JP4761599B2 - 半導体装置 - Google Patents

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  • Metal-Oxide And Bipolar Metal-Oxide Semiconductor Integrated Circuits (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、短チャネル効果や製造ばらつきに起因する閾電圧(Vth)のばらつきを抑える金属・絶縁物・半導体・電界効果トランジスタ(MISFET)等の半導体装置とその製造方法に係り、特に、MISFETのチャネル不純物プロファイルやカウンター不純物プロファイル等の不純物プロファイルの形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、MISFETの微細化に伴ってチャネル不純物プロファイルのばらつきがVthに与えるばらつきが増大し、回路特性へ与える障害を警告されている。
【0003】
相補型・金属・酸化物・半導体(CMOS)回路で用いるpMOSFETの場合、n+ポリシリコンゲートを用いる時、チャネル表面にカウンタードープを行う。このドープによりチャネル領域にチャネル不純物と異なる導電型の不純物層が設けられ、埋め込みチャネルが形成される。n+ポリシリコンゲートpMOSFET埋め込みチャネルは浅いカウンタードープ層を用いなければ短チャネル効果の影響を強く受ける。ここで、微細化によりゲート長がリソグラフィーの制御の限界程度まで短くなると、ゲート長のばらつきのゲート長に対する比が大きくなる。そして、短チャネル効果に起因する電気特性のばらつきが生じ、CMOS回路の歩留まりを落とす原因となっている。また、微細化に伴う電源電圧を低下させる要請がある。電源電圧の低下にはVthを下げればよい。しかし、短チャネル効果を抑制するには基板濃度を高くすることが有効であり、一般に高い基板濃度を用いるとVthが高くなってしまう。これでは、微細化しても高品位の電気特性が得られない。
【0004】
そこで、基板表面のカウンタードープ層の濃度を高くすることにより、基板濃度は高く短チャネル効果抑制の効果はそのままに、埋め込みチャネルpMOSFETのVthの低減を行おうとすると、高濃度のカウンタードープ層を極めて浅く形成しなければならない。しかし、ゲート絶縁膜形成が不純物活性化アニールなどの高温の工程を経る際の熱拡散を受けるために、高濃度のカウンタードープ層を極めて浅く形成することは困難な課題となっている。
【0005】
埋め込みチャネルを形成するためにチャネル不純物層へカウンタードープを行い逆導電型の不純物層を設けるべく、なだらかなプロファイルをもつn型不純物分布に、表面部分をうち消すようにp型不純物を浅く導入する努力が払われてきた(I.C.Kizilyalliら、n+ −Polysilicon Gate PMOSFET’s with Indium Doped Buried−Channels,IEEE Electron Device Letters,Vol.17,pp46−49,1996)。カウンタードーパントであるp型不純物を浅く導入して浅い正味のp型領域を形成した方が、深く導入した場合よりも、チャネルがより表面近くに生じ、ゲート絶縁膜の実効的厚さの増加や短チャネル効果の劣化などの特性劣化が防げるられるためである。これには、pn接合位置付近のチャネル不純物であるn型不純物濃度が高く、これをうち消すために高いp型不純物濃度を必要とした。しかし、nポリシリコンゲート電極による埋め込みチャネルを有するpMOSFETのように埋め込みチャネル構造を有するMOSFETはVthのばらつきが大きいことが知られている。
【0006】
また、nMOSFETの場合でも低電源電圧化に伴って低いVthが要求されており、高いチャネル不純物濃度のもとでもカウンタードープを用いることにより低いVthが得られる。特に、微細化に対応してゲート抵抗を低減することなどポリゲートの欠点を除くことを目的として開発が進められている。ゲート電極に金型材料を用いるメタルゲートの場合、nMOSFETの場合でも、高い仕事関数に起因して、短チャネル効果に耐える高いチャネル不純物濃度のもとで所望の低いVthを実現するために、埋め込みチャネル構造が用いられている (A.Chatterjeeら、CMOS Metal Replacement Gate Transistors using Tantalum Pentoxide Gate Insulator,IEDM 98,pp777−780,1998)。しかし、メタルゲートで低いVthを実現した例はほとんど報告されておらず、埋め込みチャネルでVthばらつきが一般に大きいことなどを理由としてメタルゲートでも表面チャネルを用いるべきとする主張もあり、メタルゲートでは用いるチャネルプロファイルが大きな課題となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、埋め込みチャネル構造を有するMOSFETはVthのばらつきが大きいことが知られていたが、ばらつきの原因は必ずしも明らかにされていなかった。そこで、発明者らは、ばらつきの原因を明らかにすることとした。
【0008】
図1は埋め込みチャネルを形成するnMOSFETのゲート酸化膜の直下の半導体中の典型的な不純物プロファイルの模式図である。横軸はゲート酸化膜と半導体の界面からの距離であり、縦軸は不純物の濃度である。チャネル不純物のp+領域を表すチャネル不純物プロファイル1は半導体界面から内部まで高濃度で一定であるとみなせる。また、カウンタードーピングした異なる導電型のn+不純物層を表すカウンター不純物プロファイル2は半導体界面から10nmの深さまで存在し、濃度はチャネル不純物のp型不純物濃度より高濃度で一定であるとみなせる。このように不純物プロファイルをみなし、以下のVthとそのばらつきのシミュレーションを行った。
【0009】
図2はメタルゲートの場合に、典型的な埋め込みチャネルの構造を用いた場合の、カウンター不純物濃度に対するVthとカウンター不純物プロファイルのばらつきによるVthばらつきをシミュレーションした結果である。電源電圧1Vを想定し、ドレイン電極に1Vを印可してVthを求めた。ここで、図1のチャネル不純物プロファイル1の濃度は、2×1018cm−3としている。横軸はカウンター不純物濃度であり、縦軸はVthと、図1のプロファイル2の形状変化によるVthの変化量である。+印はVthを表している。□印は深さ10nmまで存在したプロファイル2が0.5nm浅くなり深さが9.5nmまでになった時のVthの変化量を表している。△印はプロファイル2の濃度が2%減少した時のVthの変化量を表している。変化の幅をこの様に設定しているのは半導体製造装置等による製造ばらつきを想定したからである。これより、低Vthである例えば0.4Vを達成するするためには、カウンター不純物濃度は5.3×1018cm−3の高濃度が必要であることがわかる。また、この濃度において、□印の深さのばらつきによるVthのばらつきは50mVに達する。△印の濃度のばらつきによるVthのばらつきは10mVに達することがわかった。
【0010】
このシミュレーションからばらつきが大きくなる理由は以下のように考えられた。ここではnMISFETの場合を例として説明する。
【0011】
MISFETのVthは、チャネル不純物およびカウンター不純物それぞれのプロファイルの如何にかかわらず、正味の不純物プロファイルで決定される。ここで「正味の不純物プロファイル」とは、正味の不純物濃度のプロファイルのことで、「正味の不純物濃度」とは、同じ位置におけるp型およびn型不純物濃度の差の絶対値のことである。なお、ここで、不純物濃度とは全て電気的に活性な不純物の濃度、即ち活性濃度の意味であり、化学的な不純物原子濃度を意味しない。一般に、半導体中に導入されて、p型、n型不純物として振る舞う不純物は物質種、濃度等により電気的に活性化される割合(活性化率)が異なっている。本願の記載範囲では、濃度は化学的不純物濃度を意味せず、「濃度」、「活性濃度」共に、「電気的に活性化された不純物の濃度」を意味する。従って、例えば、上記の不純物濃度の差の絶対値」とは、p型不純物濃度がn型不純物濃度より大きい時はp型不純物濃度を示し、逆にn型不純物濃度がp型不純物濃度より大きい時はn型不純物濃度を示す。同じ位置付近の同じ濃度の両極性の不純物の電荷は互いにうち消し合って、正味の電荷には寄与しないからである。トランジスタ動作時においては、ゲートバイアスを印加するに伴い空乏層端が基板奥側へ延び、空乏層端よりも浅いシリコン領域の正味の不純物による空間電荷は電界を形成し、トランジスタ動作を決定している。即ち、空乏層端が延びるに従い、キャリア(この場合ホール)が基板奥へ排除されて空乏層が広がり、この領域での正味の不純物濃度に対応する空間電荷のうちキャリア(電子またはホール)の電荷によりうち消されない部分がチャネルの電界の形成に加わる。ここで、空乏層とは、不純物濃度に対してキャリア濃度が10%以上小さい領域と定義する。
【0012】
短チャネル効果を抑制するためには空乏層は基板表面近くに止まる必要があり、このためチャネル不純物は高濃度が要求される。基板表面における高濃度のチャネル不純物領域をうち消すために、高濃度のカウンター不純物を導入する必要がある。カウンター不純物のプロファイル2の濃度が高濃度であるので、深さのばらつきや濃度のばらつきは、pn接合の位置や接合近くのp型領域の正味のプロファイルにばらつきを与えると考えられる。また、チャネル不純物のプロファイル1の濃度も高濃度であるので、その濃度のばらつきもpn接合位置やn型領域の正味のプロファイルにばらつきを与えると考えられる。このことによりチャネル不純物およびカウンター不純物の濃度ばらつきの絶対値が大きいと、pn接合位置付近での正味の濃度のばらつきが大きくなる。この正味の濃度のプロファイルにVthが依存している。p型不純物またはn型不純物の少なくともどちらか一方のプロファイルがばらつくと、正味のプロファイルにばらつきが生じVthに変動が生じやすいと考えられる。埋め込みチャネルが表面チャネルに比べてVthばらつきが大きい理由も、1つのプロファイルでVthが決まる表面型トランジスタに比べて、上記のように2つのプロファイルで決定されるチャネル構造が変動しやすく正味のプロファイルがばらつきやすいためであると説明できる。
【0013】
以上の事柄は、n型不純物を非常に浅くまたは低濃度に導入することにより、あるいはゲート電極材料の仕事関数を制御することにより、あるいは基板バイアスをかけることにより、チャネルが埋め込み型とならず表面型である場合にも、あるいは表面型と埋め込み型との境界である場合でも、チャネルにpn接合を有するトランジスタにおいては同様に含まれていた問題である。
【0014】
一般に金属または金属化合物をゲート電極に用いた場合、その仕事関数がシリコンのバンドギャップの中程に位置するため、MISFETのVthが高くなる。このVthを微細化の要求に沿って下げるために、先に述べたように埋め込みチャネルが用いられているが、埋め込みチャネルでは一般にVthのばらつきが大きく、微細化を推し進めた集積回路において、十分な歩留まりが得られると予測することができなかった。他方、埋め込みチャネルを用いることを避けるためにシリコンのバンドギャップの端に近い仕事関数を持つ金属を開発して用いようとした場合、CMOS回路に用いるためには、nMISFET用とpMISFET用とに異なる金属材料を用いる(デュアルゲート)こととなり、想定される製造工程が複雑となるだけでなく、多大な開発コストが必要となる。このように、メタルゲートMISFETをCMOS集積回路に用いるために開発する上では、微細化の要求にそった仕事関数値とチャネルプロファイルの組み合わせの適切な解が見いだせない状況であった。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、短チャネル効果や製造ばらつきに起因するVthのばらつきを抑える半導体装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の目的は、短チャネル効果や製造ばらつきに起因するVthのばらつきを抑える半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
次に、発明者らは、Vthのばらつきの原因を手掛かりに、Vthのばらつきの小さい不純物プロファイルを検討することとした。
【0018】
まずは、p型およびn型不純物の2つのプロファイルを重ねるとVthのばらつきが大きくなりやすい点に注目し、1つのプロファイルすなわちチャネル不純物プロファイルの最適化によるVthばらつきの低減を試みた。
【0019】
図3は、表面チャネルを形成するnMOSFETのゲート酸化膜の直下の半導体のチャネル不純物プロファイルの模式図である。横軸はゲート酸化膜と半導体の界面からの距離であり、縦軸はチャネル不純物の濃度である。まず、基板の深さ方向全域でp+領域で高濃度で一定である場合を考える。チャネル不純物プロファイルは線分4と点線3で表される。微細化が進められるに従って短チャネル効果によってVthのばらつきが大きくなる。短チャネル効果はゲート絶縁膜の薄膜化、基板濃度の高濃度化により抑制できる。短チャネル効果はソース及びドレインの両方又は特にドレインの拡散層深さを浅くすることによっても有効に抑制される。しかし、ここでは特にチャネル不純物が短チャネル効果に与える影響を考察し、ソース・ドレイン構造は固定している。シミュレーションで用いたソース・ドレイン拡散層接合深さは35nmである。次に、微細化が進められるに従い低消費電力化の要求に基づいて低い電源電圧が求められ、これに合わせて低いVthが求められている。低いVthを実現するためには基板表面部分の濃度を低減すれば良い。すなわち、2つの要請を満足させるためには、チャネル不純物プロファイル1の点線3を線分5と6に変更し、ステップ状のプロファイルにすれば良いと考えられる。なお、チャネル不純物プロファイル1は点線7のような形状であってもよい。線分4が一定以上の長さを有することにより、所望の短チャネル効果の低減の効果が得られるからである。
【0020】
ここでステップ状のプロファイル1のVthのばらつきやすさを評価するために、Vthのばらつきに直接的に影響を与える短チャネル効果の程度を定量的に評価することを試みた。図4はゲート長(L)のばらつきに対するVthのばらつきを概念的に示す図である。横軸はゲート長で縦軸はVthである。実線8はゲート長に対するVthを表している。ゲート長が短くなるとVthは小さくなる傾向があり、この傾向が短チャネル効果である。また、ゲート長が短くなればなるほど実線8の傾きは大きくなる傾向があり、この傾きの大きさが短チャネル効果の程度を表すと考えた。そこで、この傾きの大きさが評価できるような短チャネル効果(Short Channel Effect :SCE)レンジなる評価値を新たに考えた。SCEレンジは式(1)で表される。
【0021】
(SCEレンジ:L)=Vth(L+8%)−Vth(L-8%) …………(1)
ここで、Lは任意のゲート長であり、L+8%はゲート長Lを+8%大きくしたゲート長であり、Vth(L+8%)はL+8%におけるVthである。L−8%はゲート長Lを-8%小さくしたゲート長であり、Vth(L−8%)はL−8%におけるVthである。なお、式(1)では8%としたがこれに限らず設定可能ではあり、MOSFETの製造過程で生じるゲート長Lのばらつきの範囲に設定すれば、製造過程に起因するVthのばらつきの評価が可能である。
【0022】
図4でSCEレンジで、短チャネル効果の程度が有効に評価できるか検証する。ゲート長L1の時のSCEレンジはVth軸上のレンジR1で表され、ゲート長L2のSCEレンジはレンジR2で表されることになる。レンジR2はレンジR1より大きくなっており、SCEレンジは短チャネル効果を確かに定量化できていると考える。そして不純物プロファイルを変化させることにより実線8を点線9や点線10に変えることができるとすれば、例えばゲート長L2を同じくしておいてSCEレンジが最小になる不純物プロファイルが発明者等が求めるプロファイルであると判断できることになる。チャネル不純物プロファイルのばらつきに起因するVthばらつきの大きさは、構造により異なり、チャネルにpn接合をもつトランジスタの場合でも、ゲート材料およびチャネル不純物プロファイルに対応して決まるVthの設定により異なるものである。
