JP4761402B2 - プレキャストコンクリート製基礎材 - Google Patents

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本発明は、予め所定の幅に形成されている複数個のブロックからなり、これらのブロックが突き合わせ端面または側面において互いに連結されると建物の壁や柱を支持するベタ基礎の立上り部が形成されるようになっている、プレキャストコンクリート製基礎材およびその連結方法に関するものである。
多くの木造住宅等の建物の基礎には、布基礎またはベタ基礎が採用されている。布基礎は、所定高さの帯状に設けられた建物の壁面を支持する基礎であり、断面形状は所定の肉厚の逆T時形を呈している。そして、T字の横棒に相当するいわゆるフーチングが、均しコンクリートの上に載置され地中に埋められて沈下を防ぐと共に、縦棒に相当する部分によって建物の柱や壁面が支持されるようになっている。一方、ベタ基礎は、建物の壁面を支持する所定高さの帯状のいわゆる立上り部と、建物床面を投影した地面に打設される板状の底板とからなり、これらが一体的に形成された鉄筋コンクリートからなる基礎である。従来、このような布基礎やベタ基礎は、地盤を所定の深さに掘るいわゆる根切り工程、砕石を敷き詰めて突き固める砕石転圧工程、砕石の上にコンクリートを打設して所定の水平面を形成する均しコンクリート打設工程、布基礎やベタ基礎の立上り部を形成するための型枠設置工程、鉄筋を結線する鉄筋組工程、コンクリートを型枠やベタ基礎の底板に流し込むコンクリート打設工程、コンクリートが固化した後に型枠を取り外す型枠取り外し工程、等によって施工されている。従って、作業工程が多く施工には多額の費用を要する。
特開2007−321449号公報 特許第3662207号
特許文献1には、予め工場内で製造され、建築現場において互いに連結されると布基礎が形成される、プレキャストコンクリートからなる基礎材が記載されている。さらに詳しくは、特許文献1に記載の基礎材50は、図5の(ア)にその一部が示されているように、内部に鉄筋52、52、…が埋め込まれている板状の支柱部と、この支柱部の下端部に一体的に形成されているフーチング53とから、断面形状が逆T字型を呈するように形成されている。このように形成されている一方の基礎材50の突合面54には、所定大きさの凸部57を有する雄型ジョイントレール58が設けられ、他方の基礎材50突合面55には前記凸部57よりも若干大きい凹部60からなる雌型ジョイントレール61が設けられている。従って、雌型ジョイントレール61の凹部57に雄型ジョイントレール58の凸部57を挿入してスライドさせると、2個の基礎材50、50は互いに所定の遊びを持って連結されることになる。連結された2個の基礎材50、50に隙間d1’、d2’が形成されている様子が、図5の(イ)の一部断面図に示されている。このような雄型ジョイントレール58の所定の部分には、このレール58を横切る形で、複数個の半円形の第1の溝63、63、…が設けられ、雌型ジョイントレール61の所定の部分にも、前記第1の溝63、63、…と対をなす半円形の第2の溝64、64、…が設けられ、雄型ジョイントレール58と雌型ジョイントレール61とが連結されると、図5の(イ)に示されているように第1の溝63と第2の溝64とによって円錐状のテーパ孔66が形成されるようになっている。このテーパ孔66にテーパ状のピン68を打ち込むと、テーパ孔66は拡径されて図5の(ウ)に示されているように、隙間d1’が消滅して遊びは無くなり、雄型ジョイントレール58と雌型ジョイントレール61とは締め合わされる。
特許文献2には、予め工場内で製造される、基礎の立ち上がりの一部を構成する所定長さの基礎材と、このような複数の基礎材を連結する中空の枠構造の枠体ブロックとからなる、プレキャストコンクリートからなる基礎が記載されている。これらは次のようにして組み立てられるようになっている。すなわち、建築現場においては、複数の基礎材を互いに所定の間隔を置いて並べて、枠体ブロックを隣り合う2個の基礎材の間に挿入する。次いで、枠体ブロックにコンクリートを打設してコンクリートを充填する。枠体ブロックの、基礎材と接する端面は開口しているので、打設されたコンクリートによって基礎材と枠体ブロックとは一体化され、基礎の立上り部が形成される。なお、枠体ブロックにコンクリートを打設するときに、打設されたコンクリートの重量によって基礎材と枠体ブロックとが押し広げられて互いに離間しないように基礎材と枠体ブロックとは予め所定の金具部品で連結して固定しておく必要がある。基礎の底部は従来周知のようにコンクリートが打設されて得られる。
