JP4756292B2 - スピロケタール化合物の開環重合体、その製造法及びこの開環重合体を用いた組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子、電気及び光分野において用いられる成形材料、注型材料、封止材、積層板又は接着剤用の材料として好適なスピロケタール化合物の開環重合体、その製造法及びこの開環重合体を用いた組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱硬化性樹脂を成形材料、注型材料、封止材、積層板又は接着剤用の材料として用いる場合、その硬化時の体積収縮が精度や接着力の低下、歪等の原因となる。
スピロケタールの類似化合物であるスピロオルトカーボナートやスピロオルトエステルが重合時に体積膨張することが報告されており(T. Takataら, Progress Polymer Science 第18巻第839頁,1993年、三田文雄ら,色材第67巻第250頁,1994年)、特にエポキシ基を有するスピロオルトカーボナートでは重合時の体積変化が極めて小さいことが報告されている(T. Takasakiら,Polymer Preprints 第40巻第82頁,1999年)。そのため、スピロモノマーが非収縮性モノマーとしてその応用が期待されているが、これらの重合によって得られる重合体はカーボナート基やエステル基を有するため、耐加水分解性が低下するという問題点があった。
一方、スピロケタール化合物としては、2,7−ジエチル−1,6−ジオキサスピロ[4.4]ノナン、2−エチル−8−メチル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,7−ジメチル−1,6−ジオキサスピロ[4.6]ウンデカン等のアルキル基を有する化合物(Francoise Perronら,Chemical.Review第89巻第1617-1661頁,1989年)、4−ヒドロキシ−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、4,8−ジヒドロキシ−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,4−ジヒドロキシ−9−ヒドロキシメチル−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のアルコキシ基を有する化合物(Francoise Perronら,Chemical.Review 第89巻第1617-1661頁,1989年)、アルキリデン基を有する化合物(Bohlmann F.ら,Chemische Berichte 第97巻第801頁,1964年)、2−エトキシカルボニル−7−(2’−ヒドロキシ−1’−メチルエチル)−9−ベンジルオキシ−1,6−ジオキサスピロ[4.6]ウンデカン、2−エトキシカルボニルメチル−4−ヒドロキシ−1,7−ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のエステル基を有する化合物(Ireland R. E.ら,Journal of the Chemical Society 第107巻第3271頁,1985年、Schow S. R.ら,Journal of the American Chemical Society 第108巻第2662頁,1986年)などが知られているが、スピロケタール化合物をポリマーに応用した例は少なく、ポリ[スピロ−2,5−(テトラヒドロフラン)](Zhaozhong Jiangら,Journal of the American Chemical Society 第117巻第4455-4467頁,1995年、Silvia Di Benedettoら,Helvetica Chimica Acta 第80巻第7号第2204-2214頁,1997年、Pui Kwan Wongら,Industrizal & Engineering Chemistry Research 第32巻第986-988頁,1993年、Antonio Batistiniら,Organometallics 第11巻第5号第1766-1769頁,1992年)、ポリ(2,2−ジプロパルギル−1,3−プロピレンケタール)(Soon-ki Kwonら,Journal of Polymer Science Part A Polymer Chemistry 第33巻第13号第2135-2140頁,1995年)等の合成例が報告されているが、上記のスピロケタール化合物の重合体は報告されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、重合による体積変化が小さく、かつ耐加水分解性を有する重合体、その製造法及びその重合体を用いた組成物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、加水分解性基を持たない特定のスピロケタール化合物を開環重合することによって、重合による体積変化の小さい重合体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(I)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体、
【化6】
(ここで、X1、X2は酸素原子及び硫黄原子から独立して選ばれ、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。k、lは1の整数を示し、m、nはそれぞれ独立に1〜6の整数を示す。R 1 は全て同一でも異なっていてもよく、R 2 は全て同一でも異なっていてもよい。p、qは0又は1以上の整数を示し、少なくともいずれかは1以上の整数である。)
