JP4755882B2 - 色素増感型太陽電池ブラインド - Google Patents

色素増感型太陽電池ブラインド Download PDF

Info

Publication number
JP4755882B2
JP4755882B2 JP2005308928A JP2005308928A JP4755882B2 JP 4755882 B2 JP4755882 B2 JP 4755882B2 JP 2005308928 A JP2005308928 A JP 2005308928A JP 2005308928 A JP2005308928 A JP 2005308928A JP 4755882 B2 JP4755882 B2 JP 4755882B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dye
solar cell
sensitized solar
sensitized
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005308928A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007113365A (ja
Inventor
力 宮坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Peccell Technologies Inc
Original Assignee
Peccell Technologies Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Peccell Technologies Inc filed Critical Peccell Technologies Inc
Priority to JP2005308928A priority Critical patent/JP4755882B2/ja
Publication of JP2007113365A publication Critical patent/JP2007113365A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4755882B2 publication Critical patent/JP4755882B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Description

本発明は、色素増感型の太陽電池を利用するブラインドに関する。
近年、太陽光のような自然エネルギーの有効利用による電力供給の重要性への認識がますます高まりつつある。例えば、シリコン結晶やアモルファスシリコン薄膜、非シリコン系の化合物半導体の多層薄膜を用いる、いわゆる固体のpn接合型の太陽電池について、そのエネルギー変換効率の向上とコスト削減のための研究開発が活発に行われている。
日除け用のブラインドは、太陽電池の有力な用途である。ブラインドには、長尺状の羽根板が複数枚、長辺が互いに平行になるように配置されている。固体接合型太陽電池については、各羽根板上の長尺状の太陽電池モジュールの配列と、太陽電池モジュール内の長尺状の太陽電池ユニットセルの配列が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の図2(d)には、長尺状の固体接合型太陽電池ユニットセルの長辺がブラインドの羽根板の短辺と平行になり、太陽電池ユニットセルの長辺が互いに平行になるように配置され、電気的に直列に結線されている長尺状の太陽電池モジュールが開示されている。図2(d)におけるブラインドの羽根板では、複数の長尺状の太陽電池モジュールが電気的に直列に結線されている。特許文献1の図3にも、長尺状の固体接合型太陽電池ユニットセルの長辺がブラインドの羽根板の短辺と平行になり、太陽電池ユニットセルの長辺が互いに平行になるように配置され、電気的に直列に結線されている長尺状の太陽電池モジュールが開示されている。特許文献1の図3におけるブラインドの羽根板では、複数の長尺状の太陽電池モジュールが電気的に並列に結線されている。
固体接合型太陽電池には、製造コストがかさみ、またエネルギーペイバックタイムが長いという欠点がある。最近では製造コストが低く、量産が可能な有機太陽電池、特に色素増感型太陽電池を用いる方法が注目されている。色素増感型太陽電池としては、色素増感された多孔質半導体膜を用いる光電変換方法が提案されている(例えば、特許文献2、3、非特許文献1参照)。
色素増感型太陽電池は、従来の固体接合型太陽電池における固体(半導体)−固体(半導体)接合の代りに、固体(半導体)−液体(電解液)接合の、いわゆる湿式太陽電池を用いる。色素増感型太陽電池は、エネルギー変換効率は11%という高い値まで達している点で、電気エネルギーの供給源として有望である。
従来の色素増感型太陽電池の多くは、ガラス基板を用いて作られている。ガラスに換えて軽いプラスチックフィルムを基板に用いることで、携帯性と安全性に優れ、また印刷方式による製造コスト削減につながる。そのため、屈曲性がある太陽電池を開発する研究が活発になっている。
太陽電池の実用化においては、セルを直列または並列に組み合わせた高出力のモジュール(組みセル)の製作が不可欠である。しかしながら、プラスチックフィルムを基板に用いる色素増感型太陽電池は、プラスチック電極を構成する透明導電膜の面抵抗が高い。そのため、大面積化やモジュール化においてはシリーズ抵抗の増加によって、変換効率を含めた性能が大きく低下する。
色素増感型太陽電池を日除け用のブラインドに応用することも提案されている(例えば、非特許文献2参照)。ただし、特許文献1のように具体的なブラインドの構成が提案されている固体接合型太陽電池とは異なり、色素増感型太陽電池をブラインドに応用する場合の具体的な構成を開示している文献は非常に少ない。従って、色素増感型太陽電池をブラインドに応用する場合は、特許文献1に記載されているような固体接合型太陽電池ブラインドを参照することが考えられる。
特開2004−276661号公報(図2(d)、図3) 米国特許4927721号明細書 特許第2664194号公報 「ネイチャー(Nature)」,1991年,第353巻,p737−740 宮坂力、"フィルム型色素増感太陽電池の実用化に向けて"、[online]、テクニカルショウヨコハマ2004産学連携ワークショップ講演レジュメ、[平成17年10月20日検索]、インターネット〈URL:http://joint.idec.or.jp/technical/2004show/r04_13.php〉
本発明は、組み立てが容易で発電効率が高く耐久性にも優れ、設置用としてだけでなく、持ち運びにも便利な色素増感型太陽電池を用いて、それらの利点を生かした色素増感型太陽電池ブラインドを提供することを目的とする。
