JP4759064B2 - 符号表選択方法、符号化装置、プログラム及び記録媒体 - Google Patents

符号表選択方法、符号化装置、プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、時系列データを符号化する技術に関し、特に、時系列データを符号化するための符号表を選択する技術に関する。
時系列データを効率よく符号化するための技術にエントロピー符号化がある。エントロピー符号化とは、符号化対象である各シンボルの出現確率に応じてビット数の異なる符号を割り当てる方法であり、その具体例には、ハフマン符号(Huffman Coding)などがある(例えば、非特許文献1)。エントロピー符号化によって符号化を行う場合、各シンボルの出現確率に応じて各シンボルに割り当てる符号を求めることも可能である。しかし、計算量の観点から、事前に複数種類の符号表(例えば、ハフマン符号表)を用意しておき、それらから符号量を最小化する符号表を選択して符号化を行う方法が一般的である。
図1(A)は、事前に用意しておいた複数の符号表を用いてエントロピー符号化を行う従来の符号化装置1010の機能構成を例示した図である。また、図1(B)は、符号表の一例を説明するための図である。
図1(A)の例では、事前に複数(jmax)種類の符号表T(j)(j=1,...,jmax)を用意しておき、それらを記憶部1013に格納しておく。図1(B)に例示するように、この例の符号表T(j)は、シンボルであるデータ値xと各データ値xに割り当てられた符号x(x,j)と各符号x(x,j)のビット数b(x,j)とが対応付けられたテーブルである。図1(B)の例の場合、データ値xは時系列データの振幅値であり、L(L≧2)種類の整数値x=0,...,L-1をとる。
入力された時系列データDATA(n)の符号化は、フレームなどの予め定められた離散時間区間(n=0,...,N-1、Nは2以上の整数)ごとに行われる。まず、当該離散時間区間の時系列データDATA(n)(n=0,...,N-1)が符号量計算部1014に入力され、符号量計算部1014は、記憶部1013に格納された符号表T(j)ごとに、当該離散時間区間の時系列データDATA(n)を符号化するためのビット数(符号量)を算出する。具体的には、符号量計算部1014は、符号表T(j)から各時系列データDATA(n)(n=0,...,N-1)に対応するビット数b(x,j)をそれぞれ抽出し、E(j)=Σn=0 N-1b(DATA(n),j)の演算によって符号量E(j)を算出する。この処理はすべての符号表T(j)について行われるため、必要となる符号表T(j)の検索回数は平均N・jmax・(L/2)となり、演算回数はN・jmax回となる。例えば、jmax=16,N=160,L=32であれば、必要となる符号表T(j)の検索回数は平均40960回となり、演算回数は2560回となる。
算出された各符号量E(j)は符号表選択部1015に入力される。符号表選択部1015は、入力された各符号量E(j)を比較し、符号量E(j)を最小化する符号表T(h)を選択し、その符号表T(h)を特定するためのパラメータhを出力する。出力されたパラメータhは、符号化部1017とパラメータ符号化部1016とに入力される。
符号化部1017は、入力されたパラメータhを用いて記憶部1013に格納された符号表T(h)を特定し、特定した符号表T(h)を用いて各時系列データDATA(n)(n=0,...,N-1)を符号化した符号Cd(n)を生成して出力する。また、パラメータ符号化部1016は、入力されたパラメータhを符号化した符号Ccを生成して出力する。
以上のように生成された符号Cd(n),Ccを受け取った復号装置は、符号Ccを復号してパラメータhを生成し、パラメータhによって特定される符号表T(h)を用いて符号Cd(n)を復号して時系列データDATA(n)を生成する。
David Salomon, "Data Compression : The Complete Reference", Springer, 1998年, ISBN0-387-98280-9, pp.68-72.
従来の方法では、符号化に用いる符号表T(h)を選択するために、離散時間区間ごとに平均平均N・jmax・(L/2)回の探索処理とN・jmax回の演算とを行う必要があり、符号表を選択するための処理量が多いという問題点がある。
本発明は、複数種類の符号表から時系列データを符号化するための符号表を選択するための処理量を削減することが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明では、予め定められた離散時間区間における時系列データのデータ値xの頻度h(x)を求め、各データ値xと各データ値xにそれぞれ対応する各符号c(x,j)とが少なくとも対応付けられた複数種類の符号表T(j)と、求められた各頻度h(x)とを用い、少なくとも一部のデータ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出し、算出された積和SP(j)を用い、複数種類の符号表T(j)から、離散時間区間における時系列データを符号化するための符号表を選択する。
本発明では、複数種類の符号表T(j)から時系列データを符号化するための符号表を選択するための処理量を削減することができる。
(A)は従来の符号化装置の機能構成を例示した図であり、(B)は符号表の一例を説明するための図である。 (A)は、第1実施形態の符号化装置の機能構成を例示した図である。(B)は、符号表の一例を説明するための図であり、(C)は、データ値の頻度を例示した図である。 第1実施形態の復号装置の機能構成を例示した図。 (A)は、第1実施形態の符号化方法を説明するためのフローチャートであり、(B)は、第1実施形態の復号方法を説明するためのフローチャートである。 図4(A)のステップS20の一例を説明するためのフローチャート。 (A)は、第2実施形態の符号化装置の機能構成を例示した図である。また、(B)は、基準符号表T(J)の一例を説明するための図であり、(C)は、符号表T(j)の一例を説明するための図である。 第2実施形態の符号化方法を説明するためのフローチャート。 第3実施形態の符号化装置の機能構成を例示した図。 第3実施形態の復号装置の機能構成を例示した図。 第3実施形態の符号化方法を説明するためのフローチャート。 第3実施形態の符号化方法を説明するためのフローチャート。 図11のステップS470の具体例を説明するためのフローチャート。 (A)は、第3実施形態の復号方法を説明するためのフローチャートであり、(B)は、(A)のステップS530の具体例を説明するためのフローチャートである。 各被除数を法2sで割った商を示した表。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
〔原理〕
まず、本形態の原理を説明する。
本形態では、(A) 予め定められた離散時間区間〔0,...,N-1(N≧2)〕における時系列データDATA(n)(n=0,...,N-1)のデータ値xの頻度h(x)を求めるステップと、(B) 各データ値xと各データ値xにそれぞれ対応する各符号c(x,j)〔j=1,...,jmax(jmax≧2)〕とが少なくとも対応付けられた複数種類の符号表T(j)と、ステップ(A)で求められた各頻度h(x)とを用い、少なくとも一部のデータ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出するステップと、(C) ステップ(B)で算出された積和SP(j)を用い、複数種類の符号表T(j)から、離散時間区間(n=0,...,N-1)における時系列データDATA(n)を符号化するための符号表T(h)を選択するステップとを実行する。これらの処理をベクトル表現すると以下のようになる。まず、ステップ(A)では、予め定められた離散時間区間〔0,...,N-1(N≧2)〕における時系列データDATA(n)(n=0,...,N-1)のデータ値xの頻度h(x)を求める。次のステップ(B)では、各データ値x=x0,x1,...,xL-1〔L(L≧2)は予め設定されたデータ値xの全種類数〕と各データ値xにそれぞれ対応する各符号c(x,j)〔j=1,...,jmax(jmax≧2)〕とが少なくとも対応付けられた複数種類の符号表T(j)と、ステップ(A)で求められた各頻度h(x)とを用い、少なくとも一部のデータ値x=x0,x1,...,xW-1(WはW≦Lを満たす整数)の頻度h(x)を要素とするヒストグラムH=(h(x0), h(x1),..., h(xW-1))と、当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)を要素とするヒストグラムB=(b(x0,j),b(x1,j),...,b(xW-1,j))との内積H・BT(BTはBの転置を示す)を各符号表T(j)についてそれぞれ算出し、各積和SP(j)=H・BTを求める。そして、ステップ(C)では、ステップ(B)で算出された積和SP(j)=H・BTを用い、複数種類の符号表T(j)から、離散時間区間(n=0,...,N-1)における時系列データDATA(n)を符号化するための符号表T(h)を選択する。なお、時系列データDATA(n)が0以上の値しかとらないのであれば、時系列データDATA(n)がとり得る振幅値を各データ値xとすればよい。また、時系列データDATA(n)が正負の値をとり得るのであれば、DATA(n)がとり得る値を各データ値xとすればよい。また、時系列データDATA(n)に対応するインデックスを各データ値xとしてもよい。
