JP4757117B2 - 複層膜形成方法および塗装物品 - Google Patents
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Description
例えば、主剤中にアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどのバインダー、艶消し剤や樹脂ビーズを用いた2液型ポリウレタン塗料の使用により艶消し塗膜を得ることができる。
しかし、近年、ますます高品質化へのニーズが高まってきており、さらに優れた特性をもつ、高品質な塗膜形成法が求められている。そのため、単に、上記艶消し塗料を使用するだけでは、不十分である。もちろん、優れた特性を発現できるものであっても、上記のソフト感、触感、重厚感、高級感などの特性を阻害するものであってはならない。
しかし、上記特許文献1から4のいずれの技術も、これら全ての特性を満足させるものではない。
上記事実に鑑み、本発明の課題は、ソフト感、触感、重厚感、高級感などの艶消し効果、耐汗性、光沢むらの低減、乾湿感、耐候性、のすべてにおいて優れ、かつ、これらの特性を安定して発現できる塗膜形成方法を提供するとともに、該塗膜形成方法により得られる塗装物品を提供することにある。
すなわち、本発明にかかる複層膜形成方法は、
基材上に、プライマー塗膜層と上塗塗膜層を順次形成する複層膜の形成方法において、
前記プライマー塗膜層の形成に使用されるプライマー塗料原液も、前記上塗塗膜層の形成に使用される上塗塗料原液も、ポリイソシアネート化合物を硬化剤とする2液型の塗料原液であって、
前記プライマー塗料原液におけるポリイソシアネート化合物の配合比率が、固形分重量基準で、主剤100部に対しポリイソシアネート化合物5〜40部であり、
前記上塗塗料原液は、主剤がポリオール樹脂、無機艶消し剤およびウレタン樹脂ビーズを含み、前記ポリオール樹脂がウレタン結合を含むポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)からなり、両者の配合比率(A/B)が固形分重量比で90/10〜70/30であるとともに、上塗塗料原液中のOH基とNCO基の当量比(OH/NCO)が1.6/1〜0.8/1であり、
前記上塗塗膜層形成のための塗装は、希釈後の溶剤の蒸発速度が200〜400となるよう上塗塗料原液をシンナーで希釈しておいて行う、
ことを特徴とする。
本発明において、プライマー塗膜層として使用される2液型プライマー塗料原液には、主剤が含まれるとともに、硬化剤としてポリイソシアネート化合物が含まれる。
前記プライマー塗料原液におけるポリイソシアネート化合物の配合比率は、固形分基準で、主剤100重量部に対しポリイソシアネート化合物5〜40重量部であり、より好ましくは、6〜35重量部である。ポリイソシアネート化合物の配合比率は、5重量部未満では、耐汗性に乏しくなり、40重量部を超えると、乾湿感が不十分になるとともに、高コストとなる。
基材がABS等である場合には、ポリオール樹脂を含む熱硬化性樹脂を主剤に用いることが好ましい。ポリオール樹脂を含む熱硬化性樹脂を主剤に用いることにより、耐汗性や乾湿感などの特性が向上し、塗膜耐久性などの他の塗膜の性能とのバランスが良好となる。このとき、このプライマー塗料原液におけるポリイソシアネート化合物の配合比率は、固形分基準で、主剤100重量部に対しポリイソシアネート化合物25〜40重量部であることが好ましい。25重量部未満では、耐汗性が不十分となるおそれがあり、40重量部を超えると、乾湿感が不十分になるとともに、高コストとなるため、好ましくない。また、プライマー塗料原液中のOH基とNCO基の当量比(OH/NCO)が1.25/1〜1/1.25であることが好ましい。OH基が1.25/1より多くなると、耐汗性が不十分となるおそれがあり、1/1.25より少なくなると、乾湿感が不十分となるおそれがあるため、あまり好ましくない。
プライマー塗料原液に硬化剤として含まれる前記ポリイソシアネート化合物としては、脂肪族または脂環族系のポリイソシアネート化合物が好ましく使用される。
本発明において、上塗塗膜層として使用される2液型ポリウレタン塗料原液には、ポリオール樹脂、無機艶消し剤およびウレタン樹脂ビーズを含む主剤が含まれるとともに、硬化剤としてポリイソシアネート化合物が含まれる。
