JP4757554B2 - 据え付け型切断機の集塵装置 - Google Patents
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据え付け型の切断機は、切断材を載置するテーブルと、このテーブルの下方に設置された切断機本体を備えており、切断機本体は、電動モータにより回転する円形の鋸刃あるいは溝切りカッター(以下、単に鋸刃という)を備え、鋸刃をテーブル上面側に突き出して切断材を切断する構成となっている。切断する切断材の板厚に合わせて切断機本体をテーブルに対して昇降動させることにより、テーブル上面からの鋸刃の突き出し寸法を調整して鋸刃の切断材に対する切り込み深さを調整することができる。
この据え付け型の切断機において、切断により発生する切り粉は、鋸刃の回転により発生する風の流れに乗ってテーブルの下方へ吹き出される。テーブルの下方へ吹き出された切り粉は、鋸刃の下側を覆うブレードケースを経て、ブレードケースの集塵口から切断機外部に吹き出される。
前者の公報に記載された集塵装置は、電動モータから吹き出される冷却風をブレードケース内に導入して集塵効率を高める技術が記載されている。また、後者の公報に記載された集塵装置は、切断機本体を傾動させて鋸刃の突き出し量を調整する構成とした切断機において、切断機本体の傾動位置に拘わらず切り粉を常時効率よく集塵できるようにするための技術が記載されている。
そこで、本発明は、従来よりも集塵効率の高い集塵装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、切断材を載置するためのテーブルと、このテーブルの下方に設置されて鋸刃をテーブルの上面から突き出させた切断機本体を備えた据え付け型の切断機における集塵装置であって、鋸刃の下部を覆うブレードケースに接続されて、鋸刃の回転に伴い発生する空気の流れを旋回させつつ切り粉を空気から遠心分離する作用を利用した集塵装置である。
第1の発明によれば、切断により発生する空気の流れとともに切り粉が集塵装置に流入すると、当該空気の流れが旋回することにより切り粉が遠心力により空気の流れから分離されて集塵されるので(サイクロン作用)、従来例えば集塵機を用いて切り粉を空気の流れと一緒に集塵する場合に比してより効率よく集塵することができる。
第2の発明は、第1の発明において、一端に排気口を備え、他端に排出口を備え、側部に集塵口を備えた円筒形状の外筒を備え、集塵口は外筒の中心に対して偏心して設けられ、この集塵口を介して外筒がブレードケースに接続された集塵装置である。
第2の発明によれば、集塵口を経て当該集塵装置がブレードケースに接続されている。集塵口は、外筒の側部であって当該外筒の中心に対して偏心した位置に設けられている。このため、集塵口を経て外筒内に流入した空気の流れは、内筒の周囲を旋回する。空気の流れが内筒の周囲を旋回する過程においてより比重の大きな切り粉が遠心力により外筒内壁面側へ移動して空気の流れから分離される(サイホン作用)。遠心分離された切り粉は外筒内壁面に沿って落下して排出口から排出され、空気の流れは排気口から排気される。
第3の発明によれば、集塵装置を縦向きにして排出口を下方へ向けた状態とすることにより切り粉が空気の流れから効率よく分離される。すなわち、集塵口を経て側方から流入した空気の流れは内筒の周囲を旋回し、この間に作用する遠心力により比重の大きな切り粉が外筒内壁面側に移動した後落下して排出口から排出され、比重の軽い空気の流れは排気口から排気される。排出口から排出された(落下した)切り粉は、集塵箱等により受けることができる。
これに対して集塵装置を横向きに位置させた場合には、排出口に集塵機のホースを接続しておくことにより、外筒内に流入した切り粉を空気の流れと共に強制的に集塵することができる。このように、別途集塵機を用いる場合と用いない場合に合わせて当該集塵装置の向きを変更することができる。
第4の発明は、第3の発明において、外筒を横向き位置に位置させるとその排気口がブレードケース側に設けた遮蔽板によって閉塞される集塵装置である。
第4の発明によれば、当該集塵装置を横向きにしてその排出口に集塵機を接続する場合に、排気口が遮蔽板で塞がれて切り粉の洩れを防止することができるので、当該集塵機によって切り粉を効率よく強制集塵することができる。
切断機本体53は、円形の鋸刃54とこれを回転させる電動モータ55を備えている。図1において白抜きの矢印で示すように、鋸刃54は時計回り方向に回転する。また、図1において切断材は、右側から左側に向けて移動させることにより切断される。
電動モータ55は、架台52に設けた支持柱57〜57により上下に平行移動可能に設けたベース58に取り付けられている。
鋸刃54の上部はテーブル51の上面から上方へ突き出されている。テーブル51上に載置した切断材をこの突き出し部分に向けて移動させることにより当該切断材が切断される。
