JP4754600B2 - 作業機の油圧システム - Google Patents
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Description
詳しくは、運転席に設けられた操作部材を操作すると、操作部材の操作量が制御部に入力される。制御部では、操作量に応じた電圧を比例電磁弁に出力して、当該比例電磁弁の電流を変化させることで比例電磁弁を作動させる。そして、比例電磁弁の作動により制御弁のスプールにパイロット油を供給して当該スプールを動かして、制御弁を介してアクチュエータに所定の作動油を供給することで、アタッチメントは動作する(例えば、特許文献1)。
本発明は上記問題点に鑑み、油圧式のアクチュエータを快適に作動させつつ油圧アクチュエータの作動に起因する作動音を抑制することができる作業機の油圧システムを提供するようにしたものである。
油圧アクチュエータを作動させるために、比例電磁弁に電流を流すことになるが、当該比例電磁弁の電流にはディザ振幅(以降、電流ディザ振幅ということがある)が存在する。この電流ディザ振幅によってパイロット油のパイロット圧が変動(パイロット油の脈動)することとなり、このパイロット圧の変動により、制御弁から油圧アクチュエータに供給する作動油の流量変動や圧力変動して作動油が脈動する。作動油の脈動が大きいと、油圧アクチュエータの伸縮幅が大きいために油圧アクチュエータの微動幅が大となり、微動幅が大きいがゆえに、作動音が発生すると思われた。
発明者は、さらに、作動音を抑えるための比例電磁弁の電流ディザ振幅の制御について検証を進めたところ、操作部材に対応して設定される比例電磁弁の平均電流と設定された電流ディザ振幅との両方を満たすには、比例電磁弁の電流を制御するためのパルス制御信号の周期を一定にしてデューティ比を制御することを見出した。
前記電流制御手段は、前記比例電磁弁の制御する制御範囲が低電流領域であって、当該低電流領域で電流ディザ振幅が所定値になるように、パルス制御信号のデューティ比を設定して、前記電流ディザ振幅を制御するように構成されていることが好ましい。
図1〜図7は、バックホー等の作業機を示している。
図7に示すように、作業機(バックホー)1は、下部の走行装置2と、上部の旋回体3とから構成されている。
走行装置2は、ゴム製覆帯を有する左右一対の走行体4を備え、両走行体4を走行モータMで駆動するようにしたクローラ式走行装置が採用されている。また、該走行装置2の前部にはドーザ5が設けられている。
作業装置13は、旋回台12の前部に左右方向の中央部よりやや右寄りにオフセットして設けられた支持ブラケット16に上下方向の軸心回りに左右揺動自在に支持されたスイングブラケット17と、該スイングブラケット17に基部側を左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて上下揺動自在に支持されたブーム18と、該ブーム18の先端側に左右方向の軸心廻りに回動自在に枢着されて前後揺動自在に支持されたアーム19と、該アーム19の先端側にスクイ・ダンプ動作可能に設けられたバケット20とを備えている。
アーム19の先端部には、バケット20の代わりにグラップル,サム,ブレーカ,ブラッシュカッタ,チルトバケット,ロータリーグラーブル等のSP用アタッチメントが装着できるようになっている。
上述したように、作業機1は複数のアクチュエータを有するものとなっているが、説明の便宜上、これらのアクチュエータをまとめた油圧アクチュエータAを1つのものとして説明する。なお、アクチュエータAは、油圧により伸縮自在な油圧シリンダとする。
油圧システム26は、パイロット圧に応じて油圧シリンダAに作動油を供給する制御弁27と、この制御弁27のパイロット圧を制御する一対の比例電磁弁28,28と、比例電磁弁28,28にパイロット油を供給する第1ポンプ29と、制御弁27に作動油を供給する第2ポンプ30と、比例電磁弁28,28を制御する制御部(コントローラ)31とを備えている。
一方の比例電磁弁28Lは、1つの制御弁27に対してそのスプールの一方に所定のパイロット圧のパイロット油を供給し、他方の比例電磁弁28Rは、制御弁27のスプールの他方に所定のパイロット圧のパイロット油を供給するものとなっている。
