JP4758084B2 - パッキン - Google Patents

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本発明は、切粉などの異物のシーリングのためのリング状のパッキンに関する。
回転テーブルのような回転駆動機構は、回転軸や回転テーブルなどの回転部材とその回転部材をベアリングなどを介して支持するフレームとを有する。回転駆動機構は、回転部材とフレームとの隙間から切粉などの異物がベアリングなどに入り込まないようにするために、その隙間にリング状のパッキンを配置している。
図6に示すように、そのようなパッキン100は、半径方向内方へ窪む凹状の曲面を有する外周面102と半径方向外方へ窪む凹状の曲面を有する内周面104と相対する互いに平行な2つの側面106,108とを含むX状の横断面を有するXリングが知られている(特許文献1参照)。
回転部材の回転軸に対して直角の方向の外力が回転部材に作用するとき、Xリングは、回転テーブルの回転動作中の撓みにより、その中心軸線方向に伸縮する。
しかし、そのようなXリングは、回転テーブルの中心軸線方向(Xリングの厚み方向)に伸縮されたとき、Xリングの円周方向に直角の断面形状において、Xリングの半径方向の寸法が所々小さくなることがある。
詳細には、Xリングパッキンとシールリング樹脂部材およびフレームとの接触面積が小さくなる。また、回転テーブルに工作物を載置して加工するとき、工作物ひいては回転テーブルが瞬間的に回転テーブルが中心軸線方向に撓んで浮き上がる場合がある。
そのような場合、Xリングは、回転テーブルとフレームとの間に隙間が瞬時的に生じてしまうことがあり、その隙間から切粉などの異物が進入してしまう問題があった。
また、側面106,108の外側縁部110,112は、外周面102の底部より半径方向内方に位置しているから、Xリングが中心軸線方向に圧縮されても、外側縁部110,112はわずかに外方に移動するだけであり、隙間に溜まった切粉などの異物はXリングから除去されない。なお、内周面104側に対しても同様の現象が発生する場合がある。
さらに一般的なXリングは、端部が半円形状のため端部近傍に切粉等の異物が溜まりやすい。一般的なOリングも同様である。
実開平1−94664号公報
本発明の目的は、切粉などの異物が入り込みにくく、密閉性をよくすることにある。
本発明に係るパッキンは、リング状のパッキンであって、外周面、内周面、及び相対する2つの側面を含み、前記外周面と前記各側面とで形成される2つの外周縁、及び前記内周面と前記各側面とで形成される2つの内周縁はそれぞれパッキンの中心軸線方向について最も外側に位置しており、前記外周縁を形成する少なくとも前記外周縁近傍の前記外周面と前記側面との内角及び前記内周縁を形成する少なくとも前記内周縁近傍の前記内周面と前記側面との内角はそれぞれが直角以下であり、前記外周面及び前記内周面はそれぞれ半径方向へ窪むと共に円周方向に形成された凹部を有し、前記外周縁と前記外周面と前記側面とによって外側リップ部が形成されると共に前記内周縁と前記内周面と前記側面とによって内側リップ部を形成されており、前記外側リップ部を形成する前記側面及び前記内側リップ部を形成する前記側面は、パッキンの中心軸線に対する直交方向の水平面に対して鋭角をなしており、前記各側面のぞれぞれにおける前記外側リップ部と前記内側リップ部との間に突起部分が形成されている。
なお、本発明に係るパッキンにおいて、パッキンの中心軸線に対する直交方向における凹部の底部から外周縁までの長さ寸法は、パッキンの中心軸線方向における外側リップ部分の平均厚さ寸法以上であることが好ましい。
また、パッキンの中心軸線に対する直交方向における凹部の底部から内周縁までの長さ寸法は、パッキンの中心軸線方向における内側リップ部分の平均厚さ寸法以上であることが好ましい。
本発明によれば、半径方向において、外側リップ部分の位置は外周面の底部より外方に位置し、内側リップ部分の位置は内周面の底部より内方に位置しているから、側面の一方及び他方に接触している回転部材及びそれのフレームによってパッキンをパッキンの中心軸線方向に圧縮させても、外周面は外方に膨らみながら外方に移動し、内周面は内方に膨らみながら内方に移動する。
さらに、側面の一方及び他方は、回転部材及びフレームをなぞるように密着しながら撓むから、パッキンは、パッキンと回転部材との間、又はパッキンとフレームとの間に付着した切粉などの異物を掻き出すように、押しのける。これにより、切粉などの異物がパッキンの内周面の内方に入り込みにくくなり、密閉性がよくなる。
