JP2006321863A - 自動車内装用水性塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】好触感で耐擦り傷性に優れた塗膜を形成できる自動車内装用水性塗料組成物を提供する。
【解決手段】(A)水酸基含有水性樹脂、(B)樹脂ビーズ、(C)カーボンブラック及び(D)架橋剤を含有する水性塗料組成物であって、該樹脂ビーズ(B)の含有量が、(A)及び(D)成分の合計固形分100質量部に対して5〜120質量部で、且つ該カーボンブラック(C)の含有量が、(A)及び(D)成分の合計固形分100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする自動車内装用水性塗料組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(A)水酸基含有水性樹脂、(B)樹脂ビーズ、(C)カーボンブラック及び(D)架橋剤を含有する水性塗料組成物であって、該樹脂ビーズ(B)の含有量が、(A)及び(D)成分の合計固形分100質量部に対して5〜120質量部で、且つ該カーボンブラック(C)の含有量が、(A)及び(D)成分の合計固形分100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする自動車内装用水性塗料組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、好触感で耐擦り傷性に優れた塗膜を形成できる自動車内装用水性塗料組成物に関する。
自動車のインストルメントパネル、センターコンソール、ダッシュボード、ドアトリムなどの内装部品には、重厚感や高級感などの意匠性の点から、また運転者への防眩性の点から、通常、艶消し塗料が塗装されている。例えば特許文献1では、シリカなどの無機系粒子を艶消し剤として用いたコーティング組成物が開示されており、特許文献2では、アクリル樹脂ビーズを主剤塗料中に有する軟質系2液型ウレタン 塗料を、自動車用プラスチック部品に塗装することにより、プラスチック表面に触感及び外観を皮革調とする塗膜を形成する表面改質方法が提案されており、また特許文献3では、スエード調の外観を有する塗膜を形成するために、ポリウレタン樹脂微粒子を用いたコーティング用組成物が提案されている。
近年、これらの艶消塗膜には、さらに好触感であることが求められているが、シリカ、炭酸カルシウムなどの無機系粒子やアクリル樹脂微粉末などを艶消し剤とする艶消し塗料では、得られる塗膜が硬く弾性に欠けるため、“ぬめり感(しっとり感)”に欠けるものであり、またポリウレタン樹脂微粉末を用いた艶消し塗膜では弾性は有しているが、塗膜表面が凸凹になり、ざらざらとして表面の平滑性に欠けるという問題があった。そこで、例えば特許文献4では、好触感塗膜を形成するために、ラノリン誘導体とポリウレタン樹脂微粒子からなり、ラノリン誘導体の良溶媒で洗浄してもラノリン誘導体が除去できないラノリン付着ポリウレタン樹脂微粒子を用いた艶消し塗料が提案されている。
しかしながら上記のような特殊なウレタン樹脂微粒子を用いた場合には、形成される塗膜面が耐磨耗性や爪などによる耐擦り傷性に劣るという不具合があった。
本発明の目的は、高触感で耐擦り傷性に優れた塗膜を形成できる自動車内装用水性塗料組成物を提供することにある。
本発明者らが鋭意検討した結果、水性塗料において樹脂ビーズ及びカーボンブラックを特定量配合することによって上記目的に達し得ることを見出し本発明に至った。
即ち本発明は、(A)水酸基含有水性樹脂、(B)樹脂ビーズ、(C)カーボンブラック及び(D)架橋剤を含有する水性塗料組成物であって、該樹脂ビーズ(B)の含有量が、(A)及び(D)成分の合計固形分100質量部に対して5〜120質量部で、且つ該カーボンブラック(C)の含有量が、(A)及び(D)成分の合計固形分100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする自動車内装用水性塗料組成物、該水性塗料組成物を、自動車内装部材面に塗装することを特徴とする塗装方法、及び該塗装方法により形成される塗装物品に関する。
本発明の水性塗料組成物によれば、樹脂ビーズ及びカーボンブラックを特定量配合することによって、高触感で耐擦り傷性に優れた艶消し塗膜を自動車内装部材面に形成できる。
本発明において水酸基含有水性樹脂(A)は、通常、分子中に2個以上の水酸基を有する水溶性もしくは水分散型の樹脂であって、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素系樹脂、これら樹脂のグラフト体などが挙げられ、これらのうち、特にアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる少なくとも1種が好適である。
上記水性のアクリル樹脂は、通常、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー等の親水性基含有重合性不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマー、及びその他の重合性不飽和モノマーからなる混合物を共重合してなる、重量平均分子量5000〜80000の水溶性アクリル樹脂、或いは重量平均分子量50000以上のアクリル樹脂エマルションが挙げられる。かかるアクリル樹脂の重量平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィにより測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算したときの値である。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ装置には「HLC8120GPC」(東ソー(株)社製、商品名)が使用でき、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィに用いるカラムとしては、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を使用する。