上述のように算出される積和SP(j)は、符号表T(j)を用いて離散時間区間(n=0,...,N-1)における時系列データDATA(n)を符号化した場合の総符号量E(j)又はその推定値となる。本形態では、データ値xの頻度h(x)を求めてから積和SP(j)を求めるため、総符号量E(j)又はその推定値を効率よく求めることができる。以下にその理由を説明する。
まず、本形態では、符号表T(j)からのビット数b(x,j)の探索を、各離散時刻n=0,...,N-1の時系列データDATA(n)についてそれぞれ行う必要はなく、多くても頻度がh(x)≧1となるデータ値xについてそれぞれ行えばよい。よって、本形態では、離散時間区間(n=0,...,N-1)におけるビット数b(x,j)の平均探索回数をL・jmax・(L/2)以下とすることができる。これによる探索回数の削減効果は、時系列データDATA(n)がデータ値xに偏りが存在するデータである場合(音響信号やその予測残差など)や、データ値xの種類数Lが離散時間区間長Nよりも小さい場合に特に大きい。例えば、jmax=16,N=160,L=32であれば、本形態で必要な平均検索回数は8192回以下となり、従来の40960回よりも大幅に削減できる。
また、本形態のデータ値xの頻度h(x)を求めるための演算回数はN回となり、積和SP(j)を求めるために必要な加算や乗算の回数はそれぞれL・jmax回以下となる。例えば、jmax=16,N=160,L=32であれば、本形態で必要となる演算回数の合計は512+512+160=1184回以下となり、従来の2560回よりも大幅に削減できる。
また、L種類すべてのデータ値xについての積和SP(j)を求めるのではなく、その一部〔U(U<L)種類〕のデータ値xのみについての積和SP(j)を求めた場合、離散時間区間(n=0,...,N-1)ごとの平均探索回数はU・jmax・(U/2)以下となり、積和SP(j)を求めるために必要な加算や乗算の回数はそれぞれU・jmax回以下となる。例えば、jmax=16,N=160,L=32,U=16であれば、平均探索回数は2048回となり、演算回数の合計は256+256+160=672回以下となる。
また、積和SP(j)を求めるための一部〔U(U<L)種類〕のデータ値xの選択方法を工夫することで、符号表T(h)の選択精度をさほど落とすことなく、探索回数や演算回数を削減できる。例えば、頻度h(x)が大きい順に選択された一部のデータ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)を各符号表T(j)についてそれぞれ算出し、それらを用いて符号表T(h)を選択する。また、例えば、各符号表T(j)からそれぞれビット数b(x,j)が小さい順に選択された一部の符号c(x,j)のビット数b(x,j)と当該符号c(x,j)に対応するデータ値xの頻度h(x)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出し、それらを用いて符号表T(h)を選択する。このようにした場合、符号表T(h)の選択精度をさほど落とすことなく、探索回数や演算回数をさらに削減できる。
また、一部のデータ値xのみについての積和SPpre(j)を各符号表T(j)について求め、基準符号表T(J)に対する積和SPpre(j)との差が予め定められた閾値を超えるほど大きくなる積和SPpre(j)に対応する符号表T(j)を候補から除外し、候補として残った符号表についてのみ、より多くのデータ値xについての積和SPpre(j)を求めてもよい。すなわち、時系列データDATA(n)のデータ値xがL種類存在し、m2,m1がL≧m2>m1を満たす1以上の整数であり、ステップ(B)が、(B-1) m1種類のデータ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SPpre(j)=Σxh(x)・b(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出するステップと、(B-2) 基準符号表T(J)について算出された積和SPpre(J)と各符号表T(j)についてそれぞれ算出された積和SPpre(j)とを比較し、積和SPpre(J)よりも小さいか、又は、積和SPpre(J)との差が予め定められた閾値以下である積和SPpre(j)を選択するステップと、(B-3) ステップ(B-2)で選択された積和SPpre(j)に対応する符号表T(j)のみについて、m2種類のデータ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)をそれぞれ算出するステップと、を含んでもよい。また、ステップ(B-1)の例は、頻度h(x)が大きい順に選択されたm1種類のデータ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SPprexh(x)・b(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出するステップ、又は、各符号表T(j)からそれぞれビット数b(x,j)が小さい順に選択されたm1種類の符号c(x,j)のビット数b(x,j)と当該符号c(x,j)に対応するデータ値xの頻度h(x)との積和SPprexh(x)・b(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出するステップである。なお、基準符号表T(J)は、1つであってもよいし複数であってもよい。また、基準符号表T(J)は、各積和SPpre(j)の閾値判定に対して同一であってもよいし、異なっていてもよい。このようにした場合、符号表T(h)の選択精度を高く維持しつつ、探索回数や演算回数を削減できる。
また、データ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)ではなく、データ値xの頻度h(x)と、符号表T(j)で当該データ値xに対応付けられた符号c(x,j)のビット数b(x,j)と基準符号表T(J)で当該データ値xに対応付けられた符号c(x,J)のビット数b(x,J)との差Δb(x,j)と、の積和SP(j)=Σxh(x)・Δb(x,j)を用いてもよい。すなわち、(A') 予め定められた離散時間区間における時系列データのデータ値xの頻度h(x)を求めるステップと、(B') 各データ値xと各データ値xにそれぞれ対応する各符号c(x,J)とが少なくとも対応付けられた基準符号表T(J)と、各データ値xと各データ値xにそれぞれ対応する各符号c(x,j)とが少なくとも対応付けられた複数種類の符号表T(j)と、ステップ(A')で求められた各頻度h(x)とを用い、少なくとも一部のデータ値xの頻度h(x)と、符号表T(j)で当該データ値xに対応付けられた符号c(x,j)のビット数b(x,j)と基準符号表T(J)で当該データ値xに対応付けられた符号c(x,J)のビット数b(x,J)との差Δb(x,j)と、の積和SP(j)=Σxh(x)・Δb(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出するステップと、(C') ステップ(B')で算出された積和SP(j)を用い、複数種類の符号表T(j)及び基準符号表T(J)から、離散時間区間における時系列データを符号化するための符号表を選択するステップとを実行してもよい。