また、内周縁又は外周縁近傍の外周面と側面とが平面又は凹状曲面を形成しているから、シール性能は、一般のXリング又はXリングのような形状を有するリングの端部が半円形状を形成する場合より高くなり、切粉などの異物も掻き出しやすくなる。
[第1の実施例]
図1から図3を参照するに、リング状のパッキン10は、回転テーブル12と回転テーブル12を支持するフレーム14との間に配置されている。
回転テーブル12の中央の下側には、一対のベアリング16が嵌合する軸部18が一体的に形成されている。回転テーブル12の縁部20の下側には、リング状の樹脂部材22が取り付けられている。
回転テーブル12の下側には、ウオームホイール部24が一体的に形成されている。しかし、ウオームホイール部24は回転テーブル12にボルトのような留め具によって組み付けても良い。
フレーム14は、一対のベアリング16を介して、回転テーブル12を中心軸線Lの周りを回転可能に支持している。
フレーム14は、ウオーム26を枢軸的に保持している。フレーム14には、ベアリング16と同心円の溝28が形成されている。
フレーム14の上面には、リング状の溝28が形成されている。溝28の溝幅寸法は、回転テーブル12の樹脂部材22の先端部の幅寸法よりも僅かに大きくされている。したがって、樹脂部材22の先端部は溝28に接触することなく、溝28の内側で回転することができる。
ウオーム26は、回転テーブル12のウオームホイール部24に歯合している。ウオーム26が回転駆動装置(図示せず)により回転されるとウオームホイール部24を介して回転テーブル12を回転させる。
パッキン10は、外周面30と内周面32と相対する2つの側面34,36とを含む。なお、側面34、36は互いに中心軸線Lの方向に対して離間している。
外周面30と側面34とは外周縁(第1の外周縁)38を形成している。外周面30と側面36とは外周縁(第2の外周縁)40を形成している。内周面32と側面34とは内周縁(第1の内周縁)42を形成している。内周面32と側面36とは内周縁(第2の内周縁)44を形成している。
それぞれの縁はパッキン10の中心軸線方向において最も外側に位置している。換言すると、外周縁38及び内周縁42は、それぞれ側面34の全体よりパッキン10の中心軸線方向において外側に位置し、外周縁40及び内周縁44は、それぞれ側面36の全体よりパッキン10の中心軸線方向において外側に位置している。なお、この実施例の場合、それぞれの縁の近傍を含む側面、外周面及び内周面はそれぞれ平面である。
また、ここでいう近傍とは切粉などの異物を掻き出すことができる程度の範囲のことであり、具体的には異物の大きさにより各外周縁及び各内周縁から略0.3mmの範囲である。
外周面30には、底部46を有する半径方向へ窪む凹部の形状をした外周溝48が円周方向に形成されている。内周面32には、底部50を有する半径方向へ窪む凹部の形状をした内周溝52が円周方向に形成されている。なお、外周溝48及び内周面52の幅はパッキン10の中心軸線Lの方向における幅より狭い。
側面34と外周面30と外周溝48の面とは外側リップ部分54を形成している。側面34と内周面32と内周溝52の面とは内側リップ部分56を形成している。側面36と外周面30と外周溝48の面とは外側リップ部分58を形成している。側面36と内周面32と内周溝52の面とは内側リップ部分60を形成している。
側面34の中央には突起部分62が形成されている。外側リップ部分54と突起部分62との間の側面34、及び、内側リップ部分56と突起部分62との間の側面34には、溝64及び66が形成されている。
側面36の中央には突起部分68が形成されている。外側リップ部分58と突起部分68との間の側面36、及び、内側リップ部分60と突起部分68との間の側面36には、溝70及び72が形成されている。しかし、突起部分62,68は、なくてもよい。
溝64,66の高さ寸法h2は、突起部分62の高さ寸法h1より短い。溝70,72の高さ寸法h4は、突起部分68の高さ寸法h3より短い。しかし、高さ寸法h2,h4は0であってもよい。
パッキン10が取り付けられていない状態のパッキン10の厚み方向において、外周縁38と内周縁42とは、突起部分62と同じかそれより外側に位置している。
パッキン10が取り付けられていない状態のパッキン10の厚み方向において、外周縁40と内周縁44とは、突起部分68と同じかそれより外側に位置している。
外側リップ部分54の側面34は外周縁38を含む水平面(第1の水平面)F1に対して鋭角である角度θ1をなしている。同じく外周面30は、水平面F1に対して外周面30の外側で角度θ2をなしている。角度θ1は角度θ2より小さい。
外側リップ部分58の外側側面36は外周縁40を含む水平面(第2の水平面)F2に対して鋭角である角度θ3をなしている。同じく外周面30は、水平面F2に対して外周面30の外側で角度θ4をなしている。角度θ3は角度θ4より小さい。
