JP4759487B2 - 基板搬送用パレット - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品を搭載した配線基板をそのはんだ付け面である裏面側から支えながら、フローはんだ装置内で搬送される基板搬送用パレットに関するものである。
近年、配線基板に搭載される電子部品は、リード端子の代わりに、複数の電極パッドをパッケージの底面に備える表面実装部品(SMD)が主流になりつつある。かかる表面実装部品は、表面実装技術(Surface Mount Technology)によって配線基板に実装される。表面実装技術では、まず、配線基板上にクリームはんだからなるパターンを印刷し、そのパターンの上に各種の表面実装部品をマウントする。そして、配線基板を表面実装部品とともにリフロー炉に投入して、クリームはんだ中のはんだを溶融させることで、配線基板の電極パッドと、表面実装部品の底面の電極パッドとを接合する。
但し、電子部品の中には、表面実装部品として構成することができなかったり、表面実装部品として構成することが不適切であったりするものがある。例えば、コイルやコネクタなどといった電子部品である。特に、基板上のコネクタは、相手側のコネクタが抜き差しされる際に相当の力がかかることから、基板に強固に固定される必要がある。このため、リード端子を配線基板のスルーホールに挿入せしめるタイプのディスクリート部品にせざるを得ないのが現状である。
かかるディスクリート部品を配線基板に効率良くはんだ付けすることができる装置として、特許文献1に記載のようなフローはんだ装置が知られている。ディスクリート部品が搭載された配線基板を搬送しながら、そのはんだ付け面である裏面を溶融したはんだの噴流に通すことで、ディスクリート部品のリード先端部にはんだを付着させて配線基板の電極パッドに接合する装置である。
フローはんだ装置内では、脆弱な配線基板が剛性の高い基板搬送用パレット(以下、単にパレットとも言う)にセットされた状態で搬送されるが、はんだの噴流の勢いによって配線基板がパレットから浮き上がってしまうおそれがある。このため、特許文献2に記載のように、配線基板をそのおもて面のディスクリート部品とともにパレットに向けて押さえる押さえ手段をパレットに固定するのが一般的である。
また、特許文献3に記載されているように、不適切なはんだ付着を防止する目的で、配線基板の裏面のはんだ付け非対称領域を覆いながら、はんだ付け対象領域を開口から露出させるマスク部材をパレットに設けることも一般化しつつある。
特開平14−361406号公報 特開2005−72441号公報 特開2002−190667号公報
上記特許文献2に記載のパレットは、上述の押さえ手段により、配線基板の浮き上がりに起因する不良品の発生を防止することができるが、コネクタの取り違えや逆付けによる不良品の発生を防止することはできなかった。具体的には、一般に、ディスクリート部品はリード端子の配列パターンが単純であるため、互いに異なる種類の部品であっても、配線基板のスルーホールパターンが同様のものになり易い。特に、コネクタはスルーホールパターンの共通するものが多く、外観も見分けが困難である。このため、互いに種類の異なるコネクタを取り違えてそれぞれ誤ったスルーホールパターンに挿入し、それに気付かないままにはんだ付けを行ってしまうというミスが起き易くなる。また、コネクタを正しいスルーホールパターンに挿入しているものの、その姿勢を180[°]逆の向きにしているという逆付けも起き易くなる。特許文献2に記載のパレットでは、このような取り違えや逆付けを防止することができないのである。
なお、上記特許文献3に記載のパレットでは、はんだブリッジを形成し易くなるという欠点がある。具体的には、フローはんだ付け法では、溶融はんだの噴流に接触させている配線基板をその噴流から離間させる際に、溶融はんだを撥液性に優れた基板面で撥ねさせて個々のリード端子や電極パッドの表面だけに残留させる。このとき、溶融はんだが配線基板の移動方向とは反対方向に活発に流れていないと、配線基板と溶融はんだとの相対速度差が不足して、複数のリード端子間を架橋していた溶融はんだが切れずに、ブリッジを形成したまま固化することがある。上述のマスク部材を使用すると、配線基板のはんだ付け対象面の周囲をマスク部材の開口の内壁で囲むことにより、溶融はんだの開口内における面方向の流れを阻害してしまうため、はんだブリッジを形成し易くなるのである。