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びこのうちのジカルボン酸のハーフモノアルキルエステル化物などが挙げられ、これ以外の親水性基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えばポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレン鎖含有重合性不飽和モノマー;2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルスルホン酸などのスルホン酸基含有重合性不飽和モノマーなどが挙げられる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステルなどが挙げられ、これらは単独で又は2種以上使用できる。
その他の重合性不飽和モノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−、i−、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、塩化ビニル、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートなどが挙げられ、これらは単独で又は2種以上使用できる。
上記モノマー混合物の共重合は、公知の方法が特に制限なく採用され、例えば水溶性アクリル樹脂は溶液重合法などによって、またアクリル樹脂エマルションは乳化重合法などによって行なうことができる。
上記水性アクリル樹脂が、特に乳化重合によって得られるアクリル樹脂エマルションである場合には、水及び乳化剤の存在下に単量体混合物を用いて多段階で乳化重合して得られる多層構造粒子状のエマルションであってもよい。
上記水性アクリル樹脂のカルボキシル基は、必要に応じて塩基性物質を用いて中和される。塩基性物質としては、水溶性であることが好ましく、例えばアンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モルホリン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノールなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上使用できる。
水性のポリエステル樹脂は、多価アルコール及び多塩基酸、さらに必要に応じて一塩基酸、油成分(この脂肪酸も含む)などを用いてエステル化反応させることによって調製されるオイルフリーもしくは油変性のポリエステル樹脂を中和することによって得られる。このポリエステル樹脂の重量平均分子量は約3000〜100000、好ましくは5000〜30000の範囲内が適当である。かかるポリエステル樹脂の重量平均分子量は、上記アクリル樹脂の重量平均分子量と同様の方法にて測定することができる。
多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノール化合物のエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物などが挙げられ、これらは1種又は2種以上使用できる。多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物などが挙げられ、これらは1種又は2種以上使用できる。また一塩基酸としては、例えば安息香酸やt−ブチル安息香酸などが挙げられ、油成分としては、例えばヒマシ油、脱水ヒマシ油、サフラワー油、大豆油、あまに油、トール油、ヤシ油及びこれらの脂肪酸などが挙げられ、これらは1種又は2種以上使用できる。
上記ポリエステル樹脂において、カルボキシル基を導入するには、例えば1分子中に3個以上のカルボキシル基を有するトリメリット酸やピロメリット酸などの多塩基酸を併用したり、ジカルボン酸をハーフエステル付加することによって行なうことができ、水酸基の導入の場合には、例えば1分子中に3個以上の水酸基を有するグリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールを併用することによって容易に行なうことができる。
上記ポリエステル樹脂のカルボキシル基の中和は前述の塩基性物質を用いて行なうことができる。
水性のポリウレタン樹脂は、通常、乳化剤の存在下、あらかじめポリオールとポリイソシアネート、さらに必要に応じて鎖伸長剤等を反応させて得られるものであり、プレポリマーを水中に分散させながら、強制または自己乳化して得られるディスパージョンなどが挙げられる。
上記水酸基含有水性樹脂(A)は、該樹脂固形分中の水酸基含有量が1.0〜4.0質量%、好ましくは1.2〜2.0質量%の範囲内であることが、形成塗膜の硬化性の点から望ましい。尚、本発明における水酸基含有量は、JIS−K0070に基づいて計算した値である。