操作部材25を中立位置より左側に揺動させると、制御部31は操作部材25の操作量に応じた電圧(制御信号S2)を左側用の比例電磁弁28Lのソレノイド32Lに出力し、ソレノイド32Lの電流を制御するものとなっている。ソレノイド32Lの電流に応じてブランジャが移動し、制御弁27へ供給されるパイロット油のパイロット圧が変化する。
このように、操作部材25の操作量に応じて比例電磁弁28L,28Rを操作することで、制御弁27のスプールに2方向からパイロット油が供給されることになり、このパイロット油で制御弁27を作動させることで、作動油が制御弁27を介して油圧シリンダAに供給され、当該油圧シリンダAが、例えば、伸縮することによって、アタッチメントが作動する。
比例電磁弁28を制御するにあたっては、PWM制御によって電圧変調させたものを制御信号S2としており、電圧変調された制御信号S2によって、比例電磁弁28の電流(電流波形)は所定の振幅(以降、電流ディザ振幅という)を有したものとなる[図5(c)参照]。
図3は、電流ディザ振幅と油圧シリンダに発生する音との関係を様々な実験によりまとめたものである。
図3に示すように、比例電磁弁28のの電流ディザ振幅IAがあまり大きくなく1000mA以下であると、油圧シリンダAの作動時の作動音は殆どしないが、電流ディザ振幅IAが1000mAを超えてしまうと、油圧シリンダAの作動時の作動音が電流ディザ振幅IAの増加に応じて次第に大きくなる。
一方で、油圧シリンダAの作動音する有音領域では、電流ディザ振幅IAの変動が大きいために、この電流ディザ振幅IAによって発生するパイロット油の脈動が大きい。パイロット油の脈動が大きい、制御弁27における作動油の脈動も大きくなり、脈動した作動油が油圧シリンダAに供給されると、油圧シリンダA内で作動油の脈動が許容されずに油圧シリンダAが大きく伸縮し、油圧シリンダAとアタッチメントとの接続部分の干渉よって大きな音が発生する。
図4は、電流ディザ振幅と比例電磁弁のヒステリシス特性とをまとめた図である。
図4に示すように、比例電磁弁28の電流ディザ振幅IAが小さいときは、比例電磁弁28のヒステリシスが大きく、比例電磁弁28の電流ディザ振幅IAが大きくなるにつれてヒステリシスは小さくなる。比例電磁弁28の電流ディザ振幅IAを小さくし過ぎると、比例電磁弁28のスプールの移動量が小さくなり、その結果、スプールと比例電磁弁28のケース等との摺動抵抗が大きくなる。比例電磁弁28のスプールの摺動抵抗が大きくなると、滑らかにスプールが動き難くなり、比例電磁弁28の応答性が損なわれる。
以上により、電流制御手段33は、比例電磁弁28の応答性を維持つつ(スプールを滑らかに作動させる)作動音を抑制するために、電流ディザ振幅IAを600mA〜1000mAの範囲に制御する。なお、作動音を抑制のみを重視する場合は、電流ディザ振幅IAを1000mA以下にするのがよい。
次に、比例電磁弁28の平均電流と電流ディザ振幅IAについて説明する。
図5(a)〜図5(b)は、電流制御手段33から比例電磁弁28に出力した制御信号S2の出力電圧の波形を示したもので、図5(c)は、比例電磁弁28の電流の変化を示したものである。
電流制御手段33は、操作部材25の操作量に応じて比例電磁弁28の電流、即ち、平均電流を制御すると共に、電流ディザ振幅IAを600mA〜1000mAの範囲に制御するものであるが、これら平均電流及び電流ディザ振幅IAは、比例電磁弁28に出力する制御信号S2の波形によって決定する。
詳しくは、電流制御手段33は、高電位形成区間K1における信号の周波数やデューティー比をPWM制御によって変化させることによって、図5(b)のパルス制御信号S3における所望の電圧V1Hを発生させ、低電位形成区間K2における信号の周波数やデューティー比をPWM制御によって変化させることで、パルス制御信号S3における所望の電圧V1Lを発生させるものとなっている。説明の便宜上、図5(a)に示すような制御信号S2のことを基本制御信号ということがある。)
図5(b)に示すように、基本制御信号S2の波形を全体的に見ると、高電位形成区間K1と低電位形成区間K2とを一定の間隔で繰り返すものとなっており、見かけ上、周波数が一定のパルスであるパルス制御信号と言える(説明の便宜上、図5(b)に示すような見かけ上の制御信号をパルス制御信号S3という)。
図5(b)に示すように、例えば、パルス制御信号S3での周期T及びデューティ比(τ /T)を一定にした場合は、図5(c)に示すように、電流ディザ振幅IAはパルス制御信号S3に対応して一定の振幅を繰り返すものとなる。