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、コネクタの取り違えや逆付けを防止することができる基板搬送用パレットを提供することである
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、互いに係合し合う第1コネクタ及び第2コネクタからなるコネクタ対における該第1コネクタがおもて面に複数搭載された配線基板を、そのはんだ付け面である裏面側から支えるパレット本体と、それら複数の第1コネクタを介して該配線基板を該パレット本体に向けて押さえる押さえ手段とを有し、それら複数の第1コネクタを該配線基板にはんだ付けするためのフローはんだ装置内で搬送される基板搬送用パレットにおいて、上記押さえ手段として、複数の上記第2コネクタを、上記配線基板に搭載された複数の第1コネクタにそれぞれ個別に係合させ得る位置及び向きで固定した第2コネクタ搭載部材と、これを上記パレット本体に向けて付勢する付勢手段とを有するものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の基板搬送用パレットにおいて、上記第2コネクタ搭載部材として、透明な材料からなるものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の基板搬送用パレットにおいて、上記パレット本体と上記第2コネクタ搭載部材とを互いの連結部がない独立したものとし、且つ、上記付勢手段として、互いに対面する該パレット本体及び該第2コネクタ搭載部材の周縁部をクランプすることで、該第2コネクタ搭載部材を該パレット本体に向けて付勢するものを用いたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の基板搬送用パレットにおいて、上記パレット本体に位置決め部を設けるとともに、該位置決め部に係合する位置決め係合部を上記第2コネクタ搭載部材に設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の基板搬送用パレットにおいて、上記位置決め部と上記位置決め係合部との対を複数設けるとともに、これら対の平面配置を非点対称の配置にしたことを特徴とするものである
請求項1乃至5の発明においては、次に説明する理由により、コネクタの取り違えや逆付けを防止することができる。即ち、一般に、配線基板にはんだ付けされる第1コネクタは、他の種類の第1コネクタと共通するスルーホールパターンのものであっても、自らに誤った第2コネクタが装着されるという事態を回避する目的で、正しいしい第2コネクタ以外のものとは係合しない形状になっている。また、たとえ正しい第2コネクタであったとしても、それが基板面方向に180[°]逆向きの姿勢で装着されるという事態を回避する目的で、逆向きでは係合しない形状になっている。請求項1乃至5の発明では、配線基板に搭載された複数の第1コネクタに対して、それぞれ正しい第2コネクタが正しい向きで係合するように、複数の第2コネクタが第2コネクタ搭載部材に固定されている。ここで、配線基板に搭載された複数の第1コネクタが、それぞれ正しいもので且つ正しい向きになっていると過程する。この場合、コネクタ固定面をパレット本体上の配線基板に対面させた状態の第2コネクタ搭載部材を、パレット本体に向けて近づけていくと、第2コネクタ搭載部材における複数の第2コネクタが、それぞれ配線基板上の対応する第1コネクタにそれぞれ係合する。そして、第2コネクタ搭載部材が正規のセット完了位置までパレット本体に近づく。これに対し、配線基板上で第1コネクタの取り違えがあった場合には、第2コネクタ搭載部材上に正しい位置及び向きで固定されている第2コネクタが、配線基板上で取り違えられている第1コネクタに押し込まれようとするが、正しい組合せでないため係合することができずに引っ掛かる。この引っ掛かりにより、第2コネクタ搭載部材がセット完了位置までパレット本体に近づかないため、操作者は第1コネクタの取り違えに確実に気付くことになる。また、配線基板上で第1コネクタの姿勢が逆向きになっている場合にも、その第1コネクタに対して第2コネクタ搭載部材の第2コネクタが係合せずに引っ掛かるため、操作者は逆向きに確実に気付くことになる。配線基板上の全ての第1コネクタが正しい位置に正しい向きで搭載されていない限り、第2コネクタ搭載部材がセット完了位置にセットされないのである。よって、第1コネクタの取り違えや逆向きでの搭載を操作者に確実に気付かせて、それら取り違えや逆付けを防止することができる。