【0023】
図5は、メタルゲートの場合に、図3に示すステップ状のプロファイルを用いた場合の、半導体表面からステップまでの距離(図3の実線5の深さ)に対するVthとSCEレンジの関係を示すグラフである。この関係はシミュレーションにより求めた。ここで図3のチャネル不純物プロファイルの実線4の示す濃度は5×1018cm−3であり、実線6の示す濃度は1×1017cm−3である。ゲート長は95nmとしている。横軸は表面の低濃度層の深さ、すなわち、半導体表面からステップ(実線5)までの距離であり、縦軸はVthと、SCEレンジである。□印はVthを表している。△印はSCEレンジを表している。これより、表面の低濃度層の深さが深くなるほどVthは小さくなりSCEレンジは大きくなることがわかる。また、低Vthである例えば0.4Vを達成するするためには、表面の低濃度層の深さは50nmであればよく、この深さにおいて、SCEレンジは70mVに達することがわかった。さらに、表面の低濃度層の深さが50nmにおけるVthの傾きから、表面の低濃度層の深さが50nmから2.5nm浅くなり深さが47.5nmになった時のVthの変化量は14mVであることがわかる。図2のVthが0.4Vにおける深さの変動に対するVthの変化量は50mVであったから、3分の1以下に低減できていることがわかる。また、図3の実線6の示す表面の低濃度層の濃度を1×1017cm−3未満にすると、Vthはやや下がるものの、図5のシミュレーション結果はほとんど変わらない。これより濃度のばらつきに対しても図3のステップ状のプロファイルは、図1のプロファイルよりVthのばらつきが小さいと考えられる。このように図3のステップ状のプロファイルは、図1のプロファイルより、プロファイルの形状のばらつきに対してVthはばらつきにくくなってはいるものの、SCEレンジはさらに低減する必要があると考えられた。
【0024】
そこで、発明者らは、鋭意検討を行い新規の半導体装置を発明するに至った。
【0025】
すなわち、上記問題点を解決するための本発明の第1の特徴は、半導体内部に設けられる第1導電型の第1の半導体領域と、この第1の半導体領域と半導体の表面との間に設けられ、含有される第1導電型の不純物の濃度が第1の半導体領域の第1導電型の不純物濃度の4分の1より小さい第2導電型の第2の半導体領域と、半導体表面の上で、第2の半導体領域の上方に設けられる絶縁膜と、絶縁膜の上に設けられるゲート長が95nm以下のゲート電極となる金属又は金属化合物からなる導電体と、半導体表面を含み第2の半導体領域の側面と接する第2導電型の第3の半導体領域と、半導体表面を含み第2の半導体領域の側面と接する第2導電型の第4の半導体領域とを有し、前記第1の半導体領域を形成する第1導電型の不純物活性濃度が前記表面へ向けて低濃度となり、1nm当たりの濃度の比が0.9よりも小さい部分を持つと共に、しきい値電圧が0.4V以下である半導体装置であることである。
【0026】
このことにより、接合位置または基板表面付近での不純物濃度を低くでき、正味の不純物濃度とpまたはn型不純物濃度のとの差を小さくできる。そして、pまたはn型不純物濃度のばらつきが正味の不純物濃度へ与える影響を小さくし、Vthばらつきを抑制する。特に、仕事関数の値が高いためにチャネルにpn接合を設けることが必須であるメタルゲートトランジスタにおいて、Vthばらつきを抑制することが可能となる。さらに、ダマシンゲート工程を用いることにより、上記の不純物プロファイルを製造することが可能となる。本発明によるメタルゲートによるpおよびnMISFETを搭載して高性能半導体集積回路チップを高い歩留りで製造することができる。
【0027】
本発明の第1の特徴は、第1の半導体領域を形成する第1導電型の不純物濃度分布の半導体表面へ向けてのプロファイルは急峻に低濃度となり、3nm当たりの濃度の比が0.9よりも小さい部分を持つことにより効果的である。このことにより、p型不純物濃度の高い領域を確保して短チャネル効果を抑制して、かつ、正味のn型領域のプロファイルとこの領域のn型不純物プロファイルとの差を小さくし、Vthばらつきを抑制することができる。
【0028】
本発明の第1の特徴は、第2の半導体領域の半導体内部側の端部での第2導電型の不純物濃度が、半導体装置の動作時の空乏層中の第1導電型の不純物の最大濃度の2分の1よりも小さいことにより一層効果的である。このことにより、例えば、p型不純物濃度の高い領域を確保して短チャネル効果を抑制して同時にn型不純物濃度を低くし、同時に、n型不純物分布の場所依存性を小さくしてn型不純物分布のばらつきを抑え、これにより正味のn型領域分布と正味のp型領域分布とのばらつきを抑え、Vthばらつきを抑制することができる。
【0029】
本発明の第1の特徴は、第2の半導体領域の半導体内部側の端部で、第2導電型の不純物の濃度勾配が、第1導電型の不純物の濃度勾配よりも小さいことにより効果的である。このことにより、上記と同様な有利は効果を得られる。
【0030】
本発明の第1の特徴は、半導体装置の動作時の空乏層の端での第2導電型の不純物の濃度が、空乏層中の第1導電型の不純物の濃度の最大値の4分の1よりも小さいことにより一層効果的である。このことにより、第1の半導体領域、例えば、p型不純物領域のうちMISFETの特性に影響を与える領域でのn型不純物濃度を低くし、この領域での正味のp型プロファイルとp型不純物プロファイルとの差を小さくし、Vthばらつきを抑制することができる。
【0031】
本発明の第1の特徴は、第2の半導体領域を形成する第2導電型の不純物プロファイルのピーク位置が、第2の半導体領域の半導体内部側の端部よりも半導体表面よりに位置することにより効果的である。このことにより、第2導電型、例えば、n型の不純物の主な分布をp型不純物分布から離して、同時に、正味のn型領域のプロファイルとこの領域のn型不純物プロファイルとの差を小さくし、Vthばらつきを抑制することができる。
【0032】
本発明の第1の特徴は、第2の半導体領域を形成する第2導電型の不純物プロファイルのピーク位置において、第1導電型の不純物濃度は、第2導電型の不純物濃度の2分の1よりも小さいことにより一層効果的である。このことにより、第2導電型、例えば、n型の不純物分布のピーク位置におけるp型不純物濃度を低くすることにより、正味のn型領域のプロファイルとこの領域のn型不純物プロファイルとの差を小さくし、Vthばらつきを抑制することができる。
【0033】
本発明の第1の特徴は、半導体表面において、第1導電型の不純物濃度は、第2導電型の不純物濃度の4分の1よりも小さいことによりさらに効果的である。このことにより、Vthに強く影響を与える基板表面における第1導電型、例えば、p型の不純物濃度を、n型不純物濃度よりも低くすることにより、正味のn型領域のプロファイルとここでのn型不純物プロファイルとの差を小さくし、Vthばらつきを抑制することができる。
【0034】
本発明の第1の特徴は、第2導電型の不純物の半導体表面における濃度は、第2の半導体領域の半導体内部側の端部での第2導電型の不純物の濃度、又は、第2の半導体領域中の第2導電型の不純物の濃度の最大値との比が2よりも小さく、この端部での第2導電型の不純物の濃度との比が2分の1よりも大きいことによりさらに効果的である。このことにより、第2導電型、例えば、n型の不純物分布の場所依存性を小さくしてなだらかな分布とすることができるので、n型不純物分布のばらつきを抑え、これにより正味のn型領域分布と正味のp型領域分布とのばらつきを抑え、Vthばらつきを抑制し、Vth制御を容易にすることができる。
【0035】
本発明の第1の特徴は、第1の半導体領域を形成する第1導電型の不純物濃度分布の半導体表面へ向けてのプロファイルは急峻に低濃度となり、1nm当たりの濃度の比が0.9よりも小さい部分を持つことにより一層効果的である。このことにより、第1導電型、例えば、p型の不純物濃度の高い領域を確保して短チャネル効果を抑制して同時にn型不純物濃度を低くする効果を高め、同時に、Vthばらつきを抑制する効果を高めることができる。
【0036】
本発明の第1の特徴は、第1導電型の不純物がインジウムであることによりさらに効果的である。このことにより、nMISFETの場合に、小さな拡散係数をもつインジウムの特徴を活用してp型不純物分布を形成できる。
【0037】
本発明の第1の特徴は、第2導電型の不純物がリンであることによりさらに効果的である。このことにより、大きな拡散係数をもつリンの特徴を活用して、なだらかなn型不純物分布を持つnMISFETを製造することができる。
【0038】
本発明の第1の特徴は、第2導電型の不純物がアンチモン又は砒素であることによりまたさらに効果的である。このことにより、小さな拡散係数をもつアンチモンの特徴を活用して、狭い分布幅をもつn型不純物分布を持つnMISFETを実現することができ、p型不純物分布との重なりの小さなn型不純物分布を実現し、短チャネル効果を抑制するために十分な正味のp型不純物濃度を確保した上でVthばらつきが小さいVthを持つMISFETを製造することができる。
【0039】
本発明の第1の特徴は、第1導電型の不純物がアンチモン又は砒素であることにより一層効果的である。このことにより、pMISFETの場合に、小さな拡散係数をもつアンチモンまたは砒素の特徴を活用してn型不純物分布を形成できる。
【0040】
本発明の第1の特徴は、第2導電型の不純物がボロンであることによりさらに効果的である。このことにより、大きな拡散係数をもつボロンの特徴を活用して、なだらかなp型不純物分布をもつpMISFETを製造することができる。
【0041】
本発明の第1の特徴は、第2導電型の不純物がインジウムであることによりさらに効果的である。このことにより、小さな拡散係数をもつインジウムの特徴を活用して、狭い分布幅のp型不純物分布をもつpMISFETを製造することができる。
【0042】
本発明の第1の特徴は、導電体が金属又は金属化合物であることによりさらに効果的である。このことにより、ゲート電極を低抵抗化でき、しかもポリゲートのように界面の空乏化による実効的ゲート絶縁膜厚さの増加をなくすことができる。そして、短チャネル効果に強く低VthのMISFETを小さなVthばらつきにおいて実現することができる。
【0043】
本発明の第1の特徴は、半導体に、第1導電型がp型である本発明の第1の特徴である半導体装置と、第1導電型がn型である本発明の第1の特徴である半導体装置とを搭載することによりさらに効果的である。このことにより、低いゲート抵抗をもちポリゲートのようにゲート絶縁膜の実効的厚さの増加を起こさないメタルゲートのnMISFETおよびpMISFETの片方又は両方をVthのばらつきが小さくなるよう製造することができ、低消費電力高性能の半導体集積回路チップを実現することができる。
【0044】
本発明の第1の特徴は、第1導電型がp型である本発明の第1の特徴である半導体装置の導電体と、第1導電型がn型である本発明の第1の特徴である半導体装置の導電体とが、同一の金属または金属化合物で構成されていることにより一層効果的である。このことにより、一種類のゲート電極材料によってpMISFETとnMISFETの両方をメタルゲートにより製造することにより、製造工程を簡略化し、半導体集積回路チップを低いコストで実現することができる。
【0051】
以上、本発明によれば、プロセスばらつきによる不純物プロファイルのばらつきの影響を受けず、高性能なトランジスタの微細化を図れる半導体装置およびその製造方法を実現できるようになる。さらに、本発明は、メダルゲートの場合に、チャネルにpn接合をもつ不純物プロファイルを用いて短チャネル効果に強いMISFETを実現し、かつ低いVthを実現した上で、前記不純物分布の特徴により不純物分布ばらつきに起因するVthばらつきを抑制し、ポリシリコンゲートの場合よりも優れた性能をもつトランジスタを実現して高い歩留まりで微細化を推し進めた集積回路を製造する方法を提供する。
【0052】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態としてVthばらつきを低減できる半導体装置とその製造方法について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0053】
図6は、半導体装置であるMOSFETの断面図である。MOSFETは基板11、ソース領域12、ドレイン領域13、ゲート絶縁膜14とゲート電極15で構成される。後の説明のために座標軸17を設定する。座標軸17は基板11と絶縁膜14の界面をゼロ点とし真下の方向を正としている。すなわちこの軸17は基板11内の深さを表す。なお、ゼロ点は図中の位置に限られるわけでなく、上記界面であればソース領域12とドレイン領域13と重ならなければどこでもよい。また、ソース領域12とドレイン領域13の底面を含むように延長した平面16と軸17の交点を深さAとする。通常深さAは35nm前後の深さである。
【0054】
図7は本発明の実施の形態に係る半導体装置の基本となる不純物プロファイルである。横軸は図6の座標軸17である。図7(a)の縦軸は正味の不純物プロファイルであり、(b)はチャネル不純物プロファイルとカウンター不純物プロファイルである。図7の(a)と(b)の関係は、(b)の深さ毎のチャネル不純物プロファイルとカウンター不純物プロファイルの差の絶対値が、(a)の正味の不純物プロファイルであるという関係である。
【0055】
図7(a)では、深さBより深い領域に第1導電型の正味の不純物プロファイル18が位置している。プロファイル18の濃度は一定値であっても良いし、点線21のように小さい濃度の領域があってもよい。深さゼロから深さBの間の領域には第2導電型の正味の不純物プロファイル19が位置している。プロファイル19の濃度はプロファイル18内の最高濃度より小さいことが望ましい。深さBは図6の深さAより浅いことが望ましい。ここで、「第1導電型」と「第2導電型」とは、互いに反対の導電型である。すなわち、第1導電型をn型とすれば、第2導電型はp型であり、第1導電型をp型とすれば、第2導電型はn型である。
【0056】
図7(b)では、チャネル不純物プロファイル1が、深さBより浅い領域では低濃度に、深いところでは高濃度になっている。低濃度はゼロであっても良い。カウンター不純物プロファイル2は、深さゼロから深さBの間の領域に位置している。プロファイル2の濃度は、プロファイル1の深さゼロから深さBの間の領域の濃度より大きい。すなわち、ソース及びドレイン電極の接合深さ付近に高濃度不純物領域を設け、この不純物領域を表面に向けて急峻に低濃度にし、この低濃度部分に逆の極性の不純物領域を設けるものである。
【0057】
本発明者等の考察によれば、カウンター不純物を導入するMOSFETチャネルプロファイルの場合に、同じ正味の不純物濃度を与える不純物プロファイルであっても、逆の極性の高濃度不純物が互いに打ち消しあっている場合よりも、打ち消し合いがないか小さく、それぞれの不純物濃度と正味の不純物濃度との差が無い場合の方が、プロセスばらつきに起因する不純物のばらつきによって生じるVthばらつきが小さい。これは、複数のプロファイルが互いに打ち消し合って生じる正味のプロファイルはそれぞれの不純物分布のばらつきの両方に影響されるためである。さらに、打ち消し合いを用いないことにより表面カウンター不純物の濃度自体も低くすることができ、この事実によりさらにVthばらつきを抑制できる。低い濃度の場合のプロセスばらつきによる濃度ばらつきの絶対値は、高い濃度の場合のそれよりも一般に小さいからである。
【0058】