本発明者は、電極材料を最適化し、ユニットセルの構造と形状を改善することによって、電力取り出しの特性に優れた色素増感型太陽電池ブラインドを製作できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
本発明は、下記の色素増感型太陽電池ブラインドを提供する。
1.長尺状の羽根板(1)が複数枚、長辺(L1)が互いに平行になるように配置されており、各羽根板(1)上に、色素増感型光電極層(4)、電荷輸送層(6)および対向電極層(7)からなる3層構造を有する色素増感型太陽電池が取り付けられており、複数の羽根板間において色素増感型太陽電池が電気的に直列または並列に結線(10)されている色素増感型太陽電池ブラインドであって、色素増感型太陽電池は、短辺(W2)が1乃至5cmおよび長辺(L2)が10乃至50cmの長尺矩形のユニットセル(2)からなり、色素増感型光電極層(4)および対向電極層(7)が、それぞれ基板(3、8)上に設けられており、いずれの基板(3、8)も、透明導電膜を被覆した透明で屈曲性があるプラスチックフィルムからなり、対向電極層(7)に接して一方の長辺に沿って線状の金属端子(9)が設けられており、一枚の羽根板(1)上に、長尺矩形のユニットセル(2)が複数枚、長辺(L2)が羽根板の長辺(L1)と平行になるように一列に配置され電気的に直列または並列に結線(11)されていることを特徴とする色素増感型太陽電池ブラインド。
本発明は、下記2〜9の態様で実施できる。
2.長尺矩形のユニットセルの長辺(L2)/短辺(W2)の比が8以上50以下である。
3.羽根板(1)が長尺矩形のユニットセル(2)を含め全体として屈曲性があり、複数枚の羽根板がコード(12〜14)によって連結されている。
4.さらに、キャパシタ(15)を直列に結合した蓄電部(16)、および昇圧もしくは降圧のための回路からなる電圧回路部(17)を有する。
5.線状の金属端子(9)が、銀、銅、鉄、クロム、亜鉛、アルミニウムおよびニッケルからなる群より選ばれる比抵抗の低い金属からなる。
6.プラスチックフィルムがポリエチレンナフタレートからなる。
7.色素増感型光電極層(4)の基板(3)の透明導電膜が酸化亜鉛を含む。
8.対向電極(7)がチタンを含む金属からなる。
9.色素増感型光電極層(4)の95%質量以上が、色素によって増感された酸化チタンと無機酸化物からなる。
本発明者は、大型で長尺矩形の色素増感型太陽電池のユニットセルを設計し、実用化が可能な程度まで性能を高めることに成功した。大型の長尺矩形のユニットセルは、短辺が1乃至5cm、長辺が10乃至50cmである。
本明細書において、長尺矩形とは、二つの長辺と二つの短辺からなるほぼ平行四辺形の(長方形や菱形を含む)平面形状を有することを意味する。長辺と短辺は直交している(ほぼ長方形である)ことが好ましい。
得られたユニットセルは、ブラインドの羽根板に設置するために最適な形状および寸法を有している。そのため、従来から具体的に設計されていた固体接合型太陽電池ブラインドよりも有利に、色素増感型太陽電池ブラインドを設計することができる。
本発明によれば、光によって発電を行い、軽量、フレキシブルで、高い電力を高効率で取り出すことができ、昼間の蓄電量を夜間に利用することのできる、電力供給システムを得ることができる。
図1は、色素増感型太陽電池ブラインドの模式図である。
図1に示すブラインドは、最小限の構成として2枚の長尺状の羽根板(1)が、長辺(L1)が互いに平行になるように配置されている。普通のブラインドは、さらに多数(3〜100枚)の羽根板からなる。ブラインドの羽根板は、一般に、短辺(W1)が2乃至10cmおよび長辺(L1)が20cm乃至10mの範囲の寸法を有する。
図1に示す羽根板(1)は、最小限の構成として2枚の長尺矩形のユニットセル(2)が、長辺(L2)が羽根板の長辺(L1)と平行になるように一列に配置されている。羽根板(1)には、さらに多数(例えば、3〜20枚)のユニットセルを配置することができる。
長尺矩形のユニットセル(2)は、短辺(W2)が1乃至5cmおよび長辺(L2)が10乃至50cmの範囲の寸法を有する。短辺(W2)は、1.2乃至3cmであることが好ましく、1.5乃至2cmであることがさらに好ましい。長辺(L2)は、12乃至40cmであることが好ましく、15乃至35cmであることがさらに好ましい。長辺(L2)/短辺(W2)の比は、8以上50以下であることが好ましく、10以上30以下であることがさらに好ましく、12以上25以下であることが最も好ましい。
ユニットセル(2)は、色素増感型光電極層(4)、電荷輸送層(6)および対向電極層(7)からなる3層構造を有する。色素増感型光電極層(4)および対向電極層(7)は、いずれも基板(3、8)上に設けられている。基板(3、8)は、いずれも、透明導電膜を被覆した透明で屈曲性があるプラスチックフィルムからなる。
光電極層(4)と対向電極層(7)は、封止材(5)を挟んで対向している。封止材(5)の内側に、電荷輸送層(6)が、色素増感型光電極層(4)および対向電極層(7)と接触して収納されている。色素増感型光電極層(4)、電荷輸送層(6)および対向電極層(7)が接触して積層している領域が、光発電領域である。
なお、図1では表示の都合で、ユニットセル(2)の長辺(L2)側のみ封止材(5)を示したが、実際には、ユニットセル(2)の短辺(W2)側にも封止材があり、封止材により電荷輸送層(6)が密閉されている。
対向電極層(7)に接して、一方の長辺に沿って線状の金属端子(9)が設けられている。
図1では、ブライドを構成する複数の羽根板(1)は、電気的に直列に結線(10)されている。羽根板は、電気的に並列に結線してもよい。また、直列と並列との双方が可能なように結線しておき、必要(電圧を優先するか、電流を優先するかの判断)に応じて、直列と並列との切り替えが可能であるようにスイッチを設けてもよい。
図1では、羽根板(1)上の二枚のユニットセル(2)は、電気的に並列に結線(11)されている。羽根板上のユニットセルは、電気的に直列に結線してもよい。また、直列と並列との双方が可能なように結線しておき、必要(電圧を優先するか、電流を優先するかの判断)に応じて、直列と並列との切り替えが可能であるようにスイッチを設けてもよい。
ブラインドは、一般に、角度調整コード(12、13)と昇降コード(14)を有する。複数の羽根板(1)間の結線(10)は、角度調整コードまたは昇降コードに内在させることができる。図1では、結線(10)を角度調整コード(12)に内在させている。
図1に示すように、ブラインドの結線(10)は、蓄電部(16)に電気的に結合している。図1に示す蓄電部(16)は、キャパシタ(15)を3個直列に結線した回路を内蔵している。蓄電部(16)は、さらに、昇圧もしくは降圧の機能をもつ電圧制御回路(17)に電気的に結合している。電圧制御回路(17)は、さらに出力端子(18)に電気的に結合し、一定の電圧に制御された電気出力が出力される。