この場合、積和SP(j)=Σxh(x)・Δb(x,j)のΔb(x,j)=0となる項については乗算や加算が不要となるため、演算量をさらに削減できる。なお、この場合も、一部〔U(U<L)種類〕のデータ値xのみについての積和SP(j)を求めてもよいし、一部のデータ値xのみについての積和SPpre(j)を各符号表T(j)について求め、基準符号表T(J)に対する積和SPpre(j)との差が予め定められた閾値を超えるほど大きくなる積和SPpre(j)に対応する符号表T(j)を候補から除外し、候補として残った符号表についてのみ、より多くのデータ値xについての積和SPpre(j)を求めてもよい。また、基準符号表T(J)は、1つであってもよいし複数であってもよい。また、基準符号表T(J)は、各積和SPpre(j)の閾値判定に対して同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、時系列データDATA(n)のデータ値xの頻度分布に偏りがあってその偏りに傾向がある場合、その傾向に沿った符号表T(j)とその傾向から外れた例外的な符号表T(EX)とを用意しておいてもよい。そして、時系列データDATA(n)のデータ値xの頻度分布が当該傾向に沿ったものである場合には上記の何れかの方法によって符号表T(h)を特定し、時系列データDATA(n)のデータ値xの頻度分布が当該傾向から外れたものであった場合には符号表T(EX)を符号表T(h)としてもよい。例えば、時系列データDATA(n)の性質によっては、データ値xの頻度分布がx=0のとき最も高くなり、xの絶対値が大きくなるにつれて小さくなるような傾向〔例えば、ラプラス分布(Laplace distribution)に近似する傾向〕がある。このような場合には、例えば、データ値xの絶対値が大きくなるにつれてビット数b(x,j)が大きくなる符号表〔例えば、α符号に近似する符号表〕を傾向に沿った各符号表T(j)とし、その傾向から外れた符号表を符号表T(EX)とする。そして、例えば、最大のデータ値xL-1の頻度h(xL-1)と予め定められた閾値とを比較し、頻度h(xL-1)が当該閾値以下の場合には、上記の何れかの方法によって各符号表T(j)から符号表T(h)を選択し、頻度h(xL-1)が当該閾値を超えた場合には例外処理として符号表T(EX)を符号表T(h)とする。
〔第1実施形態〕
次に、本発明の第1実施形態を説明する。
図2(A)は、第1実施形態の符号化装置10の機能構成を例示した図である。また、図2(B)は、符号表の一例を説明するための図であり、図2(C)は、データ値の頻度を例示した図である。また、図3は、第1実施形態の復号装置20の機能構成を例示した図である。なお、図2(A)において図1(A)と共通する部分については、図1(A)と同じ符号を用いた。また、図4(A)は、第1実施形態の符号化方法を説明するためのフローチャートであり、図4(B)は、第1実施形態の復号方法を説明するためのフローチャートである。図5は、図4(A)のステップS20の一例を説明するためのフローチャートである。
<構成>
図2(A)に示すように、本形態の符号化装置10は、制御部1011、一時メモリ1012、記憶部1013、パラメータ符号化部1016、符号化部1017、頻度算出部12、積和算出部13、及び、符号表選択部14を有する。また、符号化装置10は、例えば、CPU(central processing unit),RAM(random-access memory),ROM(read-only memory)等を有する公知のコンピュータに所定のプログラムが読み込まれ、CPUがこれを実行することによって構成される。すなわち、一時メモリ1012や記憶部1013は、例えば、RAM、磁気記録装置、光磁気記録媒体やそれらの少なくとも一部の結合によって構成される記憶領域である。また、制御部1011、パラメータ符号化部1016、符号化部1017、頻度算出部12、積和算出部13、及び、符号表選択部14は、CPUに所定のプログラムが読み込まれて構成される処理部である。なお、符号化装置10は、制御部1011の制御のもと各処理を実行する。また、各演算処理で生成されたデータは、逐一、一時メモリ1012に格納され、その他の演算処理の際に読み出されて利用される。
図3に示すように、本形態の復号装置20は、制御部21、一時メモリ22、記憶部23、パラメータ復号部24、及び、復号部25を有する。また、復号装置20は、例えば、CPU,RAM,ROM等を有する公知のコンピュータに所定のプログラムが読み込まれ、CPUがこれを実行することによって構成される。すなわち、一時メモリ22及び記憶部23は、例えば、RAM、磁気記録装置、光磁気記録媒体やそれらの少なくとも一部の結合によって構成される記憶領域である。また、制御部21、パラメータ復号部24及び復号部25は、例えば、CPUに所定のプログラムが読み込まれて構成される処理部である。なお、復号装置20は、制御部21の制御のもと各処理を実行する。また、各演算処理で生成されたデータは、逐一、一時メモリ22に格納され、その他の演算処理の際に読み出されて利用される。
<事前設定>
事前設定として、予め定められた範囲のL種類のデータ値x=x0,x1,...,xL-1と、各データ値xにそれぞれ対応する各符号c(x,j)と、各符号c(x,j)のビット数b(x,j)とが少なくとも対応付けられた複数種類の符号表T(j)(j=1,...,jmax)が記憶部1013に格納される。なお、図2(B)の例のデータ値xは、0以上L-1以下の整数x=0,1,...,N-1である。また、各符号表T(j)の一例はハフマン符号表である。また、記憶部1013に格納されたのと同様な符号表T(j)が復号装置20の記憶部23にも格納される。
<符号化処理>
まず、予め定められた離散時間区間(n=0,...,N-1)における時系列データDATA(n)(n=0,...,N-1)が符号化装置10(図2(A))に入力される。なお、離散時間区間の例は、データ処理単位であるフレームやフレームをさらに複数に区分したサブフレームである。
入力された各時系列データDATA(n)は頻度算出部12に入力され、頻度算出部12は、離散時間区間(n=0,...,N-1)における
時系列データDATA(n)の各データ値x=x0,x1,...,xL-1の頻度h(x)をそれぞれ求める(ステップS10)。図2(C)の例では、各データ値x=0,1,2,3,4,...,L-1の各頻度h(0)=50,h(1)=25,h(2)=13,h(3)=6,h(4)=4,...,h(L-1)=1が求められる。
各頻度h(x)は、それぞれに対応するデータ値xを特定可能な状態で積和演算部13に入力される。積和演算部13は、入力された各頻度h(x)と、記憶部1013に格納された各符号表T(j)とを用い、少なくとも一部のデータ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出する(ステップS20)。
[ステップS20の具体例]
以下に、ステップS20の具体例を示す。
≪具体例1-1≫
積和演算部13は、入力された各頻度h(x)に対応する各データ値x=x0,x1,...,xL-1に対応する各符号c(x,j)のビット数b(x,j)を記憶部1013に格納された符号表T(j)から抽出する。次に、積和演算部13は、データ値x=x0,x1,...,xL-1の各頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和
SP(j)=h(x0)・b(x0,j)+h(x1)・b(x1,j)+…+h(xL-1)・b(xL-1,j)
を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出する。
≪具体例1-2≫
まず、積和演算部13は、入力された各頻度h(x)を互いに比較し、頻度h(x)が大きい順にU(U<L)個のデータ値x=x0,x1,...,xU-1が選択される。次に、積和演算部13は、選択した各データ値x=x0,x1,...,xU-1に対応する各符号c(x,j)のビット数b(x,j)を記憶部1013に格納された符号表T(j)から抽出する。次に、積和演算部13は、選択されたデータ値x=x0,x1,...,xU-1の各頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和
SP(j)=h(x0)・b(x0,j)+h(x1)・b(x1,j)+…+h(xU-1)・b(xU-1,j)
を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出する。
≪具体例1-3≫
まず、積和演算部13は、記憶部1013に格納された各符号表T(j)から、それぞれビット数b(x,j)が小さい順にU(U<L)個の符号c(x0,j),c(x1,j),...,c(xU-1,j)を選択する。次に、積和演算部13は、入力された各頻度h(x)から、選択したU個の符号c(x,j)に対応するデータ値x=x0,x1,...,xU-1に対応する各頻度h(x0),h(x1),...,h(xU-1)を選択する。そして、積和演算部13は、選択した各符号c(x0,j), c(x1,j),...,c(xU-1,j)のビット数b(x0,j),b(x1,j),...,b(xU-1,j)と各頻度h(x0),h(x1),...,h(xU-1)との積和
SP(j)=h(x0)・b(x0,j)+h(x1)・b(x1,j)+…+h(xU-1)・b(xU-1,j)
を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出する。
≪具体例1-4≫
m2,m1がL≧m2>m1を満たす1以上の整数であり、積和SP(j)がm2種類のデータ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)であるとする。なお、以下で添え字として使用する「m1」や「m2」は、それぞれ「m2」や「m1」を意味する。
図5に示すように、まず、積和演算部13は、m1種類のデータ値x=x0,x1,...,xm1-1の頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和
SPpre(j)=h(x0)・b(x0,j)+h(x1)・b(x1,j)+…+h(xU-1)・b(xm1-1,j)
を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出する(ステップS21)。なお、ステップS21は、頻度h(x)が大きい順に選択されたm1種類のデータ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出するステップであってもよいし、各符号表T(j)からそれぞれビット数b(x,j)が小さい順に選択されたm1種類の符号c(x,j)のビット数b(x,j)と当該符号c(x,j)に対応するデータ値xの頻度h(x)との積和SPpreを、各符号表T(j)についてそれぞれ算出するステップであってもよいし、その他の基準で選択されたm1種類のデータ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出するステップであってもよい。
次に、積和演算部13は、符号表T(j)から選択された基準符号表T(J)について算出された積和SPpre(J)と各符号表T(j)についてそれぞれ算出された積和SPpre(j)とを比較し、積和SPpre(J)よりも小さいか、又は、積和SPpre(J)との差が予め定められた閾値以下である積和SPpre(j)を選択する(ステップS22)。そして、積和演算部13は、選択した積和SPpre(j)に対応する符号表T(j)のみについて、m2種類のデータ値x=x0,x1,...,xm2-1の頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和
SP(j)=h(x0)・b(x0,j)+h(x1)・b(x1,j)+…+h(xU-1)・b(xm2-1,j)
をそれぞれ算出する(ステップS23)。
なお、これらの具体例における積和SP(j)は、前述のようにの頻度h(x)を要素とするベクトルと、対応するビット数b(x,j)を要素とするベクトルとの内積と等価である。よって、ベクトル間の内積を高速に演算できるアルゴリズムがあるのであれば、内積演算によって各積和SP(j)を求めてもよい([ステップS20の具体例]の説明終わり)。
算出された積和SP(j)は、符号表選択部14に入力される。符号表選択部14は、積和SP(j)を用い、複数種類の符号表T(j)から、離散時間区間(n=0,...,N-1)における
時系列データDATA(n)を符号化するための符号表T(h)を選択する(ステップS30)。
[ステップS30の具体例]
以下に、ステップS30の具体例を示す。
≪具体例2-1≫
各積和SP(j)を相互に比較し、最小の積和SP(j)に対応する符号表T(j)を、離散時間区間(n=0,...,N-1)における時系列データDATA(n)を符号化するための符号表T(h)として選択する。
≪具体例2-2≫
各符号表T(j)を相互に順次比較していき、大きさが小さいほうから所定番目以内であると最初に判定された積和SP(j)に対応する符号表T(j)を、離散時間区間(n=0,...,N-1)における時系列データDATA(n)を符号化するための符号表T(h)として選択する。
≪具体例2-3≫
データ値x=x0,x1,...,xL-1から選択されたデータ値X(例えば、X=xL-1)の頻度h(X)を予め定められた閾値と比較し、頻度h(X)が当該閾値以下の場合には具体例2-1や2-2などの原則的な方法で各符号表T(j)から符号表T(h)を選択し、頻度h(X)が当該閾値を越える場合には、例外的な方法として特定の符号表T(EX)を符号表T(h)として選択する。なお、データ値Xは、時系列データDATA(n)の特定に依存して選択される。例えば、データ値xの頻度分布h(x)がラプラス分布に近似する傾向がある場合、データ値xの絶対値が大きくなるにつれてビット数b(x,j)が大きくなるα符号に近似する符号表を各符号表T(j)とし、その傾向から外れた符号表を符号表T(EX)とする。そして、例えば、最大のデータ値xL-1の頻度h(xL-1)と予め定められた閾値とを比較し、頻度h(xL-1)が当該閾値以下の場合には、上記の何れかの方法によって各符号表T(j)から符号表T(h)を選択し、頻度h(xL-1)が当該閾値を超えた場合には例外処理として符号表T(EX)を符号表T(h)とする。
≪具体例2-4≫
データ値x=x0,x1,...,xL-1から選択されたデータ値Xの大きさに応じ、探索する符号表を変える。例えば、データ値x=x0,x1,...,xL-1から選択されたデータ値X(例えば、X=xL-1)の頻度h(X)を予め定められた閾値と比較し、頻度h(X)が当該閾値以下の場合には具体例2-1や2-2などの方法で各符号表T(j)から符号表T(h)を選択し、頻度h(X)が当該閾値を越える場合には、具体例2-1や2-2などの方法で特定の複数種類の符号表T(ex)から符号表T(h)として選択する([ステップS30の具体例]の説明終わり)。
符号表選択部14で選択された符号表T(h)を特定するパラメータhが符号化部1017に入力される。符号化部1017には、さらに離散時間区間(n=0,...,N-1)における時系列データDATA(n)が入力される。そして、符号化部1017は、記憶部1013に格納された各符号表T(j)からパラメータhによって特定される符号表T(h)を選択し、選択した符号表T(h)を用い、各時系列データDATA(n)を符号化し、符号Cd(n)を生成する(ステップS40)。すなわち、符号化部1017は、符号表T(h)を参照して時系列データDATA(n)に対応する符号c(x,j)をそれぞれ選択し、それを時系列データDATA(n)に対応する符号Cd(n)とする。
また、符号化選択部14で選択されたた符号表T(h)を特定するパラメータhは、パラメータ符号化部1016にも入力される。パラメータ符号化部1016は、パラメータhを符号化したパラメータ符号Ccを生成する。このパラメータ符号Ccは離散時間区間(n=0,...,N-1)ごとに生成される(ステップS50)。なお、パラメータ符号化部1016で行われる符号化方法の例は、ゴロムライス(Golomb Rice)符号化などである。
そして、符号化装置10は、上記のように生成された各符号Cd(n)とパラメータ符号Ccを出力する(ステップS60)。出力された各符号Cd(n)とパラメータ符号Ccは、ネットワークや可搬型記録媒体を用いて復号装置20に伝送される。
<復号処理>