特許文献1に記載の基礎材50によっても、建築現場において型枠を設置する必要がなく、布基礎を形成するためのコンクリート打設作業もないので、作業工程は少なく施工の費用は安価に済む。しかしながら、解決すべき問題点も認められる。例えば、基礎材50は、端面すなわち突合面54、55の雄雌型ジョイントレール58、61によってのみ連結され、フーチング53は連結されていない。従って、建物や地盤から基礎にかかる外力は全て雄雌型ジョイントレール58、61に作用し、必要な強度を得るためには雄雌型ジョイントレール58、61を基礎材50の高さと等しい長さ、すなわち突合面54、55の全長に設ける必要があり、高価になってしまう。また、雄雌型ジョイントレール58、61は、テーパピン68、68、…を打ち込んで固定するようになっているので、布基礎全体の長さの微調整ができないという問題もある。すなわち、建築現場においては布基礎の施工精度が求められるが、隣り合う基礎材50、50の間隔は固定されてしまい微調整できないので、布基礎全体の長さは固定されてしまう。従って、布基礎の施工精度は、工場において製作される基礎材50、50、…の寸法精度に左右されてしまう。また、テーパピン68、68、…が打ち込まれると、複数個の基礎材50、50、…の底面、すなわちフーチング53、53、…の底面は、強制的に同一の平面上に配置されることになる。従って、基礎材50、50、…が載せられる均しコンクリートの平面精度が低いと、一部の基礎材50、50が浮き上がってしまい、均しコンクリートに過大な負荷がかかったり、雄雌型ジョイントレール58、61やテーパピン68、68、…に過大な負荷がかかって十分な強度が得られない場合がある。また、テーパピン68、68、…は振動によって弛んで抜けやすいという問題もあり、抜けてしまうと基礎の強度は著しく低下してしまう。さらには、特許文献1に記載の基礎材50は布基礎を形成するためのものであるが、布基礎自体には、いわゆる不同沈下を起こす恐れがあるので比較的強固な地盤でなければ採用し難いという問題もある。
特許文献2に記載のプレキャストコンクリートからなる基礎は、布基礎とベタ基礎のいずれの基礎に適用されるものなのか明確には記載されていないが、文献の図からは布基礎に適用されるように推定される。しかしながら、特許文献2に記載のプレキャストコンクリートからなる基礎は、底部に打設されるコンクリートと一体化されて基礎が形成されるように構成されているので、底部がベタ基礎の底板になるようにコンクリートが打設されれば、ベタ基礎にも適用可能であると考えられる。ベタ基礎は、不同沈下を起こし難く比較的軟弱な地盤であっても採用することができ、強固な基礎が得られる。しかしながら、解決すべき問題点も認められる。例えば、基礎材と枠体ブロックとは、枠体ブロックにコンクリートを打設する時に離間しないように、格別に所定の金具によって互いに連結しておく必要があり、作業工程が複雑で手間がかかる。また、枠体ブロックへのコンクリートの打設時に、基礎材と枠体ブロックの隙間が広いとコンクリートが漏れ出してしまうので、隙間が生じないように予め注意深くブロックを並べるか、基礎材と枠体ブロックの隙間を塞ぐように他の型枠でシールする等の手間が必要になり、作業が複雑である。また、枠体ブロックへのコンクリートの打設自体も煩雑である。基礎材と枠体ブロックの高さを調整する作業についても問題が認められる。ベタ基礎の立上り部の高さが均一になるようにに、基礎材と枠体ブロックとは等しい高さに調整する必要があるが、個々に高さ調整しなければならないので、作業効率が悪い。