特に、請求項2の発明においては、第2コネクタ搭載部材が透明材料からなるので、セット完了位置にセットされた第2コネクタ搭載部材と、パレット本体上の配線基板との対向領域を、第2コネクタ搭載部材を通して見ることができる。そして、第2コネクタ搭載部材に固定されている複数の第2コネクタのうち、配線基板上の第1コネクタと係合して対をなさずに、その第1コネクタの存在しないものがあった場合には、その第1コネクタを付け忘れていると判断することができる。このように、透明な第2コネクタ搭載部材を介して、第2コネクタ搭載部材とパレット本体上の配線基板との対向領域を外部から見通すことで、第1コネクタの付け忘れの有無を容易に確認することができる。
また特に、請求項3乃至5の発明においては、次に説明する理由により、第2コネクタを第1コネクタに無理に押し込むことによる両コネクタの破損を抑えることができる。即ち、第2コネクタ搭載部材をパレット本体との対面位置でパレット上の配線基板に向けて付勢する方法としては、第2コネクタ搭載部材とパレット本体とをヒンジ(蝶番)によって連結し、ヒンジを中心として第2コネクタ搭載部材を扉のように回動させる方法が考えられる。しかしながら、このようにすると、配線基板上の第1コネクタに対して、第2コネクタ搭載部材上の第2コネクタを、ヒンジを中心とする公転移動で近づけていくことになるため、第2コネクタを第1コネクタに向けて真上から真っ直ぐに押し込むことができなくなる。そして、第2コネクタを第1コネクタに無理に押し込むことによって両者を破損するおそれが高くなる。そこで、請求項3乃至5の発明では、パレット本体と第2コネクタ搭載部材とを互いの連結部がない独立したものとし、第2コネクタ搭載部材をパレット本体に対してその真上から真っ直ぐに近づけていくことを可能にしたことで、両コネクタをスムーズに係合させる。これにより、第2コネクタを第1コネクタに無理に押し込むことによる両コネクタの破損を抑えることができる。
また特に、請求項4又は5の発明においては、第2コネクタ搭載部材をパレット本体上で位置決めすることで、第2コネクタ搭載部材のパレット本体へのセット作業を容易にすることができる。
また特に、請求項5の発明においては、第2コネクタ搭載部材をパレット本体に対して基板面方向に180[°]逆向きの姿勢でしようとしたときに、第2コネクタ搭載部材の位置決め係合部と、パレット本体の位置決め部との位置が合わなくなる。これにより、第2コネクタ搭載部材を逆向きでセットしてしまうといった事態を回避することができる。
なお、次のような第1参考発明や第2参考発明においては、配線基板の一部領域をマスク部材によって溶融はんだから保護しつつ、はんだブリッジの形成を抑えることができる。
即ち、第1参考発明は、配線基板のはんだ付け面である裏面におけるはんだ付け非対称領域を覆いながら、はんだ付け対象領域を開口から露出させるマスク部材を有し、該配線基板を裏面側から支えながらフローはんだ装置内で搬送される基板搬送用パレットにおいて、上記マスク部材のフローはんだ接触面に、パレット搬送方向に延在する溝を設け、該溝を上記開口に連結させたことを特徴とするものである。
また、第2参考発明は、第1参考発明の発明特定事項の全てを備えるとともに、次のような特徴的な構成を備えるものである。即ち、上記配線基板に搭載される電子部品を受け入れるための凹部を上記マスク部材における上記配線基板との接触側の面に設けるとともに、上記フローはんだ接触面における該凹部の裏側領域を避けて上記溝を設けたという特徴的な構成である。
これら第1参考発明や第2参考発明においては、フローはんだ装置内で配線基板を基板搬送用パレットと共に溶融はんだの噴流に通す際に、基板搬送用パレットのマスク部材の開口内に進入した溶融はんだを、その開口内から、開口に連結している溝に向けてスムーズに排出させる。これにより、マスク部材の開口の内壁に囲まれている配線基板のはんだ付け対象面上で、溶融はんだの流れを促して、はんだブリッジの形成を抑えることができる。