図1に示す色素増感型太陽電池ブラインドは、色素増感型光電極層(4)から光が入射するように設計されている。対向電極層(7)から光が入射するように設計してもよい。また、色素増感型光電極層(4)側と対向電極層(7)側の双方からの光の入射が可能なようにブラインドを設計することもできる。
光入射面は、紫外線の透過を遮断するフィルムや薄膜で被覆することが好ましい。光入射面には、光の反射を防止するフィルムや薄膜で被覆することも好ましい。
図1に示す二枚の羽根板では、いずれも、色素増感型光電極層(4)が上で、対向電極層(7)が下になるように配置されている。図1に示す二枚の羽根板は、電気的に直列に結線するため、羽根板(1)の内部にも配線が必要になっている。色素増感型光電極層(4)が上で、対向電極層(7)が下になる羽根板と、色素増感型光電極層(4)が下で、対向電極層(7)が上になる羽根板とを交互に配置することで、羽根板間および羽根板内の配線を簡略にすることができる。
図1に示すブラインドは、複数の羽根板(1)を横に配置している。ブラインドには、複数の羽根板を縦に配置する態様もある。本発明は、羽根板を縦に配置するブラインドにも有効である。
図1に示すブラインドは、羽根板(1)が可動であって、角度調整コード(12、13)コードにより羽根板(1)の角度を変化させ、昇降コード(14)により羽根板(1)を上下に移動させることができる。ブラインドには、羽根板を固定する態様もある。本発明は、羽根板を固定したブラインドにも有効である。ただし、色素増感型太陽電池には、屈曲性があるユニットセルを設計できるとの利点がある。屈曲性があるユニットセルは、図1に示すような羽根板が可動性のブラインドに特に有利に用いることができる。
[色素増感型光電極層]
光電極層は、一般に色素で増感された半導体を含む。有機半導体よりも無機半導体の方が好ましく、結晶性の無機半導体がさらに好ましい。無機半導体は、単体(例、ケイ素、ゲルマニウム)、金属酸化物、金属カルコゲナイド(例、硫化物、セレン化物)および金属リン化物を含む。金属酸化物を構成する金属元素の例は、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタルを含む。金属硫化物を構成する金属元素の例は、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン、ビスマスを含む。金属セレン化物を構成する金属元素の例は、カドミウム、鉛を含む。金属テルル化物を構成する金属元素の例は、カドミウムを含む。金属リン化物を構成する金属の例は、亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウムを含む。複数の金属のカルコゲナイド(例、銅−インジウム−セレン化物、銅−インジウム−硫化物)を用いてもよい。ガリウムヒ素も、無機半導体として用いることができる。
n型の金属酸化物半導体(例、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化タングステン)が好ましい。酸化チタンが特に好ましい。
光電極層は、色素によって増感されている。半導体を色素によって増感すると、半導体が示す光の固有吸収の波長範囲を超えて、色素が吸収する光の波長範囲において、半導体が光電反応を示す。
光電極層は、その95質量%以上が色素によって増感された酸化チタンと無機酸化物からなることが好ましい。酸化チタン、増感色素および無機酸化物の割合は、97質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上であることが最も好ましい。
光電極層を構成する半導体は、多孔質であることが好ましい。多孔質の半導体は、ナノサイズの平均粒径を有する一次粒子が結合して形成されるメソポーラスな構造であることがさらに好ましい。一次粒子の平均粒径は、5〜100nmが好ましく、10〜80nmがさらに好ましい。二次粒子の平均粒径は、0.01〜1μmが好ましい。粒径分布の異なる2種類以上の粒子を混合してもよい。入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒径の大きな(例えば粒径が200〜600nmの)半導体粒子を光電極層に加えてもよい。
光電極層において、空孔率(空孔が占める体積分率)は50%以上85%以下が好ましく、65%以上85%以下がさらに好ましい。
増感色素は、有機色素(例、シアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、ローダニン色素、インドレニン色素、キサンテン色素、スクワリリウム色素、ポリメチン色素、クマリン色素、リボフラビン色素、ペリレン色素)および金属錯体色素(例、ピリジン錯体、フタロシアニン錯体、ポルフィリン錯体)を含む。金属錯体色素を構成する金属の例は、ルテニウムおよびマグネシウムを含む。クマリン色素のような有機色素は、「機能材料」,2003年,6月号,P5−18、および「ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス(J.Chem.Phys.)」,2003年,B第107巻,P597に記載がある。
光電極層は、色素増感された半導体および無機半導体に代えて、または加えて、有機半導体または有機導電体を用いることができる。有機半導体の例は、メロシアニン色素、シアニン色素とそのJ凝集体、クマリン色素、ポリエン色素、フタロシアニン類、ポルフィリン類およびペリレン類を含む。有機導電体には、導電性ポリマーおよびフラーレン類が含まれる。導電性ポリマーの例は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリトルイジンを含む。
光電極層の厚さは、5μm以上20μm以下が好ましく、7μm以上15μm以下がさらに好ましい。
[電荷輸送層]
電荷輸送層には、正孔(正電荷)を移動する能力のある有機または無機の正孔輸送材料が用いられる。好ましい正孔輸送材料は、酸化還元剤を含むイオン性電解質である。正孔輸送材料により、光電極層の色素で生じた正孔は内部対極の表面に輸送される。
電荷輸送層の厚さは、10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上70μm以下がさらに好ましい。
イオン性電解質は、電解液または擬固体電解質が好ましい。電解液の例は、揮発性の有機溶媒および不揮発性のイオン性液体(常温溶融塩)を含む。高粘度の擬固体電解質の例は、ポリマー電解質およびポリマーゲルを含む。擬固体電解質は、無機または有機のマイクロ又はナノ粒子の分散物をマトリックスとして含むことができる。
酸化還元剤として、電解液(例、Iとヨウ化物とを含む電解液、Brと臭化物とを含む電解液)、金属錯体(例、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウムイオン)および硫黄化合物(例、ポリ硫化ナトリウム)を用いることができる。ヨウ化物の例は、金属ヨウ化物(例、LiI、NaI、KI)および第四級アンモニウム化合物のヨウ素塩(例、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド)を含む。臭化物の例は、金属臭化物(例、LiBr、NaBr、KBr)および第四級アンモニウム化合物の臭素塩(例、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド)を含む。
