JP4758747B2 - X線計測装置、x線計測方法およびx線計測プログラム - Google Patents
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Description
また、ガントリ上にX線源と2次元X線検出器を対向するように設置したX線計測装置もある。
これらのX線計測装置では、支柱またはガントリを移動させることにより、X線源とX線検出器(以下、検出器と記載)の対を被写体の周囲で回転させながらX線計測を行うことが可能である。あるいは、逆にX線源と検出器を固定し、被写体を回転させながらX線計測を行うことも可能である。
このような回転計測により得られた一連の計測データに対して再構成演算処理を行い、再構成像を得るX線計測装置として、CT(Computed Tomography)計測装置あるいはコーンビームCT計測装置などがある。
なお、ここで「張り合わせる」とは、複数の画像を連続してつなげることにより、1枚の画像を生成することをいう。
さらに、X線源と被写体の間にX線を遮蔽できるスリットを設置し、スリットのX線を通過させる領域の中心位置をパノラマ像の作成に必要な所定のデータの中心位置に移動させながら計測を行い、X線照射をパノラマ像の作成に必要な位置にのみに限定することにより被曝を低減する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、スリットのX線を透過させる領域の幅をパノラマ像の作成に必要な所定のデータの領域に合わせて変化させながら計測を行い、X線照射をパノラマ像の作成に必要な領域に限定することにより被曝を低減する技術が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
また、特許文献2では、障害陰影はボケ像であることが前提であり、障害陰影が鮮明な像である場合については記載されていない。特許文献2の手法を鮮明な障害陰影に対して適用すると、障害陰影のパノラマ像も明瞭な像となり、被写体位置に投影された障害陰影の像も明瞭な像となる。すなわち、障害陰影と被写体との区別が極めて困難となる。その結果、障害陰影を正確に推定することが困難となり、被写体のパノラマ像から障害陰影を減算しようとする際に、却って障害陰影が強調されてしまうといった問題がある。
しかしながら、X線源と被写体との間の距離が約800mm、被写体と検出器との間の距離が約400mmの装置では被写体がX線から離れているので、被写体である歯列と、障害陰影である脊椎の拡大率は大差がない。その結果、障害陰影である脊椎にも焦点があってしまい、両者とも鮮明な像として計測されてしまう。このような状況では、特許文献2の手法によって障害陰影を除去することは困難である。
また、本発明において、前記断層像を取得する手順は、前記それぞれの着目点に対応するX線源の位置を含めた、前記着目点に対応するX線源の位置の近隣の軌道上に複数のX線源の各位置を設定し、前記設定した各X線源の位置に対向する位置にあるときの前記検出器から取得されるそれぞれのデータについて、当該データから前記X線源の位置と前記着目点とを通過する直線が通る所定の部分を抽出して投影像を取得し、前記各位置における投影像を加算して断層像とすることを特徴とする。
X線計測装置1は、被写体(請求項における検査対象)10に対して、X線を放射するX線源3としてのX線管2、照射されたX線を検出し、被写体10に関するデータを出力する検出器4、X線源3と検出器4とが設置され、これらを保持する支柱5、被写体10に対してX線源3および検出器4を同心円上で回転させる回転装置6、被験者(被写体10)を設置し、保持する被験者保持装置7、回転装置6の制御、検出器4から取得したデータの演算などを行う制御処理装置(請求項における演算手段)8およびX線フィルタ11からなる。
支柱5は、回転装置6により回転する。これにより、支柱5の一端側に設置されたX線源3および他端側に設置された検出器4が、回転軸9を中心として被験者保持装置7上の被写体(本実施形態では、歯:請求項における検査対象)10の周囲を、一体となって回転する。被験者保持装置7には、椅子や寝台が用いられる。
これにより、X線計測装置1は、X線源3と検出器4とを単純な同心円上で回転させながらX線の発生と、計測像の取得とを行う回転計測が可能となる。このように回転計測を行うことによって、X線源3と検出器4との動きを単純化することができる。