内側リップ部分56の側面34は水平面F1に対して鋭角である角度θ5をなしている。同じく内周面32は、水平面F1に対して内周面32の外側で角度θ6をなしている。角度θ5は角度θ6より小さい。
内側リップ部分60の側面36は水平面F2に対して鋭角である角度θ7をなしている。同じく内周面32は、水平面F2に対して内周面32の外側で角度θ8をなしている。角度θ7は角度θ8より小さい。
角度θ1,θ3,θ5,θ7は3°以上5°以下であることが好ましい。角度θ2,θ4,θ6,θ7は60°以上135°以下、特に、90°以上120°以下であることが好ましい。図示の例では、角度θ2,θ4,θ6,θ8は、いずれもほぼ90°とした。また、各縁近傍の外周面又は内周面と側面との内角は直角以下である。
角度θ1,θ3,θ5,θ7を大きすぎず適度な角度に設定すれば、パッキン10と樹脂部材22及び溝28の底部との間に空間ができるので、その空間の気圧により吸着効果が発生し、シール効果を向上させることができる。
また、水平面F1に平行な方向における底部46から外周縁38までの長さ寸法L1は、水平面F1に直角の方向である中心軸線Lの方向における外側リップ部分54の厚さ寸法の平均寸法L2と等しいかこれより大きくされている。しかし、長さ寸法L1は、外側リップ部分54の最も薄い部分の厚さ寸法と等しいかこれより大きくしてもよい。
水平面F2に平行な方向における底部46から外周縁40までの長さ寸法L3は、中心軸線Lの方向における外側リップ部分58の厚さ寸法の平均寸法L4と等しいかこれより大きくされている。しかし、長さ寸法L3は、外側リップ部分58の最も薄い部分の厚さ寸法と等しいかこれより大きくしてもよい。
水平面F1に平行な方向における底部50から内周縁42までの長さ寸法L5は、中心軸線Lの方向における内側リップ部分56の厚さ寸法の平均寸法L6と等しいかこれより大きくされている。しかし、長さ寸法L5は、内側リップ部分56の最も薄い部分の厚さ寸法と等しいかこれより大きくしてもよい。
水平面F2に平行な方向における底部50から内周縁44までの長さ寸法L7は、中心軸線Lの方向における内側リップ部分60の厚さ寸法の平均寸法L8と等しいかこれより大きくされている。しかし、長さ寸法L7は、内側リップ部分60の最も薄い部分の厚さ寸法と等しいかこれより大きくしてもよい。
そのようなパッキン10は溝28に収容されている。外側リップ部分54及び内側リップ部分56は樹脂部材22の先端部に接触しており、内側リップ部分60及び外側リップ部分58は溝28の底部に接触している。
フレーム14の溝28に配置される前のパッキン10の高さ寸法Hは約5.7mmある。しかし、樹脂部材22と溝28との間の寸法は、パッキン10の高さ寸法Hより約0.6mmだけ短い約4.9mmに設定されている。したがって、パッキン10は、フレーム14に配置した状態では、樹脂部材22とフレームとの間において、約0.6mmだけ圧縮される。なお、図示されている各図では各パッキンは溝28に収容されており、パッキンの中心軸線方向に圧縮されている状態を示している。
なお、パッキン10は樹脂部材22とフレーム14とにより圧縮されているだけであり、パッキン10は樹脂部材22及びフレーム14には固定されていない。
この圧縮により生じる反力によって、外周縁38,内周縁42は樹脂部材22に、外周縁40,内周縁44は、溝28の底部に弾性接触している。これにより、切粉などの異物は、樹脂部材22とパッキン10との間、又は溝28の底部とパッキン10との間を通りにくくなる。
回転テーブル12からの外力がパッキン10に作用するとき、外側リップ部分54,58及び内側リップ部分56,60が、それぞれ、パッキン10の内方向に撓むが、突起部分62,68はシール性能を高めるためにパッキン10を支えほとんど撓まない。
また、パッキン10の半径方向において突起部分62,68の外側及び内側に外側リップ部分54,58及び内側リップ部分56,60を形成したから、突起部分62,68と外側リップ部分54,58及び内側リップ部分56,60とは樹脂部材22及び溝28の底部に均等に圧力(反力)を与える。これにより、パッキン10のシール性能を向上させることができる。
側面34に溝64,66を形成しているから、外側リップ部分54及び内側リップ部分56の厚み寸法を大きくすることができる。これにより、パッキン10のシール性能が向上する。さらに外側リップ部分54及び内側リップ部分56が撓むときの弾力が増すから、切粉等の異物を力強く掻き出すことができる。また、側面36の側に対しても同様のことがいえる。
[第2の実施例]
図4を参照するに、パッキン74は、外側リップ部分54,58及び内側リップ部分56,60の角度θ2,θ4,θ6,θ8を90°よりも大きくしている。
これにより、外周面30及び内周面32は、樹脂部材22及び溝28の底部に対して、鋭角に即ちパッキン74の外方向に向かってエッジのように立ってスライドするから、切粉などの異物をより確実に掻き出すことができる。
また、樹脂部材22及び溝28の底部に付着した切粉などの異物が大きくても、外周面30及び外周溝48、そして内周面32及び内周溝52が共同してその切粉などの異物を除去することができる。
また、第1の実施例のパッキン10の外側リップ部分54,58及び内側リップ部分56,60を形成している外周面30及び内周面32は截頭円錐の側面のような曲面にしているが、窪ませた凹状の曲面にしてもよい。
[第3の実施例]
図5を参照するに、パッキン76の外周面30は半径方向内方へ窪む凹状の曲面であり、内周面32は半径方向外方へ窪む凹状の曲面である。
パッキン76における外側リップ部分54,58及び内側リップ部分56,60の角度θ2,θ4,θ6,θ8はほぼ0°であるから、外周面30及び内周面32は、樹脂部材22及び溝28の底部に対して、さらに鋭角にパッキン76の外方向にスライドする。これにより、切粉などの異物をより確実にはき出すことができる。
なお、第2及び第3の実施例において、側面34,36はパッキンの中心軸方向の圧縮により凸状曲面になっているが、側面34,36は溝28に収容されていない自然体の状態では平面である。
各実施例に示したパッキンにおいて、リップ部は外周面側又は内周面側のいずれか一方のみに形成してよい。さらにリップ部は外周面側、内周面側それぞれの2つの縁においていずれか一方のみに形成してもよい。
本発明は、上記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々変更することができる。
本発明に係るパッキンの第1の実施例を示す断面図である。 図1に示すパッキンの拡大断面図である。 図2に示すパッキンのさらに拡大断面図である。 本発明に係るパッキンの第2の実施例を示す断面図である。 本発明に係るパッキンの第3の実施例を示す断面図である。 従来のパッキンの断面図である。
F1 第1の水平面
F2 第2の水平面
10 パッキン
12 回転テーブル
14 フレーム
16 ベアリング
18 回転テーブルの軸部
20 回転テーブルの縁部
22 樹脂部材
24 ウオームホイール部
26 ウオーム
28 フレームに形成された溝
30 外周面
32 内周面
34 側面(2つの側面の一方)
36 側面(2つの側面の他方)
38 第1の外周縁
40 第2の外周縁
42 第1の内周縁
44 第2の内周縁
46 外周溝の底部
48 外周溝
50 内周溝の底部
52 内周溝
54 第1の外側リップ部分
56 第1の内側リップ部分
58 第2の外側リップ部分
60 第2の内側リップ部分
62,68 突起部分
64,66,70,72 溝
74,76 パッキン

Claims (3)

  1. リング状のパッキンであって、
    外周面、内周面、及び相対する2つの側面を含み、
    前記外周面と前記各側面とで形成される2つの外周縁、及び前記内周面と前記各側面とで形成される2つの内周縁は、それぞれパッキンの中心軸線方向について最も外側に位置しており、
    前記外周縁を形成する少なくとも前記外周縁近傍の前記外周面と前記側面との内角、及び前記内周縁を形成する少なくとも前記内周縁近傍の前記内周面と前記側面との内角は、それぞれが直角以下であり、
    前記外周面及び前記内周面は、それぞれ半径方向へ窪むと共に円周方向に形成された凹部を有し、
    前記外周縁と前記外周面と前記側面とによって外側リップ部が形成されると共に、前記内周縁と前記内周面と前記側面とによって内側リップ部を形成されており、
    前記外側リップ部を形成する前記側面及び前記内側リップ部を形成する前記側面は、パッキンの中心軸線に対する直交方向の水平面に対して鋭角をなしており、
    前記各側面のぞれぞれにおける前記外側リップ部と前記内側リップ部との間に突起部分が形成されている、パッキン。
  2. 前記中心軸線に対する直交方向における前記凹部の底部から外周縁までの長さ寸法は、前記中心軸線方向における前記外側リップ部分の平均厚さ寸法以上である、請求項1に記載のパッキン。
  3. 前記中心軸線に対する直交方向における前記凹部の底部から内周縁までの長さ寸法は、前記中心軸線方向における前記内側リップ部分の平均厚さ寸法以上である、請求項2に記載のパッキン。
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