したがって、本発明は、軟弱な地盤であっても不同沈下し難い強固なベタ基礎を、作業効率よく施工できるブロック基礎を提供することを目的としており、具体的には、安価でありながら必要な強度が得られ、互いに連結するときに長さを微調整でき、均しコンクリートの平面精度が不十分であっても、ブロックが浮き上がったり連結部分に過大な負荷がかかることもなく、格別にブロック同士を連結する金具も不要で効率よく作業でき、ブロックの高さ調整も効率よく実施できる、プレキャストコンクリート製基礎材を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、予め所定の長さに形成されているブロックすなわち基礎材からなり、これらの基礎材が突き合わせ端面または側面において互いに連結されると建物の壁や柱を支持するベタ基礎の立上り部が形成されるように構成される。特に、本発明は、前記目的を達成するために、基礎材の突き合わせ端面または端面の近傍の側面にはジョイントレールが設けられ、底面には基礎材の内部に埋め込まれている鉄筋の一部が所定長さだけ露出するように構成される。複数個の基礎材は、互いのジョイントレールが所定の隙間を有して嵌合されることにより仮結合されるようになっている。したがって、仮結合されているジョイントレールの所定の隙間にグラウト材を注入し、グラウト材が固化すると隣り合った基礎材は連結される。また、露出した所定長さの鉄筋を底板に埋め込まれる底鉄筋とを連結してコンクリートを打設すると、前記立上り部分と底板とが一体化されたベタ基礎が得られる。
かくして、請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、雌型基礎材と雄型基礎材とからなり、これらが突き合わせ端面または側面において互いに連結されると建物の壁や柱を支持するベタ基礎の立上り部が形成され、これらの底面から所定長さだけ外部へ露出している鉄筋が所定の底鉄筋と連結されてコンクリートが打設されるとベタ基礎の底板が形成されるようになっている基礎材であって、前記雌型基礎材は、その突き合わせ端面または側面に、高さ方向に所定の長さの雌型ジョイントレールが設けられ、そして底面に、均しコンクリートの上に載置するための高さ調整用金具が設けられ、前記雄型基礎材は、両側の突き合わせ端面のそれぞれに、高さ方向に所定の長さの雄型ジョイントレールが設けられ、複数個の前記雌型基礎材を互いに所定の間隔離間して並べ、そして隣り合う前記雌型基礎材の間に前記雄型基礎材を挿入すると、前記雌型ジョイントレールに前記雄型ジョイントレールが隙間をもった状態で挿入され、そして前記雄型ジョイントレールの下端部が前記雌型ジョイントレールの下端部に当接し、これによって前記雄型基礎材は前記隣り合う雌型基礎材と高さが揃った状態で仮結合されるようになっており、前記隙間にグラウト材が注入されて固化すると前記雌型基礎材と前記雄型基礎材が一体化するようになっていることを特徴とするプレキャストコンクリート製基礎材として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基礎材において、前記雌型基礎材は前記雌型ジョイントレールの下方の所定の位置に、前記雄型基礎材は前記雄型ジョイントレールの下方の所定の位置に、それぞれグラウト材が注入されるシャーコッタが設けられるように構成される。
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の基礎材において、前記雄型基礎材は規格化された形状のものが予め工場で製造され、前記雌型基礎材はベタ基礎の立上り部形状に応じて適宜製造されるように構成される。
以上のように、本発明によると、プレキャストコンクリート製基礎材はベタ基礎の立上り部分を形成するための基礎材として構成されているので、軟弱な地盤であっても不同沈下し難い強固なベタ基礎を安価に得ることができる。そして、基礎材は雌型基礎材と雄型基礎材とからなり、雌型基礎材の突き合わせ端面または側面には、所定の長さの雌型ジョイントレールが設けられ、雄型基礎材の両側の突き合わせ端面には所定の長さの雄型ジョイントレールが設けられている。これらの基礎材はそれぞれのジョイントレールが所定の遊びあるいは隙間をもった状態で仮結合されるようになっているので、建築現場における連結あるいは組立は極めて容易であり、また連結される立上り部分の全長の寸法が正確になるようにジョイントレール間の隙間を調整することもできるという、本発明に特有の効果が得られる。また、基礎材は隙間をもった状態で仮結合され、隙間にグラウト材を注入するようになっているので、基礎材を強固に連結することができる効果も得られる。さらには、基礎材の底面には、内部に埋め込まれている鉄筋の一部が所定長さだけ露出しているので、露出している鉄筋を底板に埋め込まれる底鉄筋と結合して、コンクリートを打設すると、前記立上り部分と底板とが一体化された強固なベタ基礎が得られるという効果も得られる。