前記ポリオール樹脂は、ウレタン結合を含むポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)からなる。ウレタン結合を含むポリエステルポリオール(A)を用いることによって、乾湿感に優れた塗膜を形成することができ、さらにアクリルポリオール(B)を配合することによって、耐候性に優れた塗膜を形成することができる。
ポリエステルポリオール(A)は、ガラス転移点(Tg)が−40℃以下であることが好ましく、水酸基価が10〜50KOHmg/gであることが好ましい。
前記アクリルポリオール(B)としては、特に限定されず、例えば、ヒタロイド2525(日立化成株式会社製)、ヒタロイド2520(日立化成株式会社製)等が使用できる。
前記水酸基含有不飽和モノマーとしては、特に限定されず、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、プラクセルFM1(ε−カプロラクトン変性ヒドロキシエチルメタクリレート、ダイセル化学社製)、ポリエチレングリコールモノアクリレートまたはモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレートまたはモノメタクリレートなどが挙げられる。
前記その他の不飽和モノマーとしては、特に限定されず、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、エチルヘキシル、ラウリルなどのエステル基含有アクリル系単量体;ビニルアルコールと酢酸、プロピオン酸などのカルボン酸とのビニルアルコールエステル系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ブタジエン、イソプレンなどの不飽和炭化水素系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド系単量体などが挙げられる。
ウレタン結合を含むポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)に関し、両者の配合比率(A/B)は固形分重量比で90/10〜70/30であり、好ましくは、85/15〜75/25である。ウレタン結合を含むポリエステルポリオール(A)が、90/10より多くなると、耐候性や柔軟性に乏しくなり、70/30より少なくなると、乾湿感が乏しくなり塗膜強度が弱くなる。
前記ウレタン樹脂ビーズとしては、例えば、アートパールC−800BK(根上工業社製)、アートパールC−600BK(根上工業社製)、アートパールC−400BK(根上工業社製)等が挙げられる。ウレタン樹脂ビーズを用いることによって、乾湿感の低下を防止しつつ、塗膜に艶消し効果を付与することができる。ウレタン樹脂ビーズの配合量は、固形分基準で、樹脂100重量部に対して30〜55重量部であることが好ましい。より好ましくは、40〜55重量部である。
上塗塗料原液に硬化剤として含まれる前記ポリイソシアネート化合物としては、プライマー塗料原液で用いられるポリイソシアネート化合物と同様に、脂肪族または脂環族系のポリイソシアネート化合物が好ましく使用される。
脂肪族または脂環族系のポリイソシアネート化合物としては、特に限定されず、例えば、プライマー塗料原液で用いられるポリイソシアネート化合物と同様、イソシアヌレート基、ウレトジオン基、ウレタン基、アロファネート基、ビウレット基および/またはオキサジアジン基を含むヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
本発明にかかる方法では、上塗塗料原液をシンナーで希釈した後に塗装を行うが、前記希釈は希釈後の溶剤の蒸発速度が200〜400となるよう行う。好ましくは、希釈後の溶剤の蒸発速度が210〜390となるよう行う。溶剤の蒸発速度が200未満では、タレや光沢むらを生じ、400を超えると、乾湿感が得られず、光沢むらを生じ、肌荒れの原因にもなる。
すなわち、まず、アルミニウム製容器(内径5mm、高さ4mmの円筒型)に100mgの溶剤を入れて、25℃、窒素気流中にて、溶剤量の90重量%が揮発する時間を、TG−DTA装置(セイコー電子工業株式会社製)を用いて測定する。
酢酸n−ブチルの90重量%蒸発時間を標準として、その蒸発速度を100とし、各溶剤の蒸発時間および下式から各溶剤単独の相対蒸発速度の値を算出する。溶剤が単独の場合は、この値を、本発明において、溶剤の蒸発速度とする。
(溶剤の蒸発速度)
=(酢酸n−ブチルの90重量%蒸発時間/試料溶剤の90重量%蒸発時間)
×100
溶剤が混合溶液の場合は、各溶剤単独の蒸発速度から次のように算出される。
(A溶剤とB溶剤からなる混合溶液の蒸発速度)
=(a×0.01X)+(b×0.01Y)
3種以上の溶剤の混合溶液であっても、同様にして蒸発速度が算出される。
なお、ここにいう溶剤には、前記シンナーのほか、シンナーで希釈する前に上塗塗料原液に含まれていた溶剤も含まれる。
上塗塗料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラニン樹脂、アクリルグラフトマレイン酸変性塩素化ポリプロピレン樹脂、マレイン酸変性塩素化ポリプロピレン樹脂等の樹脂類;着色顔料、光輝材、体質顔料等の顔料類;表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、黄変防止剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤等の添加剤を添加してもよい。
プライマー塗膜層の形成については、前記プライマー塗料原液をシンナーで希釈し、これを基材に塗装したのち、硬化させて行う。このとき使用されるシンナーとしては、特に限定されず、例えば、前記上塗塗料原液の希釈に使用できるシンナーとして挙げたものが使用できる。
プライマー塗膜層の硬化膜厚としては、20〜30μmが好ましく、硬化は、例えば、60〜100℃の温度で10〜60分焼付けて行う方法が挙げられる。
上塗塗膜層の硬化膜厚としては、20〜40μmが好ましく、硬化は、例えば、60〜100℃の温度で10〜60分焼付けて行う方法が挙げられる。
プライマー塗膜層および上塗塗膜層のいずれについても、その塗装方法は特に限定されず、例えば、エアスプレー、エアレススプレー等による塗装が挙げられる。
〔プライマー塗料原液および上塗塗料原液の製造例〕
下記のようにして、プライマー塗膜原液および上塗塗料原液を製造した。
<プライマー塗料原液>
プライマー塗料原液は、表1に示すプライマー塗料主剤と硬化剤を、表1に示す割合で均一に混合することで得るようにした。この場合、硬化剤としては、表2に示すものを用いた。表1において、「R263」は日本ビー・ケミカル社製の2液型ウレタンプライマー塗料主剤、「RB175」は日本ビー・ケミカル社製の1液ラッカー型プライマー塗料主剤であり、表2において、「デュラネートTHA−100」、「デュラネート24A−90CX」は旭化成社製の硬化剤である。
表1からわかるとおり、PR3とPR7はポリイソシアネート化合物の主剤に対する配合比率が、本発明にかかる複層膜形成方法および塗装物品に用いられるプライマー塗料原液が満たすべき構成の範囲から外れている。
上塗塗料原液は、以下のようにして、主剤用の材料を準備し、上塗塗料の主剤を得て作製した。
−アクリルポリオールの準備−
撹拌羽根、温度計、温度制御装置、滴下ロートおよび冷却管を備えた4つ口フラスコ内に、メチルイソブチルケトン271重量部を仕込んだ後、フラスコ内に窒素ガスを導入し、攪拌しながら90℃まで昇温した。
これに、スチレン、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、FM4(ダイセル社製)を表3に示す割合で混合したモノマー混合液、および、開始剤溶液(t−ブチルパーオクトエイト10重量部、キシレン194重量部)を3時間かけて滴下した後、30分間同温度を維持した。
得られたアクリルポリオールAC1は、不揮発成分が65重量%、ガラス転移点(Tg)が−20℃、水酸基価が140KOHmg/g、重量平均分子量が3万であった。
表4に示すメチルイソブチルケトン(2)以外の各原材料を予備混合した後、サンドグラインダーミルで30分間分散させ、これをメチルイソブチルケトン(2)で希釈し、顔料ペーストを得た。表4において、「モナーク1300」はキャボットスペシャルティケミカルズ社製の黒顔料、「AC1」は前記操作により得られたアクリルポリオールであり、「ユリアーノ2003」は荒川化学工業社製のウレタン結合含有ポリエステルポリオールである。
撹拌機を備えた容器に、表5に示す割合で、ウレタン結合含有ポリエステルポリオール(ユリアーノ2003、荒川化学工業社製)、アクリルポリオール(前記操作により得られたAC1)、無機艶消し剤(サイロイド7000、グレースジャパン社製)および沈降防止剤(デイスパロン6900−20X、楠本化成社製)を仕込み、分散させた後、撹拌しながら、ウレタン樹脂ビーズ(アートパールC−800BK、根上工業社製)もしくはアクリル樹脂ビーズ(アートパールG−800BK、根上工業社製)、顔料ペースト(前記操作により得られたPG1からPG3)、硬化触媒溶液および表面調整剤(BYK310、ビックケミージャパン社製)を順次仕込み、分散させ、最後に溶剤を添加して上塗塗料主剤を得た。この場合、硬化触媒溶液としては、ジブチル錫ジラウレート10重量部と酢酸ブチルエステル90重量部とを攪拌しながら混合することにより得た、不揮発成分10重量%の硬化触媒溶液を用いた。
ここで、表5におけるPG1からPG3は、前記操作により得られた顔料ペーストであるが、表4にも示したとおり、前記顔料ペーストはアクリルポリオール(B)を含むものであり、また、ウレタン結合含有ポリエステルポリオール(A)を含む場合もある。したがって、ウレタン結合を含むポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)の配合比率(A/B)を算出する場合には、主剤を作製する際に最初に仕込んだウレタン結合含有ポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)だけでなく、後に加えた顔料ペーストに含まれるウレタン結合含有ポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)も考慮する必要がある。
上記のようにして得た各上塗塗料主剤を、表6に示す割合で硬化剤と均一混合させて、上塗塗料原液を得た。この場合、硬化剤としては、住友バイエルウレタン社製の「デスモジュールTPLS2010」(不揮発分90重量%)を用いた。
表6からわかるとおり、T8,9は上塗塗料原液中のOH基とNCO基の当量比(OH/NCO)が1.6/1〜0.8/1の範囲内でない点、T10〜13は本発明にかかる複層膜形成方法および塗装物品に用いられる上塗塗料主剤が満たすべき構成の範囲から外れた前記t6〜t9を用いている点において、それぞれ本発明にかかる複層膜形成方法および塗装物品に用いられる上塗塗料原液が満たすべき構成の範囲から外れている。
上塗塗膜層形成に際しては、上塗塗料原液を、表7に示すシンナーを用いて、表8の配合で希釈して、上塗塗料を得るようにした。このときの上塗塗料中の溶剤の平均蒸発速度は表8に示すとおりであった。
表8からわかるとおり、TC8,9は希釈後の溶剤の蒸発速度が200〜400の範囲内でない点、TC10〜15は本発明にかかる複層膜形成方法および塗装物品に用いられる上塗塗料原液が満たすべき構成の範囲から外れた前記T8〜T13を用いている点において、それぞれ本発明にかかる複層膜形成方法および塗装物品に用いられる上塗塗料が満たすべき構成の範囲から外れている。
<ABS基材への複層膜形成>
表1に示すプライマー塗料原液PR1からPR3(熱硬化性樹脂を主剤として含むプライマー塗料原液)のそれぞれについて、酢酸ブチルエステル30重量部、エチル−3−エトキシプロピオネート20重量部、ソルベッソ100(エクソン社製)25重量部、キシレン25重量部からなるシンナーを用いて、NK−2カップで15秒(20℃)の粘度となるように希釈した。希釈後に得られた各プライマー塗料をそれぞれ、PRC1,PRC2,PRC3とする。
これに、表9,10に示す組み合わせに対応した上塗塗料を硬化塗膜30μmとなるようにスプレー塗装し、80℃で30分硬化させて、試験片を得た。
<ポリプロピレン(PP)への複層膜形成>
表1に示すプライマー塗料原液PR4からPR7(熱可塑性樹脂を主剤として含むプライマー塗料原液)のそれぞれについて、トルエン35重量部、ソルベッソ100(エクソン社製)15重量部、ソルベッソ150(エクソン社製)20重量部、メチルエチルケトン25重量部、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート5重量部からなるシンナーを用いて、NK−2カップで12秒(20℃)の粘度となるように希釈した。希釈後に得られた各プライマー塗料をそれぞれ、PRC4,PRC5,PRC6,PRC7とする。
これに、表9,10に示す組み合わせに対応した上塗塗料を硬化塗膜30μmとなるようにスプレー塗装し、80℃で30分硬化させて、試験片を得た。