さらに、微細化に伴って、チャネル空乏層領域に含まれる不純物原子数は減少し、その個数乃至配置の統計的ばらつきがVthにばらつきを与える。カウンター不純物層を設けた場合のこの統計的ばらつきの影響についてはこれまで学会等でも報告がなく調べられていない。本発明者等の考察によれば、同じVthを与える不純物分布について比較すると、カウンター不純物の基板表面近くの濃度が高いほど、その個数及び配置のばらつきがVthに与える影響は大きい。従って、本発明の不純物プロファイルにより短チャネル効果を抑制するために必要な高濃度チャネル不純物領域の、表面部分を急峻に低濃度とし、基板表面近くのカウンター不純物濃度を低くし同じVthを実現するための不純物個数を少なくすることにより、統計的ばらつきが与えるVthばらつきを小さくすることができる。
【0059】
ここで不純物濃度または不純物原子数とは前述のように活性不純物濃度または活性不純物原子数であり、シリコン中に含まれる当該不純物の化学的濃度のうち電気的に活性な部分のシリコン中濃度、または原子数である。一般に、活性不純物濃度は当該不純物の化学的濃度よりも小さく、その比を活性化率という。イオン注入等によりシリコン中に導入された不純物は一般に部分的にのみ活性であり、残りの部分は熱工程により活性化されるが、一般に高濃度となるほどその活性化率は小さくなる。また、特に基板表面近くないし基板表面とゲート絶縁膜との界面では、活性化率が小さくなることがある。一般にチャネルプロファイルに用いられる濃度領域、即ち5×1018cm−3程度以下であれば、殆どの不純物種について、通常の活性化アニール工程を経れば活性化率はほぼ100%と考えてよいが、基板表面近くではこの活性化率を確保できないことがある。図1に示す従来の埋め込みチャネルの不純物プロファイルは、基板表面近くに高濃度の不純物領域を持ち、活性化率の低下が生じる怖れがある。図7(b)の活性不純物濃度分布の場合には、基板奥側の高濃度チャネル不純物領域は活性化率は一般に十分高く、また、基板表面側は高濃度を必要としないために活性化率は一般に十分高く、従って実現するには図7(b)とほぼ同じ当該不純物原子分布を形成すればよい。この当該不純物の化学的不純物原子分布は、SIMS分析などの不純物分析技術を用いることによって確認することができ、図7(b)のプロファイルは、設計段階において基板表面近くの活性化率低下を考慮せずにチャネルプロファイル設計ならびにイオン注入エネルギーやドーズ量等のプロセス設計を行うことができる。図7(b)のチャネル不純物プロファイル1の高濃度部分の十分な高濃度を確保することは、短チャネル効果を抑制する上で重要である。このため、5×1018cm−3程度以上の高濃度を用いて、不純物種に応じてこの部分の活性化率が低下するまで高濃度を導入し、活性不純物濃度を確保する必要が生じることがある。この場合、SIMS分析等で得られる化学的不純物分布の基板表面へ向けての低濃度領域の急峻さと、活性不純物分布の急峻さとは厳密には異なり、活性化率の低下が生じている部分では、活性不純物分布の急峻さは化学的不純物分布のそれよりも緩やかになる。このため、設計に当たっては活性化率により換算して活性不純物分布を十分急峻に形成するよう留意する必要がある。但し、この場合でも活性化率により急峻さが影響を受けるのは一般に高濃度のピーク近辺であり、一方、プロファイルを設計する上では基板表面部分のチャネル不純物プロファイル1の低濃度部分を十分に低濃度に保つこと並びに、この表面へ向かう部分でのチャネル不純物プロファイル1の活性不純物分布を十分急峻に低濃度にすることが有効であり、通常この表面近くの濃度におけるチャネル不純物プロファイル1の活性化率は十分に大きく、SIMS分析等により化学的不純物分布を確認することにより活性不純物分布の急峻さを確認することができる。
【0060】
カウンター不純物の分布の詳細は、状況に応じて幾つかの場合がある。例として、ゲート電極にシリコンのバンドギャップの中央のエネルギレベルにフェルミレベルが一致する金属(ミッドギャップのゲート電極)を用いる場合の、nMOSFETを主に考える。このゲート材料の場合、pMOSFETに対してもゲート電極と基板とのバンド図は極性を逆にすれば同じになるので、不純物の極性を逆にしたプロファイルを用いることによりpMOSFETにも適用できる。
【0061】
メタルゲートnMOSFETの場合、基板とゲート電極との仕事関数差がn+ポリシリコンゲートの場合よりも小さいため、n+ポリシリコンゲートを用いたnMOSFETよりもVthが高くなる。低Vth化の要求に応えるためにカウンター不純物を用いて従来の埋め込みチャネルを用いて低いVthを得ることが可能である。しかし、本発明者等がシミュレーションを用いて検討した結果、従来の埋め込みチャネル構造を用いるとプロファイルのばらつきに起因するVthのばらつきが非常に大きくなることがわかった。。
【0062】
本発明者等が用いる構造は、メタルゲートnMOSFETのVthに応じて2つの場合に分類される。チャネルp型不純物の表面側にカウンター不純物が無い時、Vthは高く、チャネルは表面チャネルであり、カウンター不純物を加えるに従い、Vthは徐々に低くなり、チャネルは徐々に埋め込みチャネルになる。表面チャネルと埋め込みチャネルの中間の、Vthにおいてチャネルが基板の奥側でなく基板表面に生じている範囲では、埋め込みチャネルで従来問題となっていたゲート絶縁膜厚さの実効的増加が問題にならない。従って、本発明者等の考察によれば、この範囲では従来の埋め込みチャネルpMOSFETで行われたようにカウンター不純物を浅く導入することが電気特性の改善をもたらさず、カウンター不純物を浅く導入する必要はない。
【0063】
この、埋め込みチャネルになる直前のチャネル構造を与えるのは、ミッドギャップのメタルゲートの場合Vthは0.4V程度になる。Vthが0.4V程度以下に設定する場合、チャネルは基板表面よりも奥側に生じ、ゲート絶縁膜の厚さの実効的増加が生じる。
【0064】
まず、ミッドギャップのメタルゲートを用いた時のVthは0.4V以下(pMOSFETでは−0.4Vよりも絶対値が小さいVth)で、チャネルが埋め込みチャネルとなっている場合、または、n+ポリシリコンゲートを用いた場合の埋め込みチャネルpMOSFETの場合、図8(b)のようなカウンター不純物プロファイル2を用いることができる。図8(b)では、図7(b)のプロファイル1と同じに表面近くのチャネル不純物濃度を急峻に低くすることにより低い濃度のカウンター不純物により所望のVthを得て、このカウンター不純物プロファイル2を基板表面に浅く形成して実効的なゲート絶縁膜厚さの増加を抑えている。なお、メタルゲートのゲート電極のフェルミレベルがミッドギャップからずれている場合には、Vthの値もそれだけずれる。すなわち、ゲート電極のフェルミレベルがxVだけミッドギャップよりも伝導帯側にずれている場合には、nMOSFETに対する上記表面チャネルと埋め込みチャネルの境界のVthは(0.4−x)V程度に、pMOSFETに対しては−(0.4+x)V程度になる。なお、図8(a)は(b)の深さ毎のチャネル不純物濃度とカウンター不純物濃度の差の絶対値から求まる正味の不純物濃度である。
【0065】
次に、メタルゲートの表面チャネルと埋め込みチャネルの境界付近以上のVth(pMOSFET)の場合はこの境界での値よりも絶対値が大きいVth)の場合は、必要に応じて、図9(b)と図10(b)に示すカウンター不純物プロファイル2を用いる。先に述べたようにこの場合にはカウンタープロファイルを浅く形成する必要が無い。図9(b)又は図10(b)のプロファイルは、チャネルp型不純物とカウンターn型不純物とのpn接合での不純物濃度が低く、pn接合での濃度の打ち消し合いが起こらない。チャネルp型不純物の活性化濃度が十分に上がらないなど、短チャネル効果を抑制するために十分な不純物濃度が得られない場合に、カウンターn型不純物濃度がチャネルp型不純物濃度を打ち消さない図9(b)または図10(b)のカウンター不純物プロファイルを用いる必要がある。図10(b)では基板表面のカウンター不純物濃度を低くしており、チャネルキャリア(電子又はホール)が不純物と散乱することによる移動度の低下を防ぎ、電流値を大きくすることができる。ただし、浅い表面低濃度層の幅の中に狭い分布のカウンター不純物プロファイル2をばらつきなく形成することは困難であり、精密なプロセス制御が可能な場合に用いるのがよい。
【0066】
本発明者等のシミュレーションが示すように図9(b)又は図10(b)においてカウンター層の分布の幅は大きい方が、プロセスばらつきがVthばらつきに与える影響は小さくなる。従って、p型不純物の活性濃度を打ち消さない程度に幅の大きなカウンターn型不純物濃度を用いるのがよい。なお、図9(b)と図10(b)のチャネル不純物プロファイル1は、図7(b)のチャネル不純物プロファイル1と同じである。また、図9(a)は(b)の深さ毎のチャネル不純物濃度とカウンター不純物濃度の差の絶対値から求まる正味の不純物濃度である。図10(a)は(b)の深さ毎のチャネル不純物濃度とカウンター不純物濃度の差の絶対値から求まる正味の不純物濃度である。
【0067】
チャネルp型不純物の活性化濃度が短チャネル効果を抑制するために十分な程度に高くできる場合には、図11と図12のプロファイルを用いることができる。
【0068】
図11(a)では、基板表面のチャネルp型不純物濃度を表面で急峻に低濃度とすることによりカウンター不純物濃度を低くし、このカウンターn型不純物プロファイル2がチャネルp型不純物プロファイル1と重なりを持つ。急峻に低濃度となるチャネルp型不純物プロファイル1を用いることにより低濃度のカウンターn型不純物により所望の低いVthを実現することができる。低濃度のカウンターn型不純物を用いていることによりチャネルp型不純物濃度のn型不純物による打ち消しを小さくし短チャネル効果抑制のために必要な正味のp型不純物濃度を確保することができる。十分な活性p型不純物濃度が確保できる場合には、図11(b)のようにn型不純物が基板奥まで広がった分布を持っていても良い。
【0069】
図12(a)はカウンターn型不純物プロファイル2は基板表面に低濃度部分を持つ。本発明者等の考察によれば、非常に微細なMOSFETの場合に重要になる不純物原子の個数ならびに配置の統計的ばらつきが与えるVthのばらつきは基板表面の原子を除くことによって低減される。このVthばらつきは第1導電型の不純物のばらつきに起因する部分と、第2導電型の不純物のばらつきに起因する部分とがあり、第2導電型の不純物の濃度を高くするに従って、第1導電型の不純物に起因するばらつきは打ち消されて全体のVthばらつきは小さくなり、表面チャネルと埋め込みチャネルとの境界付近で最低値を持ち、さらに第二導電型の不純物濃度を高くするに従って再びVthばらつきが大きくなる。図12(a)の不純物プロファイルによれば、基板表面近くのチャネルp型不純物濃度を急峻に低濃度化することにより基板表面近くのp型不純物原子濃度を除いて統計的ばらつきを低減し、この領域のカウンターn型不純物濃度を低くした上でさらにn型不純物プロファイル2の最表面を低濃度にすることにより、さらに原子配置及び原子個数の統計的ばらつきによるVthばらつきを低減している。図12(a)の不純物分布による不純物原子数及び原子配置のばらつきに起因するVthばらつきの低減の効果は、Vthにおいてチャネルが十分に埋め込みチャネルとなる場合に特に有効となる。カウンターn型不純物の表面を低濃度とする構造において、図12(b)のように低濃度のカウンターn型不純物が基板奥まで分布していても良い。
【0070】
非常に微細なトランジスタにおけるチャネル領域の不純物原子数の減少に伴って生じるこの原子数及びその配置の統計的ばらつきによるVthのばらつきは、表面チャネルについて議論されている。表面チャネルの場合、チャネルキャリア分布が生じる基板表面の位置のチャネル不純物がこのVthばらつきに最も強く寄与し、また、チャネル空乏層中の基板表面側の不純物ほどこのVthばらつきにより強く寄与することが本発明者等により明らかにされている。
【0071】
一方、埋め込みチャネルの場合、浅いカウンター不純物分布を形成する際などのプロセス上のばらつきに起因するVthばらつきも大きく、上記の統計的ばらつきについて議論はされておらず、対策も十分でない。
【0072】
例えば、カウンター不純物の基板表面を高濃度にし、基板表面より奥のチャネルキャリアが生じる位置の不純物濃度を急峻に低くすることにより、チャネルキャリアへの不純物原子数、及び、その配置の統計的ばらつきを抑制しようと努力しても、この時のゲート絶縁膜の厚さの実効的増加が抑制されることによる特性改善は見込めるものの、不純物原子の統計的ばらつきに起因するVthばらつきの抑制については、良い結果は得られない。
【0073】
埋め込みチャネルの場合には、表面チャネルの場合よりも詳しく原子数及び配置の統計的ばらつきがVthへ与える影響の要因を分析する必要がある。
【0074】
図13に示すように、ゲートバイアス(V)を決める電気ポテンシャルは、基板表面での電気ポテンシャルの値(Φs)よりも、シリコン基板表面での電界(Eox)によって決まる傾きにより、ゲート絶縁膜の厚さ分(tox)だけ、さらに低い値となっている。
【0075】
図14に示すように、表面チャネルの場合にはチャネルキャリア位置は基板表面にあり、チャネルキャリア位置での電気ポテンシャル(Φch)はΦsと一致する。なお、表面チャネルでのキャリア分布は電子波動関数の広がりを持つ。qΦchはこの広がりの重心位置におけるポテンシャルとすべきであり、基板最表面とは数nmずれている。空乏層中における不純物原子の統計的ばらつきは、Φchにばらつきを与えると伴に傾きEoxにもばらつきを与え、Vthにばらつきを与えている。Eoxはゲート電極へ達する電界である。よりゲート電極に近い側、すなわち、より基板表面側の不純物原子ほど、そのばらつきがΦsに与える影響が大きくなる。
【0076】
表面チャネルの場合には、最もΦsに大きな影響を与える基板表面の位置は、チャネルが生じる位置であり、チャネル位置での電気ポテンシャルへの不純物原子ばらつきの影響も、より基板表面側の不純物のばらつき程大きく、両者が一致していた。
【0077】
しかし、図15に示すように埋め込みチャネルの場合、ΦsのばらつきがVthに対応するポテンシャルにばらつきを与える。Φsはより基板表面側の不純物プロファイルのばらつきにより大きく影響を受ける。例えば、基板奥側のチャネルキャリアが生じる位置のカウンター不純物濃度を下げて、基板表面のカウンター不純物濃度プロファイルを急峻に高濃度とし、チャネル位置の電気ポテンシャルへの不純物原子のばらつきの影響を小さくする。しかし、基板表面のカウンター不純物濃度が高いために、ゲート電極に近い基板表面での不純物電荷がばらつくことにより、Φsのばらつきはかえって大きくなる。従って、この場合の埋め込みチャネルVthばらつきはかえって大きくなる。このことより、不純物原子の統計ばらつきによるVthばらつきを抑制するためには、チャネル位置でなく、図16のように基板表面における正味の不純物プロファイル18、19のばらつきを抑え、ΦsさらにはEoxのばらつきを抑える必要がある。特に、図12(a)と(b)のように基板表面でのカウンター不純物濃度を低くし、好ましくは濃度をゼロにすることが、Vthばらつきを抑制するために有効である。また、同様に、基板表面でのチャネル不純物の表面濃度を、短チャネル効果を劣化させない範囲で低くし、理想的には濃度をゼロにすることも、不純物原子の分布の統計ばらつきに起因するVthばらつきを小さくする上で有効である。ところで、図16は、図12(a)と(b)の深さ毎のチャネル不純物濃度とカウンター不純物濃度の差の絶対値から求まる正味の不純物濃度を表すグラフである。なお、カウンター不純物プロファイルが高い表面濃度を持つ形状をしている場合でも、逆の極性を持つチャネル不純物の表面が低いことにより、カウンター不純物の濃度を低くして所望のVthの値を得る事ができ、統計ばらつきによるVthばらつきを抑えることができる。
【0078】
埋め込みチャネルでは、カウンター不純物を表面側を低濃度として、その奥側を高濃度にする分布を形成することは、ゲート絶縁膜厚さの実効的増加をもたらし、S因子劣化や短チャネル効果増大をもたらす。これらを避けるために、浅いカウンター層形成の必要性を満たすことができなくなる。