さらに雌型基礎材の底面には高さ調整用金具が設けられており、雌型、雄型のジョイントレールは、基礎材が連結されると、連結される基礎材の高さが揃うようになっているので、基礎材の高さは容易に揃えることができる。つまり雌型基礎材は高さ調整用金型によって高さを揃えることができ、このように高さ調整された2個の雌型基礎材の間に挿入される雄型基礎材は、自動的に高さが調整されることになる。従って、作業効率に優れ安価にベタ基礎が施工できる。また、他の発明によると雄型基礎材は予め工場で製造されているように構成されているので、大量に生産してストックしておくことができ、さらに安価に基礎材を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態に係る基礎材は、予め工場で製造されるプレキャストコンクリートであって、雌型基礎材1と、雄型基礎材2と、独立型基礎材3とからなっている。雌型基礎材1と雄型基礎材2とは、互いに接合されてベタ基礎の立上り部を形成するようになっているが、独立型基礎材3は、他の基礎材とは接合されないで単独の基礎材としてベタ基礎の立上り部を形成するようになっている。雌型基礎材1は、図1の(ア)に、雄型基礎材2は図1の(イ)に、独立型基礎材3は図1の(ウ)にそれぞれ示されているように、雌型1、雄型2および独立型基礎材3は、いずれも所定長さで所定厚の板状に形成され、建物の柱や壁を支持する上面4、4と、建築現場において打設されるコンクリートによってベタ基礎の底板と一体化される底面5、5と、側面6、6、…と、端面7、7とからなっている。雌型基礎材1の一方の端面7は、雄型基礎材2が接合される突き合わせ端面7になっているが、他方の端面7の近傍の側面6が雄型基礎材2が突き合わされる面になっている。これに対し、雄型基礎材2の両端面は、突き合わせ端面7、7となっている。雄型基礎材2は、基礎の幅、すなわち長さは、数種類しかなく、連結用のジョイントレールの埋め込み位置も、突き合わせ端面7、7の所定位置に位置していて不動であり、種類は少ない。同様に独立型基礎材3も長さは数種類のみで種類は少ない。従って、雄型基礎材2と独立型基礎材3は、規格化された標準品として予め工場において大量に生産されてストックされている。これに対し、雌型基礎材1は、施工される基礎の立ち上り部の形状に応じて、長さが異なるし、連結用のジョイントレールの埋め込み位置も異なるので種類は多数である。従って、雌型基礎材1のうち、限られた種類については規格化されて標準品としてストックしておくことはできるが、それ以外については、受注生産されることになる。
このような雌型基礎材1と雄型基礎材2と独立型基礎材3には、縦方向と横方向に格子状に鉄筋10、10’、…が埋め込まれており、縦方向の鉄筋10、10、…は所定長さだけ雄型、雌型、独立型基礎材1、2、3の底面5、5から下方へ突き出て露出している。突き出た鉄筋11、11、…は、先端がL字型に曲げられており、ベタ基礎の施工時に底鉄筋と連結されてベタ基礎の底板のコンクリートに埋め込まれることになる。
雌型基礎材1の、一方の突き合わせ端面7と他方の端面7の近傍の側面6には、鋼鉄等の金属製からなる雌型ジョイントレール13、13が設けられている。これらの雌型ジョイントレール13、13は、図1の(ア)に示されている実施の形態では、雌型基礎材1の突き合わせ端面7、7の上方部分に位置し、基礎材1の高さよりも短い。このような雌型ジョイントレール13、13の具体的構造が、図2の(ア)の断面図に示されている。すなわち、雌型ジョイントレール13は、一対の側壁13a,13a、底壁13bおよび前壁13cから断面が略方形の箱状を呈するように構成されている。前壁13cには、溝状のスリット15が長手方向あるいは上下方向に形成されている。このスリット15の下端部に、後述する雄型ジョイントレールのくびれ部の下端部が当接するまで挿入することにより、雄型、雌形基礎材2、1の上面4、4の位置合わせができることになる。このような雌型ジョイントレール13、13は、鉄筋10、10’に溶接されるかまたは所定のアンカー筋で定着され、前壁13cが突き合わせ端面7と同一面になるように、かつ底面5から所定の高さに位置するように、雌型基礎材1に埋め込まれている。雌型基礎材1の上面4の、雌型ジョイントレール13、13の上方の部分にはくり抜き部18が明けられている。これにより、雌型ジョイントレール13、13の上部は露出している。雄型ジョイントレール13、13の下方には、底面5から所定高さの位置に所定の深さのシャーコッタ20、20が明けられている。くり抜き部18から注入されるグラウト材は、シャーコッタ20、20にも充填されることになる。