電解液が好ましく、Iとヨウ化物とを含む電解液がさらに好ましい。ヨウ化物は、LiIおよび第四級アンモニウム化合物のヨウ素塩が好ましい。第四級アンモニウム化合物のヨウ素塩は、ピリジニウムヨーダイドおよびイミダゾリウムヨーダイドが好ましい。
イオン性電解質に用いる有機溶媒は、非プロトン極性物質が好ましい。有機溶媒の例は、カーボネート(例、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート)、アルコール(例、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル)、多価アルコール(例、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン)、エーテル(例、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル)、ラクトン(例、γ‐ブチロラクトン、α‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、β‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、3‐メチル‐γ‐バレロラクトン)、ニトリル(例、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)を含む。2種以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
不揮発性のイオン性液体(常温溶融塩)は、アルキルイミダゾリウム(例、ジメチルイミダゾリウム、メチルプロピルイミダゾリウム、メチルブチルイミダゾリウム、メチルヘキシルイミダゾリウム)の塩が好ましい。アルキルイミダゾリウムと塩を構成する対イオンは、四フッ化ホウ素イオン、三フッ化メチルスルホン酸イミドイオン、ヨウ化物イオンが好ましい。不揮発性のイオン性液体として、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩も用いることができる。溶融塩は、機能材料2004年11月号(シーエムシー出版)、大野弘幸監修、イオン性液体―開発の最前線と未来―(シーエムシー出版、2003年)、特開2002−190323号公報、特開2001−199961号公報、特開2001−196105号公報に記載がある。
イオン性液体電解質には、ポリマー(例、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン)やオイルゲル化剤を添加できる。イオン性液体電解質中で、ポリマーの架橋反応を行い、これにより液体をゲル化して使用することもできる。イオン性液体電解質に、カーボンナノチューブや無機酸化物(例、シリカ、酸化チタン)の超微粒子を混合し、これにより液体を固体化して使用することもできる。
固体の正孔輸送材料を使用することもできる。
有機固体の正孔輸送材料として、芳香族アミン、オリゴチオフェン化合物またはポリマーを用いることができる。ポリマーの例は、ポリビニルカルバゾール、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチエニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリトルイジン、ポリシランを含む。有機EL素子の正孔輸送層に用いられている正孔輸送材を、電荷輸送層に用いてもよい。
無機固体の正孔輸送材料として、無機化合物半導体を使用できる。無機化合物半導体には、p型の無機酸化物半導体が含まれる。p型の無機酸化物半導体の例は、NiO、CoO、FeO、Bi、MoO、Crを含む。その他の無機化合物半導体の例は、CuI、CuSCN、CuInSe、Cu(In,Ga)Se、CuGaSe、CuO、CuS、CuGaS、CuInS、CuAlSeを含む。
[基板]
光電極層と対向電極層は、基板上に設けられることが好ましい。基板は、透明導電膜を被覆した支持体からなることが好ましい。支持体は、機械的にフレキシブルであることが好ましい。好ましい支持体は、プラスチックシートまたは金属板である。
プラスチックシートは、無着色で透明性が高く、耐熱性、耐薬品性およびガス遮断性に優れ、さらに経済性に優れていることが好ましい。プラスチックを構成するポリマーの例は、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr))、ポリオレフィン(例、シンジオタクチックポリスチレン(SPS))、ポリスルフィド(例、ポリフェニレンスルフィド(PPS))、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)を含む。ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)がさらに好ましく、ポリエチレンナフタレート(PEN)が最も好ましい。金属の例は、鉄、チタン、アルミニウム、銅を含む。好ましい金属は、鉄(特に好ましくは、ステンレススチール)およびチタンである。エキスパンドメタルのような金属製の網を基板として使用することもできる。
光電極側の基板では、導電膜は、光学的に透明な導電性材料からなることが好ましく、導電性金属酸化物からなることがさらに好ましい。導電性金属酸化物の例は、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛、インジウム亜鉛酸化物スズ(IZO)を含む。酸化亜鉛または酸化亜鉛を含む化合物(例えば、インジウム亜鉛酸化物スズ)が特に好ましい。
導電膜の表面抵抗は、15Ω/□以下が好ましく、10Ω/□以下がさらに好ましく、5Ω/□以下が最も好ましい。導電膜には、集電のための補助リードのパターンを配置することができる。補助リードは、低抵抗の金属(例、銅、銀、アルミニウム、白金、金、チタン、ニッケル)によって形成する。補助リードがパターニングされた透明導電膜において、補助リードを含めた表面の抵抗値は3Ω/□以下が好ましく、1Ω/□以下がさらに好ましい。補助リードのパターンは、支持体上に蒸着またはスパッタリングにより形成し、その上に導電性金属酸化物からなる透明導電膜を設けることが好ましい。
基板が不透明である場合、基板の表面を各種の光学的特性を持つフィルムや薄膜で被覆することができる。例えば、光の反射による散乱や拡散を防止するフィルムや薄膜を用いることができる。光拡散反射防止フィルムは、有機または無機の白色材料または多孔性の樹脂から作製できる。
[対向電極層]