なお、本実施形態において、「投影像」とは、検出器4においてX線が検出された像である計測像に対して対数変換処理等の所定の処理を実行した像である。一般的には、縦方向が体軸に平行な2次元像である。
そして、「再構成像」とは、投影像に再構成処理を施すことによって得られる像である。一般的には、体軸に対して垂直な断面のスライス像であり、スライス像を体軸方向に重ねたものが3次元再構成像である。
さらに、後記する「断層像」とは、投影像(後記する抽出投影像)を重み付き加算した像であり、一般的には、縦方向が投影像の縦方向と同じ方向を有する2次元像である。
また、制御処理装置8は、内部に図示しない記憶手段を有し、処理に必要な関数、パラメータおよび条件などを記憶している。さらに、制御処理装置8は、図示しない入力手段を備える。入力手段としては、キーボード、ファイルからの読み込み、記憶素子の交換などが考えられる。
2次元検出器としては、平面型X線検出器、X線イメージインテンシファイアとCCD(Charge Coupled Device)カメラの組み合わせ、イメージングプレート、CCD検出器、固体検出器などがある。平面型X線検出器としては、アモルファスシリコンフォトダイオードとTFT(Thin Film Transistor)とを一対としてこれを正方マトリックス上に配置し、これと蛍光体を直接組み合わせたものなどがある。検出器4に2次元検出器を用いることにより、X線源3に対する検出器4の相対的な位置を固定した状態で計測を行ったデータを基にパノラマ像を生成することが可能となる。
この検出器4は、所定の大きさの画素(検出素子)が複数並んで構成されている。一般的には、検出器4の大きさ12cm×12cm、画素(検出素子)の大きさ0.2mm×0.2mm、画素数600×600、検出器4の大きさ25cm×20cm、画素(検出素子)の大きさ0.25mm×0.25mm、画素数1000×800、検出器4の大きさ40cm×30cm、画素(検出素子)の大きさ0.4mm×0.4mm、画素数1000×750の3種類の検出器4がよく使用される。
X線源3と検出器4との間に、本実施形態のようにX線フィルタ11を設置してもよい。これにより、X線の照射範囲を制限し、被曝量を低減することができる。X線フィルタ11はアルミニウム、銅、真鍮などの金属、セラミックス、樹脂などからなる。
次に、図1を参照しつつ、図2に沿ってX線フィルタの説明をする。
図2は、X線フィルタをX線源の回転面に対し、平行な方向に切った側面を示す図であり、(a)は、破線Aから破線Bまでの範囲ではX線フィルタが存在せず、その外側では厚さが一定であり、(b)は、破線Aから破線Bまでの範囲では周辺に行くほど厚さが厚くなり、その外側では厚さが一定だが、破線Aおよび破線Bの位置でエッジをもち、(c)は、破線Aから破線Bまでの範囲では周辺に行くほど厚さが厚くなり、その外側では厚さが一定だが、破線Aおよび破線Bの位置でエッジをもたない構造であり、(d)は、エッジを持たない構造となっており、破線Aから破線Bまでの範囲では周辺に行くほど厚さが増しており、その外側でも周辺に行くほど厚さが増す構造となっている。
ここで、エッジとは、図2の破線で描かれた円で示される部位を指す。
X線フィルタ11a〜11cでは、破線Aから破線Bまでの範囲ではX線が透過し、その外側ではX線は遮蔽される、あるいは、微弱なX線が透過する。X線フィルタ11dでは、破線Aの外側および破線Bの外側では周辺に行くほどX線の透過量が減少する。透過するX線量のプロファイルについて述べると、X線フィルタ11a,11bでは、破線Aおよび破線Bの位置でエッジを持つ、すなわち破線Aおよび破線Bを境にX線量が急激に変化する。これは、検出器4で検出したデータに、X線フィルタ11a,11bのエッジの像が入ってしまうことを意味する。
X線フィルタ11c,11dにおいて、透過するX線量のプロファイルはエッジを持たない、すなわちX線量は、緩やかに変化していく。これは、検出器4で検出したデータには、エッジの像が入らないことを意味する。
本実施形態のパノラマ像の作成においては、必要なデータの領域にエッジの像が入らないことが必要であるため、エッジを有するX線フィルタ11a,11bの形状では正確なX線フィルタの位置決めが必要である。これに対して、エッジを有さないX線フィルタ11c,11dでは正確な位置決めが不要となり、X線計測装置1の機構を簡素化できる。X線フィルタ11a,11bを用いて計測を行う場合、必要なデータ領域にエッジの像が入ることを防ぐため、破線Aから破線Bまでの範囲が、真に必要な領域よりも広く設定される。