図1に示されている雌型基礎材1においては、一方の雌型ジョイントレール13は突き合わせ端面7に設けられ、他方の雌型ジョイントレール13は、側面6に設けられているが、前述されているように、雌型基礎材は、基礎の立ち上り部の形状に合わせて、任意の位置に雌型ジョイントレール13が設けられることになる。雌型基礎材1の底面5には、高さ調整用金具22、22が設けられ、ベタ基礎の施工時に容易に高さの調整ができるようになっている。
雄型基礎材2の突き合わせ端面7、7には、図2の(イ)にも示されているように、長手方向あるいは縦方向に所定深さのグラウト注入溝25、25が設けられており、このグラウト注入溝25、25に対応する形で、雄型ジョイントレール27、27が設けられている。これらの雄型ジョイントレール27、27は、鋼鉄等の金属製からなり、前述した雌型ジョイントレール13の長さと実質的に等しい。雄型ジョイントレール27は、板状の基部28と、この基部28から所定高さに立ち上がっているくびれ部29と、このくびれ部29と一体的に構成されている断面形状が略方形の頭部31とから、鉄道用の軌道のような形状に形成されている。雄型ジョイントレール27のくびれ部29の厚さは、雌型ジョイントレール13のスリット部15よりも薄い。また、頭部31は凹部17よりも充分に小さい。したがって、雌型、雄型基礎材1、2を連結するとき、雄型ジョイントレール27は雌形ジョイントレール13に遊びをもった状態であるいは隙間をもって嵌合する。これにより、組立あるいは連結は容易になり、グラウト材の注入ができることになる。
このような雄型ジョイントレール27、27の基部28は、鉄筋10、10、…に溶接されるかまたは所定のアンカー筋で定着され、底面5から所定の高さに位置するように、基部28が雄型基礎材2に埋め込まれている。従って、くびれ部29と頭部31は、突き合わせ端面7、7から外方へ突き出ている。雄型ジョイントレール27、27の下方部分にも、底面5から所定高さの位置に所定の深さのシャーコッタ33、33が明けられている。
独立型基礎3は、他の基礎材とは連結されないので、ジョイントレールは設けられていない。独立型基礎3の底面5には、高さ調整用金具22、22が設けられ、ベタ基礎の施工時に容易に高さの調整ができるようになっている。
次に、本実施の形態に係る雌型、雄型、独立型基礎材1、2、3を使用して、ベタ基礎を施工する方法について、図3も参照しながら説明する。建築現場において、従来周知のように所定の範囲の地盤を所定の深さに掘る根切りを実施する。次いで、根切りされた地盤に砕石を敷き詰めてランマ等で押し固める転圧施工を実施する。転圧された砕石層36の上にコンクリートを打設して、所定の水平精度で所定厚さの均しコンクリート37を形成する。均しコンクリート37が固化した後に、ベタ基礎の立上り部分に、本実施の形態に係る雌型基礎材1、1、…を、互いに所定の間隔離間させて並べる。この間隔は、雄型基礎材2の幅と等しいか、それよりもわずかに広い間隔とし、最終的に得られるベタ基礎の立上り部の全長が正確になるように調整する。均しコンクリート37の上面の水平精度が高い場合は、均しコンクリート37上に載置された雌型基礎材1、1、…の上面4、4、…は同一水平面上に位置することになるが、水平精度が十分でない場合は、高さ調整用金具22、22あるいは適宜スペーサ等を利用して高さの微調整を行う。
次いで、隣り合う雌型基礎材1、1の間に雄型基礎材2を上方から挿入する。雄型ジョイントレール27のくびれ部29はスリット部16を通り、頭部31は凹部17に案内されて挿入される。図3の(ア)には、転圧された砕石層36に打設された所定厚さの均しコンクリート37と、均しコンクリート37の上に所定の間隔を開けて並べられた雌型基礎材1、1と、雌型基礎材1、1の間に挿入される雄型基礎材2とが示されている。雄型基礎材2を雌型基礎材1、1の間に挿入すると、雌型ジョイントレール13、13に、雄型基礎材2の雄型ジョイントレール27、27が嵌合された状態でガイドされ、雌型基礎材1、1と雄型基礎材2とは仮連結される。仮連結されると、くびれ部29の下端部がスリット部16の下端部に当接する。これにより、雌型基礎材1と雄型基礎材2の上面4、4は同一面になる。雌型、雄型基礎材1、2が仮連結されている状態が、図2の(ウ)の断面図に示されている。雌型ジョイントレール13の凹部17は、雄型ジョイントレール27の頭部31よりもわずかに大きい。従って、雌型、雄型ジョイントレール13、27は所定の隙間、すなわち遊びを持って仮連結されており、雌型、雄型基礎材1、2の突き合わせ端面7、7は密着する場合もあるし、わずかに隙間dが生じることもある。