対向電極層は、金属薄膜からなることが好ましい。金属は、化学的耐腐食性があり、比抵抗が低く、カソードとして電気化学的に充分な活性を持つことが好ましい。白金が特に好ましい。ただし、白金は高価である。また、白金薄膜は、基板との密着性が低いことが問題である。白金以外に好ましい金属は、チタンである。チタンと白金とを組み合わせた複合材料が好ましい。チタンを含む金属薄膜には、白金以外の化学的に安定な金属(例、タングステン、ニッケル、ルテニウム)を添加することもできる。金属以外の化学的に安定な材料(例えば、炭素材料)を添加することもできる。
対向電極層は、光学的に透明な電極層として形成することができる。透明にする手段は、金属を非常に薄く被覆する方法、あるいは、金属をメッシュ状またはドット状に被覆する方法が利用できる。対向電極を透明にしたユニットセルでは、発電に必要な光を、対向電極層の側からも入射することできる。
[金属端子]
金属端子は、比抵抗の低い金属からなることが好ましい。好ましい金属は、銀、銅、鉄、クロム、亜鉛、アルミニウム、ニッケルである。銀、銅、アルミニウムがさらに好ましい。市販されている導電性粘着剤が付いた金属(銅、アルミニウム)箔を用いることもできる。
[セパレータ]
電極間の短絡を防止するため、電荷輸送層にセパレータを挿入できる。セパレータは、電気的に絶縁性の材料で形成する。セパレータの形状はフィルム状または粒子状である。フィルム状のセパレータは、フィルターに用いる多孔性の樹脂フィルム、繊維状の高分子材料からなるフィルムが好ましい。粒子状のセパレータは、無機材料(例、シリコン、シリカ、アルミナ)または有機材料(例、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ナイロン)から形成できる。粒子状のセパレータは、粒径が均一なビーズであることが好ましい。
[蓄電部]
蓄電部には、キャパシタを用いることが好ましい。キャパシタは、電気二重層コンデンサとも呼ばれる。キャパシタは、汎用の電気二重層キャパシタ、酸化還元反応を充放電の手段とする電気化学キャパシタもしくはレドックスキャパシタが好ましい。また、ハイブリッド型のキャパシタやスーパーキャパシタを用いることもできる。ハイブリッド型のキャパシタでは、二次電池の機能を電気二重層の蓄電に複合させることによって大容量を実現できる。キャパシタの分類と例は、田村英雄監修、「大容量二重層キャパシタの最前線」、丸善、2002年、「電気二重層キャパシタと蓄電システム」,日刊工業新聞社発行,1999年に記載がある。キャパシタの形状について、特に制限はない。キャパシタは、フィルム状、コイン状、円筒状あるいはブロック状のような任意の形状に作製することができる。
電気二重層キャパシタの蓄電用材料は、炭素材料が好ましい。炭素材料は、分極性が高いこと、比表面積の大きいこと、嵩比重が大きいこと、電気化学的に不活性なこと、電気抵抗が小さいことが要求される。好ましい炭素材料は、活性炭である。活性炭は、フェノール繊維を活性炭化して得られる活性炭繊維、植物性材料(例、木粉)を炭化賦活して得られる粉末活性炭、粒状の活性炭が好ましい。石油コークスや石炭ピッチコークスからなるカーボンを、不活性ガス雰囲気下で炭化処理した後、アルカリ(例、水酸化カリウム)で賦活処理することによって作られる静電容量の高い電気二重層キャパシタ用炭素材料(特開平10−199767号公報記載)、または電気二重層キャパシタ電極として大きな静電容量を示す各種材料(特開平11−317333号公報記載)も用いることもできる。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を原料として作られる非表面積が高い多孔質炭素も用いることができる。炭素材料には、導電性の高い材料(例、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック)を添加してもよい。炭素材料としてナノサイズの細孔を有するメソポーラスな炭素材料(細孔径2nm以上50nm以下)、ミクロポーラスな炭素材料(細孔径2nm以下)、マクロポーラスな炭素材料(細孔径50nm以上)も好ましく用いられる。メソポーラスな材料が好ましい。
電気化学キャパシタに用いる蓄電用材料は、電極活物質が好ましい。無機の電極活物質は、炭素材料(例、黒鉛、メソフェーズピッチ、繊維状炭素、カーボンナノチューブ)、多価金属の酸化物、遷移金属酸化物、金属硫化物が好ましい。炭素材料は、カチオンやアニオンの挿入と酸化還元反応によって活性を与える。多価金属の例は、ルテニウム、イリジウム、ニッケル、スズ、コバルト、バナジウム、ジルコニウム、チタン、マンガン、タングステンを含む。有機の電極活物質の例は、導電性ポリマー(例、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセン、ポリチオフェン、ポリインドール)、ポリキノキサリン類、有機電荷移動錯体とそのオリゴマーを含む。活物質は、内部対極と外部対極のいずれか一方あるいは両方に担持することができる。活物質を電気二重層蓄電層用の炭素材料と混合して用いることもできる。
蓄電部に用いられるキャパシタは、複数のキャパシタが直列に結合したモジュールとなっており、これにより5V以上の出力を安定的に取り出すシステムが提供される。蓄電部は、4個以上のキャパシタの直列構造となっていることが好ましい。
[電圧制御回路]
蓄電した電力を安定な電圧で出力する目的で、電圧の制御に必要な降圧もしくは昇圧の回路を装着できる。降圧の回路は、蓄電の結果として得られた最大の電圧が放電の操作によって時間とともに低下するときに、高い値で推移する電圧を一定の低い電圧に変換し、制御する回路である。また、昇圧の回路はこの逆であり、蓄電の結果として得られた最大の電圧が放電の操作によって時間とともに低下するときに、低い値で推移する電圧を一定の高い電圧に変換し、制御する回路である。降圧もしくは昇圧の回路を経て得られた一次電力は、電圧が一定の直流の電力である。この降圧もしくは昇圧の回路を用いた電圧制御部は、電圧を必要によって自在に設定できるスイッチを装備することができる。また、電流を一定に制御するための回路を装備することができる。
[出力]
色素増感型太陽電池の光発電によって得られる電力は、キャパシタに蓄電され、昇圧もしくは降圧の回路をもつ電圧制御回路を通して、一定の電圧として出力される。得られる電力は、直流の電力であることが望ましい。変換器(インバーター)もしくは安定器をシステムに加えることによって、交流として出力することもできる。電力は、電圧として10V以上50V以下が好ましく、10V以上20V以下がさらに好ましい。典型的な出力電圧は、直流12Vである。回路には、必要なデバイス類(例、整流器、ダイオード、スイッチ)、光の効率的な利用のための光センサ、光発電部本体の向きを自動的に変えるための動力装置や制御システムを装着することができる。
(1)色素増感型光電極層の作製