従って、この場合は、仮想の再構成像を予め作成し、この仮想の再構成像上で歯列の軌道を設定する。このようにすることで、図3を参照して後記する再構成処理を省き、処理に要する演算時間を短縮することが可能となる。一方、破線Aから破線Bの外側においても、X線が透過する場合、再構成像の視野はX線が照射される範囲に拡大することができる。その結果、実際の再構成像の上で歯列像を確認した上で、後記するように歯列の軌道を設定することができ、正確な軌道の設定が可能となる。勿論、破線Aから破線Bの外側においてX線が透過する場合でも、仮想の再構成像を用いて再構成処理を省くことにより、演算時間を短縮することが可能である。
この場合、X線フィルタ11a,11bは、パノラマ像の作成において必要なデータにエッジの像が入らないようにするため、破線Aから破線Bまでの範囲を個々のデータに必要な領域よりも広くとる必要がある。
ここで、X線フィルタ11bは、X線フィルタ11aと異なり、破線Aから破線Bまでの範囲で、周辺に行くほどフィルタを厚くすることによって、X線の透過量を減少させることができる。従って、パノラマ像の作成に寄与しない領域の被曝を、X線フィルタ11aより減少させることができる。
さらに、X線フィルタ11c,11dは、エッジを有さないことにより、フィルタの厚さを中心から急激に厚くする急峻な形状とするができる。従って、パノラマ像の作成に寄与しない領域の被曝を、X線フィルタ11bよりも、さらに減少させることができる。
ここで、X線フィルタ11dは、破線Aおよび破線Bの外側でもX線を透過するため、X線フィルタ11cよりも、中心から急激に厚くする急峻な形状とすることができる。従って、パノラマ像の作成に寄与しない領域の被曝を、X線フィルタ11cよりも、さらに減少させることができる。
このように、X線フィルタ11b〜11dを用いると、X線フィルタ11をX線源3や、検出器4に対して、相対的に固定した状態でも、パノラマ像の作成に寄与しない領域の被曝を、X線フィルタ11aを使用した場合よりも軽減することができる。
図1を参照しつつ、図3に沿ってX線の計測からパノラマ像を得るまでの全体の処理の流れを説明する。
図3は、X線の計測からパノラマ像を得るまでの全体の処理の流れを示す図である。
まず、処理に先立ち、X線を被写体10に向けて照射する複数のX線源3の位置である照射位置が、図示しない入力装置を介するなどして設定される。
そして、検出器4は、被写体10を設置しない状態でX線を照射されることによって計測を行い、計測の結果、取得したデータを強度分布像として取得する(S301)。
そして、検出器4は、X線を照射しない状態で計測を行い、計測の結果、取得したデータをオフセット像として取得する(S302)。
さらに、検出器4は、ステップS301で取得した強度分布像、ステップS302で取得したオフセット像およびステップS303で取得した各計測像を制御処理装置8に送る(S304)。
制御処理装置8は、送られた強度分布像と各計測像から各々オフセット像を減算した後に、オフセット像を減算した各計測像を、オフセット像を減算した強度分布像で除算する強度補正処理を行い(S305)、強度補正像を生成する。
ステップS305の強度補正処理を、式として表すと以下の通りになる。
ステップS305では、以下の式による計算を、各計測像について行う。
次に、制御処理装置8は、生成した第1パノラマ像を平滑化処理する(S313)ことによって、第1パノラマ像の平滑化像を生成する(S314)。平滑化には、例えば移動平均などが用いられる。
続いて、生成した第1パノラマ像の平滑化像に所定の係数を乗算した上で、第1パノラマ像から、所定の係数を乗算した第1パノラマ像の平滑化像を差分する重み付き差分処理を行い(S315)、第2パノラマ像を生成する(S316)。
ここで、図1などを参照しつつ、図4に沿って再構成像上で目的とする対象に対して軌道を設定し、関数で近似する方法を説明する。
図4は、再構成像上で目的とする対象(被写体)に対して軌道(対象軌道)を設定し、関数で近似する方法を示す模式図である。
一般に、Axial像401上では、視野402は円形となる。例えば、頭部403内に歯404が並んでおり、目的とする対象が歯列であるとする。ここで、制御処理装置8は、Axial像401上に黒丸で示す複数の点405を設定する。次に、制御処理装置8は、画像上の横方向にX軸、縦方向にY軸をとり、例えば最小二乗法を用いて、これらの点を通る近似関数406を算出する。近似関数406としては任意の次数の多項式、楕円、双曲線、複数の関数の合成など、あらゆる関数が考えられる。
なお、対象軌道の近似関数406を求める処理は、必須ではなく、任意の点をつなげることによって、対象軌道の曲線を求めてもよい。
図1などを参照しつつ、図5に沿ってX線源3の位置および検出器4の位置を求める方法を説明する。
図5は、図4で算出した近似関数を基に、X線源の位置および検出器の位置を求める方法を示す模式図である。
回転軸9に垂直な面上の再構成像であるAxial像401(図4参照:図3のステップS310で選択)を含む面を示しており、座標の原点は、X線源3と検出器4の回転面の中心、すなわち回転軸9とする。
ここで、回転中に、所定時間、連続してX線が照射される場合のように、照射位置を規定できない場合には、検出器4が計測像を取得する位置を照射位置Tj(xTj,yTj)(j=1〜L)と仮定する。この場合、Lは、全計測数である。
ここで、全パノラマ処理数をNとする。全パノラマ処理数Nは、図6を参照して後記するステップS603〜ステップS614を行う全処理回数である。また、iは、パノラマ処理回数、つまり後記するステップS603〜ステップS614の処理を何度繰り返したかを数えるループカウンタであり、N以下の正の整数である。
まず、制御処理装置8は、y=f(x)上の任意の着目点Pi(xpi,ypi)(以下、単にPiと記載)を設定する。
そして、制御処理装置8は、Piにおけるy=f(x)の接線y=gi(x)を算出する。
さらに、制御処理装置8は、算出した接線y=gi(x)の傾きの逆数に−1を乗算することによって、y=gi(x)に直交する直線の傾きを算出し、この直線がPiを通ることからPiにおける法線y=hi(x)を算出する。
続いて、制御処理装置8は、算出した法線y=hi(x)と、X線源3が動く円軌道との交点を、X線源3の位置Si(xSi,ySi)(以下、Siと記載)として算出する。
なお、本実施形態では、X線源3の位置Siおよび照射位置Tjは、X線源3の中心点の位置であるとする。
また、ここで、算出したX線源3の位置Siと一致する照射位置Tjが存在するか否かを、制御処理装置8が判定し、判定の結果、一致する照射位置Tjが存在しないときは、X線源3の位置Siの最近傍、すなわちX線源3の位置Siとの距離が最も近い照射位置TjをX線源3の位置Siとして用いてもよい。
さらに、制御処理装置8は、算出した法線y=hi(x)と、X線源3に対向して保持されている検出器4との交点を、検出器4上の抽出位置ui,0(xui,0,yui,0)(以下、ui,0と記載)として算出する。ここで、検出器4上の抽出位置ui,0とは、図3のステップS307で取得された投影像のうち、この抽出位置ui,0を中心として、検出器4上の所定の範囲から抽出された投影像(以下、抽出投影像と記載)を取得するための位置である。
そして、iに1を加算し、着目点Piについて、同様の処理を行う。
図1および図5などを参照しつつ、図6に沿って、図3のステップS311のパノラマ処理に関する処理を説明する。
図6は、本実施形態に係るパノラマ処理の流れを示すフローである。
ここでは、一例としてパノラマ像の対象を歯列と仮定する。
なお、図6でも図3において用いられた照射位置をTj(xTj,yTj)(以下、Tjと記載:j=1〜N)として、説明を行う。
最初に、制御処理装置8は、被写体10の再構成像上で目的とする対象の軌道(ここでは、歯列の軌道)を設定し、この設定に基づいて対象軌道の近似関数y=f(x)を設定する(S601)。
なお、以下の説明では、パノラマ処理回数i=1(最初の処理)として説明するが、図面上ではより一般的にiとして記載する。
次に、制御処理装置8は、計測を行いたい対象軌道上で任意の着目点P1を設定する(S603)。
そして、制御処理装置8は、着目点P1における近似関数y=f(x)の接線y=g1(x)を算出する(S604)。
さらに、制御処理装置8は、接線y=g1(x)に直交する着目点P1における法線y=h1(x)を算出する(S605)。
そして、制御処理装置8は、法線y=h1(x)が通るX線源3の位置S1を算出する(S606)。つまり、算出した法線y=h1(x)に基づいて、着目点P1に対応するX線源3の位置S1を算出する。具体的には、算出した法線y=h1(x)とX線源3が動く軌道との交点を、X線源3の位置S1とする。
ここで、Mは、パノラマ処理に先立って制御処理装置8に入力されていたX線源3を移動させる回数であり、任意の整数である。つまり、着目点P1に対応するX線源3の位置を含めた、着目点P1に対応するX線源3の位置の近隣の軌道上に複数のX線源3の各位置を設定する。
ここで、「前」とは、Skの添え字kの番号が、小さい番号であるX線源3の位置を示し、「後」とは、Skの添え字kの番号が、大きい番号であるX線源3の位置を示す。
そして、制御処理装置8は、ステップS609で求めた各X線源3の位置S1+kと、着目点P1とを結ぶ直線が通る検出器4上の抽出位置u1,kを算出する(S610)。
従って、ステップS613において、抽出投影像D1,kを重み付き加算をすることにより、着目点である被写体10はより鮮明となり、それ以外の点である障害陰影はより不鮮明となる。従って、この処理を行うことによって、障害陰影を除去することが可能となる。
対象(被写体10)と障害陰影の拡大率の差が小さくなるほど、Mを大きくし、X線源3の位置Siを前後に移動させる角度を大きくする。このようにすると、対象と障害陰影との拡大率の差が小さく、障害陰影が鮮明な像である場合にも、これを除去することができる。被写体10が検出器4に近く、対象と障害陰影の拡大率が大きく異なる場合には、最初から障害陰影は、ボケ像として撮影されるので、M=0として、抽出投影像Di,0を断層像Qiとして用いることにより、重み付き加算処理を不要とし、高速化を図ることができる。
そして、制御処理装置8は、現在のiの値が予め設定しておいたN以下であるか否かを判定する(S615)。
ステップS615における判定の結果、現在のiの値がN以下である場合(S615→Yes)、ステップS603へ処理を戻す。
以下、iがNより大きい値となるまで、ステップS603〜ステップS615の処理を繰り返す。
ステップS616では、制御処理装置8が、補間処理が必要か否かを判定する。具体的には、X線源3の動く距離が、所定の値より大きい、すなわち各抽出位置ui,kから得られた断層像Qiを張り合わせると、張り合わせた画像に不連続が生じてしまうか否か、または、X線源3の動く距離が、所定の値より小さい、すなわち抽出位置ui,kから得られた断層像Qiを張り合わせると、張り合わせた画像に重複が生じてしまうか否かによって、判定される。
ステップS616の判定の結果、補間処理が必要であると判定された場合(S616→Yes)、必要な断層像Qiに関して補間処理を行って(S617)、ステップS618へ進む。
ステップS616の判定の結果、補間処理が必要でないと判定された場合(S616→No)、ステップS618へ進む。
ステップS618では、一連の処理によって得られた断層像Qiを、着目点Piの位置に基づいて張り合わせることによって、第1パノラマ像を生成する(図3のステップS312)。なお、補間処理(ステップS617)が行われない場合には、断層像はQi(i=1〜N)となる。補間処理が実施される場合には、QiとQi+1の間の断層像が生成される、あるいは、QiとQi+1が統合されるため、断層像の個数は変化する。
このように、X線源3の照射位置が離散値である場合、ステップS603で設定された着目点Piに対するX線源3の位置Siに対応する照射位置Tjが、必ずしも存在するとは限らない。
このような場合、ステップS606の処理の後、制御処理装置8が、算出したX線源3の位置Siと一致する照射位置Tj(j=1〜L)が存在するか否かを判定してもよい。
この判定の結果、制御処理装置8が、算出したX線源3の位置Siと一致する照射位置Tjが存在すると判定した場合は、ステップS609に進み、算出したX線源3の位置Siと一致する照射位置Tjが存在しないと判定した場合は、X線源3の位置Siの最近傍、すなわちX線源3の位置Siとの距離が最も近い1つの照射位置TjをX線源3の位置Siとして用いる処理(最近傍処理)を行ってもよい。
あるいは、着目点Piに対するX線源3の位置Siの近傍に存在する複数の照射位置Tjを抽出し、照射位置Tjに対向する検出器4上で各X線源3と着目点Piとを結ぶ直線が通る複数の抽出位置uiを求め、求めた各抽出位置uiにある抽出投影像Diを求め、これらの抽出投影像Diの重み付き加算値を、抽出投影像Diとしてパノラマ処理に用いることも可能である。