独立型基礎3、3、…を、必要な場所に配置する。独立型基礎3、3、…が配置された様子は図には示されていない。均しコンクリート37の上面の水平精度が高い場合は、均しコンクリート37上に載置された独立型基礎材3、3、…の上面4、4、…の位置、すなわち高さは正確に揃うが、水平精度が十分でない場合は、高さ調整用金具22、22あるいは適宜スペーサ等を利用して高さの微調整を行う。
いわゆるジョイントダミー等を利用して、図3の(ア)に示されているように、均しコンクリート37の上に、格子状に底鉄筋39、39、…を配筋して、連結索等を用いて互いに連結する。雌型、雄型、独立型基礎材1、2、3の底面5、5から突き出たL字状の鉄筋11、11、…も、底鉄筋39、39、…と連結する。くり抜き部18から、図3の(イ)の矢印Yに示されている部分、すなわち雌型、雄型基礎材1、2の連結部にグラウト材を注入する。そうするとグラウト材は、雌型ジョイントレール13の凹部17と雄型ジョイントレール27の頭部31の隙間と、グラウト注入溝25と、シャーコッタ20、33とに注入される。前記凹部17と頭部31の隙間と、グラウト注入溝25とにグラウト材41が注入された状態が、図2の(エ)の断面図に示されている。雌型、雄型基礎材1、2の突き合わせ端面7、7の隙間dは大きくはないので、グラウト材41は隙間dから外部には漏れ難いが、グラウト材41を注入する際には、予め漏れ防止のシールが施されていることが好ましい。グラウト材が固化すると、雌型、雄型基礎材1、2は一体化されて、横方向や垂直方向の剪断力にも耐えられるようになる。コンクリートを打設して底板43を形成する。グラウト材41とコンクリートが固化すると、底板43と立上り部が一体化された強固なベタ基礎が得られる。
本発明に係る雌型、雄型基礎材1、2は、上記実施の形態に限定されることなく色々な形で実施できる。例えば、雌型、雄型ジョイントレール13、27の断面形状は、前記した形状だけに限られない。例えば、雄型ジョイントレールの頭部31の断面形状は円形、三角形等でも実施できる。また、蟻みぞ状の雌型、雄型ジョイントレールによっても実施できることは明らかである。さらには、ジョイントレールは、雄型と雌型の2種類からなるように説明されているが、1種類のジョイントレールでも実施できる。図4の(ア)には、雄型雌型の区別のないジョイントレール45が設けられている基礎材1’の一部断面が示されている。当業者には容易に理解されるので、前記した実施の形態に係る雌型、雄型基礎材1、2と作用効果が類似する構成部品には、同じ参照番号にダッシュ「’」を付して重複説明はしない。ジョイントレール45の断面形状は鉤状を呈しており、他の同一の形状のジョイントレール45と互いに遊びをもって嵌合されるようになっている。従って、図4の(イ)に示されているように、雌型、雄型の区別のない2個の基礎材1’、1’であっても、互いに仮連結でき、グラウト材41’が注入されると強固に連結される。
さらには、本実施の形態に係る雄型基礎材2は、規格化された複数の種類が用意されているように説明されているが、1種類でも同様に実施できることは明らかであるし、規格化される基礎材は雄型基礎材1として、雄型基礎材1を工場にて製造してストックしておき、雄型基礎材2が受注生産されるようにしても同様に実施できる。雄型基礎材2には、高さ調整用金具22は設けられていないように説明されているが、底部に雄型基礎材2を支持する所定の金具が設けられていてもよい。このようにすると雄型基礎材2の荷重が、雌型、雄型ジョイントレール13、27だけでなく、金具にも分散される。また、雌型、雄型ジョイントレール13、27は実質的に等しい長さである旨説明されているが、異なっていても、ジョイントレール内の所定位置にストッパ等を適宜設けることにより、互いに嵌合するときに雌型、雄型基礎材1、2の高さは揃えられる。また、ジョイントレールは基礎材の高さと等しい長さであっても実施できることは明らかである。さらには、雌型、雄型ジョイントレールは、予めコンクリートに埋め込まれているように説明されているが、製造されたプレキャストコンクリートにインサートボルト等により取り付けても同様に実施できる。また、高さ調整用金具22、22は基礎材とは別部材とすることもできる。例えば、基礎材とは別体の高さ調整用金具あるいは板により調節することもできる。
