かを判断する(ステップS205)。
1つでも第1所定電圧値未満の開放電圧値を有する蓄電セル22bが存在する場合、充放電装置10bは、蓄電装置20bに対して充電を行う(ステップS207)。充電期間は、予め使用者が設定できるものとする。充電を行った後は、再びステップS201に戻る。
開放電圧の全てが第1所定電圧値以上である場合、充放電装置10bは、開放電圧の全てが第2所定電圧値未満であるか否かを判断する(ステップS109)。開放電圧の全てが第2所定電圧値未満である場合、ステップ207に戻り、充放電装置10bは、蓄電装置20bに対して充電を行う。
1つでも第2所定電圧値以上の開放電圧値を有する蓄電セル22bが存在する場合、充放電装置10bは、蓄電装置20bに高周波電流を流す(ステップS211)。高周波電流を流す期間はどのように設定されていてもよい。時間で設定されていてもよいし、1つでも蓄電セルのSOCがあるレベルまで下がったら高周波電流の出力を止めるように設定されていてもよい。高周波電流の出力を行った後は、再びステップS201に戻る。
以上の動作を繰り返すことにより、蓄電装置20bにおける複数の蓄電セル22bのエネルギーを均等化することができる。
上述のとおり、本発明の実施例2の形態に係るエネルギー均等化装置によれば、実施例1の効果に加え、複数の電圧検出検出器(60−1〜60−n)により検出された開放電圧に基づいて、複数の蓄電セル(22b−1〜22b−n)のエネルギーのばらつきを算出するとともに、ばらつきが所定の値以上の場合に蓄電装置20bに高周波電流を流すので、ばらつきの値が大きい場合に自動的に充放電装置10bが蓄電装置20bに高周波電流を流して蓄電セル22bのエネルギーを均等化することができる。
また、充放電装置10bは、ばらつきが所定の値未満になるまで蓄電装置20bに対する充電と高周波電流の出力とを繰り返すので、ばらつきの値が小さくなった場合に、自動的にエネルギー均等化装置によるエネルギーの均等化を止めることができる。
さらに、充電と高周波電流の出力とを繰り返すので、複数の蓄電セル(22b−1〜22b−n)の各々のSOCを低下させることなくエネルギーの均等化を図ることができる。
一方、充放電装置10bは、複数の電圧検出検出器(60−1〜60−n)の各々により検出された複数の蓄電セル(22b−1〜22b−n)の各々に対する開放電圧の全てが第1所定電圧値以上の場合にのみ、蓄電装置20bに高周波電流を流すので、SOC1の領域のSOCを有する蓄電セル22bに対して高周波電流を流すことなく、効率良くエネルギーの均等化を行うことができる。
また、充放電装置10bは、複数の電圧検出検出器(60−1〜60−n)の各々により検出された複数の蓄電セル(22b−1〜22b−n)の各々に対する開放電圧の全てが第2所定電圧値未満の場合には、蓄電装置20bに充電を行うので、SOC3の領域のSOCを有する蓄電セル22bが存在しない場合に高周波電流を流すことなく、効率良くエネルギーの均等化を行うことができる。
図9は、本発明の実施例3に係るエネルギー均等化装置の構成を示す図である。実施例1の構成と異なる点は、本実施例におけるエネルギー均等化装置は、エネルギーバッファー30を備えた充放電装置10cで構成されている点である。
エネルギーバッファー30は、図示されない直流電源と並列に接続され、蓄電装置20cに高周波電流を流すエネルギーを蓄えている。
図10は、充放電装置10cの詳細な構成を示す図である。基本的な動作は、図2で説明した充放電装置10aと同じである。ただし、蓄電装置20aに高周波電流を流す場合には、エネルギーバッファー30に蓄えられたエネルギーが用いられる。エネルギー16は、高周波電流を蓄電装置20aに流した場合のエネルギーの流れを示す。このように、電池やコンデンサといったエネルギーバッファー30が充放電装置10cに備えられている場合、高周波電流を流す際のエネルギーのやり取りは、ほとんどエネルギーバッファー30と蓄電装置20aとの間で行われる。したがって、電流が蓄電装置20aから放電される場合にも、エネルギーバッファー30は、エネルギーをほとんど吸収し、直流電源側に放出されるエネルギーは、わずかである。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。本実施例におけるエネルギー均等化装置は、図6において説明した実施例1の動作や図8において説明した実施例2の動作と同様である。ただし、充放電装置10cは、図6のステップS109や図8のステップS211で蓄電装置20cに高周波電流を流す際に、エネルギーバッファー30に蓄えられたエネルギーを用いる。