また、昇降ハンドル56を回転操作することにより、ベース58が上下に平行移動し、これにより切断機本体53を昇降させることができる。切断機本体53を昇降させることにより、鋸刃54のテーブル51の上面からの突き出し寸法を変更することができ、これにより鋸刃54の切断材に対する切り込み深さを調整することができる。
鋸刃54の下部はブレードケース60によって覆われている。このブレードケース60は、鋸刃54の上下方向一定の範囲での変位を許容するよう上下に長く形成されている。このブレードケース60の下部に後述する本実施形態の集塵装置1が接続されている。
鋸刃54の上部であって、テーブル51から突き出された部分は、カバー61によって覆われている。このカバー61は、上下に変位可能に設けられており、切断材のテーブル51上への進入によって上方へ変位して当該切断材の上面に当接した状態となる。このカバー61によって切断部位が覆われ、切り粉の上方への飛散が防止される。
また、テーブル51上には、上記カバー61に加えて、キックバック防止用のライビングナイフ62が配置されている。
さらに、テーブル51上には、当該テーブル51上に載置した切断材を平行に移動させる案内機能を備えた平行定規装置63が装備されている。
以上説明したテーブル51の上面側の構成及び切断機本体53の昇降機構等については、従来周知の構成と同様で足り、本実施形態において特に変更を要しないので詳細な説明を省略する。
本実施形態の集塵装置1が図3〜図6に示されている。この集塵装置1は、円筒形の外筒2と、この外筒2の中心C0に沿って配置された内筒3を備えている。外筒2の一端側は蓋部2aにより閉塞されている。この蓋部2aの中心C0に内筒3が固定されている。内筒3は、外筒2の内部からこの蓋部2aを経て外部へ突き出されている。この外部へ突き出された端部は大気に開放されて排気口3aとなっている。図示するように排気口3aの端部は円弧形状に形成されている。排気口3aの円弧形状は、後述する集塵口2cの中心C1を中心とする円弧に沿って形成されている。
また、内筒3の外筒2の内部側の端部は、外筒2の内部に開放されている。このため、外筒2の内部は内筒3を経て外部に連通されている。
外筒2の他端側は円錐形に形成され、その先端に排出口2bが設けられている。
外筒2の周面(側面)には、円形の集塵口2cが設けられている。図3〜図6に示すようにこの集塵口2cは、外筒2の中心C0に対して偏心した位置に設けられている。このため、後述するようにこの集塵口2cを経て流入した空気の流れは、外筒2内において内筒3の回りを旋回する旋回流となる。図4に示すように集塵口2cの中心C1は、外筒2の中心C0に対して右側に偏心している。このため、図4中白抜きの矢印で示すように集塵口2cを経て流入した空気の流れは、内筒3に対して左回りの旋回流となる。
この集塵口2cには、ブレードケース60の下部に設けた接続管部60aが接続されている。接続管部60aの先端は、集塵口2cの内周側に相対回転可能かつ気密に挿入されている。また、接続管部60aの外径寸法と集塵口2cの内径寸法は、両者間に適度な回転抵抗が与えられるよう適切に設定されている。この回転抵抗により、後述するように外筒2を接続管部60aの中心C1を中心として回転させることでき、かつ任意の位置で保持させることができるようになっている。
一方、集塵口2cの内周側に挿入された接続管部60aの先端外周面には上記係合ピン2d,2dに対応して係合凹部60b,60bが形成されている。両係合凹部60b,60bは、一定の深さで形成されており、当該接続管部60aの肉厚方向に貫通していない。両係合ピン2d,2dはそれぞれ対応する係合凹部60b内に進入している。両係合凹部60b,60bは、周方向に約90°の範囲にわたって形成されている。
このため、接続管部60aに対して集塵口2cひいては当該集塵装置1が約90°の範囲で回転可能に接続され、これにより当該集塵装置1は、外筒2及び内筒3が上下方向に沿った縦向き位置(図3に示す位置、図5において二点鎖線で示す位置)と水平方向に沿った横向き位置(図6に示す位置、図5において実線で示す位置)との間で回転させることができる。外筒2及び内筒3を縦向き位置に位置させると排出口2bが下方へ向けられる。外筒2及び内筒3を横向き位置に位置させると排出口2bが側方へ向けられる。
図5において実線で示すように外筒2及び内筒3を横向き位置に位置させると、排出口3aが遮蔽板60cによって塞がれる。図6に示すようにこの遮蔽板60cは、ブレードケース60の接続管部60a付近から側方へ張り出す状態に設けられている。また、図5に示すようにこの遮蔽板60cは、排出口3aをその全体にわたってほぼ気密に塞ぐことができるように、当該排出口3aと同じ円弧形状に沿って湾曲している。排出口3aが遮蔽板60cによって塞がれることにより、この排出口3aを経た空気の洩れ及び切り粉の排出が防止される。
先ず、図1に示すように当該集塵装置1を縦向き位置に位置させて外筒2を上下に沿った状態にすると、当該集塵装置1のサイクロン作用を利用して効率よく集塵することができる。すなわち、ブレードケース60の下部に吹き付けられた切り粉は、空気の流れに乗って接続管部60a内に流れ込み、その後集塵装置1の外筒2内に流入する。前記したように外筒2内に流入した空気の流れは、図4中白抜きの矢印で示すように内筒3に対して左回りの旋回流となる。切り粉を含んだ空気が内筒3の周囲を旋回する間に、より比重の大きな切り粉が下方の排出口2bに向かって落下する一方、より比重の軽い空気が内筒3の下端部を経て排気口3aから外部へ排気される(サイクロン作用)。切り粉は、排出口2bを経て排出される。排出された切り粉は、当該集塵装置1の下方に設置した集塵箱5内に集塵される。なお、集塵箱5に代えて集塵袋を排出口2bの下方に設置しておいてもよい。
次に、図2に示すように当該集塵装置1を横向き位置に位置させて外筒2を水平方向に位置させた状態では、排出口2bに集塵機6を接続しておくことにより、当該集塵機6によって外筒2内に流入した切り粉を強制的に集塵することができる。この場合、排気口3aは遮蔽板60cによって塞がれるため、この排気口3aから切り粉が洩れることが防止され、従って切り粉は排出口2bを経て集塵機6により強制的に集塵される。また、この場合は上記縦向き位置の場合とは異なって、サイクロン作用により空気の流れから分離された切り粉を排出するのではなく、外筒2内に流入した空気の流れ及びこれに含まれる切り粉が集塵機6により強制的に吸入される。
また、例示した実施形態に係る集塵装置1は、ブレードケース60の接続管部60aに対して回転可能であり、外筒2及び内筒3を縦向き位置と横向位置との間で回転させることができるので、サイクロン作用を利用した集塵装置又は例えば集塵機を接続して強制集塵する形態を選択して用いることができるので、作業形態に合わせて様々な用い方をすることができる。
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、外筒2及び内筒3を回転させることにより、縦向き位置と横向き位置に位置変更可能な構成を例示したが、ブレードケース60の接続管部60aから一旦取り外して縦向き位置又は横向き位置に位置変更可能な構成としてもよい。
さらに、切断機本体53が昇降可能である点、テーブル51上にカバー61及びライビングナイフ62等を備える点等、テーブルソー本体の構成については任意であり、適宜変更を加えることができる。
なお、特許請求の範囲に記載した発明には含まれないが、以下の関連発明によっても同等の作用効果を得ることができる。例えば、ブレードケース60の接続管部60aに対して回転可能な状態で集塵口2cを接続して縦向き位置と横向位置に位置変更可能な構成を例示したが、縦向き位置に固定した状態で当該集塵装置を接続管部に接続する構成としてもよい。この場合には、遮蔽板60cが不要になる。外筒及び内筒が縦向き位置に固定されることにより、ブレードケース内に吹き付けられた切り粉は常時サイクロン作用により効率よく集塵される。
2…外筒
2a…蓋部、2b…排出口、2c…集塵口、2d…係合ピン、2e…弾性リング
3…内筒、3a…排気口
5…集塵箱
6…集塵機
50…切断機(テーブルソー)
51…テーブル
52…架台
53…切断機本体
54…鋸刃
55…電動モータ
56…昇降ハンドル
57…支持柱
58…ベース
60…ブレードケース、60a…接続管部、60b…係合凹部、60c…遮蔽板
61…カバー
62…ライビングナイフ
63…平行定規装置
Claims (3)
- 切断材を載置するためのテーブルと、該テーブルの下方に設置されて鋸刃を前記テーブルの上面から突き出させた切断機本体を備えた据え付け型の切断機における集塵装置であって、
一端に排気口を備え、他端に排出口を備え、側部に集塵口を備えた円筒形状の外筒を備え、前記集塵口は該外筒の中心に対して偏心して設けられており、該集塵口を介して当該外筒が、前記鋸刃の下部を覆うブレードケースに対して、前記排出口を側方へ向けた横向き位置と下方へ向けた縦向き位置との間で向きを変更可能に設けられており、該外筒を前記縦向き位置に位置させて、前記鋸刃の回転に伴い発生する空気の流れを該外筒内で旋回させてサイクロン作用により切り粉を空気から遠心分離して集塵可能である一方、該外筒を前記横向きに位置させて前記排出口に集塵機を接続して強制集塵可能な構成とした集塵装置。 - 請求項1記載の集塵装置であって、前記外筒が前記ブレードケースに対してその集塵口の軸線回りに回転可能に接続されて、前記横向き位置と前記縦向き位置に向きを変更可能に設けられた集塵装置。
- 請求項1記載の集塵装置であって、前記外筒を前記横向き位置に位置させるとその排気口が前記ブレードケース側に設けた遮蔽板によって閉塞される集塵装置。
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