本実施の形態に係る雌型、雄型、独立型基礎材1、2、3は、底面6、6にフーチングとなるコンクリートを打設すれば布基礎の施工にも利用可能である。
本実施の形態に係る基礎材を模式的に示す斜視図で、その(ア)は雌型基礎材を、その(イ)は雄型基礎材を、その(ウ)は独立型基礎材をそれぞれ示す斜視図である。 本実施の形態に係る基礎材の連結される状態を示す断面図で、その(ア)は雌型基礎材の雌型ジョイントレール近傍を、その(イ)は雄型基礎材の雄型ジョイントレール近傍を、その(ウ)は雌型、雄型基礎材がそれぞれのジョイントレールが嵌合されている状態を、その(エ)は、嵌合されたジョイントレールとグラウト注入溝にグラウト材が注入され、雌型、雄型基礎材が連結されている状態を、それぞれ示す一部断面図である。 本実施の形態に係る基礎材を使用してベタ基礎を施工する方法を説明するための図で、その(ア)、(イ)は、各施工段階を模式的に示す斜視図である。 本発明の他の実施の形態に係る基礎材を示す断面図で、その(ア)は基礎材のジョイントレール近傍を、その(イ)は2個の基礎材が、ジョイントレールが嵌合されると共にグラウト材が注入されて連結されている状態を、それぞれ示す一部断面図である。 従来例を示す図で、その(ア)は基礎材を模式的に示す斜視図、その(イ)、(ウ)はその基礎材同士が互いに連結されるそれぞれの段階を示す一部断面図である。
符号の説明
1 雌型基礎材 2 雄型基礎材
3 独立型基礎材
4 上面 6 側面
7 端面
10、11 鉄筋
13 雌型ジョイントレール 15 スリット(溝)
17 凹部 20 シャーコッタ
22 高さ調整用金具 27 雄型ジョイントレール
29 くびれ部 31 頭部
33 シャーコッタ 36 砕石層
37 均しコンクリート 39 底鉄筋
41 グラウト材 43 底板

Claims (3)

  1. 雌型基礎材と雄型基礎材とからなり、これらが突き合わせ端面または側面において互いに連結されると建物の壁や柱を支持するベタ基礎の立上り部が形成され、これらの底面から所定長さだけ外部へ露出している鉄筋が所定の底鉄筋と連結されてコンクリートが打設されるとベタ基礎の底板が形成されるようになっている基礎材であって、
    前記雌型基礎材は、その突き合わせ端面または側面に、高さ方向に所定の長さの雌型ジョイントレールが設けられ、そして底面に、均しコンクリートの上に載置するための高さ調整用金具が設けられ、
    前記雄型基礎材は、両側の突き合わせ端面のそれぞれに、高さ方向に所定の長さの雄型ジョイントレールが設けられ、
    複数個の前記雌型基礎材を互いに所定の間隔離間して並べ、そして隣り合う前記雌型基礎材の間に前記雄型基礎材を挿入すると、前記雌型ジョイントレールに前記雄型ジョイントレールが隙間をもった状態で挿入され、そして前記雄型ジョイントレールの下端部が前記雌型ジョイントレールの下端部に当接し、これによって前記雄型基礎材は前記隣り合う雌型基礎材と高さが揃った状態で仮結合されるようになっており、前記隙間にグラウト材が注入されて固化すると前記雌型基礎材と前記雄型基礎材が一体化するようになっていることを特徴とするプレキャストコンクリート製基礎材。
  2. 請求項1に記載の基礎材において、前記雌型基礎材は前記雌型ジョイントレールの下方の所定の位置に、前記雄型基礎材は前記雄型ジョイントレールの下方の所定の位置に、それぞれグラウト材が注入されるシャーコッタが設けられていることを特徴とするプレキャストコンクリート製基礎材。
  3. 請求項1または2に記載の基礎材において、前記雄型基礎材は規格化された形状のものが予め工場で製造され、前記雌型基礎材はベタ基礎の立上り部形状に応じて適宜製造されることを特徴とするプレキャストコンクリート製基礎材。
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