JP4762226B2 - 超電導磁石装置 - Google Patents
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Description
それと同時に、MRI装置用磁石は、心臓ペースメーカー装着者や他の機器への磁界の影響を防止するため、磁石自体が発生する漏洩磁界を小さく抑制することが求められている。
また、コイルの断面形状が略矩形形状であることから、コイル群を収納配置する真空断熱容器の形状にも大きな制約があった。結果的に、超電導磁石装置の外形形状にも影響を及ぼしていた。
図1は、この発明の参考例1であるMRI装置用の超電導磁石装置を示す断面図である。図1に示すように、所定空間をあけて、外形が略円柱状の上側真空断熱容器(第一の容器に相当。)1aと下側真空断熱容器(第二の容器に相当。)1bが対向配置され、それぞれの容器内には、図中Z方向に沿う軸に対し、同軸となるよう、環状に巻回しされた複数の超電導コイルが配列収納される。二つの容器(1a、1b。)は連通管3によって繋げられ、上側真空断熱容器1aは、この連通管3によって支持される構造となっている。このような形態の超電導磁石装置は、オープン型または開放型と呼ばれる。このオープン型の超電導磁石装置の斜視図を図2に示す。図2中の、二つの容器(1a、1b。)間へ向う矢印4aは、MRI装置による撮像を行う際に、この超電導磁石装置内に、被検者(人体)を挿入する方向を示している。
この例では、超電導コイル10a、11a、12a、13a(第一のコイル群に相当。)が上側真空断熱容器1a内に、同軸となるように配列収納され、同様に、超電導コイル10b、11b、12b、13b(第二のコイル群に相当。)が下側真空断熱容器1b内に、同軸となるように配列収納されている。
また、低温容器2a、2b内に配置された超電導コイルは、同軸配置された図示しない巻枠に、超電導線を巻回したものである。図1のような断面構造の超電導磁石装置は、それぞれまず個別に巻回した超電導コイルを、さらに別の支持構造体を介して緻密に組み合わせることで得られる。
図1のような構成の超電導磁石装置においては、上側、下側真空断熱容器1a、1b内に収納された複数の超電導コイルによって、容器(1a、1b。)間に位置する均一磁界空間4に上向きの均一磁界を発生する。
また、超電導磁石装置を構成するコイルは、なるべくZ方向内側、すなわちZ=0(面)方向へ向いたがる性質を持つとともに、コイルのR方向(Z=0の面上で、Z軸から遠ざかる方向。)最大外径寸法、すなわち超電導コイル10a、10bの最外周部分は、なるべく外側(Z軸から遠ざかる方向。)へ行きたがる性質を持っている。
次に、図1の超電導コイル10aを囲む領域Aの拡大断面図を図5に示し、その巻線の様子について説明する。図1では巻枠等を省略した略図が示されていたが、図5のように、全体として形状が環状であり、最大外周に相当する辺が開放された、断面形状がコの字型である巻枠20に、超電導線材21を巻回して超電導コイル10aが形成される。
なお、略蒲鉾型の断面形状である超電導コイル(例えば超電導コイル11a。)を形成する場合は、まず、上述した略扇型の場合と同様に、各層によってスペーサ22aの幅を変化させることで巻回し幅(層幅。)を調節し、巻回し高さ(層数に比例する寸法。)の中間位置に相当する層で最大の巻回し幅となるように巻線を行い、さらに上層に行くにつれて、コイルの巻回し幅が狭くなるように、段階的に幅の広いスペーサを配し、巻線作業を行うことで製作可能である。
なお、巻枠20の断面形状は、必ずしも直線的なコの字型である必要はなく、曲線を有していてもよい。その場合は、用いるスペーサ22、22aの断面形状も、巻枠20の曲線に沿う部分については、同様の曲線を反映させた形状に加工することで、巻線作業を効率良く行うことができる。
上述の参考例1では、オープン型の超電導磁石装置について説明したが、ここでは、ソレノイド型あるいは水平型と呼ばれる超電導磁石装置について説明する。図6は、ソレノイド型超電導磁石装置の外形を示す斜視図であり、図中矢印4bは、円筒状の真空遮断容器5(容器に相当する。)の、筒状開口部に、撮像時に被検者を挿入する方向を示している。図7は、ソレノイド型超電導磁石装置の断面図であり、略円筒状の真空遮断容器5には、その内部に低温容器6が配置され、その低温容器6内には、環状の超電導コイル51〜59(コイル群に相当。)が同軸となるように(Z軸に沿って。)、配列収納されている。この例では、円筒の両端部に配置された(同軸上において、コイル群の両端に位置する。)超電導コイル51、52は、その断面形状が略扇型であり、コイル群内で、同軸上における両端以外の位置に配置された超電導コイル53〜59は、その断面形状が略蒲鉾型である。
従って、最適化された超電導コイルは、真空断熱容器5の筒状開口部の内側面から遠ざかるにつれて、その巻回し幅が小さくなるように形成される。
このように、超電導磁石装置を構成する超電導コイル51〜59の断面形状が、最適化した略扇型または略蒲鉾型などの非矩形形状となるように、巻回し形成することで、効率上、最適な超電導コイルを実現でき、最適な超電導磁石装置が得られる。
先述の参考例1では、オープン型電磁石装置の超電導コイルを収納する容器(1a、1b。)の外形が円柱状であり、そのZ軸に沿う断面形状が図1に示すように矩形形状である例について述べたが、この実施の形態1では、オープン型の超電導磁石装置へ被検者を挿入する開口端をより開放的にするために、容器の対向面側の外周角部を削り取ったようなテーパー状とする例について説明する。
また、上側、下側真空断熱容器31a、31bのテーパー部分30の形状に合わせて、低温容器32a、32bの形状もテーパーを反映させた形状とすることは言うまでもない。
巻線作業は、次のように行う。まず、巻枠20a内の底面(巻枠20a内の最内周面。)に絶縁層25および必要に応じて層間絶縁材23を巻き付け、その上に、二つのスペーサ22、22cを、それぞれ両側に配置する。スペーサ22は、巻枠20aの内側面(コイルの高さ方向に伸びる内側面。)に沿うように配置され、そこから1層目の超電導線材21を巻き付けるスペースを空けて、スペーサ22cを配置する。巻枠20aに沿っていない側に配置されるスペーサ22cは、テーパー形状30が反映される曲線的な面を持ち、その面は、コイルを巻き終わった段階でテーパー形状に沿うように、曲線的に加工された状態となる。
なお、二つの容器(31a、31b。)のうち、いずれか一方の対向面側外周部をテーパー形状とするだけでも、テーパー形状としない場合と比較して、より開放的な構造とできることは言うまでもない。
次に、ソレノイド型超電導磁石装置の筒状開放部開口端をテーパー状に形成する場合について説明する。図13はソレノイド型超電導磁石装置の断面図であり、真空断熱容器(容器に相当する。)41を、その両端部において、開口部内側から開口端に向かうにつれて、筒状開口部の開口径が大きくなるようにテーパー状に形成する(テーパー部分40。)とともに、その両端部に位置する超電導コイル51a、52aを、テーパー部分40の形状に沿うように、真空断熱容器41の筒状開口部の内側面から遠ざかるにつれて、その巻回し幅が大きくなるように、かつ真空断熱容器41の最端部から開口部内側に向うにつれて、その巻回し高さが大きくなるように形成する。
このように、テーパー形状40を反映させた超電導コイル51aを形成し、真空断熱容器41のテーパー部分40に位置する低温容器42内部に配置することで、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
次に、この発明の参考例3について図15を参照して説明する。
一般的に、超電導コイルは、コイル内の最大磁束密度が大きくなるにつれて、クエンチ(常電導転移)のリスクが高くなるため、なるべくコイル内の最大磁束密度が小さくなるように設計するか、なるべく高い磁束密度に耐えうる超電導線材を使用する。言い換えれば、コイル内の最大磁束密度に耐えうる超電導線材が存在しなければ、MRI装置としての機能を有しないということになる。
例えば、超電導線材として比較的安価なNbTi(ニオブチタン)は、6T(テスラ)程度がほぼ限界であり、それ以上の磁束密度になると、例えばNb3Sn(ニオブ3スズ)などの超電導線材を使用せざるを得ない。しかし、現在Nb3SnはNbTiに比べて3〜5倍のコスト高となり、経済的ではない。
このとき、各コイル内の磁束密度分布を見てみると、自己磁界によってコイル表面に近づくにつれて磁束密度が高くなる性質がある他、図15(a)にその断面図を示すように、複数のコイル70がある場合には、互いに影響を及ぼし合うことから、近接する二つのコイル70の最近接部分における磁束密度が高くなる傾向がわかる。高磁束密度となる部分は、断面形状が略矩形形状であるコイル70では、最近接部分となる角部70aに相当することが多い。
1b、31b 下側真空断熱容器
2a、2b、6、32a、32b、42 低温容器
3 連通管
4 磁界均一空間
4a、4b 矢印(被検者挿入方向)
5、41 真空断熱容器
10a、10b、10c、10d、11a、11b、12a、12b、13a、13b、51〜59 超電導コイル
20、20a、20b 巻枠
21 超電導線材
22、22a、22b、22c、22d スペーサ
23 層間絶縁材
24、24a、24b 上部押さえ
25、25b 絶縁層
30、40 テーパー部分
70 コイル(断面が略矩形形状)
70a 角部
70b コイル(断面が非矩形形状)。
Claims (2)
- 所定空間をあけて対向配置された第一、第二の容器、上記第一、第二の容器内に同軸となるように配列収納され、上記第一、第二の容器の間に均一磁界を発生する、環状の巻枠に超電導線材が巻回しされた複数の超電導コイルよりなる第一、第二のコイル群を備え、上記第一、第二の容器の対向面外周部をテーパー状に形成するとともに、その対向面外周部に位置する上記超電導コイルを、テーパー形状に沿うように、断面形状がL字型の上記巻枠に上記超電導線材を巻き付け、上記第一、第二の容器の対向面から遠ざかるにつれて巻回し高さが大きくなるように、かつ上記第一、第二の容器の外周から軸に向かうにつれて巻回し幅が大きくなるように形成することを特徴とする超電導磁石装置。
- 筒状開口部が設けられた容器、上記容器内に同軸となるように配列収納され、上記容器の開口部内に均一磁界を発生する、環状の巻枠に超電導線材が巻回しされた複数の超電導コイルよりなるコイル群を備え、上記容器を、その両端部において、開口部内側から開口端に向かうにつれて、上記筒状開口部の開口径が大きくなるようにテーパー状に形成するとともに、その両端部に位置する上記超電導コイルを、テーパー形状に沿うように、断面形状がレの字型の上記巻枠に上記超電導線材を巻き付け、上記容器の筒状開口部の内側面から遠ざかるにつれて、その巻回し幅が大きくなるように、かつ上記容器の最端部から開口部内側に向うにつれて、その巻回し高さが大きくなるように形成することを特徴とする超電導磁石装置。
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