結晶性二酸化チタンナノ粒子(昭和電工(株)製、ルチル、アナターゼ混合型、平均粒径20nm)を超純水とイソプロピルアルコールを用いて十分に洗浄した後、tert−ブチルアルコール(純度99.5%以上)とアセトニトリル(純度99.5%以上)の混合溶媒(質量比95:5)100mlに30gを撹拌分散し、この分散液に粒径5nmの二酸化チタン粒子を水とエチルアルコールの混合溶媒(質量比50:50)に分散した酸性のゾル液(濃度8質量%)を12質量%添加し、得られた混合分散液を自転/公転併用式のミキシングコンディショナーを使って均一に混合し、粘性のチタニアペーストを調製した。
IZO導電膜を片面に被覆し、反対面に紫外線吸収能力と反射防止能力を併せ持つ光学機能フィルムを被覆した透明導電性のポリエチレンナフタレート(IZO−PEN)フィルム(厚み125μm、表面抵抗12Ω/□)を光電極の基板として用いた。この基板は、400nm以下の光の透過を遮断し、420nmにおいて、光透過率が50%であった。この基板のIZO面に、上記の粘性チタニアペーストを、ドクターブレード法によって塗布し、150℃で20分乾燥し、二酸化チタン粒子層を多孔性のn型半導体層としてIZO−PEN基板上に形成した。粒子層の膜厚みは10μm、表面粗さ係数は1200、空孔率は70%であった。形成した半導体層の形状は幅が1.7cm、長さが29cmであった。
多孔性二酸化チタン電極の表面を色素の吸着によって増感させた。増感色素にはRuビピリジル錯体(Solaronix社製、Ru535)を用い、色素を3×10−4mol/リットル含むアセトニトリルとtert−ブチルアルコール混合溶媒(質量比1:1)の溶液に二酸化チタン被覆IZO−PEN電極を浸漬し、40℃で1時間振とう攪拌し、増感色素を二酸化チタン粒子に吸着させた。
(2)対向電極層の作製
PENフィルム(厚さ125μm)の片面上に、スパッタリング法によって真空下で、チタンと白金の複合物(チタンの含量、90重量%)からなる金属薄膜(膜厚150nm)を被覆し、対向電極層(幅3.0cm、長さ30cm)を作製した。
(3)色素増感型太陽電池ユニットセルの組み立て
電荷輸送層として、ヨウ素とヨウ素イオンを酸化還元剤、γ−ブチロラクタンと3−メチルプロピオニトリルの1:1の混合溶媒を用いる有機電解液(ヨウ素0.05M、ヨウ化リチウム0.1M、4−tert−ブチルピリジン0.5M)を用いた。封止材としてポリエチレン樹脂系の熱融着型フィルムを用い、光電極層と対向電極層の2つの電極間に、電荷輸送層を囲む形で封止材を挿入し、2つの電極を挟んで、120℃で2分間加熱して電極を接合した。対極に設けた小孔から毛管現象によって有機電解液を注入し、電極間を有機電解液で満たし、小孔を封じて封止された光発電セルを作製した。このセルの対向電極層の長手方向(30cm)の一端に、スクリーン印刷法によって銀ペーストを印刷し、135℃で硬膜処理を行なって、厚さが20μm、幅6mmの銀端子を担持させた。このようにして、図1に示されるような幅3.5cm、長さ30cmの短冊状の形状を持つ色素増感型太陽電池ユニットセルを作製した。
(4)色素増感型太陽電池ブラインド(モジュール)の組み立て
短冊状のユニットセルを長手方向に2つを一列に並べて導線によって電気的に並列に結合し、長さが60cmの組みセルにした。この2つの組みセルを幅方向に50個並べてセルを導線によって電気的に直列に結合し、ブラインド型のモジュールを製作した。モジュールを構成するユニットセルは、100個であり、2つの並列結合、50の直列結合からなる。
(5)フィルム型光電池の光電変換特性
1kWのキセノンランプを装着した太陽光シミュレーターを光源に用いて、上記のブラインド型モジュールに対し、入射光強度が25mW/cmのAM1.5の白色光を、光電極の側から照射した。このとき、ブラインドの羽根に当たるユニットセルへの光の入射角度を0度(垂直入射)から70度まで変えて比較を行った。測定環境は温度30℃に制御した。電流電圧測定装置(ケースレー製ソースメータ2400型)を用いて、素子に印加するDC電圧を20mV/秒の定速でスキャンし、素子の出力する光電流を計測することにより、光電流−電圧特性を測定した。これにより求められた短絡光電流(Isc)、開放回路起電力(Voc)、エネルギー変換効率(η)を第1表に示す。太陽光直射の垂直入射条件において、本モジュールの短絡光電流は0.15A、開放回路起電力は33.7V、エネルギー変換効率は2.1%となった。入射角度70度と大きい状態(浅い角度からの入射)においても、光電流が大きく低下することがなく、直射光以外の拡散光の利用能力が高いことも示された。
(6)蓄電部の作製と光発電モジュールとの連結による太陽光の充電と放電
円筒型キャパシタ12個の直列の構成による蓄電部を、電流の逆流を防止する整流回路を介して、上記のブラインド型モジュールに電気的に結合した。また、蓄電部には最終出力電圧を制御する降圧用の回路を電気的に結合し、光蓄電のシステムを製作した。晴天下にモジュールをガラス窓の内側の屋内に設置し、窓を透過する太陽光に曝して、モジュールの光発電の電力を蓄電部に入力した。光強度は20mW/cm〜80mW/cmの間で変動した。光発電による蓄電を開始すると充電時間とともに充電電圧は徐々に上昇したが、光充電の電流値は電圧上昇とともに急速に低下した。およそ4時間の連続露光によって30Vまでの充電を行なった。このときの充電容量として、880クーロンの電気量が得られた。次に、蓄電部において蓄電した電力を放電させた。放電においては、蓄電部を降圧回路に結合し、この降圧回路を通じて出力電圧を12Vの一定電圧に制御しながら、0.5Aの一定電流のもとで放電を行った。この放電の電力を用いて、定格が12Vの小型液晶カラーテレビを駆動させた。この結果、およそ1時間の放電によって5.6Whの電力が出力された。
第1表
────────────────────────────────────────
セルへの太陽直射光の入射角度 0° 20° 45° 70°
────────────────────────────────────────
短絡光電流(Isc) 0.15A 0.15A 0.12A 0.10A
開放回路起電力(Voc) 33.7V 33.7V 33.6V 33.0V
エネルギー変換効率(η) 2.1% 2.1% 1.7% 1.5%
────────────────────────────────────────
本発明に従う色素増感型太陽電池ブラインドは、光発電システムおよび光蓄電システムとして、電気エネルギーの生産と供給に広く利用することができる。
本発明に従う色素増感型太陽電池ブラインドを示す模式図である。
符号の説明
1 ブラインドの羽根板
2 色素増感型太陽電池のユニットセル
3 光電極層側の基板
4 色素増感型光電極層
5 封止材
6 電荷輸送層
7 対向電極層
8 対向電極層側の基板
9 線状金属端子
10 直列の結線(羽根板間)
11 並列の結線(羽根板内)
12 角度調整コード(結線が内在)
13 角度調整コード
14 昇降コード
15 キャパシタ
16 蓄電部
17 電圧回路部
18 出力端子
L1 羽根板の長辺
W1 羽根板の短辺
L2 ユニットセルの長辺
W2 ユニットセルの短辺