(2)一般式(I)中のmが3でかつnが5である上記(1)記載の開環重合体、
(3)一般式(I)中のX1及びX2が酸素原子である上記(1)又は(2)記載の開環重合体、
(4)下記一般式(II)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体、
【化7】
(ここで、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。p、qは0又は1以上の整数を示し、少なくともいずれかは1以上の整数である。)
(5)一般式(II)中のR1が水素原子である上記(4)記載の開環重合体、及び
(6)下記一般式(III)で示されるスピロケタール化合物を開環重合させることを特徴とする上記(1)記載の開環重合体の製造法、
【化8】
(ここで、X1、X2は酸素原子及び硫黄原子から独立して選ばれ、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。k、lは1の整数を示し、m、nはそれぞれ独立に1〜6の整数を示す。R 1 は全て同一でも異なっていてもよく、R 2 は全て同一でも異なっていてもよい。)
(7)下記一般式(IV)で示されるスピロケタール化合物を開環重合させることを特徴とする上記(2)記載の開環重合体の製造法、
【化9】
(ここで、X1、X2は酸素原子及び硫黄原子から独立して選ばれ、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。k、lはそれぞれ1の整数を示す。R 1 は全て同一でも異なっていてもよく、R 2 は全て同一でも異なっていてもよい。)
(8)一般式(III)中のX1及びX2が酸素原子であるスピロケタール化合物又は一般式(IV)中のX1及びX2が酸素原子であるスピロケタール化合物を開環重合させることを特徴とする上記(3)記載の開環重合体の製造法、
(9)下記一般式(V)で示されるスピロケタール化合物を開環重合させることを特徴とする上記(4)記載の開環重合体の製造法、
【化10】
(ここで、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。)
(10)一般式(V)中のR1が水素原子であるスピロケタール化合物を開環重合させることを特徴とする上記(5)記載の開環重合体の製造法、並びに
(11)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の開環重合体を必須成分として含有してなる組成物に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の下記一般式(I)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体は、主鎖骨格中に次の構成要素(a)と構成要素(b)をランダムに含むもの、交互に含むもの、規則的に含むもの、ブロック状に含むもの、構成要素(a)のブロックと構成要素(b)のブロックをランダムに含むもの、交互に含むもの、規則的に含むもの、ブロック状に含むものを1種以上含むもの等が挙げられ、構成要素(a)と構成要素(b)のいずれか単独で構成されるものを含んでいてもよい。中でも、構成要素(a)と構成要素(b)をランダムに含むものを主成分とする開環重合体が好ましい。
【化11】
(ここで、X1、X2は酸素原子及び硫黄原子から独立して選ばれ、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。k、lは1の整数を示し、m、nはそれぞれ独立に1〜6の整数を示す。R 1 は全て同一でも異なっていてもよく、R 2 は全て同一でも異なっていてもよい。p、qは0又は1以上の整数を示し、少なくともいずれかは1以上の整数である。)
【化12】
(ここで、X1、X2は酸素原子及び硫黄原子から独立して選ばれ、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。k、lは1の整数を示し、m、nはそれぞれ独立に1〜6の整数を示す。R 1 は全て同一でも異なっていてもよく、R 2 は全て同一でも異なっていてもよい。)
【0007】
上記一般式(I)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体の分子量(重合度)、及び開環重合体中の構成要素(a)と構成要素(b)の構成モル比p/qは、使用目的に応じて適宜調整することができる。
【0008】
本発明の上記一般式(I)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体は、下記一般式(III)で示されるスピロケタール化合物を開環重合させることによって製造することができる。
【化13】
(ここで、X1、X2は酸素原子及び硫黄原子から独立して選ばれ、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。k、lは1の整数を示し、m、nはそれぞれ独立に1〜6の整数を示す。R 1 は全て同一でも異なっていてもよく、R2 は全て同一でも異なっていてもよい。)
【0009】
上記一般式(III)中のR1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれるが、なかでも、合成の容易さの観点からは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−へプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の直鎖状アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、イソへプチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基等の側鎖状アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等の環状アルキル基などが挙げられ、なかでもメチル基及びエチル基が好ましい。R1、R2は同一でも異なっていてもよい。また、同様の観点から上記一般式(III)中のk、lはともに1であることが好ましい。
【0010】
上記一般式(I)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体のなかでも、式中のmが3でかつnが5である下記一般式(VI)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体、及びX1、X2がともに酸素原子である下記一般式(VII)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体が好ましく、上記一般式(I)中のX1、X2がともに酸素原子で、k、lがともに1、mが3、nが5である下記一般式(II)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体がより好ましい。
【化14】
(ここで、X1、X2は酸素原子及び硫黄原子から独立して選ばれ、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。kは1の整数、lは1整数を示す。R 1 は全て同一でも異なっていてもよく、R 2 は全て同一でも異なっていてもよい。p、qは0又は1以上の整数を示し、少なくともいずれかは1以上の整数である。)
【化15】
(ここで、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。k、lは1の整数を示し、m、nはそれぞれ独立に1〜6の整数を示す。R 1 は全て同一でも異なっていてもよく、R 2 は全て同一でも異なっていてもよい。p、qは0又は1以上の整数を示し、少なくともいずれかは1以上の整数である。)
【化16】
(ここで、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。p、qは0又は1以上の整数を示し、少なくともいずれかは1以上の整数である。)
【0011】
上記一般式(I)中のmが3でかつnが5である上記一般式(VI)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体としては、例えば、下記一般式(VIII)〜(XIX)で示される化合物等が挙げられる。
【化17】
【化18】
(ここで、上記一般式(VIII)〜(XIX)のp、qは0又は1以上の整数を示し、少なくともいずれかは1以上の整数である。)
【0012】
上記一般式(I)中のmが3でかつnが5である上記一般式(VI)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体は、下記一般式(IV)で示されるスピロケタール化合物を開環重合させることにより製造することができる。
【化19】
(ここで、X1、X2は酸素原子及び硫黄原子から独立して選ばれ、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。k、lはそれぞれ1の整数を示す。R 1 は全て同一でも異なっていてもよく、R 2 は全て同一でも異なっていてもよい。)
上記一般式(IV)で示されるスピロケタール化合物としては、例えば、下記一般式(XX)〜(XXXV)で示される化合物等が挙げられる。
【化20】
【0013】
上記一般式(I)中のX1、X2がともに酸素原子である上記一般式(VII)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体としては、例えば、上記一般式(XII)〜(XIX)で示される化合物及び下記一般式(XXXVI)〜(XXXXVII)で示される化合物等が挙げられる。
【化21】
【化22】
(ここで、上記一般式(XXXVI)〜(XXXXVII)のp、qは0又は1以上の整数を示し、少なくともいずれかは1以上の整数である。)
【0014】
上記一般式(I)中のX1、X2がともに酸素原子である上記一般式(VII)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体は、上記一般式(III)中のX1及びX2が酸素原子であるスピロケタール化合物又は上記一般式(IV)中のX1、X2がともに酸素原子であるスピロケタール化合物を開環重合させることにより製造することができる。
上記一般式(III)中のX1、X2が酸素原子であるスピロケタール化合物又は上記一般式(IV)中のX1、X2がともに酸素原子であるスピロケタール化合物としては、例えば、上記一般式(XXVIII)〜(XXXV)で示される化合物及び下記一般式(XXXXVIII)〜(XXXXXIX)で示される化合物等が挙げられる。
【化23】
【0015】
上記一般式(I)中のX1、X2がともに酸素原子で、k、lがともに1、mが3、nが5である上記一般式(II)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体としては、例えば、上記一般式(XII)〜(XIX)で示される化合物等が挙げられる。なかでも、一般式(XII)、(XV)、(XVII)等で示される、上記一般式(II)中のR1が水素原子であるスピロケタール化合物の開環重合体が好ましい。
【0016】
上記一般式(I)中のX1、X2がともに酸素原子で、k、lがともに1、mが3、nが5である上記一般式(II)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体は、下記一般式(V)で示されるスピロケタール化合物を開環重合させることにより製造することができ、上記一般式(II)中のR1が水素原子であるスピロケタール化合物の開環重合体は、下記一般式(V)中のR1が水素原子であるスピロケタール化合物を開環重合させることにより製造することができる。
【化24】
(ここで、R1、R2は水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルキリデン基、炭素数1〜10のアルコキシ基及び炭素数1〜10のエステル基から独立して選ばれる。)
上記一般式(V)で示されるスピロケタール化合物としては、例えば、上記一般式(XXVIII)〜(XXXV)で示される化合物等が挙げられ、上記一般式(V)中のR1が水素原子であるスピロケタール化合物としては、例えば、上記一般式(XXVIII)〜(XXX)で示される化合物等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(III)で示されるスピロケタール化合物は、例えば、Roberto Balliniらの方法(Tetrahedron第46巻第21号第7531-7538頁、1990年)により、合成することができる。
【0018】
上記一般式(III)で示されるスピロケタール化合物を開環重合させる方法としては、目的の開環重合体が得られれば特に制限はなく、無溶媒でも、溶媒中で重合反応を行ってもよい。
本発明において用いられる溶媒としては、特に制限はないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン等のケトン系溶媒、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒が挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせ用いてもよい。なかでも、重合効率の観点からは、無水塩化メチレン、エーテル系溶媒又はアミド系溶媒が好ましく、無水塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル又はN,N−ジメチルホルムアミドがより好ましく、これらを単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒を用いる場合、スピロケタール化合物の濃度は0.01〜50mol/Lに調整されることが好ましく、0.05〜10mol/Lがより好ましく、1〜5mol/Lがさらに好ましい。
【0019】
本発明のスピロケタール化合物の開環重合反応には、必要に応じて、重合触媒を用いることができる。重合触媒としては目的の開環重合体が得られれば特に制限はなく、一般に使用されているものを用いることができるが、たとえば、三フッ化ホウ素エーテル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、トリフルオロ酢酸、四塩化錫、塩化アルミニウム、三塩化鉄、三塩化チタン等のカチオン重合性触媒などが挙げられ、これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、重合効率の観点からは、三フッ化ホウ素エーテル錯体が好ましい。
重合触媒の使用量は、重合反応を促進できれば特に制限はないが、重合原料であるスピロケタール化合物に対して、0.001モル%〜50モル%が好ましく、0.01モル%〜20モル%がより好ましく、0.1モル%〜10モル%
がさらに好ましい。
【0020】
スピロケタール化合物を開環重合させるための、反応温度は、目的の開環重合体が得られれば特に制限はないが、−78〜250℃が好ましく、−10〜180℃がより好ましく、20〜120℃がさらに好ましい。反応温度が−78℃より低いと反応性が低くなって、目的の開環重合体を得るのに長時間を要したり、開環重合体が得られにくくなる傾向がある。反応温度が250℃を超えると、二重開環ユニットが増加する傾向がある。
【0021】
スピロケタール化合物を開環重合させるための、反応時間は、目的の開環重合体が得られれば特に制限はないが、0.5時間〜200時間が好ましく、1時間〜160時間がより好ましく、2〜100時間がさらに好ましい。反応時間が0.5時間より短いと、反応が不十分で、目的の開環重合体の収率が低くなったり、開環重合体が得られにくくなる傾向がある。反応時間が200時間を超えると、二重開環ユニットが増加する傾向がある。反応時間を長くすると二重開環ユニットが増加する傾向がある。
【0022】
開環重合反応に用いる溶剤、重合触媒の種類や量、反応温度、反応時間等の反応条件などを調整することによって、得られる開環重合体の分子量(重合度)や上記一般式(I)中のpとqの比を調整することができる。
本発明で得られる開環重合体の分子量(ポリスチレン換算の数平均分子量)は、分子量制御の容易さの観点から、分子量は300〜100000が好ましく、500〜50000がより好ましく、1000〜20000がさらに好ましい。分子量分布は、GPCのポリスチレン換算の数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが0.5〜10であることが好ましく、1〜5がより好ましい。上記一般式(I)中のpとqの比p/qは、体積収縮率の観点から、1/99〜50/50が好ましく、5/95〜40/60がより好ましく、10/90〜30/70がさらに好ましい。また、p、qはそれぞれが0以上、合わせて1以上の整数を示すが、加工の容易さの観点から、p+qが2〜100であることが好ましく、3〜50がより好ましく、4〜20がさらに好ましい。
【0023】
本発明のスピロケタール化合物の開環重合体は、単独で用いることもできるが、用途に応じて他の材料と組み合わせて、スピロケタール化合物の開環重合体を必須成分として含有する組成物として用いることもできる。
本発明のスピロケタール化合物の開環重合体を必須成分として含有する組成物には、少なくとも上記一般式(I)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体を含有することが必要であるが、その他の配合成分として、エポキシ樹脂、エピスルフィド樹脂、ポリイミド樹脂等の熱可塑性樹脂、環状エーテル、ビニルエーテル等のエーテル類、ラクトン、ビシクロオルトエステル化合物等のエステル類、スピロオルトカーボナート化合物、環状カーボナート化合物等のカーボナート類、金属、フェノール樹脂、芳香族アミン、酸無水物等の硬化剤、アミン系化合物、リン系化合物等の硬化促進剤、充填剤、顔料、染料等の着色剤、難燃剤、界面活性剤、溶剤、可とう性付与剤、応力緩和剤等を必要に応じて配合することができる。
【0024】
本発明のスピロケタール化合物の開環重合体及びこれを含有する組成物は、成形材料、注型材料、封止材、積層板又は接着剤用の材料等として、電子、電気及び光分野において好適に用いられる。
【0025】
【実施例】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0026】
合成例1:スピロケタール化合物1の合成
2−ニトロシクロヘキサノン50g(0.35mol)、ビニルメチルケトン35g、(0.5mol)、アルミナ50g及びジエチルエーテル300mlを1Lなすフラスコに加え、室温で12時間撹拌した。反応液をろ過し、得られた溶液を濃縮したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:ヘキサン/酢酸エチル=4/1〜6/4)で精製し、精製物1(2-ニトロ-2-(3’-オキソブチル)シクロヘキサノン)を得た。上記で得られた精製物1(2-ニトロ-2-(3’-オキソブチル)シクロヘキサノン)70g(0.33mol)、フッ化カリウム1g(17.2mmol)及びメタノール700mlを2Lなすフラスコに加え、3時間加熱環流した。反応液を濃縮したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:塩化メチレン)で精製し、精製物2(6-ニトロ-9-オキソデカン酸メチルエステル)を得た。上記で得られた精製物2(6-ニトロ-9-オキソデカン酸メチルエステル)24.5g(0.1mol)、テトラヒドロフラン(THF)500ml及び水素化ホウ素ナトリウム13.0g(0.34mol)を2Lなすフラスコに加え、30分加熱環流した。メタノール220mlをゆっくりと滴下し30分加熱環流したのち、室温に冷却した。水200mlを加えTHFとメタノールを留去した後、0℃で2M−塩酸を加え酸性にした。炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、ジエチルエーテルで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し、シリカゲルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開系:塩化メチレン/酢酸エチル=1/0〜1/1)で精製し、下記一般式(XXIX)で示されるスピロケタール化合物1(2−メチル−1,6−ジオキサスピロ[4,6]ウンデカン)を得た。得られたスピロケタール化合物1の赤外線吸収スペクトル(neat)、1H核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)及び13C核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)をそれぞれ図1、図2及び図3に示す。収率は21%であった。
【化25】
【0027】
合成例2:スピロケタール化合物2の合成
ビニルメチルケトンの代わりにビニルエチルケトン42g(0.5mol)を用いた以外は合成例1と同様にして(同条件で同濃度の試薬を用いて)、精製物3(2-ニトロ-2-(3’-オキソペンチル)シクロヘキサノン)、精製物4(6-ニトロ-9-オキソウンデカン酸メチルエステル)及び下記一般式(XXX)で示されるスピロケタール化合物2(2−エチル−1,6−ジオキサスピロ[4,6]ウンデカン)を順に得た。得られたスピロケタール化合物2の赤外線吸収スペクトル(neat)、1H核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)及び13C核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)をそれぞれ図4、図5及び図6に示す。収率は33%であった。
【化26】
【0028】
実施例1
1M無水塩化メチレン溶液1.47mLに合成例1で得られたスピロケタール化合物1(2−メチル−1,6−ジオキサスピロ[4,6]ウンデカン)250mg(1.47mmol)及びスピロケタール化合物1に対して5モル%の三フッ化ホウ素エーテル錯体を加え、封管中で撹拌しながら50℃で48時間反応させた。反応終了液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、原料として用いたスピロケタール化合物1の転化率は97%であった。反応終了液をヘキサン20ml中に注加して不溶分をろ取した後、室温で6時間真空乾燥(1torr)して、重合体1を得た。収率は56%であった。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて重合体1の数平均分子量(Mn)及び分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)を求めた結果、標準ポリスチレン換算でMnは6100、Mw/Mnは2.1であった。示差走査熱量計(DSC)を用いて重合体のガラス転移温度(Tg)を求めた結果、10℃/minの昇温条件下で37℃であった。熱重量計(TGA)用いて重合体1の5%重量減少温度を求めた結果、10℃/minの昇温条件下で238℃であった。密度勾配管を用いて重合体1の密度を測定したところ、モノマーの密度0.98(18.5℃)、ポリマーの密度1.04(18.5℃)であったことから体積収縮率は6体積%と算出された。得られた重合体1の赤外線吸収スペクトル(neat)、1H核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)及び13C核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)をそれぞれ図7、図8及び図9に示す。図7の赤外線吸収スペクトルにおいて、1709cm-1にケトンのカルボニル基に帰属される吸収が観測されたこと、及び図9の13C核磁気共鳴スペクトルで128ppm付近にケタールの中心炭素のシグナルが観測されたことから、開環重合体は二重開環ユニットと単開環ユニットから成っていることが判った。カルボニル基由来の赤外線吸収スペクトル(1709cm-1)のピーク強度を定量し、二重開環ユニットと単開環ユニットの存在比を算出したところ0.16対0.84であった。カルボニル基のピーク強度の定量は、プロピオニトリルを内部標準物質として用い、そのシアノ基(2249cm-1)及び重合体1のカルボニル基(1709cm-1)の赤外線吸収強度を比較することにより行った。定量に用いた検量線はプロピオニトリルを標準物質、メチルエチルケトンを評品として作成したものを用いた。以上の結果から、得られた重合体1は、下記一般式(XV)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体で、構成モル比p/qは16/84であった。
【化27】
【0029】
実施例2
合成例1で得られたスピロケタール化合物1(2−メチル−1,6−ジオキサスピロ[4,6]ウンデカン)250mg(1.47mmol)及びスピロケタール化合物1に対して5モル%の三フッ化ホウ素エーテル錯体を、封管中で撹拌しながら50℃で2時間反応させ、反応終了液を実施例1と同様に処理して、重合体2を得た。得られた重合体2の赤外線吸収スペクトル(neat)、1H核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)及び13C核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)をそれぞれ図10、図11及び図12に示す。収率は50%、Mnは1700、Mw/Mnは1.3、Tgは−28℃。5%重量減少温度は123℃であった。密度勾配管による重合体2の密度の測定結果(モノマー密度0.98(18.5℃)、ポリマー密度1.08(18.5℃))から、体積収縮率は10体積%と算出された。実施例1と同様に調べた結果、得られた重合体2は、上記一般式(XV)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体で、構成モル比p/qは3/97であった。
【0030】
実施例3
反応温度を80℃とした以外は実施例2と同様にして、重合体3を得た。得られた重合体3の赤外線吸収スペクトル(neat)、1H核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)及び13C核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)をそれぞれ図13、図14及び図15に示す。収率は80%、Mnは1300、Mw/Mnは1.7、Tgは−16℃。5%重量減少温度は218℃であった。密度勾配管による重合体3の密度の測定結果(モノマー密度0.98(18.5℃)、ポリマー密度1.06(18.5℃))から、体積収縮率は8体積%と算出された。実施例1と同様に調べた結果、得られた重合体3は、上記一般式(XV)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体で、構成モル比p/qは9/91であった。
【0031】
実施例4
反応温度を100℃とした以外は実施例2と同様にして、重合体4を得た。得られた重合体4の赤外線吸収スペクトル(neat)、1H核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)及び13C核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)をそれぞれ図16、図17及び図18に示す。収率は84%、Mnは1900、Mw/Mnは3.5、Tgは−12℃。5%重量減少温度は229℃であった。密度勾配管による重合体4の密度の測定結果(モノマー密度0.98(18.5℃)、ポリマー密度1.04(18.5℃))から、体積収縮率は6体積%と算出された。実施例1と同様に調べた結果、得られた重合体4は、上記一般式(XV)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体で、構成モル比p/qは15/85であった。
【0032】
実施例5
反応温度を120℃、反応時間を1時間とした以外は実施例2と同様にして、重合体5を得た。得られた重合体5の赤外線吸収スペクトル(neat)、1H核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)及び13C核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)をそれぞれ図19、図20及び図21に示す。収率は87%、Mnは9600、Mw/Mnは4.6、Tgは−14℃。5%重量減少温度は238℃であった。密度勾配管による重合体5の密度の測定結果(モノマー密度0.98(18.5℃)、ポリマー密度1.03(18.5℃))から、体積収縮率は5体積%と算出された。実施例1と同様に調べた結果、得られた重合体5は、上記一般式(XV)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体で、構成モル比p/qは19/81であった。
【0033】
実施例6
反応時間を39時間とした以外は実施例1と同様にして、重合体6を得た。得られた重合体6の赤外線吸収スペクトル(neat)、1H核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)及び13C核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)をそれぞれ図22、図23及び図24に示す。収率は64%、Mnは7800、Mw/Mnは2.2、Tgは39℃。5%重量減少温度は243℃であった。密度勾配管による重合体6の密度の測定結果(モノマー密度0.98(18.5℃)、ポリマー密度1.04(18.5℃))から、体積収縮率は6体積%と算出された。実施例1と同様に調べた結果、得られた重合体6は、上記一般式(XV)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体で、構成モル比p/qは15/85であった。
【0034】
実施例7
反応時間を158時間とした以外は実施例1と同様にして、重合体7を得た。得られた重合体6の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤)を図25に示す。重合体6はクロロホルム、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、THF、DMF、DMSO等の溶媒に不溶であったため、GPCによる分子量の測定は不可能であった。収率は75%、Tgは50℃。5%重量減少温度は333℃であった。密度勾配管による重合体7の密度の測定結果(モノマー密度0.98(18.5℃)、ポリマー密度1.02(18.5℃))から、体積収縮率は4体積%と算出された。重合体7の赤外線吸収スペクトルを実施例1〜6と比較した結果、重合体7は上記一般式(XV)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体であることが判った。また、内部標準物質としてステアロニトリルを用いた以外は実施例1と同様にして二重開環ユニットと単開環ユニットの存在比を算出した結果、構成モル比p/qは23/77であった。
【0035】
実施例8
スピロケタール化合物1の代わりに合成例2で得られたスピロケタール化合物2(2−エチル−1,6−ジオキサスピロ[4,6]ウンデカン)を270mg(1.47mmol)用い、反応時間を39時間とした以外は実施例1と同様にして、重合体8を得た。得られた重合体8の赤外線吸収スペクトル(neat)、1H核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)及び13C核磁気共鳴スペクトル(クロロホルム−d)をそれぞれ図26、図27及び図28に示す。収率は58%、Mnは6800、Mw/Mnは1.5、Tgは38℃。5%重量減少温度は241℃であった。密度勾配管による重合体8の密度の測定結果(モノマー密度0.98(18.5℃)、ポリマー密度1.04(18.5℃))から、体積収縮率は6体積%と算出された。実施例1と同様に調べた結果、得られた重合体8は、下記一般式(XVIII)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体で、構成モル比p/qは17/83であった。
【化28】
【0036】
実施例9
反応時間を158時間とした以外は実施例8と同様にして、重合体9を得た。得られた重合体8の赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤)を図29に示す。重合体9はクロロホルム、ジエチルエーテル、アセトン、酢酸エチル、THF、DMF、DMSO等の溶媒に不溶であったため、GPCによる分子量の測定は不可能であった。収率は78%、Tgは42℃。5%重量減少温度は334℃であった。密度勾配管による重合体9の密度の測定結果(モノマー密度0.98(18.5℃)、ポリマー密度1.00(18.5℃))から、体積収縮率は2体積%と算出された。重合体9の赤外線吸収スペクトルを実施例7と比較した結果、重合体8は上記一般式(XVIII)で示されるスピロケタール化合物の開環重合体であることが判った。また、内部標準物質としてステアロニトリルを用いた以外は実施例1と同様にして二重開環ユニットと単開環ユニットの存在比を算出した結果、構成モル比p/qは28/82であった。
【0037】
実施例の結果から、上記一般式(III)中のmが3でかつnが5である上記一般式(IV)中のX1、X2がともに酸素原子ある上記一般式(V)で示されるスピロケタール化合物を開環重合させることにより、上記一般式(I)中のmが3、nが5で、X1、X2がともに酸素原子ある上記一般式(II)で示される開環重合体が得られることがわかった。また、実施例1及び6〜9の結果から、反応時間が長い方が、開環重合体中の二重開環ユニット割合が増加し、体積収縮率が減少する傾向があり、実施例2〜5の結果から、反応温度の上昇に伴い、開環重合体の分子量及び分子量分布が増大し、二重開環ユニット割合が増加し、体積収縮率が減少する傾向があることがわかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明になるスピロケタール化合物の開環重合体は、加水分解性基を含有しないので耐加水分解性を有し、実施例で示したように体積収縮率が2〜10体積%と、重合による体積変化が極めて小さいため、この開環重合体又はこれを含有する組成物を成形材料、注型材料、封止材、積層板又は接着剤用の材料として利用した場合、精度、接着力及びその他の特性の向上が期待できるので、電子、電気及び光分野等の広範囲の分野で利用でき、その工業的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1で得られたスピロケタール化合物1の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】合成例1で得られたスピロケタール化合物1の1H核磁気共鳴スペクトルである。
【図3】合成例1で得られたスピロケタール化合物1の13C核磁気共鳴スペクトルである。
【図4】合成例2で得られたスピロケタール化合物2の赤外線吸収スペクトルである。
【図5】合成例2で得られたスピロケタール化合物2の1H核磁気共鳴スペクトルである。
【図6】合成例2で得られたスピロケタール化合物2の13C核磁気共鳴スペクトルである。
【図7】実施例1で得られた重合体1の赤外線吸収スペクトルである。
【図8】実施例1で得られた重合体1の1H核磁気共鳴スペクトルである。
【図9】実施例1で得られた重合体1の13C核磁気共鳴スペクトルである。
【図10】実施例2で得られた重合体2の赤外線吸収スペクトルである。
【図11】実施例2で得られた重合体2の1H核磁気共鳴スペクトルである。
【図12】実施例2で得られた重合体2の13C核磁気共鳴スペクトルである。
【図13】実施例3で得られた重合体3の赤外線吸収スペクトルである。
【図14】実施例3で得られた重合体3の1H核磁気共鳴スペクトルである。
【図15】実施例3で得られた重合体3の13C核磁気共鳴スペクトルである。
【図16】実施例4で得られた重合体4の赤外線吸収スペクトルである。
【図17】実施例4で得られた重合体4の1H核磁気共鳴スペクトルである。
【図18】実施例4で得られた重合体4の13C核磁気共鳴スペクトルである。
【図19】実施例5で得られた重合体5の赤外線吸収スペクトルである。
【図20】実施例5で得られた重合体5の1H核磁気共鳴スペクトルである。
【図21】実施例5で得られた重合体5の13C核磁気共鳴スペクトルである。
【図22】実施例6で得られた重合体6の赤外線吸収スペクトルである。
【図23】実施例6で得られた重合体6の1H核磁気共鳴スペクトルである。
【図24】実施例6で得られた重合体6の13C核磁気共鳴スペクトルである。
【図25】実施例7で得られた重合体7の赤外線吸収スペクトルである。
【図26】実施例8で得られた重合体8の赤外線吸収スペクトルである。
【図27】実施例8で得られた重合体8の1H核磁気共鳴スペクトルである。
【図28】実施例8で得られた重合体8の13C核磁気共鳴スペクトルである。
【図29】実施例9で得られた重合体9の赤外線吸収スペクトルである。
Claims (11)
- 一般式(I)中のmが3でかつnが5である請求項1記載の開環重合体。
- 一般式(I)中のX1及びX2が酸素原子である請求項1又は請求項2記載の開環重合体。
- 一般式(II)中のR1が水素原子である請求項4記載の開環重合体。
- 一般式(III)中のX1及びX2が酸素原子であるスピロケタール化合物又は一般式(IV)中のX1及びX2が酸素原子であるスピロケタール化合物を開環重合させることを特徴とする請求項3記載の開環重合体の製造法。
- 一般式(V)中のR1が水素原子であるスピロケタール化合物を開環重合させることを特徴とする請求項5記載の開環重合体の製造法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の開環重合体を必須成分として含有してなる組成物。
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