上述のとおり、本発明の実施例3の形態に係るエネルギー均等化装置によれば、実施例1の効果に加え、充放電装置10cは、蓄電装置20cに高周波電流を流すエネルギーを蓄えた電池やコンデンサといったエネルギーバッファー30を備えているので、高周波電流を流す際にエネルギーバッファー30がエネルギーを吸収し、直流電源等へのエネルギーの流出が無くなり、効率良く高周波電流を流すことができる。
図11は、本発明の実施例4に係るエネルギー均等化装置の構成を示す図である。実施例1の構成と異なる点は、本実施例におけるエネルギー均等化装置は、充放電装置10dと、温度センサー40とで構成されている点である。
温度センサー40は、蓄電装置20dの内部又は近傍に設置され、蓄電装置20dの温度を測定する。
充放電装置10dは、温度センサー40により測定された温度が所定の温度未満の場合にのみ蓄電装置20dに高周波電流を流す。ここで所定の温度は、使用者が自由に設定することができる。例えば使用者は、蓄電セル22dに用いられている二次電池が推奨する使用温度範囲の上限値を所定の温度として設定することができる。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。本実施例におけるエネルギー均等化装置は、図6において説明した実施例1の動作と同様である。ただし、充放電装置10dは、蓄電装置20dに高周波電流を流す前に、温度センサー40により測定された温度が所定の温度未満であるか否かを判断する。
したがって、本実施例におけるエネルギー均等化装置を用いてエネルギーの均等化を行う場合には、図6のステップS109において、使用者が充放電装置10dを用いて蓄電装置20dに高周波電流を流そうとしたとしても、充放電装置10dは、温度センサー40により測定された温度が所定の温度未満であるか否かを判断し、所定の温度未満の場合にのみ蓄電装置20dに高周波電流を流す。
所定の温度以上である場合には、充放電装置10dは、蓄電装置20dに高周波電流を流さず、蓄電装置20dに高周波電流を流すことができない旨を使用者に知らせる。知らせる方法は、どのようなものであってもよく、例えば警告音を発する、又は警告表示をディスプレイ等に表示するといった方法が考えられる。
さらに、ステップS109において、充放電装置10dは、蓄電装置20dに高周波電流を流している最中も、温度センサー40により測定された温度が所定の温度未満であるか否かを判断する。所定の温度以上になった場合には、充放電装置10dは、蓄電装置20dに高周波電流を流すのを停止する。その際、エネルギー均等化装置は、使用者に上述したような方法で高周波電流を停止したことを知らせる。
一方、仮に本実施例におけるエネルギー均等化装置が複数の電圧検出検出器(60−1〜60−n)を備えていた場合には、図8において説明した実施例2の動作と同様である。ただし、充放電装置10dは、蓄電装置20dに高周波電流を流す前に、温度センサー40により測定された温度が所定の温度未満であるか否かを判断する。
したがって、この場合には、図8のステップS211において、充放電装置10dは、温度センサー40により測定された温度が所定の温度未満であるか否かを判断し、所定の温度未満の場合にのみ蓄電装置20dに高周波電流を流す。
所定の温度以上である場合には、充放電装置10dは、蓄電装置20dに高周波電流を流さず、ステップS201に戻る。
また実施例1の場合と同様に、温度センサー40により測定された温度が所定の温度未満であっても、高周波電流を流している最中に、温度センサー40により測定された温度が所定の温度以上になった場合には、充放電装置10dは、蓄電装置20dに高周波電流を流すのを停止する。その後、ステップS201に戻る。