Claims (9)

  1. 長尺状の羽根板が複数枚、長辺が互いに平行になるように配置されており、各羽根板上に、色素増感型光電極層、電荷輸送層および対向電極層からなる3層構造を有する色素増感型太陽電池が取り付けられており、複数の羽根板間において色素増感型太陽電池が電気的に直列または並列に結線されている色素増感型太陽電池ブラインドであって、色素増感型太陽電池は、短辺が1乃至5cmおよび長辺が10乃至50cmの長尺矩形のユニットセルからなり、色素増感型光電極層および対向電極層が、それぞれ基板上に設けられており、いずれの基板も、透明導電膜を被覆した透明で屈曲性があるプラスチックフィルムからなり、対向電極層に接して一方の長辺に沿って線状の金属端子が設けられており、一枚の羽根板上に、長尺矩形のユニットセルが複数枚、長辺が羽根板の長辺と平行になるように一列に配置され電気的に直列または並列に結線されていることを特徴とする色素増感型太陽電池ブラインド。
  2. 長尺矩形のユニットセルの長辺/短辺の比が8以上50以下である請求項1に記載の色素増感型太陽電池ブラインド。
  3. 羽根板が長尺矩形のユニットセルを含め全体として屈曲性があり、複数枚の羽根板がコードによって連結されている請求項1に記載の色素増感型太陽電池ブラインド。
  4. さらに、キャパシタを直列に結合した蓄電部、および昇圧もしくは降圧のための回路からなる電圧回路部を有する請求項1に記載の色素増感型太陽電池ブラインド。
  5. 線状の金属端子が、銀、銅、鉄、クロム、亜鉛、アルミニウムおよびニッケルからなる群より選ばれる比抵抗の低い金属からなる請求項1に記載の色素増感型太陽電池ブラインド。
  6. プラスチックフィルムがポリエチレンナフタレートからなる請求項1に記載の色素増感型太陽電池ブラインド。
  7. 色素増感型光電極層の基板の透明導電膜が酸化亜鉛を含む請求項1に記載の色素増感型太陽電池ブラインド。
  8. 対向電極がチタンを含む金属からなる請求項1に記載の色素増感型太陽電池ブラインド。
  9. 色素増感型光電極層の95%質量以上が、色素によって増感された酸化チタンと無機酸化物からなる請求項1に記載の色素増感型太陽電池ブラインド。
JP2005308928A 2005-10-24 2005-10-24 色素増感型太陽電池ブラインド Expired - Fee Related JP4755882B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005308928A JP4755882B2 (ja) 2005-10-24 2005-10-24 色素増感型太陽電池ブラインド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005308928A JP4755882B2 (ja) 2005-10-24 2005-10-24 色素増感型太陽電池ブラインド