表10からわかるとおり、比較例1,2はプライマー塗料が、比較例3〜10は上塗塗料が、それぞれ本発明にかかる複層膜形成方法および塗装物品に用いられる上塗塗料が満たすべき範囲から外れている。具体的には、比較例1,2は使用されたプライマー塗料原液におけるポリイソシアネート化合物の主剤に対する配合比率、比較例3,4は上塗塗料の溶剤蒸発速度、比較例5,6は使用された上塗塗料原液中のOH基とNCO基の当量比(OH/NCO)、比較例7は使用された上塗塗料主剤に無機艶消し剤が含有されていない点、比較例8は使用された上塗塗料主剤にアクリル樹脂ビーズを用いている点、比較例9,10は使用された上塗塗料原液に含まれるウレタン結合を含むポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)の配合比率(A/B)、がそれぞれ本発明にかかる複層膜形成方法および塗装物品が満たすべき構成を満たしていない。
上記のようにして得られた各試験片について、下記の判定基準により性能を評価した。その結果を、表9,10に併せて示す。
表9,10の記載から、本発明にかかる塗装物品である、実施例1〜11は、耐汗性、光沢むら、乾湿感、艶消し、耐候性、の全ての試験において、評価基準を満たしており、他方、比較例1〜10は、いずれかの試験において評価基準を満たさないものであり、実施例1〜11に対して品質の劣るものであることが分かる。
<耐汗性>
塗膜表面に10重量%乳酸水溶液と10重量%オレイン酸石油ベンジン溶液の混合溶液(混合割合は重量比で、乳酸水溶液:オレイン酸石油ベンジン溶液=1:1)0.2mLを滴下し、80℃で24時間放置した後の塗膜表面の状態を目視観察した。
×:塗膜のフクレやシワなどの異常が認められる。
<光沢むら>
上記〔試験片の作製〕に準じて、300mm×300mm×3mmの試験片を別途作製し、光沢むらの有無を目視観察した。
○:試験片の表面全体に、光沢むらは認められない。
×:試験片の表面全体に、著しい光沢むらが認められる。
<乾湿感>
塗膜表面を手で触り、ゴム表面の触感に近いか否かを評価した。
×:ゴム表面に近い触感はない。
<艶消し>
マイクログロスメーター(60度光沢計、ビーワイケー・ガードナー・インストルメント社製)を用いて光沢値を測定した。
○:60度光沢値が3以下である。
×:60度光沢値が3を超えている。
<耐候性>
83℃×600Hの条件でフェードメーター(スガ試験機器株式会社製)を用い、色差と光沢変動率(G.R.)を測定した。
×:色差が2.5を超えるか、または、G.R.が65%未満である。
Claims (4)
- 基材上に、プライマー塗膜層と上塗塗膜層を順次形成する複層膜の形成方法において、
前記プライマー塗膜層の形成に使用されるプライマー塗料原液も、前記上塗塗膜層の形成に使用される上塗塗料原液も、ポリイソシアネート化合物を硬化剤とする2液型の塗料原液であって、
前記プライマー塗料原液におけるポリイソシアネート化合物の配合比率が、固形分重量基準で、主剤100部に対しポリイソシアネート化合物5〜40部であり、
前記上塗塗料原液は、主剤がポリオール樹脂、無機艶消し剤およびウレタン樹脂ビーズを含み、前記ポリオール樹脂がウレタン結合を含むポリエステルポリオール(A)とアクリルポリオール(B)からなり、両者の配合比率(A/B)が固形分重量比で90/10〜70/30であるとともに、上塗塗料原液中のOH基とNCO基の当量比(OH/NCO)が1.6/1〜0.8/1であり、
前記上塗塗膜層形成のための塗装は、希釈後の溶剤の蒸発速度が200〜400となるよう上塗塗料原液をシンナーで希釈しておいて行う、
ことを特徴とする、複層膜形成方法。 - 前記プライマー塗料原液は、主剤がポリオール樹脂を含む熱硬化性樹脂であり、ポリイソシアネート化合物の配合比率が、固形分重量基準で、主剤100部に対しポリイソシアネート化合物25〜40部であり、プライマー塗料原液中のOH基とNCO基の当量比(OH/NCO)が1.25/1〜1/1.25である、請求項1に記載の複層膜形成方法。
- 前記プライマー塗料原液は、主剤がポリオール樹脂を含む熱可塑性樹脂であり、ポリイソシアネート化合物の配合比率が、固形分重量基準で、主剤100部に対しポリイソシアネート化合物5〜13部である、請求項1に記載の複層膜形成方法。
- 請求項1から3までのいずれかに記載の複層膜形成方法でプライマー塗膜層と上塗塗膜層が形成されている塗装物品。
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