特に、第2参考発明においては、配線基板として、基板表面から大きく出っ張る電子部品を搭載したものを用いる場合であっても、出っ張りをマスク部材における配線基板との接触側の面に設けられた凹部に受け入れさせることで、配線基板を安定して基板搬送用パレットに保持させることができる。更に、マスク部材のフローはんだ接触面において、その凹部の裏側領域を避けて上記溝を設けることで、凹部と溝とのオーバーラップによって極薄厚箇所をマスク部材に設けてしまうといった事態を回避する。そして、これにより、極薄厚箇所を介してフローはんだの熱を容易に配線基板に伝達させてしまうといった事態を回避することで、フローはんだの熱による配線基板への悪影響(実装済みの電子部品のはんだ再溶融など)を回避することができる。
以下、本発明を基板搬送用パレット(以下、単にパレットという)に適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るパレットを示す斜視図である。このパレット1は、図示しない配線基板をそのはんだ付け面である裏面側から支えるパレット本体2と、押さえ板10と、4つの接続金具49とから構成されている。パレット本体2、押さえ板10は、それぞれ図示のように矩形状になっている。なお、同図では、パレット本体2における後述する凹部の底面を、便宜上、黒ベタで示している。
図2は、パレット本体2を配線基板50とともに示す斜視図である。また、図3は、パレット本体2を示す平断面図である。パレット本体2は、鉄やステンレス等の金属材料からなる。パレット本体2の底壁2aは、マスク部材になっており、底壁2aの中央部には配線基板50と係合する矩形状の凹部2bが形成されている。この凹部3の平面形状は、配線基板50と同じ形状及び寸法になっており、図2において矢印で示したように、凹部2b内に配線基板50がセットされる。図3に示しように、パレット本体2の底壁2aに形成された凹部2bの底面の一部には、更に窪んでいる複数の2次凹部2cや、複数の開口2dが形成されている。複数の2次凹部3aは、配線基板50の図示しない裏面から突出している電子部品や電極を受け入れるためのものであり、それらを凹内に受け入れながら多い隠すことができる。また、複数の開口3bは、配線基板50の図示しない裏面におけるはんだ付け対象領域を、はんだ噴流に向けて露出させるためのものである。このように、パレット本体2の凹部3の底面2aは、配線基板50の裏面におけるはんだ付け非対称領域を覆いながら、はんだ付け対象領域を開口2dから露出させるマスク部材として機能している。
先に示した図2において、配線基板50のおもて面には、21個の第1コネクタ52〜72が搭載されている。これら第1コネクタ52〜72は、何れも雄型コネクタとなっており、その上面には、図示しない第2コネクタの多列ピンを受け入れるための図示しない多列ピン用穴が形成されている。そして、これら第1コネクタ52〜72は、互いに異なる種類のものであるが、何れもコネクタケーシング内の底面から、多列ピン穴に対応する図示しないリード部材をアレイ状に突出させている。これらリード部材が配線基板50に設けられた図示しないスルーホールに挿入され、その先端が配線基板50の裏面から突出している。第1コネクタ52〜72は、リード部材を配線基板50のスルーホールに貫通させながら配線基板50のおもて面上に載置されただけの状態になっている。そして、配線基板50がパレット(1)とともに図示しない周知のフローはんだ装置内で搬送される過程で、第1コネクタ52〜72のリード部材が配線基板50のスルーホール周囲の電極にはんだ付けされる。このはんだ付けにより、第1コネクタ52〜72がそれぞれ配線基板50に固定される。
パレット本体2の額縁状の上面からは、位置決め部たる4つの位置決めピン3が鉛直方向上方に向けて突設せしめられている。これら4つの位置決めピン3は、パレット本体2の四隅付近に配設されているが、その平面配置は、4つのピンを結ぶ線が台形状になるような配置となっており、これはパレット本体2の重心点Cを中心にして非点対称のレイアウトである。