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007113365A JP2007113365A (ja) 2007-05-10
JP4755882B2 true JP4755882B2 (ja) 2011-08-24

Family

ID=38095810

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005308928A Expired - Fee Related JP4755882B2 (ja) 2005-10-24 2005-10-24 色素増感型太陽電池ブラインド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4755882B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018076666A (ja) * 2016-11-07 2018-05-17 積水化学工業株式会社 太陽電池モジュール付きスラット、太陽電池スラット、太陽電池モジュール付きスラットの製造方法、及び太陽電池スラットの製造方法

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101479803B1 (ko) * 2007-07-23 2015-01-06 바스프 에스이 광전 탠덤 전지
JP2009238571A (ja) * 2008-03-27 2009-10-15 Dainippon Printing Co Ltd 色素増感型太陽電池用電解質
WO2010061663A1 (ja) * 2008-11-27 2010-06-03 横浜ゴム株式会社 光電変換素子用電解質ならびにその電解質を用いた光電変換素子および色素増感太陽電池
JP5387326B2 (ja) 2009-10-22 2014-01-15 カシオ計算機株式会社 光発電偏光素子、その製造方法及びそれを用いた液晶ディスプレイ
KR20110083248A (ko) * 2010-01-14 2011-07-20 (주)엘지하우시스 태양광 블라인드 창호
JP2011210672A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Toyo Seikan Kaisha Ltd 色素増感太陽電池に用いる負極の製造方法
WO2011139754A2 (en) 2010-04-27 2011-11-10 University Of Florida Research Foundation, Inc. Electronic gate enhancement of schottky junction solar cells
DK177508B1 (da) * 2011-04-18 2013-08-19 Kim Hybholt Soerensen Persienner med solceller samt anvendelse
JP6267035B2 (ja) 2014-03-28 2018-01-24 積水化学工業株式会社 色素増感太陽電池セルの組込構造及び発電ブラインド用スラット
JP2018163958A (ja) * 2017-03-24 2018-10-18 積水化学工業株式会社 太陽電池モジュール付きスラット、発電ブラインド、及び太陽電池モジュール付きスラットの製造方法
JP6861560B2 (ja) * 2017-03-31 2021-04-21 株式会社Lixil 太陽電池ブラインド

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH674596A5 (ja) * 1988-02-12 1990-06-15 Sulzer Ag
JPH05259494A (ja) * 1992-03-16 1993-10-08 Fuji Electric Co Ltd フレキシブル型太陽電池の製造方法
JP2000340824A (ja) * 1999-05-26 2000-12-08 Matsushita Electric Works Ltd 太陽光発電装置
JP3863435B2 (ja) * 2002-01-31 2006-12-27 立川ブラインド工業株式会社 電動内包ブラインド
JP3879917B2 (ja) * 2002-06-26 2007-02-14 富士電機ホールディングス株式会社 太陽電池ブラインド

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018076666A (ja) * 2016-11-07 2018-05-17 積水化学工業株式会社 太陽電池モジュール付きスラット、太陽電池スラット、太陽電池モジュール付きスラットの製造方法、及び太陽電池スラットの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007113365A (ja) 2007-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4755882B2 (ja) 色素増感型太陽電池ブラインド
US7586035B2 (en) Photovoltaic cell with spacers
EP1727167A2 (en) Photochargeable layered capacitor comprising photovoltaic electrode unit and layered capacitor unit
EP1331653A2 (en) Pigment-sensitized solar cell
JP2007227087A (ja) 色素増感型光電変換素子
JP2005235725A (ja) 色素増感型太陽電池モジュール
JP4576544B2 (ja) フィルム型色素増感光電池
JP4813819B2 (ja) キャパシタ付色素増感型太陽電池
CA2878406C (en) Photoelectrically convertible composition comprising an anionic polymer, a laminate, and processes therefor
Lan et al. Quasi-solid-state dye-sensitized solar cells based on a sol–gel organic–inorganic composite electrolyte containing an organic iodide salt
US20090050203A1 (en) Dye-sensitized photoelectric conversion device
JP2004221531A (ja) 光充電可能な積層型電気二重層キャパシタ
JP2004241378A (ja) 色素増感型太陽電池
US10270050B2 (en) Photoelectric conversion layer composition and photoelectric conversion element
JP4473541B2 (ja) 光充電可能な二次電池及び電気化学キャパシタ
JP2006236807A (ja) 色素増感型太陽電池
JP5657780B2 (ja) 光電変換素子および光電変換モジュール
JP4883559B2 (ja) 光電変換電極
JP6201317B2 (ja) 色素増感型光電変換素子および色素増感型太陽電池
KR101447618B1 (ko) 광감응 태양전지 및 그의 제조방법
JP5882598B2 (ja) 電気化学キャパシタ
JP2005093406A (ja) 光電変換素子およびその光電変換効率を向上する方法
KR102046295B1 (ko) 다공성 입자의 광 산란층을 구비한 염료감응 태양전지
JP2008243618A (ja) 光電変換素子
JP4520142B2 (ja) 色素増感型太陽電池及び色素増感型太陽電池モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080903

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110118

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110310

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110524

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110530

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140603

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4755882

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees