JP4758606B2 - スラブ連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スラブ連続鋳造方法に関し、特に連続鋳造機の二次冷却帯におけるスラブ短辺面の冷却に工夫を加えることによって、高速でのスラブ鋳造を可能ならしめようとするものである。
鋼の連続鋳造においては、連続鋳造機の機長内で溶鋼を完全に凝固させる必要がある。従って、生産能率を向上させるために鋳造速度を増加させる場合には、二次冷却水の量を増加する等の方策を講じる必要がある。
そこで、従来から、二次冷却能を向上させるために種々の方法が提案されている。
たとえば、特許文献1には、鋼の薄鋳片の連続鋳造に際し、鋳型内メニスカスから 1.0〜7.5 m位置の二次冷却帯区間内で、少なくとも未凝固圧下開始前から、薄鋳片長辺面にデスケーリング高圧水を噴射しながら未凝固圧下を行うことからなる薄鋳片の連続鋳造方法が提案されている。
また、特許文献2には、連続鋳造鋳型に続くロール案内装置を介して連続的に引き出される鋳片の長辺面に冷却媒体を噴射し、鋳片の凝固を促進する二次冷却設備において、冷却水のみの噴射による前段強冷却装置と、冷却水に圧縮気体を混合した冷却媒体を噴射させる後段緩冷却装置を連続的に配列することからなる連続鋳造の二次冷却方法が開示されている。
特許文献3には、加圧系にブースターポンプを備えた送水機構を介し、鋳片に25〜100kg/cm2の供給圧をもって冷却水を吹き付けることからなる連続鋳造鋳片の二次冷却方法が提案されている。
特許文献4には、連続鋳造鋳型下の二次冷却帯における鋳片の冷却に際し、その二次冷却帯で噴射される液体媒体の噴射ノズル直前における圧力を 100 kgf/cm2超とし、かつ冷媒の流量密度が 100〜10000 リットル/m2/min の条件で冷媒を噴射をすることからなる連鋳鋳片の二次冷却方法が提案されている。
特許文献5には、鋼の連続鋳造機において鋳片を二次冷却するに際し、上記連鋳機のパスラインに沿ったサポートロールの間に、搬送中の鋳片を案内する案内板を配し、該案内板と鋳片間に水膜流連続床を形成して鋳片を支持すると共に、併せて冷却も行うことからなる連鋳鋳片の二次冷却方法が提案されている。
特開2000−158109号公報 特開昭57−187150号公報 特開昭57−91857 号公報 特開平5−177322号公報 特開平9−201661号公報
しかしながら、上記の方法はいずれも、スラブ長辺面の冷却に関する技術であり、長辺面の冷却能は向上できるにしても、短辺面については考慮が払われていないので、鋳造速度が増加した場合には凝固シェル厚みが薄くなるという問題があった。
すなわち、スラブ短辺側は、通常、スラブ保持ロールの間隔が広いため、鋳造速度を増加させた場合には、凝固シェル厚みが薄くなってスラブ短辺にバルジングが発生し、スラブハンドリングや圧延時の欠陥を引き起こすおそれがあった。
また、スラブの長辺面と短辺面との冷却速度差が大きいと、内部割れの発生を助長し、最終製品での欠陥を引き起こすおそれもある。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、高速での連続鋳造下で、長辺面と短辺面の冷却をバランスさせ、短辺バルジングや内部割れ等の発生を効果的に抑制することができるスラブ連続鋳造方法を提案することを目的とする。
また、本発明は、特に極低炭素鋼スラブの高速連続鋳造において、従来不可欠とされた溶削等のスラブ手入れを施す必要なしに、表面品質に優れたスラブを安定して得ることができるスラブ連続鋳造方法を提案することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.スラブの連続鋳造において、鋳造速度:2.0 m/min 以上の速度で、スラブ厚み:150 〜330 mmのスラブを製造するに際し、連続鋳造機の二次冷却帯において、スラブ短辺面を高圧スプレー水で冷却するものとし、その際、上記高圧スプレー水の噴射角度がスラブ短辺面対し30〜90°、上記高圧スプレー水によるスラブ短辺面の冷却域が連続鋳造鋳型の出側直下5m以内、上記スラブのクレーターエンドが連続鋳造機の機長内に収まりかつ上記スラブの曲げ・矯正部においても表面割れが発生しない温度になるように、下記(1)式で衝突圧P′が定義されるノズルを用いて、5×10-3 MPa以上5×10 -2 MPa以下の条件で高圧スプレー水を供給し、さらに鋳型振動数を 185 cycle/min以下とし、かつ上記スラブ厚みDと浸漬ノズル吐出孔横幅dの比D/dが 1.5〜3.0 を満足する浸漬ノズルを使用して鋳造することを特徴とするスラブ連続鋳造方法。

P′= 5.6PQ/H2 --- (1)
ただし、P:ノズル噴射圧力(MPa )
Q:ノズル水量(リットル/s/ノズル1本)
H:ノズル−鋳片間距離(cm)
本発明によれば、従来、高速での連続鋳造時に懸念された短辺バルジングや内部割れ等の発生のおそれなしに、2.0 m/min 以上の高速でのスラブ連続鋳造が可能となる。
また、本発明によれば、従来、極低炭素鋼スラブの高速連続鋳造時に不可欠とされた溶削等のスラブ手入れを施す必要なしに、表面品質に優れたスラブを安定して得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
通常、凝固シェルを水スプレーで冷却する場合、凝固シェルと冷却水の界面で膜沸騰が生じるために界面の熱抵抗が増加し、いくら水量を増加させたとしても、一定速度以上に冷却速度を増加させることはできなかった。
しかしながら、この水スプレーに際し、凝固シェルに高圧のスプレー水を衝突させると、この圧力によって膜沸騰が抑制され、その結果、冷却速度の大幅な増加が可能になる。
そこで、本発明でも、スラブ短辺の冷却に際し、このような高圧スプレー水を利用することにした。
図1に、本発明の実施に用いて好適な、連続鋳造機の高圧スプレー水による冷却装置の概略図を示す。図1(a) は、連続鋳造鋳型の直下に、傾斜させた高圧スプレーノズルを1台配置した場合、図1(b) は、同じく連続鋳造鋳型の直下に、傾斜させた高圧スプレーノズルを1台と、冷却水を直角に噴射する高圧スプレーノズルを2台配置した場合である。図中、番号1は鋳型、2は浸漬ノズル、3はサポートロール、そして4が高圧スプレーノズルである。
本発明では、従来、ロール間から衝突圧:5×10-4 MPa未満のエアミストスプレー等によって行っていた鋳片の二次冷却を、高圧スプレー水によって冷却するものとし、この高圧スプレー水をスラブ短辺に衝突させると共に、この衝突後の冷却水を、スラブ短辺上を流動させることによって、冷却能の飛躍的な向上を図ることができる。また、従来、ロールによって実施していた鋳片のサポート自体も、衝突したスプレー水によって補助することができる。
なお、この冷却装置は、図示は省略したが、モーター回転数をインバーター制御したプランジャーポンプと高圧スプレーノズルからなり、さらに該ノズルがノズル−鋳片間を進退移動可能な仕組みになっている。
さて、本発明では、実操業における冷却能の制御を、冷却水の噴射圧力P、冷却水流量Q(リットル/s)、ノズル−鋳片間距離H(cm)により決定されるスラブ短辺への冷却水の衝突力P′の値で制御する。
ここに、衝突圧P′は次式(1) で与えられる。
P′= 5.6PQ/H2 --- (1)
ただし、P:ノズル噴射圧力(MPa )
Q:ノズル水量(リットル/s/ノズル1本)
H:ノズル−鋳片間距離(cm)
上掲式は、「鉄と鋼、77巻(1991年)、1450頁」(日本鉄鋼協会)の中でデスケーリングノズルのスケーリング除去能力に関して報告されているものであるが、発明者らの研究により、衝突圧が冷却能に対しても有効な指標となり得ることが確認された。
なお、連続鋳造の二次冷却における冷却能を評価するには、熱伝達係数αを用いるのが一般的であるが、発明者らは、この熱伝達係数αについても高圧スプレーノズルを用いて評価したところ、図2に示す関係を得た。
従って、熱伝達係数αは、鋳片表面温度Ts と衝突圧P′の関数として算出することが可能である。
そこで、算出した熱伝達係数αを用いて伝熱凝固解析を行い、クレーターエンドが連続鋳造機の機長内に収まり、かつ曲げ・矯正部においても表面割れの発生しない鋳片表面温度を達成できる噴射圧力P、流量Q、ノズル−鋳片間距離Hを決定した。
さらに、これらの噴射圧力P、流量Q、ノズル−鋳片間距離Hに基づき、前掲式(1) から冷却速度の大幅な増加が達成できる冷却水の衝突圧P′を決定したのである。
ここに、この衝突圧P′が、5×10-3MPaに満たないと、凝固シェルとスプレー水の界面における膜沸騰を抑制することができず、所望するほどの冷却速度の増加が望めないので、本発明では、冷却水の衝突圧P′について5×10-3 MPa以上に限定したのである。なお、この衝突圧P′の上限については、5×10-2 MPaを超えると凝固シェルの変形が生じるおそれがあるので、衝突圧P′の上限は、5×10-2 MPaとする
そして、上記の衝突圧P′を満足する条件下でスラブ短辺面を冷却することによって、鋳造速度:2.0 m/min 以上という高速での連続鋳造においても、短辺バルジングや内部割れ等の発生を効果的に防止することが可能になったのである。
なお、本発明において、スラブの厚みを 150〜330 mmの範囲に限定した理由は、スラブ厚みが 150mm未満では、スラブ短辺面を強冷却しなくても、スラブ長辺面の冷却によってコーナー部凝固シェルは強固となるので、短辺バルジング量は小さく、一方 330mmを超えると、本発明に従うスラブ短辺強冷却を実施してもシェルが変形してバルジングの発生が避け難いからである。
また、発明者らの研究によれば、高圧スプレーを実施するに際し、冷却水ノズルの噴射角度にある程度角度をつけて、広角に冷却水を当てる方がより効率的であることが判明した。
しかしながら、冷却スプレーの噴射角度θが30°未満では、高圧水による膜沸騰抑制効果が小さく、一方90°を超えると凝固鋳片の進行方向と逆方向への水流が増加し、冷却水全体の流れを阻害するため、高圧スプレーの噴射角度θは30〜90°程度とすることが有利である。
また、このように冷却スプレーの噴射に角度をつけると、サポートロールも冷却水によって冷却されるので、サポートロールによる冷却能を向上させることもでき、一層有利である。
さらに、高圧スプレーの実施位置は、複数のセグメントであることが冷却能向上の面からは好ましい。
また、上述した伝熱凝固計算から考えると、鋳片凝固シェル厚t(mm)が鋳片厚D(mm)に対してt/D≦1/3が成立する比較的上部に取り付けるのがとりわけ有利である。
そこで、この観点から、さらに検討を重ねた結果、高圧スプレーの好適実施位置は、連続鋳造鋳型の出側直下5m以内であることが判明した。
なお、スラブの長辺面の冷却については、従来公知の方法いずれもが使用できる。
かくして、本発明によれば、鋳造速度:2.0 m/min 以上という高速鋳造下においても、短辺バルジングや内部割れ等の発生なしに連続鋳造を実施することができる。
ところで、発明者らは、上記したような種々の実験・検討を繰り返す間に、2.0 m/min以上という高速鋳造の下では、鋳型振動数およびスラブ厚みDと浸漬ノズル吐出孔横幅dの比D/dを適正に制御することによって、従来、連続鋳造後に溶削等のスラブ手入れが不可欠とされた極低炭素鋼スラブについても、溶削等のスラブ手入れを省略できることを見出した。
以下、この点の解明経緯について説明する。
自動車の外板等に用いられるC含有量が0.01mass%以下の極低炭素鋼の製造に際しては、その精錬過程で酸素を使用して溶鋼中のCを酸化除去する工程が不可欠であるため、この工程で溶鋼中に溶存した酸素をさらにアルミニウム、マグネシウム、チタンなどの脱酸剤で脱酸する工程が必要となる。この脱酸工程において、溶鋼中の酸素は脱酸剤と結合して脱酸生成物であるアルミナ、マグネシア、チタニア等を生じ、これが溶鋼中に非金属介在物として残存する。
このような非金属介在物がスラブの表面近傍に存在すると、スラブを熱間圧延および冷間圧延して薄鋼板とした場合に、鋼板の表面にヘゲやフクレなどの欠陥を生じるので好ましくない。また、脱酸生成物以外にも、連続鋳造時に鋳型内の溶鋼表面に添加するモールドパウダーや、タンディッシュから鋳型内に溶鋼を供給するための浸漬ノズルの詰まり防止のために供給されるアルゴンガスの気泡が溶鋼中に巻き込まれたものが、気泡単独あるいは脱酸生成物と合体した気泡として溶鋼中に残存しても、上記の脱酸生成物と同様な表面欠陥をもたらす。
そこで、従来は、スラブ表面を無手入れで熱延される一般の冷延鋼板用の連続鋳造スラブとは異なり、自動車外板用スラブの場合には、その表面を1〜4mm程度溶削等の手段によって除去し、スラブ表層の脱酸生成物系介在物、気泡、モールドフラックス等の熱延以降で鋼板表面欠陥の原因となる異物を取り除いた上で、熱間圧延および冷間圧延に供することを余儀なくされていた。
ところで、鋳造速度Vc が 2.0 m/min超えで鋳造した場合、鋳型内の凝固シェルはその厚みがより薄くなるため、溶鋼静圧の影響を受けて鋳型側に押し付けられる、いわゆるバルジング現象が小さいながらも発生する。このバルジング現象は、シェルが高温で、かつシェル強度が他鋼種に比べて小さい極低炭素鋼のような鋼種の場合、その膨らむ(鋳型に押し付けられる)速度は鋳型振動速度よりも大きくなる。一般的に凝固収縮や熱収縮による体積収縮を補償するためのテーパーが設けられている鋳型を上下振動すると、鋳型下降に追従して凝固シェルが膨らみ(膨らみ量:δb )、一方、鋳型上昇中には、鋳型が膨らんだシェルを押す(押し付け量:δp ≒δb )ことになる。これよる体積変化が湯面変動に与える量は、計算上1mm未満と小さい。しかしながら、このようなことが繰り返されると、湯面振動と鋳型振動が共振し、湯面が突発的に大きく変動する異常な現象が稀に生じることが見出された。この現象は、鋳型のきわで発生するため、通常の過流式湯面レベル計では検出が難しく、鋳片のオシレーションマーク乱れの経時変化を調査することにより、初めて本発明者らが見出した現象である。特に、鋳造速度が 2.0 m/min超えで、鋳型振動数が 185 cycle/min超えと高い場合に、このような現象が観察され易く、その結果モールドフラックスの溶鋼中への巻き込みや凝固シェルへの噛み込みが発生し、鋳片表層下欠陥となる。このため、2.0 m/min 超えでの鋳造の場合、製品においてモールドフラックスに起因した表面欠陥の発生が突発的に増加し、安定して表面欠陥を低減できないという問題があった。
しかしながら、この点については、突発的な現象の発生頻度の指標としての全欠陥に占めるフラックス系欠陥の割合と鋳型振動数との関係から、鋳型振動数を 185 cycle/min以下とすることによって、このような現象は、たとえ鋳造速度Vc が 2.0m/min 超えの場合であっても、効果的に防止できることが判明したのである。
また、浸漬ノズル吐出口から噴出した溶鋼は、短辺シェルに衝突するまでにその幅が広がると共に、減速されるが、その程度や鋳型短辺シェルに衝突する溶鋼噴流の速度分布は、スラブ幅W、鋳造速度Vc およびスラブ厚みDと浸漬ノズル吐出孔横幅dの比D/dに依存する。スラブ厚みDに対して浸漬ノズル吐出口幅dが小さすぎる(D/dが大きすぎる)と、D,Vc ,Wの増大につれて、短辺シェルに衝突する噴流流速の大きい領域幅のスラブ厚み(短辺幅)に占める割合が減少するため、凝固シェルの成長が不均一で、かつ阻害され易く、極端に凝固シェルが薄くなると、ブレークアウトにつながる。一方、スラブ厚みDに対して浸漬ノズル吐出口dが大きすぎる(D/dが小さすぎる)と、噴流が短辺に衝突する前に長辺側のシェルに衝突して長辺側凝固シェルの成長が阻害され、横割れや斜め割れが発生し、極端に凝固シェルが薄くなると、やはりブレークアウトにつながる。
また、短辺に衝突後の流れが上昇後に長辺側湯面に沿って流れる際、D/d比が最適値から外れると、スラブ厚み方向の溶鋼流速の偏りのため、メニスカス流速変動の一因にもなり、モールドフラックスの巻き込み量が増える。
そこで、D/d比が製品品質に及ばす影響について調査した結果、D/dの範囲は 1.5〜3.0 が好適であることが突き止められた。
すわなち、スラブ厚みDと浸漬ノズル吐出孔横幅dの比D/dを 1.5〜3.0 の範囲に制御すれば、長辺凝固シェルに対する洗浄効果が増大して、たとえ異物が凝固シェルに捕捉されたとしてもその捕捉深さは浅く、その後の熱延→冷延工程を経て製品になる過程で、かような異物は鋳片表面の酸化スケールと共に脱落・除去されることが究明されたのである。
なお、製品品質に加えて、最適スラブ厚み、浸漬ノズル耐久性および必要流量を加味すると、2.1 〜2.9 の範囲がより好適である。
かくして、C含有量が0.01mass%以下の極低炭素鋼の連続鋳造に際し、溶鋼の鋳造速度が 2.0 m/minを超える高速鋳造を適用しても、溶削等のスラブ手入れを施す必要のない表面品質に優れたスラブを安定して得ることができるようになったのである。
転炉溶製−RH処理によって得た、C:0.08mass%、Si:0.1 mass%、Mn:1.2 mass%、P:0.01mass%、S:0.01mass%、Nb:0.04mass%およびN:0.004 mass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる溶綱(約100ton)を、図1(b) に示す高圧スプレー水供給装置をそなえる連続鋳造機を用いて、表1に示す条件で連続鋳造し、スラブとした。
上記の条件下で連続鋳造を行った際の内部割れ指数、短辺バルジングの有無および表面割れの有無について調べた結果を、表1に併記する。
なお、高圧スプレー水供給装置は、連続鋳造鋳型の出側直下3〜4m 位置に取り付けて実験を行った。また、タンディッシユ内の溶鋼加熱度は、30℃一定となるように条件を揃えた。さらに、スラブ長辺面の冷却は、通常のエアミストスプレーを用いて一定条件で行った。
また、従来法として、スラブ短辺の冷却を通常のエアミストスプレーで行う場合についても連続鋳造した。
なお、内部割れ指数は、図3に示すように、スラブサンプルの鋳造方向の鉛直断面に存在する内部割れ長さを測定し、次式により求めた値である。
内部割れ指数=(Σ (ai )2/S)× 10000
また、短辺バルジングの有無は、鋳造後の鋳片短辺を観察することにより評価した。
さらに、表面割れは、スラブ表層:2mmをスカーフィング後、浸透液試験(PT試験)で測定された割れ個数で、次のとおり評価した。
割れ個数が1m当たり0個:○
割れ個数が1m当たり 0.5個未満:△
割れ個数が1m当たり 0.5個以上:×
Figure 0004758606
同表から明らかなように、本発明法に従いスラブ短辺冷却を行った場合には、鋳造速度が 2.0 m/min以上の高速であっても、内部割れの発生はなく、またスラブ短辺にバルジングや表面割れの発生も見られず、鋳造速度の向上効果が従来法に比べ50%以上も増加した。
実施例1と同じ、図1(b) に示す高圧スプレー水供給装置をそなえる連続鋳造機を用いて、転炉溶製−RH処理によって得た、C:0.002 mass%、Si:0.03mass%、Mn:0.1 mass%、P:0.01mass%、S:0.01mass%、Nb:0.05mass%およびN:0.002 mass%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる溶綱(約100ton)を、表2に示す条件で連続鋳造し、スラブとした。
上記の条件下で連続鋳造を行った際の内部割れ指数、短辺バルジングの有無、表面割れの有無および製品板における表面欠陥の有無について調べた結果を、表2に併記する。
なお、製品板における表面欠陥は、冷延鋼板:1000m当りの表裏面における、線状疵、ヘゲ疵等の鋳造欠陥に起因した総欠陥数の百分率で評価した。
Figure 0004758606
同表から明らかなように、本発明に従って極低炭素鋼スラブを鋳造した場合、鋳造速度が2.0m/min超えという高速鋳造であっても、得られたスラブに内部割れの発生はなく、またスラブ短辺におけるバルジングや表層欠陥の発生もなく、さらに製品板における表面欠陥は皆無か、あっても極わずかであった。
本発明によれば、鋳造速度が 2.0 m/min超えの高速鋳造であっても、スラブ無手入れのままで、高生産性および安定操業を維持しつつ、自動車外板向け冷延鋼板用スラブを高品質で供給することができる。
本発明の実施に用いて好適な、連続鋳造機の高圧スプレー水による冷却装置の概略図である。 熱伝達係数αと鋳片表面温度Ts および衝突圧P′との関係を示したグラフである。 スラブサンプルの鋳造方向の鉛直断面における内部割れの発生状況を示した図である。
符号の説明
1 鋳型
2 浸漬ノズル
3 サポートロール
4 高圧スプレーノズル

Claims (1)

  1. スラブの連続鋳造において、鋳造速度:2.0 m/min 以上の速度で、スラブ厚み:150 〜330 mmのスラブを製造するに際し、連続鋳造機の二次冷却帯において、スラブ短辺面を高圧スプレー水で冷却するものとし、その際、上記高圧スプレー水の噴射角度がスラブ短辺面対し30〜90°、上記高圧スプレー水によるスラブ短辺面の冷却域が連続鋳造鋳型の出側直下5m以内、上記スラブのクレーターエンドが連続鋳造機の機長内に収まりかつ上記スラブの曲げ・矯正部においても表面割れが発生しない温度になるように、下記(1)式で衝突圧P′が定義されるノズルを用いて、5×10-3 MPa以上5×10 -2 MPa以下の条件で高圧スプレー水を供給し、さらに鋳型振動数を 185 cycle/min以下とし、かつ上記スラブ厚みDと浸漬ノズル吐出孔横幅dの比D/dが 1.5〜3.0 を満足する浸漬ノズルを使用して鋳造することを特徴とするスラブ連続鋳造方法。

    P′= 5.6PQ/H2 --- (1)
    ただし、P:ノズル噴射圧力(MPa )
    Q:ノズル水量(リットル/s/ノズル1本)
    H:ノズル−鋳片間距離(cm)
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