本発明において樹脂ビーズ(B)としては、例えばアクリル樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズ、ポリエステル樹脂ビーズ、ポリアミド樹脂ビーズ、ポリスチレン樹脂ビーズ、ポリエチレン樹脂ビーズ、ナイロン樹脂ビーズなどが挙げられ、これらのうちウレタン樹脂ビーズが形成塗膜の触感、特にぬめり感(しっとり感)の点から好適に使用できる。
上記ウレタン樹脂ビーズとしては、特に制限なく従来公知の方法で得られるものが使用でき、その方法としては、例えば分散剤を含有する水中に分散されたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、伸長剤および必要により反応停止剤、架橋剤を反応させ、脱水、乾燥させる方法や、ポリオールとポリイソシアネートを非水溶媒中で反応させてプレポリマー溶液を得た後、さらに反応停止剤を溶媒中で反応させ、該溶液を分散剤を含有する水中に分散させた後、減圧下に溶媒を留去し脱水・乾燥させる方法、等が挙げられる。
上記樹脂ビーズ(B)は、形成塗膜のしっとり感の点から、平均粒子径が1〜50μm、好ましくは2〜10μmの範囲内であることが望ましい。ここで平均粒子径は、レーザー回折散乱法によって測定される体積基準粒度分布のメジアン径(d50)であって、例えば日機装社製のマイクロトラック粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
上記樹脂ビーズ(B)の含有量は、前記(A)及び後記(D)成分の合計固形分100質量部に対して5〜120質量部、好ましくは25〜85質量部の範囲である。この範囲外では、形成塗膜の触感や平滑性が不十分となるので、好ましくない。
本発明においてカーボンブラック(C)は、着色だけでなく、塗膜表面のしっとり感や耐擦り傷性向上のために配合されるものであり、特に制限なく従来公知のものを使用することができ、例えばチャンネルブラック、ランプブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。特にケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを用いると、形成塗膜の耐擦り傷性の点から好適である。該導電性カーボンブラック顔料としては、例えば、「バルカンXC−72」(キャボット社製、商品名)、「コンダクテック」(コロンビアカーボン社製、商品名)、「ケッチェンブラックEC」(ライオンアクゾ社製、商品名)などが挙げられる。
上記カーボンブラック(C)の含有量は、前記(A)及び後記(D)成分の合計固形分100質量部に対して10〜60質量部、好ましくは15〜45質量部の範囲である。この範囲外では形成塗膜の耐擦り傷性や平滑性が不十分となるので、好ましくない。
本発明において架橋剤(D)は、通常、上記(A)成分中の水酸基と反応し得る、アミノ樹脂及び/又は(ブロック)ポリイソシアネートであることが望ましい。
上記アミノ樹脂としては、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などが挙げられ、なかでもメラミン樹脂が好適である。メラミン樹脂としては、特にメチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシルなどのアルキル基でエーテル化されたアルキルエーテル化メラミン樹脂が好ましく、疎水性又は親水性のいずれであってもよい。これらのメラミン樹脂は、メチロール基、イミノ基などを有していてもよい。
上記(ブロック)ポリイシソアネートは、1分子中に2個以上の遊離のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、又は該ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブロック剤でブロックしたものである。
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類;これらの脂肪族ポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−(もしくは−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(もしくは1,4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類;これらの脂環族ジイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4´−トルイジンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルエーテルジイソシアネート、(m−もしくはp−)フェニレンジイソシアネート、4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;これらの芳香族ジイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;水添MDI及び水添MDIの誘導体;トリフェニルメタン−4,4´,4´´−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4´−ジメチルジフェニルメタン−2,2´,5,5´−テトライソシアネートなどの1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;これらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物;これらのウレタン化付加物のビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物等を挙げることができる。
またブロック剤としては、例えば、フェノール系、ラクタム系、アルコール系、エーテル系、グリコール酸エステル系、乳酸エステル系、オキシム系、活性メチレン系、メルカプタン系、イミダゾール系などが挙げられる。これらのうち、特に活性メチレン系のブロック剤によるブロックポリイソシアネートが好適である。
本発明では、必要に応じて上記(ブロック)ポリイソシアネートとして水分散性を付与した(ブロック)ポリイソシアネートを用いても良い。水分散性を付与した(ブロック)ポリイソシアネートとしては、例えば、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をヒドロキシモノカルボン酸類を含むブロック剤でブロックし、ヒドロキシモノカルボン酸類により導入されたカルボキシル基を中和することによって水分散性を付与したブロック化ポリイソシアネートや、さらに界面活性剤などの添加、或いは反応させることによって水分散化したものなどが包含される。
上記架橋剤(D)の含有量は、上記(A)成分の合計固形分100質量部に対して3〜40質量部、好ましくは5〜20質量部の範囲内であることが、(A)成分との相溶性や、形成塗膜の硬化性、付着性、耐水性等の点から好適である。
本発明組成物は、形成塗膜の防眩性向上の点から、微粉末シリカ及び/又はノイブルグ珪土を含有することが好適である。微粉末シリカとしては、特に制限はなく従来公知の乾式法、湿式法等によって製造された、平均粒子径が1〜30μm、好ましくは2〜15μmのものが使用でき、水やアルコール系溶媒に分散されたコロイダルシリカの形態であっても良い。ノイブルグ珪土(Neuburger Kieselerde)は、主にドイツのババリヤ地方で産出する六角板状粒子のカオリナイトと球状石英粒子からなる天然鉱物であり、透過型電子顕微鏡で約0.1〜20μmの六角板状粒子のカオリナイトと約0.1〜10μmの球状石英粒子が観察され、平均粒子径は1〜10μm、化学組成はSiO2分82〜91質量%、Al2O3分5〜11質量%である。本発明ではこの原料粉末をボールミル、アトライター、サンドグラインダー、パールミルなどの粉砕装置で平均粒子径が1〜10μm、好ましくは1.5〜5μmまで湿式又は乾式粉砕されたものを使用することが好適である。
上記微粉末シリカ及び/又はノイブルグ珪土の含有量は、塗料中の樹脂固形分100質量部に対して1〜30質量部、好ましくは1〜10質量部の範囲であることが、形成塗膜の防眩性や高触感付与の点から望ましい。
本発明の塗料組成物は、さらに必要に応じて上記カーボンブラック、微粉末シリカ及びノイブルグ珪土以外の顔料を含有することができる。該顔料としては、例えば着色顔料、光輝顔料;体質顔料などが挙げられ、これらは単独で又は2種以上併用して使用できる。
本発明組成物には、さらに必要に応じて、硬化触媒、レオロジーコントロール剤、消泡剤、有機溶剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整剤などの塗料用添加剤等を適宜含有することができる。
上記の通り得られる本発明の塗料組成物は、自動車内装部材面に塗装することができる。自動車内装部材としては、例えば、インストルメントパネル(インパネ)、ドアトリム、コンソールパネル、センタークラスター、スイッチパネル、メーターフード、シフトノブ)など、通常用いられている各種プラスチック成形品に必要に応じて表面処理、下塗り塗装、中塗り塗装などを行ったもの、これらのものが組み合わさった複合部材などが挙げられる。プラスチック成型品の材質としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
上記本発明組成物の塗装は、自動車内装部材面に対し、乾燥膜厚で10〜60μm、好ましくは30〜50μmの範囲内となるように、エアスプレー、エアレススプレー、浸漬塗装、刷毛などを用いて行なうことができる。得られた塗膜面は60〜90℃程度で20〜40分間加熱することで良好な触感を有する塗膜を形成できる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、別記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
実施例1〜4及び比較例1〜2
表1に記載の配合組成に従って容器に配合し、混合・攪拌して固形分約50%の各水性塗料組成物を作成した。尚、表1は固形分表示であり、表1中における(注1)〜(注7)は下記の通りである。
表1に記載の配合組成に従って容器に配合し、混合・攪拌して固形分約50%の各水性塗料組成物を作成した。尚、表1は固形分表示であり、表1中における(注1)〜(注7)は下記の通りである。
(注1)水酸基含有ポリウレタン樹脂エマルション:商品名「Bayhydrol XP2429」、住友バイエルウレタン社製、水酸基含有量1.5%、固形分55%
(注2)架橋剤:商品名「bayhydur3100」、住化バイエルウレタン社製、ポリイソシアネート化合物、固形分100%
(注3)ウレタン樹脂ビーズ:商品名「アートパールP800T」、根上工業社製、平均粒子径2〜3μm
(注4)アクリル樹脂ビーズ:商品名「アートパールJ−7P」、根上工業社製、平均粒子径約6μm
(注5)カーボンブラック:商品名「三菱カーボンブラックMA100」、三菱化学社製、導電性カーボンブラック
(注6)コロイダルシリカ:商品名「ACEMATT OK412」、デグサジャパン社製、平均粒子径約3μm
(注7)ノイブルグ珪土:商品名「シリチンZ86」、ホフマンミネラル社製、平均粒子径約2μm
(注2)架橋剤:商品名「bayhydur3100」、住化バイエルウレタン社製、ポリイソシアネート化合物、固形分100%
(注3)ウレタン樹脂ビーズ:商品名「アートパールP800T」、根上工業社製、平均粒子径2〜3μm
(注4)アクリル樹脂ビーズ:商品名「アートパールJ−7P」、根上工業社製、平均粒子径約6μm
(注5)カーボンブラック:商品名「三菱カーボンブラックMA100」、三菱化学社製、導電性カーボンブラック
(注6)コロイダルシリカ:商品名「ACEMATT OK412」、デグサジャパン社製、平均粒子径約3μm
(注7)ノイブルグ珪土:商品名「シリチンZ86」、ホフマンミネラル社製、平均粒子径約2μm
塗装板の作成
ポリプロピレン板(脱脂処理済み)に、プライマー塗料(「ソフレックス3210」、関西ペイント社製、塩素化ポリオレフィン系塗料)を粘度15秒/フォードカップ#4/20℃に粘調し乾燥膜厚で5〜10μmになるようにエアスプレー塗装を行ない、80℃で30分間加熱した後、次いでその硬化塗面に上記の通り作成した実施例及び比較例の各水性塗料を脱イオン水で粘度25〜30秒/フォードカップ#4/20℃に粘調し乾燥膜厚が25〜30μmになるようにエアスプレー塗装を行なって、80℃で30分間加熱し硬化させ、各塗装板を得た。
ポリプロピレン板(脱脂処理済み)に、プライマー塗料(「ソフレックス3210」、関西ペイント社製、塩素化ポリオレフィン系塗料)を粘度15秒/フォードカップ#4/20℃に粘調し乾燥膜厚で5〜10μmになるようにエアスプレー塗装を行ない、80℃で30分間加熱した後、次いでその硬化塗面に上記の通り作成した実施例及び比較例の各水性塗料を脱イオン水で粘度25〜30秒/フォードカップ#4/20℃に粘調し乾燥膜厚が25〜30μmになるようにエアスプレー塗装を行なって、80℃で30分間加熱し硬化させ、各塗装板を得た。
得られた各塗装板を、下記の性能試験に供した。結果を表1に併せて示す。
(*1)光沢(60°グロス):各塗装板について、塗膜面の光沢を、JIS K 5600 4−7 鏡面光沢度の試験方法に準じて測定した。
(*2)しっとり感:各塗装板の塗膜面を指で触り、下記基準で評価した。
○:しっとり感に優れる
○△:やや劣るが、実用範囲内
△:僅かにしっとり感がある
×:しっとり感がない
○△:やや劣るが、実用範囲内
△:僅かにしっとり感がある
×:しっとり感がない
(*3)耐擦傷性:各塗装板の塗膜面を爪で引掻き、傷跡の有無によって耐爪引掻き性を評価し、また学振式摩擦堅牢度試験機を用いて、摩擦子の接触面に「ベンコット」(旭化成社製、商品名)を固定させ、荷重500g、200回往復で摩擦後の塗膜面の耐摩擦堅牢性を評価した。評価基準は下記の通りである。
(耐爪引掻き性)
○:爪による傷跡を判別し難い
×:爪による傷跡が明確に判別できる
(耐摩擦堅牢性)
○:塗膜異常を判別し難い
×:塗膜異常が著しく認められる
○:爪による傷跡を判別し難い
×:爪による傷跡が明確に判別できる
(耐摩擦堅牢性)
○:塗膜異常を判別し難い
×:塗膜異常が著しく認められる
(*4)密着性:各塗装板の塗膜面に素地に達するようにカッターで切り込み線を入れ、大きさ2mm×2mmのマス目を100個作り、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそれを急激に剥離した後のマス目の残存塗膜数を調べた。全く剥離なしを○、1マス以上剥がれたものを×とした。
(*5)平滑性:各塗装板について、塗膜面の平滑性を目視で観察し、下記基準で評価した。
○:良好
△:やや劣る
×:非常に劣る
△:やや劣る
×:非常に劣る
Claims (8)
- (A)水酸基含有水性樹脂、(B)樹脂ビーズ、(C)カーボンブラック及び(D)架橋剤を含有する水性塗料組成物であって、該樹脂ビーズ(B)の含有量が、(A)及び(D)成分の合計固形分100質量部に対して5〜120質量部で、且つ該カーボンブラック(C)の含有量が、(A)及び(D)成分の合計固形分100質量部に対して10〜60質量部であることを特徴とする自動車内装用水性塗料組成物。
- 水酸基含有水性樹脂(A)が、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の水性塗料組成物。
- 樹脂ビーズ(B)が、ウレタン樹脂ビーズである請求項1記載の水性塗料組成物。
- カーボンブラック(C)が、導電性カーボンブラックである請求項1記載の水性塗料組成物。
- さらに微粉末シリカ及び/又はノイブルグ珪土を含有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
- 自動車内装部材面に、上記請求項1ないし5のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗装方法。
- 自動車内装部材がプラスチック成形品である請求項6記載の塗装方法。
- 請求項6又は7記載の塗装方法により形成される塗装物品。
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