離散時間区間(n=0,...,N-1)における各符号Cd(n)とパラメータ符号Ccは復号装置20に入力される。パラメータ符号Ccはパラメータ復号部24に入力され、パラメータ復号部24はパラメータ符号Ccを復号してパラメータhを生成する(ステップS110)。生成されたパラメータhは復号部25に入力される。復号部25は、記憶部23に格納された各符号表T(j)から符号表T(h)を特定する(ステップS120)。復号部25には、各符号Cd(n)も入力され、復号部25は特定した符号表T(h)を用いて各符号Cd(n)を復号し、時系列データDATA(n)を生成して出力する(ステップS130)。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
第1実施形態では、データ値xの頻度h(x)と当該データ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出し、算出された積和SP(j)を用い、複数種類の符号表T(j)から、離散時間区間(0,…,N-1)における時系列データDATA(n)を符号化するための符号表T(h)を選択することとした。しかし、第2実施形態では、データ値xの頻度h(x)と、符号表T(j)で当該データ値xに対応付けられた符号c(x,j)のビット数b(x,j)と基準符号表T(J)で当該データ値xに対応付けられた符号c(x,J)のビット数b(x,J)との差Δb(x,j)と、の積和SP(j)=Σxh(x)・Δb(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出し、算出された積和SP(j)を用い、複数種類の符号表T(j)から、離散時間区間(0,…,N-1)における時系列データDATA(n)を符号化するための符号表T(h)を選択する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する事項については説明を省略する。
図6(A)は、第2実施形態の符号化装置110の機能構成を例示した図である。また、図6(B)は、基準符号表T(J)の一例を説明するための図であり、図6(C)は、符号表T(j)の一例を説明するための図である。なお、図6(A)において図1(A)や図2(A)と共通する部分については、それらと同じ符号を用いた。また、図7は、第2実施形態の符号化方法を説明するためのフローチャートである。なお、図7において図4(A)と共通するステップについては、それと同じ符号を用いた。
<構成>
図6(A)に示すように、本形態の符号化装置110は、制御部1011、一時メモリ1012、記憶部1013、パラメータ符号化部1016、符号化部1017、頻度算出部12、積和算出部113、及び、符号表選択部14を有する。また、符号化装置110は、例えば、CPU,RAM,ROM等を有する公知のコンピュータに所定のプログラムが読み込まれ、CPUがこれを実行することによって構成される。例えば、積和算出部113は、CPUに所定のプログラムが読み込まれて構成される処理部である。なお、符号化装置110は、制御部1011の制御のもと各処理を実行する。また、各演算処理で生成されたデータは、逐一、一時メモリ1012に格納され、その他の演算処理の際に読み出されて利用される。
復号装置の構成は第1実施形態と同じである。ここでは説明を省略する。
<事前設定>
事前設定として、予め定められた範囲のL種類のデータ値x=x0,x1,...,xL-1と、各データ値xにそれぞれ対応する各符号c(x,J)とが少なくとも対応付けられた基準符号表T(J)と、各データ値x=x0,x1,...,xL-1と、各データ値xにそれぞれ対応する各符号c(x,j)と、各符号c(x,j)のビット数b(x,j)と基準符号表T(J)で当該データ値xに対応付けられた符号c(x,J)のビット数b(x,J)との差Δb(x,j)が少なくとも対応付けられた複数種類の符号表T(j) (j=1,...,jmax)が記憶部1013に格納される。なお、図6(B)(C)の例のデータ値xは、0以上L-1以下の整数x=0,1,...,N-1である。また、基準符号表T(J)や各符号表T(j)やの一例はハフマン符号表である。
<符号化処理>
まず、第1実施形態で説明したステップS10が実行される。ステップS10で算出された各頻度h(x)は、それぞれに対応するデータ値xを特定可能な状態で積和演算部113に入力される。積和演算部113は、入力された各頻度h(x)と、記憶部1013に格納された各符号表T(j)とを用い、少なくとも一部のデータ値xの頻度h(x)と、符号表T(j)で当該データ値xに対応付けられた符号c(x,j)のビット数b(x,j)と基準符号表T(J)で当該データ値xに対応付けられた符号c(x,J)のビット数b(x,J)との差Δb(x,j)と、の積和SP(j)=Σxh(x)・Δb(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出する(ステップS320)。なお、ステップS320の具体例は、第1実施形態で説明したステップS20の具体例のビット数b(x,j)を差Δb(x,j)に置換したものとなる。また、T(j)=T(J)の場合には、計算をしなくても積和SP(J)=0とすればよい。そして、j=1からjmaxまでのjmax個の積和SP(j)の中で積和SP(j)を最小とするようなjを選択する。もし、積和SP(J)を除くすべての積和SP(j)が正であればJを選択する。ここで、Jがj=1からjmaxに含まれないのであれば、jmax回の積和SP(j)の計算で(jmax+1)個の中から最も望ましい符号表を選択することになる。すなわち、この場合には選択すべき符号表の個数より1回少ない関和の回数で符号表を選択できる。
その後、第1実施形態で説明したステップS30からS60の処理が実行される。
<復号処理>
第1実施形態と同じである。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
本形態は第1実施形態の応用例である。本形態では、dを1以上の整数とし、パラメータs(0)をd以上の整数とし、パラメータs(d)=s(0)-dとし、yを整数とした場合における、0以上の整数からなる時系列データe(n)(「第2時系列データ」に相当)を2s(0)+yで割った商、及び、当該第2時系列データを2s(d)+yで割った商を時系列データのデータ値xとし、パラメータs(d)及びs(0)に対してそれぞれ第1実施形態を適用する。そして、パラメータs(d)及びs(0)についてそれぞれ選択された符号表を用いて符号化した場合の符号量を比較し、パラメータs(d)及びs(0)の一方を選択する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図8は、第3実施形態の符号化装置210の機能構成を例示した図である。また、図9は、第3実施形態の復号装置220の機能構成を例示した図である。なお、図8において上述の実施形態と共通する部分については、それらと同じ符号を用いた。また、図10及び図11は、第3実施形態の符号化方法を説明するためのフローチャートである。また、図12は、図11のステップS470の具体例を説明するためのフローチャートである。また、図13(A)は、第3実施形態の復号方法を説明するためのフローチャートであり、図13(B)は、図13(A)のステップS530の具体例を説明するためのフローチャートである。また、図14は、整数e(n)を法2sで割った商を示した表である。
<構成>
図8に示すように、本形態の符号化装置210は、制御部1011、一時メモリ1012、記憶部1013、符号化部1017、頻度算出部12、積和算出部13、符号表選択部14、パラメータ算出部211,212、選択部213,217、分離演算部214、頻度併合部215、パラメータ符号化部216、比較部218、及び合成部219を有する。また、符号化装置210は、例えば、CPU,RAM,ROM等を有する公知のコンピュータに所定のプログラムが読み込まれ、CPUがこれを実行することによって構成される。例えば、パラメータ算出部211,212、選択部213,217、分離演算部214、頻度併合部215、パラメータ符号化部216、比較部218、及び合成部219は、CPUに所定のプログラムが読み込まれて構成される処理部である。なお、符号化装置210は、制御部1011の制御のもと各処理を実行する。また、各演算処理で生成されたデータは、逐一、一時メモリ1012に格納され、その他の演算処理の際に読み出されて利用される。
図9に示すように、本形態の復号装置220は、制御部21、一時メモリ22、記憶部23、復号部25、分離部221、合成演算部222、及びパラメータ復号部224を有する。また、復号装置220は、例えば、CPU,RAM,ROM等を有する公知のコンピュータに所定のプログラムが読み込まれ、CPUがこれを実行することによって構成される。例えば、分離部221、合成演算部222、及びパラメータ復号部224は、CPUに所定のプログラムが読み込まれて構成される処理部である。なお、復号装置220は、制御部21の制御のもと各処理を実行する。また、各演算処理で生成されたデータは、逐一、一時メモリ22に格納され、その他の演算処理の際に読み出されて利用される。
<事前設定>
事前設定として、第1実施形態で説明したように、複数種類の符号表T(j)(j=1,...,jmax)が、符号化装置210の記憶部1013と復号装置220の記憶部23とに格納される。
<符号化処理>
まず、離散時間区間(n=0,...,N-1)における時系列データe(n)が符号化装置210に入力される。なお、時系列データe(n)の例は、音響信号を線形予測分析や長期予測分析して得られた予測残差である。入力された時系列データe(n)はパラメータ算出部211に入力され、パラメータ算出部211は、離散時間区間(n=0,...,N-1)の時系列データe(n)を用い、当該離散時間区間(n=0,...,N-1)に対応するパラメータs(0)を算出する(ステップS401)。例えば、パラメータ算出部211は、d以上(d≧1)のライスパラメータをパラメータs(0)とする。具体的には、
log2{ln2・(2・D/N)}
をd以上(d≧1)の整数に整数化したものをパラメータs(0)とする。なお、D=|e(0)|+|e(1)|+…+|e(N-1)|であり、整数化の例は四捨五入、切り上げ、切捨てなどである。また、式(1)を整数化したしたものがd未満であった場合にはs(0)=dとしてもよい。また、dの一例は定数であり、その値の例は1である。
生成されたパラメータs(0)は、パラメータ算出部212に入力される。パラメータ算出部212は、
s(d)=s(0)-d
の演算によってパラメータs(d)を算出する(ステップS402)。
次に、パラメータs(d)は選択部213に入力され、選択部213はパラメータs(d)を分離演算部214に入力させる。分離演算部214にはさらに離散時間区間(n=0,...,N-1)における時系列データe(n)が入力され、分離演算部214は、時系列データe(n)を2s(d)+yで割った商q(d,n)を算出する(ステップS403)。
離散時間区間(n=0,...,N-1)の各商q(d,n)は頻度算出部12に入力される。頻度算出部12は、商q(d,n)であるデータ値x=z・2d,z・2d +1,…,z・2d+2d-1の各頻度h(x)を、1種類以上の各整数z(z≧0)についてそれぞれ求める(ステップS411)。
ステップS411で得られた各頻度h(x)(x=z・2d,z・2d +1,…,z・2d+2d-1)は、頻度併合部215に入力される。頻度併合部215は、各整数zについてそれぞれh(z)=h(z・2d)+h(z・2d +1)+…+h(z・2d+2d-1)の演算を行ってデータ値x=zの各頻度h(z)を求める(ステップS412)。このステップS412で得られる頻度h(z)は、時系列データe(n)を2s(0)+yで割った商q(0,n)の各頻度となる(図14参照)。例えば、d=1, s(0)=3, s(d)=2, z=0,y=0の場合を考えると、時系列データe(n)=0,...,7を23で割った各商q(d,n)(データ値z)はすべて0となるのに対し、時系列データe(n)=0,...,3を22で割った商q(0,n)(データ値x)は0となり、時系列データe(n)=4,...,7を22で割った商q(0,n)(データ値x)は1となる。これより、時系列データe(n)=0,...,7を23で割った各商q(d,n)(データ値z)が0になる頻度h(0)は、時系列データe(n)=0,...,3を22で割った商q(0,n)(データ値x)が0となる頻度h(0)と、時系列データe(n)=4,...,7を22で割った商q(0,n)(データ値x)が1となる頻度h(1)との合計によって算出できることがわかる。これにより、時系列データe(n)を2s(0)+yで割った商q(0,n)の各頻度を容易に算出することができる。
次に、選択部217の制御に基づき、頻度算出部12で算出された各整数zに対応するデータ値x=z・2d,z・2d+1,…,z・2 d+2d-1の各頻度h(x)が積和算出部13に入力される。積和算出部13は、記憶部1013に格納された各符号表T(j)を参照し、各整数zに対応するデータ値x=z・2d,z・2 d+1,…,z・2 d+2d-1の各頻度h(x)と当該データ値xに対応する各符号c(x,j)の各ビット数b(x,j)との積和SP(d,j)=Σxh(x)・b(x,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出する(ステップS421)。
また、選択部217の制御に基づき、頻度併合部215で算出された各整数zに対応するデータ値x=zの各頻度h(z)が積和算出部13に入力される。積和算出部13は、記憶部1013に格納された各符号表T(j)を参照し、各整数zに対応するデータ値x=zの各頻度h(z)と当該データ値x=zに対応する各符号c(z,j)の各ビット数b(z,j)との積和SP(0,j)=Σzh(z)・b(z,j)を、各符号表T(j)についてそれぞれ算出する(ステップS422)。
ステップS421で生成された積和SP(d,j)は符号表選択部14に入力される。符号表選択部14は、積和SP(d,j)を用い、複数種類の符号表T(j)から、時系列データe(n)を2s(d)+yで割った商q(d,n)を符号化するための符号表T(h(d))を選択する(ステップS431)。また、ステップS422で生成された積和SP(0,j)も符号表選択部14に入力される。符号表選択部14は、積和SP(0,j)を用い、複数種類の符号表T(j)から、時系列データe(n)を2s(0)+yで割った商q(d,0)を符号化するための符号表T(h(0))を選択する (ステップS432)。なお、積和を用いて商(時系列データ)符号化するための符号表を選択する具体的な方法は第1実施形態で説明した通りである。
次に、少なくとも、符号表選択部14で選択された符号表T(h(d))を特定するためのパラメータh(d)と、符号表T(h(0))を特定するためのパラメータh(0)とが、それぞれ、比較部218に入力される。比較部218は、パラメータs(d)を分離パラメータsとし、かつ、ステップS431で選択された符号表T(h(d))を用いて時系列データe(n)を符号化した場合の総符号量E(d)(又はその推定値)と、パラメータs(0)を分離パラメータsとし、かつ、ステップS432で選択された符号表T(h(0))を用いて時系列データe(n)を符号化した場合の総符号量E(0)(又はその推定値)とを比較する (ステップS441)。
[ステップS441の具体例]
以下に、ステップS441の具体例を示す。
《具体例3-1》
比較部218には、それぞれ、符号表選択部14で選択された符号表T(h(d))を特定するためのパラメータh(d)とそれに対応する積和SP(d,h(d))と、符号表T(h(0))を特定するためのパラメータh(0)とそれに対応する積和SP(0,h(0))とが入力される。比較部218は、積和SP(d,h(d))を総符号量E(d)の推定値とし、積和SP(0,h(0))を総符号量E(0)の推定値とし、これらを比較する。
《具体例3-2》
比較部218には、それぞれ、符号表選択部14で選択された符号表T(h(d))を特定するためのパラメータh(d)とそれに対応する積和SP(d,h(d))と、符号表T(h(0))を特定するためのパラメータh(0)とそれに対応する積和SP(0,h(0))とが入力される。さらに、選択部213の制御のもと、分離演算部214にパラメータs(0)とパラメータs(d)とが入力される。また、分離演算部214には離散時間区間(n=0,...,N-1)における時系列データe(n)が入力される。分離演算部214は、時系列データe(n)を2s(0)+yで割った場合の剰余を特定する情報sub(0,n)と、時系列データe(n)を2s(d)+yで割った場合の剰余を特定するための情報sub(d,n)とを求め、それら又はそれらのビット数を比較部218に送る。なお、時系列データe(n)を2s(0)+yや2s(d)+yで割った場合の剰余を特定する情報sub(0,n)やsub(d,n)の算出は、例えば、参考文献1「ISO/IEC 14496-3 AMENDMENT 2: Audio Lossless Cording (ALS), new audio profiles and BSAC extensions.」のP59に記載された方法によって行う。比較部218は、「積和SP(d,h(d))+sub(d,n)のビット数」を総符号量E(d)又はその推定値とし、「積和SP(0,h(0))+sub(0,n)のビット数」を総符号量E(0)又はその推定値とし、それらを比較する。
《具体例3-3》
具体例3-1又は具体例3-2に加え、パラメータのビット数も比較する。すなわち、選択部213の制御のもと、パラメータ符号化部216にはパラメータs(d),s(0)が入力される。また、パラメータ符号化部216にはさらにパラメータh(d),h(0)が入力される。パラメータ符号化部216は、パラメータs(d),h(d)に対応する符号又は当該符号のビット数と、パラメータs(0),h(0)に対応する符号又は当該符号のビット数とを比較部218に送る。比較部218は、「積和SP(d,h(d))+パラメータs(d),h(d)に対応する符号のビット数」を総符号量E(d)又はその推定値とし、「積和SP(0,h(0))+パラメータs(0),h(0)に対応する符号のビット数」を総符号量E(0)又はその推定値とし、それらを比較する。又は、比較部218は、「積和SP(d,h(d))+sub(d,n)のビット数+パラメータs(d),h(d)に対応する符号のビット数」を総符号量E(d)又はその推定値とし、「積和SP(0,h(0))+sub(0,n)のビット数+パラメータs(0),h(0)に対応する符号のビット数」を総符号量E(0)又はその推定値とし、それらを比較する。
《具体例3-4》
その他、上記の具体例具体例3-1、3-2、3-3において、積和SP(d,h(d))の代わりに、時系列データe(n)を2s(d)+yで割った場合の商q(d,n)を実際に符号表T(h(d))を用いて符号化した場合のビット数を用い、積和SP(0,h(0))の代わりに、時系列データe(n)を2s(0)+yで割った場合の商q(0,n)を実際に符号表T(h(0))を用いて符号化した場合のビット数を用いてもよい([ステップS441の具体例]の説明終わり)。
ステップS441の比較で、総符号量E(d)(又はその推定値)<総符号量E(0)(又はその推定値)であった場合(ステップS442)、比較部218は、パラメータs(d)とステップS431で選択された符号表T(h(d))とを、それぞれ時系列データe(n)を符号化するための分離パラメータs及び符号表T(h)として選択し、分離パラメータsを特定するための情報と符号表T(h)を特定するためのパラメータhとを出力する(ステップS451)。一方、ステップS441の比較で、総符号量E(d)(又はその推定値)≧総符号量E(0)(又はその推定値)であった場合(ステップS442)、比較部218は、パラメータs(0)とステップS432で選択された符号表T(h(0))とを、それぞれ時系列データe(n)を符号化するための分離パラメータs及び符号表T(h)として選択し、分離パラメータsを特定するための情報と符号表T(h)を特定するためのパラメータhとを出力する(ステップS452)。
比較部218から出力された分離パラメータsを特定するための情報は選択部213に入力される。選択部213は、分離パラメータsを特定するための情報を用いた制御により、分離パラメータsとして選択された分離パラメータs(0)又はs(d)を、分離演算部214及びパラメータ符号化部216に入力させる。また、比較部218から出力されたパラメータhは、符号化部1017及びパラメータ符号化部216に入力される。
パラメータ符号化部216は、分離パラメータsとパラメータhとを符号化したパラメータ符号Ccを離散時間区間(n=0,...,N-1)ごとに生成する(ステップS460)。また、分離演算部214、合成部219及び符号化部1017は、分離パラメータs及びパラメータhで特定される符号表T(h)を用いて時系列データe(n)を符号化した符号Ce(n)を生成する(ステップS470)。ステップS470の符号化は、時系列データe(n)を選択された分離パラメータsに対する2s+yで割った商q(n)を、符号表符号表T(h)を用いて符号化した情報prefix(n)と、時系列データe(n)を分離パラメータsに対する2s+yで割った剰余を特定する情報sub(n)とを含む符号を生成する処理である。なお、「時系列データを分離パラメータsに対する2s+yで割った剰余を特定する情報sub(n)」はnull情報をも含む概念である。
[ステップS470の具体例]
以下に、ステップS470の具体例を示す。
図12に示すように、まず、分離演算部214は、入力された分離パラメータsが0であるか否かを判定する(ステップS471)。ここで、s=0でなかった場合、分離演算部214は、入力された時系列データe(n)が0以上であるか否かを判定し(ステップS472a)、e(n)≧0であると判定された場合、
q(n)=floor(e(n)/2s−1) (for e(n)≧0)
に従って整数の商q(n)を生成し(ステップS473a)、
sub(n)=e(n)−2s−1・q(n)+2s−1 (for e(n)≧0)
に従って剰余を特定するための情報sub(n)を生成して出力する(ステップS474a)。
一方、ステップS472aでe(n)≧0でないと判定された場合、分離演算部214は
sub(n)=floor{(−e(n)−1)/2s−1} (for e(n)<0)
に従って整数の商q(n)を生成し(ステップS473b)、
sub(n)=(−e(n)−1)−2s−1・q(n) (for e(n)<0)
に従って剰余を特定するための情報sub(n)を生成して出力する(ステップS474b)。
一方、ステップS471でs=0であると判定された場合、分離演算部214は、入力された時系列データe(n)が0以上であるか否かを判定し(ステップS472b)、e(n)≧0であると判定された場合、
q(n)=2・e(n) (for e(n)≧0)
に従って剰余を特定するための情報sub(n)を生成し(ステップS473c)、sub(n)をnullとして出力する(ステップS474c)。
一方、ステップS472bでe(n)≧0でないと判定された場合、分離演算部214は、
q(n)=−2・e(n)−1 (for e(n)<0)
に従って整数の商q(n)を生成し(ステップS473d)、sub(n)をnullとして出力する(ステップS474c)。
次に、分離演算部214から出力された商q(n)と比較部218から出力されたパラメータhとが符号化部1017に入力される。符号化部1017は、記憶部1013に格納された符号表T(j)からパラメータhに対応する符号表T(h)を特定し、符号表T(h)を用いて商q(n)を符号化し、商q(n)に対応する情報prefix(n)を生成する(ステップS475)。次に、分離演算部214から出力された情報sub(n)と符号化部1017から出力された情報prefix(n)とが合成部219に入力される。合成部219は、情報prefix(n)と情報sub(n)とを合成して符号Ce(n)を生成する(ステップS476/[ステップS470の具体例]の説明終わり)。
<復号処理>
離散時間区間(n=0,...,N-1)における各符号Ce(n)とパラメータ符号Ccは復号装置220に入力される。パラメータ符号Ccはパラメータ復号部224に入力される。パラメータ復号部224は、パラメータ符号Ccを復号して分離パラメータsとパラメータhとを生成する(ステップS510)。生成された分離パラメータsは合成演算部222に入力され、パラメータhは復号部25に入力される。
復号部25は、パラメータhを用い、記憶部23に格納された各符号表T(j)から符号表T(h)を特定する(ステップS520)。また、分離部221、合成演算部222及び復号部25は、分離パラメータs及び符号表T(h)を用いて各符号Ce(n)を復号し、時系列データe(n)を生成して出力する(ステップS530)。
[ステップS530の具体例]
まず、符号Ceが分離部221に入力される。分離部221は、入力された符号Ceを分離し、情報prefix(n)と、情報sub(n)とを生成する(ステップS531)。
分離部221から出力された情報prefix(n)は、復号部25に入力される。復号部25は、符号表T(h)を用いて情報prefix(n)を復号し、商q(n)を生成する(ステップS532)。
また、合成演算部222は、入力された分離パラメータsが0であるか否かを判定する(ステップS533)。ここで、s=0でないと判定された場合、次に合成演算部222は、分離部221から出力された情報sub(n)が2s−1以上であるか否かを判定する(ステップS534a)。この判定は時系列データe(n)が0以上であるか否かを判定することに相当する。ステップS534aでsub(n)≧2s−1と判定された場合、合成演算部222は、
e(n)=sub(n)+2s−1・q(n)−2s−1
によって時系列データe(n)を算出する(ステップS535a)。
一方、ステップS534aでsub(n)<2s−1と判定された場合、合成演算部222は、
e(n)=−sub(n)−1−2s−1・q(n)
によって時系列データe(n)を算出する(ステップS535b)。
一方、ステップS533でs=0と判定された場合、次に合成演算部222は、情報q(n)が偶数であるか否かを判定する(ステップS534b)。この判定は時系列データe(n)が0以上であるか否かを判定することに相当
する。ステップS534bでq(n)が偶数であると判定された場合、合成演算部222は、
e(n)=q(n)/2
によって時系列データe(n)を算出する(ステップS535c)。
一方、ステップS534bでq(n)が奇数であると判定された場合、合成演算部222は、
e(n)=−(q(n)+1)/2
によって時系列データe(n)を算出する(ステップS535d)。
以上のように生成された時系列データe(n)は、合成演算部222から出力される([ステップS530の詳細の例示]の説明終わり)。
〔第3実施形態の変形例〕
次に、本発明の第3実施形態の変形例を説明する。
第3実施形態のステップS432では、符号表選択部14が、積和SP(0,j)を用い、複数種類の符号表T(j)から、時系列データe(n)を2s(0)+yで割った商q(d,0)を符号化するための符号表T(h(0))を選択することとした。しかし、ステップS432において、符号表選択部14が、ステップS431で選択された符号表T(h(d))との距離が予め定められた閾値以下の符号表T(j)から、時系列データe(n)を2s(0)で割った商を符号化するための符号表T(h(0))を選択することにしてもよい。最適な符号表T(h(d))と符号表T(h(0))とは近いものであることが多く、このように符号表T(j)を探索することで、精度をさほど落とすことなく、符号表T(j)の探索数を削減できる。また、符号表T(h(d))と符号表T(j)との距離を事前計算しておけば、符号表T(j)の探索時に符号表T(h(d))と符号表T(j)との距離を計算する必要もない。なお、符号表T(h(d))と符号表T(j)との距離は、例えば、符号表T(h(d))においてデータ値kに対応付けられる符号のビット数をbu(k)とし、符号表T(j) においてデータ値kに対応付けられる符号のビット数をbx(k)とし、fu(k)=0.5bu(k)とし、fx(k)=0.5bx(k)とした場合における、(bu(k)−bx(k))(fu(k)−fx(k))の各kについての総和に対して単調増加する値として定義できる。
〔その他の変形例等〕
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の各実施形態では、各符号のビット数を各符号表に格納しておくこととした。しかし、積和の演算のたびに各符号のビット数を計算してもよい。また、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
また、上述の構成をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記録媒体に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
本発明の産業上の利用分野としては、例えば、音響信号の可逆圧縮符号化・復号化技術を例示できる。また、本発明は、音響信号以外にも、映像信号、生体信号、地震波信号などの可逆圧縮符号化・復号化技術にも応用可能である。
10,210,1010 符号化装置
20,220 復号装置

Claims (5)

  1. 時系列データを符号化するための符号表を選択する符号表選択方法であって、
    (A) 予め定められた離散時間区間における時系列データのデータ値xの頻度h(x)を求めるステップと、
    (B) 各データ値xと各データ値xにそれぞれ対応する各符号c(x,j)とが少なくとも対応付けられた複数種類の符号表T(j)と、前記ステップ(A)で求められた各頻度h(x)とを用い、当該頻度h(x)の大きい順に選択された一部のデータ値xの頻度h(x)と当該一部のデータ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)を、前記の各符号表T(j)についてそれぞれ算出するステップと、
    (C) 前記ステップ(B)で算出された前記積和SP(j)を用い、前記複数種類の符号表T(j)から、前記離散時間区間における時系列データを符号化するための符号表を選択するステップと、
    を有する符号表選択方法。
  2. 時系列データを符号化するための符号表を選択する符号表選択方法であって、
    前記時系列データのデータ値xがL種類存在し、m 2 ,m 1 はL≧m 2 >m 1 を満たす1以上の整数であり、
    (A) 予め定められた離散時間区間における時系列データのデータ値xの頻度h(x)を求めるステップと、
    (B-1) 各データ値xと各データ値xにそれぞれ対応する各符号c(x,j)とが少なくとも対応付けられた複数種類の符号表T(j)と、前記ステップ(A)で求められた各頻度h(x)とを用い、当該頻度h(x)が大きい順に選択されたm1種類のデータ値xの頻度h(x)と当該m 1 種類のデータ値xにそれぞれ対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SPpre(j)=Σxh(x)・b(x,j)を、前記の各符号表T(j)についてそれぞれ算出するステップと、
    (B-2) 前記複数種類の符号表T(j)の一つである基準符号表T(J)について算出された積和SPpre(J)と前記の各符号表T(j)についてそれぞれ算出された積和SPpre(j)とを比較し、前記積和SPpre(J)よりも小さいか、又は、前記積和SPpre(J)との差が予め定められた閾値以下である積和SPpre(j)を選択するステップと、
    (B-3) 前記ステップ(B-2)で選択された積和SPpre(j)に対応する符号表T(j)のみについて、m 2 種類のデータ値xの頻度h(x)と当該m 2 種類のデータ値xにそれぞれ対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)をそれぞれ算出するステップと、
    (C) 前記ステップ(B-3)で算出された前記積和SP(j)を用い、前記複数種類の符号表T(j)から、前記離散時間区間における時系列データを符号化するための符号表を選択するステップと、を有する
    ことを特徴とする符号表選択方法。
  3. 時系列データを符号化するための符号表を選択して時系列データの符号化を行う符号化装置であって、
    予め定められた離散時間区間における時系列データのデータ値xの頻度h(x)を求める頻度算出部と、
    各データ値xと各データ値xにそれぞれ対応する各符号c(x,j)とが少なくとも対応付けられた複数種類の符号表T(j)と、前記頻度算出部で求められた各頻度h(x)とを用い、当該頻度h(x)の大きい順に選択された一部のデータ値xの頻度h(x)と当該一部のデータ値xに対応する符号c(x,j)のビット数b(x,j)との積和SP(j)=Σxh(x)・b(x,j)を、前記の各符号表T(j)についてそれぞれ算出する積和算出部と、
    前記積和算出部で算出された前記積和SP(j)を用い、前記複数種類の符号表T(j)から、前記離散時間区間における時系列データを符号化するための符号表を選択する符号表選択部と、
    を有する符号化装置。
  4. 請求項1または2の符号表選択方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
  5. 請求項4のプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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