【0079】
カウンター不純物を、低濃度あるいは狭い範囲に導入して、Vthにおいて基板表面にチャネルが生じる場合、即ち、カウンター不純物プロファイルを有するトランジスタを表面チャネルの範囲で動作させる場合、チャネル不純物の表面濃度が急峻に低濃度となり、カウンター不純物の表面濃度が低濃度となる不純物プロファイルが有効である。チャネルが基板表面に生じているために、ゲート絶縁膜の厚さの実効的増加が無く、従って、浅いカウンター不純物層形成の必要性が小さい。Vthよりもゲートバイアスを下げると、カウンター不純物層の分布に応じてキャリアは徐々に基板奥となるため、ゲートバイアスがゼロの時の電流値が十分小さく保たれる程度に浅いカウンター層であればよい。特にメタルゲートの場合、カウンター不純物層を有するチャネル不純物分布を用いてVthが0.4V前後を表面チャネルの範囲で実現できる。
【0080】
図17はメタルゲートの場合に、図7に示す階段状のプロファイルを用いた場合の、カウンター不純物の濃度に対するVthとSCEレンジをシミュレーションした結果である。ここで図7のp型不純物濃度プロファイルのステップの上段の濃度は5×1018cm−3であり、ステップ下段の表面近傍の濃度はゼロである。半導体表面からステップまでの距離は25nmとした。ゲート長は95nmとしている。横軸はカウンター不純物の濃度であり、縦軸はVthと、SCEレンジである。□印はVthを表している。△印はSCEレンジを表している。これより、カウンター不純物の濃度が高くなるほどVthは小さくなりSCEレンジは大きくなることがわかる。また、低Vthである例えば0.4Vを達成するするためには、カウンター不純物の濃度は9×1017cm−3であればよく、この濃度において、SCEレンジは50mV程度であることがわかった。図2のVthが0.4Vにおけるカウンター不純物の濃度は5.3×1018cm−3であることから、同じ大きさのVthを得るために5分の1以下の濃度で達成できることがわかる。図5のVthが0.4VにおけるSCEレンジは70mVであったから、同じ大きさのVthにおいてSCEレンジを20mV低減できていることがわかる。このように図7の階段状のプロファイルは、図1のプロファイルより、カウンター不純物の濃度の低減が可能で、図3のステップ状のプロファイルより、SCEレンジが低減できVthが変動しにくいことがわかった。
【0081】
図18もメタルゲートの場合に、図7に示す階段状のプロファイルを用いた場合の、カウンタードーパント濃度に対するVthと逆導電型の不純物層のプロファイルのばらつきによるVthばらつきをシミュレーションした結果である。ここで図7のp型不純物濃度プロファイル1の形状は図16の場合と同じにした。横軸はカウンタードーピングしたn+不純物層のn型不純物濃度であり、縦軸はVthと、図7のプロファイル2の形状変化によるVthのばらつきである。×印はVthを表している。□印は深さ25nmの位置に存在するpn接合が1nm浅くなり深さが24nmになった時のVthのばらつきを表している。△印はプロファイル2の濃度が2%減少した時のVthのばらつきを表している。従って、図18の×印のVthと図17の□印のVthとは同じ関係を表していることになる。変化の幅をこの様に設定しているのは半導体製造装置等による製造ばらつきを想定したからである。これより、低Vthである例えば0.4Vを達成するするためには、n型不純物濃度は9.3×1017cm−3の高濃度が必要であることがわかる。また、この濃度において、□印の深さの変動によるVthの変化量は20mV程度であった。△印の濃度の変動によるVthの変化量は5mVであった。図2の深さの変動に対するVthの変化量は50mVであったから、40%に低減できていることがわかる。また、図2の濃度の変動に対するVthの変化量は10mVであったから、半分に低減できていることがわかる。このように図7の階段状のプロファイルは、図1のプロファイルより、プロファイルの形状の変化に対してVthは変動しにくいカウンター不純物の濃度ことがわかった。
【0082】
(実施例1)
図19は、図9の階段状の変形のプロファイルに基づき、イオン打ち込みや熱拡散等により実現できるプロファイルを求めてモデル化し、さらに、ゲート電圧が閾値電圧Vthであるときのホール濃度分布をデバイスシミュレーションを用いて求めた本発明の実施例1のMISトランジスタの深さ方向の不純物濃度プロファイルである。横軸は、ゲート絶縁膜と半導体基板との界面23から半導体内部への深さである。縦軸は不純物濃度である。実線は正味の不純物濃度プロファイルであり、黒四角を付した実線はカウンター(n型)不純物濃度プロファイルであり、白四角を付した実線はチャネル(p型)不純物濃度プロファイルであり、点線はドレイン電極に1Vを印可した時にゲート電圧がVthであるときのキャリア(ホール)濃度分布である。ここで、不純物濃度プロファイルとは、集積回路チップ内で、同じ動作をするべく作成されたトランジスタについて、チャネル領域で、ゲート端から特定の距離における不純物濃度を平均したものの基板深さ方向への分布とする。以下の実施例では、特に言及する場合を除いて、nチャネルのMISトランジスタについて説明する。pチャネルのMISトランジスタの場合には各導電型を逆にすればよい。
【0083】
実施例1では、深さ35nm付近より奥でのチャネル(p型)不純物濃度を5×1018cm−3と高くしている。そして、深さ30nm前後で急激に減少させ、基板表面23へ向けての濃度を低くしている。チャネル不純物プロファイルは短チャネル効果を抑制するために高濃度が要求され、一方、低いVthを得るために、基板表面23近くでは低濃度であることが望ましい。なお、これらのことから、チャネル不純物プロファイルはフェルミ分布関数で近似することとした。
【0084】
第1の実施例では、チャネル不純物濃度を最大で1nm当たり20%減少させ、基板表面1付近でのチャネル不純物濃度を1×1017cm−3に抑えている。このため、カウンター不純物(n型不純物)の濃度を低く抑えても低いVthを得ることができた。
【0085】
即ち、カウンター不純物濃度はおよそ1.4×1018cm−3であり、正味のn型不純物濃度はおよそ1.3×1018cm−3であり、正味のn型不純物濃度へのチャネル不純物プロファイルの寄与が小さい。このため、正味のn型不純物濃度のばらつきに、チャネル不純物分布が与える影響が小さく、カウンター不純物濃度ばらつきのみが正味のn型不純物濃度ばらつきを決める。このことにより、p型不純物濃度のばらつきがVthへ与えるばらつきを小さくできる。それのみならず、同じVthを得るためのカウンター不純物濃度を低く抑えることができるので、正味のn型不純物濃度のばらつきの絶対値が小さくでき、カウンター不純物濃度のばらつきがVthへ与えるばらつきを小さくできる。
【0086】
図20に、第1の実施例の有効性を示すために調べた3種のチャネル不純物プロファイルを示す。一般に、チャネルにpn接合を持つトランジスタにおいては、高エネルギーイオン注入および熱工程によって、チャネル(p型)不純物プロファイルはなだらかな勾配をもつ。これらのチャネル不純物プロファイルはフェルミ分布関数の形状ファクターtを2、4、6に変えて発生させた。形状ファクターtが2のプロファイルは実施例1の図19に示したチャネル不純物プロファイルと同じであり、カウンター不純物のピーク濃度は各々のp型不純物プロファイルの場合にVthが0.4Vとなるように調節した。ただ、カウンタードープのピーク位置は半導体界面から15nmの深さにおいた。一方、tが6のプロファイルは半導体界面においてtが2のプロファイルと同様に1×1017cm−3程度の表面不純物濃度をもつものの、表面へむけての濃度の減少がなだらかである。tが4のプロファイルはtが2と6のプロファイルの中間に位置している。tが6のプロファイルの場合にtが2のプロファイルと同じVth:0.4Vを得るために必要なカウンター不純物のピーク濃度は2×1018cm−3であった。また、tが4の場合は、1.7×1018cm−3であった。これよりtが小さい方が、必要とされるカウンター不純物濃度が低く、従って正味のn型不純物濃度のばらつきの絶対値が小さい。さらにチャネル不純物プロファイル全域においてチャネル不純物濃度が低く、正味のn型不純物濃度の大きさがカウンター不純物濃度で決まっているために、Vthばらつきが小さい。
【0087】
図21は、図20の3種のプロファイルのそれぞれに上記の対応するカウンター不純物プロファイルを加えた場合の、プロファイルばらつきに対するVthばらつきを示すグラフである。数値はデバイスシミュレーションを用いて求めた。nsc−5%と記した軸は、カウンター不純物濃度が5%ばらついた時のVthのばらつきの値を表す。nwell−5%と記した軸は、チャネル不純物濃度が5%ばらついた時のVthのばらつきの値を表す。rgwx−1nmと記した軸は、チャネル不純物濃度が急激に減少する位置(図20の線分25で示す深さ:30nm)が1nmばらついた時のVthのばらつきの値を表す。scp−1nmの軸はカウンター不純物濃度のピーク位置(図20の線分26で示す深さ:15nm)が1nmばらついた時のVthのばらつきの値を表す。scj−1nmの軸は、カウンター不純物濃度のピーク位置から、そのピーク位置の濃度の10分の1の濃度になる位置までの距離(20nmに設定した)が1nmばらついた時のVthのばらつきの値を表す。△印はtが6の場合であり、□印はtが4の場合であり、○印はtが2の場合である。これより、tが小さい方が、チャネル不純物濃度ばらつき、カウンター不純物濃度ばらつき、チャネル不純物プロファイルのステップ形状の段差の深さのばらつきのいずれについても、小さなVthばらつきを与えている。さらに、濃度ばらつきのみでなく、カウンター不純物濃度のピーク位置のばらつき、カウンター不純物プロファイルの形状のばらつき等に対しても、tが小さい方が小さいVthばらつきを与えることがわかった。これらのことは、Vthのばらつきを小さくするには、チャネル不純物プロファイルのステップ形状の段差部の傾きをできるだけ急峻にすればよいと考えられる。
【0088】
また、図2と比較してみる。まず、不純物濃度について、図2では2%ばらつくとVthが10mV変動したが、図21では、5%ばらついているにもかかわらず10mV程度しか変動していない。プロファイルの深さ方向のばらつきについても図2では0.5nmばらつくとVthが50mV変動したが、図21では最もばらつきやすいtが6のプロファイルのチャネル不純物のステップの位置が1nmばらついても24mVしか変動しない。このように、tが6以下であれば図2に比較して顕著にVthのばらつきを低減できる。なお、tが6のプロファイルの最大の濃度勾配は1nm当たりの濃度の比が0.9程度であり、0.9より小さければ、tが6より小さい場合に該当する。
【0089】
実施例1では、カウンター不純物プロファイルがチャネル不純物プロファイルの表面低濃度領域内に含まれるように形成されている。すなわち、カウンター不純物プロファイルの空乏層端での濃度が空乏層中のチャネル不純物プロファイルの濃度の最大値の1/4よりも小さくなるように形成されている、これらのことは、空乏層内の正味のp型不純物プロファイルでのカウンター不純物濃度が低いことにより達成される。短チャネル効果を抑制するためにチャネル不純物プロファイルの奥側に高濃度のp型不純物分布が用いられる。空乏層はチャネル不純物プロファイルの高濃度領域にひろがり、トランジスタ特性は空乏層内の高濃度チャネル(p型)不純物領域の高濃度の電荷に強く依存する。カウンター不純物プロファイルがチャネル不純物プロファイルの高濃度領域に含まれないために、空乏層内の正味のチャネル(p型)不純物プロファイルはチャネル不純物プロファイルのみで決まる。カウンター不純物プロファイルがばらついても、正味のp型不純物プロファイルのVthを決定する重要な部分は影響を受けず、Vthばらつきは小さくなる。なお、カウンター不純物プロファイルの幅を狭く形成するために、図10(b)に示すようにカウンター不純物プロファイルの基板表面側に低濃度のpn接合を形成してもかまわない。
【0090】
実施例1では、pn接合の位置でのp型およびn型不純物濃度を空乏層中での最大のチャネル不純物濃度よりも1桁以上低くすることにより、これらの変調がトランジスタ動作へ与える影響を小さくしている。ここで、空乏層とは、不純物濃度に対してキャリア濃度が10%以上小さくなる領域と定義し、図19の実施例1においては空乏層端は深さ38nm付近、空乏層中でのチャネル不純物濃度の最大値は空乏層端付近に位置し、濃度は5×1018cm−3である。なお、チャネル不純物濃度の最大値は空乏層端よりも浅い位置に存在しても良い。
【0091】
さらに、実施例1では、半導体界面において、チャネル不純物濃度がカウンター不純物濃度の4分の1よりも小さい。空乏層中の単位電荷当たりの電気特性への影響は、半導体界面側における電荷分布が電気特性に与える単位電荷当たりの影響の方が、半導体奥側における電荷分布によるそれよりも大きい。半導体界面において、正味のn型不純物濃度に対するチャネル不純物プロファイルの影響を小さくすることで、チャネル不純物濃度のばらつきが電気特性へ与えるばらつきを小さくすることができる。一方、空乏層中の正味のn型不純物濃度プロファイルのうち、最大濃度の電気特性への影響は一般に大きい。実施例1においては最大の正味のn型不純物濃度を与える場所でのチャネル不純物濃度をカウンター不純物濃度の1/4よりも小さくしており、チャネル不純物濃度のばらつきが電気特性へ与える影響を小さくすることができる。
【0092】
また、実施例1では、カウンター不純物プロファイルのピーク位置が、pn接合の位置よりも浅く位置する。このことにより、カウンター不純物の主なプロファイルはチャネル不純物プロファイルから離れて位置し、正味のn型不純物プロファイルは専らカウンター不純物プロファイルによって決まり、また正味のp型不純物プロファイルは専らチャネル不純物プロファイルによって決まる。カウンター不純物プロファイルとチャネル不純物プロファイルのばらつきによる正味のp型およびn型不純物プロファイルのばらつきを小さくし、Vthのばらつきを小さくしている。
【0093】
実施例1において、カウンター不純物濃度を高くすることにより、さらに低いVthのMISFETにおいてVthばらつきを小さく抑えることができる。その際、カウンター不純物プロファイルをチャネル不純物プロファイルの表面低濃度部分の深さ程度に抑えることが望ましいが、高濃度のカウンター不純物プロファイルを用いることによりカウンター不純物プロファイルの裾がチャネル不純物プロファイルの高濃度部分に重なる場合でも、本実施例1に示す表面へ向けて急激に低濃度となるチャネル不純物プロファイルを用いることにより、Vthばらつきを小さくすることができる。
【0094】
実施例1においては、図19のようにチャネル不純物プロファイルが表面へ向けて急激に低くなる場所を30nm付近としているが、この場所をより表面側へ移動させたプロファイルを用いることにより、短チャネル効果をさらに抑えることができる。この場合、図19の場合と同じVthを得るためには図19に示したものよりも高い濃度のあるいはより広く分布するカウンター不純物プロファイルを用いればよい。逆に、急激に低くなる場所を奥側へ移動させ、同じVthを得るために図19の場合よりも低い濃度のあるいはより狭く分布するn型不純物プロファイルを用いると、図1の場合よりも短チャネル効果が大きくなってしまう。ただし、一般に急激に低くなる場所を表面側へ移動するほど不純物のばらつきがVthへ与えるばらつきは大きくなってしまう。このように、短チャネル効果の抑制と不純物分布ばらつきによるVthのばらつきの抑制はいわゆるトレードオフの関係にある。トランジスタの製造に用いるリソグラフィやエッチングなどゲート加工の精度と、イオン注入や熱工程などチャネル不純物プロファイル制御の精度とを勘案し、所望のVthを得るために上記トレードオフにおける最適のチャネル不純物分布を用いればよい。本発明のチャネル不純物分布を用いることにより、短チャネル効果と不純物プロファイルばらつきに起因するVthばらつきが抑えられる。そして、低いVthのトランジスタを実現することができ、高い歩留まりにより高速で消費電力の低い集積回路を実現することができる。
【0095】
(実施例2)
図22は、図7の階段状のプロファイルに基づき、図19と同様にイオン打ち込みや熱拡散等により実現できるプロファイルをモデル化して求め、さらに、ゲート電圧がVthであるときのキャリア(ホール)濃度分布をデバイスシミュレーションを用いて求めた本発明の実施例2のMISトランジスタの深さ方向のチャネルプロファイルである。横軸、縦軸、実線、黒四角を付した実線、白四角を付した実線と点線の意味は図19の場合と同様である。実施例1と同様に基板表面23へ向けて急激に濃度が減少するチャネル不純物プロファイルと、pn接合位置において低濃度のカウンター不純物プロファイルを用いて、短チャネル効果を抑制している。実施例2においては、実施例1と異なり、カウンター不純物プロファイルがチャネル不純物プロファイルに交わる位置では、カウンター不純物の濃度勾配がチャネル不純物の濃度勾配よりもなだらかである。そして、カウンター不純物プロファイルが、チャネル不純物プロファイルの高濃度部分まで広がっている。
【0096】
実施例2では、半導体界面から26nmの深さ(図22の線分24の位置)でチャネル不純物プロファイルとカウンター不純物プロファイルの濃度が一致し、pn接合を形成している。界面23へ向けて急激に低濃度となるステップ状のチャネル不純物プロファイルを用いており、このことにより、pn接合でのチャネル不純物およびカウンター不純物の濃度を空乏層中での最大のチャネル不純物濃度の12%程度に低くできる。pn接合でのチャネル不純物及びカウンター不純物の濃度は約6×1017cm−3であり、pn接合におけるチャネル不純物濃度を低くすることにより、接合付近でのチャネル不純物濃度のばらつきが正味のn型不純物濃度に与えるばらつきが小さくなり、トランジスタ動作へのばらつきの影響が小さくなる。
【0097】
また、チャネル不純物プロファイルは深さ15nm付近をピークとしてなだらかに分布する。pn接合におけるカウンター不純物の濃度勾配はチャネル不純物の濃度勾配よりも小さい。このため、チャネル不純物プロファイルの深さ位置依存性が小さく、深さおよび分布の幅がばらついても正味のn型不純物プロファイルはばらつかず、電気特性に影響を与えない。
【0098】
図23は、図22のカウンター不純物プロファイルの形状を3通りに変化させたそれぞれの場合について、プロファイルばらつきに対するVthばらつきを示すグラフである。数値はデバイスシミュレーションを用いて求めた。この時、チャネル不純物プロファイルのtは2で一定にし、チャネル不純物濃度が急激に減少する深さも30nmで一定にした。また、カウンター不純物濃度のピーク位置を深さ15nmの位置で一定にした。そして、カウンター不純物濃度のピーク位置からそのピーク位置の濃度の10分の1の濃度になる位置までの距離(scj)を変化させ、プロファイルの濃度勾配を変化させた。nsc−5%と記した軸、nwell−5%と記した軸、rgwx−1nmと記した軸、scp−1nmの軸とscj−1nmの軸の意味は図21と同じである。□印は、scjが40nmの場合であり、図22のカウンター不純物プロファイルに該当する。○印はscjが20nmの場合であり、△印はscjが10nmの場合である。これより、nsc−5%、nwell−5%とrgwx−1nmは、scjを変化させても一定値をとることがわかった。また、scp−1nmとscj−1nmは、scjを大きくすればするほど小さくなることがわかった。これらのことは、Vthのばらつきを小さくするには、scjを大きくすればよく、このことを言い換えれば、カウンター不純物の濃度勾配がなだらかなほどよいと考えられる。
【0099】
また、図2と比較してみる。まず、不純物濃度について、図2では2%ばらつくとVthが10mV変動したが、図23では、5%ばらついているにもかかわらず10mV程度しか変動していない。プロファイルの深さ方向のばらつきについても図2では0.5nmばらつくとVthが50mV変動したが、図23では最もばらつきやすいscjが10nmのプロファイルでscjが9nmに減少しても17mVしか変動しない。このように、scjが10nm以上であれば図2に比較して顕著にVthのばらつきを低減できる。そして、Vthを0.4Vに設定するためには、scjが40nmのカウンター不純物プロファイルのピーク濃度を7.5×1017cm−3に設定すれば良く、scjが20nmの場合は9.4×1017cm−3に、scjが10nmの場合は1.6×1018cm−3に設定すればよいことがわかった。このことは、図2の場合にVthを0.4Vに設定するために、カウンター不純物プロファイルのピーク濃度を5×1018cm−3の高濃度に設定しなければならないのに比べ3分の1以下に低濃度化できている。
【0100】
pn接合位置でのチャネル不純物の濃度勾配がカウンター不純物のそれよりも大きく、チャネル不純物プロファイルは基板奥へ向かって急激に高濃度となる。このことにより、正味のp型不純物プロファイルに重なるカウンター不純物プロファイルはうち消され、高い濃度を保った正味のp型不純物プロファイルが形成できる。カウンター不純物プロファイルが、平坦であれば濃度が位置によって依存しないので、pn接合付近の正味のp型不純物プロファイルに重なるカウンター不純物プロファイルがばらついても、正味のp型不純物プロファイルはばらつかず、電気特性に影響を与えない。
【0101】
さらに、pn接合付近での正味のp型不純物プロファイルは主にチャネル不純物プロファイルによって決まっているものの、カウンター不純物プロファイルとの差し引きの寄与を受けている。カウンター不純物の濃度勾配がチャネル不純物のそれよりも小さく、チャネル不純物濃度の位置に対する依存性が小さいために、チャネル不純物濃度がばらついても、カウンター不純物濃度の差し引きのばらつきは小さく、正味のp型不純物濃度のばらつきは抑えられ、電気特性への影響が小さく抑えられる。
【0102】
また、カウンター不純物濃度の最大値を与える場所において、チャネル不純物の濃度がカウンター不純物濃度の1/4以下と小さい。空乏層中の正味のn型不純物濃度の最大値が電気特性へ与える影響は一般に大きい。チャネル不純物濃度のばらつきが電気特性へ与える影響を小さくすることができる。
【0103】
基板表面において、チャネル不純物濃度がカウンター不純物濃度よりも1/4以下と小さい。なお、空乏層中の単位電荷当たりの電気特性への影響は、基板表面側における電荷分布が電気特性に与える単位電荷当たりの影響の方が、基板奥側における電荷分布によるそれよりも大きい。基板表面におけるカウンター不純物濃度に対しチャネル不純物濃度を1/4以下に小さくすることにより、正味のn型不純物濃度に対するチャネル不純物プロファイルの影響を小さくし、チャネル不純物濃度のばらつきが電気特性へ与えるばらつきを小さくすることができる。
【0104】
また、図20より空乏層端は深さ38nm付近、空乏層中でのチャネル不純物濃度の最大値は空乏層端付近濃度5×1018cm−3である。チャネル不純物濃度の最大値は空乏層端よりも浅く位置してもよい。
【0105】
基板表面におけるカウンター不純物濃度はカウンター不純物プロファイルの濃度の最大値の1/2よりも大きく、pn接合における濃度の1/2よりも大きく2倍よりも小さいことである。この特徴により、カウンター不純物濃度の場所依存性は小さく、カウンター不純物プロファイルのばらつきに正味のn型とp型の不純物濃度プロファイルも影響されにくい。
【0106】
また、カウンター不純物プロファイルのピークはチャネル不純物プロファイルの表面低濃度領域の中央部付近としたが、より表面側または奥側に位置していてもよく、また、ピークが正味のp型不純物プロファイルの中またはさらに奥側に位置していてもよい。図11(a)と(b)のプロファイル2のようにピークを持たない均一分布であってもよい。
【0107】
カウンター不純物濃度を高くすることにより、より低いVthを得ることができる。同じVthであれば、カウンター不純物濃度は低い方が望ましく、低濃度のn型不純物層を用いて所望の低Vthが得る場合にはカウンター不純物プロファイルを平坦にすることが有効である。チャネル不純物濃度と同程度にカウンター不純物濃度が高くなり正味のp型不純物濃度にカウンター不純物濃度が大きく寄与する場合でも、基板表面へ向けて減少するチャネル不純物の濃度勾配がカウンター不純物の濃度勾配よりも大きいという特徴により、一般に従来例よりも小さなVthばらつきが得られる。これは、カウンター不純物濃度を高くした場合には、カウンター不純物分布に影響を受ける正味のp型不純物プロファイルは基板表面から遠く、そのばらつきがVthへ与える影響が一般に基板表面に近い場合よりも小さくなるだけでなく、カウンター不純物分布はなだらかな形状なのでばらつきが小さいからである。
【0108】
実施例2が実施例1に比べて優れている点は、カウンター不純物プロファイルがなだらかで位置又は形状依存性が少ないために、このプロファイルの形成および制御がより容易であることである。実施例1ではカウンター不純物プロファイルの幅をチャネル不純物プロファイルの表面低濃度層の幅程度に抑える必要があるため、熱工程を制限する必要があり、カウンター不純物の濃度、ピーク位置、分布形状などを制御する必要がある。実施例2においては、なだらかな分布であるためにカウンター不純物プロファイルの形成について熱工程を制限する必要性は低く、基本的に濃度のみを制御すればよい。但し、濃度を高くするほどVthは低くなる依存性を持ち、空乏層中のチャネル不純物プロファイルと所望のVthの値とに対応して、濃度を精密に制御する必要がある。実施例2では、所望のVthを得るためには、チャネル不純物プロファイルカウンター不純物を表面で急峻に低濃度になるように形成した上で、カウンター不純物の濃度のみをパラメータとして用いればよい。
【0109】
(実施例3)
図24は、図9の階段状の変形のプロファイルに基づき、図19と同様にイオン打ち込みや熱拡散等により実現できるプロファイルをモデル化して求め、さらに、ドレイン電極に1Vを印可してゲート電圧がVthであるときのキャリア(ホール)濃度分布をデバイスシミュレーションを用いて求めた本発明の実施例3のMISトランジスタの深さ方向のチャネルプロファイルである。横軸、縦軸、実線、黒四角を付した実線、白四角を付した実線と点線の意味は図19の場合と同様である。実施例1と同様に基板表面へ向けて急激に濃度が減少するチャネル不純物プロファイルと、pn接合位置において低濃度のカウンター不純物プロファイルを用いて、短チャネル効果を抑制している。実施例3においては、実施例1及び2と異なり、カウンター不純物プロファイルのピーク位置が基板表面23にある。pn接合および正味のn型不純物プロファイルと重なるチャネル不純物プロファイルの濃度を低くし、カウンター不純物濃度を高くしている。このことにより、低いVthを得ることができる。また、高い正味のn型不純物濃度を得るためのカウンター不純物濃度を低く抑え、カウンター不純物プロファイルのばらつきの絶対値を小さくすることができる。このように、チャネルまたはカウンター不純物濃度のばらつきが互いにそれぞれ正味のn型またはp型不純物濃度のばらつきに与える影響を小さくし、電気特性のばらつきを小さくすることができる。
【0110】
実施例3のプロファイルが実施例1のプロファイルに比べて優れている点は、基板表面をカウンター不純物プロファイルのピークとしているために、pn接合2における不純物濃度を低く保ったままでより多くのカウンター不純物を基板に導入することが容易である。このことにより、実施例1の場合よりも熱工程への制限を緩くすることができる。また、熱工程を極力抑えて浅いカウンター不純物プロファイルを形成した場合には、pn接合2での不純物濃度を低く保ったままで、チャネル不純物プロファイルが急激に減少する場所をより表面側へ移動させることができ、短チャネル効果をより抑制することが可能である。
【0111】
なお、実施例1乃至3は、ゲート電極をポリゲートとした場合にも、メタルゲートとした場合にも適用できる。メタルゲート電極としては、ゲート絶縁膜と接する部分がIV属、V属、VI属の少なくとも1つの遷移金属元素の窒化物、炭素窒化物、および珪素窒化物の少なくとも1つで構成されているものを用いる。具体的には、上記ゲート絶縁膜と接する部分がタングステン(W)窒化物、モリブデン(Mo)窒化物、タンタル(Ta)窒化物、チタン(Ti)窒化物、W珪素窒化物、Mo珪素窒化物、Ta珪素窒化物、Ti珪素窒化物、Ti炭素窒化物、W炭素窒化物、Mo炭素窒化物およびTa炭素窒化物の少なくとも1つで構成されるものを用いる。あるいは、メタルゲート電極のゲート絶縁膜と接する部分を、酸素を含むルテニウム(Ru)、窒素を含むRu、および窒素を含む酸化Ru(RuO) の少なくとも1つで構成する。
【0112】
また、ゲート電極のゲート絶縁膜と接する部分の仕事関数の大きさがVthの値を変化させるため、この部分の結晶粒径が大きいと、仕事関数は面方位により異なるため、Vthのばらつきを生じる。このため、この部分の結晶粒径は10nm以下とし、望ましくは30nm以下とする。
【0113】
実施例1乃至3は、メタルゲートのMISFETに適用した場合、特に、仕事関数がシリコンのバンドギャップの中央付近に位置する金属材料、例えば、窒化チタン(TiN)を用いたMISFETに適用した場合に、重要な効果を発揮する。この時、pMISFET、nMISFETのいずれの場合についてのVthも大きくなってしまう。低いVthを得るために、実施例1乃至3を適用することにより、デュアルゲートを用いず、シリコンバンドギャップの中央付近に仕事関数をもつ同一の金属又は金属化合物材料を用いて、Vthのばらつきを抑制した高性能のCMOS用MISFETを実現できる。
【0114】
(実施例4)
実施例4は実施例2に係わる不純物プロファイルを持つMISFETとその製造方法に関するものである。図25は、実施例2に係わる不純物プロファイルを持つMISFETの断面図である。MISFETは第1導電型の半導体基板31と、基板31の上面と面接触するゲート絶縁膜46と、絶縁膜46の上面と面接触するゲート電極47とで構成される。基板31は、絶縁膜46の下に位置する第2導電型のカウンター不純物領域44と、領域44の下に位置する第1導電型のチャネル不純物領域45と、基板31の上面を含み領域44と面接触する第2導電型のソース領域38と、基板31の上面を含み領域44と面接触する第2導電型のドレイン領域39とで構成される。領域44と45の不純物プロファイルは、実施例2に係わる不純物プロファイルとなっている。なお、ソース領域38とドレイン領域39の上面に面接触するように犠牲絶縁膜33が配置され、絶縁膜33の上面に面接触するように層間絶縁膜42が配置されている。
【0115】
なお、ここで、ソース領域38、ドレイン領域39は図面上ゲート電極47下部には延長されていないが、ゲート電極47端部の下部にゲート絶縁膜46を介してソース領域38、ドレイン領域39が延長形成されている方が望ましい。これによりゲートソース抵抗、ゲートドレイン抵抗を削減することが可能となる。
【0116】
図26と図27は、「ダマシンゲート」工程を用いて実施例2のチャネル不純物分布をもつMISFETを製造する方法を示す工程断面図である。「ダマシンゲート」を用いることによりゲート電極47にポリシリコンを用いず、ソースおよびドレイン不純物の活性化をゲート電極形成よりも前に行う事ができる。このことにより、金属または金属化合物をゲート電極47として用いることが可能になるだけでなく、ゲート電極47にポリシリコンを用いた場合に必要であった高温熱工程またはソース・ドレイン領域38、39の不純物を活性化するための熱工程がチャネル不純物プロファイルに影響を与えることがないので、実施例2の特徴である表面へ向けて急激に濃度が減少するチャネル不純物プロファイルを実現できる。以下に製造方法を説明する。
【0117】
(イ)まず、図26(a)に示すように、シリコン基板31の上に熱酸化法を用いて厚さ100nmの犠牲絶縁膜33を形成する。次に、この犠牲絶縁膜33を介してイオン注入49方法を行い、n型不純物を導入する。例えば燐を40keVの加速エネルギーを用いて5×1013cm−2のドーズ量で導入する。これは、後の熱工程により拡散し、基板表面付近になだらかな濃度勾配をもつカウンター不純物プロファイルを形成するものである。なお、イオン注入方法を用いず、基板表面に均一にn型不純物を含んだシリコン結晶層を厚さ50nmエピタキシャル成長させてもよい。
【0118】
(ロ)次に、図26(b)に示すように、犠牲絶縁膜33上に厚さ50〜200nm程度のダミーゲート電極パタン35をリソグラフィ法および非等方性エッチングを用いて形成する。パタン35としては、例えば水素を含むシリコン酸化膜、熱酸化で形成したシリコン酸化膜、熱窒化で形成したシリコン酸化膜、非晶質シリコン膜または多結晶シリコン膜を用いる。このようにパタン35として金属ではなくシリコン系の半導体膜や絶縁膜を用いることにより、パタン35のリアクティブイオンエッチング(RIE)による側面荒れを小さくでき、これによりゲート長の寸法のばらつきを少なくすることができる。
【0119】
次に、図26(b)に示すように、パタン35をマスクにして不純物イオンを注入し、その後アニールを行ってソース・ドレイン不純物領域38および39を形成する。
【0120】
ソース・ドレイン領域38、39の活性化のためのアニールは、後の工程で行われるチャネル不純物プロファイルの形成および埋め込みゲート電極47の形成よりも前に行われるために、これらに特に熱的な影響を与えることはない。
【0121】
(ハ)図26(c)に示すように、層間絶縁膜42となるシリコン酸化膜をパタン35を覆うように全面にCVD法を用いて形成する。次に、パタン35が露出するまでシリコン酸化膜を化学的機械的研磨(CMP)法または機械的研磨(MP)法により研磨する。このことにより、シリコン酸化膜が平坦化され、層間絶縁膜42が形成できる。なお、層間絶縁膜42としては、シリコン酸化膜と、その上に燐を含むシリコン酸化膜を積層した積層膜を用いてもよい。
【0122】
(ニ)図27(a)に示すように、パタン35および犠牲絶縁膜33をウェットエッチング法を用いて除去して開口部41を形成する。開口部41の内側に厚さ5nmの犠牲酸化膜33を堆積する。開口部41を介して基板31内に選択的にチャネル不純物のイオン注入50を行う。nMISFETの場合には、インジウム(In)を5×1013cm−2のドーズ量で、200keVの加速エネルギーで注入する。注入イオンを900℃30秒のラピッドサーマルアニール(RTA)法を用いて活性化する。pMISFETの場合には、カウンター不純物として例えばボロン(B)を用い、チャネル不純物としてアンチモン(Sb)を用いる。イオン注入は、nMISFETの場合と同様のドーズ量と加速エネルギーで処理すればよい。
【0123】
(ホ)犠牲酸化膜33を除去し、ゲート絶縁膜46をCVD法により形成する。次に、図27(b)に示すように、メタルゲート電極となる金属膜47、例えば、TiNを、CVD法を用いて基板表面の全面に形成して開口部41を充填する。
【0124】
(ヘ)最後に、CMP法またはMP法を用いて、開口部41の外の余剰の金属膜47を除去し、MISFETが完成する。
【0125】
(実施例5)
実施例5は実施例1に係わる不純物プロファイルを持つMISFETとそのの製造方法に関するものである。図28は、実施例1に係わる不純物プロファイルを持つMISFETの断面図である。MISFETは第1導電型の半導体基板31と、基板31の上面と面接触するゲート絶縁膜46と、絶縁膜46の上面と面接触する第1のゲート電極47と、第1のゲート電極47の上面と面接触する第2のゲート電極48で構成される。基板31は、絶縁膜46の下に位置する第2導電型のカウンター不純物領域44と、領域44の下に位置する第1導電型のチャネル不純物領域45と、基板31の上面を含み領域44と面接触する第2導電型のソース領域36と、基板31の上面を含み領域44と面接触する第2導電型のドレイン領域37と、基板31の上面を含み領域36と面接触する第2導電型の深いソース領域38と、基板31の上面を含み領域37と面接触する第2導電型の深いドレイン領域39とで構成される。領域44と45の不純物プロファイルは、実施例1に係わる不純物プロファイルとなっている。なお、ソース領域38とドレイン領域39の上面に面接触し絶縁膜46の側面に面接触するするように犠牲絶縁膜33が配置され、絶縁膜33の上面に面接触し絶縁膜46の側面に面接触するするようにサイドウォール40が配置され、ソース領域38とドレイン領域39の上面に面接触し絶縁膜33とサイドウォール40の側面に面接触するするように層間絶縁膜42が配置されている。ソース領域38とドレイン領域39の側面に面接触し絶縁膜42の底面に面接触するように素子分離領域32が配置されている。
【0126】
なお、ここで、ソース領域36(ソースエクステンション領域)、ドレイン領域37(ドレインエクステンション領域)は図面上ゲート電極47下部にまで至っていないが、ゲート電極47端部の下部にゲート絶縁膜46を介してソース領域36、ドレイン領域37が延長形成されている方が望ましい。これによりゲートソース抵抗、ゲートドレイン抵抗を削減することが可能となる。
【0127】
図29乃至図31は、「ダマシンゲート」工程を用いて実施例1の不純物プロファイルをもつMISFETを製造する方法を示す工程断面図である。以下に製造方法を説明する。
【0128】
(イ)まず、シリコン基板31をドライエッチングいて素子分離用の溝を形成する。次に、シリコン酸化膜などの絶縁材料からなる絶縁膜を堆積または塗布により溝内に埋め込む。素子分離溝外部の絶縁膜をCMP法またはMP法により除去することによって、図29(a)に示すように、シリコン基板31内に素子分離領域32を形成する。次に、基板31上に厚さ3nm程度の犠牲酸化膜33を熱酸化法により形成する。ダミーゲートパタン35となる膜34を犠牲酸化膜33と素子分離領域32の上に成膜する。膜34には、例えば、水素を含むシリコン酸化膜や2層の積層膜を用いる。積層膜にする場合は、下層には犠牲酸化膜33よりもエッチング速度の速い膜、例えば、アモルファスシリコン膜を用い、上層には後工程の層間絶縁膜42の研磨工程において層間絶縁膜42よりも研磨速度が遅くなる膜、例えば、シリコン窒化膜を用いる。
【0129】
(ロ)次に、図29(b)に示すように、ゲート電極と同じパターンとなるように、膜34をRIE法などの異方性エッチングを用いて加工し、ダミーゲートパタン35を形成する。続いて、このパタン35をマスクにして基板表面にイオン注入などによって不純物を導入する。熱処理して、この不純物を電気的に活性化することにより、ソース・ドレイン領域36と37を形成する。不純物の導入は、プラズマドーピング、気相拡散、あるいは固相拡散によって行ってもよい。また、不純物の活性化は、昇温速度100℃/秒以上、温度800〜900℃程度、30秒以下のRTAによって行うことにより、ソース・ドレイン領域36と37の深さを浅く保つことができる。
【0130】
(ハ)図29(c)に示すように、厚さ5〜30nmのシリコン窒化膜またはシリコン窒化酸化膜からなるサイドウォール40を形成する。サイドウォールを形成するには、パタン35上も含めた基板表面の全面に絶縁膜を化学気相成長(CVD)法で成膜した後、その絶縁膜をRIE法を用いて部分的にエッチングし、パタン35の側壁部分のみに絶縁膜を残すことにより形成する。ここで、絶縁膜としてはパタン35よりもRIE法によるエッチング速度が遅くなる材料を用いる。例えば、パタン35としてシリコン酸化膜を用いる場合には、シリコン窒化膜またはシリコン酸化窒化膜(SiOxNy)などの絶縁膜を用いる。多結晶シリコン膜の場合は、シリコン酸化膜を用いる。
【0131】
なお、サイドウォール40とパタン35との間には、後工程のパタン35の除去工程時に、サイドウォール40が横方向に後退しないように、厚さ10nm以下の酸化膜をあらかじめパタン35表面に形成しておくことが望ましい。
【0132】
次に、サイドウォール40およびパタン35をマスクにして基板表面にイオン注入法などによって不純物を導入する。この不純物を電気的に活性化することによって深いソース・ドレイン領域38および39を形成する。活性化する不純物の濃度を高めるために、電子ビーム、紫外線領域の波長を有するレーザー、水銀ランプまたはキセノンランプを用いて、1000℃以上で1秒以下の熱処理を行ってもよい。また、ソース・ドレイン領域36および37の活性化を、深いソース・ドレイン領域38および39の不純物を活性化する際に同時に行ってもよい。深いソース・ドレイン領域38及び39の上にコバルトシリサイド(CoSi)層などの金属シリサイド層を形成することもできる。
【0133】
このように、「ダマシンゲートトランジスタ」工程においては、通常のプレーナートランジスタ工程の場合とは異なり、チャネル不純物プロファイルの形成よりも先に、ソースおよびドレイン領域36、37および深いソースおよびドレイン領域38、39を形成できる。このことにより、この活性化のための熱工程をチャネル不純物は受けない。深いソース・ドレイン領域38、39の表面をシリサイド化するための熱工程もチャネル不純物は受けない。以上によりライトリードープトドレイン(LDD)構造が形成できる。
【0134】
(ニ)次に、層間絶縁膜42をCVD法により基板表面の全面に成膜する。図30(a)に示すように、パタン35の表面が現れるまで層間絶縁膜42をCMP法により研磨する。この研磨によって層間絶縁膜42の表面は平坦化する。
【0135】
(ホ)図30(b)に示すように、選択性エッチングを用いてパタン35と犠牲酸化膜33を除去し、開口部41を形成する。次に、図31(a)に示すように、開口部41を介して基板表面に不純物イオンを注入する。まず、ドーズ量5×1013cm−2のインジウムを190keVの加速エネルギーで注入し、続いて、ドーズ量5×1011cm−2のアンチモンを5keVの加速エネルギーで注入する。注入した不純物を850℃、30秒のRTA法により活性化する。
【0136】
(ヘ)図31(b)に示すように、ゲート絶縁膜46として、厚さ2〜3nmのSiOxNy膜、あるいは500℃以下の温度で、窒化種として窒化ラジカルなどを用いた窒化によって形成した窒化膜を成膜する。図示したようにゲート絶縁膜46をCVDを用いて開口部41の底面のみでなく側壁上にまで形成するだけでなく、開口部41の底面の露出したシリコン基板31表面を酸化することにより、開口部41の底面のみにゲート絶縁膜46を形成してもよい。
【0137】
次に、ゲートの仕事関数を決定するTiNなどの金属導電性を有する物質からなる厚さ10nm以下の第1のゲート電極となる導電膜47を形成する。TiNを用いた場合には、TiNの粒径が30nm以下になるように、TiNの組成、成膜温度、圧力などの成膜条件を設定する。
【0138】
次に、第2のゲート電極となる導電膜48を全面に形成する。具体的には、Al膜をスパッタ法により全面形成した後、Al膜をリフローさせて開口部41の内部を充填する。あるいは導電膜48としてW膜などの低抵抗金属膜を、開口部41の内部を充填するように、CVD法により全面に堆積する。
【0139】
(ト)最後に図28に示すように、開口部41の外部の余剰なゲート絶縁膜46、導電膜47、48をCMP法またはMP法によって除去する。このことにより研磨表面は平坦化する。以上、開口部41内に埋め込まれたゲート絶縁膜46、第1のゲート電極47、第2のゲート電極48を形成することによって、MISトランジスタが完成する。その後、配線のためにソース・ドレイン拡散層へのコンタクトが層間絶縁膜42を貫通して形成されるが、微細化に伴ってゲート電極とコンタクトないし配線との間の寄生容量が大きくなりスピード等の回路特性を劣化させている。この寄生容量を低減するために、前述(ト)のCMP又はMP法によって表面を平坦化する際に側壁窒化膜の上面を露出させ、次に、この除去された後の溝の内部へ窒化膜よりも誘電率の小さな絶縁膜を埋め込んで、側壁40を低誘電率膜により置き換えることも有効である。側壁40を置き換える膜としては、減圧CVDにより形成するシリコン酸化膜、プラズマCVDにより形成するフッ素添加シリコン酸化膜、回転塗布法により形成する低誘電率の有機膜又は有機無機混合膜又は無機膜等を用いる。
【0140】
(実施例6)
実施例6は実施例3に係わる不純物プロファイルを持つMISFETとそのの製造方法に関するものである。実施例6は、「ダマシンゲートプロセス」を用いず本発明のトランジスタを製造する方法である。実施例3のチャネルプロファイルは、実施例4または5のような「ダマシンゲートプロセス」を用いずに、従来のプレーナートランジスタ製造方法によっても、チャネル不純物プロファイルを形成する不純物として拡散係数が小さい重金属を用い、かつ、ゲート絶縁膜形成とソースおよびドレイン不純物活性化またはゲート電極をポリシリコンで形成する場合の活性化アニール等の熱工程を極力抑えることにより製造することが可能である。チャネル不純物プロファイルの基板表面への急激に減少する濃度勾配が緩くなるものの、Vthのばらつきを低減できる。
【0141】
図32は、実施例3に係わるチャネルプロファイルを持つMISFETの断面図である。MISFETは第1導電型の半導体基板31と、基板31の上面と面接触するゲート絶縁膜46と、絶縁膜46の上面と面接触するゲート電極47で構成される。基板31は、絶縁膜46の下に位置する第2導電型のカウンター不純物領域44と、基板31の上面を含み領域44と面接触する第2導電型のソース領域38と、基板31の上面を含み領域44と面接触する第2導電型のドレイン領域39と、領域44、38と39の下に位置する第1導電型のチャネル不純物領域45とで構成される。領域44と45の不純物プロファイルは、実施例3に係わる不純物プロファイルはとなっている。ソース領域38、ドレイン領域39とチャネル不純物領域45の側面に面接触するように素子分離領域32が配置されている。絶縁膜32の上面に面接触しゲート電極47の上面と側面に面接触するするよう層間絶縁膜42が配置され、ソース領域38とドレイン領域39の上面に面接触し絶縁膜42の上面と側面に面接触するするように引き出し電極56が配置されている。
【0142】
図31は、プレーナートランジスタ製造方法を用いて実施例3のチャネル不純物分布をもつMISFETを製造する方法を示す工程断面図である。以下に製造方法を説明する。
【0143】
(イ)まず、図33(a)に示すように、基板31上に素子分離領域32を形成する。次に、膜厚20nmの犠牲酸化膜33を形成する。この犠牲酸化膜33を通して、ドーズ量1.2×1014cm−2のインジウムを加速エネルギ60keVでイオン注入する。このことにより、チャネル不純物領域45を形成する。次に、砒素を加速エネルギ5keVでドーズ量1×1012cm−2でイオン注入する。このことにより、カウンター不純物領域44を形成する。
【0144】
(ロ)犠牲酸化膜33を剥離し、5nmの厚さのゲート酸化膜46を850度10分間の水蒸気酸化(水素添加熱酸化)工程により形成する。ポリシリコンをCVD法により堆積する。ポトリソグラフィ工程とRIE法によるドライエッチング工程を経ることにより、図33(b)に示すように、ゲート電極47を形成する。
【0145】
(ハ)図33(c)に示すように、ゲート電極47をマスクとしてイオン注入を行う。このことにより、ソースおよびドレイン不純物領域38、39を形成できるだけでなく、ポリシリコンゲート電極47中に不純物を導入できる。次に、ソース・ドレイン領域38、39およびゲート電極47中の不純物を活性化するために、基板温度900℃で1分間の活性化アニールを行う。
【0146】
(ニ)最後に、層間絶縁膜42を堆積し、マスクを用いたリソグラフィの工程を用いて、コンタクトホールを形成する。そして、図32に示すように、スパッタリング法によりアルミニウム膜をコンタクトホールに埋め込みながら成膜し、ポトリソグラフィ工程とRIE法によるドライエッチング工程を経ることにより引き出された配線56を形成する。この時、インジウムのプロファイルのピーク位置はシリコン表面から30nm付近、ピーク濃度は3×1018cm−3程度となり、表面濃度は5×1017cm−3程度である。インジウムがイオン注入後の熱工程により拡散し表面濃度が高いものの、チャネル領域にpn接合を持つ従来のMISFETよりも正味のn型不純物領域におけるチャネル不純物濃度が低く、小さなVthばらつきが得られる。