図4は、押さえ板10を示す斜視図である。押さえ板10は、矩形状の透明板11を有している。この透明板11は、厚み数〜数十[mm]の耐熱性透明アクリル板から構成されている。透明板11の裏面には、21個の第2コネクタ12〜32が固定されている。図中の符号12で示した第2コネクタは、透明板11の裏面において、図2に示した配線基板50上における21個の第1コネクタ52〜72のうち、符号52で示した第1コネクタに係合し得る位置及び姿勢で固定されている。同様にして、符号13、14・・・31、32で示した第2コネクタは、それぞれ、符号53、54・・・71、72で示した第1コネクタに係合し得る位置及び姿勢で固定されている。なお、第2コネクタは、何れも雌型コネクタである。
矩形の透明板21における裏面の周縁部には、直方体のスペーサー部材35が4つ固定されている。これら4つのスペーサー部材35は、図5(a)、図5(b)に示すように、その底面に円柱状の位置決め係合穴35bが設けられている。更に、側面には円柱状の金具係合穴35aが設けられている。
また、矩形の透明板11の裏面における中央部付近には、3つの基板押さえピン36が突設せしめられている。更に、矩形の透明板11の裏面における四隅付近には、それぞれ基板位置決めピン37が突設せしめられている。
かかる構成の押さえ板10を、配線基板50が載せられたパレット本体2にセットするには、まず、図6に示すように、コネクタ固定面を鉛直方向下側に向けた姿勢の押さえ板10を、配線基板50がセットされたパレット本体2の上方にもっていく。そして、第2コネクタ搭載部材たる押さえ板10のコネクタ固定面と、パレット本体2にセットされた配線基板50のコネクタ搭載面とを対面させる。この状態で、図中矢印で示すように、押さえ板10をパレット本体2に向けて下ろしていく。そして、押さえ板10の4つのスペーサー部材35におけるそれぞれの底面に設けられた図示しない係合穴(図5の35b)を、それぞれパレット本体2の4つの位置決めピン3の何れかに係合させる。このとき、押さえ板10を面方向に180[°]逆向きの姿勢でパレット本体2にセットしようとした場合には、スペーサー部材35の底面に設けられた位置決め係合部たる図示しない係合穴(図5の35b)と、パレット本体2の位置決め部たる位置決めピン3とが係合しない。これは、先に図3に示したように、パレット本体2における4つの位置決めピン3の平面レイアウトが非点対称になっており、押さえ板10における4つの係合穴(35b)も同様のレイアウトになっているからである。
これにより、パレット本体2に対する押さえ板20の逆向きセットを回避することができる。
押さえ板20を正しい向きで手にもって図6に示したようにパレット本体2に向けて下ろしていくと、押さえ板10における4つのスペーサー部材35の係合穴(35b)に、パレット本体2における4つの位置決めピン3が進入し始める。そして、位置決めピン3が係合穴(35b)内に完全に進入するのに先立って、押さえ板10の裏面に固定された21個の第2コネクタ(12〜32)が、それぞれ配線基板50の対応する第1コネクタ(52〜72)に係合を開始する。そして、全ての第2コネクタと第1コネクタとの組合せがそれぞれ完全に係合した時点で、パレット本体2の位置決めピン3が、スペーサー部材35の位置決め係合穴(35b)内に完全に挿入される。これにより、4つのスペーサー部材35の底面が、それぞれパレット本体2の上面に密着する。
先に示した図1において、4つの接続金具49は、それぞれ断面が日本語カタカナ「コ」のような形状になっている。そして、「コ」の字の内部に、「コ」の字の左側開口に向けて突出する係合ピン49aが設けられている。図7に示すように、上述した4つの位置決めピン3が、それぞれ対応する係合穴35bに完全に挿入されて、パレット本体2の上面と4つのスペーサー部材35の下面とがピッタリと密着すると、図7に示すように、押さえ板10の上面と、パレット本体2の縁部レール下面との距離がL1になる。この距離L1は、接続金具49の内側の「コ」の字の高さL2よりも少しだけ大きくなっているが、薄厚のステンレス板の加工によって得られた接続金具49の上壁や下壁は僅かに撓むことができる。このため、図中矢印で示すように、付勢手段たる接続金具49が押さえ板10とパレット本体2の縁部レールとを挟み込む(クランプする)ように装着される。そして、接続金具49の係合ピン49aがスペーサー部材35の金具係合穴35aと係合して、第2コネクタ搭載部材たる押さえ板10をパレット本体2に向けて付勢するようになる。