さて、パルス制御信号S3の周期が一定であるとして、所定のデューティ比に対する平均電流と電流ディザ振幅IAとの関係は、図6に示すものとなる。即ち、図6は、パルス制御信号Sのデューティ比を固定してパルス制御信号S3の電圧(高電位や低電位)を所定範囲(例えば、バッテリー電圧の0V〜12V)変化させた場合での平均電流及び電流ディザ振幅IAが制御できる範囲をデューティ比毎に図示したもので、デューティ比に対応したライン内が制御範囲となる。例えば、デューティ比が50%であると、ラインL2及びラインL3に囲まれた部分が、平均電流及び電流ディザ振幅IAが制御できる範囲である。
本発明の電流制御手段33では、図6に示す所定のデューティ比に対する平均電流と電流ディザ振幅IAとの関係に基づき、平均電流の目標値J1及び電流ディザ振幅IAの目標値K1の両方を満たすことができるように、例えば、パルス制御信号Sのデューティ比を50%よりも小さい30%にして、比例電磁弁28の平均電流及び電流ディザ振幅IAを制御するようにしている。説明の便宜上、図6に示す所定のデューティ比に対する平均電流と電流ディザ振幅との関係図を制御マップということにする。
特に、制御マップに示すように、デューティ比が50%よりも大きくすると、平均電流が小さくなった(例えば、平均電流がJ1未満)ときに、電流ディザ振幅IAを所定範囲Z内にすることができないため、電流制御手段33は、平均電流及び電流ディザ振幅IAを制御するにあたっては、パルス制御信号S3のデューティ比を50%よりも小さくする。例えば、作業機の油圧システムで用いる比例電磁弁28の制御領域(平均電流の制御領域)がJ1から小さくなる低電流領域(0〜J1)であるとすると、この低電流領域内で電流ディザ振幅IAの範囲Zを制御できるデューティ比で、比例電磁弁28を制御することが好ましい。具体的には、この実施形態では、上述したようにデューティ比が50%よりも小さい30%のデューティ比で制御することになる。
したがって、比例電磁弁28の平均電流及び電流ディザ振幅IAを制御するにあたり、この両者を周期(周波数)を変更することなく制御できるようになったので、制御部31による制御速度は維持したまま、アクチュエータAが作動したときの作動音を抑制すると共に、比例電磁弁28の応答性が低下することもない。
25 操作部材
26 油圧システム
27 制御弁
28 比例電磁弁
31 制御部
33 電流制御手段
35 高電位形成区間
36 低電位形成区間
IA 電流ディザ振幅
S1 操作信号
S2 制御信号
S3 パルス制御信号
T 周期
VA 電圧振幅
Claims (3)
- 作業を行うための油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータを操作する操作部材と、パイロット圧に応じて前記油圧アクチュエータに作動油を供給する制御弁と、この制御弁のパイロット圧を制御する比例電磁弁と、前記操作部材の操作量に応じて比例電磁弁の平均電流を制御する制御部とを備えた作業機の油圧システムにおいて、
前記制御部は、前記操作部材の操作量に対応して電圧変調により生成されたパルス制御信号を前記比例電磁弁に出力することにより当該比例電磁弁の平均電流を制御すると共に、前記油圧アクチュエータ作動時における作動音を抑制するように比例電磁弁の電流ディザ振幅を所定値に制御する電流制御手段を備え、
前記電流制御手段は、前記操作量に応じて設定された前記平均電流と、前記所定値に設定された電流ディザ振幅との両者が満たされるように、前記パルス制御信号の周期を一定にしてデューティ比を制御するように構成されていることを特徴とする作業機の油圧システム。 - 前記電流制御手段は、所定のデューティ比に対する平均電流と電流ディザ振幅との関係に基づき、パルス制御信号のデューティ比を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業機の油圧システム。
- 前記電流制御手段は、前記比例電磁弁の制御する制御範囲が低電流領域であって、当該低電流領域で電流ディザ振幅が所定値になるように、パルス制御信号のデューティ比を設定して、前記電流ディザ振幅を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機の油圧システム。
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