【0147】
(実施例7)
実施例7は、本発明のチャネル不純物プロファイルと、メタルゲート電極を備えたCMOSトランジスタとその製造方法に関するものである。CMOSトランジスタを有する集積回路では同一基板上にnMOSFETとpMOSFETとの両方を密に作成する。このため、メタルゲートを用いる場合、nMOSFETとpMOSFETとに用いるゲート電極製造工程を簡略化することと、nMOSFETとpMOSFETとの所望のVthを実現するそれぞれのチャネルプロファイルをVthのばらつきが小さくなるように製造できることが必要である。本発明の、低濃度のカウンター不純物プロファイルと、表面で急峻に低濃度となるチャネル不純物プロファイルを用いることにより、pMOSFETとnMOSFETに同一のメタルゲート電極材料を用いる簡便なゲート電極を有していても、低いVthを実現し、Vthばらつきの小さいCMOS集積回路を実現することができる。なお、pMOSFETとnMOSFETのどちらか片方のみに本発明のチャネルプロファイル等を用い、他方を従来のチャネルプロファイルとすることもできるが、本実施例ではpMOSFETとnMOSFETの両方に用いる場合について説明する。
【0148】
図34は、本発明のチャネル不純物プロファイルと、メタルゲート電極を備えたCMOSトランジスタの断面図である。CMOSトランジスタは半導体基板31上に配置されるnMISFETとpMOSFETとで構成される。
【0149】
nMOSFETはp型半導体基板31と、基板31の上面と面接触するゲート絶縁膜46と、絶縁膜46の上面と面接触する第1のゲート電極47と、第1のゲート電極47の上面と面接触する第2のゲート電極48で構成される。基板31は、絶縁膜46の下に位置するカウンターn型不純物領域44と、領域44の下に位置するチャネルp型不純物領域45と、基板31の上面を含み領域44と面接触するn型ソース領域38と、基板31の上面を含み領域44と面接触するn型ドレイン領域39とで構成される。領域44と45の不純物プロファイルは、実施例2に係わる不純物プロファイルとなっている。なお、ソース領域38とドレイン領域39の上面に面接触し絶縁膜46の側面に面接触するするように層間絶縁膜42が配置されている。ソース領域38とドレイン領域39の側面に面接触し絶縁膜42の底面に面接触するように素子分離領域32が配置されている。ソース電極とドレイン電極とには層間絶縁膜を貫通してコンタクトが形成され(図示せず)、集積回路の配線へと接続している。
【0150】
pMOSFETはp型半導体基板31と、基板31の上面と面接触するゲート絶縁膜46と、絶縁膜46の上面と面接触する第1のゲート電極47と、第1のゲート電極47の上面と面接触する第2のゲート電極48で構成される。基板31は、絶縁膜46の下に位置するカウンターp型不純物領域44pと、領域44pの下に位置するチャネルn型不純物領域45pと、基板31の上面を含み領域44pと面接触するp型ソース領域38pと、基板31の上面を含み領域44pと面接触するp型ドレイン領域39pと、領域45p、38pと39pの底面と面接触するn型ウェル領域52で構成される。領域44pと45pの不純物プロファイルは、実施例2に係わる不純物プロファイルとなっている。なお、ソース領域38pとドレイン領域39pの上面に面接触し絶縁膜46の側面に面接触するするように層間絶縁膜42が配置されている。ソース領域38pとドレイン領域39pの側面に面接触し絶縁膜42の底面に面接触するように素子分離領域32が配置されている。
【0151】
図35は、「ダマシンゲート」工程を用いて、本発明のチャネル不純物プロファイルと、メタルゲート電極を備えたCMOSトランジスタを製造する方法を示す工程断面図である。製造方法としては既に実施例1乃至6で述べた方法のいずれを用いても実現することが可能である。ここでは例として実施例4のチャネルプロファイルの製造方法を用いてCMOS構造を製造する。以下にこの製造方法を説明する。
【0152】
(イ)まず、nMOSFETとpMOSFETを電気的に分離するために、p型シリコン基板31の上に図35(a)に示すように、例えば、実施例5の図29(a)を用いて説明したのと同様に、溝への酸化膜埋め込み工程とCMP法を用いて平坦化された素子分離領域32を形成する。
【0153】
次に、pMOSFETを作製する領域の基板内にnウェル領域52を形成する。このためにまず、素子領域の表面に例えば4nmの犠牲酸化膜を熱酸化により形成する。次に、光リソグラフィの技術を用いてnMOSFETを形成する領域をレジスト51で覆う。このレジストをマスクとして例えば燐を500keVの加速エネルギでドーズ量2×1013cm−2のイオン注入する。最後に、熱アニールを行いnウェル領域52の不純物を所望の深さまで拡散させると同時に活性化させる。なお、このアニールの代わりに、後のゲート酸化等の熱工程により活性化を行っての良い。
【0154】
次に、本発明の実施例4のカウンター不純物プロファイルの製造方法をpMOSFETに用いる。まず、nウェル領域52を形成した時と同じレジストをマスクとして、イオン注入53を行い、pMOSFETのカウンター不純物を注入し、カウンターp型不純物領域44pを形成する。pMOSFETのカウンター不純物としては例えばボロンであり、10keVの加速エネルギで0度の注入角度によりドーズ量1×1013cm−2のイオン注入する。
【0155】
次に、基板上のレジスト51を剥離し、本発明の実施例4のカウンタープロファイルの製造方法を実施する。まず、pMOSFETを形成する領域を光リソグラフィの技術を用いてレジストで覆い、このレジストをマスクとしてイオン注入を行い、nMOSFETのカウンター不純物領域44を形成する。nMOSFETのカウンター不純物としては、例えば、砒素が用いられ、砒素を5keVの加速エネルギで2×1012cm−2のドーズ量で0度で注入する。
【0156】
(ロ)次に、レジストを剥離し、実施例5で説明したように図29(b)のダミーゲートパタンとなる膜34を成膜する。次に、図29(b)において説明したように、リソグラフィと異方性エッチングの方法によりダミーゲートパタン35を形成する。
【0157】
次に、図27(b)において説明したように、このパタン35をマスクとしてパタン35の両側に隣接するソースならびにドレイン領域を形成する。nMOSFETまたはpMOSFETを形成する領域を順次光リソグラフィの方法を用いてレジストで覆って片方をマスクし、pMOSFETのソースならびにドレイン領域38pならびに39pにはp型不純物を、nMOSFETのソースならびにドレイン領域38ならびに39にはn型不純物を、それぞれ選択的にイオン注入する。次に、望ましくは、図29(c)で説明したように、サイドウォール40を用いてチャネル領域から後退させた深い拡散層を加えたLDD構造のソース・ドレイン構造を形成した方が良い。この時にも先に説明したように順次レジスト等によりマスクを行って、pMOSFETに対してはp型の深い不純物層を、nMOSFETに対してはn型の深い不純物層を選択的に導入する。
【0158】
その後基板上のレジストを除去して不純物の活性化を行う。また、同じく実施例5で説明したように、ソース・ドレイン領域38、39、38p、39p上にチタンまたはコバルト等の金属を堆積し、シリサイドを形成することにより、ソース・ドレインへのコンタクト抵抗を小さくすることが望ましい。本実施例ではpMOSFETとnMOSFETのそれぞれのカウンター不純物を基板中に導入した後に、ソース・ドレイン不純物領域の形成と活性化、シリサイド化する場合の熱工程等を行う。実施例4において説明したように、カウンター不純物がこれらの熱工程によりなだらかな分布となり、実施例2において説明したように、なだらかなカウンター不純物分布によりプロファイルのばらつきがVthへ与えるばらつきを小さくすることができる。
【0159】
次に、図30(a)で説明したように、層間絶縁膜42を堆積し、CMP法により平坦化し、エッチングによりパタン35を除去し、図35(b)のように、開口部41を形成する。
【0160】
(ハ)次に、チャネル不純物を注入し、nMOSFET及びpMOSFETのチャネル不純物領域45、45pを形成する。まず、開口部41内のシリコン基板表面の酸化膜を剥離した後、露出したシリコン基板の表面に、例えば、2nmの犠牲酸化膜を750度程度の水蒸気酸化により形成する。犠牲酸化膜としては熱工程を軽減するためCOM処理等による化学酸化膜を用いてもよい。次に、図35(c)のように、光リソグラフィの方法を用いて順次nMOSFET及びpMOSFETの片方をレジストで覆ってマスクし、pMOSFETのチャネル領域に、開口部41を介して、表面が急峻に低濃度となるn型不純物イオン注入55を選択的に、かつ、短チャネル効果を抑えるために十分に高濃度に行う。表面が急峻に低濃度となるn型不純物としては例えばアンチモンがあり、130keVの加速エネルギにより0度の注入角度で、4×1013cm−2のドーズ量を注入する。同様に、nMOSFETのチャネル領域に、p型不純物イオン注入を選択的に、また、十分に高濃度に行う。p型不純物としては例えばインジウムがあり、130keVの加速エネルギにより0度の注入角度で、2×1013cm−2のドーズ量を注入する。
【0161】
(ニ)最後に、基板のレジストを除去し、実施例5の図31(b)で説明したように、ゲート絶縁膜及びゲート電極を形成し、図34に示すように、pMOSFET及びnMOSFETを完成させる。
【0162】
ゲート電極の仕事関数に応じて本発明のチャネルプロファイルを用いて所望のVthをばらつきなく実現できることにより、pMOSFETとnMOSFETの両方のゲート電極を同時に形成でき、即ちシングルゲート構造を用いることができ、デュアルゲートの場合よりも大幅にプロセスを簡略化してコストを削除し、また、歩留まりを上げることが可能になる。
【0163】
なお、シングルゲート構造を用いるために本発明のチャネルプロファイルをpMOSFETとnMOSFETとの両方に用いることは、チャネルプロファイル形成プロセスの難度を高くしている。所望のVthに応じてnMOSFET又はpMOSFETのプロファイル形成がより容易になるように、シングルゲートの仕事関数値をミッドギャップからずれた値に設定することも有効である。また、同一の金属又は金属化合物材料を用いてシングルゲートとしてpMOSFETとnMOSFETの両方の第1のゲート電極47並びに第2のゲート電極48を形成し、その際、片方についてのみ追加の工程を加えて、片方の第1のゲート電極47のみを改質又は組成を変化させてその仕事関数を変化させ、pMOSFETとnMOSFETの両方に所望のVthを実現しても良い。
【0164】
片方について加える追加の工程としては、ゲート電極47をCVD又はPVDを用いて形成した後、その金属又は金属化合物の結晶方位を変化させてその仕事関数を変化させることができる。或いは片方のゲート電極47に追加の不純物、例えば、窒素を注入してその仕事関数を変化させることができる。
【0165】
本発明のチャネルプロファイルをpMOSFETとnMOSFETの両方又は片方に用いた上で、シングルゲートの仕事関数値を調節し、さらに必要ならばpMOSFETとnMOSFETの両方又は片方について追加の調節を行うことにより、ばらつきの小さなVthを持つ高性能メタルゲートCMOS集積回路を実現できる。
【0166】
(実施例8)
図36は本発明に係る実施例8のメタルゲートを有するpMOSFETのチャネル不純物プロファイルとカウンター不純物プロファイルを表す図である。横軸はシリコン界面からの深さであり、縦軸は不純物濃度を、プロセスシミュレーションを用いて求めたものである。図中のドットがイオン注入直後のプロファイルを、実線が熱工程を経た最終プロファイルを表す。チャネル不純物がアンチモン(Sb)であり、カウンター不純物がボロン(B)である。なお、リンはnウェルを形成するため予め深くイオン注入されている不純物である。これより、チャネル不純物のアンチモンはシリコン表面から40nm付近の濃度が5×1018cm−3以上と高く、かつ、基板表面へ向けて急峻に低濃度となっている。さらに、この低濃度領域にカウンター不純物のボロンがドープされており、基板表面へ向けて濃度が低下しており、基板表面においてボロン濃度は低くなっている。これらのことは、図12(a)と(b)のチャネル不純物プロファイルとカウンター不純物プロファイルが形成されていることを表している。
【0167】
次に、実施例8のメタルゲートを有するpMOSFETの製造方法を示す。まずは、実施例5と同じに図30(b)に説明した工程までを行う。次に、ダミーゲート除去後、厚さ3nmの犠牲酸化膜を介してアンチモンを加速エネルギ130keV、ドーズ量4×1013cm−2でイオン注入し、続けてボロンを加速エネルギ5keV、ドーズ量8×1012cm−2でイオン注入する。次に、犠牲酸化膜を剥離し、750度の水蒸気酸化により厚さ3nmのゲート絶縁膜を形成する。後の工程は、実施例5と同じに図31(b)に説明した工程から先を行う。
【0168】
このように、アンチモンのイオン注入直後に、表面が急峻に低濃度となるアンチモンプロファイルの基板表面側に重なるように、ボロンを重ねて深く導入している。そして、ゲート酸化工程等の終わった最終工程後にも基板中のボロン濃度を高く保っている。一方、基板表面に浅くイオン注入する場合のボロンは、その後の熱処理によって、シリコン表面から酸化膜中へ拡散し、さらに、基板外へと外方拡散し、ボロン濃度は減少する。さらに、本実施例8では、マイナスの電荷を持つボロンを、逆のプラスの電荷を持つアンチモンに重ねて分布させることにより、ボロンが電界効果によりアンチモンに引き寄せられる。これらのことにより、pn接合部からシリコン基板表面へ向けて低濃度となるカウンター不純物分布が得られる。
【0169】
(実施例9)
図37はデバイスシミュレーションを用いてチャネル不純物並びにカウンター不純物の原子の個数ないし配置の統計的ばらつきがVthに与えるばらつきを計算機実験した結果である。この計算機実験方法は、表面チャネルデバイスの場合に本発明者らが用いた方法と基本的に同じである(Kazumi Nishinohara ら“Effects of Microscopic Fluctuztions in Dopant Distributions on MOSFET Threshold Voltage,” IEEE Transactions onElectron Devices,Vo1,39,pp634-639,1992)。以下にこの方法を説明する。
【0170】
まず、デバイスシミュレーションにおいてデバイス構造を格子状に離散化してデバイス特性を計算する際に、各々の離散化された単位領域に対し、設定された不純物濃度とこの単位領域の体積とから得られる不純物個数を算出する。次に、この不純物個数をこの単位領域の不純物個数の平均値として、計算機上で別途乱数を発生することによりこの平均値の回りに不純物個数を変動させる。この変動した不純物個数に対応する不純物濃度へと設定された不純物濃度を置き換える。このようにしてばらつきをもつ不純物濃度プロファイルを求め、これを用いてデバイスシミュレーションを行うものである。用いた乱数の分布はポアソン分布である。
【0171】
一回の乱数列発生によりこの乱数列に対応して1つのデバイス構造サンプルが得られる。各々の不純物プロファイルに対してそれぞれ10サンプルを生成し、それぞれのVthを求めた。実験に用いた3種の不純物プロファイルを説明する。これらは、メタルゲートnMOSFETの場合に関するもので以下に詳細を示す。
【0172】
(1)図1の不純物プロファイル。チャネル不純物濃度は2×1018cm−3、カウンター不純物濃度は5.3×1018cm−3、カウンター不純物領域2は半導体表面から深さ10nmまで達しているとした。
【0173】
(2)図8(b)の不純物プロファイル。チャネル不純物プロファイルの高濃度域の濃度は5×1018cm−3、カウンター不純物濃度は1.6×1018cm−3、点Bの深さは25nm、カウンター不純物領域2は半導体表面から深さ10nmまで達しているとした。
【0174】
(3)図7(b)の不純物プロファイル。チャネル不純物プロファイルの高濃度域の濃度は5×1018cm−3、カウンター不純物濃度は8.3×1017cm−3、点Bの深さは25nmとした。
【0175】
なお、ゲート長L=95nm、チャネルの幅W0=95nmとした。
【0176】
一般に幅WをW0に対して大きくすることにより不純物分布の統計ばらつきは平均化され、Vthばらつきは(W0/W)1/2程度に小さくなる。各々のカウンター不純物濃度はばらつきを与えない不純物分布においてVth=0.4Vとなるように調節した。図37より、図1のプロファイルの基板表面で高いn型不純物濃度と高いp型不純物濃度がうち消し合っている場合には、原子分布の統計ばらつきは最も大きなVthばらつきを与えている。本発明の不純物プロファイルである図8の基板表面にカウンター不純物の高濃度部分を設けているプロファイルの場合には、図1のプロファイルに比べ1/3程度ないしそれ以下のVthばらつきであった。さらに、図8のプロファイルの場合よりも、基板奥までカウンター不純物が分布を持ち基板表面濃度がより低い図7のプロファイルの場合の方が、Vthばらつきが小さくなっている。
【0177】
原子分布の統計ばらつきは、イオン注入、熱拡散などの、統計的性質をもつ製造プロセスを用いてデバイスを製造する場合には、原理的に除くことができない。微細化に伴ってゲート長が短くなるに従い、チャネル領域の面積は小さくなり、チャネル空乏層中に含まれる不純物原子個数は小さくなり、この個数ならびに配置のばらつきがデバイス特性に与えるばらつきは大きくなると考えられる。本発明のチャネルプロファイルは、カウンター不純物をもつチャネル不純物分布によるMISFETを非常に微細化された集積回路のために製造する際に、歩留まりを向上させるために有効である。
【0178】
上記のように、本発明は9つの実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0179】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、短チャネル効果や製造ばらつきに起因するVthのばらつきを抑える半導体装置を提供できる。
【0180】
また、本発明によれば、短チャネル効果や製造ばらつきに起因するVthのばらつきを抑える半導体装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】埋め込みチャネルを形成するnMOSFETのゲート酸化膜の直下の半導体中の典型的な不純物プロファイルの模式図である。
【図2】メタルゲートの場合に、典型的な埋め込みチャネルの構造を用いた場合の、カウンター不純物濃度に対するVthとカウンター不純物プロファイルのばらつきによるVthばらつきを示すグラフである。
【図3】表面チャネルを形成するnMOSFETのゲート酸化膜の直下の半導体のチャネル不純物プロファイルの模式図である。
【図4】ゲート長(L)のばらつきに対するVthのばらつきを概念的に示す図である。
【図5】メタルゲートの場合に、図3に示すステップ状のプロファイルを用いた場合の、半導体表面からステップまでの距離に対するVthとSCEレンジの関係を示すグラフである。
【図6】MOSFETの断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る半導体装置のゲート絶縁膜直下の基本的な不純物プロファイルである。図7(a)は正味の不純物に関し、(b)はチャネル不純物とカウンター不純物に関する。
【図8】本発明の実施の形態に係る半導体装置のゲート絶縁膜直下の図7の基本的な不純物プロファイルの変形例(その1)である。
【図9】本発明の実施の形態に係る半導体装置のゲート絶縁膜直下の図7の基本的な不純物プロファイルの変形例(その2)である。
【図10】本発明の実施の形態に係る半導体装置のゲート絶縁膜直下の図7の基本的な不純物プロファイルの変形例(その3)である。
【図11】本発明の実施の形態に係る半導体装置のゲート絶縁膜直下の図7の基本的な不純物プロファイルの変形例(その4)である。
【図12】本発明の実施の形態に係る半導体装置のゲート絶縁膜直下の図7の基本的な不純物プロファイルの変形例(その5)である。
【図13】nMOSFETのエネルギバンド図と深さ方向の電位を表すグラフである。
【図14】表面チャネルを生成するnMOSFETのエネルギバンド図である。
【図15】埋め込みチャネルを生成するnMOSFETのエネルギバンド図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る半導体装置のゲート絶縁膜直下の図7の基本的な不純物プロファイルの変形例(その6)である。
【図17】メタルゲートに図7に示す階段状のプロファイルを用いた場合の、カウンター不純物の濃度に対するVthとSCEレンジの関係を示すグラフである。
【図18】メタルゲートに図7に示す階段状のプロファイルを用いた場合の、カウンター不純物の濃度に対するVthとVthばらつきの関係を示すグラフである。
【図19】図9の階段状の変形のプロファイルに基づき、イオン打ち込みや熱拡散等により実現可能な不純物プロファイル(その1)と、ゲート電圧が閾値電圧Vthであるときのホール濃度分布である。
【図20】第1の実施例の有効性を示すために調べた3種のチャネル不純物プロファイルである。
【図21】図20の3種のプロファイルにおける、チャネル不純物とカウンター不純物のプロファイルばらつきに対するVthばらつきを示すグラフである。
【図22】図7の階段状のプロファイルに基づき、イオン打ち込みや熱拡散等により実現可能な不純物プロファイルと、ゲート電圧が閾値電圧Vthであるときのホール濃度分布である。
【図23】図22のカウンター不純物プロファイルの形状を3通りに変化させたそれぞれの場合について、チャネル不純物とカウンター不純物のプロファイルばらつきに対するVthばらつきを示すグラフである。
【図24】図9の階段状の変形のプロファイルに基づき、イオン打ち込みや熱拡散等により実現可能な不純物プロファイル(その2)と、ゲート電圧がVthであるときのホール濃度分布である。
【図25】実施例2に係わる不純物プロファイルを持つMISFETの断面図である。
【図26】「ダマシンゲート」工程を用いて実施例2の不純物プロファイルをもつMISFETを製造する方法を示す工程断面図(その1)である。
【図27】「ダマシンゲート」工程を用いて実施例2の不純物プロファイルをもつMISFETを製造する方法を示す工程断面図(その2)である。
【図28】実施例1に係わる不純物プロファイルを持つMISFETの断面図である。
【図29】「ダマシンゲート」工程を用いて実施例1の不純物プロファイルをもつMISFETを製造する方法を示す工程断面図(その1)である。
【図30】「ダマシンゲート」工程を用いて実施例1の不純物プロファイルをもつMISFETを製造する方法を示す工程断面図(その2)である。
【図31】「ダマシンゲート」工程を用いて実施例1の不純物プロファイルをもつMISFETを製造する方法を示す工程断面図(その3)である。
【図32】実施例3に係わるチャネルプロファイルを持つMISFETの断面図である。
【図33】プレーナートランジスタ製造方法を用いて実施例3のチャネル不純物分布をもつMISFETを製造する方法を示す工程断面図である。
【図34】本発明のチャネル不純物プロファイルと、メタルゲート電極を備えたCMOSトランジスタの断面図である。
【図35】「ダマシンゲート」工程を用いて、本発明のチャネル不純物プロファイルと、メタルゲート電極を備えたCMOSトランジスタを製造する方法を示す工程断面図である。
【図36】本発明に係る実施例8のメタルゲートを有するpMOSFETのチャネル不純物プロファイルとカウンター不純物プロファイルを表す図である。
【図37】チャネル不純物並びにカウンター不純物の原子の個数ないし配置の統計的ばらつきがVthに与えるばらつきを示すグラフである。
【符号の説明】
1 チャネル不純物プロファイル
2 カウンター不純物プロファイル
3、7、9、10、21 点線
4、5、6 線分
8 実線
11 半導体基板
12、36 ソース領域
13、37 ドレイン領域
14、46 ゲート絶縁膜
15、47 ゲート電極
16 ソース領域とドレイン領域の底面を含むように延長した平面
17 座標軸
18 第1導電型の正味の不純物プロファイル
19 第2導電型の正味の不純物プロファイル
23 ゲート絶縁膜と半導体基板との界面(基板表面)
24 pn接合面
25 チャネル不純物濃度が急激に減少する位置
26 カウンター不純物濃度のピーク位置
31 半導体基板
32 素子分離領域
33 犠牲絶縁膜
34 膜
35 ダミーゲート電極パタン
38、38p 深いソース領域
39、39p 深いドレイン領域
40 サイドウォール
41 開口部
42 層間絶縁膜
43、49、50、53、55 イオン注入
44、44p カウンター不純物領域
45、45p チャネル不純物領域
48 第2のゲート電極
51、54 レジスト
52 nウェル領域
56 引き出し電極

Claims (17)

  1. 半導体内部に設けられ、チャネル不純物領域となる第1導電型の第1の半導体領域と、
    前記第1の半導体領域と前記半導体の表面との間に設けられ、含有される前記第1導電型の不純物の活性濃度の最大値が前記第1の半導体領域の前記第1導電型の不純物活性濃度の最大値より小さく、含有される第2導電型の不純物の活性濃度の最大値が前記第1の半導体領域の前記第1導電型の不純物活性濃度の最大値より小さく、カウンター不純物領域となる前記第2導電型の第2の半導体領域と、
    前記表面の上で、前記第2の半導体領域の上方に設けられるゲート絶縁膜と、
    前記絶縁膜の上に設けられ、ゲート長が95nm以下のゲート電極となる金属又は金属化合物からなる導電体と、
    前記表面を含み第2の半導体領域の側面と接し、ソース領域となる第2導電型の第3の半導体領域と、
    前記表面を含み第2の半導体領域の側面と接し、ドレイン領域となる第2導電型の第4の半導体領域とを有し、前記第1の半導体領域を形成する第1導電型の不純物活性濃度が前記表面へ向けて低濃度となり、1nm当たりの濃度の比が0.9よりも小さい部分を持つと共に、しきい値電圧が0.4V以下であることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記第2の半導体領域の前記半導体内部側のpn接合位置での第2導電型の不純物活性濃度が、チャネル不純物領域の空乏層中の前記第1導電型の不純物の最大濃度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記第2の半導体領域の前記半導体内部側のpn接合位置で、第2導電型の不純物の活性濃度勾配が、第1導電型の不純物の活性濃度勾配よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記カウンター不純物領域の空乏層の端での前記第2導電型の不純物の活性濃度が、前記チャネル不純物領域の前記空乏層中の前記第1導電型の不純物プロファイルの活性濃度の最大値の4分の1よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の半導体装置。
  5. 前記第2の半導体領域を形成する第2導電型の不純物プロファイルのピーク位置が、前記第2の半導体領域の前記半導体内部側のpn接合位置よりも前記表面よりに位置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載の半導体装置。
  6. 前記第2導電型の不純物の前記表面における活性濃度は、前記第2導電型の不純物の活性濃度の最大値の2分の1よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1に記載の半導体装置。
  7. 前記表面において、前記第1導電型の不純物活性濃度は、前記第2導電型の不純物活性濃度の4分の1よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載の半導体装置。
  8. 前記第2導電型の不純物の前記表面における活性濃度は、前記第2の半導体領域の前記半導体内部側のpn接合での第2導電型の不純物の活性濃度、又は、前記第2の半導体領域中の第2導電型の不純物の活性濃度の最大値の2分の1よりも大きく、前記pn接合での第2導電型の不純物の活性濃度の2倍よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1に記載の半導体装置。
  9. 前記第1の半導体領域を形成する第1導電型の不純物活性濃度分布の前記表面へ向けてのプロファイルは急峻に低濃度となり、1nm当たりの濃度の比が0.8以下の部分を持つことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載の半導体装置。
  10. 前記第1導電型の不純物がインジウムであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の半導体装置。
  11. 前記第2導電型の不純物がリンであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1に記載の半導体装置。
  12. 前記第2導電型の不純物がアンチモン又は砒素であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1に記載の半導体装置。
  13. 前記第1導電型の不純物がアンチモン又は砒素であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1に記載の半導体装置。
  14. 前記第2導電型の不純物がボロン又はインジウムであることを特徴とする請求項1乃至9及び請求項13のいずれか1に記載の半導体装置。
  15. 前記半導体に、前記第1導電型がp型である前記半導体装置と、前記第1導電型がn型である前記半導体装置とを搭載することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1に記載の半導体装置。
  16. 前記第1導電型がp型である前記半導体装置の前記導電体と、前記第1導電型がn型である前記半導体装置の前記導電体とが、同一の金属または金属化合物で構成されていることを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。
  17. 第2の半導体装置を更に備え、該第2の半導体装置が、
    前記半導体内部に設けられ、チャネル不純物領域となる第2導電型の第5の半導体領域と、
    前記第5の半導体領域と前記半導体の表面との間に設けられ、含有される第2導電型の不純物の活性濃度の最大値が前記第5の半導体領域の第2導電型の不純物活性濃度の最大値より小さく、含有される第1導電型の不純物の活性濃度の最大値が前記第5の半導体領域の第2導電型の不純物活性濃度の最大値より小さく、カウンター不純物領域となる第1導電型の第6の半導体領域と、
    前記表面の上で、前記第6の半導体領域の上方に設けられる第2のゲート絶縁膜と、
    前記第2の絶縁膜の上に設けられ、ゲート電極となる金属又は金属化合物からなる第2の導電体と、
    前記表面を含み前記第6の半導体領域の側面と接し、ソース領域となる第1導電型の第7の半導体領域と、
    前記表面を含み前記第6の半導体領域の側面と接し、ドレイン領域となる第1導電型の第8の半導体領域と
    を有することを特徴とする請求項1乃至1のいずれか1に記載の半導体装置。
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