ここで、図8に示すように、配線基板50において、第1コネクタ66と第1コネクタ67とが取り違えて搭載されたとする。先に図2に示したように、本来であれば第1コネクタ66は第1コネクタ67の右隣に搭載されなければならないが、図8では取り違えによって両者の位置関係が逆になっている。両者における図示しない多列リードピンのピッチやレイアウトが互いに似通っているため、位置関係を逆にしても、それぞれの多列リードが配線基板50のスルーホールパターンに挿入されてしまう。第1コネクタ66、第1コネクタ67がそれぞれ図2に示したように正しい位置にセットされていれば、図9で示すように、配線基板50上の雄型の第1コネクタ66が、押さえ板10に固定された雌型の第2コネクタ26内に進入して両者がピタリと係合する。また、配線基板50上の雄型の第1コネクタ67が、押さえ板10に固定された雌型の第2コネクタ27内に進入して両者がピタリと係合する。ところが、図8に示したような取り違えが起こると、図10で示すように、第1コネクタ67が第2コネクタ26に係合しようとするとともに、第1コネクタ66が第2コネクタ27に係合しようとする。しなし、第1コネクタ67と第2コネクタ26という組合せや、第2コネクタ66と第2コネクタ27という組合せは、正しいコネクタ対の組合せではないため、それぞれ第2コネクタが第1コネクタに引っ掛かる。これにより、図示のようにコネクタ対の係合がなされない。すると、押さえ板10の上面と、パレット本体2の縁部レールの下面との距離が、先に図7に示した距離L1よりも相当に大きくなるため、接続金具49で押さえ板10及びパレット本体2の縁部を挟み込むことができなくなる。これにより、作業者は、取り違え等が起きていることに確実に気付くことができる。
また、図11に示すように、配線基板50の第1コネクタ61が、180[°]逆向きの姿勢で配線基板50上に搭載されたとする。この場合、第1コネクタ61に対しては、正規の組合せの第2コネクタ(図4の21)が係合しようとする。しなしながら、両者の向きが互いに180[°]逆になっているので、両者の係合が阻止される。そして、取り違えのときと同様に、接続金具49が取り付けられないことにより、作業者は逆向きが起きていることに確実に気付くことができる。
なお、先に示した図9や図10において、押さえ板10の透明板11と、第2コネクタ(26、27)との間に介在している符号48で部材は、それぞれスペーサーである。本パレット1では、第1コネクタと第2コネクタとからなる21個のコネクタ対が成立するが、これらコネクタ対の係合後の高さはそれぞれまちまちである。このため、そのままの状態では、全てのコネクタ対を係合させることができない。そこで、全てのコネクタ対の高さを合わせるために、最も高さのあるコネクタ対の他は、コネクタ対の第2コネクタの下に、スペーサー48を設けているのである。これにより、全てのコネクタ対の高さを合わせて、それぞれ第1コネクタと第2コネクタとを係合させることができる。
21個の第2コネクタ12〜32については、それぞれ電気回路として機能する本物を用いる必要は必ずしもない。第1コネクタと適切に係合するものであれば、擬似的なものを用いてもよい。
先に図2に示したように、配線基板50上においては、その周縁部に集中的に第1コネクタが搭載されている。基板の中央部に搭載されるのは、21個のうち僅かに2個(59、60)だけである。押さえ板10がパレット本体2にセットされると、配線基板50が押さえ板10と、第2コネクタと。これに係合している第1コネクタとを介して接続金具49によってパレット本体2に向けて押さえられるが、コネクタのない箇所は押さえられない。配線基板50は、図示しないフローはんだ装置内で加熱されることによって撓み易くなるので、押さえの少ない基板中央部が撓みによって浮き上がるおそれがある。そこで、本実施形態に係るパレット1では、先に図4に示したように、押さえ板10の透明板11の裏面における中央部に、3つの基板押さえピン36を固定している。そして、押さえ板10をパレット本体2にセットした状態で、これら基板押さえピン36の先端をそれぞれ配線基板50の中央部に当接させることで、配線基板50の中央部の撓みを回避することができる。なお、3つの基板押さえピン36は、それぞれ図示しないバネ機構によって先端を伸縮させることができる。
また、先に示した図4において、透明板11の四隅付近にそれぞれ固定された基板位置決めピン37は、それぞれ先端に設けられた突起を、配線基板50の四隅に設けられた基板固定ネジ用スルーホール(図2の51)に進入させる。これにより、配線基板50をパレット本体2上で位置決めすることができる。