上述のとおり、本発明の実施例4の形態に係るエネルギー均等化装置によれば、蓄電装置20dの内部又は近傍に蓄電装置20dの温度を測定する温度センサー40を備え、充放電装置10dは、温度センサー40により測定された温度が所定の温度未満の場合にのみ蓄電装置20dに高周波電流を流すので、実施例1の効果に加え、蓄電セル22dを温度上昇から保護して電池が推奨する使用温度範囲内で安全にエネルギーの均等化を行うことができる。
図12は、本発明の実施例5に係るエネルギー均等化装置の構成を示す図である。実施例1の構成と異なる点は、本実施例におけるエネルギー均等化装置は、充放電装置10eと、タイマー50とで構成されている点である。
タイマー50は、時間を計時して、時間情報を充放電装置10eに出力する。
充放電装置10eは、タイマー50により計時された時間情報に基づき、所定時間毎に蓄電装置20eに高周波電流を流す。ここで所定時間は、使用者が自由に設定することができる。例えば使用者は、1週間に1回、又は1ヶ月に1回といった周期で充放電装置10eが蓄電装置20eに高周波電流を流すように設定することができる。また、使用者は、日付や時刻を指定して充放電装置10eが蓄電装置20eに高周波電流を流すように設定することもできる。
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。基本的な動作は実施例1と同様である。ただし、使用者が自ら操作しなくとも、あらかじめ充放電装置10eに設定することにより、充放電装置10eは、所定時間毎に自動的に蓄電装置20eに高周波電流を流す。
また、仮に本実施例におけるエネルギー均等化装置が複数の電圧検出検出器(60−1〜60−n)を備えていた場合には、図8において説明した実施例2の動作を所定時間毎に行う。
上述のとおり、本発明の実施例5の形態に係るエネルギー均等化装置によれば、時間を計時するタイマー50を備え、充放電装置10eは、タイマー50により計時された時間情報に基づき、所定時間毎に蓄電装置20eに高周波電流を流すので、実施例1の効果に加え、蓄電装置20eが使用されていない時間帯等、適切な時間にエネルギーの均等化を行うことができる。また、定期的にエネルギーの均等化を行うことでエネルギーのばらつきが生じるのを防止することができる。
本発明は、複数の蓄電セルを直列接続してなる蓄電装置に対する充放電装置に適用可能である。
本発明の実施例1の形態のエネルギー均等化装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施例1の形態のエネルギー均等化装置の充放電装置の詳細な構成を示す図である。
蓄電セルのSOCに対するインピーダンス特性を示す図である。
蓄電セルのSOCに対するインピーダンス特性を示す図である。
蓄電セルのSOCに対するインピーダンス特性を示す図である。
本発明の実施例1の形態のエネルギー均等化装置を用いたエネルギー均等化の1例を示すフローチャート図である。
本発明の実施例2の形態のエネルギー均等化装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施例2の形態のエネルギー均等化装置の動作を示すフローチャート図である。
本発明の実施例3の形態のエネルギー均等化装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施例3の形態のエネルギー均等化装置の充放電装置の詳細な構成を示す図である。
本発明の実施例4の形態のエネルギー均等化装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施例5の形態のエネルギー均等化装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
D1、D2 ダイオード
L1 インダクタンス
10a、10b、10c、10d、10e 充放電装置
12 充電用スイッチ
14 放電用スイッチ
16 エネルギーの流れ
20a、20b、20c、20d、20e 蓄電装置
22a、22b、22c、22d、22e 蓄電セル
30 エネルギーバッファー
40 温度センサー
50 タイマー
60 電圧検出器