あるいは、これらの各抽出位置uiにおける抽出投影像Diの値を関数で近似し、法線上の抽出投影像Diの推定値を算出し、これをパノラマ処理に用いることも可能である。
本実施形態では、パノラマ処理に先立ってパノラマ処理数Nを設定し、処理回数を数えるループカウンタiによって処理の開始と終了を判定する場合について記載したが、処理回数の代わりに、着目点Pi(xpi,ypi)の座標を判定基準とすることも可能である。例えば、ステップS602において、着目点P1を初期値とし、ステップS615において、移動距離dで移動してきた着目点Piの座標が、対象軌道y=f(x)(図5参照:被写体10上)から外れたとき、繰り返しのループを終了するようにしてもよい。
ここで、対象軌道上の点(着目点)PiとPi+1の間隔(すなわち、移動距離d)の決定を、図1、図5および図6などを参照しつつ、以下の記述により説明する。
着目点PiとPi+1間の移動距離dの標準値は、抽出投影像Diにおける回転面に平行な方向の検出器4の画素の大きさを被写体10の位置に投影した値とする。具体的には、例えば、画素の中心から隣の画素の中心までの距離をX線源3と検出器4との間の距離で除算し、X線源3と被写体10との間の距離を乗算した値とする。
移動距離dを標準値に設定し、そのまま断層像Qiを連続させて、パノラマ像を生成すると、パノラマ像の分解能は抽出投影像Diの分解能と同等となるため、抽出投影像Diの分解能を低下させずにパノラマ像を得ることができる。
移動距離dが標準値より大きい場合、そのまま断層像Qiを張り合わせると、パノラマ像は横方向に縮小した像になる。この場合、横方向に補間処理を行って、縦方向と同じ拡大率にすることにより、縦方向の分解能は低下させずにパノラマ像の変形を防ぐことができる。あるいは、縦方向に補間処理を行って横方向と同じ縮小率にすることにより、パノラマ像の変形を防ぐことができる。
補間処理には、例えば内挿法、外挿法、最近傍法、加算平均法、重み付き加算法、間引き法といった方法が用いられる。
また、図2を参照して説明したX線フィルタ11において、破線Aから破線Bまでの範囲を被写体10の位置に投影した幅と、移動距離dを一致させることによって、不要な被曝を避けることができる。
図1におけるX線計測装置1では、U字型の支柱5を床で支えた別の支柱(図示せず)から吊るし、X線源3および検出器4を椅子(被験者保持装置7)に座った被験者(被写体10)の周囲を床面に平行な面内で回転させる形としたが、これに限らず、例えば図7および図8に示すX線計測装置1a,1bのように、図1における被験者保持装置7が寝台12であり、回転軸9が床に対して平行であり、X線源3および検出器4が寝台12に横になった被写体10の周囲を回転する形態としてもよい。このとき、図7のC字型のアーム13および図8のガントリ14が、図1における支柱5に相当する。これらの形態において、アーム13またはガントリ14または支柱5と、被験者保持装置7との両方あるいは片方を移動させることにより、回転軸9を被写体10の軸に対して斜めに設定することも可能である。
次に、図1および図5を参照しつつ、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態によれば、検査対象に照射するX線を放射するX線源3と、照射されたX線を検出し、検査対象に関するデータを出力する検出器4と、前記検査対象に対して前記X線源3および前記検出器4を同心円上で回転させる回転装置6と、前記データの演算処理を行う制御処理装置8とを備えてなり、前記X線源3と前記検出器4とは、対向して保持され、前記制御処理装置8は、前記検査対象上に設定した空間における対象の軌道上に位置する複数の着目点について、それぞれ前記軌道に対する法線を算出する手段と、前記算出した法線に基づいて前記着目点に対応するX線源3の位置を算出する手段と、前記算出したX線源3の位置に対向する位置にあるときの前記検出器4から取得されるデータについて、当該データから前記法線が通る所定の部分を抽出して断層像を取得する手段と、前記取得した断層像を前記着目点の位置に基づいて張り合わせることによって第1のパノラマ像を生成する手段とを備えてなることを特徴とする。
2 X線管
3 X線源
4 検出器
5 支柱
6 回転装置
7 被験者保持装置
9 回転軸
10 被写体
11,11a,11b,11c,11d X線フィルタ
401 Axial像
402 視野
403 頭部
404 歯
406 近似関数
Claims (9)
- 検査対象に照射するX線を放射するX線源と、照射されたX線を検出し、検査対象に関するデータを出力する検出器と、前記検査対象に対して前記X線源および前記検出器を同心円上で回転させる回転装置と、前記データの演算処理を行う演算手段とを備えてなるX線計測装置であって、
前記X線源と前記検出器とは、対向して保持され、
前記演算手段は、
前記検査対象上に設定した空間における対象の軌道上に位置する複数の着目点について、それぞれ前記軌道に対する法線を算出する手段と、
前記算出した法線に基づいて前記着目点に対応するX線源の位置を算出する手段と、
前記算出したX線源の位置に対向する位置にあるときの前記検出器から取得されるデータについて、当該データから前記法線が通る所定の部分を抽出して断層像を取得する手段と、
前記取得した断層像を前記着目点の位置に基づいて張り合わせることによって第1のパノラマ像を生成する手段と
を備えてなり、
前記断層像を取得する手段は、
それぞれの前記着目点について、
前記着目点に対応するX線源の位置を含めた、前記着目点に対応するX線源の位置の近隣の軌道上に複数のX線源の各位置を設定する手段と、
前記設定した複数の各X線源の位置に対向する位置にあるときの前記検出器から取得されるそれぞれのデータについて、当該データから前記X線源の位置と前記着目点とを通過する直線が通る所定の部分を抽出して投影像を取得する手段と、
前記複数のX線源の各位置における投影像を加算して前記着目点の断層像とする手段と
を備えることを特徴とするX線計測装置。 - 前記演算手段は、
前記設定した対象の軌道を近似関数として設定する手段を
さらに備えることを特徴とする請求項1に記載のX線計測装置。 - 前記検出器は2次元検出器である
ことを特徴とする請求項1に記載のX線計測装置。 - 前記演算手段は、
前記第1のパノラマ像を平滑化した平滑化像を求め、前記第1のパノラマ像と、前記平滑化像との差分をとることにより、第2のパノラマ像を生成する手段
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のX線計測装置。 - 前記演算手段は、
前記断層像の拡大率の補正を行ってから、前記断層像を張り合わせて前記第1のパノラマ像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載のX線計測装置。 - 前記X線源と、前記検査対象との間に、前記X線源と回転中心を結ぶ線を中心として、前記中心から周辺に行くほど厚さが厚くなるX線フィルタが設置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のX線計測装置。 - 検査対象に照射するX線を放射するX線源と、照射されたX線を検出し、検査対象に関するデータを出力する検出器と、前記検査対象に対して前記X線源および前記検出器を同心円上で回転させる回転装置と、前記データの演算処理を行う演算手段とを備えてなるX線計測装置におけるX線計測方法であって、
前記X線源と前記検出器とは対向して保持され、
前記演算手段が、
前記検査対象上に設定した空間における対象の軌道上に位置する複数の着目点のそれぞれについて、それぞれ前記軌道に対する法線を算出し、
前記算出した法線に基づいて前記着目点に対応するX線源の位置を算出し、
前記着目点に対応するX線源の位置を含めた、前記着目点に対応するX線源の位置の近隣の軌道上に複数のX線源の各位置を設定し、
前記設定した複数の各X線源の位置に対向する位置にあるときの前記検出器から取得されるそれぞれのデータについて、当該データから前記X線源の位置と前記着目点とを通過する直線が通る所定の部分を抽出して投影像を取得し、
前記複数のX線源の各位置における投影像を加算して前記着目点の断層像とし、
前記取得した断層像を前記着目点の位置に基づいて張り合わせることによって第1のパノラマ像を生成する
ことを特徴とするX線計測方法。 - 前記演算手段は、
前記設定した対象の軌道を近似関数として設定する
ことを特徴とする請求項7に記載のX線計測方法。 - 請求項7または請求項8に記載のX線計測方法を、コンピュータに実行させるX線計測プログラム。
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