透明板11は、上述したように、耐熱性透明アクリル板から構成されている。耐熱性の材料を用いることで、フローはんだ装置内での加熱に耐えさせることができる。また、透明な材料を用いることで、セット完了位置にセットされた押さえ板10と、パレット本体2上の配線基板50との対向領域を、透明板11を通して見ることができる。そして、押さえ板50の裏面に固定されている21個の第2コネクタ(12〜32)のうち、配線基板50上の第1コネクタと係合して対をなさずに、その第1コネクタの存在しないものがあった場合には、その第1コネクタを付け忘れていると判断することができる。このように、透明板11を介して、押さえ板10とパレット本体2上の配線基板50との対向領域を外部から見通すことで、第1コネクタの付け忘れの有無を容易に確認することができる。
本実施形態では、先に図1に示したように、パレット本体2と押さえ板10とを互いの連結部がない独立したものとし、押さえ板10をパレット本体2に対してその真上から真っ直ぐに近づけていくことを可能にした。これにより、押さえ板10の裏面の第2コネクタ(12〜32)を、それぞれ対応する第1コネクタ(52〜72)に対してその真上から近づけていって、両者をスムーズに係合させる。そして、第2コネクタ(12〜32)を第1コネクタ(52〜72)に無理に押し込むことによる両コネクタの破損を抑えることができる。
図12は、パレット本体2をフローはんだ接触面である裏面側から示す平面図である。パレット本体2の底壁は上述したようにマスク部材となっており、図示しない配線基板のはんだ付け対象領域を露出させるための9個の開口2dが形成されている。パレット本体2の裏面には、これら9個の開口2dの他に、額縁状の矩形溝4や、直線状の2本の溝5,6が形成されている。矩形溝4は、その矩形の内側で9個の開口2dを包囲している。そして、9個の開口2dのうち、自らに比較的近い位置にある7個の開口2dと連結している。残りの2個の開口2dは、矩形溝4からかなり離れたパレット中央に設けられているため、矩形溝4には連結していない。その代わりに、残りの2個の開口2dのうち、図中左側に位置するものに対しては、直線状の溝5の一端が連結しており、溝5のもう一端が図中左上端の開口2dに連結している。また、もう1個の開口2dに対しては、直線状の溝6の一端が連結しており、溝6のもう一端が図中右上端の開口2dに連結している。図中の矢印は、フローはんだ装置内でのパレットの搬送方向を示している。溝5は、中央左側の開口2dに対して搬送方向下流側で一端を連結させており、もう一端を更に下流側にある図中左上端の開口2dに連結させているのである。また、溝6は、中央右側の開口2dに対して搬送方向下流側で一端を連結させており、もう一端を更に下流側にある図中右上端の開口2dに連結させているのである。
各開口2d内では、フローはんだ装置内で吹き付けられる溶融はんだの噴流の流れが開口2d内で閉じこめられて、良好な流れが阻害されてしまう。そこで、本実施形態に係るパレットでは、矩形溝4や、直線上の溝5,6を設けている。
図13は、図示しないフローはんだ装置内で搬送されるパレットにおける図12のA−A’断面を示す断面図である。パレット本体2は図中矢印D方向に向けて搬送されている。パレット本体2に対しては、その裏面に向けて溶融はんだ90の噴流が当てられている。各開口2d内に進入した溶融はんだ90は、矩形溝4における搬送方向に延在している溝内に進入して、パレット搬送方向である矢印D方向とは逆方向への流れが助長されている。このようにして、図12に示した9個の開口2dのうち、中央部にない7個の開口2dでは、矩形溝4により、矢印D方向とは逆方向への溶融はんだ90の流れが助長される。これにより、溶融はんだ90とパレット本体2との相対速度差を大きくして、はんだブリッジの形成を抑えることができる。
図14は、図示しないフローはんだ装置内で搬送されるパレットにおける図12のB−B’断面を示す断面図である。パレット中央部に設けられた図中真ん中の開口2d内に進入した溶融はんだ90は、これに搬送方向下流側で連結しながらパレット搬送方向である矢印D方向に延在している直線状の溝6内に進入して、パレット搬送方向である矢印D方向とは逆方向への流れが助長されている。これにより、溶融はんだ90とパレット本体2との相対速度差を大きくして、はんだブリッジの形成を抑えることができる。
矩形溝4や直線状の溝5については、先に図3に示した複数の2次凹部2cの裏側領域を避けて設けている。これにより、マスク部材としての底壁2aの厚み方向において、矩形溝4や溝5と、2次凹部2cとのオーバーラップによる極薄厚箇所の発生を回避している。かかる構成では、極薄箇所を介してフローはんだの熱を配線基板50に容易に伝達させてしまうことによる配線基板50への悪影響の発生を解消することができる。
これまで、配線基板50に搭載する第1コネクタを全て雄型コネクタとし、且つ、押さえ板10に固定する第2コネクタを全て雌型コネクタとした例について説明したが、全ての第1コネクタと雌型とし、且つ全ての第2コネクタを雄型としてもよい。また、第1コネクタとして、雄型及び雌型の両方を用いるとともに、第2コネクタとして、雄型及び雌型の両方を用いてもよい。
実施形態に係るパレットを示す斜視図。 同パレットのパレット本体を配線基板とともに示す斜視図。 同パレット本体を示す平断面図。 同パレットの押さえ板を示す斜視図。 (a)は、同押さえ板の4つのスペーサー部材のうちの1つを示す斜視図。(b)は、同スペーサー部材を示す断面図。 配線基板が載せられた同パレット本体と、同押さえ板とを示す斜視図。 同パレットの一端部を、接続金具とともに示す拡大断面図。 第1コネクタの取り違えが生じた同配線基板を示す斜視図。 第1コネクタの取り違えが生じていない場合に、互いに係合している第1コネクタ及び第2コネクタを押さえ板等とともに示す断面図。 第1コネクタの取り違えが生じている場合に、互いの係合が阻止されている第1コネクタ及び第2コネクタを押さえ板等とともに示す断面図。 第1コネクタの逆向き搭載が生じた同配線基板を示す斜視図。 同パレット本体を裏面側から示す平面図。 図12のA−A’断面を配線基板及び溶融はんだとともに示す断面図。 図12のB−B’断面を配線基板及び溶融はんだとともに示す断面図。
符号の説明
1:パレット
2:パレット本体
3:位置決めピン(位置決め部)
4:矩形溝
5、6:溝
10:押さえ板(第2コネクタ搭載部材)
11:透明板
12〜32:第2コネクタ
35:スペーサー部材
35a:金具係合穴
35b:係合穴(位置決め係合部)
49:接続金具(付勢手段)
50:配線基板
52〜72:第1コネクタ

Claims (5)

  1. 互いに係合し合う第1コネクタ及び第2コネクタからなるコネクタ対における該第1コネクタがおもて面に複数搭載された配線基板を、そのはんだ付け面である裏面側から支えるパレット本体と、それら複数の第1コネクタを介して該配線基板を該パレット本体に向けて押さえる押さえ手段とを有し、それら複数の第1コネクタを該配線基板にはんだ付けするためのフローはんだ装置内で搬送される基板搬送用パレットにおいて、
    上記押さえ手段として、複数の上記第2コネクタを、上記配線基板に搭載された複数の第1コネクタにそれぞれ個別に係合させ得る位置及び向きで固定した第2コネクタ搭載部材と、これを上記パレット本体に向けて付勢する付勢手段とを有するものを用いたことを特徴とする基板搬送用パレット。
  2. 請求項1の基板搬送用パレットにおいて、
    上記第2コネクタ搭載部材として、透明な材料からなるものを用いたことを特徴とする基板搬送用パレット。
  3. 請求項1又は2の基板搬送用パレットにおいて、
    上記パレット本体と上記第2コネクタ搭載部材とを互いの連結部がない独立したものとし、且つ、上記付勢手段として、互いに対面する該パレット本体及び該第2コネクタ搭載部材の周縁部をクランプすることで、該第2コネクタ搭載部材を該パレット本体に向けて付勢するものを用いたことを特徴とする基板搬送用パレット。
  4. 請求項3の基板搬送用パレットにおいて、
    上記パレット本体に位置決め部を設けるとともに、該位置決め部に係合する位置決め係合部を上記第2コネクタ搭載部材に設けたことを特徴とする基板搬送用パレット。
  5. 請求項4の基板搬送用パレットにおいて、
    上記位置決め部と上記位置決め係合部との対を複数設けるとともに、これら対の平面配置を非点対称の配置にしたことを特徴とする基板搬送用パレット
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